移る・写る・映るのコアイメージ

1.ものの移動自動詞初級★★★
表記移る
ものが、別の場所に動く。
文型
<もの>が<場所>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
マジシャンが握った拳に息を吹きかけると、硬貨が右手から左手に移った
雨雲が東に移るにつれて、西は晴れてきた。
三種の神器は、後醍醐天皇から光明天皇のところに移ったと言われている。
ロケットで打ち上げられた人工衛星が静止軌道に移ったようだ。
パソコンの設定をいじったら、メールが特定のフォルダに自動的に移るようになった。
衛星は、月の北半球から南半球に移っているところだ。
コロケーション
<もの>が
① 物体:硬貨、雨雲
② お金:お金、預金
③ 情報:データ、ファイル、本籍
<場所>に
① 物体の到達点:右手、左手、東、南
② お金の到達点:銀行、口座、郵便局
③ 情報の到達点:フォルダ、パソコン、ファイル
<様態>
一気に、徐々に、自動的に、ゆっくり
解説
この意味の「うつる」は、物体がある空間から別の空間に移動することを表す。なお、対象となるのは物体であるが、必須項に示したように「ファイル」などの<情報>もその対象となる。<情報>は通常、他と区別される明確な境界を持った固体とは考えにくいが、ここでの<情報>は、パソコン上に保存され視覚的にその存在と移動を確認できる「データ」や「ファイル」などである。
誤用解説
この意味の「うつる」では起点と着点が意識されるため、それらが問題とされないような単なる移動については「うつる」ではなく「うごく」を用いるのが自然である。
 流れるプールでは水が絶えず移っている
 流れるプールでは水が絶えず動いている
類義語・反義語
類義語動く、移動する
反義語


2.人の移動自動詞初級★★★
表記移る
人が、別の場所に動く。
文型
<人>が<場所>にうつる、
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
市内の被災者はすべて仮設住宅に移った
今彼に会社を移られたら困る。
前の担当者が事務所を移ったので、新しい担当者が付いた。
「東京から大阪に移って何年目ですか?」「3年目です」
部屋を移られるときは、退去する部屋の補修費は入居者の方に負担していただきます。
長期入院患者のうち数名は、近隣の介護施設に移っている
コロケーション
<人>が
人、患者、私、先生、全員、家族、職員
<場所>に
会社、場所、病院、仮設住宅、大学、病棟、家、施設、部屋
<場所>を
会社、病院、職場、大学、席、家、部屋、店
<様態>
すぐ、すでに、徐々に、早速、これから、どんどん、直ちに、いったん、まず、さっさと、そろそろ
解説
この意味の「うつる」は、主体の位置が変わるという点で語義1と類似しているが、語義1の主体はものであり、語義2の主体は人であるという点で異なる。また、語義1のように主体が移動して単にその位置が変わるだけではなく、語義2はそれによって主体の活動(生活や仕事など)の場が変わることを含意している。
なお、この意味の「うつる」は、ヲ格を取って他動詞的に用いられることがあるが、典型的な他動詞とは異なる。典型的な他動詞のヲ格は、主体が意図的な行為を行い、その行為によって変化を引き起こす<対象>を表す。以下、「移る」と対応する他動詞の「移す」を見てみよう。
 田中さんは、部下を別の店舗に移した
この例では、主体である「田中さん」が「部下」に対して「移す」という行為を行い、それによって「部下」の状態が変化する。それに対して、語義2の「移る」はヲ格を取るが、このヲ格は<対象>ではなく移動の<起点>と捉えられ、カラ格に置き換えることが可能である。
 来年には今の職場を移りたい。
 来年には今の職場から移りたい。
また、典型的な他動詞の場合は直接受身にできるが、語義2の「移る」はできない。
 部下が移される。
 今の職場が移られる。
このような特徴は、この意味での「移る」だけでなく、移動を表す「(家を)出る」、「(家を)離れる」、「(森を)歩く」、「(森を)通る」、「(森を)抜ける」、「(職場を)動く」などの動詞にも共通する特徴であり、これらはヲ格を取るため自動詞用法とは言い難いが、一方で上述の「移す」のような典型的な他動詞とも異なる。
誤用解説
この意味の「うつる」は、主体が移動することを表すが、それによって活動(生活や仕事)の場が変化することを含意するため、単に人が移動することを表す場合には用いられない。
 週の半分は車で会社に移る
 週の半分は車で会社に行く
類義語・反義語
類義語動く
反義語戻る(本社に戻る)


3.局面の変化(人が主体)自動詞中級★★
表記移る
人が、別の段階に進む。
文型
<人>が<こと>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
話の途中で相手に別の作業に移られ、悲しい思いをした。
「それでは、次の工程に移りましょう」「はい」
二点目の質問に移ろうとしたら、司会者に止められた。
「それでは、本題に移らせていただきます」
ローンの審査を無事通過したので、ようやく契約手続きに移れる
「先に全体像をお話して、次に詳細説明に移ります
コロケーション
<こと>に
① 段階:段階、ステップ
② 行動:質問、作業、議論、手続き、説明、動作、仕事、攻撃
<様態>
すぐ、すでに、そのまま、早速、これから、直ちに、いったん、そろそろ、引き続き
解説
この意味の「うつる」は、主体が人であり、あるところから別のところに移動するという点で語義2と類似している。ただし語義2は、主体が移動することにより、主体が活動する物理的空間が変わることを表す一方で、この意味の「うつる」は、いまある段階から別の段階へと、主体が物事の段階を進めること、つまり抽象的空間移動と捉えられる<局面の変化>を表す点で異なる。
誤用解説
この意味の「うつる」は、語義2の「別の場所に主体が移動する」という特徴を引き継いでおり、明らかに物事の局面が今までとは異なる(「別の局面」と捉えられる)場合にのみ用いられる。
 次の作業に移りましょう。
 先ほどの作業に移りましょう。
 先ほどの作業に戻りましょう。
類義語・反義語
類義語進む
反義語戻る


