破れる(やぶれる)
2グループ
▶活用を見る・聞く
1.
分割
薄い平面状のものが裂けたり、穴が開いたりする。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
2.
境界
内側と外側を隔てているものに力が加わって壊れたり穴が開けたりする。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
3.
安定
静かな状態が急に乱れる。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
4.
バランス
複数のものの間に保たれていたバランスが乱れる。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
5.
関係
関係が切れる。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
6.
敗北
勝負に負ける。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
▼
全体解説
▲
トップ
破れる
のコアイメージ
1.
分割
自動詞
中級
★★
表記
破れる
薄い平面状のものが裂けたり、穴が開いたりする。
文型
<薄いもの>が破れる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
そんなに強く引っ張ると、布が
破れる
よ。
▶
最近、
破れた
ジーンズをはいている人を見かけなくなった。
▶
破れてしまった
お札は、銀行に持って行くと交換してくれる。
▶
大きな爆発音のせいで、鼓膜が
破れそう
だった。
▶
部屋の障子があちこち
破れていて
、みっともない。
▶
郵便配達員が持ってきた手紙は、雨に濡れて
破れない
ように、ビニール袋に入れてあった。
▶
障子は木枠に紙を貼り付けて作ったものなので、簡単に
破れてしまいます
が、
コロケーション
<薄いもの>が
紙、封筒、服、シャツ、シーツ、ストッキング、カーテン
<様態>
容易に、簡単に、すぐ、びりびり[と]、びりっと
非共起例
<薄いもの>が
ガラスが破れる。
ガラスが割れる。
▶
平面状であっても、ある程度硬くて脆いものが壊れて複数に分かれる場合は、「破れる」ではなく「割れる」を用いる。
解説
▶
何らかの価値を持っての薄くて柔らかいものが裂けたり、穴ができたりする。破れた結果、紙や布などが元々持っていた価値が損なわれ、ダメになる。語義1の「破れる」が使われるのは、少しでも力を加えると容易に変形するような柔らかくて薄いもの(例:布、紙)を対象とした場合のみである。同じような薄いものであっても、何かの表面を覆っていて、内側と外側を隔てるものの場合は、語義2として独立させた。
類義語・反義語
類義語
裂ける、壊れる、割れる
反義語
2.
境界
自動詞
中級
★★
表記
破れる
内側と外側を隔てているものに力が加わって壊れたり穴が開けたりする。
文型
<隔てるもの>が破れる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
もろくなった血管が
破れて
、一気に血が噴き出した。
▶
底の
破れた
鍋なんか、何にも役に立たない。
▶
細胞膜が
破れない
ように気をつけないと、中の染色体が流れ出て実験が台無しになってしまう。
▶
すみませんが、パッケージが
破れている
商品の返品は受け付けられません。
▶
しばらく魚を弱火で焼くと、皮がぷくっと膨らんできます。その皮が
破れたら
ちょうど食べごろです。
▶
ちょっと休もうよ。これ以上走ったら、心臓が
破れちゃう
。
▶
脳卒中は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなるタイプと、血管が
破れて
出血するタイプに分けられます。
コロケーション
<管>が
管、血管、動脈、静脈、水道管、パイプ
<表皮・体膜>が
皮、膜、鼓膜、おでき[の表皮]、にきび[の表皮]、まめ[の表皮]
<器官>が
心臓、肺、腸
<外側を覆うもの>が
包み、包装紙、パッケージ、箱、袋、財布、殻、網、鍋[の底]、テント、覆い
<様態>
容易に、簡単に、すぐ、びりっと
解説
▶
ものの外側や表面を覆っている、あるいは外界との境界となっている薄い膜状・板状のものに力が加わって、壊れたり穴が開いたりする。その結果、外側と内側を隔てる機能を失ってしまう。内側にあったものが、破れた場所から外に出てくることもある。
類義語・反義語
類義語
裂ける、割れる、壊れる
反義語
3.
