折れるのコアイメージ

1.物の屈折自動詞初級★★★
表記折れる
棒状・線状の物、板状の物が角度が付いて曲がる。
文型
<棒状・線状・板状の物>が折れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
鉄の棒の先が折れて曲がっている。
電気コードを折れたままにしていると、中の線が切れてしまいます。
「あれ、水が出ないよ」「あ、ホースが折れてる
カードが折れて、ATMで使えない。
スーツの裾が折れているのに気付かず、恥ずかしい思いをした。
童話の魔法使いは大抵、先が少し折れたとんがり帽子をかぶっている。
stairs折りたたみ傘は軽くてかさばらない反面、折れやすいという欠点があります。
コロケーション
<細長い物>が
針金、ワイヤー、コード、ホース、チューブ
<平たい物>が
鉄板、プラスチック、カード、段ボール紙、紙
<衣服の一部>が
襟、(帽子の)つば、裾
<部分>が
部分、角、~部、~側、先、先端、上部、端
<長さ・角度>に
直角、半分、鋭角、L字型
<方向>に
内側、逆、斜め
<位置>で
途中、部分、真ん中
<原因>で
雪、重み、強風、風、台風、衝撃、地震、一撃、大風、大雪、はずみ
<様態>に
完全、自然、容易
解説
「折れる」の中心義は、細長い物や平面状の物が鋭角的に曲がることを指す。その物がやわらかい物であれば、その結果、折れ曲がった状態になる。硬い物であれば、曲がる過程で分断されたり、分断されないまでも元に戻らない状態になってしまう。なお、曲がることよりそれによって分断されること・元に戻らない状態になることを意味する「折れる」は語義2とした。また、柔軟性をもつ紙などが曲がって重なり合う状態になることを意味する「折れる」は語義3とした。
類義語・反義語
類義語曲がる、折れ曲がる
反義語


2.分断自動詞初級★★★
表記折れる
硬い棒状・板状の物が、力が加わって分断されたり、分断されそうになって元に戻らない。
文型
<棒状の物・板状の物>が折れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
台風で桜の枝が枝元から折れていた
怒ったバッターがバットを地面にたたきつけたので、バットが折れた
ドアを無理に開けようとして、レバーが折れてしまった。
真っ二つに折れた鉛筆が引き出しの中に入っていた。
地震の衝撃で橋が真ん中から折れた
配管が折れて水が噴き出した。
コロケーション
<棒状の物>が
竿、柱、針、芯、刀、柄、棒、支柱、電柱、マスト、パイプ、煙突、傘、箸、バット、アンテナ、ポール、鍵、包丁、箸、ヒール、船体、橋
<機械の部品>が
シャフト、ボルト、フレーム、ピン、レバー、軸、車軸、アーム、スプリング、ハンドル、尾翼、配管、ネジ、バルブ、フック、突起
<平たい物>が
板、プラスチック、刃、カード
<植物>が
枝、茎、木、葉、幹、根、松
<部分>が
部分、~部、~側、先、先端、上部、根元、端、付け根
<数>に
二つ、半分、三つ
<位置>で
途中、真ん中、根元
<原因>で
雪、重み、強風、風、台風、衝撃、地震、一撃、大風、大雪、はずみ
<位置>から
根元、途中、部分、真ん中、中ほど、~部
<様態>と
ポキン、ポキッ、ポキリ
<様態>に
完全、きれい、自然、無残、容易、複雑、見事、派手
解説
「折れる」の中心義は線状・棒状の物や板状の物が鋭角的に曲がることを指す。その結果、その物が硬い物の場合、曲がっていく過程で分断されてしまうか、分断されないまでも元に戻らない状態になる。この語義1に対し、語義2の「折れる」は、分断されるまたは分断されそうで元に戻らない状態になることを意味する。