4.局面の変化(ことが主体)自動詞上級
表記移る
物事が、別の段階に進む。
文型
<こと>が<こと>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
人は眠りにつくと、まずノンレム睡眠が現れ、さらに1、2時間ほどで睡眠状態がレム睡眠に移る
参加者同士の交流が活発になったところで、研修は次の段階に移った
2009年度より始まったプロジェクトが、いよいよ新しいフェーズに移りました
経済改革が次のステージに移ると、多くの企業が人員削減に乗り出すだろう。
従業員との話がこじれて、労働事件が労働審判や訴訟に移らないようにする。
付き合いが長くなり、二人の関係は緊張状態から安定状態に移っている
コロケーション
<こと>が
関係、議論、流れ、問題
<こと>に
段階、ステップ、状態、ステージ
<様態>
すぐ、すでに、そのまま、これから、直ちに、そろそろ、引き続き、いよいよ、ようやく
解説
この意味の「うつる」は、局面の変化を表すという点で語義3と類似している。ただし、語義3は、主体である<人>が、ある段階から別の段階へと(自らが属する)物事の局面を変化させることを表すのに対して、語義4の「うつる」は、主体である<物事>の属する局面が変化することを表すという点で異なる。
誤用解説
この意味の「うつる」は、語義3と同様、語義2の「別の場所」に主体が移動するという特徴を引き継いでおり、明らかに物事の局面が今までとは異なる(「別の局面」と捉えられる)場合にのみ用いられる。
 関係が新たな局面に移った。
 関係がもとの局面に移った。
 関係がもとの局面に戻った。
類義語・反義語
類義語進む
反義語戻る


5.時の変化自動詞上級
表記移る
時が進む。
文型
<時>がうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
時代が縄文から弥生へと移り、武力を備えた権力者が現れ始めた。
その和菓子店は開業から数十年経っているが、時代が移っても変わることなく地域住民に愛されている。
人々が考える美しさの基準は、時が移れば変わるものだ。
その祭りは、季節が春から夏に移る頃に行われます。
季節が移るごとにクラブの会員が増え、今年の春にはついに200名を超えた。
大正から昭和へと時代が移るなか、産業化が急速に進み、また洋風の生活スタイルが定着し始めた。
stairs時が移ると共に、スカートの長さも変わるんだね。
コロケーション
<時>が
時、季節、時代
<様態>
確実に、刻々と
解説
この意味の「うつる」は、何らかの局面が変化することを表す点で、語義4と類似している。ただし、語義4の主体が「計画」、「研修」、「関係」など、人間の活動や状態であるのに対して、この意味の「うつる」の主体はひとまとまりの時間を表す「時」、「時代」、「季節」であるという点で異なる。
誤用解説
この意味の「うつる」は、語義4と同様、ある局面として捉えられる(一定の範囲と境界を持つ)ひとまとまりの時間のみが主体となるため、「1時」や「5時半」など、時の一点を表す表現には用いられない。
 1時から2時に時が移る頃、電話がかかってきた。
 江戸から明治に時が移る頃、この通りが生まれました。
類義語・反義語
類義語進む(時が進む)、変わる(時代[季節]が変わる)
反義語


6.病原菌の移動自動詞初級★★★
表記うつる   ※病原菌・病気の伝染を表すこの語義には平仮名表記を用いる。
病原菌が、生物に伝染する。
文型
<病気>が<生物>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
動物から人間に病気がうつる経路のひとつが、排泄物である。
子供が虫歯になるのは、ミュータンスという虫歯菌が保護者からうつるためです。
インフルエンザがうつらないよう、ワクチンを打った。
「あの人、ずっと咳をしているね」「風邪がうつりそうで嫌だね」
葉が白い粉に覆われる「うどんこ病」は、放っておくと他の葉だけでなく茎や果実にもうつる可能性がある。
ヘルペスを触った手でそのまま他の部位を触ると、そこにヘルペスのウイルスがうつってしまうこともある。
コロケーション
<病気>
① 病原菌:菌、細菌、ウイルス、虫歯菌
② 病気:病気、病、風邪
<生物>に
子供、友達、魚、葉
<生物>から
子供、友達、魚、葉
<様態>
また、やっぱり、何度も、初めて
非共起例
<病気>が
 熱[鼻水]がうつる。
 風邪がうつる。
この意味の「うつる」の主体は、病原菌およびそれによって引き起こされる病気であり、それに伴う特定の諸症状は「うつる」の主体にならない。
解説
この意味の「うつる」は、主体が移動して位置が変わるという点で語義1と類似しているが、語義1の主体が物理的物体であるのに対し、語義4の主体は病原菌及びそれによって引き起こされる病気である。またこの意味の「うつる」における移動の到達点は生物(の体内)であり、この点においても、物理的空間を移動の到達点とする語義1とは異なる。また、語義1では、Aの範囲からBの範囲へと主体の場所が変わり、元の範囲Aにはものが存在しなくなることを含意するが、語義6の「うつる」では、AさんからBさんへ、病原菌あるいはそれによって引き起こされる病気が伝染しても、Aさんの体内に存在していた病原菌がなくなるわけではない(あるいはAさんがかかっている病気が治るわけではない)という点においても、両者は異なる。


