立つのコアイメージ

1.直立状態自動詞初級★★★
表記立つ
人や動物が足で体を支え、直立状態になる。
文型
<人・動物>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
交番の前に警察官が立っている
通勤電車で空席が見つからず、降車駅までずっと立っていた
講師が入場すると、参加者は椅子から立ち、拍手で迎えた。
赤ちゃんは1歳前後で自力で立てるようになる。
父が小学生の頃は罰として廊下に立たされたそうだ。
牛・馬・羊などの草食動物は生まれた後すぐに自分の足で立つことができる。
コロケーション
<人・動物>が立つ
人、男、女、子ども、赤ちゃん、犬
<場所>に
前、後ろ、左、右、中央、正面、玄関、廊下、窓辺
様態
じっと、まっすぐ、しっかり、すっくと、ずっと、ちゃんと
解説
語義1は「直立状態」を表す。動物の多くは4本の足で体を支えている状態が「立っている」状態であるが、中には人間のように2本足(後ろ足)で「立つ」ことのできる動物や個体もある。例文3のように低い姿勢から体を起こす場合は「立ち上がる」と言い換えが可能である。語義1に類似した意味を持つものとして「起きる」語義1(上体の直立)がある。詳細は「起きる」語義1の解説を参照。
類義語・反義語
類義語起きる、直立する
反義語座る、しゃがむ、横たわる


2.建造物の完成自動詞初級★★★
表記建つ・立つ   ※建物の場合は「建つ」が用いられることが多い。
建造物(またはそれに準ずるもの)ができる。設置される。
文型
<建造物>がたつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
私の住んでいる家は大通りに面して建っているが、最近、向かいに大きなマンションが建ち、日当たりが悪くなってしまった。
市の中心部では次々に高層ビルが立っている
この学校が建ってからもう50年になる。
オリンピックで金メダルを獲得した選手の記念碑が立つそうだ。
早稲田大学の構内には創立者・大隈重信の像が立っている
四日市、五日市、八日市などの地名は、その数字がつく日に市(いち)が立ったことに由来する。
コロケーション
<建造物>が
家、マンション、アパート、市、市場(いちば)、碑、像、塔、鳥居、灯台
<場所>に
駅前、市内、郊外、境内(けいだい)
<時間>
来年、年末に、春(に)、週末(に)
解説
語義2は「建造物の完成」を表し、通常、その建造物は長い期間存続する。しかし、例文6の「市[市場]」(物を売買する場所)は多くの場合テントを伴うことから一時的な仮設の建造物としてとらえられる。
類義語・反義語
類義語できる、完成する、竣工する、建設される、建造される、建立される、築かれる
反義語倒れる、壊れる、崩れる


3.ものごとの成立自動詞上級
表記立つ
ものごとが成立する。
文型
<ものごと>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
予期せぬ洪水のため、トンネルの完成はまったく見通しが立たない
業績が悪化して、一向に借入金返済の目処(めど)が立たない
人手不足のため工事が大幅に遅れていたが、作業員が追加され、ようやく完成のめどが立った
友だち数人で旅行に行きたいと思ってるんですが、みんな休みが不規則で、なかなか予定が立ちません
そんな対応では、取引先への義理が立ちませんよ。
今までいろいろしてもらった恩を返さなければ義理が立たない
コロケーション
<ものごと>が
見通し、目処、予定、予想、予測、道筋、言い訳、計画、目標、論理、理屈、説、仮説、義理
<様態>
肯定文:何とか、ようやく
否定文:まったく、一向に、なかなか
解説
語義3は「ものごとの成立」を表す。これは語義2「建造物の完成」から派生していると考えられ、語義2よりも主体の抽象度が増している。


4.垂直状態(もの)自動詞初級★★★
表記立つ
細長いものが垂直状態で存在する。
文型
<細長いもの>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
庭に大きな欅(けやき)の木が立っている
クリスマスの時期になると、いろいろなところにクリスマスツリーが立つ
初めて行く場所だったが、看板が立っていたのですぐにわかった。
駅前のスーパーのすぐ横に郵便ポストが立っている
湯飲みをのぞくと茶柱が立っていた
的に矢が立っている
コロケーション
<細長いもの>が立つ
木、棒、看板、ポスト、電柱、煙突、茶柱、矢、とげ
<様態>
まっすぐ(に)、ちゃんと
共起語
解説
語義4は「細長いものが垂直状態で存在する」ことを表す。例文5の「茶柱」とはお茶の葉に混ざった茎のことで、お茶をいれた時に茶柱が立つと縁起が良い(幸運が訪れる)とされている。例文6の「矢が立つ」の例では、矢は的に対して垂直になっている。
類義語・反義語
類義語
反義語倒れる


