移す・写す・映すのコアイメージ

1.ものの移動他動詞初級★★★
表記移す
人が、ものを別の場所に動かす。
文型
<人>が<もの>を<場所>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
植木鉢を日当たりの良い場所に移す
預金を別の銀行に移した
ファイルはすべて新しいパソコンに移された
料理は小皿に移してから食べるのがマナーです。
「水槽内の水を別の容器に移して」「金魚も一緒に移していいの?」
冠水に備えて、車を自宅駐車場から近所の立体駐車場に移そう
コロケーション
<もの>を
① 物体:荷物、水、魚、料理
② お金:資産、お金、資金、預金
③ 情報:本籍、戸籍、データ、ファイル
<場所>に
① 物体の到達点:容器、皿、水槽、器、棚、タンク、コップ、ケース、バケツ
② お金の到達点:口座、銀行
③ 情報の到達点:パソコン、フォルダ、サーバー、ファイル
<様態>
少し、一気に、徐々に、そのまま、再び、いったん、ゆっくり
解説
この意味の「うつす」は、物体をある空間から別の空間に移動させることを表す。なお、対象となるのは物体であるが、必須項に示したようにここでは<情報>も含んでいる。<情報>は通常、他と区別される明確な境界を持った固体とは考えにくいが、ここでの<情報>は、移動が紙面上で確認される「籍」や、パソコン上に保存され視覚的にその存在と移動を確認できる「ファイル」などである。
誤用解説
「うつす」では着点が意識されるため、単にある場所からものをなくす場合、つまり起点のみに焦点が当たっている場合には「うつす」ではなく「うごかす」を用いるのが自然である。
 (ガレージを掃除するために)車を移した
 (ガレージを掃除するために)車を動かした
類義語・反義語
類義語動かす
反義語


2.人の移動他動詞初級★★★
表記移す
人が、人を別の活動場所に動かす。
文型
<人>が<人>を<場所>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
息子は病状が悪化し、一般病棟から無菌室に移された
団体客は離れの宴会場に移された
スキャンダルで世間を賑わした芸能人が、一時、海外に身を移した
「田中君を営業部に移そう」「彼はまだ入社一年目ですよ」
うちの店舗から、二人を新店舗に移すことにした。
あの会社は、人件費を抑える目的で人員を子会社に移している
コロケーション
<人>を
身、部下、人員、メンバー
<場所>に
支店、本社、支社、営業部、庶務課、地方、海外
<様態>
すぐ、まず、いったん、とりあえず、さっさと、そのうち
解説
この意味の「うつす」は、対象の位置を変えるという点で語義1と類似しているが、語義1の対象は物体のなかでも、主体の身体運動によってその位置を変えることのできるものであり、例えば「本」であれば主体が手に持ち、「車」であれば主体が運転して、そのものの位置を変えることができる。一方、この意味の「うつす」の対象は<人>であり、その対象を移動させるのに主体の意志が関与する点では語義1と同様だが、対象の移動は主体の身体運動によるものではないという点で語義1と異なる。また、語義1のように対象をある地点から別の地点へと単に位置を変えるだけではなく、それによって対象である人の活動の場を変えることを含意している。
誤用解説
この意味の「うつす」は、主体の意志によって対象を別の場所で活動させる(生活させる、仕事させる)ことを表すため、単に人を移動させることを表す場合には用いられない。
 車で子供を塾に移す
 車で子供を塾に送る
類義語・反義語
類義語動かす、飛ばす
反義語戻す(部下を本社に戻す)


3.活動場所の変化他動詞中級★★
表記移す
人が、活動の場を別の場所に変える。
文型
<人>が<活動の場>を<場所>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
物語の舞台を京都に移す
信長は岐阜に9年間在城した後、安土城に居を移した
子供部屋を作るために、書斎が1階から2階に移された
子供が独立したら、住まいを関西に移そうと考えている。
病院から自宅や施設に療養の場を移したいと望む患者は少なくない。
成功したアーティストの多くが、日本から海外に拠点を移している
コロケーション
<活動の場>を
① 活動の場:場所、拠点、会場、舞台、首都、都
② 生活の場:居、住まい、住居、住所
③ 仕事の場:本社、工場
④ その他:神宮、玉座
<場所>に
現在地、地方、海外、国外、~階、自宅
<様態>
すぐ(に)、すでに、再び、いったん、ようやく、さっさと
解説
この意味の「うつす」は、対象の位置を変えるという点で語義1と類似している。ただし、語義1の対象が物理的物体であるのに対し、この意味の「うつす」の対象は、人が何らかの活動を行う空間であり、その空間を別の場所に変えること、つまり活動を別の場所で行うことを「うつす」を用いて表している。
誤用解説
ヲ格にくる要素は、単なる空間ではなく何らかの活動の場である。したがって、以下のように単に物理的空間を表すものについて用いることはできない。
 今日は教室を屋外に移して、身近な生き物について学びましょう。
 今日は屋外を教室に移して、身近な生き物について学びましょう。
「教室」は「教室を掃除する」のように<空間>を表す場合もあるが、上記の例では<活動の場(学ぶ場)>を表しており、この場合「教室を移す」のように表現することが可能である。一方上記の例の「屋外」は人の活動が特定されないため、「屋外を移す」のように言うことはできない。
類義語・反義語
類義語動かす(書斎を動かす)、変える(住まい[拠点]を変える)
反義語


