伝わるのコアイメージ

1.刺激の伝導自動詞初級★★★
表記伝わる
熱・音・揺れなどが、ある経路に従って一方から他方へ移動する。
文型
<刺激>が伝わる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
歯列矯正ではワイヤーの力が歯に伝わることで歯が移動する。 
なんとなく刺激が伝わるくらいのやさしい圧力でツボを押す。
音が空気中を伝わるのか、実験で確認してみよう。
底が平らな厚手の鍋で、熱を均一に伝わらせる。 
大理石に触れると、指先にひんやりと冷たい感触が伝わってくる。
バイクのエンジンをかけると、ブルブルという振動がハンドルから伝わってくる。
コロケーション
<刺激>が
① 熱:熱、熱さ
② 音:音、声、ノイズ
③ 揺れ:振動、衝撃、動き、震え
④ 力:力、エネルギー、動力
⑤ その他:電気、刺激、信号、感触、感覚
<経路>を
神経、空気、電線、壁、ケーブル、筋肉、地面
<部分>から
指先、足元、ハンドル
<部分>に
神経、脳、手
<様態>
はやく、次々、徐々に、じわじわ、だんだん、かすかに
解説
語義1の「伝わる」は、「音」、「熱」、「振動」などの<刺激>が、ある経路を連続して移動することを表す。この意味の「伝わる」の主体(「音」、「熱」、「振動」など)は境界が明確ではなく、視覚で捉えることは難しいものの、物理的存在である。したがってこの移動は、一方から他方への連鎖的な、物理的移動である。
なお、語義1は以下のようにヲ格を取る。
 地震が起こると、揺れは地球の内部を伝わって地表に到達する。
 電気は電線を伝わっている。
これらのヲ格の要素は、典型的な他動詞のヲ格とは異なり、主体が行う行為によって変化が生じる<対象>ではなく、移動の<経路>を表している。したがって、ヲ格を対象とする典型的な他動詞の場合には受身形にできるが、この意味の「伝わる」は受身形にできない。
 振動が壁を伝わる。
 壁が振動に伝わられる。
このような特徴は、「伝わる」だけでなく、移動を表す他の自動詞(「(道を)歩く」、「(廊下を)通る」など)と共通する特徴であり、ヲ格を取るため典型的な自動詞用法とは異なるが、他動詞とは考えられない。
誤用解説
「熱」や「音」などと同様に境界が明確でない物理的存在として、「ガス」などの気体も考えられるが、気体はこの意味の「伝わる」の主体にはならない。この「伝わる」は、主体が経路となるものの内部を移動することを表し、経路となるものから分離した状態で移動する場合には用いられない。したがって、例えば「ガス」がパイプの内部を移動する場合、「ガス」は「パイプ」に浸透した状態で移動するのではなく、パイプの内部の空洞を、パイプからは分離した状態で移動すると考えられるため、このような場合には「伝わる」ではなく「通る」などを用いる。
 ガスがパイプを伝わる
 ガスがパイプを通る


2.人・動物・ものの移動自動詞初級★★★
表記伝わる
人・動物・ものが、あるものを経路として一方から他方へ移動する。
文型
<人・動物・もの>が伝わる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
シロアリはわずかな亀裂から侵入し柱を伝わり二階まであがった。
このへんの猫は家々の屋根を伝わって移動している。
水深約10メートルまで潜ってしばらく楽しんだ後、ボートのアンカーロープを伝わって浮上した。
汗が背中を伝わるのを感じる。
溶き卵を菜箸に伝わらせて回し入れたら、火を止めて蓋をしましょう。
涙が彼女の頬を伝わっている
コロケーション
<もの>が
涙、汗、水
<動物>が
ネコ、サル、チンパンジー
<様態>
ゆっくり、静かに、すーっと
<経路>を
① もの:壁、屋根、はしご、ロープ、柱
② 身体部位:頬、背中、顔、額
解説
