打つのコアイメージ

1.瞬間的に加力他動詞初級★★★
表記打つ
人が、主に手を使い、ものに瞬間的に強い力を加える。
文型
<人>が<もの・他者の身体部分>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
花子は太郎のほおを強く打った
手が痛くてキーボードが打てない
アルバイトでレジを打っている
文字を速く打てるように練習をしてください。
太鼓を打つ音が聞こえた。
座禅を組んでいるとき、ほんの少し体が揺れただけで、棒でかなり強く打たれた
コロケーション
<もの>を
① 操作対象:パソコン、ワープロ、タイプ、レジ
② 操作対象の加力する部分:キー、エンターキー
③ 操作結果:文字、文章、レシート
④ 音のするもの:太鼓、ドラム、タンバリン、鐘、半鐘
⑤ 加力するための道具:バチ、鞭
<他者の身体部分>を
ほお、腰、背中、面、頭
<身体部分>で
手、平手
<道具>で
ばち、ムチ、棒、竹刀
<様態>
ばんと、バーンと、ばしっと、ぽんと、ぱんと
非共起例
<もの>を
 自動販売機のボタンを打った
 自動販売機のボタンを押した
 炊飯器のボタンを打った
 炊飯器のボタンを押した
 玄関のブザーを打った
 玄関のブザーを押した
「打つ」は、瞬間的に力を加えることを表すのであって、力を加え続ける場合には使えない。
<もの>を
 太郎はベルを打った
 太郎はベルを鳴らした
「打つ」は、瞬間的に強い力を加えることを表す。したがって、「ベル」のように、振動する程度の力で加力すればよいものに加力する場合には、使えない。
<様態>
 太郎のほおを弱く打った
 太郎のほおを軽く打った
解説
「打つ」は、「瞬間的に強い力を加えること」を表す。強い力を出すためには、目的か、原因が必要となる。したがって、「打つ」の表す加力には、目的や原因が感じられる。たとえば、加力対象が<人>の場合には、相手への怒りが原因となり、<もの>の場合には、それを操作、演奏することが目的となる。
誤用解説
「<他者の身体部分>を打つ」はやや文語的である。したがって、小さな子供が「打つ」を用いると不自然である。
 お姉ちゃんが打ったあ!
 お姉ちゃんがぶったあ!
 お姉ちゃんがたたいたあ!
また、次のような場合にも「打つ」は不自然である。
 太郎はいらいらして机を打った
 太郎はいらいらして机をたたいた
とくに加力する目的や原因がないのに、突然、そのような動きを取るとは考えにくいからである。
類義語・反義語
類義語たたく
反義語


2.身体部分同士が加力他動詞中級★★
表記打つ
人・動物が、主に手を使い、自分自身に、瞬間的に強い力を加える。
文型
<人・動物>が<自分の身体部分>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「そのとおり!」と思わずひざを打った
相手の言うことがようやく理解でき、はたと手を打った
知らせを聞けば、皆が手を打って喜ぶだろう。
手を打ちながら、リズムを取ってください。
神社では柏手を打って、手をあわせてください。
鳥が羽を打つ音が湖に響きわたった。
コロケーション
<自分の身体部分>を
① 身体部分:手、手のひら、手と手、ひざ
② 加力した結果:柏手、リズム、拍子
<様態>
ぽんと、ぱんと、ぱんぱんと、はたと、ぱちっと
非共起例
<様態>
 ばしっとひざを打った
 はたとひざを打った
 ぽんとひざを打った
自分の身体への加力を表す「語義2」の場合、「強い力を加える」とは言っても、自分自身を傷つけるほど強い加力にはならない。したがって「ばしっ」「ばーんと」などの強さを表す表現と共に使われると、不自然である。
解説
「語義1」が、ものや他者の身体部分への加力を表すのに対し、「語義2」は、自分の身体部分への加力を表す。「語義1」も「語義2」も「瞬間的に強い力を加える」という点では同じである。
「ものや他者の身体部分への加力」(「語義1」)と「自分の身体部分への加力」(「語義2」)との相違は、加力の原因や目的の相違にもつながる。「ものや他者の身体部分」に加力する場合は、相手への怒りの感情が原因であったり、操作、演奏することが目的であったりするが、「自分自身の身体部分」に加力する場合は、内的な感情が原因(ひざを打つ)であったり、敬虔な態度の表明(柏手を打つ)、リズムを取る(手を打つ)、飛ぶ(羽を打つ)ことが目的であったりする。
誤用解説
「語義2」における加力の強度は、自身を痛めつけるほど強くはないが、一方で、「リズムを取る(手を打つ)」という目的を達することができるほどの強さを持っている(つまりある程度は痛みを伴う)。したがって、凝りをほぐすために力を加える場合のように、強さを調整して加力する場合には使えない。
 肩が凝ったのでこぶしで打った
 肩が凝ったので、こぶしでたたいた
また、「語義2」の「打つ」は「柏手を打つ」を除いて、「たたく」に言い換えられる。「たたく」と比べれば「打つ」のほうが文語的である(「たたく」との相違については「全体解説」も参照)。したがって、次のような場合、「打つ」を用いるとやや不自然である。
 (幼稚園で)音楽を聞きながら手を打ちましょう
 (幼稚園で)音楽を聞きながら手をたたきましょう
類義語・反義語
類義語たたく
反義語


