揃えるのコアイメージ

1.属性を同じに他動詞初級★★★
表記そろえる、揃える
人が複数のものの属性を、同じにする。
文型
<人>が<(複数のものの)属性>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
鍋に入れるねぎは、長さを5センチぐらいにそろえて切ってください。
煮物をするときには、材料の大きさをそろえると火が均等にとおります。
統一感を出すために、部屋の小物のテイストをそろえました
焼きたてのパンの厚さをそろえて切るのは難しい。
すべての窓のカーテンの色をそろえましょう
一つの箱に入れる果物の大きさを揃えるために、選別を行います。
コロケーション
<(複数のものの)属性>を
大きさ、長さ、太さ、厚さ、色、形、粒、品質、縄の太さ、
<基準>に
1センチ、お手本、以前からあるもの、規格、これ
<様態>
きれいに、きちんと、均一に、均等に、一色に
非共起例
<(複数のものの)属性>を
 家では、毎日お風呂の温度をそろえている
 家では、毎日お風呂の温度を一定にしている
 家で食べる魚は、白身にそろえている
 家食べる魚は、白身と決めている
「そろえる」は時間を経ても属性が変わらないようにすること(ある時点における属性と、別の時点における属性を同じにすること)を表す場合には用いられない。
解説
「語義1」は、「複数のものの属性を同じにする」ことを表す。「同じにする」ことで、「視覚的に美しくなる、処理が容易になるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す。
誤用解説
 ママ友の誕生日プレゼントも、会社の同僚の誕生日プレゼントも、どちらもスカーフにすることにした。値段もそろえた
 ママ友の誕生日プレゼントも、会社の同僚の誕生日プレゼントも、どちらもスカーフにすることにした。値段も同じにした
「そろえる」は、「同じにする」ことによって、「望ましい結果」を得ようとする場合にしか使われない。
類義語・反義語
類義語同じにする、等しくする、合わせる、統一する
反義語ばらばらにする


2.種類を同じに他動詞初級★★★
表記そろえる、揃える
人が複数のものを、同じ種類にする。
文型
<人>が<(複数の)もの>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
家をリフォームし、部屋のカーテンをそろえました
花子が家中の食器を有田焼で揃えたいと言いだした。
ばらばらだった本棚を買い直してそろえたら、部屋がすっきりした。
店の印象を変えるために、従業員のエプロンをそろえることにした。
今度買い替えるときは、ベッドカバーとシーツをそろえてほしいなあ。
パーティー用に、カバンと靴をそろえてコーディネートした。
コロケーション
<(複数の)もの>を
カーテン、食器、帽子と靴、ケーキ皿とコーヒーカップ
<基準>に[で]
水色、日本製、同じブランド、木製
非共起例
<(複数の)もの>を
 私の友人は、記念切手をそろえている
 私の友人は、記念切手を集めている
 私の友人は、古い楽譜をそろえている
 私の友人は、古い楽譜を集めている
「そろえる」は「集めたときばらばらになりがちなもの」を「同じ種類になるようにする」ことを表すのであって、「同じ種類のものを集める」ことを表すのではない。
解説
「語義1」とこの「語義2」との間には、「複数のものの属性を同じにする」という共通点がある。ただし、「語義1」の場合、「ものの属性の一部」を同じにするのに対し、この「語義2」の場合には、「そのものの種類を決定するような複数の重要な属性全体」を同じにすること(すなわち同じ種類にすること)を表す。「同じにする」ことで、「視覚的に美しくなる、処理が容易になるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す点は、「語義1」と「語義2」に共通する特徴である。
誤用解説
 今年は子供たちのクリスマスプレゼントをそろえました。二人とも熊のぬいぐるみです。
 今年は子供たちのクリスマスプレゼントを同じにしました。二人とも熊のぬいぐるみです。
「そろえる」は「種類」を同じにすることで、「望ましい結果」を得ようとすることを表す場合に使われる。通常、「望ましい結果」を得るために「プレゼント」を同じにするとは考えにくい。
類義語・反義語
類義語同じにする、合わせる、統一する
反義語ばらばらにする