この意味の「伝わる」は、物理的物体が、あるものや場所を経路としてそれに沿って移動することを表しており、物理的存在があるものを経路として移動する語義1と類似している。ただし、語義1の主体は「音」や「熱」のように境界が明確ではない物理的存在であり、その移動は一方から他方への連鎖的移行であるが、語義2の移動の主体は「人」、「猫」、「水滴」など、他と区別することのできるものであり、これが移動の経路から離れずに一方から他方へ移動することを表す。また、語義1の「伝わる」では、主体は経路の内部を移動するが、この意味の「伝わる」では、主体は経路の表面に沿って移動する点でも異なる。なお、語義2において移動の経路となるのは「屋根を伝わって逃げる」の「屋根」や「汗が背中を伝わる」の「背中」のように面的な場所でも、「ロープを伝わって降りる」の「ロープ」のように線的な物体でもよい。いずれにしても、単にその経路を移動するというのではなく、移動の主体が人間や動物であればその経路に身体を沿わせたり、経路の一部を掴んだり、あるいは移動の主体がものの場合にはその本体(の一部)が経路に接した状態で離れることなく移動することを表す。また、語義2の「伝わる」もヲ格をとるが、これも語義1と同様、主体が行う行為によって変化が生じる<対象>ではなく、移動の<経路>を表している。
なお、ある経路に沿って、そこから離れることなく移動することを表すこの意味の「伝わる」のみ、同じく自動詞の「伝う」に置き換えが可能であり、また「伝わる」と「伝う」では「伝う」を用いるほうがより一般的である。
 ロープを伝って[伝わって]降りる。
 屋根を伝って[伝わって]隣家に移る。
 涙が頬を伝う[伝わる]
誤用解説
この意味の「伝わる」では、主体(の一部)が経路に接した状態で離れることなく移動することを表すが、例えば車のタイヤが道路に接した状態であっても、「車が道路を伝わる」とは言えない。
 一台の車が、家の前の道を伝わった
 一台の車が、家の前の道を通った[走った]
「伝わる」は、単に「道」などの経路を一方から他方に移動することを表すのではなく、本来経路ではない場所を経路とみなしたり、移動が困難な場所で何らかのものを経路とみなしたりして、そこから離れることなく移動することを表す。したがって、本来移動を目的として設けられた経路である「道路」や「道」などには、上記のように「通る」などを用いる。
類義語・反義語
類義語伝う、移る、移動する、流れる(汗が流れる)
反義語


3.表現形式の伝達自動詞中級★★
表記伝わる
表現形式が、人・組織に到達する。
文型
<表現形式>が伝わる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
テレビや新聞やインターネットを通じて、毎日さまざまなニュースが伝わる
海外生活で英語が伝わらず、ホームシックになった。
私の書いた文章が伝わりにくいと言われてしまった。
会議での発言が経営陣にそのまま伝わると困ったことになるだろう。
自分の言葉が相手にどのように伝わるかを意識して発言しよう。
「あの話はちゃんと課長に伝わっているみたいだよ」「それを聞いて安心した」
コロケーション
<表現形式>が
話、言葉、ニュース、表現、発言
<人・組織>に
人、相手、読者、国民
<様態>
うまく、正しく、そのまま、正確に
解説
この意味の「伝わる」は、あるものが一方から他方へ経路に沿って移動するという点では語義1と同様だが、語義3ではさらに、その移動だけでなく他方への到達にも焦点が当たる。また語義1の主体は「振動」や「音」などの物理的存在で、その移動は物理的移動であるのに対して、語義3の主体は「言葉」や「話」などの抽象的存在であり、その移動は抽象的移動であるという点が異なる。
電話やインターネットでコミュニケーションを行う際、アナログ回線や光回線などの回線を「信号が伝わる」ことにより、音声やデータが一方から他方へ届く(この「伝わる」は語義1である)。このような経験に基づき、我々はコミュニケーションを、ある経路に沿った移動に見立てることがある。この見立てでは、言語表現は容器であり、そこに込められた・思考・感情などの情報は容器の内容物であり、内容物が入った容器はある経路に沿って受け手に送られ、受け手は届いた容器から中身を取り出すと考えられる。この見立てにより、「言葉」などを主体として、「届く」や「通じる」、そしてこの意味での「伝わる」を用いることが可能になる。
 言葉に意味が込められる
 全然言葉が通じない
 私の言葉が彼女に伝わる[届く]
誤用解説