5.上向き(身体部分)自動詞中級★★
表記立つ
身体部分が上向きになる。
文型
<人・動物>の<身体部分>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
森下君はいつも寝癖で後頭部の毛がピンと立っている
整髪料を使って髪の毛を立たせる
犬は緊張状態にある時、背中の毛が立ち、耳がピンと立つ
猫の尻尾が垂直に立っているときは、うれしいときや甘えたいときだそうだ。
外に出たらとても寒くて、一瞬で鳥肌が立った
ルーブル美術館で、あの有名な「モナリザ」を見た瞬間、感動で思わず鳥肌が立った
コロケーション
<身体部分>が
毛、耳、尻尾、鳥肌、乳首、陰茎
<様態>
ピンと、垂直に、思わず
解説
語義5は「身体部分が上向きになる」ことを表す。これは主として非意図的な動作や身体反応に使われる(例文2は意図的な動作の例)。「鳥肌が立つ」とは、皮膚が鳥の皮のようにぶつぶつになる現象で、立毛筋(りつもうきん)が収縮し、毛が立つことによって起きる。「鳥肌が立つ」は、以前は例文5のように寒さや恐怖、不快の表現として使われていたが、近年では例文6のように感動した時にも使われる。


6.現象の発生自動詞中級★★
表記立つ
現象が発生する。
文型
<現象>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
台風が近づき、海上では波が立っている
中華鍋に油を入れ、煙が立つぐらいまで熱してください。
風呂上がりの体から湯気が立っている
秋から冬にかけて、この川には濃い霧が立つ
この石けんは良く泡が立つ
急激な寒波の到来で庭に霜柱が立った
コロケーション
<現象>が
波、さざ波、煙、湯気、霧、泡、風、秋風、香り、陽炎(かげろう)、砂ぼこり
<起点>から
工場、煙突、山、湖面、湯呑(ゆのみ)、鍋、体
<様態>
もくもくと、もうもうと、ふわっと、きりっと、荒々しく
解説
語義6は「現象が発生する」ことを表す。その現象は気体、液体、固体のいずれの場合もある。例文6の「霜柱」とは地中の水分が地表にしみ出して柱状に凍ったものである。なお、「波風が立つ」は主に別の意味で使われる。語義8(関係の悪化)を参照。
類義語・反義語
類義語出る、生じる、発生する
反義語消える、静まる


7.噂・評判の発生自動詞中級★★
表記立つ
噂・評判等が生じる。
文型
<こと>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
近所のケーキ屋は、近々値上げするという噂が立っている
妙な噂が立つと、彼のキャリアに傷がつくだろう。
川野教授の講義はわかりやすいという評判が立った
一度悪い評判が立ってしまうと、それを挽回するのは困難だ。
東日本大震災では原子力発電所の事故に伴う根拠のない風評が立ち、たくさんの会社が倒産した。
変な噂を立たせないよう、私は一生懸命火消しに走った。
コロケーション
<こと>が
噂、評判、風評、悪評
<場所・範囲>
近所に、街中に、社内で、職場で、学校で、仲間内で
<時間>
あっという間に、一晩で
解説
語義7は「噂・評判の発生」を表す。この語義では主体は抽象物である。噂や評判は目に見えないが、(語義6「現象の発生」の)煙がある場所から発生し、周囲に広がる様子と同じようにとらえられていると考えられる。
類義語・反義語
類義語出る、広まる、広がる
反義語消える、なくなる