安定
自動詞
上級
★
表記
破る
静かな状態が急に乱れる。
文型
<静寂>が破れる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
銃声によって、森の静寂が
破れた
。
▶
彼が急に泣き出して、長い間続いた沈黙が
破れた
。
▶
嵐の前の静けさが一旦
破れたら
、一気に暴風雨が吹き荒れ始めた。
コロケーション
<静寂>が
静寂、沈黙、静けさ
<様態>
急に、突然
解説
▶
静かに落ち着いた状態が急に乱れる。しばらく安定して続いていた状態が突然終わり、元の安定性が損なわれて、乱れた不安定な状態になる。自動詞「破れる」が用いられる場合は非常に限られ、他動詞「破る」やその受け身形「破られる」が使われることが多い。
類義語・反義語
類義語
乱れる、壊れる、砕ける
反義語
続く、継続する
4.
バランス
自動詞
上級
★
表記
破る
複数のものの間に保たれていたバランスが乱れる。
文型
<バランス>が破れる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
新しい助っ人の加入により、ライバルチームとの力の均衡が
破れた
。
▶
いったん
破れた
バランスを、もう一度取り戻すことはとても難しい。
▶
うちの会社だけが海外の仕事を得るということは、国内の同業他社との釣り合いが
破れる
ことになるため、大きな反発が予想される。
▶
ある参加者の一言で、国際会議に参加している国々の調和が
破れた
。
▶
物理学では、対称的なものに何らかの作用が加わってその対称性が崩れることを対称性が
破れる
と言う。
コロケーション
<バランス>が
バランス、均衡、調和、釣り合い、対称性
解説
▶
複数のものの間に均等に保たれているバランスが崩れる。それまで安定していた状態が乱れて、不均衡になったりダメになったりする。
類義語・反義語
類義語
崩れる、乱れる、壊れる
反義語
5.
関係
自動詞
上級
★
表記
破れる
関係が切れる。
文型
<関係>が破れる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
長年続いてきた両国間の良好な関係が
破れた
。
▶
会社の同僚との間でいったん信頼関係が
破れる
と、修復するのは困難だろう。
▶
友好関係というものは、築くのには時間がかかるが、
破れる
のは一瞬だ。
▶
パートナーとの関係は数年前から
破れていた
そうなので、無事に離婚が成立してほっとしていることだろう。
▶
経済や外交面における日米間の結びつきは強固なので、そうそう両国の関係は
破れない
だろう。
▶
両国の拮抗した力関係が
破れる
きっかけになったのは、大量破壊兵器の実戦配備だった。
コロケーション
<関係>が
関係、信頼関係、友好関係、力関係、~の関係、~との関係
解説
▶
複数のものの間に保たれていた関係が壊れる。それまで安定していた関係がダメになり、一方が他方を圧迫するなど、以前とは異なった不均衡な関係に陥る。
この語義は<関係>のみを必須項に取るという点において特殊ではあるが、<関係>を表す語彙にもさまざまなバリエーションがあるため、ひとつの語義として独立させた。
類義語・反義語
類義語
切れる、壊れる、崩れる
反義語
続く、継続する
6.