3.加力して放つ他動詞初級★★★
表記打つ
人が、道具を使うなどして、ものに瞬間的に強い力を加え、遠くへ飛ばす。
文型
<人>が<もの>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この前、バスケットボールの試合で、初めてシュートを打った
あの野手はよく打つ
打たせて取るピッチングが有効だった。
パットを打つとき、体が傾く癖がある。
相手コートのサイドぎりぎりをねらって打て
私がレシーブを打つから、あなたはトスをあげて。
コロケーション
<もの>を
① (飛ばす)もの:ボール、球、シャトル
② (飛ばす)ものの様態:カーブ、低め(のボール)
③ (飛ばした)結果:ホームラン、ファウル、ヒット、アタック、スマッシュ
④ (飛ばした)着地点:サイド、ラインぎりぎり
⑤ (飛ばす)役割:(野球の打順)四番、一番
⑥ (飛ばした)結果としての成績:(野球の打率):二割、三割
<道具>で
バット、ラケット、クラブ
<方向>に
レフトに、ライトに、クロスに、サイドに、右方向に
非共起例
<もの>を
 今回の大会で、チームは二勝を打った
 今回の大会で、チームは二勝をあげた
野球でヒット数がそのまま蓄積された結果としての成績(二割、三割など)について「二割を打った」ということはできるが、チームの勝利数(二勝)について、「打つ」は使えない。
解説
「語義1」が「瞬間的に強い力を加える」ことを表すのに対し、この「語義3」は、瞬間的に強い力を加えることで、対象を勢いよく遠くへ飛ばすことを表す。
誤用解説
「打つ」は、手や、手に持つ道具を用いて飛ばすことは表せるが、足を用いて飛ばすことは表せない。
 太郎はサッカーボールを打った
 太郎は道端の缶を打った
 太郎はサッカーボールをけった
 太郎は道端の缶をけった
類義語・反義語
類義語放つ、飛ばす
反義語


4.加力して刺す他動詞初級★★★
表記打つ
人が、細長くて鋭いものに、瞬間的に強い力を加え(あるいは力を加えることを繰り返し)、刺し入れる。
文型
<人>が<(細長くて鋭い)もの>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
柱に釘を打った
隣地との境界に杭を打つことにした。
待ち針を打ったら縫い始めてください。
串を打たないと、魚はきれいに焼けません。
熱を下げる注射を打ちましょう
医者に行って、ワクチンを打ってもらった。
stairs娘も今年受験だし、親子で予防注射を打っとかないと…。
コロケーション
<(細長くて鋭い)もの>を
<道具>で
金槌
<場所>に
腕、左腕、腰、(身体の)ツボ、柱、壁
非共起例
<人>が
 蜂が針を打った
 蜂が針で刺した
 蚊に打たれた
 蚊に刺された
「打つ」主体は<人>でなければならない。
<もの>を
 注射器を打った
理由
解説
「語義3」が「瞬間的に強い力を加え、遠くへ飛ばす」ことを表すのに対し、この「語義4」は、瞬間的に強い力を加え、細長くて鋭いものの先端を勢いよく差し入れることを表す。「語義3」も「語義4」も瞬間的に強い力を加えること、力を加えた後に、長い軌跡が残ることが共通している。ただし、「語義3」の軌跡は、単なる軌跡だが(たとえばボールが飛んだ軌跡)、この「語義4」の軌跡は、細長くて鋭い物体そのものである。
類義語・反義語
類義語刺す、突く、する
反義語


5.銃を発射他動詞初級★★★
表記撃つ・打つ
人が、銃などの弾に瞬間的に強い力を加え、遠くへ飛ばす。
文型
<人>が<もの>を撃つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
猟に出て鹿を撃った
動いたら撃つぞ
撃てるものなら撃ってみろ。
後ろから背中を撃たれたようだ。
友だちが指鉄砲を作って、私を打つまねをした。
彼は日長パチンコ屋で玉を打っている
コロケーション
<もの>を
① 銃器:銃、ピストル、大砲、ライフル、鉄砲
② 弾:弾、弾丸、パチンコの玉、玉
③ 標的:鹿、人、背中、壁、的
④ (飛ばす)目的:祝砲
<様態>
バーンと、バンと、ダーンと、パーンと
非共起例
<もの>を
 夏祭りでは、100発の花火を打った
 夏祭りでは、100発の花火を打ち上げた
 人工衛星を打つ計画がある。
 人口衛星を打ち上げる計画がある。
飛ばす方向が上の場合、「打ち上げる」のほうが自然である。
解説
「語義3」も「語義5」も、「瞬間的に強い力を加え、遠くへ飛ばす」点は同じだが、「飛ばす」手段に相違がある。すなわち、「語義3」の場合は、素手のままかバットなどの道具を使うかして、人の力を直接ものに加えて「飛ばす」が、「語義5」の場合、銃の引き金を引くなどして、機械的、科学的作用を引き起こし、その力によって「飛ばす」。
誤用解説
どのような銃器を使ったかに焦点を当てて述べる場合、銃器がヲ格で示され、次のようになる。
 銃を撃った
この場合、標的に当たったかどうかはあまり問題にされていない。
これに対し、標的に当たったことを問題にする場合、標的がヲ格で示され、銃器はデ格で示される。
 太郎は鹿を銃で撃った
つまり、銃器か標的のうち、どちらに焦点を当てて述べるかで、表現が変わる。
 太郎は鹿に銃を撃った。(銃器に焦点を当てて述べる)
 太郎は鹿を銃で撃った。(標的に焦点を当てて述べる)
しかし、弾が標的に当たれば、そのことに焦点が当てられるほうが自然で、当たっているのに、銃器に焦点を当てて、次のように言うのは不自然である。
 (弾が当たっている場合)太郎は鹿に銃を撃った。
このように言う場合、弾は、当たっていないと解釈するほうが自然である。
 太郎は鹿に銃を撃ったが、当たらなかった。
類義語・反義語
類義語飛ばす
反義語


