するのコアイメージ

1.行為他動詞初級★★★
表記する
人や動物などが自分の意志である行為を行う。
文型
<人・動物・組織>が<こと>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
最近息子がほぼ毎日アルバイトをしている
この工場には、黙々と作業をする若者がたくさんいます。
鈴木さんは、しばらく一人旅をしようと思っているそうです。
「お母さん、友達の家に遊びに行ってもいい?」「宿題をしてからなら、いいわよ」
我が家の庭で、いつも野良猫におしっこをされて、本当に困っているんです。
校閲部は、限られた時間の中で大量の原稿のチェックをしなければならない
stairs夕べ遅くまで今日の資料作りをしていたんです…。
コロケーション
<こと>をする
仕事、生活、努力、勉強、食事
<様態>する
しっかり、きちんと、しばらく、少し、まず
非共起例
<こと>をする
 煙草をする
 煙草をやる
 今夜、一杯しよう
 今夜、一杯やろう
「煙草」、「麻薬」など、嗜好に関する名詞は「する」と共に用いることはできず、通常、「やる」のヲ格名詞として用いられる。但し、「一杯」については「⼀杯をやる」
<こと>をする
 映画をする
 映画をやる
 ニュースをしている
 ニュースをやっている
テレビやラジオ等の媒体における放送・放映を表す用法は「する」にはない。したがって、「映画」、「ニュース」、「ドラマ」、「番組」等の名詞は「する」ではなく「やる」のヲ格名詞として用いられる。
解説
語義1は、「する」の最も典型的な意味である。「する」という動詞自体は、人や動物などによる何らかの意志的な行為の遂行という抽象度の高い意味を表し、その行為の実質的な意味内容は通常、ヲ格名詞(句)が表す。このヲ格名詞(句)は、「仕事」、「勉強」、「ゲーム」といった動作を表す(具体性の高い)ケース、「努力」、「判断」、「無理」といった思考、精神に関する行為を表す(抽象度の高い)ケースなど、極めて多岐に渡る。なお、語義1においては「やる」の典型的意味と類義的な関係にある。ただし、「する」が話し言葉においても書き言葉においても用いられるのに対し、「やる」は主に話し言葉で用いられ新聞記事や公文書などの硬い文体の文章ではほとんど用いられないという違いがある。加えて、「する」のヲ格名詞は極めて多岐に渡るのに対し、「やる」のヲ格名詞は主に動作性、意志性、具体性、継続性の高い行為を表すものであるという違いもある。(例えば、語義1の必須項における「仕事」、「勉強」、「ゲーム」などは「やる」のヲ格名詞になり得るが、「努力」、「判断」、「無理」などは「やる」のヲ格名詞になり得ない。また、自らの意志に基づかない行為を表す「する」の語義2のヲ格名詞も、「やる」のヲ格名詞にはなり得ない。)
誤用解説
通常、「する」(単一の述部)と複数のヲ格名詞(句)とは共起しない。
 兄は中国語を勉強をしている。
 兄は中国語の勉強をしている。
 兄は中国語を勉強している。
類義語・反義語
類義語やる、行う
反義語やめる


2.自分の意志に関わらない経験他動詞初級★★★
表記する
人や動物などが、自分の意志とは関わらないある行為を行う。
文型
<人・動物>が<こと>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
幼い頃、両親と離れて暮らしていた私は、何度も寂しい思いをしました
「伊藤さん、ご無事で何よりでした」「生まれて初めて、あんな恐ろしい経験をしたよ。もう地震はこりごりだ」
聞いたところによると、山本君はこれまでに何度も不思議な体験をしているらしい。
私の指示が不十分だったために、部下に何度もミスをさせてしまい、本当に申し訳なく思っています。
正直者は損をするなんて言うけど、私はそれでも正直に生きていきたい。
「何度繰り返しても、実験、成功しないんです」「何度だって失敗をすればいいんだよ。それこそが成功への近道だと思うよ」
コロケーション
<こと>をする
思い、経験、体験、損、失敗
<様態>する
必ず、やはり、よく、いつも、初めて
解説
語義2は語義1と、人や動物などの何らかの行為を表すという点で共通している。ただし、語義1が主体の意志に基づく行為であるのに対し、語義2は主体の意志に基づかない行為であるという違いがある。語義2はヲ格名詞を必須項として取るものの、それは動作ではなく経験であり(したがってガ格名詞も動作主体ではなく何らかの経験の主体であり)、ヲ格名詞を必須項とする「する」の意味の中でも、他動性の低いケースの1つである。なお、語義2の必須項「<こと>を」の「<こと>」を表す名詞に関して、「思い」、「損」、「失敗」など、常に主体の意志に基づかないケースであるものが存在する一方、「体験」、「経験」のように意志的なケース(語義1における必須項)かそうではないケース(語義2における必須項)かが文脈によって決まる場合もある。
誤用解説
語義1をはじめとして、「する」と「やる」は類義的な関係にある語義が複数あるが、語義2(主体の意志に基づかない行為)については「する」と「やる」の置き換えはできない。
 悲しい思いをやる
 悲しい思いをする
類義語・反義語
類義語経験する、体験する
反義語


3.生理現象他動詞初級★★★
表記する
人や動物に、ある生理現象が生じる。
文型
<人・動物>が<こと>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
父が突然、大きなくしゃみをした
「さっきからずっとせきをしているけど、風邪でも引いたの?」「うん、そうなの。季節の変わり目だからね。洋子ちゃんも気を付けてね」
人前でげっぷをしてはいけません。
人間だけではなく、犬もおならをするらしい。
先生に対して失礼だから、授業中に大きなあくびをしないでください。
赤ちゃんは、しゃっくりをする回数が大人よりも多い。
コロケーション
<こと>をする
くしゃみ、せき、あくび、おなら、げっぷ、しゃっくり、まばたき
<様態>する
よく、いつも、ずっと、堂々と、いきなり
非共起例
<こと>をする
 いびきをする
 鳥肌をする
 いびきをかく
 鳥肌が立つ
生理現象の中でも、特定の動詞との結び付きが固定的であるケース(「いびき」、「鳥肌」)は、「する」のヲ格名詞にはならない。
解説
語義2は人間や動物などの、自らの意志に基づかない行為一般を表すが、語義3はその一種である生理現象を表す。語義2と同様、ヲ格名詞を必須項とする「する」の意味の中でも、他動性の低いケースの1つである。なお、生理現象は通常、自らの意志に関わらずに生じる事柄だが、「次郎は大きなくしゃみをしてやった」、「花子は少しだけあくびをした」、「剛は何度もまばたきをした」などのように、その程度を主体がコントロールできる場合もある。
誤用解説
語義3と「出す」は類義的であるが、生理現象の中でも、体内から体外への気体の放出が顕著ではないケースに関しては「する」を「出す」に置き換えることはしにくい。
 しゃっくりを出す
 あくびを出す
 しゃっくりをする
 あくびをする
類義語・反義語
類義語出す
反義語止める


