収める・納める・治める・修めるのコアイメージ

1.収納他動詞初級★★★
表記収める・納める
人が、ものを(そのものが存在するのにふさわしい)あるところにきちんと入れる。
文型
<人>が<もの>を<場所・もの>におさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
兄が本を書棚に収めた
工場長は、ようやく全ての製品を倉庫に納めました
「山田さん、それだけの大金、すぐに金庫に収めるべきですよ」「はい、そうすることにします」
当店では、極上のカステラを、大切な方へ贈るのにふさわしい桐箱に納めてご提供致します。
決して広くはないこのスペースに、あれだけの家財を収めようと思ったら、工夫が必要です。
使い終わった刀は、きちんと手入れしてから鞘に収めないと、すぐに錆びてします。
コロケーション
<もの>をおさめる
製品、金、刀、本、物
<場所・もの>におさめる
棚、倉庫、箱、鞘、(~の)中
<様態>おさめる
なんとか、さらに、しっかり、必ず、いったん
非共起例
<もの>をおさめる
 犬を小屋におさめる
 犬を小屋に入れる
 コップに水をおさめる
 コップに水を入れる
 タイヤに空気をおさめる
 タイヤに空気を入れる
ヲ格名詞の<もの>は、無生物で、かつ固体に限定される。
解説
語義1は、「おさめる」の最も基本的な意味である。語義1では、「棚」や「倉庫」などの場所や、「箱」、「鞘」、「容器」など一定の空間的拡がりを有する物体を表すニ格名詞(句)が必須項となる。そして、これらのニ格名詞(句)によって表される空間領域は通常、ヲ格名詞(句)によって表される<もの>(必須項)が存在するのにふさわしい領域である。なお語義1での<きちんと入れる>という行為は、「本を書棚に収める」、「大金を金庫に納める」のように、あるものの保管(管理)が目的である場合がある。また、「収穫物を倉に収める」のように、あるものの貯蔵が目的である場合もある。
誤用解説
「しまう」は「おさめる」と類義的な関係にある。「しまう」では、必須項としてのニ格名詞(句)は、必須項としてのヲ格名詞(句)によって表される<もの>が元々存在していた場所である必要がある。そして、整理や片付けを目的とした、<もの>の移動を表す。一方、「おさめる」では、望ましい(好ましい)保管、貯蔵が可能となる場所への<もの>の移動を表し、その際、ニ格名詞(句)はその<もの>が本来存在していた場所である必要はない。
 当店では、極上のカステラを、大切な方へ贈るにふさわしい桐箱にしまってご提供致します。
 当店では、極上のカステラを、大切な方へ贈るにふさわしい桐箱におさめてご提供致します。
 子どもがおもちゃをおもちゃ箱に自分でおさめられるようになった。
 子どもがおもちゃをおもちゃ箱に自分でしまえるようになった。
類義語・反義語
類義語しまう、入れる、収納する
反義語出す


2.収録他動詞中級★★
表記収める・納める
人が、作品や情報をある媒体に取り入れる。
文型
<人>が<もの>を<もの>におさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
詩集に、山田氏の詩を収めました
「来月発売されるライブDVDには、秘蔵映像がかなりたくさん収められているらしいですよ」「そうなんだ。じゃあ、絶対に買わなきゃね」
次号には、少なくとも3本の投稿論文を収めたいと考えています。
記者は、機密情報を収めたディスクを紛失したことが原因で失職した人物への取材を試みた。
こちらは、鈴木氏の処女作が納められた文芸誌です。
父の勤務している新聞社が公開しているオンラインデータベースには、創刊から現在に至るまでの全ての紙面が納めてあるそうです。
コロケーション
<もの>をおさめる
作品、論文、映像、データ、情報
<もの>におさめる
本、作品集、論集、ディスク、データベース
<様態>おさめる
さらに、すでに、同時に、初めて、たくさん
非共起例
<もの>を<もの>におさめる
 新聞に広告を収める
 新聞に広告を載せる
 名前を名簿に収める
 名前を名簿に載せる
新聞、雑誌、名簿など(紙媒体)に文字情報を書き記す場合には、「おさめる」ではなく「載せる」を用いる。
解説
語義2は語義1と、ある<もの>を何らかの領域に入れるという点では共通している。但し、語義1では<もの>が具体物であるのに対し、語義2では作品や情報(文字情報、音声情報、視覚情報)である。また、語義1では<もの>を入れる領域が空間領域(場所)であるのに対し、語義2では本、論集、データベースをはじめとした(情報)媒体である。なお、語義2ではヲ格名詞(句)で表される作品や情報は、ニ格名詞(句)で表される媒体の構成要素である。
誤用解説
通常、語義2は現在進行中の行為としては用いられない。
 山口さんは、今まさに論文を論集に収めているところだそうです。
 山口さんは、今まさに論集に収める論文を書いているところだそうです。
類義語・反義語
類義語収録する、入れる、載せる
反義語