3.畳まれる自動詞初級★★★
表記折れる
紙や布などやわらかい平面状の物が曲がり、重なる。
文型
<平面状の物>が折れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
書類が折れないようにファイルに入れて持ち歩いた。
貸した本のページの角が折れていた
服の裾が折れたまましまっていたので、折り目が付いてしまった。
自動販売機では、角が折れたお札はちゃんとのばしてから入れないと、受付けてくれない。
コロケーション
<平面状の物>が
お札、書類、ページ
<部分>が
角、上部、端
<大きさ・形>に
半分、形
解説
紙や布などやわらかい平面状の物が曲がって重なる。


4.骨折自動詞初級★★★
表記折れる
身体の骨・歯などが、力がかかって分断される。
文型
<骨・身体部位>が折れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
転んだ拍子に足首が折れた
彼はスキーで折れた前歯を隠すようにして話している。
ギターの練習をしすぎて爪が折れてしまった。
「わっ!その指、腫れてる!骨が折れたんじゃない?」「多分折れていないと思うよ。そんなに痛くないから」
「レントゲン写真を見てみましょう。…ああ、大腿骨が複雑に折れていますね」
「あんな高い所から落ちて、骨の一本も折れなかったなんて、奇跡だね。
stairsそしたら、肋骨が2か所折れてて……。
コロケーション
<骨・歯・爪>が
骨、肋骨、鎖骨、あばら骨、歯、前歯、爪、牙、羽根
<身体部位>が
足、腕、首、脚、鼻、手首、手足、翼
<原因>で
衝撃、事故、交通事故
<様態>と
ポキン、ポキリ、ポキッ、バキッ
解説
身体の骨や歯などにふつう外的な力がかかり、二つあるいは複数に分れる。


5.道の屈曲自動詞上級
表記折れる
道などが曲がっている。
文型
<道>が折れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
道はこの先で右に折れている
車はジグザグに折れた山道をゆっくりと登って行った。
道路はそこから右手に折れて海の方へ続いている。
耕地を貫く用水路はこの先で西に折れて川に注ぐ。
コロケーション
<道>が
道、道路、山道
<方向>に[へ]
左、右、南、東、右手、~側、方向
<角度・形状>に
直角、ジグザグ、L字型、つづら
解説
道などがある地点で急に曲がっている。「折れる」の中心義は棒状・線状の物が鋭角的に曲がることを指すが、道も細長い線状の形状をしているため、それが曲がっている様子を「折れる」と表している。
誤用解説
 道は緩やかに右に折れている。
 道は緩やかに右に曲がって[カーブして]いる。
「折れる」は屈折点で角度を持って曲がっている様子を指す。
類義語・反義語
類義語曲がる、カーブする
反義語


6.曲がって進む自動詞上級
表記折れる
まっすぐ進んでいた車や人が、交差点などで曲がって進む
文型
<人・乗り物>が<道・地点・建物など>を折れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「あの交差点を右に折れてください」「はい。わかりました」
病院の前を左に折れて、3軒目の家が私の家です。
T字路を折れたところでパトカーと鉢合わせになった。
男の車は私の車とは反対の方向に折れていった。
9号線を南に折れたら、そのまままっすぐ行ってください。
「あそこで脇道に折れようか」「いいよ」
コロケーション
<道>を
道、通り、路地、~号線、国道、道路、廊下、大通り
<地点>を
交差点、角、ここ、前、突き当たり、分岐、手前、三叉路、T 字路、先
<建物など>を
信号、看板、書店、駅、ビル、広場
<地点>で
途中、ここ、手前、交差点、先、前、辺り、付近、十字路
<方向>に[へ]
左、右、南、東、方向、左手、右側、方面、斜め、方角
<道>に[へ]
横道、~号線、路地
<地点・道>から
交差点、通り、国道、付近、分岐、道、橋、場所、入口
解説
道をまっすぐ進んでいた車や人が、交差点などである方向に曲がって進む。同じく道に関する語義5は、道自体が角度を持って曲がっている様子を意味したが、この語義6は主体自身の移動を意味している。
類義語・反義語
類義語曲がる、左折[右折]する
反義語