6.加力して広げる他動詞上級
表記打つ
人が、主に手を使い、ものに瞬間的に強い力を加え、一面に広がるように、遠くへ飛ばす。
文型
<人>が<もの>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今朝、隣の人が道路に水を打っていた
水を打ったような静けさだ。
台の上に粉を打ってから、パン生地を置きます。
打ち粉を打つのを忘れた。
投網を打つには技術がいる。
今日はまだ撒き餌を打っていない
コロケーション
<もの>を
水、粉、網、投網、撒き餌
<場所>に
庭、道路、通路、台の上、海
<様態>
一面に
非共起例
<もの>を
 庭に殺虫剤を打った
 庭に殺虫剤をまいた
<もの>は、「瞬間的に強い力を加え」なければ広がらないものでなければならない。
<もの>を
 畑に種を打った
 畑に種をまいた
「打つ」は「一面に広げる」ことを表す。「種」のように、面全体を覆わないものについて、「打つ」とは言えない。
<もの>を
 テーブルにさっとテーブルクロスを打った
 テーブルにさっとテーブルクロスを広げた
「打つ」は、「投網」のように拡がりにくいものに、強い力を加えて広げる場合に使われる。
解説
この「語義6」は、「瞬間的に強い力を加えて遠くへ飛ばす」ことを表す点で、「語義3」と同じ特徴を持つ。「語義3」と同様に、ものには強い力が加わり、勢いよく飛ぶことになる。ただし、「語義3」の場合は「遠くへ飛ばす」ことが目的であるのに対し、この「語義6」は、「遠くへ飛ばし」、「広げる」ことが目的である。
類義語・反義語
類義語広げる
反義語


7.対策の決行他動詞上級
表記打つ
人が、一定の方向へ進む出来事の流れを変えるために、計画を実行する。
文型
<人>が<こと>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
景気回復を目指して、新たな施策を打った
そのうちに何らかの対策が打たれるはずです。
解決に向かって何らかの対策を打たなければならない。
交渉手段が他にないので、ついにストを打つことになった。
説得のために芝居を打ってみた。
先手を打たなければ負ける。
stairs困ったな…早急に手を打たなければ…。
コロケーション
<こと>を
ストライキ(スト)、対策、新たな施策、広告
<様態>
早急に
非共起例
<こと>を
 お小遣いを減らされそうになって、お金が必要だと嘘を打った
 お小遣いを減らされそうになって、お金が必要だと嘘をついた
解説
「語義3」と「語義7」は、「瞬間的に強い力を加え、遠くへ飛ばす」という点では共通の意味を持つが、両者は「飛ばす」対象が異なる。すなわち、「語義3」の場合、「ボール」などの具体物を飛ばすことを表すのに対し、この「語義7」の場合は、「ストライキ」などの計画を、まるで遠くへ飛ばすかのように、思い切って実行することを表す。
誤用解説
この「語義7」は、「一定の方向へ進む出来事の流れを変えるために、計画を実行する」ことを表すのであって、何もない平穏な状態に衝撃を与えようとする場合には使えない。
 世間を驚かそうと思って、犯罪を打った
 世間を驚かそうと思って、犯罪を犯した
類義語・反義語
類義語決行する、実行する、する
反義語


8.加力して送信他動詞初級★★★
表記打つ
人が、キーに力を加えて操作するなどして文章を作成し、発信する。
文型
<人>が<メールなど>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
お祝いの電報を打った
友人の結婚式に参加できなくなってしまったので、祝電を打つことにした。
弔電を打とうとして文面に悩んだ。
メールを打てばすぐに返信が来ますよ。
この件、先方にメールを打っておいてもらえませんか。
個人宛に打ったメールを転送するのは、ルール違反だ。
コロケーション
<メールなど>を
電報、祝電、弔電、メール、電子メール
非共起例
<メールなど>を
 手紙を打った
 手紙を出した/書いた
 電話を打った
 電話をかけた/した
この「語義8」は、「キーに力を加えて操作するなどして文章を作成し、発信する」ことを表すのであって、通常、手で書くことが多い「手紙」について、「打つ」とは言えない。
解説
「語義1」が「瞬間的に強い力を加える」ことを表すのに対し、この「語義8」は、強い力を加えて操作した結果、作られた文章を相手に送ることを表す。
誤用解説
スマートホンの時代に使われはじめたアプリケーションを使って送信する場合、文章作成に加力のイメージはなく、「打つ」は使えない。
 昨日の夜、このことについてみんなにラインを打った
 昨日の夜、このことについてみんなにラインをした/送った
類義語・反義語
類義語送る
反義語