3.撮影・録音他動詞中級★★
表記収める・納める
人が、もの、生物、景色、出来事などを、ある機器を用いて撮影あるいは録音する。
文型
<人>が<もの・人・動物・こと>を<もの>に[で]おさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
姉は、美しい桜を写真に収めた
「ぜひ、山頂からの絶景をカメラに収めてきてくださいね」「はい、分かりました。楽しみにしていてくださいね」
山本さんは、運動会での息子さんの活躍をビデオに収めようと、カメラを構えています。
ネイチャーフォト撮影では、その場で被写体をフィルムに納められなければ、二度と同じ被写体には巡り合えないと言っても過言ではない。
先生は、2年生全員を何とかフレームに収めました
この委員会では、書記に選ばれると、会議の一部始終をICレコーダーに収め、その音声を文字起こしして正確に議事録を作成しなければならない。
コロケーション
<もの・人・動物・こと>をおさめる
植物、風景、被写体、活躍、様子
<もの>に[で]おさめる
写真、カメラ、ビデオ、フィルム、ICレコーダー
<様態>おさめる
なんとか、すでに、しっかり、次々、きちんと
非共起例
<もの>でおさめる
 美しい風景をファインダー収める。
 美しい風景をファインダー収める。
 クラス全員を何とかフレーム収めた。
 クラス全員を何とかフレーム収めた。
撮影あるいは録音の際の機器は、映像や音声の在り処として、通常ニ格名詞(句)で表される。一方、これらの機器が、撮影あるいは録音といった行為において必要となる道具であるという側面が焦点化されると、「絶景をカメラで収める」のようにデ格名詞(句)で表される。但し、撮影という行為を表す「ファインダーにおさめる」、「フレームにおさめる」などの句では、「ファインダー」や「フレーム」は道具そのものではなく、道具の一部分であり、デ格では用いられない。
解説
語義3は語義1と、人がある対象をある領域に入れる(存在させる)という点では共通している。但し、語義1ではある対象が具体物であるのに対し、語義3では具体物、生物、景色、出来事など様々である。また、語義1では人が意志的にある対象の位置変化を生じさせることを表すのに対し、語義2では位置変化ではなく、撮影あるいは録音という行為を表す。(つまり、ある対象がデータとして撮影・録音機器の内部に存在するようになるという、対象の状態変化を人が生じさせるのである。)
類義語・反義語
類義語撮る、録る、収録する
反義語


4.遺体・遺骨・遺品の処理他動詞中級★★
表記収める・納める
人が、人や動物の遺体、遺骨、遺品を、墓所や土中などにきちんと入れる。
文型
<人>が<人・動物・もの>を<場所>におさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
家臣たちが、王の亡骸と遺品を棺に収めました
土葬とは、死者の遺体を棺に収めて、地中に埋葬することです。
かつて、この石棺にツタンカーメンのミイラが納められていたらしい。
「遺骨は、遺族での骨上げの後、すぐに墓所に納めなければならないのですか」「いいえ、一度自宅に持ち帰るケースもあります」
お骨は、足の方から頭の方へと順に拾い、骨壺に収めていく
この慰霊塔に、戦没者の遺骨を収めようと思っています。
コロケーション
<人・動物・もの>をおさめる
遺体、亡骸、故人、遺骨、遺品
<場所>におさめる
棺、石棺、木棺、墓(所)、骨壺
<様態>おさめる
すでに、ようやく、すぐに、すべて、なんとか
解説
語義1は、人がある対象(具体物)を好ましい(望ましい)場所に入れるという行為を表すが、語義4はその一種である。語義1はある対象が無生物であるのに対し、語義4は人や動物の遺体、遺骨、遺品に限定される。また、語義1ではある対象をある場所に入れる目的が、保管(管理)や貯蔵であるのに対し、語義4ではより限定的に、(埋葬をはじめとした)遺体、遺骨、遺品の適切な処理である。
誤用解説
語義1や語義2では、「おさめる」を、類義関係にある「入れる」と置き換えられるケースが多いが、語義4では「おさめる」が死者への敬意という意味特徴を含んでおり、そのような意味特徴を含まない「入れる」と置き換えるとぞんざいな表現となり、不自然な場合が多い。
 王の亡骸を棺に入れる
 王の亡骸を棺に収める
 故人のお骨を骨壺に入れた
 故人のお骨を骨壺に納めた
類義語・反義語
類義語葬る
反義語