敗北
自動詞
上級
★
表記
敗れる、破れる
勝負に負ける。
文型
<人・組織>が<相手・勝負・敗因>に敗れる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
うちのサッカーチームは、決勝戦でライバルチームに
敗れた
。
▶
もし次の選挙で若手に
お敗れになったら
、政界を引退なさるべきでしょう。
▶
ビジネスの世界は厳しいので、競争に
破れた
企業は、倒産するしかない。
▶
今まで何度もレースに
敗れている
のだが、ようやく優勝できたので、諦めずに頑張ってきた甲斐があったというものだ。
▶
体力では敵に勝っていたのだが、相手の頭脳的なプレーに
敗れた
。
▶
サッカーの試合では、審判の不公平な判定に
敗れる
なんてことがよくある。
▶
甲子園で試合に
敗れた
チームは、グラウンドの砂を持って帰るのが伝統です。
コロケーション
<相手>に
ライバル、宿敵、挑戦者、チャンピオン、軍隊、優勝候補、敵チーム
<勝負>に
競争、試合、ゲーム、戦争、戦い、抗争、選挙、議論
<様態>
遂に、あっさり、簡単に、ぽろっと、ころっと
<感情>
惜しくも、残念ながら
<勝負>で
戦い、選挙、戦争、争い、大会、試合、レース
<敗因>に
作戦、反則、裏切り、罠、雰囲気、緊張、攻勢
解説
▶
人や組織が、試合や戦いで負ける。対戦して負けた相手だけではなく、「勝負」「試合」などの戦いそのものを意味する言葉や、戦って負けた原因も格助詞「ニ」と共に用いられ得る。
類義語・反義語
類義語
負ける、敗北する
反義語
勝つ、勝利する
破れる
の全体解説
整って安定した状態にある平面状のものに何らかの力が加わり、耐えられなくなって裂けたり穴が開いたりすることにより、元の価値が損なわれるという意味が語義1である。「裂けたり穴が開いたりする」という意味合いは、語義2にも見て取れる。一方、「元の価値が失われる」という意味合いは、特に語義3~6において色濃く表われている。「負ける」という意味の語義6においては、他動詞「破る」によって描写される出来事を「破られる」ものの立場から捉え直し、自動詞「破れる」を用いて描き出している。したがって、自動詞「破れる」においては、語義1と語義5との関係が希薄であり、表記も異なる「敗れる」という独立した語としての立場を確立している。
▶全例文を聞く
previous
play
next
stop
mute
max volume
repeat
shuffle
full screen
コーパス
アニメ
慣用表現
複合語
語義
1
<薄いもの>が
◆
封筒
が破れたら、下手をするとそのまま行方不明になることも。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 公共施設、役所)
◆
そういわれてみて、西島は、石田の左の
ズボン
が破れてまっ赤になっているのに気がついた。
(かつおきんや作;岩淵慶造画 『緑の島はるかに』, 1989, )
語義
2
<管>が
◆
脳の血管がモロくなって
血管
が破れ、血液が脳組織のなかに侵入して脳の機能が破壊されるのが脳出血です。
(大槻彰著 『ボケにならない本』, 1993, 493)
<表皮・体膜>が
◆
爆発のものすごさは、趙が
鼓膜
が破れたかと思うほどだった。
(デイル・ブラウン著;伏見威蕃訳 『スカイ・マスターズ』, 1996, 933)
◆
トマトの湯むきは、へたを取って熱湯につけ、
皮
が破れてきたらすぐ冷水にとって、手で皮をむく。
( 『ひとり暮らしのクッキング』, 2005, )
<器官>が
◆
心臓
が破れそうなほどどくどくと脈打つ。
(戸梶圭太著 『あの橋の向こうに』, 2003, 913)
<外側を覆うもの>が
◆
その第一は、もし
袋
が破れて百万ドルが歩道に散らばったらどうなるかだ。
(ジョン・グリシャム著;天馬龍行訳 『呼び出し』, 2004, 933)
<様態>
◆
包み紙がドアの重い掛け金に引っかかって
ビリビリと
破れ、長い傷口のように開いた。
(ジズー・コーダー著;枝廣淳子訳;天野喜孝絵 『ライオンボーイ』, 2004, 933)
語義
4
<バランス>が
◆
一度その
均衡
が破れて大戦規模の戦争が起これば、人類の生存と将来はないことを知りながら核戦力をエスカレートさせているのは動物以下である。
(森村誠一著 『悪魔の飽食』, 1982, 916)
語義
5
<関係>が
◆
もし,ある生物種間で単純な1対1の
関係
にあった場合,その関係が破れると,その生物種は生存できなくなってしまう.