4.怪我・病気他動詞初級★★★
表記する
人や動物に、ある怪我や病気が生じる。
文型
<人・動物>が<こと>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
兄はジョギングの最中に石につまづいて転び、顔にけがをした
下痢をするといけないので、くれぐれもこの国では生水を飲まないでください。
私は3歳の頃、足にひどいやけどをしてしまった。
「2年前に重い病気をしましたが、今ではすっかり元気になりました」「そうだったんですね。ご病気のこと、全く存じ上げませんでした」
結核をしたことのある人は肺がんにならない、という話は全く根拠がないものだ。
長女は小さい頃に、おたふく風邪をしていません
stairs幸い骨折はしなかったけど、手首を捻挫しちゃったの。
コロケーション
<こと>をする
けが、下痢、やけど、病気、結核
<様態>する
少し、よく、すぐ、一度、いつか
<身体の一部>にする
足、手、顔、頭、首
非共起例
<こと>をする
 風邪をする
 風邪をひく
病気の中でも、「風邪」は常に「ひく」という動詞と用いられるため、「する」のヲ格名詞にはならない。
<こと>をする
 弟が(怪我で)傷をした
 弟が(怪我で)傷を負った
怪我の結果として生じる「傷」に関しては、「する」のヲ格名詞としては用いられず、「負う」のヲ格名詞として用いられる。
解説
語義4は語義3と、人や動物に、(自らの意志に関わらない)何らかの状況が生じることを表すという点で共通している。加えて、ヲ格名詞を必須項としながらも他動性の低いケースである、という点も共通している。ただし語義3では、状況(生理現象)の程度を主体がコントロールできる場合もあるが、語義4では通常、状況(怪我や病気)の程度を主体がコントロールすることはできない。なお、「<身体の一部>に」という要素(付加詞)は、怪我の場合には付加することができるが、通常、病気の場合には付加することができない。
誤用解説
語義4と類義的な動詞として、「かかる」が挙げられる。語義4において人や動物に何らかの病気が生じることを表すのに対し、「かかる」を用いると、人や動物が何らかの病気の影響を受けるという側面がより焦点化される。ただし、「かかる」は病気にのみ用いられ、怪我に用いることはできない。また、「する」のヲ格名詞(句)は、「かかる」の場合にはニ格名詞(句)となる。
 祖父は重い病気かかった。
 祖父は重い病気かかった。
 祖父はひどいやけどにかかった
 祖父はひどいやけどをした
類義語・反義語
類義語かかる、やる
反義語治す、治る


5.他者に対する行為他動詞初級★★★
表記する
人や動物などが自分の意志で、他の人や動物やものに対する働きかけとしてのある行為を行う。
文型
<人・動物・組織>が<人・動物・組織・もの>に[に対して・に向かって・に対する・への]<こと>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
先生が生徒たちに、修学旅行の概要についての説明をした
「分からないことがあれば、遠慮なく質問をするように」「はい、分かりました」
今日は、素焼きした器に色付けをしましょう
1人で悩んでいるくらいなら、思い切って誰かに相談をすれば良い。
あの動物園のオランウータンは、いつもお客さんに対して激しく威嚇をしたり、檻に向かって突進をしたりすることで有名だ。
我が大学では今後も継続的に、被災地への支援をしようと考えています。
コロケーション
<人・動物・組織・もの>にする
あなた、友達、犬、会社、花
<こと>をする
説明、質問、電話、アドバイス、いたずら
<様態>する
しっかり、きちんと、必ず、よく、あらかじめ
解説
語義1が人や動物などによる自らの意志に基づく行為一般を表すのに対し、語義5は限定的に、他者(他の人、動物、組織、もの)に対する働きかけとしての行為を表す。したがって、語義1と異なり、語義5では、ガ格名詞(句)とヲ格名詞(句)に加えて、働きかけの対象を表すニ格名詞(句)も必須項となる。
誤用解説
移動の到達点を表す際は助詞の「に」と「へ」を置き換えることが可能な場合があるが、語義5のように、行為の向かう対象(他の人、動物、組織、もの)を表す際は「に」を「へ」に置き換えにくく、「に」の方が自然である。
 三郎君が友達いたずらをした。
 三郎君が友達いたずらをした。
 娘は毎日、庭の花水やりをします。
 娘は毎日、庭の花水やりをします。
類義語・反義語
類義語やる、行う
反義語やめる


6.他者の職務・役割の成立他動詞中級★★
表記する
人や組織が、異なる人や組織に対して(職業、社会的な立場などの)ある職務や役割を果たさせる。
文型
<人・組織>が<人・組織>を<職務・役割>にする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
田中先生が山田君を学級委員にした
「鈴木君を、今度のコンパの幹事にしたらいいと思うんだけど、どうかな?」「鈴木君、最近はすごく忙しいみたいだし、河村さんの方がいいかもよ」
山本会長は、中西氏を次期社長にすることを決めた。
理事会では、本学を来年度の学会の開催校にしたいという意見で一致しているようです。
私には、長男を何としてでも医者にしなければならないという強い思いがある。
彼は、議員のご令嬢を自分の息子の嫁にしようと画策しているらしい。
コロケーション
<人・組織>をする
息子、彼、山田君、中西氏、貴校
<職務・役割>にする
委員、幹事、医者、嫁、恋人
<様態>する
いずれ、なんとか、必ず、やはり、すぐ
解説
語義5が他者に対する働きかけとしての行為一般を表すのに対し、語義6はその一種としての、他者にある職務や役割を成立させるという行為を表す。この、成立のさせ方には大きく2つのケースがある。まず、「田中先生が山田君を学級委員にする」、「理事会が本学を学会の開催校にする」のようなケースは、他者に対する、ある職務や役割の遂行に関する指示や任命を表す。次に、「父が息子を医者にする」、「彼は、議員のご令嬢を息子の嫁にする」のようなケースは、他者に対して何らかの働きかけ(協力、支援、画策など)を行い、その結果としてその他者にある職務や役割を担うことを実現させることを表す。なお、語義6は「XがYをZにする」という文型で用いられるが、ここでのYをガ格名詞(句)にして、「YがZをする」という文型にすると、語義13の用法となる。(例えば、語義6の用法が「田中先生が山田君を学級委員にする」であり、対応する語義13の用法は「山田君が学級委員をする」である。)ただし、語義13と語義6は全てのケースにおいて対応するわけではない。「嫁」、「恋人」、「友達」、「仲間」のような、人間関係上の何らかの役割、位置づけを表す名詞は、語義6におけるニ格名詞(Z)にはなるが、語義13のヲ格名詞(Z)にはならない。(例えば、語義6の用法として「太郎が花子を恋人にする」は成立するが、これに対応する「花子が恋人をする」という用法は成立しない。)
誤用解説
語義6の「XがYをZにする」という文型は、通常、「Xが」「Zに」「Yを」「する」という順に変えることはできない。
 社長は重役に中山氏をするだろう。
 社長は中山氏を重役にするだろう。
 父は弁護士に長男をした。
 父は長男を弁護士にした。


7.異なるもの・人・組織への変化他動詞初級★★★
表記する
人や動物や組織が、あるものや人や組織を、異なる性質を有するものや人や組織に変える。
文型
<人・動物・組織>が<もの・人・組織>を<もの・人>にする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
父はいつも釣った魚を自分で刺身にします
子どもの頃はよく、板切れや段ボールをおもちゃにして遊んだ。
古くなったタオルは、すぐに捨てずにぞうきんにすれば良い。
「これは、どんな植物なんですか?」「コウゾというんです。私たちはこれを、和紙にするんですよ」
桃太郎は、犬、猿、雉を仲間にして、鬼退治に行きました。
A社がB社の子会社にされるかもしれないという噂が広がり、A社の多くの社員が不安を抱いているようだ。
コロケーション
<もの・人・組織>をする
魚、紙、彼、会社、日本
<もの・人・組織>にする
刺身、おもちゃ、枕、味方、友達
<様態>する
まず、なんとか、これから、いつも、すぐ
解説
語義5が他者に対する働きかけとしての行為一般を表すのに対し、語義7はその一種である、他者を異なるもの、人、組織に変化させるという行為を表す。なお語義7には、「魚を刺身にする」、「コウゾを和紙にする」のようにあるものの形状を変化させるケース、「本を枕にする」のようにあるものの形状自体は変えず機能を変化させるケース、「彼を味方にする」、「A社をB社の子会社にする」のように人や組織の属性を変化させるケースがある。
誤用解説
語義7の「XがYをZにする」という文型は、通常、「Xが」「Zに」「Yを」「する」という順に変えることはできない。(この点は、語義6と同様である。)
 父が刺身に鯛をする。
 父が鯛を刺身にする。
 A社は子会社にB社をした。
 A社はB社を子会社にした。