5.範囲内他動詞中級★★
表記収める・納める
人が、あるものや物事の数量を一定の範囲内にする。
文型
<人>が<もの・こと>を<数量>におさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
山野さんは、ハンドアウトをA4用紙1枚に収めた
安江先生は、原稿の枚数を規定内に収めてくださいました
母は今月の食費を5万円以内に納めようとしている。
「暮らしを圧迫しないためには、家賃を月収の25%以内に収めるといいらしいよ」「へえ、そうなんだ。アパート選びの参考にするね」
シフト自由のパートなら、勤務先と相談して勤務時間を調整し、年間の収入額も自分の希望の範囲に収めやすい場合が多い。
ローンを組むとしても、返済期間を5年程度に収めることが可能ならば、リスクもそれほど高いものではありません。
コロケーション
<もの・こと>をおさめる
原稿、枚数、食費、家賃、返済期間
<数量>におさめる
1枚、5年程度、10万円以内、規定内、範囲(内)
<様態>おさめる
なんとか、きちんと、しっかり、必ず、どうにか
非共起例
<数量>におさめる
 山野さんが、ハンドアウトの枚数を範囲に収めた。
 山野さんが、ハンドアウトの枚数を規定の範囲に収めた。
 山野さんが、ハンドアウトの枚数を適切な範囲に収めた。
必須項のニ格名詞が「範囲」である場合、それ単独で用いることはできず、「規定の範囲」、「適切な範囲」など、どのような範囲なのかを示す「名詞+の」、あるいはナ形容詞といった要素を「範囲」という名詞の前に付加する必要がある。
解説
語義5は語義1と、人がある対象を一定の範囲内に存在させるという点では共通している。但し、語義1ではその対象が具体物であるのに対し、語義5は「原稿」、「食費」、「返済期間」をはじめとした、数値化できる事物である。また、語義1では、一定の範囲は空間領域(場所)であるのに対し、語義5では数量(的範囲)である。なお、語義5における数量(的範囲)に関して、「数量詞+に」のような形式で表すケース、「数量詞+程度に」、「数量詞+以内に」のような形式で表すケース、「規定内に」、「数量詞+の範囲(内)に」のような形式で表すケースが一般的である。また、「3ページから5ページ(の範囲)に」のように、カラ格とニ格を用いて表す場合もある。
誤用解説
「抑える」は、「おさめる」の語義5と類義的な語義を有する。「おさめる」はある対象の数量を一定の範囲内になるように調整することが焦点化されるのに対し、「抑える」はある対象の数量が基準となる数量を上回らないようにすることが焦点化される。なお「抑える」に関しては、人がある対象の数量や程度を控え目にするという意味を表す(数量詞を用いない)用法があるが、その場合、「抑える」を「おさめる」に置き換えることはできない。
 食費をなるべく安く収めたい
 食費をなるべく安く抑えたい
 甘味を収めた上品な和菓子をいただいた。
 甘味を抑えた上品な和菓子をいただいた。
類義語・反義語
類義語抑える
反義語超す


6.受け渡し他動詞初級★★★
表記納める
人が、(義務として、一定の期限内に、一定の分量の)渡すべき金銭やものを、ある組織、地域(国や地方自治体)、人に渡す。
文型
<人>が<もの>を<組織・地域・人>におさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
私たちは毎月、国に保険料を納めています
税金を納めることは、憲法で定められた国民の義務の一つである。
1年間お護りいただいた古い御札は、感謝を込めて神社に納めましょう
質の高い製品を、期限内にお客様に納めなければなりません。
「無収入だからといって、住民税を納めなくて良いというわけではありません」「つまり、住民税と所得税とでは、その仕組みが異なるということですね」
私費留学の場合、半期ごとに在籍料5万円を現在の所属大学に納め、学費は留学先の大学のみに納めることとなります。
stairs国民年金の場合は自分で納めないと、未納状態になってしまい、将来年金を受け取れない場合もあります。
コロケーション
<もの>を納める
保険料、税金、会費、製品、札
<組織>に納める
裁判所、神社、大学、国庫、取引先
<地域>に納める
国、市町村、自治体、都道府県、国家
<人>に納める
お客様、領主、地主、皇帝、王
<様態>納める
すでに、きちんと、必ず、しっかり、ちゃんと
非共起例
<もの>を納める
 友達にプレゼントを納める
 友達にプレゼントを渡す
 友達にプレゼントをあげる
 企業が顧客にサービスを納める
 企業が顧客にサービスを提供する
語義6では、必須項となるヲ格名詞(句)は、通常、義務として一定の期限内に受け取る側に渡すべきである、一定の分量の金銭やもの(具体物)を表す名詞(句)に限定される。
解説
語義6は語義1と、人がある対象物を、その対象物が存在するのにあるふさわしい(適切な)領域に移すという点では共通している。但し、語義1では保管(管理)や貯蔵を目的とした対象物の移送を表すのに対し、語義6では対象物(金銭や具体物)の義務的な受け渡し(納入)を表す。また、移送先の領域が、語義1では空間領域(場所)であるのに対して、語義6では組織(企業、寺社、学校など)、地域(国、地方自治体など)、人(顧客、支配者など)であるという違いもある。
類義語・反義語
類義語納入する
反義語