3.所有物を同じに他動詞初級★★★
表記そろえる、揃える
人が、他の人と同類のものを所有する。
文型
<(複数の)人や組織>で<もの>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
恋人と一緒に暮らし始め、マグカップをそろえた
キャンプに行くと、親子でTシャツをそろえている人をよく見かけます。
恋人と服をそろえ、手をつないで町を歩いている人の気が知れない。
チームでユニフォームをそろえることにした。
クラスではちまきをそろえて、運動会でダンスをした。
仲のいい子たちみんなで、筆箱を揃えようということになったんだけど、あの子は揃えたくないって言ったの。
コロケーション
<(複数の)人や組織>で
チーム、恋人同士、クラス、親子、花子と太郎と
<もの>を
ユニフォーム、服、衣装、靴、筆箱
非共起例
<もの>を
 一族で、住んでいるマンションをそろえています
 一族で、同じマンションに住んでいる。
「そろえる」対象は、それぞれの所有者の意志によって、比較的容易に「同じにする」ことができるものでなければならない。
解説
「語義2」とこの「語義3」の間には、「複数のもの」を「同じ種類にする」という共通点がある。ただし、「語義2」の場合、「同じ種類にする」ものは、単に「複数のもの」である。これに対し、この「語義3」の場合の「複数のもの」は、「複数の人」の所有物である。「同じにする」ことで、「視覚的に美しくなるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す点は、「語義2」と「語義3」に共通する特徴である。
誤用解説
 校則では、通学用の靴を指定のものにそろえなければなりません。
 校則では、通学用の靴を指定のものにしなければなりません。
「そろえる」は、ばらばらになりがちなときに、「同じにする」ことを表すのであって、統一のための基準が明確に存在し、それにあわせることが半ば強制されることによって「同じにする」場合には使えない。
類義語・反義語
類義語同じにする、合わせる、統一する
反義語ばらばらにする


4.同じ長さに切る他動詞中級★★
表記そろえる、揃える
人が、きれいに見えるなど望ましい結果が得られるように、ものの長さを同じにして取り除く。
文型
<人>が<もの>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
近くの美容院で、自慢のひげをそろえてもらった。
カットの名人と言われている美容師さんに、衿あしの毛を揃えてもらいました。
毛先を揃えて、すいてもらっただけですが、サッパリしました。
表内の数値の桁を揃えたら見やすくなりました。
有効数字をそろえてください。
ミシンをかける前に、縫い代をそろえ、待ち針を打ってください。
コロケーション
<もの>を
髪、毛、ひげ、眉毛、数字、桁
<場所>で
目の上、肩の下、小数点以下一桁
<様態>
きれいに、きちんと、すっきりと
非共起例
<様態>
 髪をばっさりとそろえてもらった。
 髪をばっさりと切ってもらった。
「そろえる」は「ばらばらの状態」を整える場合に使われる。
解説
「語義1」とこの「語義4」との間には、「複数のものの属性を同じにする」という共通点がある。ただし、「語義1」の場合、「同じにする」ために、「複数のもの」そのものに加工を加えることはないのに対し、この「語義4」の場合、「同じにする」ために、「複数のもの」そのものに加工を加える(切る、削除する)ことまでを表す。
誤用解説
 すみませんが、手が空いていたら、鍋に入れるねぎをそろえてもらえませんか。
 すみませんが、手が空いていたら、鍋に入れるねぎをそろえて切ってもらえませんか。
「そろえる」は、同じ長さにすることのほうが、切ることよりも重要視されている場合にしか使えない。
類義語・反義語
類義語切る、除く
反義語


5.動作を同じに他動詞初級★★★
表記そろえる、揃える
複数の人が他の人と、同じタイミングで同じ動きをするようにする。
文型
<(複数の)人>が<動き>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
子供たちは手拍子をそろえ、大声で歌い始めた。
久々の朝の散歩道を、私たちは足並みを揃えてゆっくりと歩いた。
式場に入場の際には、お二人の歩くリズムやテンポを揃えていただくと、きれいに見えますよ。
合奏なので、音のタイミングをそろえなければなりませんが、一本調子になってしまうようでは面白みがありません。
5人でダンスの練習をしているのですが、どれだけ練習をしても、手の振りをそろえるのがなかなか難しいのです。
足の遅い小さな子供に歩調をそろえて歩いてあげてください。
コロケーション
<動き>を
手拍子、足並み、歩調、タイミング、リズム、テンポ
<基準>に
互い、太郎、先生
<様態>
きれいに、きちんと
非共起例
<動き>を
 二人は笑いをそろえた
 二人は同時に笑った。
「そろえる」が表すのは意志的に行う行為なので、偶然に「動き」が「同じになる(同時になる)」ことを表す場合には使えない。
解説
「語義1」とこの「語義5」との間には、「複数のもの」を「同じにする」という共通点がある。ただし、何を「同じにする」のかが異なる。「語義1」の場合「同じ状態にする」のは、「ものの属性」だが、この「語義4」の場合は「動き」である。「同じにする」ことで、「視覚的に美しくなるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す点は、「語義1」と「語義5」に共通している。
誤用解説
 友だちが私のしゃべり方にそろえてふざけるのが嫌だ。
 友だちが私のしゃべり方をまねてふざけるのが嫌だ。
「そろえる」は、複数のものを「同じ状態にする」ことによって、「視覚的に美しくなるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す場合に使われる。
類義語・反義語
類義語同じにする、合わせる、統一する、まねる
反義語ばらばらにする、乱す