4.病原菌の移動他動詞初級★★★
表記うつす   ※病原菌・病気の伝染を表すこの語義には平仮名表記を用いる。
生物が、生物に病気を伝染させる。
文型
<生物>が<生物>に<病気>をうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
うちの犬はドッグランでノミをうつされた
今年は大学入試があるので、風邪などをうつされないように気を付けましょう。
子供たちにインフルエンザをうつしたら大変だ。
家族に病気をうつさないよう細心の注意を払う。
病気の魚は隔離しないと、他の個体に病気をうつしてしまう可能性がある。
白い斑点がある葉っぱは、他の葉っぱに病気をうつさないよう取り除きましょう。
stairs子供達に絶対うつさないでよ!!
コロケーション
<病気>を
① 病原菌:菌、ウイルス、細菌
② 病気:風邪、病気、性病
<生物>に
子供、友達、魚、葉
<様態>
また、やっぱり、何度も
非共起例
<病気>を
 熱[鼻水]をうつす。
 風邪をうつす。
この意味の「うつす」の対象は、病原菌およびそれによって引き起こされる病気であり、それに伴う特定の諸症状は「うつす」の対象にならない。
解説
この意味の「うつす」は、対象の位置を変えるという点で語義1と類似しているが、語義1の対象が物理的物体であり、移動の到達点が物理的空間であるのに対して、語義4の対象は病原菌及びそれによって引き起こされる病気であり、移動の到達点は生物である。また、語義1では、Aの範囲に位置していたものをBの範囲へと動かし、Aにはものが存在しなくなることを含意するが、語義4の「うつす」では、AさんがBさんに、病原菌あるいはそれによって引き起こされる病気を伝染させても、Aさんの体内に存在していた病原菌がなくなるわけではない(あるいはAさんがかかっている病気が治るわけではない)という点においても、両者は異なる。


5.物の一部の移動他動詞上級
表記移す
人が、ものの一部を別のものに備えさせる。
文型
<人>が<ものの一部>を<もの>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ろうそくの火を線香に移す
昆布じめは、昆布の旨味を魚に移す調理法です。
にんにくを焦がさないように熱して、油ににんにくの香りと風味をしっかり移します
天然皮革は、摩擦によって色を移してしまったり、色が落ちてしまったりすることがある。
衣服が汚れたら決してこすらず、軽く叩いて汚れを別の布に移すようにすると良い。
革のお手入れのコツは、水を固く絞った布で拭くときに、水分をなるべく革に移さないようにすることです。
stairs匂いを移されたんだ~!
コロケーション
<ものの一部>を
色、汚れ、香り、うま味、風味、匂い、染み
<もの>に
布、油、魚、野菜、タオル、肉
<様態>
しっかり、じっくり、手早く
解説
この意味の「うつす」は対象の位置を変えるという点で語義1と類似している。ただし、語義1は物体(及び物体として捉えられる情報)そのものを移動させるのに対して、この意味の「うつす」は、ものの色、香り、味など、そのものに備わるものを別のものにも備えさせることを表す。このとき、あるものAと別のものBを接触させることによって、Aに含まれているもの(色や香りなど)が、Bにも認められるようになることを表すため、Aからその色や香りが完全になくなるわけではない。一方語義1では、Aの範囲に位置していたものがBの範囲へと場所を変え、Aにはものが存在しなくなることを含意するため、この点においても語義1とは異なる。
誤用解説
この意味の「うつす」は接触によりあるものを別のものに備えさせるという点で、付着の意味を表す「つける」と類似している。しかし、「うつす」はあるものから別のものへの移動を表すため、到達点とともに移動物の元の位置が想定される必要があり、単に付着を表す場合には用いられない。
 布に染みを付けてしまった。
 布に染みを移してしまった。
 カーペットの染みを叩いて別の布に移す
類義語・反義語
類義語つける(匂い[色、味、染み]をつける)
反義語抜く


6.権限の移動他動詞中級★★
表記移す
人が、権限を別の人・ものに動かす。
文型
<人>が<権限>を<人・もの>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
本社機能を都内から周辺の県に移す
震災後は、営業所の業務が全て本社に移された
家の名義を夫から私に移すことにした。
社長はすべての権限をご子息に移されて、引退されるらしい。
最近は出版の利益を出版社から著作者に移そうとする動きがある。
国は特定の事業の一部をすでに民間に移している
コロケーション
<権限>を
① 権限:権限、所有権、名義、親権、権利
② 権限の及ぶ範囲:機能、業務、役割、仕事、財源
<人・もの>に
① 人:債権者、被扶養者、後継者、登録者、管理者
② 組織:本社、支社、民間
③ 地域:東京、大阪、地方、海外
<様態>
徐々に、少しずつ、一気に、わざわざ
非共起例
<権限>を
 アルバイトの採用を支店に移す。
 採用業務を支店に移す。
この意味の「うつす」では、特定の業務内容を表す表現を対象とすることはできない。
解説
この意味の「うつす」は、対象の位置を変えるという点で語義1と類似している。ただし、語義1の対象が物理的物体であり、移動の到達点が物理的空間であるのに対して、語義5の対象は権限や、それが及ぶ範囲である機能・業務などの抽象的存在である。
類義語・反義語
類義語動かす
反義語戻す