7.入手他動詞上級
表記収める・納める
人や組織が、あるもの、物事、場所、組織などを手に入れる。
文型
<人・組織>が<もの・こと・場所・組織>を<領域>におさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
秀吉は、四国を手中に収めました
ほんの一握りの人間が巨大な富を手中に納めた、というのが現実です。
横井氏が勤務している会社は、関連会社20社を傘下に収めようと画策しているらしい。
人間は、一度自分が掌中に収めた地位や権力はなかなか手放そうとはしないものである。
あの男は、事務所の所属アーティストの活躍によって生まれた利益のほとんどを自分の懐に収めていた悪徳マネージャーです。
「どうぞ、お納めください」「いやいや、こんな大金、受け取れません」
コロケーション
<組織>がおさめる
会社、企業、財閥、軍、(強)国
<もの>をおさめる
富、金品、資金、資源、石油
<こと>をおさめる
権利、利益、地位、権力、力
<場所・組織>をおさめる
世界、天下、一帯、(関連)企業、(関連)会社
<領域>におさめる
手中、傘下、掌中、懐、支配下
<様態>おさめる
さらに、すでに、次々、全て、一気に
非共起例
<領域>におさめる
 薄志ですが、どうぞ手中にお納めください
 薄志ですが、どうぞ掌中にお納めください
 薄志ですが、どうぞ懐にお納めください
 薄志ですが、どうぞお納めください
「(どうぞ)納めください」は、語義7の周辺的用法であり、人が相手に、金品を受け取ることを丁寧に勧める際の定型表現である。この場合、ニ格名詞(句)は共起しない。なお、ガ格名詞(句)、及びヲ格名詞(句)も通常、共起しない。
解説
語義7は語義1と、行為主体が、ある対象を、ある領域に存在させるという点で共通している。但し、語義1では行為主体は人に限定されるが、語義7では人あるいは組織(企業、軍、国家など)である。また、語義1では対象は具体物に限定されるが、語義7では具体物(金品や資源など)に加え、物事(権利、権力、利益など)、場所(領土など)、組織(企業など)の場合がある。さらに、語義1ではある領域が空間領域(場所)であるのに対し、語義7では行為主体自身である。すなわち、語義7では、行為主体が、ある対象(となる事物)を、自身の所有物として入手する(あるいは支配下に置く)ことを表す。
類義語・反義語
類義語入手する、受納する
反義語手放す、失う


8.良い結果の獲得他動詞中級★★
表記収める・納める   ※「治める」を用いる場合もある。
人や組織が、ある取り組みにおいて良い結果を得る。
文型
<人・組織>が<こと>をおさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
斎藤先生は、開業医として成功を収めました
最終戦において、我がチームが見事勝利を納めたのである。
篠田さんは、営業でトップクラスの成績を収めようと、日々ものすごい努力をしているそうです。
「社長の取り組みは、一定の成果を治めているんじゃないかな」「そうかな。僕にはその実感はないな」
石川県は、全国学力・学習状況調査で好成績を収め、他県からも注目されている。
この政策を実行に移せば、少子高齢化の問題に対して多大な成果を収められるはずです。
stairsだから3年間いい成績収めてもらわないとね。
コロケーション
<組織>がおさめる
チーム、大学、企業、県、政府
<こと>がおさめる
作戦、戦略、政策、プロジェクト、プログラム
<こと>をおさめる
成功、勝利、(好)成績、成果、効果
<こと>でおさめる
試合、ゲーム、戦略、政策、プロジェクト
<様態>おさめる
なんとか、しっかり、必ず、見事、常に
非共起例
<こと>をおさめる
 斎藤先生は、開業医として失敗を収めた。
 斎藤先生は、開業医として成功を収めた。
 我がチームは、最終戦で敗北を納めた。
 我がチームは、最終戦で勝利を納めた。
必須項となるヲ格名詞(句)は、良い結果(の実現)を表す名詞(句)に限定される。
解説
語義8は語義7と、人や組織がある事物を得るという点では共通している。但し、語義7では人や組織が、具体物(金品や資源など)、物事(権利、権力、利益など)、場所(領土など)、組織(企業など)を自身の所有物として手に入れることを表す。これに対し、語義8では人や組織が、ある取り組みにおいて良い結果を得る(実現させる)ことを表す。なお、語義8では人や組織がガ格名詞(句)で、良い結果がヲ格名詞(句)で表される際には、ある取り組みが「~で」(「試合で」、「プロジェクトで」など)という形で表される場合がある。一方、ある取り組みが必須項としてガ格名詞(句)で表される場合もある。(「彼らのプロジェクトが、大成功を収めた」のようなケースである。)
類義語・反義語
類義語手に入れる、得る
反義語