6.位置を同じに他動詞初級★★★
表記そろえる、揃える
人が、複数のものを、ある場所を基準にして位置を同じにして、規則正しく並べる。
文型
<人>が<(複数の)もの>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
字をまっすぐにそろえて書くと、それだけできれいに見えますよ。
文字を左端にそろえないといけません。
自分の椅子を隣の人の椅子にそろえてください。
縫い目と縫い目をそろえて、まっすぐに縫えましたか。
筆先をそろえたいときには、筆の先をもう一度、墨につけてください。
書類がばらばらにならないように、きちんとそろえてホチキスで留めてから提出してください。
コロケーション
<(複数の)もの>を
① 作成するもの:声、縫い目、編み目、字、文字
② 既に存在するもの:筆先
<基準>に
真ん中、中央、左端
<様態>
きれいに、きちんと
非共起例
<(複数の)もの>を
 先生が生徒をそろえた
 先生が生徒を並ばせた
「生徒」のように、意志のあるものについて「そろえる」は使いにくい。
解説
「語義1」とこの「語義6」との間には、「ばらばらの状態になりがちな複数のもの」を「ある視点から見て同じにする」という共通点がある。ただし、何を「同じにする」のかが異なる。つまり、「語義1」の場合には、「ものの属性」であるのに対し、この「語義6」の場合は「ものの位置」である。「語義6」は、「ある場所を基準として同じ位置にあるようにする」ことを意味する。「同じにする」ことで、「視覚的に美しくなるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す点は「語義1」と「語義6」に共通している。
誤用解説
 新しい公園を作ったとき、池の周りに樹をそろえました
 新しい公園を作ったとき、池の周りに樹を並べて植えました。
 子供が小石をそろえて遊んでいる。
 子供が小石を並べて遊んでいる。
「そろえる」は、「ばらばら」になりがちであるのに、そうではない状態にすることを表すのであって、何もない状態から自由に配置できる場合には使えない。
類義語・反義語
類義語合わせる、並べる、整える
反義語ばらばらにする、乱す


7.基準を同じに他動詞中級★★
表記そろえる、揃える
人が、複数のものを、その一部を基準にして同じ位置に並べる。
文型
<人>が<(複数のものの)基準>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
きれいに書きたいならば、文字の中心を、きちんとそろえなさい
へんとつくりの下をきちんとそろえて書くようにすると、文字が整って見えます。
筆算のときには、小数点の位置を揃えて書くと間違えない。
大きなテントは、端をそろえて持って、二人でたたむようにしてください。
次は、折り紙の角をそろえ、二つに折ってください。
あの人は、財布の中のお札の向きを必ず揃えている
stairs僕は、財布の中のお札の向きをきれいにそろえて、大切に扱ってますよ。
コロケーション
<(複数のものの)基準>を
端、上部、中心、すみ、向き
<様態>
きれいに、まっすぐに、一列に、きちんと
解説
「語義6」とこの「語義7」との間には、「ものの位置」を「ある場所を基準として同じ位置にする」という共通点がある。ただし、両者の間には、その時の「基準となる場所」が異なる。「語義6」の場合には、基準は「ものの外」にあるのに対し「語義7」の場合には、基準は「そのものの内部」にある。「同じにする」ことで、「視覚的に美しくなるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す点は「語義6」と「語義7」に共通している。
類義語・反義語
類義語同じにする、重ねる、合わせる、統一する
反義語ばらばらにする