9.加力して滅ぼす他動詞中級★★
表記討つ
人が、敵を攻撃して、殺したり、滅ぼしたりする。
文型
<人>が<敵>を討つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
親のかたきを討った
必ず私がかたきを討ってやる。
敵将を討ったのは誰だ。
王は、隣国を討つための作戦を立て始めた。
首をうたれる覚悟はできている。
お前が自ら出陣し、城を討たなくてどうするのだ。
コロケーション
<敵>を
① 人:敵、かたき、敵将、歩兵、首(人)
② 組織:敵国、隣国、隣町、~城
非共起例
<敵>を
 チェスで対戦相手を討った
 チェスで対戦相手に勝った
 ラグビーの試合で相手を討った
 ラグビーの試合で相手に勝った
ゲームやスポーツの対戦相手は、<敵>に含まれない。
解説
「語義1」が「瞬間的に強い力を加える」ことを表すのに対し、この「語義9」は、加力の結果、人を殺したり、人を殺すことを積み重ねて、国などの組織を滅ぼしたりすることを表す。
誤用解説
この「語義9」からは、時代小説や昔話の中に出てくる表現のような、古めかしい印象を受ける。
この「語義9」は、武器を使うなどして相手に直接的に力を加える形態の戦いによって、敵を殺したり、組織を滅ぼしたりする場合に使われる。したがって、近代的な戦争に勝利した場合に使うと、不自然である。
 A国とB国との戦争は長期化したが、ついにA国がB国を討った
 A国とB国との戦争は長期化したが、ついにA国がB国に勝った
類義語・反義語
類義語殺す、負かす、やっつける
反義語


10.加力して製作他動詞上級
表記打つ
人が、主に手を使い、材料や素材の表面に、瞬間的に強い力を加えることを繰り返し、ものを作りだす。
文型
<人>が<もの>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
昨日、家でうどんを打った
麺の打ち方を習いに行っている。
あの人はそばを打つのがうまい。
私のいとこは、能面を打つ仕事をしている。
駐車場にはコンクリートが打ってあった。
男が田を打っているのが見えた。
コロケーション
<もの>を
① (加力して)こねた結果:うどん、そば、麺、パスタ
② (加力して)彫った結果:面、能面
③ (加力して)きたえるもの:鉄
④ (加力して)きたえた結果:刀、日本刀
⑤ (加力して)耕すもの:田、畑
⑥ (加力して)つやを出す/ほぐすもの:布、わら、綿
⑦ (加力して)敷き詰めるもの:コンクリート
非共起例
<もの>を
 昨日、家で餅を打った
 昨日、家で餅をついた
 昨日、家でパン生地を打っていたら、友だちが遊びに来た。
 昨日、家でパン生地をこねていたら、友だちが遊びに来た。
<もの>を
 私のいとこは、仏像を打つ仕事をしている。
 私のいとこは、仏像を彫る仕事をしている。
<もの>を
 私のいとこは、版画を打つ仕事をしている。
 私のいとこは、版画を彫る/刷る仕事をしている。
解説
「語義1」が「瞬間的に強い力を加える」ことを表すのに対し、この「語義10」は、単に瞬間的に強い力を加えるだけではなく、それを繰り返すことで、何かを作り出したり(粉からうどんを作りだしたり)、つやを出すなどの変化を生じさせたりすることを表す。
誤用解説
「田を打つ」「畑を打つ」といういい方は、文語的であり、一般的には「耕す」が使われる。
 春休みはお父さんの田舎に行って、畑を打ちました
 春休みはお父さんの田舎に行って、畑を耕しました
類義語・反義語
類義語作る、たがやす
反義語


11.記号をつける他動詞上級
表記打つ
人が、小さな記号を書き入れる。
文型
<人>が<記号>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
英作文のテストで、ピリオドを打つのを忘れた。
疑問文には、クエスチョンマークを打ってください。
あなたの作文の場合、読点を打つ数を、もっと増やしたほうがよいと思います。
データにタグを打つとき、この注意事項を守ってください。
紙にペンで大きな丸をかき、その中に二つ黒い点を並べて打てば、人の顔に見えますよ。
名簿の名前の横に丸が打ってある人が合格です。
stairs日本語で数字を書く時、桁区切りとして3桁ごとにコンマを打ちます
コロケーション
<記号>を
ピリオド、終止符、句読点、タグ、印、注
<道具>で
鉛筆、ペン
<場所>に
ノート、作文、文章中、名簿、データ
非共起例
<記号>を
 児童の作文に花丸を打った
 児童の作文に花丸をつけた
<記号>は小さなものでなければならない。
解説
「語義1」は「瞬間的に強い力を加える」ことを表す。このためには、ねらいを定められる程度に加力面が小さくなければならない。この「語義11」は、「打つ」の加力面が小さいことに目を転じ、小さな記号を書き入れることを表す。
書き入れる「記号」は、分類済の印や文章を終わる印である。つまり、この「打つ」は、分類判断、終了判断の印として、意を決し、投げ出すように記入する場合に使われる。その意味で「語義3」の「打つ」(ヒットを打つ)の持つ、「飛ばす」と共通する特徴を持つとも言える。
誤用解説
この「打つ」は、わずかであれ、記入に思い切りが必要な記号を書き入れるときに使われるのであって、点数のように、段階性があり、思い切って記入する必要がないものを書き入れる場合には使われない。
 テストを採点して点を打った
 テストを採点して点をつけた
類義語・反義語
類義語つける、記す、書く
反義語