(池北雅彦,榎並勲,辻勉著 『生物を知るための生化学』, 1999, 464)
語義
6
<相手>に
◆
かつての属国
日本
に、中国清は破れた。
(鷲田小彌太著 『嫉妬の人間学』, 1999, 141)
◆
もう一方の友好国・百済も、六六三年、白村江の戦いで新羅・唐の
連合軍
に破れ、滅亡。
(木島輝美,木島光絵著 『ふりかえ』, 2001, 049)
<勝負>に
◆
しかし慣れない軍隊を率いたオールグレンは、反乱軍との
戦い
に破れ、自らも傷ついて捕虜の身となってしまう。
(Weeklyぴあ, 2003, 一般)
◆
そして、オランダやフランス商人との
競争
に破れ、グラバー商会も倒産してしまった。
(馬場祥弘著 『激闘!旭光の連合艦隊』, 2002, 913)
<勝負>で
◆
ロシアでも農奴制度は既に矛盾したものだったが,
クリミヤ戦争
で破れることで桎梏を感じ,それを感じたのが支配層であった。
(山田盛太郎述;小林賢齊編 『資本主義構造論』, 2001, 332)
◆
ボクシングの大会で
準決勝
で破れ、この成績を気にしていたという。
(子どものしあわせ編集部編 『いじめ・自殺・遺書』, 1995, 367)
語義
1
▶
障子は木枠に紙を貼り付けて作ったものなので、簡単に
破れてしまいます
が、
語義
2
▶
脳卒中は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなるタイプと、血管が
破れて
出血するタイプに分けられます。
語義
6
▶
甲子園で試合に
敗れた
チームは、グラウンドの砂を持って帰るのが伝統です。
恋に破れる
意味
失恋する。
用例
恋に破れた
時は、ひとり旅に出るといい。
コーパスからの用例
恋に破れたり
、仕事に行き詰まったり、明日の支払いのめどが立たない、なんて時にはいっそのこと死んでしまいたいくらいの気持ちになる事がある。(萩原津年武著 『酒の席でつい披露したくなる日本語』, 2002, 810)
国破れて山河あり
意味
人間の作った国家は戦争などで容易に滅亡して消えてしまうが、自然の作り出した山や川はいつまでも変わることなく存在し続けるものである。
用例
100年前までこんな山奥に都市が栄えていたなんて、まったく信じれらない。まさに「
国破れて山河あり
」だ。
コーパスからの用例
核戦争の後は、もはや「
国破れて山河なし
」である。(森村誠一著 『悪魔の飽食』, 1982, 916)
夢が破れる
意味
将来の夢や計画に問題が生じ、しかたなく中止する。夢や計画は途中で打ち切られ、成就することなく終わる。夢や計画の実現に対して抱いていた期待は裏切られ、当事者にとって不本意な結果に終わる。
用例
今の会社から独立して、自分の会社を作るという
夢が破れてしまった
。
コーパスからの用例
「教師になる」という長いあいだの
夢が
、ある日、とつぜん
破れてしまった
からである。(沢村貞子著 『沢村貞子』, 1999, 778)
複合名詞
破れ太鼓、破れ障子、破れかぶれ、破れ目
破れる
(2グループ)の活用
▶活用を聞く
アクセント型
起伏
辞書形
やぶ
れ
る
ない形
やぶ
れ
ない
~なかった
やぶ
れ
なかった
ます形
やぶれ
ま
す
~ません
やぶれま
せ
ん
~ました
やぶれ
ま
した
~ませんでした
やぶれま
せ
んでした
~とき
やぶ
れ
るとき
ば形
やぶ
れ
れば
意向形
やぶれ
よ
う
て形
や
ぶ
れて
た形
や
ぶ
れた
可能形
ー
受身形
ー
使役形
ー
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