9.視覚による把握他動詞中級★★
表記収める・納める
人が、あるもの、人、景色、場所(範囲)を、視覚によってきちんと把握する。
文型
<人>が<もの・人・場所>を<領域>におさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
坂本さんは、一面の海を視野に収めました
あの国は、隣国を射程に収めた短距離弾道ミサイルを多数保有しているらしい。
姉は、俳優の姿をしっかり視界に納めようと、オペラグラスを持って劇場に行きました。
「ここから見る夜景は、実にすばらしいんですよ」「そうですね。もう、なかなか来られないと思うから、しっかりこの目に収めておきたいと思います」
あの丘に登れば、のどかな田園風景が眼下に収められます
網膜は眼球の奥全体に広がっているので、一点を見つめていても、上下左右の広い範囲を同時に視野に収めることができるのだそうです。
コロケーション
<もの・人・場所>をおさめる
姿、隣国、光景、風景、絶景
<領域>におさめる
視野、視界、目、眼下、射程
<様態>おさめる
なんとか、しっかり、全て、初めて、遂に
非共起例
<領域>におさめる
 麓から頂上を眼下に収める。
理由
<様態>おさめる
 河合さんは、その光景をたまたま[偶然]目に収めた
 河合さんは、その光景をたまたま[偶然]目にした
 河合さんは、その光景をたまたま[偶然]目撃した
語義9は、人が単に対象を視覚で捉えるというわけではなく、意識的に(きちんと)視覚で捉えることを表す。したがって、「たまたま」、「偶然」など、偶発的なさまを表す副詞は通常、「目におさめる」とは共起しない。
解説
語義9は語義1と、人が対象をある領域にきちんと存在させることを表すという点では共通している。但し、語義1では具体物をある空間領域(場所)に移すことであるのに対し、語義9では対象(具体物、人、場所など)を自身の視覚によって捉える(対象を、自身の視覚の範囲内に存在させる)ことを表す。なお、「視野におさめる」、「視界におさめる」、「目におさめる」、「眼下におさめる」という場合には、視覚によって直接的に対象を捉えることを表す。一方、語義9の周辺的な用法である「射程におさめる」という場合には、銃砲、大砲、ミサイルなどの、発射の起点と着弾点との水平距離を、視覚によって把握する(視覚に基づいて規定する)ことを表す。
類義語・反義語
類義語捉える、把握する
反義語


10.統治他動詞中級★★
表記治める
人が、土地(領土)や人々を、秩序ある安定した状態にする。
文型
<人>が<場所・人>を治める
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
王は40年間、国を平穏に治めた
かつてこの地に、戦乱の世を治めようと立ち上がった一人の若者がいた。
「国司とは何ですか」「奈良時代から平安時代にかけて、地方を治めるために中央から送られた役人のことです。現在の、都道府県知事のようなものですよ」
あれは、約2000年前にこの一帯を治めていた首長の墓所だと言われています。
ダムは、水を治め、水を上手に利用するという重要な役割を担っている。
「王国を統治するよりも、家庭内を治めることの方が難しい」という名言があるそうです。
コロケーション
<場所・人>を治める
国(家)、世(の中)、水、家(庭)、人(民)
<手段>で[によって]治める
力、徳、儒教、法、やり方
<様態>治める
よく、かつて、なんとか、再び、ことごとく
非共起例
<人>を治める
 王は一人の男を治めた。
 父が息子を治める。
 王は人民を治めた。
 父が家(庭)を治める。
必須項となるヲ格名詞(句)は、必ず、複数の人を表す名詞(句)である。
解説
語義10は語義1と、人がある対象を望ましい(安定的な)状態にするという点で共通している。但し、語義1では具体物をある場所にきちんと入れることを表すのに対し、語義10では人(為政者、支配者、家長など)がある場所(領土)やその場所に生きる人々を、秩序ある安定した状態にすることを表す。なお、語義10では、例えば「国を治める」場合、為政者がある国の争いや混乱を鎮めて安定した状態にし、それを維持する場合もあれば、そもそも最初から争いや混乱が生じないように努める(争いや混乱が生じていない状態を維持する)場合もある。同様に、「水を治める」場合も、例えば管理者がある河川の洪水や氾濫による被害をなくし、その状態を維持する場合もあれば、そもそも最初から洪水や氾濫が起きないように努める(洪水や氾濫が生じていない状態を維持する)場合もある。
類義語・反義語
類義語支配する、統率する
反義語