7.行動・状態の伝染自動詞上級
表記うつる
人の行動・状態が、別の人に伝染する。
文型
<行動・状態>が<人>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
人のあくびがうつるのは、共感によるらしい。
「あの子が笑うと、ついつい私も笑っちゃう」「あの子の笑いって、うつるよね」
彼といるうちに、いつの間にか鹿児島弁のアクセントがうつったようだ。
毎日顔を合わせていると、いつの間にか相手のしぐさがうつってしまうことがある。
集団面接では周りの人の緊張がうつってしまって本来の力を発揮できなかった。
パートナーは散歩が好きで、いつのまにか私にもその習慣がうつっている
stairs言葉が移ってしもたわ~。
コロケーション
<行動>が
あくび、癖、笑い、習慣、緊張
<様態>
いつの間にか、すぐ、また
解説
この意味の「うつる」は、病気の伝染を表す語義6と類似している。語義6の病気の伝染においては、ある人から別の人に、人間には目視できない病原菌が移動し、移動の到達点である人の身体に何らかの特徴(病気の症状)が現れる。一方この意味の「うつる」では、到達点である人の身体に、他者と同様の特徴がみられるようになることを表し、これは病気の伝染と同じように、ある人から別の人に何らかの行動・状態が伝染したためと捉えられるからである。なお、語義6の「うつる」では、AさんからBさんへ、病原菌あるいはそれによって引き起こされる病気が伝染しても、Aさんの体内に存在していた病原菌がなくなるわけではない(あるいはAさんがかかっている病気が治るわけではない)と述べたが、この点は語義7においても同様で、Aさんに見られた何らかの行動・状態がBさんに見られるようになっても、Aさんからその行動・状態が見られなくなるわけではない。
誤用解説
この意味の「うつる」の主体は、病原菌などと同様、その到達点である人物に伝染することによって、その人物の身体や行動にコントロール不可能な何らかの特徴が現れるものに対して用いられる。
 隣の人の緊張がうつる。(動悸やどもりなど、コントロール不可能な症状や行動が現れる)
 隣の人の楽しさがうつる。(コントロール不可能な症状や行動が現れるとは考えられない)
なお、例に示した「習慣がうつる」の「習慣」は本来コントロール可能であり、自らの意思で行うものであるが、「習慣がうつる」の場合には、自らの意思によらず(無意識のうちに)特定の行為をするようになるということを含意する。
 パートナーは散歩が好きで、いつのまにか私にもその習慣がうつっている


8.重心の移動自動詞中級★★
表記移る
重心が、別の場所に変わる。
文型
<重心>が<場所>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
車は急ブレーキをかけると、荷重が一気にフロントに移る
高齢になると、前かがみになるため身体の重心が前方に移る
「足指をきちんと使わないと、身体の重心が踵側に移ります」「だから私の靴は踵ばかりすり減るんですね」
上り坂では車の重心が後ろに移り、主に後輪に車重がかかる。
ダウンスイング中に体重が左足に移ってしまい、うまくボールが飛ばなかった。
彼の今の立ち方は、重心がやや右に移っている状態です。
コロケーション
<重心>が
重心、体重、荷重
<場所>に
① 方向:右、左、前、後ろ
② 部分:右足、左足、かかと
<様態>
徐々に、一気に、ゆっくり
非共起例
<体重>が
 片足に重量が移る。
 片足に体重が移る。
人・動物の重さについては、「体重」のほか「重量」、「質量」なども用いられるが、「うつる」はこのうち「体重」にしか用いることができない。これは「体重」が体の全体的な重さの意味を表すほか、全体の重さの一部を表すことも可能であるため、「重心」と同様全体の一部分として捉えることができ、全体における位置の変化が可能と捉えられるためである。
解説
この意味の「うつる」は、主体の位置が変わるという点で語義1と類似している。ただし、語義1の主体は物理的物体であるのに対して、語義8の主体は重心であり、語義1の表す物理的物体の空間移動とは異なり、全体を支える(釣り合いを取る)点である<重心>の位置が変化することを表す。


9.注意の変化自動詞中級★★
表記移る
注意が、別の対象に動く。
文型
<注意>が<人・もの・こと>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
最近の不動産業界の動向を調べると、新築よりも既存の物件に目が移る
マスコミの焦点は、より大きなニュースへと移った
「遠距離中の彼と別れたんだってね」「会わないうちに、他の人に気が移ったの」
授業中はよく他のことに意識が移ってしまい、集中力がもたない。
子どもたちの関心がもう他に移っていたようで、プレゼントはあまり喜ばれなかった。
初任給で買ったカメラを大事にしていたが、より軽量で高機能な一眼レフに興味が移っていった。
コロケーション
<注意>が
重点、重心、焦点、比重、軸足、目、視点、視線、話題、話、興味、関心、気持ち、気、心、意識、注意
<人>に
他の人、別の相手
<もの>に
新しいもの、テーマ、業種、環境問題
<こと>に
他のこと、違うこと、次の計画、仕事
<様態>
すでに、徐々に、いつのまにか、もう、一瞬で
非共起例
<注意>が
 油絵から写真に彼の好奇心が移った。
 油絵から写真に彼の関心が移った。
「興味」や「関心」は特定の対象に対して持つものである一方で、「好奇心」は<物事を探求しようとする心>であり、特定の対象に対して持つものではないので、「うつる」ことはない。
<注意>が
 他の人に気分が移った。
 他の人に気持ちが移った。
「気持ち」は、喜怒哀楽などの精神状態の意味のほか、「彼は彼女に気持ちがある」のように、興味・関心に近い意味を持つ一方で、「気分」にはその意味はなく、「うつる」の主体にはならない。
解説
この意味の「うつる」は、人の注意・関心が、あるものから別のものに動くことを表し、人・動物の重心の位置が変わることを表す語義8と類似している。語義8における重心は、物体の各部に働く重力が合わさった時にそれが作用する点であり、したがって全体の釣り合いを取る点である。この意味で、「重心」は物体の均衡を保つ重要な存在とみなされ、比喩的に、<物事の中心>を表すことができる。一方、語義9の主体である「注意」、「関心」、「興味」などは、<人の意識の中心>であり、この点で、語義8と語義9は類似しているといえる。実際、以下のように「重心」や「軸足」を比喩的に用いて語義9の注意・関心の変化に関する意味を表すこともある。
 施設福祉から地域生活支援に重心[軸足]が移る。
類義語・反義語
類義語変わる(気持ち[話題]が変わる)、動く(心が動く)
反義語