8.関係の悪化自動詞上級
表記立つ
ある言動によって関係が穏やかでなくなる。もめごとが生じる。
文型
<こと>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
前例のないことをしようとすると、何かと波風が立つものだ。
波風を立たせるような人はリーダーには向かない。
大統領の一言によって、良好な二国間関係ににわかに波風が立った
本音で話して波が立つくらいなら、黙っていたほうがいい。
正論ばかりでは、角(かど)が立つ
同窓会のお誘いをお断りするのに、角が立たない言い方はないかしら?
stairs角が立たないようにすることが大切なのね。
コロケーション
<こと>が立つ
波風、波、角
解説
語義8は、ある言動によって人との関係が穏やかでなくなったり、もめごとが生じることを表す。「波風が立つ」は「穏やかな水面(関係)に激しい風によって波が立つ(荒れる)」という語義6(現象の発生)の比喩的表現である。また、「角が立つ」は「ものの言い方に角があり(とげとげしい)、丸みがない(穏やかでない)」という意味である。
誤用解説
「角が立つ」はとげとげしいイメージがあることから、ほめ言葉として使用されることはない。
 (ほめ言葉として)正論ばかりでは、角が立つ。
 (批判や非難として)正論ばかりでは、角が立つ。


9.立場・位置自動詞中級★★
表記立つ
人や団体が、ある立場や位置にある。
文型
<人・団体>が<立場・位置>に立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
(野球)1回裏のホームランで、タイガースは優位な立場に立った
中西先生は80歳を超えてもなお研究の最前線に立たれている
百合子は進学か就職かの岐路に立って悩み続けている。
閣僚の相次ぐ失言と不祥事が首相を窮地に立たせることになった。
創業100年の名門企業が経営不振で崖っぷちに立たされている
投資は短期的な変動に一喜一憂せず、長期的視点に立つことが重要だ。
コロケーション
<人・団体>が
太郎、田中さん、経理課、チーム
<立場・位置>に
① 立場・位置:立場、先頭、頂点、トップ、首位、最前線、第一線、スタートライン、~の上、~の間、~の側、岐路、矢面(やおもて)、苦境、窮地、崖っぷち、土俵際
② 見方・考え方:視点、観点、考え方、認識、視野、展望、見地、考え、原則、判断、見解
解説
語義9は「人や団体が、ある立場や位置にある」ことを表す。コロケーションに示したように、<立場・位置>の共起語はいろいろなものがある。
類義語・反義語
類義語就く
反義語降りる


10.役割の遂行自動詞中級★★
表記立つ
ある場所でその場所にふさわしい役割を遂行する。
文型
<場所>に立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
私の夢は母校の教壇に立ち、後輩を育成することです。
死ぬまで舞台に立ち続けたい
(野球)あいつをもう一度甲子園球場のマウンドに立たせてやりたい。
(ボクシング)再びリングに立つことを目指して、過酷なリハビリ生活を続けた。
(相撲)ケガで休場していた力士が3場所ぶりに土俵に立った
この日の裁判では4人の関係者が検察側の証人に立った
コロケーション
<場所>に
教壇、舞台、ステージ、演壇、マウンド、バッターボックス、打席、ピッチ、リング、土俵、証言台
<様態>
初めて、再び、もう一度、常に
解説
語義10は「ある場所で役割を遂行する」という意味を表す。上の例からわかるように、ある場所にただ立つのではなく、その場所にふさわしい役割(例えば「舞台」なら演技、「スポーツ」なら試合や競技、「証言台」なら証言)をすることを表す。例文6の「証人に立つ」は「証人として証言台に立つ」を短くした言い方と考えられ、「証言台に立つ」「証言に立つ」も使われる。
類義語・反義語
類義語上がる(舞台[マウンド、土俵]に上がる)※「あがる」語義1の解説を参照。
反義語降りる


11.立候補自動詞中級★★
表記
選挙に立候補する。
文型
<人>が<選挙>に立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今度の選挙に誰も立たないようなら私が立つ
村長選で3期ぶりに対抗馬が立った
協会の会長選挙は対立候補が立たなかったため、現会長が無投票で再選された。
この選挙区では定数2に対し5人の候補者が立っており、大混戦になっている。
3人の有力候補に立たれて新人の村田氏は苦戦している。
「我々の代表として、選挙に立ってください!」
stairsPTA会長選挙、誰も候補に立たないのよ。
コロケーション
<選挙、候補者、候補>に
市議会議員選挙(市議選)、市長選、県議選、知事選、衆議院議員選挙(衆院選)、参議院議員選挙(参院選)、総裁選、会長選挙、理事長選挙、学長選挙、候補者、候補
解説
語義11は「選挙に立候補する」という意味を表す。選挙への立候補はしばしば馬の出走にたとえられ、「出馬する」とも言う。また、例文2のように対立候補のことを「対抗馬」とも言う。
類義語・反義語
類義語出る、出馬する
反義語降りる