「伝わる」は「広まる」や「知れ渡る」と似た意味を表し、複数人に表現形式が到達することを表すことができるが、その場合であっても、「広まる」や「知れ渡る」が一斉に(放射状に)拡散することを表すこともできる一方で、「伝わる」の場合は、ある人(組織)からもう一方の人(組織)へと表現形式が到達し、さらにそれが別の人(組織)へと到達する、というように、一方からもう一方へ表現形式の到達が順次繰り返されて最終的に複数人の知るところとなる。
 その話は一瞬で広まった
 その話は一瞬で伝わった
上記の例では、「一瞬で広まる」は話が短時間で複数人に到達することを表すが、「一瞬で伝わる」は、「複数の人に一瞬で伝わった」などのように文脈の指定がない限り、複数人を想定せず、話の到達が短時間になされたことを述べるのみである。
類義語・反義語
類義語届く(ニュースが届く)、通じる(言葉が通じる)、広まる、知れ渡る
反義語


4.情報の伝達自動詞中級★★
表記伝わる
情報が、表現形式によって人・組織に到達する。
文型
<情報>が伝わる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼らの言葉から、憤りと悲しみが伝わる
どう言えば、ことの重大性が相手に伝わるだろうか。
私は口下手で、なかなか思いが伝わらない
我々の地域活性化に対する取り組みが、周辺住民にきちんと伝わる広報誌にしたい。
彼の話からは、ニュースでは伝わらない被災地の状況が伝わってくる。
我々国民には正しい情報が伝わっていない
stairsどんな風に話したら、自分の気持ちが相手につたわるでしょうか
コロケーション
<情報>が
① 意味:意味、真意、ニュアンス、趣旨
② 発信者の思考:意図、考え、意思
③ 発信者の感情:気持ち、思い、熱意、愛情、喜び
④ その他:情報、内容、イメージ、状況
<人・組織>に
人、相手、読者、人々、国民
<様態>
うまく、なかなか(~ない)、正しく、正確に、十分に、しっかり
<手段>で
言葉、写真、文章、文字、電話、メール
解説
この意味の「伝わる」は、「言葉」や「話」などの表現形式が一方から他方へ到達することを表す語義3から派生した意味である。語義3の解説で述べたように、我々はコミュニケーションを、ある経路に沿ったものの移動に見立てることがある。この見立てでは、言語表現は容器であり、そこに込められた意味・思考・感情などの情報は容器の内容物であり、内容物が入った容器はある経路に沿って受け手に送られ、受け手は届いた容器から中身を取り出すと考えられる。この見立てにより、語義3では「言葉」などの表現形式について「伝わる」と表現している。つまり、語義3の「伝わる」の主体は容器としての表現形式である。一方語義4の「伝わる」では、その表現形式に込められる内容物(<情報>)が主体となる。
 私の言葉がうまく伝わらない。(語義 3)
 私の思いがうまく伝わらない。(語義 4)
誤用解説
語義3と同様、語義4の「伝わる」も「広まる」や「知れ渡る」と似た意味を表し、複数人に情報が到達することを表すことができるが、その場合であっても、一斉に(放射状に)情報が拡散することを表すのではなく、ある人(組織)からもう一方の人(組織)へと情報が到達し、さらにそれがまた別の人(組織)へと到達する、というように、情報の到達が順次繰り返されて最終的に複数人の知るところとなる。
 大統領選の情報が、一瞬で広まった
 大統領選の情報が、一瞬で伝わった
上記の例では、「一瞬で広まる」は複数人に(ほぼ)同時に情報が到達することを表すが、「一瞬で伝わる」は、「複数の人に一瞬で伝わった」などのように文脈の指定がない限り、複数人を想定せず、話の到達が短時間になされたことを述べるのみである。
類義語・反義語
類義語届く(情報[気持ち]が届く)、通じる(意味が通じる)、広まる(考えが広まる)、知れ渡る(考えが知れ渡る)
反義語


5.状態の認識自動詞上級
表記伝わる
物事の状態が、人に認識される。
文型
<状態>が伝わる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
オープンキャンパスにお越しいただければ、本学の雰囲気が伝わると思います。
朝会社につくと、ピリピリとした空気が伝わってきた。