8.具体性の高い属性の変化他動詞初級★★★
表記する
人や動物や組織が、あるものの知覚可能な何らかの性質や状態を、異なる性質や状態に変える。
文型
<人・動物・組織>が<もの>を<属性>する
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
姉はいつも部屋をきれいにしています
私は家をもっと大きくしたいと思っているが、妻は小さくしたいと思っているようだ。
「この店で働く上での注意事項があれば教えていただけますか?」「髪はまとめ、爪は短くして、常に清潔感を保つようにしてください」
課長は、新型車を従来の自動車よりも格段にコンパクトにすることをお望みのようだ。
山に登るときには、荷物は極力少なくした方が良いと思います。
県としては、この道路を広くするつもりはないらしい。
コロケーション
<もの>をする
荷物、紙、爪、部屋、道
<属性>する
大きく、少なく、高く、きれいに、コンパクトに
<様態>する
しっかり(と)、きちんと、少し、なんとか、もっと
非共起例
<属性>する
 道路を広いにする。
 道路を広くする。
 部屋をきれいなする。
 部屋をきれいにする。
語義8では、必須項の「<属性>」を形容詞(イ形容詞)で表す場合には「広く」、「大きく」、「少なく」等の形で用いる。また、形容動詞(ナ形容詞)で表す場合には「きれいに」、「はなやかに」、「いびつに」等の形で用いる。
解説
語義8は、人や動物や組織が、他者(あるもの)に何らかの変化をもたらすということを表す点で、語義7と共通している。ただし、語義7ではある存在から別の存在への変化に焦点が当たっているのに対し、語義8ではある存在の何らかの属性の変化に焦点が当たっているという違いがある。(したがって、語義7では「鯛を刺身にする」、「本を枕にする」のように、主体が変化をもたらす前と後で、変化の対象となるものの名前、呼び方が変わるが、語義8では変わらない。)なお、属性は通常、形容詞(イ形容詞)や形容動詞(ナ形容詞)で表されるが、「コンパクト(に)」、「スリム(に)」のように外来語で表すケース(助詞「に」を伴う、形容動詞に相当する用法)、「広げた状態(に)」、「狭めた状態(に)」のようにある属性の変化を表す動詞のタ形(あるいはテイル形)に「状態」という名詞と助詞「に」を伴った形で表すケースがある。いずれのケースにおいても、属性は、視覚、触覚など五感に基づく知覚が可能な、具体性の高いものである。
誤用解説
語義7と同様に、「XがYをZにする」という文型は、通常、「Xが」「Zに」「Yを」「する」という順に変えることはできない。
 姉がきれいに部屋をする。
 姉が部屋をきれいにする。
 自治体が広く道路をした。
 自治体が道路を広くした。


9.抽象的な属性の変化他動詞初級★★★
表記する
人や動物や組織が、ある事物の何らかの機能や状況を、異なる機能や状況に変える。
文型
<人・動物・組織>が<もの・人・組織・こと>を<属性>する
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
香さんはいつもチームの雰囲気を良くしてくれる。
この問題はあまりにも簡単なので、もっと難しくするべきだ。
スピーチの原稿を一応考えてはみたものの、できればもっと面白くしたい
「原さん、新しいPCを買ったんですね」「そうなんですよ。前のPCは、3歳の息子にジュースをかけられて、だめにされてしまったんです」
落ち込んでいる彼女を、何とか元気にしてあげられれば良いのだが。
あの人にはきっと、あの人自身が事態を厄介にしているということへの自覚が全くないのでしょう。
コロケーション
<もの・人・組織・こと>をする
PC、彼女、会社、問題、雰囲気
<属性>する
良く、難しく、面白く、だめに、元気に
<様態>する
さらに、少し、ちょっと、もっと、かなり
非共起例
<属性>する
 雰囲気を良いにする。
 雰囲気を良くする。
 彼女を元気なする。
 彼女を元気にする。
語義9では語義8と同様に、必須項の「<属性>」を形容詞(イ形容詞)で表す場合には「良く」、「難しく」、「面白く」等の形で用いる。また、形容動詞(ナ形容詞)で表す場合には「元気に」、「だめに」、「複雑に」等の形で用いる。
解説
語義9は語義8と、人、動物、組織がある存在の何らかの属性を異なる属性に変えることを表す点で共通している。ただし、語義8では属性を変える対象がもののみであるのに対し、語義9はもの、人、組織、事柄であるという違いがある。また、語義8における<属性>は五感に基づく知覚が可能で具体性が高いのに対し、語義9における<属性>は思考や感情に基づいて把握され、抽象度が高いという違いもある。
誤用解説
語義8と同様に、「XがYをZにする」という文型は、通常、「Xが」「Zに」「Yを」「する」という順に変えることはできない。
 彼女が良くチームの雰囲気をする。
 彼女がチームの雰囲気を良くする。
 彼が複雑に事態をした。
 彼が事態を複雑にした。


10.思考・感情・態度他動詞中級★★
表記する
人が、他の事物に対して、ある思い、考え、感情、態度を示す。
文型
<人>が<人・動物・組織・もの・こと>を<思考・感情>する・<人>が<人>に<態度>する
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
山本さんは、ご両親をとても大切にしています
「おじいちゃんに買ってもらったおもちゃ、大事にしなきゃだめでしょ」「うん、分かった」
私たちは皆、コンサートでの黒川さんの演奏を何より楽しみにしていた
高橋君はどんなトラブルに対しても、他人の助けをあてにせず、自分自身で解決しようという気概を常に持っています。
君はもっと人に優しくした方が良い。
マスコミが発信する情報をすぐに鵜呑みにしてはいけません。
stairs来週の研究発表、楽しみにしています
コロケーション
<人・動物・組織・もの・こと>をする
家族、おもちゃ、会社、助け、研究
<思考・感情>する
大切に、楽しみに、頼りに、参考に
<人>にする
人、友達、家族、仲間、彼女
<態度>する
優しく、厳しく、甘く、しつこく、冷たく
<様態>する
しっかり、ちゃんと、まず、いつも、初めて
非共起例
<人>が<人・動物・組織・もの・こと>を<思考・感情>する
 息子がおもちゃを大事なする。
 息子がおもちゃに大事をする。
 息子がおもちゃを大事にする。
人の他者に対する何らかの思考・感情の表出を表す際、「<思考・感情>」は助詞「に」を伴う形(形容動詞の連用形、あるいは、「名詞に」の形)で表される。
<人>が<人>に<態度>する
 兄が弟に優しいする。
 兄が弟に優しいにする。
 兄が弟を優しくする。
 兄が弟に優しくする。
人の他者に対する何らかの態度の表出を表す際、「<態度>」は形容詞の連用形で表される。
解説
語義10は語義5と、人が他の事物に対して何らかの働きかけを行うという点で共通している。ただし、語義5はその働きかけが(動作をはじめとする)具体性の高い行為であるのに対し、語義10では思考、感情、態度の表出を表すという違いがある。なお、思考、感情の表出を表す際には通常、「X(人)がY(他の事物)をZ(思考・感情)にする」という文型で用いられる。一方、態度の表出を表す際には通常、「X(人)がY(人)にZ(態度)する」という文型で用いられる。しかし、いずれも、他者に対する自身の内面の、何らかの手段による表出を表すという点では共通している。
誤用解説
「X(人)がY(他の事物)をZ(思考・感情)にする」、「X(人)がY(人)にZ(態度)する」の、いずれの文型においても、これらの語順を変えることはできない。
 息子が大事におもちゃをする。
 息子がおもちゃを大事にする。
 兄が優しく弟にする。
 兄が弟に優しくする。
類義語・反義語
類義語思う、考える、感じる
反義語