7.局面の変化他動詞中級★★
表記移す
人が、物事を別の段階に進める。
文型
<人>が<こと>を<こと>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
学んだことをすぐに実践に移す
今年ようやく保険制度の改正が実施に移されました
思ったことを行動に移す勇気が欲しい。
社会人には、鋭い思考力とアイデアを実現に移す行動力が求められる。
「なぜ転職しようと思ったんですか?」「人の役に立ちたいという思いを行動に移そうと思ったんです」
「あの人は、なぜ会社で評価されているの?」「具体的な企画を何度も実行に移しているんだよ」
コロケーション
<こと>を
計画、考え、戦略、策、思い、手段、政策、作戦、プラン、予定、案、アイデア、理論
<こと>に
実行、実施、実践、行動、実験
<様態>
すぐ(に)、すでに、早速、まず、直ちに、なかなか~ない
解説
この意味の「うつす」は、対象の位置を変えるという点で語義1と類似している。ただし、語義1の対象が物理的物体であり、移動の到達点が物理的空間であるのに対して、語義7の対象は「計画」などの<こと>であり、その局面を変化させる(段階を進める)ことを表す点で異なる。
誤用解説
この意味の「うつす」は、語義1の「別の場所にものを移動する」という特徴を引き継いでおり、明らかに物事の局面が変わると捉えられる場合に用いられる。
 習ったことを実践に移そう。
 習ったことを練習[実習、訓練]に移そう。
したがって、習ったことを実践したり、考えたことを実行したりする場合には、局面の変化として「うつす」を問題なく用いることができるが、上記の例のように、練習や訓練とともに用いるのは不自然である。これは、練習や訓練を、明らかな局面の変化と捉えるのが難しいためと考えられる。


8.重心の移動他動詞中級★★
表記移す
人・動物が、重心を別の場所に変える。
文型
<人・動物>が<重心>を<場所>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
身体の重心を少し後ろに移し、壁にもたれて休む。
足の重心が外側になるとO脚になるが、重心が内側に移されれば、O脚は改善される。
左右に体重を移しながら斜面を滑る。
かかとからつま先にしっかり重心を移して踏み込む。
「バク転のコツを教えてください」「空気椅子の状態から重心を後方に移して、腕の振りで後方に跳ぶことです」
リンクでは体重をカーブの内側に移して内側の足がアウトエッジを踏む状態になると、うまく滑れる。
コロケーション
<重心>を
体重、重心
<場所>に
① 方向:右、左、前、後ろ、左右
② 部分:右足、左足、かかと
<様態>
少し、徐々に、一気に、そのまま、ゆっくり、しっかり
非共起例
<重心>を
 片足に重量を移す。
 片足に体重を移す。
人・動物の重さについては、「体重」のほか「重量」、「質量」なども用いられるが、「うつす」は「体重」にしか用いることができない。これは「体重」が体の全体的な重さの意味を表すほか、全体の重さの一部を表すことも可能であるため、「重心」と同様全体の一部分として、その全体における位置を変化させることが可能なためである。
解説
この意味の「うつす」は、対象の位置を変えるという点で語義1と類似している。ただし、語義1は物理的移動であるのに対して、語義4の対象は重心であり、物理的物体の空間移動とは異なり、一人の人間あるいは一匹の動物において、その全体の釣り合いを取る(支える)点である<重心>の位置が変化することを表す。


9.注意の変化他動詞中級★★
表記移す
人が、注意を別の対象に動かす。
文型
<人>が<注意>を<人・もの・こと>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
雇用から教育に政策の重点が移された
終わった試験のことはとりあえず忘れて、次の試験に意識を移そう
「彼の仕事の愚痴はもう聞きたくない」「彼が仕事の話を始めたら、趣味の話に話題を移したら?」
「田中はどうして落ち込んでいるの?」「彼女が別の相手に心を移してしまったらしいよ」
最近のマスコミは紙面からネットに比重を移しつつある。
彼の専門は油絵だったが、最近は写真に関心を移している
コロケーション
<注意>を
話題、重点、関心、心、興味、目、比重、焦点、重点、意識
<人>に
他の人、別の相手
<もの>に
新しいもの、テーマ、業種、環境問題
<こと>に
他のこと、違うこと、次の計画、仕事
<様態>
すぐに、すでに、徐々に、いつの間にか、ようやく
非共起例
<注意>を
 彼は油絵から写真に好奇心を移した。
 彼は油絵から写真に関心を移した。
「興味」や「関心」は特定の対象に対して持つものである一方で、「好奇心」は<物事を探求しようとする心>であり、特定の対象に対して持つものではないので、「うつす」ことはできない。
<注意>を
 彼は他の人に気分を移した。
 彼は他の人に気持ちを移した。
「気持ち」は、喜怒哀楽などの精神状態の意味のほか、「彼は彼女に気持ちがある」のように、興味・関心に近い意味を持つ一方で、「気分」にはその意味はなく、「うつす」の対象にはならない。
解説
この意味の「うつす」は、人が注意・関心をあるものから別のものに動かすことを表し、人・動物が重心の位置を変えることを表す語義8と類似している。語義8における重心は、物体の各部に働く重力が合わさった時にそれが作用する点であり、したがって全体の釣り合いを取る点である。この意味で、「重心」は物体の均衡を保つ重要な存在とみなされ、比喩的に、<物事の中心>を表すことができる。一方、語義9の<注意>を表す「注意」、「関心」、「興味」というのは、<人の意識の中心>であり、この点で、語義8と語義9は類似している。実際、以下のように「重心」を比喩的に用いて語義9の注意・関心の変化に関する意味を表すこともある。なお、「軸足を移す」という表現も、注意の対象を変えるという語義9の意味で用いられる。この「軸足」も、身体(体重)を支える足の意味から、<思考・行動における重点>の意味に派生している。
 施設福祉から地域生活支援に重心[軸足]を移していく。
類義語・反義語
類義語変える(話題を変える)、動かす(心を動かす)
反義語


