割れるのコアイメージ

1.分割自動詞初級★★★
表記割れる
力を加えられて、2つあるいは複数に分かれる。
文型
<もの>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
力いっぱい棒で叩いたら、スイカが真っ二つに割れた
その果実は、熟すとひとりでに割れるんですか。
鞄の中に入れていたせんべいが、いつの間にか半分に割れていた
地震のせいで、自宅のコンクリートの壁が割れたそうだ。
ガラスでできた実験道具は割れやすいので、取扱いに十分注意してください。
マニキュアには、爪が簡単に割れないように補強する役割もある。
コロケーション
<もの>が
ビスケット、板、殻、卵、石、爪
<結果>に
2つ、3つ、真っ二つ、半分、きれい
非共起例
<もの>が割れる。
 ビスケットが割れる。×布[鉄]が割れる
少しでも力を加えたら簡単に形が変化する軟らかい布や紙、または、どんなに力を加えても変化しない固い金属に対しては自動詞「割れる」を使えない。「割れる」のは、柔軟ではなく、ある程度の固さを備えた脆い<もの>に限られる。これは他動詞「割る」にも共通する特徴である。
解説
ひとつの<もの>に力が加えられることによって、2つ、ないし、それ以上の部分に分割される。分けられた複数の部分の間にはあまり大小差がなく、ほぼ均等な大きさになる。
類義語・反義語
類義語分割する
反義語合わさる、くっつく


2.破壊自動詞初級★★★
表記割れる
力を加えられて、多数に砕ける。
文型
<もの>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
瓦が屋根から地面に落ちて、こなごなに割れた
高価な壺が、いつの間にか割れていた
物不足の当時は、レンズが派手に割れているメガネをかけている人も少なくなかった。
指先で軽く触っただけで簡単に割れるくらい繊細なガラス細工です。
隣の部屋から、深夜にガラスが割れる音がした。
スイッチを入れたら、電球がばらばらに割れて飛び散った。
コロケーション
<もの>が
ガラス、食器、氷、瓶、鏡、電球
<結果>
こなごなに、ばらばらに、無数に、細かく、小さく
解説
ひとつの<もの>に力が加わり、多数の細かい部分に砕ける。その結果として、本来その<もの>が持っていた機能や形が大きく損なわれ、壊れることになる。
類義語・反義語
類義語砕ける、壊れる
反義語


3.分断自動詞上級
表記割れる
ひとつの集合体が分かれて、間に空間ができる。
文型
<集合体>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
事故現場に警官が近づいてきたので、やじ馬たちの人垣が割れて、警官の通り道ができた。
旧約聖書によると、モーセが杖を振り上げると、たちまち海が割れたという。
突然、雲が割れて光が差した。
王様が現れると、群衆が左右に割れて、真ん中に通り道ができた。
人ごみがさっと割れたかと思うと、刃物を手にした男が走り出てきた。
魚の群れは割れては集まり、まるで一つの生き物のように形を変えながら泳いでいる。
コロケーション
<集合体>が
人垣、人込み、群衆、~の群、集団、海、雲
<様態>に
2つ、真っ二つ、左右
解説
元々ひとつの個体ではなく、多くの個体が密接に結びついて一体となっている<集合体>の中に隙間が生じる。結果として、<集合体>は2つ(あるいはいくつか)に分かれる。何らかの理由・原因があるものの、<集合体>が自発的に、自然に分かれるというニュアンスを伴っている。
類義語・反義語
類義語分かれる、裂ける
反義語


4.分裂自動詞上級
表記割れる
組織・意見が分かれて、まとまりが失われる。
文型
<組織・意見>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
消費税増税の是非を巡って、党が2つに割れる事態に発展している。
死刑制度については、賛成と反対に世論が割れている
まだ学界で評価が割れている理論を採用するのは、ちょっと勇気がいる。
肯定派と否定派で、国が2つに割れた
今度の選挙では、山田氏と鈴木氏で得票が割れて接戦になるだろうね。
stairs賛成派と反対派に割れて、ずいぶん議論が長引きましたよ。
コロケーション
<組織>が
政党、党、国、チーム、会社、グループ、サークル、一族
<意見>が
意見、評価、議論、国論、見解、票、得票、賛否
<様態>に
半分、半々、真っ二つ、2つ
解説
組織や意見が、2つに分かれる。特に「賛否」や「是非」などに関して対立的に二つ(あるいは少数)に分かれる。結果として、もともと持っていた「まとまり」や「つながり」が失われたり、期待される統一性が損なわれたりする。
類義語・反義語
類義語分裂する
反義語