10.ものの一部の移動自動詞上級
表記移る
ものの一部が、別のものに備わる。
文型
<ものの一部>が<もの>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
土鍋には吸水性があるので、食品の色や臭いが移る
「授乳中に薬を飲むと、母乳に薬の成分が移ってしまうのでしょうか」
油ににんにくの香りが移ったら、いったんにんにくを取り出します。
湿気のせいか、炭に火が移るまでかなり時間がかかった。
シャンパングラスの胴体の部分を持つと、シャンパンに手の熱が移り、シャンパンの味が落ちてしまう。
洗濯機の蓋を開けると、Tシャツの色が他の洗濯物に移っていた
コロケーション
<ものの一部>が
匂い、香り、色、火、成分、汚れ、熱、エネルギー、味
<もの>に
布、油、魚、野菜、革、タオル
<様態>
しっかり、少し、徐々に
解説
この意味の「うつる」は、主体の位置が変化するという点で語義1と類似している。ただし、語義1は物体(及び物体として捉えられる情報)そのものが移動するのに対して、この意味の「うつる」は、ものの色、香り、味など、あるものに備わるもの(一部)が別のものにも備わることを表す。このとき、あるものAと別のものBが接触することによって、Aに含まれているもの(色や香りなど)が、Bにも認められるようになることを表すため、Aからその色や香りが完全になくなるわけではない。一方語義1では、Aの範囲に位置していたものがBの範囲へと場所を変え、Aにはものが存在しなくなることを含意するため、この点でも語義1とは異なる。
誤用解説
この意味の「うつる」は、付着の意味を表す「つく」と類似しており、どちらの語も「色」、「香り」、「染み」、「火」など、同様の主体について用いることができるが、「うつる」の場合は、到達点とともに移動物の元の位置が想定される必要があり、単に付着を表す場合には用いられない。
 醤油が布に付いた
 醤油が布に移った
 トレーナーに付いた醤油が、布に付いた
 トレーナーに付いた醤油が、布に移った
類義語・反義語
類義語つく(匂い[色、味、染み、火]がつく)
反義語抜く


11.活動場所の変化自動詞中級★★
表記移る
活動の場が、別の場所に変わる。
文型
<活動の場>が<場所>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
物語の舞台が京都に移る
子供が生まれて、寝室が1階から2階に移った
子供たちの遊び場所が屋外から屋内に移ったのは、テレビやデジタルゲームの影響だけではありません。
近年、中国の人件費が上がっているため、インドなどに工場が移りつつある。
成功したアーティストの拠点が、次々に日本から海外に移っている
最近では多くの大学で、郊外のキャンパスが都心に移っている
コロケーション
<活動の場>が
① 活動の場:都、舞台、拠点、場、場所、首都、会場、本拠地
② 生活の場:家、住まい、住所、部屋
③ 仕事の場:職場、工場、事務所、企業、会社
④ 勉強の場:学校、大学
⑤ その他:施設、市場、神社、産地、戦場
<場所>に
現在地、地方、海外、国外、~階
<様態>
完全に、すぐ、すでに、ようやく、再び
非共起例
<活動の場>が
 今回のリフォームで、二階が別の場所に移った。
 今回のリフォームで、リビングが二階に移った。
この意味の「うつる」の主体は、単なる空間ではなく何らかの活動の場である。したがって、単に物理的空間を表すものについては、「うつる」を用いることができない。
解説
この意味の「うつる」は、主体の位置が変わるという点で語義1と類似しているが、語義1の主体が物理的物体であるのに対し、この意味の「うつる」の主体は、人が何らかの活動を行う空間であり、その空間が別の場所に変わることを「うつる」を用いて表している。
類義語・反義語
類義語動く(本社が動く)、変わる(住まい[拠点]が変わる)
反義語


12.権限の移動自動詞中級★★
表記移る
ある人・ものの権限が、別の人・ものに動く。
文型
<権限>が<人・もの>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
本社機能が都内から周辺の県に移る
震災後は、営業所の業務が全て本社に移った
車を購入すると、車の所有権が販売店などから購入者に移ります
「車両保険を使った場合、賠償請求権はどうなるの?」「保険会社に移ります
特定の事業が民間に移っている
家の名義は夫から私に移っている
stairsついにお金の管理の権限がお母さんに移ったね。
コロケーション
<権限>が
① 権限:権利、権限、債権、所有権、名義、親権、責任、権力、実権
② 権限の及ぶ範囲:機能、仕事、管理、生産、業務、役割、政権、管轄
<人・もの>に
① 人:債権者、被扶養者、後継者、登録者、管理者
② 組織:本社、支社、民間
③ 地域:東京、大阪、地方、海外
<様態>
徐々に、少しずつ、一気に、あっさり
非共起例
<権限>が
 アルバイトの採用が支店に移る。
 一部の業務が支店に移る。
この意味の「うつる」は、特定の業務内容を表す表現を主体にとることはできない。
解説
この意味の「うつる」は、主体の位置が変わるという点で語義1と類似している。ただし、語義1の主体が物理的物体であるのに対して、語義12の主体は権限や、それが及ぶ範囲としての機能・業務などの抽象的存在である。


