尋ねる・訪ねる(たずねる)
2グループ
▶活用を見る・聞く
1.
説明や答えを求める
人がある人に分からないことについての説明や答えを求める
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
2.
ある場所へ行く
人がある人に会うためにある場所へ行く
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
3.
ある場所へ行く
人がある目的のためにある場所へ行く
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
▼
全体解説
▲
トップ
尋ねる・訪ねる
のコアイメージ
1.
説明や答えを求める
他動詞
中級
★★
表記
たずねる、尋ねる、訊ねる
人がある人に分からないことについての説明や答えを求める
文型
〈人〉が〈人〉に〈こと〉を[について]たずねる||〈人〉が〈人〉に〈内容〉(の)か(と)[(の)かどうか(と)]たずねる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
美術館の閉館時間を電話で
たずねた
。
▶
観光客に駅への行き方を
たずねられた
。
▶
人に名前を
たずねる
ときは、先に自分の方から名のるのが礼儀である。
▶
彼に趣味は何かと
たずねると
、「山登り」と答えた。
▶
どうして泣いているのかと
たずねても
、娘は何も答えない。
▶
娘に、夕食は家で食べるのかどうかを
たずねた
。
コロケーション
〈人〉が
私、【人名】(さん)、観光客、友人、男
〈人〉に
【人名】(さん)、母、私、人、子供、友人
〈こと〉を
理由、道、様子、名前、消息
〈こと〉について
問題、点、関係、理由、それ
〈内容〉(の)か(と)
どうした、何があった、どうしている、どうして(な)、本当(な)
〈様態〉たずねる
まず、さらに、いろいろ、もう一度、早速、いきなり
非共起例
〈人〉が〈人〉に〈こと〉を[について]たずねる
道[名前]について
たずねる
。
道[名前]を
たずねる
。
▶
「について」は、ある物事の内容に関わることを質問するときに使う。そのため、「道」や「名前」のような手段や名称を質問する場合は「について」は使えない。その場合は「を」を用いる。
誤った共起例
誤った共起例
解説
▶
人がある人に分からないことについての説明や答えを求めることを表す。この語義1が最も基本的な意味である。
誤用解説
選挙で民意を
たずねる
。
選挙で民意をとう。
「たずねる」は、ある人に具体的な説明や答えを教えてもらうときに使う。よって、「民意」のように、多くの人々の意思や考えを広く知りたい場合には用いない。その場合には「とう」などを用いる。
類義語・反義語
類義語
質問する、聞く、問う
反義語
2.
ある場所へ行く
他動詞
中級
★★
表記
たずねる、訪ねる
人がある人に会うためにある場所へ行く
文型
〈人〉が〈場所〉をたずねる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
彼女が突然我が家を
たずねてきた
。
▶
警察がAさんのところを
たずねた
のは一度ではないらしい。
▶
上司の家を
たずねて
事情を話し、会社をやめることを了承してもらった。
▶
商店街の事務所を
たずねて
、商店街の変化と今後のあり方について聞いた。
▶
フランス留学時代の友だちが京都に私を
たずねてきた
。
▶
山田先生に直接ご指導いただきたく、A大学に山田先生を
たずねた
。
コロケーション
〈人〉が
私、【人名】(さん)、友人、男、刑事
〈場所〉を
家、事務所、部屋、自宅、【組織】
〈人〉を
【人名】(さん)、私、先生、母、友人
〈場所〉に
【地域名】、【組織名】、家、屋敷、ホテル
〈様態〉たずねる
はじめて、突然、わざわざ、再び、一度、よく
非共起例
〈人〉が〈人〉を〈場所〉にたずねる
A「明日11時に、あなたを京都に
たずねます
」B「はい、わかりました」
A「明日11時に、お宅を
たずねます
」 B「はい、わかりました」
▶
「〈人〉が〈人〉を〈場所〉にたずねる」は、聞き手や読み手が、ある人がどこにいるのかを知らない場合、その人のいる場所を明示するために使う表現である。よって、誤用例のように、Bの自宅に行くのに「あなたを京都にたずねます」とは言わない。その場合は、「お宅をたずねます」などと言う。
誤った共起例
誤った共起例
解説
▶
語義2は「人がある人に会うために、ある人がいる場所へ行く」ことを表す。語義1との関係について考えると、「人がある人に分からないことについての説明や答えを求める」(語義1)ために「ある人がいる場所へ行く」(語義2)場合があると考えられるため、語義1と語義2は因果関係にある。
誤用解説
山田先生に相談したいことがあるので、散歩コースを
たずねて
みよう。
山田先生に相談したいことがあるので、散歩コースに行ってみよう。
「たずねる」は、人がある人に会うために、ある人がいる場所へ行くということを表すが、ここで言う「ある人がいる場所」とは、ある人が長い時間を過ごす場所を指している。よって、誤用例の「散歩コース」のように、ある人(山田先生)が一時的にしかいない場所へ行くことを「たずねる」とは言わない。その場合は、「行く」などと言う。
類義語・反義語
類義語
訪問する、訪れる
反義語
3.