11.複数人での行為他動詞初級★★★
表記する
複数の人や動物などがある行為を行う。
文型
<人・動物・組織>が<こと>をする・<人・動物・組織>と<人・動物・組織>が<こと>をする・<人・動物・組織>が<人・動物・組織>と<こと>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
佐藤さんたちが、向こうの方で内緒話をしているようだ。
社員が全員集まり、長時間に渡って議論をしたものの、会社の行く末についての明確な結論は出せなかった。
近藤さんが長谷川さんと結婚をしようと決意したことが、未だに信じられません。
「御社と我が社は、もう30年も取引をしてきたのですね。これからも、末永いお付き合いをよろしくお願い致します」「ええ、こちらこそ」
2匹の野良猫が毎晩のように家の前で激しくけんかをするから、最近は寝不足気味です。
両国に戦争をさせることを望む国があるとしたら、大問題だ。
コロケーション
<こと>をする
議論、結婚、野球、話し合い、けんか
<様態>する
しっかり、しばらく、これから、必ず、よく
<数量詞(集団)>でする
10人、2匹、3社、全員、みんな
解説
語義1と語義11は、人、動物、組織の、自らの意志に基づく行為を表すという点では共通している。しかし、語義1が単一の主体のみで実現可能な行為であるのに対し、語義11は複数の主体が存在することで実現可能な行為(相互行為)である、という違いがある。ところで、「彼らが話をする」、「両国が戦争をした」のように、「XがYをする」という文型で用いられる場合、Xは複数の主体を表す名詞(句)である。「伊藤さんと上田さんが仲直りをする」のように、「XとZがYをする」という文型で用いられる場合、XとZはそれぞれ単一の主体を表す名詞(句)である。また、「伊藤さんが上田さんと仲直りをする」のように、「XがZとYをする」という文型で用いられる場合も、XとZはそれぞれ単一の主体を表す名詞(句)である。(「XとZがYをする」という文型で用いられる場合、XとZは相互行為の主体として同等程度に焦点化される。一方、「XがZとYをする」という文型で用いられる場合、第一にXが焦点化され、その次に、相互行為の相手であるZが焦点化される。)なお、語義11における、相互行為の周辺例として、「太郎と次郎が仲良くする」「太郎と次郎が親しくする」のように、「Yをする」の部分が、「形容詞の連用形+する」となるケースがある。
誤用解説
「XとZがYをする」、「XがZとYをする」、いずれの文型においても、「X」、「Z」、「Y」という順が最も自然である。
 伊藤さんと仲直りを上田さんがする。
 伊藤さんが仲直りを上田さんとする。
 伊藤さんと上田さんが仲直りをする。
 伊藤さんが上田さんと仲直りをする。
類義語・反義語
類義語やる、行う、実施する
反義語やめる


12.密着・接触他動詞初級★★★
表記する
人や動物が、身体やものの一部分にあるものが密着あるいは接触した状態をもたらす。
文型
<人・動物>が<もの>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
父は今日、この冬初めて、マフラーをして出勤していきました。
「風邪を引くといけないから、マスクをした方がいいよ」「うん、分かった」
魚に塩をしたら、小麦粉を付けて油で揚げましょう。
「お母さん、鍋に蓋をしなくても大丈夫なの?」「あら、忘れてたわ」
まぶしいのでカーテンをしようと思い、手をかけたら、カーテンレールから外れてしまいました。
川の向こうにいる犬は、リボンをしていてとても可愛らしい。
コロケーション
<もの>をする
ネクタイ、指輪、包帯、カーテン、塩
<身体の一部>にする
腕、指、爪、足、額
<様態>する
しっかり、きちんと、まず、必ず、ちゃんと
非共起例
<もの>をする
 加藤君がスーツをする
 清水さんがスカートをした
 加藤君がスーツを着る
 清水さんがスカートをはいた
衣服(スーツ、シャツ、セーター、ジャケット、ズボン、スカート、靴下など)は、いずれも身体の広範囲に密着した状態となるものであり、「する」のヲ格名詞としては用いられない。(衣服に関しては、上半身であれば「着る」や「羽織る」、下半身であれば「はく」が用いられる。)
<身体の一部>にする
 兄は首にネクタイをした。
 姉はいつも目にメガネをしている。
 兄はネクタイをした。
 姉はいつもメガネをしている。
装着される部位が常に決まっているものが「する」のヲ格名詞となる場合、通常、「<身体の一部>に」という付加詞を用いない。
解説
語義1が人や動物などの行為一般を表すのに対し、語義12はより限定的に、人や動物がものを身体やものの一部に密着・接触させるという行為を表す。語義1では必須項のヲ格名詞が何らかの行為を表す名詞であるのに対し、語義12では密着・接触が生じるもの(具体物)を表す名詞である。なお、語義12は通常、主体の意志に基づく行為を表すが、「犬がリボンをしている」、「赤ちゃんがおむつをした」のように、主体自身の意志ではなく他者によってもたらされる行為の結果としての状態を表す場合もある。また、語義12と類義的な動詞は複数あり、ヲ格名詞の種類によって区別される。例えばヲ格名詞が「エプロン、リボン」等の場合は「付ける」、「ネクタイ、ベルト」等の場合は「しめる」、「メガネ、カバー、塩」等の場合は「かける」、「包帯、マフラー、ストール」等の場合は「巻く」、「湿布、絆創膏」等の場合は「貼る」、「手袋、ミット、グローブ」等の場合は「はめる」が、それぞれ「する」と類義的な関係にある。(いずれの類義語においても、「する」と比較して、ものの密着・接触に関する行為の様態が動詞によって具体的に表現される。)
類義語・反義語
類義語付ける、かける、巻く、貼る、はめる、しめる
反義語外す、取る