12.感情の高まり自動詞中級★★
表記立つ
感情(特に怒り・憤り)が高まる。興奮する。
文型
<心身>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
店員の失礼な対応に腹が立った
あの人の話し方は偉そうで、まわりの人の腹を立たせる
大事なお金を詐欺(さぎ)にだまし取られてしまった。儲け話に乗ってしまった自分に腹が立つ
理不尽なクレームに腹が立って仕方がない。
弟は来月に受験を控え、気が立っている
母馬は仔馬を出産したばかりで気が立っている
コロケーション
<心身>が
腹、気、神経
<様態>
猛烈に、非常に、とても
<対象>に
店員、相手、自分、対応、クレーム、要求
非共起例
<腹以外の体の部位>が立つ
 店員の失礼な対応に頭が立った。
 店員の失礼な対応に腹が立った。
感情が起こるのは頭や胸であるととらえられることが多いが、怒りの意味では「腹が立つ」が慣用句として頻繁に使用される。一方、うれしさや喜びは、「胸がいっぱいになる」のようにほぼ慣用句的に使用される。
解説
語義12は「感情の高まり」を表す。「腹が立つ」は「怒りを抑えられない」という意味で、「気が立つ」とは「いらだつ、興奮する、神経質になる」という意味である。なお、緊張で神経が過敏になっている状態を口語では「ピリピリしている」という。「(心の)上方への移動/位置」が「(心が)不安定な好ましくない状態になる」ことについては、「あがる」語義16(緊張)の解説を参照。
類義語・反義語
類義語怒る、憤る、興奮する
反義語おさまる、落ち着く


13.優れた技能自動詞上級
表記立つ
技能が優れている。
文型
<人>は[が・の]<もの・こと>が立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼はまだ二十歳(はたち)そこそこだが、腕が立つ職人として有名だ。
うちの弟は体が細くて弱々しく見えるが、ケンカになるとめっぽう腕が立つ
裁判で絶対負けたくないので、腕の立つ弁護士を雇った。
橋本教授は筆が立つので、新聞や雑誌に何本もコラムを連載している。
弁が立つ人でなければ、国会議員になるのは難しい。
コロケーション
<もの・こと>
腕、筆、弁
<様態>
とても、めっぽう
解説
語義13は「技能が優れている」という意味を表す。「立つ」は低い位置から高い位置への変化を伴うことから質的な意味(高い技能)が派生したと考えられる。上例で「腕が立つ」は主として職人や外科医などの優れた技能や格闘における強さを表すが、例文3の「弁護士」のように直接的に「腕」が関係ない技能にまで拡張して使われる。例文4の「筆が立つ」は文章が上手という意味、例文5の「弁が立つ」は話が上手、雄弁であるという意味である。
誤用解説
「腕が立つ」の意味・用法が拡張しているとはいっても、主に足を使い、腕を使わない(使ってはいけない)スポーツの選手について「腕が立つ」と言いにくい。
 彼は腕が立つランナー[サッカー選手]だ。
類義語・反義語
類義語優れている
反義語


14.移動・出発自動詞中級★★
表記立つ、発つ   ※「出発」の意味では「発つ」も使われる。
それまでいた場所を離れる。別の場所へ向かう。
文型
<場所>を立つ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
その人は「ちょっと失礼」と言って席を立ち、そのまま戻って来なかった。
もし、相手があまりにも理不尽な要求を突きつけてきたら、交渉を打ち切り、テーブルを立とう
早朝の飛行機に乗るため、まだ暗いうちにホテルを発った
食事中に隣の人にトイレに立たれ、いやな気分になった。
「会長は昨日の最終便でアメリカへお発ちになりました
彼は大学卒業後、世界一周の一人旅に発った
stairs明日は日本へ発たなければならない
コロケーション
<場所>を
席、座、テーブル、ホテル、宿、空港、日本
<別の場所>に
トイレ、お手洗い、台所、ロンドン、アメリカ、戦場
<目的>に
旅、旅行
<時間>に
早朝、明け方、夜中、~時、~日、月末
解説
語義14は「移動・出発」を表す。移動や出発は立ち上がった後に続く動作であり、その関連・つながりから派生した意味と考えられる。
類義語・反義語
類義語離れる、中座する、出発する
反義語着く、戻る