10.撮影他動詞初級★★★
表記写す
人が、人・もの・ことを撮影する。
文型
<人>が<人・もの・こと>をうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
スイングフォームをビデオで写して改善に役立てる。
「これは田中さんが写された写真ですか?」「いいえ、私の娘が写したものです」
カメラを片手に歩いていたら美しい庭園があったので、許可を取って写させてもらった。
CTはレントゲンよりも鮮明に肺の状態を写すことができる。
今回の展覧会には、動物を写している作品の応募が多かった。
その写真には、全員の表情がよく写されていた
コロケーション
<人>を
① 人:人、子供、娘、孫
② 人の姿:顔、身体、全身、表情
<もの>を
① 自然:風景、花
② 人工物:車、建物、校舎、ビル、文字
③ その他:影、背景、模様
<こと>を
生活、生態、時代、実態
<機器>で
カメラ、デジカメ、携帯、ビデオ
<様態>
うまく、よく、きれいに、はっきり
解説
この意味の「うつす」は、対象をカメラなどで撮影することを表し、あるものを別のものに出現させるという点で、あるものを別の位置に移動させることを表す語義1と類似している。ただし、実際に対象の存在する位置を変化させ、元の位置から対象を消すのではないという点で、語義1の移動の意味とは異なる。この意味の「うつす」は実際の移動を表しているのではなく、対象を移動させたかのように、ある位置に存在する対象の姿を別の位置(カメラなどの機器)にも現すことを意味している。なお、<人>と<もの>だけでなく、それらの様子から見て取れる状況などの<こと>も対象となる。
誤用解説
この意味の「うつす」は対象の姿を別の位置にも現すことを意味するため、基本的には形のあるものが対象となる。
 携帯で風景を写す。
 携帯で情緒を写す。
 携帯で情緒のある風景を写す。
ただし、以下の「気持ち」や「内面」などの抽象的存在が対象となることもある。
 現地では、被災者たちの気持ちを写したい。
 作られた笑顔ではなく、モデルの内面を写したい。
この場合、実際に「気持ち」や「内面」というものの姿をカメラなどに現すのではなく、その精神状態を表す表情、姿勢、行動、態度などをカメラなどに現すことになる。
類義語・反義語
類義語撮る、撮影する、収める(笑顔をカメラに収める)
反義語


11.複写・模写他動詞初級★★★
表記写す
人が、ものを複製する。
文型
<人>が<もの>を<もの>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
横に置いた手本を正確に写す
「昨日の数学のノート、写させて」「いいよ」
「どうしたら絵がうまくなるかな?」「好きな漫画家の絵を丁寧に写すことから始めてみたら」
友達に、東京タワーを1/500サイズで忠実に写した模型を見せてもらった。
その部屋には、王の生前の姿を写した彫像が置かれている。
生徒たちは、真剣に板書をノートに写している
stairs字はきれいに写せなかった~
コロケーション
<もの>を
① 記号:文字、文章、図、番号、絵
② 記号が書かれたもの:板書、黒板、レポート、ノート、原稿、楽譜
③ 記号が表す内容:手本、内容、答え、試験問題
<もの>に
紙、ノート、メモ帳、用紙
<様態>
そっくり、そのまま、ありのまま、丸ごと、何もかも、部分的に、正確に
解説
この意味の「うつす」は、ある位置に存在する対象の姿を別の位置にも現すという点で、撮影を表す語義10と類似している。ただし、語義10では、対象が(静止画または動画として)カメラなどの機器を用いて複製されるのに対し、語義11は人の手による複製である。
誤用解説
語義10と同様この意味の「うつす」も、語義1の位置の変化とは異なり、まるで対象を移動させたかのようにある位置に存在する対象の姿を別の位置にも現すことを意味するため、元の位置にある対象もそのまま存在する。
 重要なデータを別のフォルダに移しておく。(語義1、データの位置が変化し、元のフォルダには存在しなくなる。)
 重要なデータを別のフォルダに写しておく。(語義11、元のフォルダにも同じデータが存在する。)
類義語・反義語
類義語複写する、転写する、模写する、複製する
反義語


12.描写他動詞上級
表記写す
人が、もの・ことを表現する。
文型
<人>が<もの・こと>を<もの>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
物語を読んで頭に浮かんでくる絵を、そのまま紙に写した
現代日本語では、鶏の鳴き声を写す言葉は「コケコッコー」である。
式典の様子を写した記事は明日には出るだろう。
その手記には、昔の東京の風景が写されている
ラフスケッチを経て、そのイメージを紙の上に丁寧に写していく。
ここには、当時のさまざまな事象を克明に写した文書がかなりの数残されている。
コロケーション
<もの>を
絵、イメージ、鳴き声
<こと>を
様子、風景、情景
<もの>に
紙、言葉
<様態>
詳細に、そのまま、丁寧に、克明に
非共起例
<もの>に
 田園風景の素晴らしさを写した音楽[踊り]
 田園風景の素晴らしさを写した記事
文字や絵など、表記で表すもののみに用いられるため、「音楽」や「踊り」には用いられない。
解説
この「うつす」は、ものを別のものに現すという点で、物を複製することを表す語義11と類似している。ただし語義11とは異なり、ものを同じ形式で(文字であれば文字で、絵であれば絵で、立体であれば立体で)別の位置に現すのではなく、インプットされた情報とは別の形で(例えば、イメージを文章で、音を言葉で)アウトプットする場合に用いる。
類義語・反義語
類義語表す、表現する、描く、描写する
反義語