13.職務・任務の遂行他動詞中級★★
表記する
人や組織が、(職業や社会的な立場などに関する)ある職務や任務を行う。
文型
<人・組織>が<職務・任務>をする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
姉は5年前から医者をしている
井上さんは、故郷に帰って漁師をしようと決意したそうです。
「西田さん、何年か前にレストランをおやめになったってご存知でした?」「ええ、今は小料理屋をしていらっしゃるらしいわよ」
次回の研究会では、井本さんに司会をしてもらいます
いつかプロ野球チームの監督をしたい
来年度から、我が大学がこの学会の事務局をすることとなりました。
コロケーション
<職務>をする
弁護士、教師、コック、本屋、塾
<任務>をする
司会、監督、事務局、議長、社長
<様態>する
いずれ、しばらく、なんとか、初めて、ずっと
非共起例
<職務>をする
 山川さんはすばらしい画家をしている。
 山川さんは画家をしている。
 山川さんはすばらしい画家だ
 安村さんは著名な医者をしている。
 安村さんは医者をしている。
 安村さんは著名な医者である
職業名を表す名詞に関しては通常、その性質(他者からの評価)を表す形容詞(イ形容詞)あるいは形容動詞(ナ形容詞)を付加した名詞句を、「する」の必須項として用いることはできない。
<職務>をする
 河合氏は企業をしている
 河合氏は企業を経営している
 河合氏は企業で働いている[に勤務している]
 松井氏は百貨店をしている
 松井氏は百貨店を経営している
 松井氏は百貨店で働いている[に勤務している]
企業や店舗を表す名詞に関しては、具体的な職種を表すケースや、比較的小規模の店舗を表すケースが「する」の必須項となる。具体性の低い名詞(「企業」など)、大規模の店舗を表す名詞(「百貨店」、「デパート」など)、固有名詞(「髙島屋」など)は「する」の必須項とはならない。
解説
語義1が、自らの意志に基づく行為一般を表すのに対し、語義13はその一種である、何らかの職務・任務の遂行を表す。語義13の必須項であるヲ格名詞は、「弁護士」、「教師」など職業(名)を表すケース、「本屋」、「塾」など(経営の対象となる)店舗や会社の種類を表すケース、「司会」、「監督」など何らかの任務を表すケースがある。
誤用解説
ある行為を遂行するという側面よりも、ある役割を担うという側面がより焦点化される場合、「する」の類義語として「務める」が用いられる。ただし、「務める」の必須項となるのは「<任務>を」のケースのみであり、職業、店舗や会社の種類を表す名詞は「務める」の必須項とはならない。
 医者を務める。
 居酒屋を務める。
 司会を務める。
 監督を務める。
類義語・反義語
類義語やる、務める
反義語辞める


14.決定他動詞中級★★
表記する
人や組織が、ある事柄について何らかの決定を行う。
文型
<人・組織>が<こと・人・もの>を<もの・こと>に[と]する
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今日の昼食をラーメンにしようと、昨日の夜から決めていた。
これからもお互いを良きライバルとして、切磋琢磨していきたい。
10キロの減量を、今年の第一の目標とします
「先生は、何を注文なさいますか?」「せっかくビアガーデンに来たんだし、今日は烏龍茶じゃなくてビールにするよ」
2016年から8月11日を「山の日」とすることが決まった。
政府は社会保障制度の改革を、基本方針の1つとしている
コロケーション
<こと・人・もの>をする
昼食、名前、方針、8月11日、友
<もの・こと>に[と]する
目標、課題、ビール、祝日、ライバル
<様態>する
まず、必ず、やはり、恐らく、とりあえず
非共起例
<もの・こと>と[に]する
 太郎は今日の夕食をカレーした。
 太郎は今日の夕食をカレーした。
 政府は基本方針を「復興の加速化」した。
 政府は基本方針を「復興の加速化」した。
「<もの・こと>と[に]」という必須項に関して、決定事項が公的なものである場合には、「に」よりも「と」を用いる方が自然である。逆に、決定事項に公的な要素・特徴がない場合には、「と」よりも「に」を用いる方が自然である。
解説
語義1が、主体の意志に基づく行為一般を表すのに対し、語義14はその一種である、人や組織による、ある事柄に関する決定を表す。なお、「XがYをZと[に]する」という文型において、「花子が第二外国語を韓国語にする」のように「Y」に適用可能な複数の選択肢の中から1つの事物「Z」を選択するケース、「8月11日を山の日とする」のように「Y」を「Z」であると制定するケース、「太郎は花子を良きライバルにする」のように「Y」を「Z」とみなすケース、「例えば、次郎を犯人としてみよう」のように「Y」を「Z」と仮定するケースがある。なお、語義14は「決める」という動詞と類義的な関係にあるが、「決める」は「する」と比較して、判断の結果(ある事柄の確定)がより焦点化されているという違いがある。
類義語・反義語
類義語決める
反義語


15.主体の知覚自動詞初級★★★
表記する
人に、五感に基づくある知覚が生じる。
文型
<人・もの>は<こと>がする
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
妻は今朝からずっと目まいがしているようだ。
寒気がするから、今日は薬を飲んで早く寝ることにしよう。
この花は、とてもいい香りがします
「こんなに不思議な味わいがするカレー、初めて食べたよ」「秘密のスパイスをたくさん入れてあるからね」
何故か部屋に誰かのいる気配がして、とても怖い。
突然廊下でものすごい音がしました
stairsなんだか朝からだるくてね…寒気がするんだよ。
コロケーション
<こと>がする
頭痛、寒気、香り、味、音
<場所>でする
廊下、部屋、向こう、外、どこか
<様態>する
しばらく、少し、よく、何だか、突然
非共起例
<人>は<こと>がする
 私は頭痛がしています。
 頭痛がしています。
 彼は頭痛がする
 彼は頭痛がするそうだ[するようだ・するらしい]
語義15において、知覚の主体が「私」(一人称)である場合には、通常、主体は言語化されない。また、知覚の主体が「他者」(二人称・三人称)である場合、主体を言語化することはできるが、「する」を終止形で用いることはせず、「そうだ」、「ようだ」、「らしい」など、何らかの手段で得た情報に基づく判断を行ったことを表す助動詞を「する」に付加した形で用いる。
<もの>は<こと>がする
 廊下は大きな音がした。
 私は廊下で大きな音がした。
 廊下で大きな音がした。
聴覚に基づく知覚のケースでは、何らかの音が生じる場所に関する情報は通常、「<場所>で」という付加詞によって表される。またこの場合、「<もの>は」、あるいは「<人>は」という必須項は省略される。
解説
語義15は語義1と、人の営みを表すという点で共通している。しかし、語義1が何らかの意志的な行為(動作など)を表すのに対し、語義15は人が感覚器官への何らかの刺激を通じてもたらされた情報をもとに、外界のある存在の性質・状態や身体内部の状態を把握することを表すという違いがある。加えて、語義1は典型的な他動詞の用法であるのに対し、語義15ではヲ格名詞(句)を必要とせず、知覚の対象がガ格名詞(句)によって表され、知覚の主体は言語化されないことから、他動性の低い用法(自動詞相当の用法)であるといえる。ところで、語義15において、「頭痛がする」、「彼は寒気がするそうだ」のように「<人>は<こと>がする(そうだ・ようだ・らしい)」という文型で用いられる場合には、人が五感に基づいて自身の身体内部の状態を把握することを表す。一方、「この花は甘い香りがする」、「あのスープはとても良い味がした」のように「<もの>は<こと>がする」という文型で用いられる場合には、人が五感に基づいて外界のある存在の性質・状態を把握することを表す。(このとき、知覚の主体は言語化されない。)また、「<もの>は<こと>がする」という文型で用いられる場合に、「<もの>は」という要素が省略されると、ある人による知覚の営みが焦点化され、「<もの>は」という要素が言語化されると外界のある存在の属性の把握が焦点化される。
誤用解説
語義15は「XはYがする」という文型で用いられる。したがって、典型的な他動詞の用法における「Xが[は]Yをする」という文型で用いることはできない。
 この花が[は]甘い香りをする。
 この花は甘い香りがする。
 兄が[は]朝から頭痛をするらしい。
 兄は朝から頭痛がするらしい。
類義語・反義語
類義語感じられる
反義語