8.組を成すのものを並べる他動詞初級★★★
表記そろえる、揃える
人が、組を成すものをきれいに並べる。
文型
<人>が<(組を成す)もの>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
食事の時間ですから、テーブルの上に箸をそろえて置いてください。
すらっと伸びた両脚をきちんとそろえ、背筋を伸ばして座っている姿は大変美しい。
玄関で脱いだ靴は、きちんと揃えましょう
幼い娘が、来客にスリッパを揃えて出したので驚いた。
食べ終わると、皿の上にナイフとフォークがきれいにそろえられていた
座るときには膝の上に両手をきちんとそろえなさい
コロケーション
<(組を成す)もの>を
① 履物:くつ、スリッパ、げた、そうり、履物
② 手足:手、指、足、かかと、ひざ、つまさき、両足、両手
③ 道具:はし、ナイフとフォーク
<場所>に
玄関、入り口、皿の上、膝の上
<様態>
きれいに、きちんと
非共起例
<(組を成す)もの>を
 棚の上にペアのマグカップをそろえた
 棚の上にペアのマグカップを並べた
「語義8」の「そろえる」対象となる<(組を成す)もの>は、組を成すことではじめて機能を持つようなものでなければならない。
<(組を成す)もの>を
 運動場に、紅組と白組をそろえた
 運動場に、紅組と白組を並ばせた
「語義8」の「そろえる」対象となる<(組を成す)もの>については、意志のある<もの>は不自然である。
解説
「語義7」とこの「語義8」との間には、「複数ものの位置」を「同じにする」という共通点がある。ただし、「語義7」とこの「語義8」とでは「複数のもの」の種類が異なる。「語義7」の「複数のもの」は、たとえば文字のように、追加して次々と位置を「同じにする」ことが可能であるものであるのに対し、この「語義8」の「複数のもの」は、箸のように、本来、組になっているものであり、追加することはできない。したがってこの「語義8」の「複数のもの」の「位置を同じにす」れば、整理が完結するというような意味を持つことになる。「視覚的に美しくなるなど、望ましい結果」を得ようとすることを表す点は「語義7」と「語義8」に共通している。
誤用解説
 七段飾りの雛段の一番上に、男雛と女雛をそろえた
 七段飾りの雛段の一番上に、男雛と女雛を並べた
「そろえる」は、「ばらばらになり得りがち」であるのに、そうではない状態にすることを表すのであって、何もない状態から自由に配置できる場合には使えない。
類義語・反義語
類義語並べる、整える
反義語ばらばらにする


9.必要なものを集める他動詞初級★★★
表記そろえる、揃える
人が、必要な人やものを一か所に集める。
文型
<人>が<人やもの>をそろえる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
当店では、テレビで話題の商品を豊富にそろえております。
図面を作り、必要な部品を揃えてから、組み立てに入ります。
すぐに釣り道具を揃えると、私はマスを釣るために貯水池まで行った。
いつか訴訟を起こそうと思って、かなり前から証拠書類をそろえてある。
お祝いだと言って、服やらなにやら一式を揃えられるほどの額をもらった。
暇だったのでケーキを焼くことにし、近所のスーパーに行って材料をそろえました
stairs洋装が当たり前になった今、着物を着ようとすると、着物だけでなく、様々な小物も揃えなくてはなりません。
コロケーション
<人やもの>を
① 人:メンバー、家族、両親、全員、スタッフ
② もの:必要なもの、すべて、書類、証拠、材料
<様態>
豊富に、たくさん、完璧に
非共起例
<人やもの>を
 皆に尋ねて、今度の営業課会議の議題をそろえた
 皆に尋ねて、今度の営業課会議の議題を集めた
「そろえる」は、「必要なもの」の範囲が決まっているものでなければならない。「会議の議題」は、どれが「必要なもの」であるかがあらかじめ決まっているわけではない。
解説
「語義8」とこの「語義9」との間には、「複数ものの位置」を「同じにする」ことにより、「整った望ましい結果」が得られるという共通点がある。ただし、両者は「望ましい結果」が異なる。「語義8」の場合、「整理された状態」が得られるのに対し、この「語義9」の場合には、「必要なものの準備が整った状態」が得られることを表す。
誤用解説
 コーチが部員をグランドにそろえた
 コーチが部員をグランドに集めた
 社長は毎朝スタッフをそろえて訓示をする。
 社長は毎朝スタッフを集めて訓示をする。
「そろえる」は、何かをするのに必要な人やもののすべてを、一か所に集めることを表す。何をするために集めるのかがわからない場合には使えない。また、「訓示」のように、一人欠けても(すべてを集めなくても)行うことができるものについては使いにくい。
類義語・反義語
類義語集める
反義語