11.事柄の安定化他動詞中級★★
表記治める・収める・納める
人が、好ましくない状態にある事柄を、穏やかな安定した状態にする。
文型
<人>が<こと>をおさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
警官が暴動を治めた
私は、市販の薬では肌荒れの症状を治められませんでした。
大統領は、社会的混乱を収められなかった責任を取って、辞職した。
「ステロイドには、皮膚の炎症を一時的に治める効果はあります」「一時的に、ということは、ステロイドは根本的な解決には繋がらないということでしょうか」
クレーム対応は、ただその場を納めれば良いというものではありません。
王は家臣に命じて、大洪水を治めさせた
コロケーション
<こと>をおさめる
暴動、混乱、症状、場、洪水
<様態>おさめる
なんとか、無事(に)、まず、きちんと、しっかり
非共起例
<こと>をおさめる
 をおさめる。
 をおさめた。
 肌荒れ(の症状)をおさめる。
 体の痛みをおさめた。
語義11が肉体的な安定化に関して用いられる場合、必須項となるヲ格名詞(句)は「肌」、「体」など身体(部位)そのものを表す名詞(句)ではなく、身体の好ましくない状態を表す名詞(句)である。
解説
語義11は語義10と、人による対象の安定化を表すという点では共通している。但し、語義10ではその対象が土地(領土)や人々の状態であるのに対し、語義11では何らかの事柄(出来事、肉体的な症状など)である。また、語義10では安定に至るまでの変動は必ずしも必要ないのに対し、語義11では「おさめる」が、何らかの不安定な状態を経た上での安定化を表すという違いもある。なお、語義11では必須項となるヲ格名詞は、「暴動」、「混乱」、「洪水」、「痛み」など、不安定な状態を表す名詞であるケースがある一方、「事態」、「場」のように、それ自体には不安定な状態であるという意味特徴が含まれない名詞であるケースもある。(その場合にも、特にマイナスの意味特徴を含む要素を付加せず「事態をおさめる」、「場をおさめる」という形式のみによって、不安定な状態を安定化させるという意味を表せる。)ところで、語義11の周辺的な用法として、「仕事を納める」のようにある行為を収束させることを表すケースがある。この場合、変動を前提とした安定化を表すが、その変動は否定的に捉えられる事柄というわけではない。但しこれは主に「書き納める」、「歌い納める」、「舞い納める」のように複合動詞の後項要素として「納める」が用いられる用法である。(このケースでは、「仕事」以外の名詞は、通常、「納める」という動詞のヲ格名詞とはならない。)
類義語・反義語
類義語抑える、鎮める
反義語


12.精神の安定化他動詞中級★★
表記収める・治める・納める
人が、ある人(他者あるいは自身)の好ましくない状態にある精神を、落ち着いた状態にする。
文型
<人>が<精神>をおさめる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
父は、息子への怒りを収めました
澤田さんは、取り乱した気持ちを収められなかったようだ。
「その時私は、湧き上がる怒りをどうにか身の内に納めたんです」「よく、こらえられましたね」
あなたならきっと、彼女の苛立ちを治めてあげられるはずです。
あの人のいらいらした感情を、収めようにも収められなかった
物事が自分の思い通りに運ばなかったとき、人は得てして相手に感情をぶつけることで腹立ちを収めようとするのではないでしょうか。
stairsどうしようもない怒りを収めるにはね、まず腹式呼吸がいいって聞くよ。
コロケーション
<精神>をおさめる
怒り、苛立ち、腹立ち、気持ち、感情
<領域>におさめる
心(の内)、身の内、腹の中[内]、腹、胸
<様態>おさめる
なんとか、どうにか、ようやく、とりあえず、ちゃんと
非共起例
<精神>をおさめる
 彼は湧き上がる喜びをおさめた
 彼は湧き上がる喜びを抑えた
語義12では通常、好ましくない状態にある精神の安定化を表すのに「おさめる」が用いられる。
解説
語義12は語義11と、人がある好ましくない状態を安定化させることを表すという点では共通している。但し、語義11では好ましくない状態にある対象が、五感によって知覚可能な事柄(主に出来事や肉体的症状)である。これに対して、語義12では自身あるいは他者の精神(感情)であるという違いがある。なお、語義11では通常、好ましくない状態を好ましい状態(穏やかな安定した状態)にすることを表す。これに対し、語義12では、好ましくない精神状態が表出したり悪化したりすることを(どうにか)防ぐ、あるいは我慢するという場合もある。(例えば、「私は、湧き上がる怒りをどうにか身の内に収めた」というような場合である。)
類義語・反義語
類義語抑える、鎮める
反義語


13.修養他動詞上級
表記修める
人が、自分の言動や人格を、乱れのない整った状態にする。
文型
<人>が<こと>を修める
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
目標を実現しようと思うのなら、まずは心を修めましょう
「人としての健全な成長には、何が必要でしょうか」「学ぶこと、体を鍛えること、そして高い徳を修めることでしょう」
おみくじに、「静かに身を修め、徳を養うことが肝要」と書いてあった。
「天を怨みず人を尤めず」というのは、「世間で認められなくても、天をうらんだり、人をとがめたりせず、ひたすら我が身を修めなさい」ということである。
かつて中国の思想家は、「物事の道理を学び、自らを修めることで、家を治め、天下を治められる」と説いたそうです。
「修身」とは、「身を正しく修めて、立派な行いをするように努めること」という意味の言葉で、旧制の小中学校での教科名にもなっていました。
コロケーション
<こと>を修める
身、心、徳、自ら、我が身
<様態>修める
しっかり、まず、もっぱら、きちんと、正しく
非共起例
<こと>を修める
 言動を修める
 行動を修める
 振る舞いを修める
 言動を正す
 行動[振る舞い]を正す。
必須項となるヲ格名詞は、言動や人格に関わる語の中でも、「身」、「心」、「徳」、「自ら」、「我が身」、「己」など、少数に限定される。
解説
語義13は語義10と、人が対象を秩序ある安定した状態にするという点では共通している。但し、語義10ではその対象が土地(領土)や人々(他者)であるのに対し、語義13では自身の言動や人格であるという違いがある。
誤用解説
「身を修める」という場合、ヲ格名詞は本来身体を表す「身」という語であるが、言動や人格の修養を表しており、身(体)の状態を安定化させる、身(体)を美しくする、あるいは服装(身なり)を正すという意味で用いるわけではない。
 怪我をした身を修めた。
 彼女はその身を美しく修めた。
 生徒たちは、校則に従って身を修めた。
類義語・反義語
類義語正す、整える、修養する
反義語