貝塚から出土した遺物から、当時の技術や生活が伝わってくる。
選手たちの笑顔から、勝利への自信が伝わってきた。
生放送の緊張感とともに,番組制作者の意気込みがひしひしと伝わってきました。
幼稚園のイベントは大盛況で、先生方の頑張りは十分に伝わっている
コロケーション
<状態>が
① 物事の状態:熱気、迫力、様子、雰囲気、魅力、姿勢、人柄、空気、姿、状況
② 人の精神状態:思い、緊張感、緊迫感、熱意、心、感じ、愛情、情熱、意気込み、感動、喜び、興奮、誠意、悲しみ
<人>に
人、相手、人々、周囲
<物事>から
① 人の様子:声、表情、態度、仕草
② その他:写真、文章、画面、作品
<様態>
ひしひし(と)、よく、なかなか(~ない)、すごく、強く、生々しく
解説
この意味の「伝わる」は、何らかの情報が一方から他方に到達して、他者がそれを認識することを表すという点で語義4と同様である。ただし、語義4が「言葉」などの表現形式を介して、そこに込められた<伝達内容>が他者に到達することを表すのに対して、語義5では、語義4のように伝達を意図した表現形式ではなく、人の表情や仕草、あるいはその場面や人々の様子によって、人の感情を含む物事の状態が他者に認識されることを表す。言い換えれば、人が伝達を意図して発した表現形式(およびそれに込められた情報)が受信者に到達することを表す語義4とは異なり、受信者が何らかの情報を認識する点にのみ焦点が当たっている。
 彼の文章から、彼の今の思いが伝わる。(語義4、「彼の今の思い」は「文章」の伝達内容)
 彼の文章から、彼の人柄が伝わる。(語義5、「彼の人柄」は「文章」の伝達内容ではない)
誤用解説
この意味の「伝わる」は、主体である情報(物事の状態)が人に認識されることを表すが、その認識の手掛かりとなるのは、その状態を有する物事の様子である。
 先生の口ぶりから、普段の苦労が伝わった
 先生の口ぶりから、保育園での息子の様子が伝わった
 先生の口ぶりから、保育園での息子の様子が分かった
一つ目の例では、先生の「普段の苦労」という情報が主体(ガ格)になっており、これを認識する手掛かりとなるのは、その先生自身の様子(「先生の口ぶり」)である。一方、二つ目の例では、「保育園での息子の様子」という情報が主体(ガ格)になっているが、それを認識する手掛かりは「先生の口ぶり」であり、「息子」自身の口ぶりや態度ではない。このような場合には、三つ目の例のように「伝わる」ではなく「分かる」などを用いる。
類義語・反義語
類義語わかる(状況がわかる)、見える(取り組みが見える)
反義語


6.物事の伝播自動詞中級★★
表記伝わる
物事が、ある地域(の人)から別の地域(の人)に至る。
文型
<物事>が<地域>に[へ]伝わる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
弥生時代になると、大陸から稲作が伝わった
「仏教はいつ日本に伝わったの」「6世紀と言われているよ」
明治維新後、開国によって他国の文化が日本に伝わり、服装を含む生活様式が欧米化した。
端午の風習は中国から伝わったものである。
古くからお茶の習慣は世界に広く伝わっていた
今や、漆塗りの伝統は全国に伝わっています
コロケーション
<物事>が
① 様式:文化、風習、習慣、伝統
② 技術:技術、製法
③ 思想:仏教、宗教、思想
<地域>に[へ]
日本、全国、地域、地方
<地域>から
大陸、海外、外国、西洋
<時>に
奈良時代、江戸時代、大昔
<様態>
はじめて、広く、徐々に
解説
この意味の「伝わる」は、空間における移動を表すという点では語義1と同様である。ただし、語義1では「振動が伝わる」や「音が伝わる」のように物理的存在が経路となるものを連続的に移動するが、この意味の「伝わる」の空間移動は、主体となる物事が自ら移動するのではなく、人の移動によって、人を介して物事が別の地域に至ることを表す。また、この意味の「伝わる」の主体は、実際に移動する人が有する「文化」や「技術」、「思想」などの物事である。
誤用解説