13.撮影自動詞初級★★★
表記写る
人・もの・ことが、撮影される。
文型
<人・もの・こと>が<機器>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
CTはレントゲンよりも鮮明に肺の状態が写る
空にレンズを向けていたら、たまたま珍しい鳥が写った
うちの子は動きが早すぎてカメラに写らない
妊娠初期は、妊娠していてもエコーに写らないことがあります。
学校の全景は、カメラに写りきらない広さです。
「轢き逃げ犯の手掛かりはないのか?」「防犯カメラに怪しい車が写っていました
コロケーション
<人>が
① 人:人、自分、人物、女性、男性、子供
② 人の姿:顔、身体、全身、表情
<もの>が
① 自然:光、山、星、風景、雲、花
② 人工物:車、建物、校舎、ビル、文字
③ その他:影、背景、模様、色
<こと>が
様子、ところ、シーン、光景、場面、状態
<機器>に
カメラ、デジカメ、携帯、ビデオ
<様態>
綺麗に、はっきり、ちゃんと、鮮明に、しっかり、くっきり、ちょっと、白く、暗く、黒く、明るく、うまく、かわいく、美しく
解説
この意味の「うつる」は、主体がカメラなどによって撮影されて映像になることを表し、あるものが別の場所に出現するという点で、あるものが別の位置に移動することを表す語義1と類似している。ただし、実際に主体の存在する位置が変化し、主体が元の場所に存在しなくなるのではないという点で、語義1の移動の意味とは異なる。この意味の「うつる」は実際の移動を表しているのではなく、まるで主体が移動したかのように、ある場所に存在する主体の姿が別の場所にも現れることを意味している。また、この意味の主体は、<人>や<もの>だけでなく、そこから見て取れる状況などの<こと>も可能である。また、意思形は人が主体であるときのみ可能である。
誤用解説
この意味の「うつる」は主体がカメラなどに現れることを意味するため、基本的には形のあるものが対象となる。
 ビデオカメラに通りがはっきりと写っている。
 ビデオカメラに情緒がはっきりと写っている。
 ビデオカメラに情緒のある通りがはっきりと写っている。
ただし、以下の「気分」などの抽象的存在が主体となることもある。
 私の今の気分が写るように、リラックスして撮影会にのぞんだ。
この場合、実際に「気分」の姿形がカメラなどに現れるのではなく、その精神状態を表す表情、姿勢、行動、態度などがカメラなどに現れることになる。


14.紙面への出現自動詞初級★★★
表記写る
人・もの・ことが、紙面に現れる。
文型
<人・もの・こと>が<紙面>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
雑誌の表紙に小さく写った好きなタレントを見つけて、ついつい購入してしまった。
作者紹介のページに、作者の笑顔が写っている
キャンペーンのポスターには、田舎暮らしの様子が写っている
私は写真撮影の日に休んでいたので、アルバムには写っていない
その写真には謎の光が写っていた
「今日の診察で、お医者さんがエコー写真をくれたよ」「赤ちゃんの顔がこれだけはっきり写っているのはめずらしいね」
コロケーション
<人>が
① 人:人、自分、人物、女性、男性、子供
② 人の姿:顔、身体、全身、表情
<もの>が
① 自然:光、山、星、風景、雲、花
② 人工物:車、建物、校舎、ビル、文字
③ その他:影、魂、背景、模様、色
<こと>が
様子、ところ、シーン、光景、場面、状態
<紙面>に
写真、ポスター、エコー写真、アルバム、本、表紙、ページ、ジャケット、パンフレット
<様態>
綺麗に、はっきり、ちゃんと、鮮明に、しっかり、少し、ちょっと、たまたま、白く、小さく、大きく、良く、黒く、かわいく、美しく
解説
この意味の「うつる」は、主体が、画像として紙面に現れることを表しており、カメラによる撮影の意味を表す語義13と関連している。つまり、主体がカメラによって撮影され映像となった(語義13)結果、それが現像・印刷されて紙面に現れるということである。なお、語義13と同様、<人>や<もの>だけでなく、そこから見て取れる状況などの<こと>も主体となる。
なお、以下のように画像データを「写真」とし、そこに現れるものに対して「写る」を用いることも可能である。
 新しい携帯電話には、人の顔が写っている写真が自動で収集される機能がある。
この場合、厳密には主体の姿が<紙面>に現れるとは言えず、<画面>に現れることを意味する語義15の「映る」を用いることができそうであるが、「写真」には上記のように「写る」を用いる。過去には紙に現像・印刷されていた「写真」であるが、今日ではデジタル化され、紙の状態で印刷されることは少なくなっている。しかし、紙としての「写真」が主流であった名残から、「写真」に関してはデータ化された画像が何らかの画面(携帯電話やパソコン画面など)に現れる場合にも、語義13を表す際に用いる表記の「写る」を用いる。
誤用解説
この意味の「うつる」は主体が紙面に現れることを意味するため、基本的には形のあるものが主体となる。
 写真には風景が鮮明に写っている。
 写真には情緒が鮮明に写っている。
 写真には情緒のある風景が鮮明に写っている。
ただし、以下の「気持ち」などの抽象的存在が主体となることもある。
 この写真には、あの時の私の気持ちがはっきりと写っている。
この場合、実際に「気持ち」の姿形が写真に現れているのではなく、その精神状態を表す表情、姿勢、行動、態度などが現れていることになる。


15.画面への出現・放映自動詞初級★★★
表記映る
人・もの・ことが、画面に現れる。
文型
<人・もの・こと>が<画面>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「この前、テレビに映られましたよね?」「ええ、通勤中にインタビューを受けました」
負けた球児たちが涙を流しているところがテレビに映り、話題になった。
川の大氾濫で家が流されていく光景がテレビに映り、ショックを受けた。
医師はモニターに映るお腹の中を隅々まで観察します。
様々な波形のグラフが目の前のスクリーンに映っている
この番組では、現地の人の暮らしがそのまま映っています
コロケーション
<人>が
① 人:自分、人、私、女性、男、人物
② 人の姿:姿、顔、全身、笑顔、人影、表情
<もの>が
① もの:光、空、月、風景、景色、山、影、姿
② 映像:映像、画像、番組、~チャンネル
<こと>が
様子、シーン、光景、ところ、場面、世界、行動
<画面>に
テレビ、画面、スクリーン、モニター、ウィンドー、ディスプレー
<様態>
はっきり、きれいに、鮮明に、ちょっと、そのまま、ずっと、しばらく、一瞬
解説
この意味の「うつる」は、主体が映像として画面に現れることを表しており、この意味は語義14と同様に、カメラによる撮影の意味を表す語義13と関連している。つまり、主体が撮影される(ある場所に存在する主体とは別の場所に主体の姿が現れる)こと(語義13)と、その映像が、さらに別の画面に現れること(語義15)は、同時、あるいは連続して生じることである。
 今回の生中継では、定点カメラに写る通りの様子が、そのまま会場のモニターに映ることになっている。(撮影と放映が同時)
 人々に衝撃を与えた映像が、またテレビに映っている。(撮影と放映が同時ではない)
このように、語義13と語義15の関係が、同時、あるいは連続して生じるという点で、語義15は語義13から生じた意味であるといえる。
なお、この二つの意味は、上述のように<映像として(カメラなどの)機器に捉えられる>こととそれが<映像として(テレビなどの)画面に現れる>ことが同時に生じる場合もあることから、両者を含めた一つの事態を想定することもでき、区別するのが難しい場合もある。
 CTはレントゲンよりも鮮明に肺の状態がうつる
しかしながら前述の通り、必ずしも<撮影される>ことと<画面に現れる>ことが同時に起こるのではないため、ここでは両者を別の事態とし、語義13と語義15を区別している。またこの意味の違いは、「写る」と「映る」という表記の違いで示される。
 CTはレントゲンよりも鮮明に肺の状態が写る。(語義13、映像として機器に捉えられる)
 CTはレントゲンよりも鮮明に肺の状態が映る。(語義15、映像として画面に現れる)
なお、この意味においても語義13、14と同様、<人>や<もの>だけでなく、そこから見て取れる状況などの<こと>も主体となる。
また、意思形は人が主体であるときのみ可能である。
誤用解説
この意味の「うつる」は(静止画か動画かは問わないが)映像として情報が表示される場合に限られ、紙面に情報が表示される場合には用いることはできない。
 屋外に立てられた掲示板に今後のスケジュールが映る
 屋外に立てられた掲示板に今後のスケジュールが載る
 電光掲示板に今後のスケジュールが映る
類義語・反義語
類義語出る(テレビに出る)
反義語