13.映写・放映(人が主体)他動詞初級★★★
表記映す
人が、人・もの・ことを画面に現す。
文型
<人>が<人・もの・こと>を<画面>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
パソコンをプロジェクターに接続し、資料を大きなスクリーンに映す
様々な波形のグラフがモニターに映された
川の大氾濫で家が流されていく光景がテレビで映され、ショックを受けた。
検察官は、モニターにスライドを映しながら冒頭陳述を行った。
設計図をディスプレーに映そう
この番組では、自分たちの生活をそのまま映しています
コロケーション
<人>を
① 人:人、女性、男、人物
② 人の姿:姿、顔、全身、笑顔、表情
<もの>を
① もの:空、海、月、風景、景色、山
② 映像:映像、画像、映画、スライド、ビデオ、番組、~チャンネル
<こと>を
時代、様子、風景、状況、景色、光景、表情、事実
<画面>に
スクリーン、画面、テレビ、モニター、プロジェクター、壁
<様態>
同時に、きれいに、鮮明に、そのまま、ずっと、しばらく
解説
この意味の「うつす」は、ある位置に存在する対象を別の位置にも現すという点で、撮影を表す語義10と類似している。ただし、語義10では、その場に存在するものやその場の状況をカメラによって(静止画または動画で)映像として現すことを意味する一方、語義13の「うつす」は、その場ではなく、それ以前に撮影または作成・加工した映像を画面上に出現させることを表しており、この点で異なる。
誤用解説
この意味の「うつす」は(静止画か動画かは問わないが)映像として情報を表示する場合に限られ、紙面上で情報を表示する場合には「映す」を用いることはできない。
 屋外に立てられた掲示板に今後のスケジュールを映す
 屋外に立てられた掲示板に今後のスケジュールを表示する
 電光掲示板に今後のスケジュールを映す
類義語・反義語
類義語出す(画像を画面に出す)、投影する、放映する、放送する
反義語


14.映写・放映(画面が主体)他動詞中級★★
表記映す
画面が、人・もの・ことを現す。
文型
<画面>が<人・もの・こと>をうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あの映画は暴力的なシーンばかりを映して問題になった。
バックヤードには試合状況を映すモニターが2台あり、トレーナーたちはそれを見ていた。
テレビは、番組を映すだけでなくゲームをプレイするのにも使われる。
店頭に並んだ複数のテレビが同じチャンネルを映している
この映画は、日本の今を映している
目の前のディスプレーが出発時刻を映していた
コロケーション
<画面>が
スクリーン、画面、テレビ、モニター、プロジェクター、壁
<人>を
① 人:人、女性、男、人物
② 人の姿:姿、顔、表情
<もの>を
① もの:風景、景色
② 映像:映像、画像、映画、スライド、番組
<こと>を
時代、様子、風景、状況、景色、光景、表情、事実
<様態>
アップで、そのまま、大きく、ずっと、延々
解説
この意味の「うつす」は語義13と関連している。語義13は、人が何らかの映像を画面に現すことを意味しており、主体は<人>である。一方、語義14の「うつす」では、語義13ではニ格で示されていた「ディスプレー」などの画面が主体となっており、この点において語義13と関連している。
誤用解説
この意味の「うつす」は語義13と同様、(静止画か動画かは問わないが)映像として情報を表示する場合に限られ、紙面上で情報を表示する場合には「映す」を用いることはできない。
 屋外に立てられた掲示板が今後のスケジュールを映している
 屋外に立てられた掲示板が今後のスケジュールを表示している
 電光掲示板が今後のスケジュールを映している
類義語・反義語
類義語流す(映画[町の様子]を流す)、放映する、放送する
反義語


15.反射(主体は人・物)他動詞初級★★★
表記映す
人・ものが、その姿を別のものに現す。
文型
<人・もの>が<自身>を<もの>にうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
お店のショーウィンドウに映された自分の姿を見て驚いた。
出かける前には必ず、全身を鏡に映してチェックしている。
鏡の位置が高かったので、何とか顔を映そうと背伸びをした。
天気が良ければ富士山がその雄姿を湖面に映すらしいが、今日は何も見えない。
「当ホテルの露天風呂では、木々を湯に映しながらゆったりと過ごしていただけます」「素敵ですね」
その庭園では、岸辺の木や花が湖面に影を映しています
コロケーション
<自身>を
顔、姿、全身、身体、上半身、影、表情
<もの>に
① ガラス:鏡、ガラス、窓
② 水:水面、水、池、井戸、小川
③ 目:瞳、目、眼
<様態>
はっきり、ぼんやり、くっきり
解説
この「うつす」は、あるものを別のものに出現させるという点で、撮影を表す語義10と類似している。ただし対象を別のものに出現させるプロセスが、語義10は撮影によるのに対し、語義16は反射によるという点で異なる。
誤用解説
意思形は人が主体であるときのみ可能である。
 娘は水面に顔を映そうとしていた。
 富士山は水面に姿を映そうとしていた。