7.譲歩自動詞上級
表記折れる
自分の意見や主張を通そうとするのをやめて、相手の意見・主張を受け入れる。
文型
<人・組織>が折れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼女と言い争いになると、いつも私のほうが折れている
自分のほうが折れてばかりではストレスがたまる。
1週間にわたるハンストに、ついに政府が折れた
どちらかが折れない限り、話はまとまらない。
なんとか相手のほうを折れさせる方法はないだろうか。
今回の交渉では、国際社会からのプレッシャーに我が国が折れる形となった。
stairs彼女、頑固でなかなか折れないんですよ。
コロケーション
<態度>に
しつこさ、熱心さ、熱意、涙、気迫
<言動>に
説得、言葉、要求、懇願、頼み、脅迫
<状況>に
重圧、プレッシャー
<人・組織>に
彼女、相手
解説
自分の意見や主張を通そうとするのをやめて、相手の意見・主張を受け入れる。「折れる」には「細長い物が鋭角的に曲がる」(語義1)、「固い細長い物が分断される」(語義2)という意味がある。一人の人間の意見や主張は固く一本の筋が通ったもの=「固い、細長い物」として捉えられ、自分の意見・主張をやめること、あるいは相手の主張に沿ったものに変えることが「折れる」という比喩で表されている。対となる他動詞「折る」では同様の用法は見られないが、同じ意味の慣用句「我を折る」「節を折る」がある。
類義語・反義語
類義語譲る、譲歩する、あきらめる、負ける
反義語


折れるの全体解説 「折れる」の中心義は、細長い物や平面状の物が鋭角的に曲がることを指す。その結果、その物がやわらかい物であれば、角度を付けて折れ曲がった状態になる。硬い物であれば、曲がる過程で分断されたり、分断されないまでも元に戻らない状態になってしまう。本稿では、曲がることより分断されることを意味する「折れる」は語義2とした。また、紙などが曲がって重なり合う状態になることを意味する「折れる」は語義3とした。対となる他動詞「折る」と同様に、「固い・細長い物」である身体の骨・歯などと結びついて骨折などを意味する用法(語義4)もある。その他、「線状のもの」である道が鋭角的に曲がっている様子を表す「<道>が折れる」という表現(語義5)、さらにそこから、その鋭角的に曲がった道を人や乗り物が進行することを指す用法へとつながっている(語義6)。これは他動詞「折る」にはない用法である。また、人や組織を主語にとり、その意見や主張を「固く一本筋が通ったもの」=「固い細長い物」として捉え、人や組織が自分の主張を取りやめて、他者の主張に従うことを「折れる」で表現している(語義7)。なお、近年、「心が折れる」「気持ちが折れる」など、ショックで気力が失われることを意味する用法も多くみられるようになっているが、まだ定着したとは言えないと判断し、本稿では語義としてではなく慣用表現欄に掲載するにとどめた。
























