刺さる(ささる)
1グループ
▶活用を見る・聞く
1.
突き立て
ものの鋭く尖った先端部が、もの、人、動物の内部に入る。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
2.
貫通
ものが、鋭く尖った先端部を有する(細長い)ものに通る。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
3.
挿入
細長いものが、もの、身体の一部の内部に入る。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
4.
衝撃
他者の言動によって、人の心情に衝撃が与えられる。
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
▼
全体解説
▲
トップ
刺さる
のコアイメージ
1.
突き立て
自動詞
初級
★★★
表記
刺さる
ものの鋭く尖った先端部が、もの、人、動物の内部に入る。
文型
<もの>が<もの・身体の一部・人・動物>に刺さる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
釘がタイヤに
刺さった
。
▶
その医学生は、患者の腕に注射針がなかなか
刺さらず
、困っていたようです。
▶
「今日は、どうなさいましたか?」「昨夜喉に魚の骨が
刺さって
しまって、とても痛いんです」
▶
飛んできた矢が、目の前の猪に
刺さりました
。
▶
このサツマイモは、串がすっと
刺さる
くらいに焼けてから、さらに5、6分ほど焼くと、おいしく召し上がれます。
▶
3本の杭が、地面に
刺さっている
。
コロケーション
<もの>が
ナイフ、針、骨、矢、串
<もの・身体の一部・人・動物>に
タイヤ、地面、喉、腕、獲物
<様態>
しっかり、すっと、深々と、既に、いきなり
非共起例
<もの>が刺さる
皮膚に
指
が刺さる。
皮膚に
針
が刺さる。
壁に
丸太
が刺さる。
壁に
ピン
が刺さる。
▶
「XがYに刺さる」という文型における「X」は、鋭く尖った先端部を有し、かつ、「Y」の内部に入ることが可能なものに限定される。
<様態>刺さる
針が
くねくねと
刺さる。
針が
まっすぐ
刺さる。
▶
「XがYに刺さる」という文型における「X」は通常、「Y」に向かって直線的に移動し、その内部に入る。したがって、直線的ではない動きを表す副詞(的表現)は共起しない。
解説
▶
語義1は通常、「XがYに刺さる」という文型で用いられる。「X」は鋭く尖った先端部を有するものであり、「Y」は(抵抗力を有する)もの、身体の一部、人、動物である。なお、「Y」の内部(「X」と「Y」の接触部分)の構造(構成)は「X」によって変化させられる。(具体的には、「Y」に穴が空いたり、傷が付いたりする。)また、「X」は、その先端部のみが「Y」の内部に入る場合もあれば、その大部分(あるいは全体)が入る場合もある。
誤用解説
▶
「XがYに刺さる」という文型において、「X」が「Y」と接触するものの、その内部に入らない場合には、「刺さる」ではなく「当たる」、「ぶつかる」などを用いる。
飛んできた矢は、的に
刺さった
が、跳ね返って落ちた。
飛んできた矢は、的に
当たった
が、跳ね返って落ちた。
類義語・反義語
類義語
入る
反義語
抜ける
2.
貫通
自動詞
初級
★★★
表記
刺さる
ものが、鋭く尖った先端部を有する(細長い)ものに通る。
文型
<もの>が<もの>に刺さる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
団子が3つ、串に
刺さっている
。
▶
これから、竹串に
刺さっている
鶏肉を、炭火で焼きます。
▶
釣り針に
刺さった
魚は、まだ動いている。
▶
節分になると、この辺りの家の戸口には、柊の小枝に
刺さっている
鰯の頭が立てられます。
▶
屋台で、1本まるごと浅漬けにした冷たいキュウリが、割箸に
刺さった
状態で売っていた。
▶
「この針、小さすぎないかな?」「そうだね、餌が針にうまく
刺さらない
かもしれないね」
コロケーション
<もの>が
団子、鶏肉、魚、キュウリ、餌
<もの>に
串、竹串、針、枝、割箸
<様態>
しっかり、まるごと、既に、きちんと、そのまま
非共起例
<もの>が刺さる
指
が針に刺さる。
餌
が針に刺さる。
▶
通常、語義2のガ格成分は、人やその他の動物が食べるもの、あるいは、何らかの製品(生産物)の素材となるものに限定される。
解説
▶
語義1で「XがYに刺さる」という文型が用いられる場合、「X」(鋭く尖った先端部を有するもの)が「Y」(もの・身体の一部・人・動物)に入ることに焦点が当てられる。これに対し、語義2で「XがYに刺さる」という文型が用いられる場合、「X」(もの)が「Y」(鋭く尖った先端部を有する、主に細長いもの)に通ることに焦点が当てられる。つまり、語義1では鋭く尖った先端部を有するものがどのような状態になるかが注目される。これに対して語義2では、鋭く尖った先端部を有するもの(道具)が用いられることで、あるものがどのような状態になるか(どのような生産物が完成するか)が注目される。
類義語・反義語
類義語
通る
反義語
抜ける
3.