5.不快音自動詞上級
表記割れる
音量が大きすぎて、音声が乱れる。
文型
<音声>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
スピーカーから出る音が割れないように、音量を調整する必要がある。
イヤホンの調子が悪くて、同時通訳の声が割れている。何を話しているのか分からない。
耳の病気のせいで、音が割れて聞こえる。
あの舞台女優は、演技は上手なのだが、熱が入ると絶叫しすぎて声が割れてしまうせいで、台詞が聞き取れない。
音声が割れてしまっているので、もう一度編集をし直さなくてはならない。
stairs演奏が始まってすぐに、スピーカーの調子が悪くて音が割れてしまいました
コロケーション
<音声>が
音、声、音声
非共起例
<音声>が割れる
 声が割れる
 歌が割れる
 歌声が割れる
「割れる」と共に用いられるのは、音量に直接関わる「声」「音」のみで、言葉の意味や内容に関わる「歌」「台詞」などとは一緒に用いられない。
解説
スピーカーの出力限界を超えた大きな音量を出すと音質が悪くなるように、音声が不快で聞き取りにくくなってしまうこと。ただし、同様に大音量の様子を表現する「割れるような大歓声」「割れるような拍手」といった慣用的な言い回しにおいては、否定的な意味合いはなく、むしろ肯定的なニュアンスを伴っている。「割れんばかり」という慣用表現も参照のこと。
類義語・反義語
類義語乱れる
反義語


6.分離自動詞上級
表記割れる
くっついていたものが離れる。
文型
<もの>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
和服を着ている時は注意して歩かないと、裾が割れて足が見えてしまう。
この紐を軽く引っ張ると、すぐに薬玉が割れる仕掛けになっています。
バッティングの時に膝が割れていると、うまくボールが打てないぞ。
いつもへんな場所で割れてしまうので、割り箸を割るのは苦手だ。
筆先が割れていると、うまく字が書けない。
先端が2つに割れた舌をちょろちょろ出しながら、蛇が獲物を狙っている。
コロケーション
<もの>が
裾、薬玉、割り箸、膝、筆先、(蛇の)舌
解説
一対のものが、ずれることなく並んで揃っていたのに、ばらばらに離れてしまう。あるいは、ぴったりくっついているべきなのに、離れ離れになってしまう。ものの先端がひとまとまりになっていることが普通なのに、2つに分かれている場合にも使える。


7.亀裂自動詞中級★★
表記割れる
力が加わって、ものの表面が裂ける。
文型
<表面>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
大地震で地面が割れて、水が噴き出してきた。
干していた竹の表面が割れれば、すっかり乾燥した証拠だ。
割れたのは容器の外側だけだったので、中に入っていた液体がこぼれることはなかった。
コロケーション
<表面>が
地面、表面、外側、表層、上辺
解説
ものにひびが入る。ものの表面だけが裂けて、中は元のままで影響がない。表面だけではなく、中も一緒に壊れて、全体が複数に分かれてしまう場合は、語義1ないし語義2になる。ただし、「壁が割れた」といった表現では、表面の部分だけにひびが入っているのか、内側まで亀裂が達しているのかは分からず、文脈に依存して解釈が分かれる。


8.ケガ自動詞上級
表記割れる
力が加わって、皮膚に裂け目ができる。
文型
<体の一部>か割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
自転車で転んだ時におでこが割れて、10針も縫う羽目になった。
乾燥のために昨日から唇が割れていて、とても痛いんです。
凶器による攻撃を受けたせいで、プロレスラーの眉間が割れて血が噴き出した。
ようやく治りかけていた傷口が、また割れてしまった。
冬になると、いつも唇が割れてしまうので、リップクリームが手放せない。
ラケットが当たって額が割れているのに、平気な顔をして、ゲームを続けている。
コロケーション
<体の一部>が
額、おでこ、頭、眉間
<様態>
ぱっくり、ざっくり
解説
体の中でも比較的に固い頭や額を打ちつけたり叩かれたりすることによって、皮膚が裂けてケガ(裂傷)をする。乾燥している時には唇も裂けやすくなるので、「唇が割れる」という言い方も可能である。刃物ですぱっと「切る」のと異なり、無理な力によって裂けるので、傷口は乱れている。
類義語・反義語
類義語裂ける、切れる
反義語


9.真実自動詞上級
表記割れる
隠されていた真実が明らかになる。
文型
<秘密>が割れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
警察に面が割れているので、外を出歩けない。
新人はまだ顔が割れていないので、潜入捜査にはうってつけだ。
懸命な捜査により、ようやく犯人が割れた
殺人事件の被害者の身元が割れたら、捜査の大きな手掛かりになるのに。
ようやく割れた黒幕の正体は、意外な人物だった。
小説の最終回のネタが割れてしまった
コロケーション
<未知のこと>が
面、顔、犯人、身元、正体、ネタ、結末
<人>に
敵、敵対者、相手、読者、聴衆
解説
隠していたことが明らかになったり、秘密にしておきたいことが相手に知られたりする。この用法は、「外側を割ることで、それまで隠れていた中身が見えるようになる」ことから意味的に拡張されていると考えられる。「明らかになる」という意味で警察が使う隠語としての用法が多い。
類義語・反義語
類義語知れる、ばれる、露見する、露呈する、判明する、明らかになる
反義語