▶全例文を聞く
<棒状の物>が
今度は激しい金属音とともに、為朝の日本刀が折れ、折れた刃が飛び、地面に突き刺さった。
(井沢元彦著 『一千年の陰謀』, 2002, 913)
シャーペンを使うと少しでも筆圧をかけるとがポキポキ折れてしまいます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 一般教養)
<機械の部品>が
このままダートを走ればタイヤがぶれて動き、いずれ他のナットも外れるかボルトが折れてしまうだろう。
(小説宝石, 2001, 文学/芸術)
タイヤがパンクするか、オイルパンが破裂するか、車軸が折れなければ、彼らに追いつけると思った。
(ジェイムズ・カルロス・ブレイク著;加賀山卓朗訳 『無頼の掟』, 2005, 933)
<植物>が
激しい雨が横なぐりに降り、庭のバラのが折れ、花びらを吹き飛ばして行く。
(石垣用喜著 『石垣島失踪事件』, 2001, 913)
教室で球根から育ててたアマリリス…  花が咲く寸前に風で倒れてしまいが折れてしまいました…
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<原因>で
末松山宝国寺の裏山にある樹齢400年を越える大きな松があったが、昨年3月で枝が折れてしまった。
(富田文雄写真 『奥の細道』, 2004, 915)
<部分>が
封筒は朱の汗で湿っており、四つのが折れてしわだらけになっていた。
(鳴海章著 『日本海雷撃戦』, 1995, 913)
<骨・歯・爪>が
殴られた学生は、鼻のが折れたらしい。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
少年は友人をが折れるほど殴り、学校で指導された。
(飯室勝彦,田島泰彦,渡邊眞次編 『報道される側の人権』, 1999, 316)
<身体部位>が
が折れてもいい、ゴールに飛び込んだ時点で息絶えてもいいから、走りぬきたい。
(有森裕子著 『わたし革命』, 2003, 782)
<道>が
フォービー道路が折れるあたりでさらに参加者があり、彼らは立ち止まってキングズマーカムからこちらへくる十数台の車を通した。
(ルース・レンデル著;宇佐川晶子訳 『シミソラ』, 2001, 933)
<方向>に[へ]
甲州街道がに折れているところが追分で青梅街道はまっすぐ延びている。
(正井泰夫監修;インターナショナル・ワークス編著 『江戸東京古地図』, 2004, 213)
<道>を
そこは多くはモルタル塗りの住宅や商家だが、を折れると、めずらしく燻んだ板羽目の平屋が二軒、棟つづきにある。
(田久保英夫著 『仮装』, 2001, 913)
木村パン店は、通りを右に折れて一区画ほど歩いたところにあった。
(宮部みゆき著 『夢にも思わない』, 1997, 913)
<地点>を
裁判所のを右に折れ、二本めの道に左折した。
(風間一輝著 『男たちは北へ』, 1989, 913)
二股の交差点を右に折れ、町に少し入った角にガソリン・スタンドが見えた。
(森詠著 『戦場特派員』, 1996, 913)
<建物など>を
信号を左に折れると、百人町。
(北林優著 『ミッドナイトブルー』, 2003, 913)
<方向>に[へ]
突き当たりをへ折れ、都電の線路沿いに十分ほど走れば、大学が見えてくる。
(原田宗典著 『どこにもない短編集』, 1993, 913)
まもなくに折れ、正面の峨々とした岩山に向かい直進する。
(篠田節子文;鴨志田孝一写真 『交錯する文明』, 2000, 915)
<地点・道>から
西福寺のから南に折れるともうそこは六波羅蜜寺だった。
(瀬戸内晴美著 『私の京都小説の旅』, 1995, 913)
<態度>に
われわれの熱情に荒木理事長も折れた。
(植田紳爾著 『宝塚,わがタカラヅカ』, 1997, 775)
<言動>に
最初は入れ替わりに難渋を示していた銀子も、英田の説得に折れた。
(鳥飼否宇著 『痙攣的』, 2005, 913)






























折りたたみ傘は軽くてかさばらない反面、折れやすいという欠点があります。
そしたら、肋骨が2か所折れてて……。
彼女、頑固でなかなか折れないんですよ。
骨[気骨]が折れる

意味
大変な手間や気苦労がかかる
用例
教師ほど骨が折れる仕事はない。
コーパスからの用例
辞書を引いて、単語を調べても、理解するのに骨が折れる。(鍋倉健悦著 『英語メディアを使いこなす』, 1994, 830)
心[気持ち]が折れる

意味
ショックで気力が失われる。
用例
今まで必死で頑張ってきたが、彼の一言で心が折れてしまった
コーパスからの用例
しかし、キックボクシングの本場、タイ人との試合に完敗し、「心が折れるくらい恐い試合」を経験しますが、この試合をきっかけに体の力を抜く試合ができるようになったそうです。(広報今治, 2008, 愛媛県)
複合動詞 V1

折れ上がる、折れ曲がる
折れる(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏
辞書形
ない形ない
~なかったなかった
ます形おれ
~ませんおれま
~ましたおれした
~ませんでしたおれまんでした
~ときるとき
ば形れば
意向形おれ
て形れて
た形れた
可能形
受身形
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