16.反射自動詞初級★★★
表記映る
人・ものの姿が、別のものに現れる。
文型
<人・もの>が<もの>にうつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
車のバックミラーに知り合いの車が映った
お店のショーウィンドウに映った自分の姿を見て驚いた。
天気が良いと、湖面に富士山が映るらしいが、今日は何も見えない。
「昨日の花火大会はどうだった?」「海に映る花火が素晴らしかったよ」
自分の顔が窓ガラスにぼんやり映っている
もやが晴れた水面に、穂高の峰々が逆さに映っていた
コロケーション
<人>が
顔、姿、全身、身体、上半身、影、表情
<もの>が
紅葉、山、木々、月、空
<もの>に
① ガラス:鏡、ガラス、窓、バックミラー
② 水:水面、水、湖面、池
③ 目:瞳、目、眼
<様態>
はっきり、ぼんやり、くっきり、色濃く
解説
この意味の「うつる」は、あるものの姿が別のものに現れるという点で、撮影を表す語義13と類似している。ただし主体の姿が別のものに現れるプロセスが、語義13は撮影によるのに対し、語義16は反射によるという点で異なる。
誤用解説
意思形は人が主体であるときのみ可能である。
 相手に自分を認識してもらうために無理してカーブミラーに映ろうとして、気付いたら反対車線を走ってしまっていた。
 花火が水面に映ろうとしていた。


17.解釈自動詞上級
表記映る
人・もの・ことが、人に解釈される。
文型
<人・もの・こと>が<様態>うつる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「今回の事件、あなたの目にはどう映った?」「ひどいと思ったよ」
そのような地域で新しいサービスを提供すれば、利用者にとっては新鮮に映ります
誰でも、世間や他人の眼に自分がどう映るかを、多少なりとも気にしている。
叫びながら走り去る彼の姿は、私の目には異常な人物として映った
田中さんはシャイな部分を直したいと言うけれど、私には魅力として映っています
他の国の人には、日本社会は異様に映っているかもしれない。
stairsああ~、ひろみの目にはこんなふうに映ってるのね……。
コロケーション
<こと>が
出来事、事件、状況
<様態>
新鮮に、奇妙に、魅力的に、異様に
<人の目>に
目、眼、私、あなた、自分、他人
<もの>として
存在、魅力、人間、問題、欠点
解説
この意味の「うつる」は、主体の姿が反射によって別のものに現れることを表す語義16の「うつる」の中でも、「目に映る」という表現と関連している。文字通りの「目に映る」という表現は、「鏡に映る」などと同様、反射によって主体の姿が目に現れることを表しており、この、主体が人の目によって捉えられること(語義16)と、主体の姿を捉えた人によって何らかの解釈がなされること(語義17)は同時に生じる。したがって、この意味の「うつる」は語義16から生じた意味である。
誤用解説
語義16の「うつる」では、主体の姿が反射によって現れるものは「目」も「瞳」も可能であったが、語義17の<解釈>に関わる意味を表す「うつる」では、「目」のみが可能である。これは、「瞳」が目の中でも反射に関わるより具体的な機能を担う部位である一方で、「目」という語は、「瞳」と同様に物を反射によって視覚的に捉える部位を表すほか、「目が高い」(<鑑識力が高い>)や「目が肥える」(<鑑識力が豊かである>)など、単なる知覚ではなく解釈や判断などの認識を行う部位としても捉えられるためである。
 ある絵が私の目[瞳]に映った。(語義16)
 その絵は、私のには異様に映った。(語義17)
 その絵は、私のには異様に映った。(語義17)