立つの全体解説 慣用句の「役に立つ」は、一語化した「役立つ」も使われるが、前者は「Xの[に]役に立つ」のように、Xの後の助詞が「の」でも「に」でもいいのに対し、後者は「Xに役立つ」のようにXの後の助詞が「に」に限定される。
 この本は就職活動立つ。
 この本は就職活動立つ。
 この本は就職活動役立つ。
 この本は就職活動役立つ。
























▶全例文を聞く
<人・動物>が立つ
振り向くと素敵ながそこに立ってた。
(岬魅堂著 『とてものどかな雨日和』, 2004, 913)
声がするので、ふりむくと、そこに優しそうな顔をした紀州犬が立っていました。
(大江健三郎ほか編 『大岡昇平全集』, 1996, 918)
<場所>に
背後に三人の仲間が立っている。
(誉田哲也著 『吉原暗黒譚』, 2004, 913)
美鈴は悠由の正面に立って、たずねた。
(倉橋燿子作;目黒直子絵 『月が眠る家』, 2005, 913)
様態
じっと立っていると足元から少しずつ冷えてくる。
(小野清春写真/文 『消えゆく茅葺き民家』, 2002, )
足を肩幅に開いてまっすぐに立ちます。
(鈴木正成監修 『ダンベル体脂肪ダイエット』, 2001, 595)
<建造物>が
本町通りには、黒澤家という旧家が建つ。
(季刊銀花, 2001, 文学/芸術)
ガレージの奥に、プレハブの建物が建っている。
(志茂田景樹著 『背後霊は殺しがお好き』, 1992, 913)
<場所>に
駅の前には、数年前から寅さんの像が建っている。
(谷川彰英著 『死ぬまでにいちどは行きたい六十六カ所』, 2005, 291)
<ものごと>が
銀行からの融資もまったく見通しが立たない。
(船井幸雄著 『この一粒の「知恵の種」』, 2001, 159)
その返事が来るまでは予定が立たない。
(文芸ポスト, 2005, 文学/芸術)
<様態>
ようやく、カンボジアに「米百俵」スクール建設のめどが立ったのである。
(原山建郎編著 『小泉首相が注目した「米百俵」の精神』, 2001, 370)
<細長いもの>が立つ
森のはずれに、樹齢何百年というカシのが立っていた。
(ジャン・レイ作;榊原晃三訳 『地下の怪寺院』, 1987, )
両脇には古い石細工のが立っていた。
(C.ホーガン著;赤尾秀子訳 『封印』, 1997, 933)
<身体部分>が
おこると、下じきをこすったときと同じ静電気が起こり、自然にが立ってしまう。
(近野十志夫編著 『おもしろクイズいぬ・ねこ事典』, 1992, )
<様態>
いびきが不思議なのか、尻尾がぴんと立っている。
(山本一力著 『あかね空』, 2001, 913)
<現象>が
ライターの小さな音に続いて、タバコからが立った。
(維住玲子著 『ブラボーセブン』, 1999, 913)
鍋に砂糖と水を入れて火にかけ、褐色に色づいて大きなが立つまで煮つめる。
( 『オーブン不要のお菓子作り』, 1991, 596)
<こと>が
悪いが立つことが死ぬより怖いという人はけっこういる
(ロバート・キヨサキ,シャロン・レクター著;白根美保子訳 『金持ち父さん貧乏父さん』, 2000, 338)
そのうち、彼は説教が上手で、予言と病気を治す力を持つ高徳の師としての評判が立った。
(石田敦士著 『歩いて書いたヨーロッパの歴史』, 2004, 230)
<場所・範囲>
彼が中学生になったとき、付近では妙な噂が立つようになった。
(梓林太郎著 『安曇野殺人旅愁』, 1994, 913)
<こと>が立つ
本音で話すより、波風が立たないほうを選んできた。
(亀山早苗著 『夫が職を失ったとき』, 1998, 367)
どんなふうに言えば、が立たずに断れるでしょうか。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<立場・位置>に
読む人の立場に立って、わかりやすく書き直してその後、書き直されたものは見違えるほどよくなっていました。
(さとう秀徳著 『画期的成果が上がった!』, 2003, 336)
フェミニズムの視点に立つ作家論を発表し注目される。
(鶴見俊輔編 『源流から未来へ』, 2005, 051)
精神力の強さは、窮地に立ったときによく現れる。
(岩永修幸編 『蹴球神髄』, 2005, 783)
<場所>に
日本が敗れた時、彼女は胸を病んで教壇に立つのを休んでいた。
(短歌, 2002, 文学/芸術)
翌年四月には再び来日し、このときはレーピンが初来日してふたりが同じステージに立った。
(伊熊よし子著 『ヴェンゲーロフの奇跡』, 2000, 763)
<選挙、候補者、候補>に
市長選に立つなら、大学に籍を置いたままというわけにはいかんでしょう」
(深谷忠記著 『「邪馬台国の謎」殺人事件』, 1989, 913)
<心身>が
思い出すだけでが立つ。
(宮乃崎桜子著 『燐火鎮魂』, 1999, 913)
ふたりが寝静まったあともが立ってなかなか眠れなかった。
(松井今朝子著 『家、家にあらず』, 2005, 913)
<対象>に
不甲斐なさに、腹が立つ。
(志村一矢著 『月と貴女に花束を』, 1999, 913)
<もの・こと>
組織をまとめて仕事をしていく棟梁の絶対条件は「腕がいい」「が立つ」ことであった。
(島田燁子著 『日本人の職業倫理』, 1990, 153)
彼はなかなかが立つので挙人に合格したが、もう広州へは帰らず捐納で県令の資格を得て台湾へ割り当てられた。
(高陽著;鈴木隆康,永沢道雄訳 『西太后』, 1995, 923)
<場所>を
不愉快になった一行は早々にを立つ。
(中森晶三著 『「能」が今、教えてくれること』, 1990, 773)
ショクリは小浪とキミヨのふたりをマイクロバスに乗せると早々にホテルを発った。
(真小松克著 『美と罪との戯れ』, 2003, 913)
<目的>に
同じ月、夫婦してフランスへ休暇旅行に発つ少し前、ヴァージニアはBBC放送に出た。
ルース・ウェブ著;別宮貞徳監訳;亀田幸子,日向やよい訳;松村麻美編 『図説『ヴァージニア・ウルフ』』, 2001, 930)






