16.様相の提示他動詞中級★★
表記
人や動物が、自身の表情、態度、姿勢、服装などにおける、ある特徴を示す。
文型
<人・動物>が<こと>をする・<人・動物>が<属性>する
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
三郎君はいつも、突然変な顔をする
「これから出かけるっていうのに、どうしてそんなおかしな恰好をしているの」「おかしな恰好じゃないよ。これが最新のファッションなんだよ」
子馬は優しい目をして僕を見つめました。
二宮さんはいつも女らしくしようと心がけているそうだ。
彼女はお見合いの席で、終始しおらしくしていた
「神妙にしろ」「簡単に捕まるもんか」
コロケーション
<こと>をする
変な顔、穏やかな表情、変な恰好、優しい目(つき)、素っ気ない態度
<属性>する
男らしく、しおらしく、おとなしく、神妙に、きれいに、元気に
<人>に
私、彼女、友達、仲間、みんな
<様態>する
しばらく、少し、いつも、よく、時々
非共起例
<こと>をする
 子馬は優しく目をしてこちらを見た。
 子馬は優しい目をしてこちらを見た。
 三郎君が変に顔をする。
 三郎君が変な顔をする。
「<こと>を」という必須項において、「<こと>」は、「形容詞(イ形容詞)あるいは形容動詞(ナ形容詞)の連体形」に「名詞」が付加された形によって表される。
<属性>する
 姉がしおらしいにする。
 姉がしおらしいする。
 姉がしおらしくする。
 妹はいつもきれいなしている。
 妹はいつもきれいをしている。
 妹はいつもきれいにしている。
「<属性>」という必須項において、「<属性>」は、形容詞(イ形容詞)あるいは形容動詞(ナ形容詞)の連用形によって表される。
解説
語義1が人や動物などによる行為一般を表すのに対し、語義16はその一種である、(自身の表情、態度、姿勢、服装などにおける)様相の提示を表す。必須項が「<こと>を」である場合、<こと>は「形容詞(イ形容詞)あるいは形容動詞(ナ形容詞)の連体形」に「身体部位詞あるいは表情、態度、姿勢、服装に関する名詞」が付加された形によって表される。ただし、身体部位詞であっても、「優しい目」における「目」が「目つき」を表したり、「恐ろしい顔」における「顔」が「表情」を表すなど、実際にはその身体部位によって形成される何らかの特徴を表す。また、必須項が「<属性>」である場合、その<属性>は「しおらしく(する)」、「きれいに(する)」など何らかの態度や状態に関する形容詞あるいは形容動詞によって表される。なお、語義16における「様相の提示」という、主体の意志に基づく行為は、他者の存在を必ずしも必要とするものではない。(したがって、「<人>に」という付加詞が表われるケースと表われないケースがある。)
類義語・反義語
類義語見せる
反義語


17.属性の所有自動詞中級★★
表記する
人や動物やものや場所に、(身体、形、色などにおける)ある性質、特徴が備わっている。
文型
<人・動物・もの・場所>が<もの>をしている・<もの>をした[している]<人・動物・もの>
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あの俳優さんは、白い歯をしている
赤いほっぺをした女の子がこちらに向かって歩いてきました。
私が旅先で出会った少年は、あどけない顔立ちをしていた
「向こうの山は、頂上の辺りが何だかとても不思議な形をしていますね」「300年ほど前に起きた噴火の影響で、あんな形になったそうですよ」
この牧場の馬は、皆、すばらしい足をしているようだ。
(生花店にて)「そこにある、ルビーのような色をした花も、ブーケに加えてください」「かしこまりました」
コロケーション
<もの>をしている[した]
青い目、白い歯、幼い顔立ち、不思議な形、美しい色
<様態>している[した]
本当に、とても、すごく、実に、極めて
非共起例
<もの>をしている
 次女は、悪い耳をしている。
 次女は、良い耳をしている。
 次女は、とんでもなく悪い耳をしている。
身体的な機能・能力に関するケースにおいては通常、プラスの評価について述べることが多く、マイナスの評価に関しては語義17の用法としては成立しにくい。ただし、マイナスの評価であっても、「とんでもなく悪い耳」のように、ある身体的な機能・能力に関して際立ってマイナスの評価が与えられる場合には成立する。
<もの>をしている
 祖母は70歳になった今も黒髪をしている。
 祖母は70歳になった今も黒い髪をしている。
 祖母は70歳になった今も美しい黒髪をしている。
「<もの>」における「名詞」が「身体部位詞」である場合、語義17では身体部位そのものを表すのではなく、その身体部位に備わる性質・特徴を表す。(例えば「黒い髪をしている」という場合の「髪」という形は、実際には「髪の色」を表わしている。)「黒い髪」と類する意味の「黒髪」という複合名詞は、修飾要素を付加しない場合にはあくまで「髪」の一種を表し、「(髪の)色」という性質・特徴を表すことができない。したがって、「<もの>」という形式を複合名詞によって表すことはできない。ただし複合名詞であっても、「美しい黒髪」のように修飾要素を付加すれば、「黒髪」という形は「(髪の)色」という性質・特徴を表すことができ、語義17の1つの用法として成立する。
解説
語義16は「XがYをする」あるいは「XがYする」という文型で用いられ、人や動物(「X」)が自分の意志で、ある性質、特徴を示すことを表す。これに対し語義17は、「XがYをしている」あるいは「YをしているX」・「YをしたX」という文型で用いられ、人や動物やもの(「X」)にある性質、特徴が備わっていることを表す。つまり、語義16は一時的な属性の表出を表すのに対し、語義17は恒常的な属性(の所有)を表している。言い換えれば語義16が、変化とその結果としての属性の表出という一連の過程を表すのに対し、語義17は属性のみを表すという関係にある。なお、語義17においては、「日々の丁寧な歯磨きを欠かさない彼女は、とても白い歯をしている」、「あの山は300年前の噴火の影響で、変な形をしている」のように何らかの変化の結果としての属性を表すケースと、「彼は青い目をしている」、「この花は赤い色をしている」のように変化を伴わない本来的な属性を表すケースがある。
誤用解説
語義17では、「する」は必ず、ある生物・無生物の何らかの属性を表す「している」あるいは「した」という形で用いられ、終止形を用いることはできない。
 祖母は黒い髪をします
 祖母は黒い髪をしています
 私は昨年、変な形をする山に登った。
 私は昨年、変な形をした山に登った。
 私は昨年、変な形をしている山に登った。