12.碁などをする他動詞上級
表記打つ
人が、碁石などを盤面に置く。また、置くことでゲームをする。
文型
<人>が<碁など>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
お祖父さんは毎日友だちと碁を打っている
碁を打つ楽しみを人に伝えたい。
碁石を打つ音が、静かな部屋の中で大きく響いた。
あの局面で、あそこに打ったのが敗因だと思う。
麻雀は、弱い人とうってもおもしろくない。
あの人は若いとき、博打をうっていたらしい。
コロケーション
<碁など>を
① ゲーム:碁、麻雀(マージャン)、博打(ばくち)
② ゲームの駒:碁石、石
<人>と
友だち、近所の人、家族と
非共起例
<碁など>を
 将棋を打つのはおもしろい。
 将棋を指すのはおもしろい。
 チェスを打つのはおもしろい。
 チェスをするのはおもしろい。
将棋やチェスのように、はじめから盤面に駒が置かれているゲームをすることを表すために、「打つ」を使うことはできない。
<碁など>を
 (将棋で)歩兵を打った
 (将棋で)歩兵を前に進めた
 (チェスで)ビショップを打った
 (チェスで)ビショップを前に進めた
将棋やチェスのように、はじめから盤面に駒が置かれているゲームの駒を動かすときに「打つ」は使えない。
解説
この「語義12」は、盤面のある一地点に、小さな碁石などを置くことを表すが、これは「語義11」の、「小さな記号を書き入れる」ことと似ている。
また、この「語義12」は、盤面のある一地点に碁石などを置くことから意味を広げ、碁石などを置いてゲームをすることも表す。
誤用解説
この「語義12」は、碁石などをどこに置くべきか判断し、「盤面のある一地点を目指して書き入れるかのように置く」ことを表すのであって、「福笑い」の目鼻のような大きなものを、場所が見えないまま置いていく場合には使えない。
 福笑いの目を打った
 福笑いの目を置いた
類義語・反義語
類義語する
反義語


13.身体へ加力他動詞初級★★★
表記打つ
人が、自分の意志とは関係なく、身体に、瞬間的に強い力を受ける。
文型
<人>が<身体部分>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
机の角で頭を打った
転んで腰を強く打って、動けなくなった。
頭を打ったら、自覚症状はなくても検査を受けたほうがよい。
交通事故で全身を強く打って救急車で運ばれた。
肩を軽く打っただけですから、大丈夫です。
大きなあざが出来ているから、かなり強く打ったにちがいない。
コロケーション
<身体部分>を
足、ひざ、腰、頭、全身
<もの>で
机の角、たんす、椅子
<様態>
強く、軽く、バンと、ドンと、ガンと
非共起例
<様態>
 腰を弱く打った
 腰を軽く打った
解説
「語義1」は、「人が瞬間的に強い力を加える」ことを表す。この「語義13」は「瞬間的な強い力」が関係するという点で、「語義1」と共通点を持つ。
しかし、「語義1」の場合、人が意志的に、ものや他者に力を加えるのに対し、この「語義13」の場合、人が自分の意志とは無関係に、多くの場合、誤って強い力を受けることを表す。
誤用解説
受ける力は、瞬間的なものでなければならない。したがって、次のように継続的な力を受ける場合には使えない。
 (満員電車の中で人に足を踏まれて)足を打った
 (手を強く握られて)手を打った
類義語・反義語
類義語ぶつける
反義語


14.自然が加力他動詞上級
表記打つ
自然の動きが、身体やものに、瞬間的に強い力を加える。
文型
<自然の動き>が<身体・もの>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
雨が窓ガラスを打った
雷に打たれた
あまりにも強いショックを受け、茫然として雨に打たれていた
滝に打たれる修行をした。
外に出ると、冷たい風がほおを打ち、思わずふるえあがった。
ドアを打つ風の音が部屋中に響いていた。
コロケーション
<自然の動き>が
雨、風、強風、波、滝
<身体>を
全身、ほお、全身
<もの>を
窓ガラス、ドア
非共起例
<自然の動き>が
 そよ風がほおを打った
 そよ風がほおをなでた
<自然の動き>は、ある程度強い力を持ったものでなければならない。
<自然の動き>が
 台風が日本を打った
 台風が日本を襲った
 地震がその地方を打った
 地震がその地方を襲った
加力は瞬間的でなければならない。
解説
「語義13」も、この「語義14」も、「瞬間的な強い力」が関係する点では共通している。しかし、「強い力」の生じる原因が異なる。「語義13」の場合、意志的ではないにしろ「人の動き」が「強い力」の原因となるのに対し、この「語義14」は、自然のように、「意志を持たないものの動き」によって、「強い力」が生じる。
誤用解説
「語義14」は受身でなければ不自然になることが多い。
 雷が私を打った
 私は雷に打たれた
類義語・反義語
類義語あたる、襲う
反義語