揃えるの全体解説 「そろえる」は、「複数のものの属性を同じにする(例:長さをそろえる)」(語義1)を基本的意味とする。「同じにする」ことで、「視覚的に美しくなる、処理が容易になるなどの望ましい結果」を得ようとすることを意味する。
「同じにする属性」が、そのものの種類を決定するような複数の属性全体の場合、「複数のものを同じ種類にする(例:カーテンをそろえる)」(語義2)となる。ここからさらに、「同じ種類にする複数のもの」が、複数の人の所有物である場合、「人が、他の人と同じ種類のものを所有する(例:マグカップをそろえた)」(語義3)となる。「語義2」「語義3」ともに、「同じにする」ことで、「望ましい結果」を得ようとする点は、「語義1」と同じである。
「複数のものの属性を同じにする」(語義1)の「属性」が「長さ」の場合、「属性を同じにするために、切るなどの加工を加える」ことを表す場合がある。これが「同じ長さに切る(例:髪をそろえる)」(語義4)である。「切る」ことで「視覚的に美しくなるなどの望ましい結果」が得られる。
「語義1」は、「属性を同じにする」ことを表すが、「属性」ではなく「動き」や「ものの位置」を「同じにする」ことを表すのが「語義5(例:歩くリズムをそろえる)」と「語義6」である。このうち「語義6」は、位置を同じにすること、つまり、「複数のものを、ある場所を基準にして規則正しく並べる(例:字をそろえて書く)」(語義6)ことを表すが、ここから、「語義7:複数のものを、その一部を基準として並べる(例:端をそろえる)」につながる。また、「位置を同じにする対象となるもの」が全体で一つの組を成すものの場合もある。これが「語義8:組を成すものをきれいに並べる(例:箸をそろえる)」である。「語義1」から「語義8」までのすべてにおいて、「何かを同じにすることで望ましい結果を得ようとする」という意味は共通している。
「語義8」はさらに、「語義9」へとつながる。「語義9」は、「必要なものを一か所に集める(例:組み立てに必要な部品をそろえる)」こと、それにより「望ましい状態にする」ことを表す。
























▶全例文を聞く
<(複数のものの)属性>を
洋なしも大きさをそろえて切り、耐熱皿に入れる。
(平野レミ著 『平野レミのおやつの時間』, 1998, 596)
ケースのを揃えて統一感を出している。
(クロワッサン, 2002, 一般)
<基準>に
●竹酢液の抽出法 焼きむらができないように、クマザサを約15cmにそろえて細かく切る。
(家の光, 2002, 家庭/生活)
<(複数の)もの>を
成人式に出席するときは何を着てもよいが,公的な場で着られる服装をこの際にそろえるのもよい。
(辞典編集部編 『冠婚葬祭実用辞典』, 2001, 385)
<基準>に[で]
簡単にデジタル放送を予約録画するためには、テレビは同じメーカーで揃える必要があります。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 家電、AV機器)
<(複数の)人や組織>で
サッカー部全員でそろえたジャージとバッグ。
(SEVENTEEN, 2005, 児童)
<もの>を
を坊っちゃん刈りに揃えた、端正な顔の子供。
(永瀬隼介著 『永遠の咎』, 2005, 913)
<場所>で
瞳孔の引き締まった瞳は美しい鳶色で、きめの細かい白い肌、肩の少し上でそろえた黒髪と絶妙に調和している。
(福井晴敏著 『終戦のローレライ』, 2002, 913)
<動き>を
「大切なのは足並みをそろえること。 (惨敗の)北京の流れから(WBCを)リベンジの場ととらえている空気があるとしたら、チームが足並みをそろえることなど不可能でしょう」
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
おれたちは歩調をそろえて歩きだし、青々した芝生を横切って玄関に向かった。
(ウェイン・D.ダンディー著;佐々田雅子訳 『燃える季節』, 1990, 933)
<(複数の)もの>を
二人とも、を揃えて大笑いをした。
(池田みち子著 『池田みち子の東海道中膝栗毛』, 1996, 913)
<基準>に
表全体の文字を行の上下中央に揃える
(高作義明,加藤多佳子,田中眞由美著 『サポート万全! Word & Excel 2003』, 2004, )
<(複数のものの)基準>を
選択した段落を、左右の余白間あるいはインデント間に、行の両端を揃えて配置します。
(別冊宝島編集部編 『ワード2000使えるワザ124』, 2001, 582)
<(組を成す)もの>を
元枝は脱いだを、きちんと揃えた。
(藤田宜永著 『恋しい女』, 2004, 913)
背筋を伸ばして、両足をそろえ、まっすぐに立ちます。
(広報しんじゅく, 2008, 東京都)
<場所>に
霧子はやはり答えず、食卓の上にコーヒーカップとスプーンを揃える。
(渡辺淳一著 『化身』, 1986, 913)
<人やもの>を
それに、野村調査部は優秀なスタッフをそろえ、将来調査部あたりに入れば、そこで日本の独占資本の本体を見ることができるとも思ったのです。
(久田栄正,水島朝穂著 『戦争とたたかう』, 1987, 916)
お料理の下準備の一番目は材料をそろえること。
(上田三根子絵;楠部文&弓文・構成・料理 『キッズシェフのためのわくわくクッキング』, 2005, 596)






