この意味の「伝わる」は、語義1および語義2と同様空間移動を表すが、それらの意味の「伝わる」とは異なり、移動のプロセスではなく、到達の方に焦点が当たっている。それゆえ語義1、2とは異なり、経路が問題にならないため、ヲ格をとることはできない。
 その習慣は海を伝わって、日本に来た。
 その習慣は海を渡って、日本に来た。
類義語・反義語
類義語広まる、渡る
反義語


7.物事の伝承自動詞上級
表記伝わる
物事が、ある時代(の人)から別の時代(の人)に至る。
文型
<物事>が伝わる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
症状はまちまちだが、この病気の遺伝子は、必ずのちの世代に伝わる
仏陀の説いた教えは、経典にまとめられ、後世に伝わった
せんべい汁は青森県八戸市に伝わる郷土料理です。
日本海では、新鮮なイカを使った料理が昔から伝わっている。 
この池には様々な逸話が伝わっている
この地域には、世界で類を見ないほどたくさんの古い文書が今日まで伝わっています
コロケーション
<もの>が
遺伝子、文書、料理
<こと>が
① 話:伝説、話、逸話、物語、エピソード
② 思想:考え、教え、知恵、
③ 様式:文化、風習、しきたり、催し、祭り
<人>に
子供、子孫、次の世代
<現在>に
今、今日、現代、現在
<後世>に
後世
<場所>に
土地、地域、一帯、村
<過去>から
昔、古く、江戸時代、古来、古代
<様態>
ずっと、長く、脈々と、根強く
非共起例
<もの>が
 この地方には、古くから芋煮が伝わっている。
 この地方には、古くから芋煮という郷土料理が伝わっている。
<もの>が主体である場合、そのカテゴリーを表すラベルは可能だが、特定のメンバーを表す表現は不可である。
解説
この意味の「伝わる」は、人が有する物事が他者に至るという点では語義6と同様だが、ある空間を経て物事が別の地域(の人)に至ることを表す語義6とは異なり、語義7では、時間を経て物事が別の世代の人に至ること、それにより主体が存在し続けることを表す。つまり語義7は、「この土地に長いこと伝わる伝説」のように、「伝説」が同じ場所(「この土地」)に時を経て存在し続けることを表しており、語義6のようにある場所から別の場所(例えば「中国から日本」)への人の空間的移動に伴う物事の移動を表すのではない。
なお、この意味の「伝わる」は、主体が長期にわたり存在する状態を表すため、テイル形で用いられることが多い。
類義語・反義語
類義語残る、受け継がれる
反義語


伝わるの全体解説 各語義の解説をご覧ください。
























▶全例文を聞く
<刺激>が
たいこの音は空気を振動させ,その振動がわたしたちの耳に伝わってくる。
(Information & Solution 新版情報B, 2006, 高)
樹皮の薄い、表面がツルツルした木は、さわると水分の多い幹の内部の温度が直接手に伝わるため、冷たく感じます。
(小六教育技術, 2005, 教育)
<経路>を
音は,物体のを波として伝わるので,空気以外の気体や,水などの液体,金属などの固体も,音を伝える。
(新しい科学 1分野上, 2005, 中)
このような具合に、情報のシグナルはまず電気信号として感覚ニューロンを伝わっていく。
(山元大輔著 『脳と記憶の謎』, 1997, 141)
<部分>から
スプリングの働きは、タイヤを通じて路面から伝わる衝撃を和らげることにあります。
(橋口盛典著 『クルマの基本メカニズム』, 2005, 537)
座っている席のからスチームの熱が伝わってきた。
(ウォーキングマガジン, 2005, スポーツ)
<部分>に
網の中で暴れる魚の手ごたえが、に伝わってくる。
(遠藤ケイ著 『雑想小舎便り』, 1987, 365)
つまり、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚という五つの感覚から取り入れた情報がに伝わるわけです。
(相良敦子,田中昌子著 『お母さんの工夫』, 2004, 379)
<様態>
サンダルは薄くて、石ころを踏みつけた時の痛みがじかに伝わってくる。
(シドニィ・シェルダン著;天馬竜行,紀泰隆訳 『時間の砂』, 1990, 933)
<もの>が
すぐに生温い液体が頬を伝わるのを感じた。