15.脈が動く他動詞上級
表記打つ
心臓などが、自身の表面に強い力を瞬間的に加え、規則正しい運動を繰り返す。
文型
<身体器官>が<脈など>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
心臓が早鐘のように打った
頭に血が上り、どくどくと脈を打つのを感じた。
心臓が鼓動を打つたびに、血があふれた。
弱々しくとも脈を打っていたが、だんだんその力もなくなっていった。
あなたの場合、一分間に何回脈を打ちますか。
脈を打つ速さは人によって異なります。
コロケーション
<身体器官>が
心臓、血管
<脈など>を
脈、脈拍、鼓動、動悸、早鐘
<様態>
早鐘のように、どきどき(と)
非共起例
<脈など>を
 血管が手首を打った
 血管が胸を打った
<脈など>は、「脈」「脈拍」など、加力した結果である。手首や胸など、加力の対象は含まれない。
解説
「語義14」とこの「語義15」はどちらも、「意志を持たないものが、瞬間的に強い力を加える」ことを表す。ただし、「語義14」の場合、「自然」が主体となって、他のものに力を加えることを表すのに対し、「語義15」の場合、心臓などが主体となって、自身の表面へ加力し、規則的な動きをすることを表す。
誤用解説
この「語義15」は、身体器官のそれ自身の動きを表す。次例のように、火力によってものが動くことを表すの場合には、使えない。
 シチューがぶくぶくと泡を打っていた
 シチューがぶくぶくと泡をたてていた
次例の「魔法の石」は身体器官ではない。しかし、身体器官のように自ら動くので、その動きを「打つ」を用いて表現できる。
 手の中の魔法の石は、生きているかのように脈を打っていた


16.時刻を告知他動詞上級
表記打つ
時計などが、音を鳴らすことで時刻を知らせる。
文型
<時計>が<時刻>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
時計が3時を打った
柱時計が12時を打って、日付が変わった。
時計が12時を打つのが聞こえた。
広場に行くと、教会の鐘がちょうど12時の時を打ちました
コロケーション
<時計>が
時計、柱時計、鐘、時の鐘、教会の鐘
<時刻>を
時刻、時(とき)、2時、12時の時
<様態>
ボーンと、ボンボンと、ガランゴロンと
非共起例
<時計>が
 デジタル時計が7時を打った
 デジタル時計が7時に鳴った
「打つ」を用いるには、<時計>の内部に、加力によって音を出す部品があり、そこへの加力によって音が出る必要がある。しかし、デジタル時計には、そのようなイメージがないので、「打つ」は使えない。
<時計>が
 目覚ましが6時を打った
 目覚ましが6時に鳴った
ベルを鳴らす目覚まし時計は、ジリジリと何度も繰り返し音を立てる。「打つ」は、瞬間的に強い力で加力することで音が出る場合に使えるのであって、鐘がゆれる程度の弱い力で、何度も加力することで音が出る場合には、使えない。
解説
この「語義16」と「語義14」は、「意志を持たないものが、瞬間的に強い力を加える」動きとかかわるという点で共通性を持つ。
しかし、この「語義16」の場合、加力する主体は自然ではなく、時計や鐘のような音が出るものである。
誤用解説
「打つ」は、文語的である。
 お母さん、柱時計が3時を打ったよ。
 お母さん、3時だよ/3時になったよ。
類義語・反義語
類義語知らせる
反義語


17.感動させる他動詞上級
表記打つ
ことば・行動などが、人を感動させる。
文型
<こと・もの>が<心>を打つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
そのことばが皆の胸を打った
その人の信仰心の厚さにこころを打たれた
聴衆の胸を打つよいスピーチだった。
その美談には、誰もが胸を打たれるだろう。
この小説は、人の心を打つ何かを持っている。
担当者の誠実な対応には、本当に心を打たれました
stairs彼女の真剣さに胸を打たれたよ。
コロケーション
<こと・もの>が
ことば、スピーチ、行動、態度、美談
<心>を
心、胸
<様態>
強く
非共起例
<もの・こと>が
 彼のあまりにも意地悪な態度が、胸を打った
 彼のあまりにも意地悪な態度に、腹が立った。
<もの・こと>は、人を感動させるものに限られる。
解説
「語義14」が、「自然の動きが、瞬間的に強い力を加える」ことを表すのに対し、この「語義17」の場合は、「自然の動き」ではなく、人のことばや行動などが、抽象的な意味で、人の心に強い力を及ぼし、感動させることを表す。
類義語・反義語
類義語動かす
反義語


打つの全体解説 「打つ」は、「瞬間的に強い力を加える」ことを基本的な意味とする(語義1)。
「打つ」の類義語に「たたく」がある。「打つ」の場合には、「瞬間的に強い力を加える」ため、ねらいを定め、加力するのは一回であるのが基本的であるのに対し、「たたく」の場合には、加力が繰り返されることが多い。
むろん、「打つ」は、加力が繰り返される場合に使うこともできる。たとえば、「キーボードを打つ」というような場合である。ただし、「打つ」を用いれば、一回の加力で文字が一つ記されるという点が注目される。同じ文脈で「キーボードをたたく」と言えば、繰り返しの動作のほうが注目される。同様に、「手を打ってリズムを取ってください」「手をたたいてリズムをとってください」はどちらも言えるが、「打つ」を用いれば、一回の加力で、リズムをひとつ刻む印象がある。このことは、「リズムを取ってください」という文脈を除き、単に「手を打つ」と言えば、一回だけ加力する場面が思い浮かびやすいことからもわかる。
また、「打つ」は、「瞬間的に強い力を加える」ことから、動作に何らかの原因や目的があると感じられる。このうち、とくに目的の相違によって、意味が広がる。「放つこと」を目的とする「ヒットを打った」(語義3)のような例や、制作することを目的とする「うどんを打つ」(語義10)などである。
また、「瞬間的に強い力を加える」ならば、力のかかる面は逆に小さくなる。この加力する面の小ささという点に注目することで、「句読点を打つ」(語義11)のような意味へ広がる。
さらに、加力をする側ではなく、加力をされる側に注目した語義もある。「瞬間的に強い力」を受けることを表す「腰を打った」(語義13)などである。ここから、加力する主体が無生物の「雨がドアを打つ」(語義14)、「心臓が脈を打つ」(語義15)などへ意味が広がる。
