ある場所へ行く
他動詞
中級
★★
表記
たずねる、訪ねる
人がある目的のためにある場所へ行く
文型
〈人〉が〈場所〉をたずねる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
オペラの本場、イタリアを
たずねてみたい
。
▶
ルネサンス研究を志す学者は、必ずフィレンツェを
たずねる
。
▶
以前からここには古い風俗が残っていると聞いていたので、一度この地を
たずねたい
と思っていた。
▶
ゴルフ場建設の視察のため、同僚とその村を
たずねた
。
▶
世界中の人たちがこの美術館を
たずねるのは
、ここにしかない彫刻がたくさんあるからです。
▶
私たちは資料館を
たずね
、町の歴史を調べることにした。
▶
思い出の地を再び
訪ねてみませんか
コロケーション
〈人〉が
私、私たち、人々、友人、観光客
〈場所〉を
【地域名】、ゆかりの地、村、美術館、資料館
〈様態〉たずねる
はじめて、一度、たびたび、よく、実際に
非共起例
〈人〉が〈場所〉をたずねる
教科書を持って帰るのを忘れたので、教室を
たずねた
。
教科書を持って帰るのを忘れたので、教室に取りに行った。
▶
「たずねる」は、ある人が普段行かない場所に、ある目的のために行くことを表す。そのため、誤用例のように、普段通っている「教室」に行く場合には「たずねる」とは言わない。その場合には、「取りに行く」などと言う。
誤った共起例
誤った共起例
解説
▶
語義3は「人がある目的のために、ある場所へ行く」ことである。語義2との関係について考えると、両者は「ある場所へ行く」という点は共通している。また、語義2の「人がある人に会うために」というのは、「人がある目的のために」ということの一種である。よって、語義3は語義2から意味が拡張したものであると言える。
誤用解説
共通テストを受けるために名古屋大学を
たずねた
。
共通テストを受けるために名古屋大学を
おとずれた
。
「たずねる」の主眼は、「(他の場所ではない)目当ての場所へ行く」ことにある。よって、誤用例のように、「共通テストを受ける」ことに主眼があり、たまたまその会場となった名古屋大学へ行くという場合には「たずねる」とは言わない。その場合は「おとずれる」などを用いる。
類義語・反義語
類義語
訪れる
反義語
尋ねる・訪ねる
の全体解説
各語義の解説をご覧ください。
▶全例文を聞く
previous
play
next
stop
mute
max volume
repeat
shuffle
full screen
コーパス
アニメ
慣用表現
複合語
語義
1
〈人〉が
◆
私
が尋ねても、彼は返事をしなかった。
(太田忠司著 『降魔弓事件』, 1996, 913)
◆
「日向ぼっこをしているのですか」と、年長の
男
が尋ねる。
(松定ちよし著 『原本枕草子に操られたキツネとタヌキ』, 2004, 913)
〈人〉に
◆
なんのために働いてきたのか、と私は
長谷川さん
に訊ねた。
(亀山早苗著 『夫が職を失ったとき』, 1998, 367)
◆
何を話しているのか思い切って
友人
に尋ねたところ、彼は一冊のノートを私に見せてくれた。
(井形慶子著 『イギリス式お金をかけず楽しく生きる!』, 2002, 590)
〈こと〉を
◆
彼女がずっと立っているので、
理由
を尋ねると、座ると痛むからだと言う。
(マラ・セン著;鳥居千代香訳 『インドの女性問題とジェンダー』, 2004, 367)
◆
母は自分の姉や妹の
近況
を尋ねた後、ささやくような声で、話し始めました。
(李英和責任編集 『北朝鮮・日本人妻たちへの鎮魂歌』, 1997, 334)
〈こと〉について
◆
家族
関係
について訊ねると、母親とは仲が良く、友達のようだという。
(岡田尊司著 『悲しみの子どもたち』, 2005, 368)
◆
まず、家族で食事に出掛ける
動機
について尋ねたところ、1家事の軽減、2家庭では味わえない味を味わうため、という回答が最多でした。
(白石和良著 『中国社会風俗事情』, 1996, 292)
〈内容〉(の)か(と)
◆
その人はいま
どうしてる
のと私は尋ねた。
(岩瀬成子著 『やわらかい扉』, 1996, 913)
◆
彼女はジョンというのは
誰
かと尋ねた。
(パトリック・ベッソン著;朝比奈弘治訳 『ダラ』, 1992, 953)
〈様態〉たずねる
◆
「君でも泣くことがあるの」唯野は好奇心から
さっそく
訊ねる。
(筒井康隆著 『文学部唯野教授』, 1990, 913)
◆
私は、
思わず