14.修得他動詞上級
表記修める
人が、学問、神仏の教え、芸術、技術などを学び、身に付ける。
文型
<人>が<こと>を修める
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
祖父は大学で、幅広い学問を修めた
小中学校の教員を目指すのであれば、所属大学の各学部・学科に定められている教員免許取得に必要な科目を修め、教員免許を取得することが必要です。
江戸時代には、庶民も子弟に学業を修めさせるようになった。
「不惜身命という四字熟語の意味を教えてください」「仏道を修めるためには自らの身命をも惜しまない、という意味です」
西田社長は、若くして茶華道を修められました
皆さんには、ぜひ本校で、専門職としての知識、技術を十分に修めていただきたいと思っています。
コロケーション
<こと>を修める
学問、学業、仏道、茶道、技術
<様態>修める
しっかり、さらに、きちんと、若くして、遂に
解説
語義14は語義13と、人が自分自身(の内面)を好ましい状態にするという点では共通している。但し、語義13では言動や人格に関する修養であるのに対し、語義14では学問、神仏の教え、芸術をはじめとした知識や技術の修得である。
誤用解説
ある知識や技術を深く理解し、十分に身に付ける場合にしか、「修める」を用いることはできない。
 哲学に関して、私には、学生時代にほんの少しだけ修めた程度の知識しかありません。
 哲学に関して、私には、学生時代にほんの少しだけ学んだ程度の知識しかありません。
類義語・反義語
類義語身に付ける、修得する
反義語


収める・納める・治める・修めるの全体解説 各語義の解説をご覧ください。
























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<もの>をおさめる
居合とはを鞘に収めた状態から、抜刀し、斬りつける動作を一瞬のうちに行う技術をいう。
(雑賀礼史著 『リアルバウトハイスクール』, 2004, 913)
<場所・もの>におさめる
伏見は写真を元どおりにに収めた。
(梓林太郎著 『尾瀬ヶ原殺人事件』, 2005, 913)
<もの>をおさめる
アーサー・ビナードさんが選んだ一冊は「ぞうさん」や「くまさん」の作詞家としても有名な詩人、まど・みちおの全作品を収めた詩集。
(クロワッサン, 2002, 一般)
<もの>におさめる
この話は、平安時代の人々の姿を生き生きと描いた『今昔物語集』という説話集に収められており、芥川は『鼻』『芋粥』『藪の中』など、多くの作品の題材をこの『今昔物語集』から得た。
(国語総合, 2006, 高)
<もの・人・動物・こと>をおさめる
風情ある三国湊町を巡り、お気に入りの風景をカメラに収めてみませんか。
(市政広報ふくい, 2008, 福井県)
<もの>に[で]おさめる
「会地村をいろいろな角度からカメラに収めたいと思う」。
(アサヒカメラ, 2005, レジャー/趣味)
<人・動物・もの>をおさめる
そして、住房の東の丘の上を墓所と定め、廟堂を建て、遺体を石の唐櫃に納めて葬った。
( 『探訪日本の古寺』, 1990, 185)
<場所>におさめる
紀元一世紀のユダヤ人の習慣では、ユダヤ人の死者が出た場合、その死者を棺桶に納めて埋葬する前に、大きな石を懐に抱かせることが行なわれていた。
(宇野正美著 『激突アジア・日本vs欧米』, 1995, 316)
<数量>におさめる
できれば脂肪の比率は二五%以内に収めたほうが、肥満や成人病を抑制することができると言われています。
(安藤節子著 『子育てと食事』, 1995, 599)
<もの>を納める
経済的に保険料を納めることが、困難な人のための免除制度があります
(広報今治, 2008, 愛媛県)
まさしく百姓らにとって、年貢を納め、公事を勤めることは義務であった。
(上横手雅敬,元木泰雄,勝山清次著 『院政と平氏、鎌倉政権』, 2002, 210)
<地域>に納める
厚生年金は国の年金制度ですから、当然、に保険料を納めて国から年金をもらいます。
(高木隆司著 『年金受給生年月日別完全ガイド』, 2001, 364)
<人>に納める
つまり百姓を安堵できないような荘園領王は簿王としての資格に欠ける、したがってそのような領主に年貢・公事は納めなくともよい、という論理である。
(上横手雅敬,元木泰雄,勝山清次著 『院政と平氏、鎌倉政権』, 2002, 210)
<領域>におさめる
福島交通を手に入れてからわずか四年後の四十七年一月、政商・小針は、今度は新聞社を傘下に収めることになった。
(塩田潮著 『首領は何を見たか』, 1986, 210)
<こと>をおさめる
最初の訪問は見事に成功を収めた。
(シドニィ・シェルダン作;天馬竜行英意和訳;紀泰隆日本語文章 『明け方の夢』, 1993, 933)
あなたは第二十五回全日本学生柔道選手権大会に於いて頭書の成績を収められました
(広田典子著 『表彰状・感謝状・賞状の文例と書き方』, 1993, 816)
<こと>でおさめる
この戦いでも、義経の奇襲で源氏軍が勝利を収めました。
(小林弦彦著 『旧暦はくらしの羅針盤』, 2002, 449)
<領域>におさめる
特に,移動式で命中精度の高いSS‐20は,極東ソ連のほとんどの地域から日本全土をその射程に収め得るとみられている。
(防衛白書, 1981, )
<場所・人>を治める
戦国時代の斎藤道三は油売りの行商から身を起こして、美濃の国を治めます。
(永六輔著 『商人』, 1998, 670)
<精神>をおさめる
瑛子が怒りを胸に収めて冷静に聞く。
(龍一京著 『壊滅!臓器密売ルート』, 2001, 913)
<領域>におさめる
まるで、物語を伝えたいという情熱が強すぎて、その思いをに収めていることができず、あらゆるものの表面からほとばしり出たとでも言おうか。
(ブルース・ファイラー著;黒川由美訳 『聖書を歩く』, 2004, 292)
<こと>を修める
礼拝という言葉には本来宗教的、超越的な性格があったにも関わらず、その意味が薄れ、を修め、徳を高める自己向上のための手段となりました。
(竹田伸一著 『聖書によるキリスト教研究』, 2001, 190)
<こと>を修める
観心寺塔頭の中院は代々楠木家の菩提寺で、正成は八歳から十五歳まで、ここで学問を修めた。
(五木寛之監修;講談社学芸局編 『五木寛之の百寺巡礼』, 2004, 185)






