(山本恵三著 『ドッグファイター『神竜』』, 2002, 913)
感激のが頰に伝わるのを、おさえることができなかった。
(石川ひとみ著 『いっしょに泳ごうよ』, 1993, 767)
<動物>が
今にもその中からミミズが足を伝わり這い出てきそうな気がして真は顔を顰めた。
(菅敏彦著 『熊蝉』, 2003, 913)
<様態>
さっきから先生の顔はまっかにのぼせて、あせがぽたぽた、ほおをつたわっていました。
(バラージュ作;徳永康元訳 『ほんとうの空色』, 2001, )
<経路>を
空調設備の不備からウイルスが配管を伝わり階上に漏出して感染した疑いが濃厚になった。
(山崎光夫著 『ジェンナーの遺言』, 1986, 913)
血が指の間から吹きだし、を伝わって流れた。
(ロバート・スウィンデルズ作;斉藤健一訳 『弟を地に埋めて』, 1988, )
<表現形式>が
私ははなっから自分の言ったが相手に伝わるのは、平均で30%くらい、と思っています。
(上大岡トメ著 『キッパリ!』, 2004, 365)
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、さらにはインターネットなどを通じて、さまざまなニュースが伝わってくる。
(秋庭道博著 『座談の達人!』, 2001, 809)
<人・組織>に
真心を込めた言葉は、必ず相手に伝わると思います。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
噂は諸国に伝わり、美の女神の耳に達するのに時間はかかりませんでした。
(高橋康雄著 『ギリシアの女神の物語』, 1994, 164)
<様態>
テレビやラジオでの一言が日本全国の何千万という視聴者に一気に伝わるのである。
(佐々淳行編著 『自然災害の危機管理』, 2001, 369)
<情報>が
子どもの表現が曖昧なものであっても、母親の耳には子どもの意図が伝わる。
(橘英彌編著 『障害児教育に生かす心理学』, 2001, 378)
意味が正確に伝わるというのは、文章に求められる実際的な利点である。
(清水義範著 『大人のための文章教室』, 2004, 816)
<人・組織>に
平易な言葉で具体的な事実を描いているだけですが、その苦労の並々ならぬことがおのずから読者に伝わってくる。
(辰濃和男著 『文章の書き方』, 1994, 816)
あなたが抱いている恐れの感情は、いかにうまく隠そうとしても、それを見ている人々に伝わってしまいます。
(ドリーン・バーチュー著;宇佐和通訳 『スピリチュアル・ガイド』, 2002, 147)
<様態>
こちらの伝えたいことがうまく伝わらないこともあるでしょう。
(地域ST連絡会失語症会話パートナー養成部会編 『失語症の人と話そう』, 2004, 493)
広く知られているように、釈迦は自分の教えが正しく伝わっていく時代は約五百年と考えた。
(篠原令著 『もうひとつの「空海の風景」』, 2003, 188)
<手段>で
ある学者は『言葉で伝わるメッセージは全体の35%で、残りの65%は言葉以外の手段で伝えられる』と言っています。
(美的(BITEKI), 2005, 一般)
英語でコミュニケーションしようとする場合、日本語のような婉曲な表現ではこちらの真意が伝わりません。
(廣田和子著 『きみは変われる!』, 2005, 377)
<状態>が
一生懸命働いているつもりでいるのに、どうも子どもにはその苦労が伝わっていないようです。
(増田修治著 『話を聞いてよ、お父さん!比べないでね、お母さん!』, 2001, 375)
隣の部屋からは賑やかな酒盛りの様子が伝わってくる。
(秋野沙夜子著 『熟年夫婦の味わい』, 2004, 049)
<人>に
会社などで相手に直接謝るときも、表情の雰囲気が相手にそのまま伝わる。
(エンサイクロネット・ビジネス著 『どんな人にも好かれる魔法の心理作戦』, 2004, 361)
でも子供に自分の愛情がきちんと伝われば、子供は親の愛を食べてすくすく育つと信じています。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
<物事>から