移る・写る・映るの全体解説 各語義の解説をご覧ください。
























▶全例文を聞く
<もの>が
また、攻撃に出ているときに、相手側にボールが移ったらできるだけ早く自分の地域に戻り、守備を固める。
(長浜尚史監修 『スーパースターに学ぶサッカー』, 1999, 783)
<場所>に
味方にボールが移ったら、積極的に前に出て、攻撃にからんでいく。
(長浜尚史監修 『スーパースターに学ぶサッカー』, 1999, 783)
<様態>
徐々に痛みが、右下腹部に移ります。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット)
<人>が
わたしたちは彼らの家族がブエノスアイレスに移るまで、お互いの家のあいだを出たり入ったり、自由に行き来していた。
(横堀洋一編 『ゲバラ』, 2005, 289)
<場所>に
助け出したあのときの老女はその後大阪の病院に移り、ずいぶん元気になったそうだ。
(山村武彦著 『人は皆「自分だけは死なない」と思っている』, 2005, 369)
<場所>を
「こちらにを移っていいですか」
(阿刀田高著 『鈍色の歳時記』, 2002, 913)
<様態>
私は昭和十二年の生まれで、十五年に祖父が父のために宝塚に家を作ってくれたので、すぐにそちらへ移りました。
(森まゆみ文;太田順一写真 『森まゆみの大阪不案内』, 2003, 291)
<こと>に
そして、もしも潜水艦の音をキャッチできたら、その位置を特定する行動に移る。
(軍事ジャーナリスト会議編著 『<図説・検証>自衛隊のハイテク戦!』, 2001, 392)
<様態>
製造技術は,大量生産から次第に多品種少量の迅速な生産体制に移り始める。
(田村正紀著 『流通原理』, 2001, 675)
<こと>が
たとえば「遷移=がある状態から他の状態に移ること」なんてね、そんなの私の知ったことじゃないのです、ぜんぜん。
(村上春樹著 『村上春樹全作品1990~2000』, 2003, 918)
<こと>に
コンセプトができて,実際の設計段階に移るわけですが。
(月刊アスキー, 2004, 電気機/電子)
<時>が
しかし、時代が移り生活様式が昔とは全く変わってしまったとはいっても、犬の生態生理までは変えることはできません。
(愛犬の友, 2004, レジャー/趣味)
<様態>
ふたりはひとつの魂のかたまりのようになり、やがて刻が移るとどちらからともなく力を果たし身を横たえた。
(日本文芸家協会編 『代表作時代小説』, 1995, 913)
いつの間にか、秋あかねが群れ飛ぶ季節に移っていたが、季長は侍所への日参をやめなかった。
(長谷川彰著 『異聞北条時宗大船団襲来』, 2001, 913)
<病気>
風邪がうつるといけないから、家に来ないでそっとしといてほしい。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
姉のインフルエンザが次女にもうつり、こちらは、かろうじて終業式の日だけ出られたという状態だった。
(神庭靖子著 『今どきのママ&キッズ』, 2002, 493)
<生物>に
つまり両親とも虫歯菌がなければ子供にも虫歯菌が移らないために虫歯になりにくいと言うことです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット)
<生物>から
「医者が伝染病の患者から病気が移るからといって逃げられるか。
(森村誠一著 『魚葬』, 1996, 913)
<行動>が
ネムのお下品な言葉遣いがうつっちゃったヨ
(不破飛鳥著 『イノセント・クレセント・ムーン』, 2002, 913)
<様態>
テレビでやっていたのですが、無意識のうちに人のあくびがうつってしまう人は、“人の気持ちが理解出来る人”なんだって☆
(Yahoo!知恵袋, 2005, Yahoo!知恵袋)
<重心>が
全備重量は1kgほど重くなるがフロント側に程よく重心が移り、サブ・マシンガンとしてのバランスはこちらの方が良好であると思えた。
(ARMS MAGAZINE(アームズ・マガジン), 2003, レジャー/趣味)
<場所>に
足はハの字に開いているが、重心がつま先側に移っている。
(伊藤幸司著 『がんばらない山歩き』, 1998, 786)
<様態>
電車がカーブして、片側へドッと重心が移る瞬間に、体の向きをパッと変えるといった「名人芸」を体得するには、かなりの年月を要する。
(赤川次郎著 『三毛猫ホームズのクリスマス』, 1988, 913)
<注意>が
弟が生まれると親の注意が弟の方に移ってしまいます。
(加藤諦三著 『アメリカインディアンの教え』, 1990, 159)
<人>に
彼に対する愛情がなくなったわけじゃないのですが、に心が移っているのだったら、なんだか自分が馬鹿みたいで疲れちゃうな。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<もの>に
北斎という人の非常にダイナミックな作風を見て、風景画にだんだん関心が移っていた人たちは、そのつぎに、こんどは歌川広重という絵師の描く江戸情緒と出会いました。
(高橋克彦著 『大江戸浮世絵暮らし』, 2002, 721)
<こと>に
このため、我が国の途上国支援は、従来の物的な面の協力から、生活面の協力に重点が移ってきている。
(厚生労働白書, 2001, )
<様態>
笠井の興味が星島に完全に移ったらしい。
(森村誠一著 『異型の街角』, 1986, 913)
<ものの一部>が
何度も揚げものをした油は匂いが移り、サラッと揚がりません。
( 『オーブン不要のお菓子作り』, 1991, 596)
次郎の頰のが、晶子の膝頭に移っていく。
(花村萬月著 『触角記』, 2001, 913)
<もの>に
それでも良心的に、「ほかの洗濯物に色が移る可能性があります」と表示されているものもあります。
(佐光紀子著 『ナチュラル・ランドリー』, 2003, 593)
<様態>
また手を洗ったあとでローズマリーの葉に触れると、ふわりと香りが移ってさわやかなうえ、殺菌効果も。
(花時間, 2002, レジャー/趣味)
<活動の場>が
初めは、設計事務所の下働きでしたが、途中から、材木店のほうに仕事場が移り、事務の仕事を手伝うようになりました。
(海老名香葉子作;千葉督太郎画 『半分のさつまいも』, 1997, )
<場所>に[へ]
邪馬台国が近畿へ移ったということですかね。
(NHK取材班編 『堂々日本史』, 1998, 210)
<様態>