18.価格自動詞中級★★
表記する
ものや場所や動物が、一定の価格を有する。
文型
<もの・場所・動物>が<数量詞>する
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この車は、300万円します
先月の旅行で泊まったホテルは、1泊4万円もした
「100円しかしないケーキ、本当においしいの?」「これが意外にも、ものすごくおいしいんだよ」
祖父が、30万円もする腕時計を買ってくれた。
あそこに飾ってある絵画は、一体いくらくらいするのだろう。
この広大な土地の価格が当時どのくらいしたのか、見当もつかない。
コロケーション
<数量詞>する
300万円、4万円、100円
<様態>する
やはり、本当に、きっと、恐らく、なんと
非共起例
<数量詞>する
 リンゴが5個する
 リンゴが5個ある
語義18では、あるものや場所に備わっている(属性の一種としての)数量(価格)を表すので、ものや場所に備わっていない数量を表す際には「する」を用いることはできない。(この場合、「ある」を用いる。)
解説
語義18は語義17と、ものや場所や動物に備わったある属性を表すという点で共通している。ただし、語義17ではその属性は身体、形、色などに関する性質・特徴であるのに対し、語義18では数量(価格)であるという違いがある。なお、語義18では、「<数量詞>」と「する」の間に、「が」や「を」等の格助詞を付加することはできない。しかし、ある存在に備わった数量が一定水準以上であると判断される場合には「も」を「する」の前に付加することができる。(例:「このホテルは1泊5万円もする」)逆に、一定水準以下であると判断される場合には「する」の否定形「しない」の前に「しか」を付加することができる。(例:「この車は、100万円しかしない」)加えて、数量が想定を下回っていると判断される場合には、「しない」の前に「も」を付加することができる。(例:「このお菓子は、500円もしない」)
誤用解説
「ある」という動詞には数量を表す意味があるが、この場合の数量は重量、距離、面積、ページ数などの場合であり、価格に関しては「ある」を用いることはできない。
 この車は300万円ある
 この車は300万円する


19.時間の経過自動詞中級★★
表記する
一定の時間が経過する。
文型
<時間>すれば[したら・すると・しても]
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あと1時間もすれば、父も母も帰宅するはずだ。
あと10分すると、講演が再開されます。
5、6年もすれば、今回の事件は、多くの人々の記憶から消えることだろう。
「2時間しても息子がそちらに戻らないようであれば、ご連絡いただけないでしょうか?」「分かりました。必ず連絡します」
「先生、この痛み、どれくらい続くのでしょうか?」「3日もすれば、おさまるはずですよ」
学校に着いて20分したら、雪が降り始めた。
コロケーション
<時間>すれば[したら・すると・しても]
1時間、10分、5秒、6年、3日
<様態>すれば[したら・すると・しても]
恐らく、きっと、たぶん、およそ、大体
解説
語義19は語義18と、ある数量を表すという点で共通している。ただし、語義18は価格であるのに対し、語義19は経過する時間であるという違いがある。なお、語義19は「XすればY」、「XしたらY」、「XするとY」、「XしてもY」の、いずれかの文型において用いられる。(「する」、「している」などの形で、述部において用いることはできない。)「XすればY」、「XしたらY」、「XするとY」という文型はいずれも、ある時間が経過した後にある出来事が実現することを表す。(「XすればY」の場合、Yの成立に必要な条件として一定の時間の経過が存在していることが特に焦点化される。「XしたらY」の場合、一定の時間の経過がきっかけや原因となってYが成立することが特に焦点化される。「XするとY」の場合、一定の時間の経過ののちに自然とYが成立するという、XとYの恒常的な関係が特に焦点化される。)一方、「XしてもY」という文型は、ある時間が経過してもある出来事が実現しないことを表す。
誤用解説
通常、語義19では「する」、「している」などの形で、述部において用いることはできない。
 起きてから1時間した
 起きてから1時間経った
 起きてからもう5時間もしている
 起きてからもう5時間も経っている
類義語・反義語
類義語経てば、経ったら、経つと、経っても
反義語


するの全体解説 「する」には、語義1~語義19のような本動詞としての用法以外にも、補助動詞(形式的動詞)としての用法が複数ある。まず、「勉強する」、「創作する」、「断念する」などの、漢語サ変動詞としての用法がある。また、漢語サ変動詞と類するケースとして、「ぞくぞくする」、「ひりひりする」、「キラキラする」などの、「オノマトペ+する」という用法がある。他にも、「議論を止めようとする」、「日が沈もうとしている」のようにある出来事が実現する直前の状況であることを表す「S(文)とする」という用法、「学校側は、その問題は既に解決したことにした」のように実際はそうではないのにそうであると見做すことを表す「Sことにする」という用法、「県は、早急に震災の被害を受けた公共施設の改修を進めるとしている」のようにある情報の引用を表す「Sとしている」という用法などがある。
























▶全例文を聞く
<こと>をする
今日は精一杯仕事をした。
(村瀬孝雄著 『中学生の心とからだ』, 1996, 371)
昨日は、夕方会社の先輩と一緒に食事をしました。
(Yahoo!ブログ, 2008, 病気、症状)
<様態>する
彼は、潮と本城の前まで進んで、きちんと礼をした。
(姉小路祐著 『汚職捜査』, 2000, 913)
<こと>をする
彼は相当悔しい思いをしたのだろう。
(山形琢也著 『自分の魅力をつくる人つくれない人』, 1999, 159)
入社して間もない頃、思いもかけなかった経験をした。
(大島慎子文;白田環絵 『ドイツおいしい物語』, 1996, 302)
<様態>する
私、おっちょこちょいで、よく、こういう失敗をするんです。
(Yahoo!ブログ, 2008, 教育)
<こと>をする
せきやくしゃみをするときは、「咳エチケット」を心がけましょう。
(市報とおかまち「だんだん」, 2008, 新潟県)
<様態>する
ミルクを飲んだあとによくしゃっくりをしているんですが、なかなかおさまらないとグズり出します。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
<こと>をする
仕事中に転倒して怪我をしました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 労働問題、働き方)
<様態>する
よく下痢をする子なのですが、最近は硬い固形のうんちを1日に何回もします。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
<身体の一部>にする
今夜も、はねた油で指先にやけどをしてしまいました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 料理、グルメ、レシピ)
<人・動物・組織・もの>にする
警察に電話をして野形は車に戻った。
(西村寿行著 『学歴のない犬』, 1990, 913)
<こと>をする
彼は次々と質問をした。
(ケイ・ジャミソン著;田中啓子訳 『躁うつ病を生きる』, 1998, 936)
<様態>する
どうして、ご遺族にきちんと、説明をしなかったのかしら。
(雨宮早希著 『EM』, 1998, 913)
<人・組織>をする
引退後は若乃花、貴乃花の2人の息子を横綱にするなど、数多くの力士を育てた名伯楽の早すぎる死。
(Yomiuri Weekly, 2005, 一般)
<職務・役割>にする
思いのたけをどんどんぶつけて、みごと彼を恋人にしてしまうでしょう。
<もの・人・組織>にする
当事者になった野田先生は、こんどは周りを味方にする役割を背負った。
(金平敬之助著 『それでいいんだよ』, 1996, 159)
<もの>をする
をリーゼントにした二十代の男だった。
(五木寛之著 『四季・奈津子』, 1979, 913)
<属性>する
部屋をきれいにするための「片づけ」から、自分らしく生きていく力としての「片づけ」へ。
(広報とうごう, 2008, 愛知県)
<もの・人・組織・こと>をする
お酒は寝つきを良くしますが、深い睡眠が減って、短時間で目覚めてしまいます。
(広報あいづみさと, 2008, 福島県)
<属性>する
要するに、仕事を面白くするかどうかは、自分の気の持ちよう。
(南伸坊,鏡明,関三喜夫著 『シンボーズ・オフィスへようこそ!』, 2003, 049)
<人・動物・組織・もの・こと>をする
私は家族を大切にして欲しかったのですが、彼女は自分の実家が一番大切だったようです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<思考・感情>する
お会いできるのを楽しみにしています。
(夢枕獏著 『キマイラ』, 2001, 913)
<人>にする
本心は彼女に優しくしたかった。
(ミシェル・リード作;水間朋訳 『シチリアからの誘惑者』, 2002, 933)
<態度>する
私は自分に甘いのですが、自分に厳しくするにはどうしたらいいのでしょうか。
(Yahoo!知恵袋, 2005, メンタルヘルス)
<こと>をする
スペイン人は、いつも議論をしている。
(天本英世著 『日本人への遺書』, 2000, 778)
二人は一度もけんかをしたことがない。
(井沢宣子著 『日本語教師が見た中国』, 1996, 302)
<数量詞(集団)>でする
仕事が終わったあとは、でお喋りをするのが一番いい。
(赤羽建美著 『イヴの贈り物』, 1991, 913)
<もの>をする
皆さんのご主人は結婚指輪をしてますか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<身体の一部>にする
寺崎さんは、燕岳で怪我をしたといって、左手に包帯をしていました。
(梓林太郎著 『殺人山行燕岳』, 2002, 913)
<職務>をする
当時、母は幼稚園の先生をしてました。
(ジェーン・コンドン著;石井清子訳 『半歩さがって』, 1986, 367)
<任務>をする
対策本部で中心となって指揮をした秋田さんは、助役の仕事を終えた。
(NHK「プロジェクトX」制作班編 『命を救え!愛と友情のドラマ』, 2001, )
<こと・人・もの>をする
労働基準法上、祭日を休日としなくても問題ありません。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 労働問題、働き方)
<もの・こと>に[と]する
抽象的なことばかり言わないで、大体何%を目標にしているぐらいのお答えをしてください。
(国会会議録, 1978, 常任委員会)
<こと>がする
立ち上がると軽いめまいがした。
(高任和夫著 『告発倒産』, 2000, 913)
このコーヒーはいい香りがします。
(向井京子著 『とっさに使える英会話』, 2000, 837)
<場所>でする
兵舎の中で音がして、明かりがともった。
(レイン・ヒース著;内野儀訳 『鉄の翼の騎士』, 1993, 933)
<こと>をする
チャーリーはその購入に反対で、渋い顔をしていた。
(ロバート・G.ハグストローム著;三原淳雄,小野一郎訳 『バフェット投資の真髄』, 2001, 338)
姉は疑わしげな目つきをした。
(ルーシー・ゴードン作;仙波有理訳 『モンテカルロの宝石』, 2005, 933)
<属性>する
よそよそしくして目を合わせないようにすれば、よけいばれるものだ。
(クリス・ライアン著;伏見威蕃訳 『特別執行機関カーダ』, 2002, 933)
<もの>をしている[した]
そこへ、息子の長男が、柱の陰から顔を覗かせた。 実に澄んだ目をしている。
(両国太郎著 『二葉葵の花』, 2005, 913)
白い物体はマラリヤの特効薬である「龍骨」であった。 艶やかな象牙色をしている。
(鈴木旭,最上孝太郎著 『失われた世界超古代文明』, 1997, 202)
<数量詞>する
いまの部屋は家賃だけで八万円もする。
(渡辺淳一著 『愛のごとく』, 1984, 913)






