角が立たないようにすることが大切なのね。
PTA会長選挙、誰も候補に立たないのよ。
明日は日本へ発たなければならない
歯が立たない

意味
(硬すぎるものは噛めないことから)相手にかなわない。難しくて解決できない。
用例
N1の試験を受けたが、漢字が多い上に語彙や表現が難しく、まったく歯が立たなかった
コーパスからの用例
家庭用の消火器では全く歯が立たなかった火災は、消防隊員によって直ぐに消しとめられた。(阿刀田高選 『やっぱり奇妙にこわい話』, 2002, 913)
白羽(しらは)の矢が立つ

意味
特定の人物がある役目にとりあげられること。
用例
代表者の選出にあたって、木村氏に白羽の矢が立った
コーパスからの用例
官邸では当時の佐藤(栄作)内閣の“大番頭”保利茂官房長官と記者団の緊迫したやりとりが続いていた。その中で、犯人側との交渉役として山村新治郎運輸政務次官に白羽の矢が立った。ソウルでの人質解放後、その身代わりとして北朝鮮のピョンヤンに飛んだ山村次官は後に“身代わり新治郎”の異名で知られることになる。(サンデー毎日, 2005, 一般)
火のない所に煙は立たぬ[立たない]

意味
「実体のないところに噂だけが立つことはない」という意味(語義6、7を参照)。
用例
ことわざでは「火のない所に煙は立たぬ」というが、現在のネット社会では、火のない所に無理やり煙を立て、無実の人を陥れることがある。
役に立つ[役立つ]