16.反射(主体は鏡など)他動詞中級★★
表記映す
ものが、人・ものの姿を現す。
文型
<もの>が<人・もの>をうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ライトアップされた桜が水面に映されて、とてもきれいだった。
5月になると、一面に広がる水を張った田んぼが青空を映した
この公園は、湖が美しい紅葉を映すことで有名だ。
池が木々の葉影を色濃く映している
彼の瞳が私を映している
ピカピカに磨かれた窓ガラスが、空を映している
コロケーション
<もの>が
① ガラス:鏡、ガラス、窓
② 水:水面、水、池、井戸、小川
③ 目:瞳、目、眼
<人>を
顔、姿、全身、身体、上半身、影、表情
<もの>を
桜、紅葉、青空、夜空、空の色、雲、風景、山影、山々、月の光、明かり、夕日、星影
<様態>
はっきり、くっきり、色濃く、美しく、静かに
解説
この意味の「うつす」は語義15と関連している。語義15は、人やものが自身の姿を鏡などに現すことを意味し、主体は<人>である。一方この意味の「うつす」では、語義15において二格で示されていた、人や物の姿を反射して表す「鏡」などが主体となっており、この点において語義15と関連している。
誤用解説
この意味の「うつす」は、主体に「水面」や「池」などの<水>を表す語を取るとき、鏡と同様にものの姿を反射して表すため、「なぎ」の状態でなければならない。したがって以下のように、降ってくる雨を受けて水面が波打っている状態で、雨の姿を表すことは難しい。
 水面が青空を映している。
 水面がを映している。


17.反映他動詞上級
表記映す
ものが、物事の影響を現す。
文型
<もの>が<もの・こと>をうつす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
医療制度は、国の姿を映すものだ。
流行語大賞では、今年の世相を映した言葉が選ばれる。
肌は体の健康状態を映すことで知られている。
「川越ってどんなところ?」「古都の面影を映す街として人気だよ」
学校教育は、まさに今の社会を映している
その旅館内に活けられた花は、南信州の自然の趣が映されている
stairs子供は親を映すっていうからねえ……。
コロケーション
<もの>が
相手、制度、言葉、教育
<もの>を
自分、心、自己、姿
<こと>を
時代、社会、真実、世相、人生、現実、歴史、内面、面影、影響
<様態>
そのまま、確かに、くっきり、色濃く
解説
この意味の「うつす」は、まるで鏡のように、あるものが別のものの特徴を現すことを意味し、鏡がものの姿を現す語義16と類似している。なお、実際に「~を映す鏡」の形で<影響を見て取れるもの>を表すことがある。
 ファッションは時代を映すものだ。
 ファッションは時代を映すだ。
誤用解説
あるものに、別のものの影響がすでに見て取れる場合には「映す」を用いることができるが、これから先影響を与えるという意味では「映す」を用いることができない。
 これまでの政策は現場の意見を映している
 現場の意見を今後の政策に映す
 現場の意見を今後の政策に反映させる
類義語・反義語
類義語反映する、表す
反義語