、「そのお話を本にお書きになりませんか」と訊ねた。
(パトリック・ノートン著;大内侯子,栩木泰訳 『能楽師になった外交官』, 1999, 289)
語義
2
〈人〉が
◆
ある日、司馬遼太郎が取材で訪れていた京都のホテルに、古い
友人
が訪ねてきた。
(高橋春成著 『亥歳生まれは、大吉運の人』, 2004, 148)
◆
そんなある日、靖夫さんのもとに一人の
男
が訪ねてきました。
(円山雅也監修;飯野たから,神木正裕著 『実戦離婚マニュアル』, 2004, 324)
〈場所〉を
◆
翌日、中本さんに別れを告げようと、昼前に彼の
家
を訪ねた。
(斉藤政喜著 『シェルパ斉藤の行きあたりばっ旅』, 1998, 291)
◆
私は、今日、先生の委任状を持って、もう一度、ボストンのハイアット
病院
を訪ねた。
(西村京太郎著 『十津川警部の挑戦』, 1988, 913)
〈人〉を
◆
ケンブリッジの外れに住む
友人
を訪ねた時のことだ。
(井形慶子著 『イギリス式お金をかけず楽しく生きる!』, 2002, 590)
◆
そこでようやく、シェフィールドの
家族
を訪ねたところ、両親はとうに死に、結婚した妹も死んだのだと聞かされたのです。
(駒崎優著 『開かれぬ鍵抜かれぬ剣』, 2001, 913)
〈場所〉に
◆
大使自身、政府代表として公式の謝罪をしようと、
外務省
に伊東正義外相を訪ねた。
(池井優著 『駐日アメリカ大使』, 2001, 319)
◆
「
スペイン
にお訪ねしたのは、わたしの方でお役に立てると思ったからです」
(シドニィ・シェルダン著;天馬竜行,中山和郎訳 『時間の砂』, 1991, 933)
〈様態〉たずねる
◆
龍園さんの気持ちは、ちょうど、まねかれて恋人の家を
初めて
訪ねる時のそれだった。
(鈴木忠雄著 『人生正午の鐘が鳴る』, 1995, 185)
◆
美沙緒は、数日前、昭吾が
いきなり
事務所を訪ねて来た話をした。
(CLASSY., 2002, 一般)
語義
3
〈人〉が
◆
私
が初めてマルケサスを訪ねたのは一九六三年です。
(篠遠喜彦,荒俣宏著 『楽園考古学』, 2000, 275)
◆
世界中の
人たち
がこのマウリッツハイス美術館を訪ねるのは、フェルメールの名前がついた展示室があるからです。
(NHK「世界美術館紀行」取材班編 『NHK世界美術館紀行』, 2005, 706)
〈場所〉を
◆
何カ月間か悩んだ挙げ句、ある日、加恵子はその
町
を訪ねてみた。
(乃南アサ著 『鎖』, 2003, 913)
◆
その後も仕事の都合などで、幾度となく東北の
地
を訪ねている。
( 『夢魔』, 2001, 913)
〈様態〉たずねる
◆
だが、未知の土地を歩いている最中に、
突然
その土地を訪ねてしまうかも知れない。
(串田孫一著 『新選山のパンセ』, 1995, 914)
◆
現地を
実際に
訪ねて住宅情報を収集する
(シニアライフ研究会編 『年金をもらってシニアライフは海外で!』, 2004, 302)
語義
3
▶
思い出の地を再び
訪ねてみませんか
金の草鞋(わらじ)で尋ねる
意味
根気よく探し求める
用例
彼のような好人物は、金の草鞋で
尋ねても
見つけ出すことは難しいだろう。
故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る
意味
昔のことを学ぶことで、新しい見解を得る
用例
歴史を学ぶときには、故(ふる)きを
温(たず)ねて
新しきを知るという精神が必要だ。
コーパスからの用例
「歴史の法則」とは、過去の出来事を「モデル」として研究し、現在の出来事を理解し、未来の出来事を予測する姿勢です。これは「温故知新(ふるきを
たずねて
新しきを知る)」の諺にもあるように、昔から重視されてきたことでもあり、現代でも通用する方法です。(栗田昌裕『脳をいままでの10倍よく働かせる法』、2004、4自然科学 )
複合動詞 V1
尋ね当てる、尋ね合わせる、尋ね出す、尋ね入る、尋ね出す
複合動詞 V2
尋ね人、尋ね物、尋ね者
尋ねる・訪ねる
(2グループ)の活用
▶活用を聞く
アクセント型
起伏型
辞書形
たず
ね
る
ない形
たず
ね
ない
~なかった
たず
ね
なかった
ます形
たずね
ま
す
~ません
たずねま
せ
ん
~ました
たずね
ま
した
~ませんでした
たずねま
せ
んでした
~とき
たず
ね
るとき
ば形
たず
ね
れば
意向形
たずね
よ
う
て形
た
ず
ねて
た形
た
ず
ねた
可能形
たずねら
れ
る
受身形
たずねら
れ
る
使役形
たずねさ
せ
る
閉じる