国民年金の場合は自分で納めないと、未納状態になってしまい、将来年金を受け取れない場合もあります。
だから3年間いい成績収めてもらわないとね。
どうしようもない怒りを収めるにはね、まず腹式呼吸がいいって聞くよ。
胸に納める

意味
人が、ある事柄や感情を口に出して言わず、心の中にしまいこんでおく。
用例
事の真相は、あなたの胸に納めておいてください。
コーパスからの用例
なにもかもを捨て去ったすがすがしさと、何もかもを失った淋しさをしっかりと胸に納めて、その夜、姉尼たちの横で身を縮めるようにして寝床についたますだったが、そうやすやすと寝つかれるものではなかった。(ののはらゆみ著 『貞心尼』, 2004, 913)
矛を収める

意味
人が、争いをやめる。
用例
議論は何時間も平行線のままだったので、父もやむなく矛を収めたそうです。
コーパスからの用例
しかし自動車不買の報復によって、矛を収めざるを得なかった。 (ジョージ・アームストロング著;馬野周二監訳・解説 『ロスチャイルド世界金権王朝』, 1993, 335)
丸く収める

意味
人が、揉め事を円満に解決したり、争いが生じるのを避け穏便に済ませたりする。
用例
兄弟で争うのは決して良いことではないので、どうにか私が丸く収めてやりたいのだが。
コーパスからの用例
それでいて客あしらいは抜群で、ファーストクラスのうるさ型の政治家やその筋の客がクレームでもつけようものなら、飛んで行ってまるく収める。(山崎豊子著 『沈まぬ太陽』, 1999, 913)
年貢を納める

意味
人が、ある物事を落ち着かせたり、最後にしたりする。(特に、結婚を決める。)
用例
これまで独身生活を謳歌してきたけれど、僕もそろそろ年貢を納める頃なのかな。
コーパスからの用例
「それで奥さんと出会って、年貢を納めたというわけ?」(シドニィ・シェルダン作;天馬竜行英意和訳;紀泰隆日本語文章 『明け方の夢』, 1993, 933)
複合動詞 V1

納め始める、収め出す、納め続ける、納め切る、収めかける、収め得る、納め過ぎる、収め直す、収め尽くす、納め忘れる
複合動詞 V2

書き納める、歌い納める、舞い納める、走り納める、撮り納める、乗り納める、守り治める
収める・納める・治める・修める(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形おさ
ない形おさない
~なかったおさなかった
ます形おさめ
~ませんおさめま
~ましたおさめした
~ませんでしたおさめまんでした
~ときおさるとき
ば形おされば
意向形おさめ
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た形めた
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