移す・写す・映すの全体解説 各語義の解説をご覧ください。
























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<もの>を
昔のパソコンから新しいパソコンにデータを移すとき、どのようにしていますか?
(川原白水著 『だんぜんオトク!中古パソコン購入ガイド』, 2002, 548)
<場所>に
ボウルのに肉を移し、市販のキムチから漬け汁を軽く絞って振りかけ、肉にまぶしておきます。
(森義文著;飯田勇雄撮影 『ごちそうものがたり』, 2002, 596)
<様態>
銅なべは、使ったらすぐにほかの器に移して、入れっ放しにしないことです。
(西川勢津子著 『私の嫁いびり』, 1982, 590)
<人>を
なるべく早く自分の名義でアパートを借り、そこに鉄男を移すつもりだ。
(花村萬月著 『風転』, 2003, 913)
<場所>に
その時は不思議に思うこともなくまた眠りについたんですが、朝起きていくら考えても自分が子供を私のベッドに移した記憶がないんです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
<様態>
死亡の知らせを受けて、すぐさま病院から自宅に移された氏を訪ねました。
(大下大圓著 『癒し癒されるスピリチュアルケア』, 2005, 490)
<活動の場>を
「父は、日本にビジネスの拠点を移すことを本気で考えています。
(谷恒生著 『警視庁歌舞伎町分室』, 1998, 913)
<場所>に
デリーの人口が増えすぎた為、ニューデリーに首都を移したと、昔学校で聞いたような気がします。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 政治、社会問題)
<様態>
歓送会はそのまま「お寺」に舞台を移し、翌日は出発というのに深夜まで続けられた。
(沢木耕太郎著 『有名であれ無名であれ』, 2002, 281)
<病気>を
屋外に出ることで、交通事故に遭ったり、病気をうつされたりする危険性が高まります。
(広報いず, 2008, 静岡県)
その豚から人間がインフルエンザウイルスをうつされたのが、先述の一九七六年のアメリカのウイスコンシン州の養豚場のケースである。
(櫻井よしこ著 『世の中意外に科学的』, 2005, 404)
<生物>に
予防接種で来院した子どもに一般診療で来た子どもの病気をうつさないために,小児科医はどんな工夫をしているだろう。
(日本外来小児科学会編 『小児プライマリ・ケア虎の巻』, 2001, 493)
ペストにかかったネズミの血を吸ったノミが、人間にペスト菌をうつすのだ。
(横溝正史著 『怪獣男爵』, 1995, 913)
<様態>
この町だけでなく、治す手立てのない病気になった者は、何も悪いことをしないのに、知らないうちに病気をうつされて、まるで罪人のように、一生十字架を背負い苦しむ人は多かった。
(森照子著 『山襞に人ありて』, 2003, 913)
<ものの一部>を
スパに迎え入れられると、まずレモングラスの香りを移したおしぼりが渡されます。
(家庭画報, 2001, 一般)
<もの>に
下にタオルなどを敷き、上からたたいて汚れをタオルに移すようにします。
(沖幸子監修 『家事のアイデア事典』, 1998, 590)
<権限>を
江戸城本丸は1863年の火災で焼失したまま再建されず、西の丸に機能を移したまま明治維新を迎えた。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 芸術、文学、歴史)
<人・もの>に
「次郎さん、貴方に所有権を移したい所だが今までの話を総合してみると貴方の裏についているグループの処遇はどうするのですか」
(太田利政著 『幕府の埋蔵金』, 2003, 210)
<こと>を
理論を実践に移すには、具体的な方策が必要だと思うのです。
(国会会議録, 2000, 常任委員会)
<こと>に
これを実際の生産に移すに当たって必要な最初の仕事は,所定の製品の構成部品と素材の種類・数量を求めることである。
(人見勝人著 『入門編生産システム工学』, 2005, 509)
私たちは,気持ちは十分もっていても実際には行動に移さないこともかなりある。
(齊藤勇編 『図説心理学入門』, 2005, 140)
<様態>
数分後、部屋に戻ったルークは、その言葉をすぐさま実行に移した。
(エマ・ダーシー,サンドラ・フィールド,スーザン・ネーピア著;上村悦子他訳 『ロマンスへの誘い』, 2004, 933)
<重心>を
嚙み煙草をしがんだり、そわそわと左右の足に体重を移したり、乾いた唇をさすったりと、人間が落ちつかないときに示すしぐさのありったけを示している。
(スティーブン・ハンター著;公手成幸訳 『最も危険な場所』, 2002, 933)
<場所>に
6.左足を後ろに一歩下げて、重心を後ろに移し、左足は右足の位置まで戻す。
(梁薇著 『太極拳への誘い』, 2004, 789)
<様態>
4.重心を左に少し移し、身体を左に流す。
(梁薇著 『太極拳への誘い』, 2004, 789)
<注意>を
父がよく言うのだが、気になることがあるとき、不安なときは、何かほかに集中できることを見つけて、そちらに意識を移せばいいのだそうだ。
(リアン・ホリデー・ウィリー著;ニキ・リンコ訳 『アスペルガー的人生』, 2002, 936)
<人>に
加代は女の勘で、浦山がべつのに、心を移したことを悟った。
(草川隆著 『二階建<ひかり>号の殺人』, 1990, 913)
<もの>に
でも幸い、その場限りのセンセーショナルな騒ぎを追うことに熱心なマスコミは、いまでは他のことに興味を移してしまっている。
(尾崎健一著 『天国の豊よ、思い出ありがとう』, 1994, 767)
<こと>に
カラーテレビの国内生産も20型以上の大型テレビや液晶テレビなどの生産に重点を移すなど付加価値の高い商品の生産が行われるようになっている。
(労働白書, 1994, )
<様態>
矢沢頼綱は、意外なほどに呆気もない態度でこたえ、すぐに話題を他へ移してしまった。
(池波正太郎著 『真田太平記』, 1984, 913)
<人>を
ペットの撮影は、人間の子供を写す場合とよく似ています。
(森村進著 『女性のためのオートカメラ自由自在』, 1989, 743)
<もの>を
山際の田畑に囲まれた道路に沿って、程よい間隔を置いて建つ合掌集落の風景を写したモノクロ写真だった。
(秋野沙夜子著 『熟年夫婦の味わい』, 2004, 049)
<こと>を
また,人間生活を写した写真からは,その土地の人々のくらしぶりや食べ物,服装,またはだや髪の毛の色など,さまざまな情報を読みとることができる。
(高等学校 新地理A 最新版, 2006, 高)
<機器>で
家庭用のビデオカメラで天体を写すこともずいぶん前から行なわれている.
(月刊天文ガイド, 2001, 自然科学)
<様態>