▶全例文を聞く
<もの>を
アルファベットは、キーを押しながらキーを打つと大文字が入力され、キーだけを打つと小文字が入力されます。
(大野恵太,「SCCライブラリーズ」制作グループ著;SCCライブラリーズ編 『これでわかるワード2002』, 2001, 582)
文字を打つ時、大文字表示から小文字表示に変えるにはどうしたら良いでしょうか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, Yahoo!知恵袋)
二年生のあるクラスで太鼓を打つことに決まり、役割、練習、飾りつけなどを着々と進めてきた。
長島猛人著 『チャイムが鳴ったら』, 2002, 370)
<他者の身体部分>を
虎は、女のを、平手で思いきり打った。
(門田泰明著 『首領たちの欲望』, 2001, 913)
<自分の身体部分>を
龍馬はを打ち、笑声をたてた。
(津本陽著 『龍馬』, 2001, 913)
<様態>
鮎子が、右の拳で左手のひらをポンと打った。
(釣巻礼公著 『滅びの種子』, 1999, 913)
<もの>を
そのままバックスイングして、ボールを打ちます。
(週刊パーゴルフ, 2002, スポーツ)
同点ホームランを打たれて、杉浦の気力は風船のように萎えた。
(ねじめ正一著 『天使の相棒』, 2003, 913)
<道具>で
「このボールをバットで打ってみろ。」
(鳥飼新市著 『高橋由伸』, 2003, 783)
<方向>に
ボールの後ろに回りこむように体重を右に移動しながら打っている点も、クロスに打ちやすくするコツと言える。
(月刊TENNIS JOURNAL, 2005, スポーツ)
<(細長くて鋭い)もの>を
接着剤で背面用の板と合体させ、を打ちます。
(マーサ・スチュワート・リビング・オムニメディア株式会社編著;森泉亮子訳 『グッドシングズオーガナイジング』, 2003, 597)
本人が自分自身で注射を打つときは、大腿部に打ちます。
(田中敏章著 『低身長の治療とケア』, 1996, 493)
<道具>で
赤く熱した鉄片をハンマーで打つ作業は、何度も形を確かめながら少しずつ進められる。
(田中二郎,掛谷誠編 『ヒトの自然誌』, 1991, 389)
<もの>を
三段に構えた鉄砲隊は、入れ替わり立ち替わり鉄砲を撃ちかけ、遂に武田軍は敗走した。
(竹山洋著 『利家とまつ』, 2003, 913)
<もの>を
女が店の前にを打っていた。
(森詠著 『新宿流氓』, 2002, 913)
<メールなど>を
その日の夜、私は携帯を手にしてメールを打った。
(華房憬著 『私-柏木春菜』, 2005, 913)
<こと>を
日本政府としても国際協調のもとに対策を打たざるを得なくなってきた。
(小都元著 『核武装する北朝鮮』, 2003, 392)
<様態>
早急に手をうたぬと、重要な文化財が亡びてしまう。
(岩田明著 『十六菊花紋の謎』, 2003, 210)
<敵>を
おれのを討とうなどとみじんも考えてはならぬ。
(池波正太郎著 『侠客』, 1999, 913)
<もの>を
その娘さんもこの町でそば店を営み、自らそばを打っている。
(石川文康著 『そば往生』, 2002, 596)
<記号>を
数学表現で記号として使う略語は,すべてピリオドを打ちません.
(藤岡啓介著 『技術英語表現・表記ハンドブック』, 2003, 507)
<碁など>を
彼は信豊と碁盤をかこみ、長考しつつを打ちはじめた。
(津本陽著 『下天は夢か』, 1989, 913)
<身体部分>を
天井低いからを打たないように気をつけて
(松村敏弘・恭子著 『ビバエスパーニャ』, 2002, 293)
<自然の動き>が
冷たいがぼくの顔を打ちました。
(ハワード・F.モーシャー著;平田敬訳 『美しい町の残酷な死』, 1992, 933)
<もの>を
バナナのをザワザワと雨が打つ。
(波勝一広著 『スリランカで午後の紅茶を』, 1995, 292)
<脈など>を
ミュージアム内には心臓の巨大模型があり、ボタンを押すとを打ちはじめ説明が流れる。
(BRUTUS, 2001, 一般)
<様態>
窓口で名前を呼ばれるたびにドキンとして、心臓が早鐘のように打っている。
(森津純子著 『母を看取るすべての娘へ』, 1997, 916)
<時計>が
そのとき市内の大時計がちょうど三時を打った。
(残雪著;近藤直子訳 『黄泥街』, 1992, 923)
<時刻>を
雑談のうちにまた三十分がたち、時計が一時を打った。
(津原やすみ著 『ようこそ雪の館へ』, 1995, 913)
<様態>
たけしくんときみ子ちゃんは、書生にまもられて、しんしつにとじこもっていましたが、はとどけいが、「ポッ、ポッ、ポッ」と、九時をうったときです。
(鮎川哲也監修;芦辺拓編 『少年探偵王』, 2002, 913)
<こと・もの>が
彼がこの地で書き遺した日記は、惻々として読む者の胸を打つ。
(須崎勝彌著 『カミカゼの真実』, 2004, 210)
<心>を
ここに記された心情には、多くの人のをうつものがあります。
不破哲三著 『ここに『歴史教科書』問題の核心がある』, 2001, 375)
<様態>
大造じいさんは、強く心を打たれて、ただの鳥に対しているような気がしませんでした。
(国語 五下 大地, 2006, 小)






