意味
(人やものが)あることをする能力があり、有用であること。
用例
もし私でお役に立つ[役立つ]ようでしたら、喜んでお手伝いいたします。
コーパスからの用例
雨、また、雨。傘をさして歩いても、大した役には立たなかった。(吉村夜著 『マンイーター』, 2001, 913)
人目に立つ

意味
他人の注意を引く。目立つ。
用例
そんな派手な服装では、人目に立ちますよ。
コーパスからの用例
彼とブレイク嬢がデヴォンシャー県を出て、次に定住したのがこの邸です。人目に立つようなことを求めるでも隠すでもなく、ただ夫婦と子供たちと静かな田園生活の幸せに浸りました。(ウィルキー・コリンズ著;小池滋訳『ウィルキー・コリンズ傑作選』, 1999, 933)
立つ鳥跡を濁さず

意味
(水鳥が飛び立ったあとの水辺は、きれいな状態で濁っていないことから)立ち去る者は、あとが見苦しくないようにきれいに始末をすべきであるということ。この「立つ」は語義14(移動・出発)。
用例
先日定年退職した塚田さんの机には物一つなく、次の人がいつ来ても大丈夫な状態になっていた。まさに立つ鳥跡を濁さずだ。
コーパスからの用例
バーベキューの後始末をして、使ったお皿も全部洗って、ビン・カンを資源ゴミに分け、立つ鳥跡を濁さず状態にしておく。(七海花音著『約束の少年』, 2005, 913)
いても立ってもいられない

意味
心配や興奮、イライラなどで心が落ち着かず、じっとしていられない様子(この「いる(居る)」は「座る」という意味で、「座っていることもできないし、立っていることもできない」ということ)。
用例
テレビで「脱原発」の集会の様子を見て、私も何かしなければといても立ってもいられなくなった
コーパスからの用例
三が日をすぎたころから、なんとなく胃が重く、胃の存在を感じる。「もしや胃ガンでは…」と思いはじめたら、もう、いても立ってもいられない。さっそく近くの大病院を訪れた。(水野肇著『夫と妻のための老年学』, 1978, 369)
顔[面子(メンツ)、面目(めんぼく・めんもく)]が立つ

意味
名誉・体面が保たれる。
用例
美津子の手助けのおかげで、何とかキャプテンの顔が立ちました
コーパスからの用例
皆で長い時間をかけて用意してきたプランを、ろくに検討もせず却下されてはリーダーとして面目が立たない
複合動詞 V1

立ち会う、立ち上がる、立ち上げる、立ち入る、立ち返る、立ち込める、立ち去る、立ちすくむ、立ち尽くす、立ち止まる、立ち直る、立ち並ぶ[建ち並ぶ]、立ち退く、立ち上る、立ちはだかる、立ちふさがる、立ち迷う、立ち回る、立ち向かう、立ち戻る、立ち寄る
複合動詞 V2

いきり立つ、勇み立つ、色めき立つ、浮き立つ、思い立つ、降り立つ、切り立つ、騒ぎ立つ、そびえ立つ、突き立つ[突っ立つ]、飛び立つ、並び立つ、成り立つ、煮え立つ、匂い立つ、引き立つ、奮い立つ、舞い立つ、燃え立つ、萌え立つ、沸き立つ、連れ立つ、群れ立つ
複合名詞

立ち合い、立ち会い、立会人、立ち上がり、立ち上げ、立ち位置、立ち居振る舞い、立ち襟、立ち往生、立ち木、立ち消え、立ち聞き、立ち食い、立ちくらみ、立ち漕ぎ、立ち仕事、立ち小便、立ち姿、立ち席、立ちっぱなし、立ち直り、立ち退き、立ち飲み、立場、立ち話、立ち回り、立ち見、立ち役、立ち読み、立ち寄り、立ち技、朝立ち、泡立ち、一本立ち、出で立ち、いら立ち、生い立ち、顔立ち、木立ち、キャラ立ち、逆立ち、巣立ち、総立ち、旅立ち、つかまり立ち、仲立ち、成り立ち、仁王立ち、腹立ち、早立ち、ひと煮立ち、独り立ち、棒立ち、目鼻立ち
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