挿入
自動詞
初級
★★★
表記
刺さる ※「差さる」、「挿さる」を使うこともある。
細長いものが、もの、身体の一部の内部に入る。
文型
<もの>が<もの・身体の一部>に刺さる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
一輪の花が、花瓶に
刺さっている
。
▶
髪に、ピンが数本
刺さっています
。
▶
「そのコップに
刺さった
ストローは、紙でできているんです」「そうなんですか。プラスチックだと思っていました」
▶
パソコンのUSBポートに
挿さった
USBメモリーを、忘れずに外して、明日会社に持って行かなければいけない。
▶
イヤホンが、耳にきちんと
刺さる
。
▶
プラグが、コンセントにしっかり
刺さっていなかった
ようです。
コロケーション
<もの>が
花、ピン、ストロー、USBメモリー、イヤホン
<もの・身体の一部>に
花瓶、コップ、コンセント、髪、耳
<様態>
しっかり、きちんと、ちゃんと、たくさん、少し
非共起例
<もの>が刺さる
コップに
氷
が刺さる。
コップに
ストロー
が刺さる。
▶
語義3のガ格成分は、細長いもの(細長い部位を有するもの)に限定される。
解説
▶
語義1も語義3も、「XがYに刺さる」という文型で用いられる。但し語義1では「刺さる」が、「X」(もの)が「Y」(もの)の内部に入り、「X」と「Y」の接触部分に穴が開いたり、傷が付いたりすることを表す。これに対して語義3では「刺さる」が、(装飾や器材の使用などの目的で)「X」(もの)が「Y」(もの)の内部に入ることを表す。その際、「X」と「Y」の接触部分の構造(構成)は変化しない。(「Y」はいわば容器としての役割を果たす。)
誤用解説
▶
細長くない形状のものが、あるものの内部に移る場合には、「刺さる」ではなく「入る」を用いる。
鉢に金魚が
刺さった
。
鉢に金魚が
入った
。
コップに氷が
刺さっている
。
コップに氷が
入っている
。
類義語・反義語
類義語
入る
反義語
抜ける、取れる、外れる
4.
衝撃
自動詞
中級
★★
表記
刺さる
他者の言動によって、人の心情に衝撃が与えられる。
文型
<こと>が<こと・人>に刺さる
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
先生の言葉が、学生の心に
刺さった
。
▶
その一言は、今まで彼女から投げつけられたどんな酷い言葉より深く、私の胸に
刺さりました
。
▶
あの時の、男の恨みの眼差しが、今も姉に
刺さっている
ようだ。
▶
「これからも、多くの人の心に
刺さる
作品を作り続けてくださいね」「はい、ありがとうございます」
▶
どのように提案すれば、お客様の気持ちにもっと
刺さる
のでしょうか。
▶
社長の必死の語りかけも、彼には全く
刺さらなかった
ようだ。
▶
実体験をもとに描いているからこそ、多くの人の心に
刺さる
歌詞が生み出されるんですね。
コロケーション
<こと>が
言葉、一言、眼差し、表情、作品
<こと・人>に
心、胸、気持ち、人々、彼女
<様態>
強く、本当に、ぐさりと、かなり、結構
解説
▶
語義4は語義1と、主に「XがYに刺さる」という文型で用いられ、「刺さる」が、「X」によって「Y」が何らかの強い影響を受けることを表すという点で共通している。但し、語義1では「X」が鋭い先端部を有するものであるのに対し、語義4では他者の言動である。(言葉に関しては、口頭で発せられる言葉の場合と、文章等で書かれた言葉の場合がある。)また、語義1では「Y」がもの・身体の一部・人・動物であるのに対し、語義4では人の心情である。そして、「何らかの強い影響」が、語義1では物理的な状態変化であるのに対し、語義4では心情の変化(心情に、強い衝撃が与えられること)である。なお、語義4における「衝撃」は、マイナス評価が与えられるケースが多いが、「彼の作品が多くに人の心に刺さる」、「お客様の気持ちに刺さる提案」をはじめとして、プラス評価が与えられるケースもある。
誤用解説
▶
ある事物によって心情に強い影響が与えられることを表す点で、語義4は、「胸を打つ」(心を打つ)、「胸に響く」(心に響く)と類義的な関係にある。但し、「打つ」及び「響く」に関しては、その影響が、プラス評価が与えられるケース、すなわち強い感動に限定される。
その男の酷い言葉が、妹の胸
を打った
。
その男の酷い言葉が、妹の胸
に響いた
。
その男の酷い言葉が、妹の胸
に刺さった
。
類義語・反義語
類義語
打つ、響く
反義語
刺さる
の全体解説
各語義の解説をご覧ください。
▶全例文を聞く
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コーパス
アニメ
慣用表現
複合語
語義
1
<もの>が
◆
「
針