割れるの全体解説 何かが「割れる」ことにより、元々あった「まとまりや統一性が損なわれる」という意味合いを持つこともあるが、以前は中に隠れていたものが外から見えるようになるという用法もある。
























▶全例文を聞く
<もの>が
卵のが割れても塩分で白味が固まり、外に飛び出しません。
(沖幸子著 『ドイツ流シンプル料理学』, 2004, 596)
手のが縦に割れて直らないのですが何か良い方法ありますでしょうか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット)
<結果>に
そこから、くしは二つに割れた。
(あさのあつこ作;塚越文雄絵 『時を超えるSOS』, 2002, )
<もの>が
現に、この到着ロビーの一部は、ガラスが何枚か割れたのであった。
(斎藤栄著 『二階堂警部最後の危機』, 1993, 913)
<結果>
姿見の鏡が粉々に割れて、破片の雨が降り注ぐ。
(ポーラ・コーエン著;布施由紀子訳 『運命の園に囚われて』, 2003, 933)
<集合体>が
若造がのぼってくるのにあわせて、人垣が左右ふたつに割れていく。
(キース・ピータースン著;芹沢恵訳 『幻の終わり』, 1991, 933)
目の前の群集が、ゆっくりと割れるのも、異変だとは思っていなかった。
(井上祐美子著 『臨安水滸伝』, 2002, 913)
<組織>が
原子力発電所が、この町にできると知らされたとき、町民は二つにわれた。
(大谷昭宏事務所関電争議取材班著 『関西電力の誤算』, 2002, 366)
<意見>が
アメリカの「次の一手」が注目されるところですが、どうも政権内部では方針を巡って真っ二つに意見が割れているようですね。
(文藝春秋編 『21世紀の戦争』, 2001, 319)
キリスト教徒のあいだの票が割れれば、当選する可能性は高かった。
(ケニーゼ・ムラト著;白須英子訳 『皇女セルマの遺言』, 2003, 953)
<様態>に
ペリーの黒船が来たあの時代、日本の国論は真っ二つに割れ、激論が起こった。
(Yahoo!ブログ, 2008, 文化活動)
<音声>が
が割れているのは、スピーカーがおかしくなっているせいか?
(井上尚登著 『C.h.e.』, 2002, 913)
<もの>が
しっぽのが二本に割れている。
(池田美代子作;さこやん絵 『占い魔女は消えた』, 2001, )
<体の一部>が
棟梁のが割れて血がだらだらと顔を流れた。
(佐伯泰英著 『清掻』, 2004, 913)
<様態>
左ほおがざっくりと割れ、鮮血がしたたり落ちていた。
(川上健一著 『虹の彼方に』, 2004, 913)
<未知のこと>が
そう考えるとこの作品のローズマリーの死の始まりを探れば自ずと犯人が割れると思いました。
(Yahoo!ブログ, 2008, 趣味)
だが、ソフトの男をさらに尾行することによって、その正体が割れれば、おのずから両者の関係は明らかになってくる。
(伴野朗著 『上海発奪回指令』, 1995, 913)
<人>に
つまり、俺の身もとだって、相手にゃとっくに割れてるってことさ。
(香納諒一著 『ただ去るが如く』, 1998, 913)






























賛成派と反対派に割れて、ずいぶん議論が長引きましたよ。
演奏が始まってすぐに、スピーカーの調子が悪くて音が割れてしまいました
底が割れる

意味
最低だと思われていた基準をさらに下回る
用例
景気の底が割れた
コーパスからの用例
なし
意味
秘密にしておきたいことや話の筋が簡単に知れてしまう。見破られる。
用例
すぐに底が割れる話はつまらない。
コーパスからの用例
もちろん、その相手の女性を調べてみなければならないが、行雄の態度から推して、簡単に底が割れるようなアリバイ工作だとは考えられなかった。
割れんばかり

意味
声や音がとても大きい
用例
割れんばかりの大歓声
コーパスからの用例
なし
株価が割れる

意味
株の値段が下がり、ある基準額を下回る。
用例
株価が割れて、15,000円を切った。
腹筋が割れる

意味
腹筋が大きく発達することにより、筋肉の凹凸が目立つようになる。
用例
もともと痩せているうえに、しっかり体を鍛えているので、腹筋が6つに割れている。
コーパスからの用例
7回のトレーニングでウエスト2.5センチ減、腹筋がくっきりきれいに割れてきたと感激されています。
複合名詞

割れ目、ひび割れ、仲間割れ、音割れ
割れる(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形われる
ない形われない
~なかったわれかった
ます形われ
~ませんわれま
~ましたわれした
~ませんでしたわれまんでした
~ときわれるとき われる
ば形われ
意向形われ
て形われて
た形われた
可能形
受身形
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