夜景モードは暗いところを明るく写すのが目的ではありません。
(園田誠著 『デジタルカメラ100の技』, 2001, 742)
<もの>を
黒板の文字をノートに写していると、先生が近づいてきた。
(松岡やよい著 『いってきます!』, 2002, 913)
<もの>に
それで一通り書き終えた後は母に頼んで、四百字詰め原稿用紙に写してもらいます。
(吉村隆樹著 『パソコンがかなえてくれた夢』, 2001, 289)
<様態>
まだ,書き終わっていない人は,黒板に書いてあるとおりにそっくりそのままノートに写しなさい。
(向山洋一,木村重夫編 『向山型授業のシステムづくりの法則』, 2001, 375)
<もの>を
作家の精神はありのままに事物を写そうとする白紙ではないのである。
( 『坂口安吾全集』, 1990, 918)
<こと>を
自分が画家だったら、この瞬間をキャンパスに写したくなり、周りのことなど気にせずに、絵筆をとったに違いない。
(藤田宜永著 『愛さずにはいられない』, 2003, 913)
もっとも、クレランドの描く娼婦たちは、当時の現実を写したものではないだろう。
(ジョン・クレランド著;中野好之訳 『ファニー・ヒル』, 1994, 933)
<もの>に
狐自体の鳴き声は同じであって、むしろ、これを聞いて文字に写す人間の耳の受けとり方の問題である。
(小林芳規著 『角筆のみちびく世界』, 1989, 210)
<様態>
たしかに、さまざまな人間の性格を如実にいきいきと写しだしたことで、バルザックはシェイクスピア的なものを感じさせる。
(阿部知二著 『世界文学の歴史』, 1989, 902)
<人>を
しかもあのトレードマークになっているサングラスをとって素顔を映させてほしいなんて誰も言い出せなかったのですが、黒澤さんは本当はとても優しい方でニコニコと僕の演出に従ってくださったのです。
(大林宣彦著 『さびしんぼう乾盃!』, 1992, 778)
しかし後続の注目選手を映す場合は、ハンディカメラを載せたバイクからの映像だ。
(荻原浩著 『なかよし小鳩組』, 2003, 913)
<もの>を
「OHPを使っていろいろなを映してみよう」
(小二教育技術, 2003, 教育)
ベンチの中での松井を一目見ようと、思ってみていたのですが、ベンチを映した映像にも、今日、やはり出番が無かったデーモンは映っていましたが、松井の姿はありませんでした。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
<こと>を
関東大震災の被害の様子をプロジェクターで映していく。
(TOSS中学,長野藤夫編著 『中学生に「国民国家」をこう教える』, 2004, 375)
<画面>に
スクリーンにビートルズの名曲「Hey Jude」の前半4行が映され、アンジェラ先生が日本語訳を解説。
(Yahoo!ブログ, 2008, 音楽)
<様態>
そしていつものように私にデジカメのプリントを頼み、私は文字の書き込み処理の為、パソコンの画面に大きく映して、気づきました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<画面>が
たとえば大相撲を中継するNHKテレビが、夏場所、新開発の超軽量カメラによる土俵真上からの画面を映し始めた。
(柳瀬尚紀著 『フィネガン辛航紀』, 1992, 933)
<人>を
テレビのニュースで、ときどき、勤め帰りの人たちの姿を街の光景として映したりしてますよね。
(大日向雅美著 『子育てがつらくなったとき読む本』, 2001, 599)
<もの>を
副モニターのいくつかが、テレビ・カメラと赤外線カメラの捉えた艦外の映像を映している。
(ジェイムズ・H.コッブ著;白幡憲之訳 『ステルス艦カニンガム出撃』, 1999, 933)
<こと>を
テレビのニュースは目の色を変えて、白人たちが逮捕されるところを映すでしょう。
(ロバート・デイリー著;中上守訳 『銃を持つ男』, 1992, 933)
<様態>
二人が食事するシーンでザリガニ料理が出てくるんですが、その食べ方をアップで5分間ぐらい延々と映していた!
(クロワッサン, 2004, 一般)
<自身>を
驚いた私は上半身を鏡に映して見てみた。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<もの>に
僕は念のために寝室に行って、クミコが洋服を着て映すための姿見に顔を映してみた。
(村上春樹著 『ねじまき鳥クロニクル』, 1994, 913)
<様態>
枝は、しずかな湖面へと高くのばされ、メア・デュアルドン湖の、かがみのような水面に、くっきりとかげを映していた。
(R.A.サルバトーレ著;風見潤訳 『アイスウィンド・サーガ』, 2004, 933)
<もの>が
氷が割れて青黒い水面が月を映す場所があった。
(田中芳樹著 『白い迷宮』, 2001, 913)
<人>を
隅のテレビが、電源の消えた画面にぼくらの姿を映している。
(角田光代著 『人生ベストテン』, 2005, 913)
<もの>を
天井は内殻の形状に沿って丸みを帯び、その下で赤色灯のを映す水面が揺らめいている。
(福井晴敏著 『終戦のローレライ』, 2002, 913)
<様態>
川はくっきりと空を映し、見たことのないような澄んだ青色を呈している。
(角田光代著 『対岸の彼女』, 2004, 913)
<もの>を
勉強とは、「自分を映す鏡」を持つことだ。
(中谷彰宏著 『オンリーワンになる勉強法』, 2003, 159)
<こと>を
自分の手にしている論理はいつも現実のリアリティを映さない。
(保坂和志著 『アウトブリード』, 2003, 914)
<様態>
若者はいつだってその時代を如実に映している。
(白岩玄著 『野ブタ。をプロデュース』, 2004, 913)






























子供達に絶対うつさないでよ!!
匂いを移されたんだ~!
字はきれいに写せなかった~
子供は親を映すっていうからねえ……。
時を移さず

意味
すぐに
用例
事件から時を移さずして、何人かの住人は引っ越していった。
コーパスからの用例
ボナパルトの直覚力は、時を移さずイタリア平原へ進軍して成果を増大することを望んだ。 (ポール・ジョンソン著;富山芳子訳 『ナポレオン』, 2003, 289)
複合動詞 V1

移し替える、写し出す、写し取る、映し出す
複合動詞 V2

書き写す
複合名詞

口移し、生き写し、大写し
移す・写す・映す(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形
ない形うつない
~なかったうつなかった
ます形うつし
~ませんうつしま
~ましたうつしした
~ませんでしたうつしまんでした
~ときすとき
ば形せば
意向形うつ
て形して
た形した
可能形うつ
受身形うつさ
使役形うつさ
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