長老たちの表情からは「これが最後の一縷の望み」という必死さが伝わってきた。
(丸山直樹著 『アフガン乾いた大地戦火の中の民』, 2002, 302)
その文章から筆者の知性と品格が伝わってきて、すがすがしい読後感を持ったりすることもある。
(清水義範著 『大人のための文章教室』, 2004, 816)
<様態>
そう語る志村さんの眼差しからは、洋服に対する純粋な想いがヒシヒシと伝わってきた。
(Boon(ブーン), 2003, 家庭/生活)
できあがったこの新聞を読むと原爆投下後の惨状が生々しく伝わってくる。
(宇野勝子著 『教育・戦争・女性』, 2005, 375)
<物事>が
実は、キリスト教が伝わる以前から、ローマ人達は、一二月の末に「冬至の祭り」を行う習慣を持っていたのである。
(林信吾著 『英国ありのまま』, 1994, 302)
それによって西洋の文化が東洋に伝わると同時に東洋の文化も西洋に流れていった。
(比毛一朗著 『凧大百科』, 1997, 759)
<地域>に[へ]
長崎に南蛮ガラスの技術が伝わると、その技術はやがて大阪に流れ、さらに江戸に達した。
(泡坂妻夫,五木寛之著 『遠い彼方の愛』, 2001, 913)
日本にミシンが伝わったのは1860年。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<地域>から
「山」という漢字が中国から伝わってきたとき、わたしたちの祖先は、それは自分たちが「やま」とよんでいるものを表すことに気づいた。
(国語 1, 2005, 中)
<時>に
六世紀半ばにあたる飛鳥時代に、朝鮮半島経由で日本に仏教が伝わった。
(武光誠著 『知っておきたい日本の神様』, 2005, 172)
<様態>
おそらく寧楽の京に仏法が初めて伝わったときは、僧と尼の差別は無かったと思われるが、ここへ来てそれが顕著となった。
(三枝和子著 『淳和院正子』, 1999, 913)
<もの>が
誰だって、自分の遺伝子がどこからつたわってきたかについては知る権利があります。
(栗本薫著 『新・魔界水滸伝』, 1995, 913)
<こと>が
ですから自分の身についたその食事習慣がそのまま自然に自分の子に伝わってゆけば、それでよいわけです。
(山本勝美著 『3歳児は困ったちゃん?』, 2005, 599)
そう言えば王羲之のことで、もう一つこんなが伝わっている。
(鈴木史楼著 『書のたのしみかた』, 1997, 728)
<人>に
これは、体細胞単位で明らかに形質の変化が遺伝的にそれ以降の世代に伝わったことを意味する。
(フジテレビ編 『アインシュタインTV』, 1992, 404)
<現在>に
に伝わる詩歌は5万首近くあり、今日でも人びとに喜ばれているものが多い。
(〓延明編 『絵で見る中国の歴史』, 1995, 222)
わたしの願いは、明治から大正・昭和と、現代に伝わったヒコの墓を、在るがままの姿で次代に残したいというのである。
(近盛晴嘉著 『ジョセフ=ヒコ』, 1986, 289)
<後世>に
後に鎌倉幕府が出来た頃、一所懸命、という言葉が生れ、後世にまで伝わった。
(池宮彰一郎著 『平家』, 2003, 913)
<場所>に
この地方に伝わっている伝説では、彼女は一七六三年、北京で死んだことになっています。
(陳舜臣著 『中国歴史の旅』, 1997, 915)
神奈川の民話という本を読んでも、その伝説が古くから漁村に伝わっていたことがわかる。
(実相寺昭雄著 『ウルトラマンの東京』, 2003, 778)
<過去>から
それぞれ,その国にから伝わる技術を生かし,その国の特色ある工芸品をつくっているのです。
( 『学習図説小学校社会科全集』, 1992, )
ここには古代から伝わる魔法が今も息づいている。
(榎木洋子著 『龍と魔法使い』, 1999, 913)
<様態>
この川について昔からずっとこういう物語が伝わってきています。
(井沢宣子著 『日本語教師が見た中国』, 1996, 302)






























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