僕は、財布の中のお札の向きをきれいにそろえて、大切に扱ってますよ。
洋装が当たり前になった今、着物を着ようとすると、着物だけでなく、様々な小物も揃えなくてはなりません。
声をそろえる

意味
皆が同時に同じことを言う。
用例
工場の移転案に対して、従業員は声をそろえて反対した。
コーパスからの用例
それもまた金色に輝く豪勢なものだったので、教授と柏原は声をそろえて賛嘆した。(小森健太朗(著)ネヌウェンラーの密室1999)
口をそろえる

意味
皆がそれぞれ同じことを言う。
用例
新入社員は、口をそろえて雰囲気のいい会社だと言います。
コーパスからの用例
その不平が別の誰かの不平を誘発し、全員が口をそろえて学校が悪い、と言った。すべては学校のせいである。(韓寒(著)/平坂仁志(訳)『上海ビート』2002)
顔をそろえる

意味
複数の主要な人物が一斉に同じ場所に集まる。
用例
新作映画の発表会には、人気の有名俳優が顔をそろえた
コーパスからの用例
来賓の政財界の要人に混じって、ホテルの首脳陣がほとんどすべて顔をそろえていた。それもそのはず、新婦は、ホテルの創設者である脇村安左ヱ門の孫にあたり、現社長の三女の益美であったからである。(森村誠一(著)『魔性ホテル』1987)
がん首をそろえる

意味
その場にいた者や関係者が整列する。(整列しているだけで役にたたないことを揶揄するときに用いる)
用例
課長も係長もがん首そろえて出て来たが、この緊急事態に対応する策を提案できる人は誰もいなかった。
コーパスからの用例
たぶんうちらの首相がテレビで何か緊急の問題を語るとなったら、その周辺背後に政府モロモロ担当諸機関の代表やら関係者専門家などががん首を揃え、ものものしい雰囲気の中で、あの貧相な男が百時間喋ってもなに言ってんだかわけのわからないことを、その一瞬一瞬は一応もっともらしくナニゴトか喋りまくっているであろうなあ、と容易に想像がついた。(椎名誠(著)『おろかな日々』1996)
耳をそろえる

意味
必要なお金を不足なく用意する。
用例
貸したものは、耳をそろえて返していただかなければ困りますな。
コーパスからの用例
「お殿様が金に困っている家来に特別に融通してつかわすという趣旨のもとにおこなわれている金融だそうで、金利は年に五分と安いかわり、一年後には耳をそろえて返さなければならない。(佐藤雅美(著)『小説現代』2003)
足並みをそろえる

意味
意見や行動を同じにする。
用例
全社が足並みを揃えて組織改革するというのは、容易なことではない。
コーパスからの用例
革進会は当初、新聞社ごとにバラバラに、八十パーセントから百パーセントの賃上げ要求をかかげていたが、やがて足並みをそろえて、最低賃金の保障、八時間労働、週休一日制の確立など統一要求をまとめあげ会社側に突きつけた。(杉山隆男(著)『メディアの興亡』1989)
複合動詞 V1

取りそろえる、切りそろえる、買いそろえる
複合動詞 V2

品揃え、総ぞろえ、三つ揃え、中央ぞろえ、両端揃え
揃える(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形そろ
ない形そろない
~なかったそろなかった
ます形そろえ
~ませんそろえま
~ましたそろえした
~ませんでしたそろえまんでした
~ときそろるとき
ば形そろれば
意向形そろえ
て形えて
た形えた
可能形そろえらる (そろえる)
受身形そろえら
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