が打掛に刺さっていたため、お怪我をなされたとか―ほんとに申しわけございません。
(山浦弘靖著 『恋姫たちは眠れない』, 1996, 913)
<もの・身体の一部・人・動物>に
◆
「なぜあなたのハンカチが血に染まり、この少年の
背中
に刺さっている剣に巻かれていたのか、説明できますか?」
(マーガレット・P.ブリッジズ著;春野丈伸訳 『わが愛しのワトスン』, 1992, 933)
<様態>
◆
首筋に
深々と
ナイフが刺さっている。
(立原とうや著 『掟』, 1995, 913)
語義
2
<もの>が
◆
渦巻き状の
フライドポテト
が串に刺さっています。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
◆
それは、
団子
が箸に刺さっているような形のものであった。
(清水義範著 『私は作中の人物である』, 1993, 913)
<もの>に
◆
父が
フォーク
に刺さった薄切りのゆで卵を口に運ぼうとすると、食べる寸前で黄身が崩れてお皿に落ちた。
(小説推理, 2004, 文学/芸術)
<様態>
◆
ふつうのようかんなら
しっかりと
刺さるのだが、もとよりゆるい水ようかんは、突き刺した穴のところから崩れかけて落下の気配をみせている。
(東海林さだお著 『パンの耳の丸かじり』, 2004, 596)
語義
3
<もの>が
◆
グラフィックボード
が刺さっているタイプならその通りですが、メーカー製パソコンではメモリー容量の多いものは少ないですね。
(Yahoo!知恵袋, 2005, パソコン、周辺機器)
◆
私が一番心配なのは全身麻酔からさめたときの痛みがどのくらいか、
チューブ
が首から刺さったりしてるのか、などなどです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット)
<もの・身体の一部>に
◆
一度姪浜について、折り返し運転でしばらく姪浜駅に停車してたと思いますが、
耳
にはしっかりipodのヘッドフォンが刺さっていて、なにも聞こえず気持ちよくzzz
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<様態>
◆
LANカードが
きちんと
挿さっているかどうかチェック
(秋葉けんた著 『ファイル共有ハンドブックfor Windows XP』, 2002, 547)
語義
4
<こと>が
◆
しかし彼の胸には、トリッキーという
言葉
が魚の小骨のように刺さっていた。
(高樹のぶ子著 『銀河の雫』, 1996, 913)
◆
日本人生徒の
視線
が刺さってくるようで気羞かしかったのだ。
(李恢成著 『北方からきた愚者』, 2005, 913)
<こと・人>に
◆
自分に逆らうものを遠ざけても、その恨みの眼差しは
胸
に刺さって傷となって消えない。
( 『人物日本の女性史』, 1977, 367)
<様態>
◆
それに、父の最後のひと言も、胸に
深く
刺さっていた。
(乃南アサ著 『晩鐘』, 2003, 913)
語義
4
▶
実体験をもとに描いているからこそ、多くの人の心に
刺さる
歌詞が生み出されるんですね。
小骨が喉に刺さる
意味
人が、ある事物に対して、何となくの違和感を覚える。
用例
彼の発する言葉は、小骨が喉に
刺さる
ように、何となく心に引っかかる部分が多い。
コーパスからの用例
首都圏整備法及び近畿圏整備法の適用地域では、用途地域及び高層住宅誘導地域の決定権、これが普通の地域では市町村長にあるそうでございますが、これが都府県知事に引き上げられているという関係があるそうでございます。首都圏、近畿圏の区域の中の市町村というのは、それなりにプライドもあり能力もあり、そしてやる気もある団体でありますために、これはささいなことかもしれませんけれども、非常に小骨がのどに
刺さっている
ような気持ちの悪い状態なんだそうでございます。(「国会会議録検索システム」[004/011] 154 - 参 - 国土交通委員会 - 21号 平成14年07月02日)
複合動詞 V1
刺さり始める、刺さり出す、刺さり続ける、刺さりまくる
複合動詞 V2
突き刺さる
複合名詞
刺さり方、刺さりよう、刺さり込み
刺さる
(1グループ)の活用
▶活用を聞く
アクセント型
起伏型
辞書形
さ
さ
る
ない形
ささ
ら
ない
~なかった
ささ
ら
なかった
ます形
ささり
ま
す
~ません
ささりま
せ
ん
~ました
ささり
ま
した
~ませんでした
ささりま
せ
んでした
~とき
さ
さ
るとき
ば形
さ
さ
れば
意向形
ささ
ろ
う
て形
さ
さ
って
た形
さ
さ
った
可能形
―
受身形
ささら
れ
る
使役形
ささら
せ
る
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