娘も今年受験だし、親子で予防注射を打っとかないと…。
困ったな…早急に手を打たなければ…。
日本語で数字を書く時、桁区切りとして3桁ごとにコンマを打ちます
彼女の真剣さに胸を打たれたよ。
雪崩を打つ

意味
多くの人が、一度に固まりのようになって移動する。
用例
格安の商品を求める人が雪崩を打って押し寄せて来た。
コーパスからの用例
バイオレットが発砲したおかげで、買い物客が雪崩を打ってモールの出口に向かっていた。(マックス・バリー著、 泊山梁訳『ジェニファー・ガバメント』2003)
波を打つ

意味
波のように上下に大きくうねる。「波打つ」とも言う。
用例
雨に濡れて、重要な書類が波を打ってしまった。
コーパスからの用例
地層が横から押されると,大きく波を打ったように変形されることがある。これを褶曲という。(長倉三郎、梶田叡一、松井孝典ほか著『新編理科総合B』2006)
縄を打つ

意味
罪人などを縄で縛る。
用例
捕えられた罪人は、すぐに縄を打たれた
コーパスからの用例
京の老婆の死に顔と河原で縄を打たれている自分の姿とが、交互に浮かんでは消える。(中川なをみ作、村上豊画『水底の棺』くもん出版2002)
寝返りを打つ

意味
寝ているときに体の向きを変える。
用例
昨夜は寝苦しくて、何度も寝返りを打った
コーパスからの用例
滋子は何度も寝返りをうっていた。(高任和夫著 『告発倒産』 2000)
意味
味方を裏切って、敵の側につく。「寝返る」のほうがよく用いられる。
用例
あいつ、怪しいと思っていたら、ついに寝返りを打ったな。
舌鼓を打つ

意味
おいしいものを食べたときに、舌を鳴らす。また、おいしいものを楽しんで味わう。
用例
めったに食べられないご馳走に、舌つづみをうった
コーパスからの用例
初めて生産地域を訪れた利用者らは、地域住民との交流を深めながら、地元野菜を使った料理に舌鼓を打っていました。(『広報京丹波』2008)
底を打つ

意味
数値が最低の値になり、これ以上は下がらず、上向くしかない状態になる。反対は「天井を打つ」。
用例
株価はそろそろ底を打ったと言えるだろう。
コーパスからの用例
四十九年1〜3月期から始まった今回の不況は五十年1〜3月期に底を打ったが、その後の景気回復のテンポは必ずしも順調なものではなく、(以下略)(『建設白書』1976)
手を打つ

意味
話をまとめる
用例
取り引き額はそのくらいのところで手を打つことにしよう。
コーパスからの用例
週休3日ってのは,だめ?2勤1休というのは?せめて3勤1休で手を打ちませんか?誰と話してんだよ!(Yahoo!ブログ2008)
意味
必要な対処をする。
用例
次の手を打たないと、状況はどんどん悪くなる。
コーパスからの用例
そのあとで女王は、この非常事態に対してとりうるすべての手を打っている。(猿谷要著『ハワイ王朝最期の女王』2003)
出る杭を打つ

意味
他の人とは異なることをする人や、特別にすぐれた能力を発揮する人の邪魔をする。
用例
出る杭は打たれると言うから、目立ちすぎないように気をつけよう。
コーパスからの用例
とくに隣りの、お隣りの人間っていうかな、普通の人間が、仲間が、なんか新しいことを始めると、みんな、出る杭を打つんだな。私はどっちかというと、口の減らないタイプだからさ。(青田吉弘著『情報化社会対話集』2005)
ピリオド(終止符)を打つ

意味
終わりにする。
用例
仕事を得て、ようやく極貧生活に終止符を打つことができた。
コーパスからの用例
十一年のサラリーマン生活にピリオドを打った。迷いがなかったわけではない。(阿刀田高著『雨降りお月さん』1989)
非の打ちどころがない

意味
悪いところを探しても見つけることができないほどすばらしい。
用例
彼の仕事ぶりには、まったく非の打ちどころがない
コーパスからの用例
「すごい。非の打ちどころがない名推理です!」常田はすっかり感心しながら、尊敬のまなざしを投げた。(青山蘭堂著『新・本格推理』2004)
複合動詞 V1

打ち明ける、打ち上げる、打ち合わせる、打ち落とす、打ち返す、打ち重なる、打ち勝つ、打ち砕く、打ち消す、打ち込む、打ち捨てる、打ち沈む、打ち倒す、打ち出す、打ち付ける、打ち続く、打ち解ける、撃ち抜く、うちのめす、うちひしがれる、打ち負かす、打ち破る、打ち寄せる
複合動詞 V2

流し打つ、迎え撃つ、鞭打つ
複合名詞

流し打ち、返り討ち、追い打ち、挟み撃ち、鞭打ち
打つ(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形
ない形ない
~なかったなかった
ます形うち
~ませんうちま
~ましたうちした
~ませんでしたうちまんでした
~ときつとき
ば形てば
意向形
て形って
た形った
可能形
受身形うた
使役形うた
閉じる