夕べ遅くまで今日の資料作りをしていたんです…。
幸い骨折はしなかったけど、手首を捻挫しちゃったの。
来週の研究発表、楽しみにしています
なんだか朝からだるくてね…寒気がするんだよ。
足を棒にする

意味
人が、ある目的のために、ひどく疲れるまであちこちを歩き回る。
用例
妹は1日中足を棒にして、いなくなった飼い犬を探し回った。
コーパスからの用例
足を棒にして多くの医師の戸を叩いたが、丸山ワクチンの使用を承諾してくれる医師はいなかったという。(丸山千里著 『丸山ワクチン』, 1976, 494)
身を粉にする

意味
人が、力の限りある行為(主に仕事)を行う。
用例
私はこれまで家族のために、身を粉にして働いてきた。
コーパスからの用例
朝七時から夜十一時まで身を粉にして仕事をさせられるという。(大小原公隆著 『裏切り』, 1999, 338)
軌を一にする

意味
複数の人の間で、ある事柄に関する立場や方向性が同一のものとなる。
用例
ようやくチーム全員の考え方が軌を一にした
コーパスからの用例
経団連の榊原定征会長は30日、同日に閣議決定された2015年度の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などについて「経済界の考え方と軌を一にする内容であり、高く評価する」とのコメントを発表した。(https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL30HPC_Q5A630C1000000/)
声を大にする

意味
人が、ある事柄を強く主張する。
用例
私は、今はまだ事業拡大をするべき時期ではないということを、声を大にして言いたい。
コーパスからの用例
ここで、私は声を大にして言いたいと思います。兄弟姉妹の比較は百害あって一利なしです。(親野智可等著 『「親力」で決まる!』, 2004, 379)
心を鬼にする

意味
人が、本当はかわいそうなことだと思いつつも、大切に思う相手に対してあえて厳しい態度を取る。
用例
大事な我が子のこの先の人生を思えば、今は心を鬼にして強く叱るべきときなのだろう。
コーパスからの用例
男は文次郎だけじゃねえのだし、似合いの縁をみつけて身を固めなおしてくれ」 あとに引かないのを見ると、文次郎とすれば心を鬼にしても妻を離別するほかなかった。身びいきで言うのではない。(杉本苑子著 『姿見ずの橋』, 1987, 913)
水にする

意味
人がある事物を無駄なものへと変える。
用例
兄は、せっかく貯めた大金を水にしてしまった。
意味
人がある事柄を、存在しないものであると見做す。
用例
これまでの憎しみ合いは、もう全て水にしよう
コーパスからの用例
いよいよわからぬ。恩を着せておいて、いずれ勝ち目のないこの勝負を水にしようという魂胆であろうか。 そうは思っても、吉兵衛の言葉は権左の胸を抉った。(秋月達郎ほか著;藤水名子監修 『ふりむけば闇』, 2003, 913)
鵜の真似をする烏

意味
自分の能力を十分に把握せず安易に他人の真似をし、その結果として失敗してしまう人。
用例
鵜の真似をする烏にならないように、高望みをせず、自分のできる仕事を少しずつであっても着実にこなしていけばいいんだよ。
コーパスからの用例
「鵜のまねをする烏」ということわざは、自分の能力や身の程を顧みず、他人のマネをして失敗する者のたとえである。(青木雨彦著 『ことわざ雨彦流』, 1990, 049)
臭い物に蓋をする

意味
人が、自身や身近な他者の悪事や醜聞が周囲の人々に広がらないよう、その場しのぎの手段を用いて隠す。
用例
社長はこれまで、自分の悪事を掴んだであろう部下をすぐに辞めさせてきた。そんな臭い物に蓋をするようなやり方が、いつまでも通用するとは思えない。
コーパスからの用例
官僚も自分の仕事を増やすのは嫌ですし、政治家は自分を当選させてくれる関係業者の不利になるようなことは嫌がります。どちらも臭いものにはフタをして、事を大きくしたくない・穏便に済ませたい、という非常に日本的な考え方をするんですね。 国を動かしている人が、国とか国民のことを考えている人ばかりではない、ということです。(Yahoo!知恵袋, 2005, 株と経済)
複合動詞 V1

し始める、し続ける、し終える、し残す、仕上げる、仕上がる、仕入れる、仕返す、仕切る、仕組む、仕留める、仕立てる
複合名詞

仕手、仕方、仕上げ、仕上がり、仕入れ、仕返し、仕切り、仕組み、仕立て、仕打ち、仕納め、仕掛け
する(3グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形する
ない形しない
~なかったかった
ます形
~ませんしま
~ましたした
~ませんでしたしまんでした
~ときするとき する
ば形
意向形
て形して
た形した
可能形
受身形される
使役形させる
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