二十五日は再度兵庫へ移って、神戸の商船修復場を見物する。
(吉村淑甫著 『近藤長次郎』, 1992, 289)
<権限>が
民主党が政権を取り議会でも多数を占めていたカーター大統領時代に比べ、共和党に政権が移ると大使の仕事はやりにくくなるかもしれないと考えたが、心配するほどのことはなかった。
(池井優著 『駐日アメリカ大使』, 2001, 319)
私は二年生に進級し、わだつみ会の活動は私たちの学年に主体が移った。
(佐道正彦著 『一市井人の戦後五十余年』, 2001, 289)
<人・もの>に
戦後、著作権が文部省から民間に移り、各出版社で、教材の工夫・検討が活発におこなわれてきた。
(岩松鷹司著 『メダカと日本人』, 2002, 487)
<人>が
先生がいつの間にか撮ってるから、こういう全く無防備な姿が写るんですね。
(アサヒカメラ, 2005, レジャー/趣味)
<もの>が
上から見下ろした写真は全然面白くないし、余計なものが写りこんでしまいます。
(Yahoo!ブログ, 2008, 芸術、アート)
<こと>が
NASAの中継映像には、打ち上げの約2分後に外部燃料タンクから大きな物体がはがれ落ちる様子が写っていた。
(Yahoo!知恵袋, 2005, Yahoo!オークション)
<機器>に
防犯カメラに写っていたフィルムの猟銃分析等を手掛かりに,5月9日,犯人を逮捕した(神奈川)。
(警察白書, 1981, )
<様態>
冒頭、実業家の一団が暗い部屋に腰を下ろしている様子がソフト・フォーカスで写っている。
(クライスティア・フリーランド著;角田安正,松代助,吉弘健二訳 『世紀の売却』, 2005, 332)
<人>が
両方ともまったく同じ写真で、それにはひとりの男の真正面から撮られたが写っていた。
(船戸与一著 『血と夢』, 2001, 913)
<もの>が
逆に目では見えないが効果的に写真には写っている場合もある。
(田口雅巳著 『旅のスケッチらくらくbook』, 2000, 724)
<こと>が
その写真にも船のほぼ全景が写っているが、右奥の遠くから、こっちを見つめている男の姿が気になった。
(内田康夫著 『沃野の伝説』, 2005, 913)
<紙面>に
そのポスターに写っていた女性、さっき見た油絵の人によく似ていた。
(風見潤著 『バリ島幽霊事件』, 1996, 913)
<様態>
今年の六月に出た写真週刊誌で、そこにあのおっさんの顔がはっきりと写っていた。
(宮部みゆき著 『理由』, 2004, 913)
まず良久の写真には、白衣を着て頭陀袋を掛けた少年の姿がぼんやり映っていたが、よく見ると久吉の姿であった。
(松谷みよ子著 『現代民話考』, 1996, 388)
<人>が
「朝4時に呼び出され、夕方テレビを見ていたら、千歳空港のタラップを上っていく姿が映っているんですよ。
(女性自身, 2001, 一般)
<もの>が
テレビにはいつもろくでもない番組が映っているし、自動販売機のコーヒーは新聞紙を煮詰めたような味がした。
(村上春樹著 『ねじまき鳥クロニクル』, 1994, 913)
<こと>が
サミットになると各国首脳が「やあ、やあ」とやっている様子がテレビに映るでしょう。
(御厨貴,渡邉昭夫インタヴュー・構成 『首相官邸の決断』, 2002, 312)
<画面>に
きっと画面に映っていない部分で、何らかのやり取りがあったんでしょう。
(Yahoo!知恵袋, 2005, テレビ、ラジオ)
<様態>
いつそのことをきりだそうかと迷っていたとき、たまたまテレビにドナウ河が映り、サラサーテのツィゴイネルワイゼンの曲が流れました。
( 『宮本輝全集』, 1992, 918)
<人>が
それからライトを点けたとき、自分が鏡に映っていたことに気づいたのだった。
(ルチャーノ・デ・クレシェンツォ著;谷口伊兵衛,ジョバンニ・ピアッザ訳 『物語近代哲学史』, 2004, 132)
<もの>が
池の水面に紅葉が映り、その上には落ち葉が浮かぶ様は、絵画のようだ。
(クロワッサン, 2002, 一般)
<もの>に
窓ガラスに映る池袋の夜は雨に彩られてネオンが瞬き、変に美しかった。
(永倉萬治著 『人の気も知らないで』, 2000, 913)
<様態>
池の水面も、さざなみひとつたたず、鏡のようにおさまりかえって、その上に高楼の影が、さかさまに、はっきりと映っている。
(辛島驍,多久弘一共著 『十八史略詳解』, 2004, 222)
<こと>が
本を読む暇もなく、アカ点を取らないために勉強しようとすれば机の上でうたた寝をしてしまうと語る荒木の率直さが、私には魅力的に映った。
(木村幸治著 『初球はストレート』, 1993, 783)
<様態>
生命の鼓動の全然感じられないあの砂漠は、緑に慣らされた私の眼に何と殺風景に映ったことでしょう。
(曽野綾子,尻枝正行著 『別れの日まで』, 1988, 915)
<人の目>に
一人でいたいといいながら、実は自分が周りにどう映っているかを非常に気にしていることやプライドの高さが感じられた。
(神奈川非行問題研究会編著 『\3の代償』, 2003, 367)
<もの>として
咲には独特な気品があって、男の子の目には神聖なとして映るようだ。
(山本文緒著 『シュガーレス・ラヴ』, 1997, 913)






























時が移ると共に、スカートの長さも変わるんだね。
言葉が移ってしもたわ~。
ついにお金の管理の権限がお母さんに移ったね。
ああ~、ひろみの目にはこんなふうに映ってるのね……。
情が移る

意味
人・ものに対して次第に愛情を感じるようになる
用例
「学校帰りの公園で、いつも捨て猫と遊んでいるの」「情が移るから、ほどほどにね」
コーパスからの用例
しかし、ずっと自分の部屋に居続けしている男に情が移り、虫が好いてきたようである。 (酒見賢一著 『後宮小説』, 1989, 913)
複合動詞 V1

移り行く、移り変わる、移り住む、写り込む
複合動詞 V2

乗り移る
複合名詞

移り香、移り替え、移り変わり、移り気、移り身、におい移り、色移り、写真写り
移る・写る・映る(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形
ない形うつない
~なかったうつなかった
ます形うつり
~ませんうつりま
~ましたうつりした
~ませんでしたうつりまんでした
~ときるとき
ば形れば
意向形うつ
て形って
た形った
可能形うつ
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