思うのコアイメージ

1.ものの存在の意識化他動詞中級★★
表記思う・想う・おもう
常に心に留めているものの存在を意識する。
文型
<人>が<人・組織・もの>を思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
生徒のことを思っているからこそ厳しく注意をした。
お父さんはあなたのことを思ってそう言ったのですよ。
宝くじであたった大金のことを思うと笑いが止まらない。
あの子は死んだ愛犬のことを思って、毎日泣いて暮らしている。
弟が事業に失敗したと聞いて、母はまずまだ幼い孫のことを思ったそうです。
子供のころを思うと、ITの発達した現代は近未来のようだ。
コロケーション
<(常に心に留めている)人・組織・もの>を
① 現存するもの
人:相手のこと、家族のこと、友だちのこと、大好きな俳優のこと
組織:国のこと、故郷のこと、会社のこと
もの:大切な盆栽のこと、大切なプレゼントのこと、大切な財産のこと
② 現存しないもの
過去の存在:亡くなった父のこと、死んだ愛犬のこと、亡くなった甥の姿
過去:子供の頃、明治の頃
未来:100年後の世界、50年後の国の姿、子供の将来
非共起例
<(常に心に留めている)人>を
 親を思って家をバリアフリー化しました。(「語義1」とは解釈しにくい)
 親のことを思って家をバリアフリー化しました。
「~こと」を除き、名詞単独の場合、「語義2」(愛するものの存在を常に意識していること)を表す。すなわち、「親を思う」と「親のことを思う」とを比べると、「親を思う」の場合、愛する存在として「親」を常に意識していることを意味するのに対し、「親のことを思う」の場合、心に留めている存在として親を意識することを表す。「バリアフリー化」するきっかけとしては、親を<愛する存在>として常に意識しているから、と言うよりも<常に心に留めている>「親」を意識して、というほうが適切である。
 親を愛する存在として常に意識して、家をバリアフリー化しました。
 常に気にかけている親のことを意識して、家をバリアフリー化しました。
<(常に心に留めている)もの>を
 先日、30年ぶりに昔住んでいた町を訪れ、よく通った喫茶店のことを思った
 先日、30年ぶりに昔住んでいた町を訪れ、よく通った喫茶店のことを思い出した
「よく通った喫茶店」は、その「町を訪れ」るまで忘却していたものであって<(常に心に留めている)もの>ではない。
解説
この場合の「思う」は<(常に心に留めている)もの>(潜在的意識にある)の存在を<意識する>(その存在が自覚されて意識に上る)ことを表す。潜在的意識にあり、ときに自覚されて意識に上る対象は、「家族」「故郷」など、大切で常に心に留めていたり、心配で常に気にかけていたりする存在である。
類義語・反義語
類義語考える、思い出す
反義語


2.愛する存在の意識化他動詞上級
表記思う・想う・おもう
愛するものの存在を常に意識している。
文型
<人>が<愛するもの>を思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
故郷を思う
亡き母を思う
家族を愛おしく思った
家族を思う気持ちは誰にも負けない。
田中さんは家族を大事に思う人ですから、そんなことはしませんよ。
太郎があなたを思う気持ちは日を追うにつれ、強くなっていったそうです。
stairsお母さんが、どれだけりさを大切に思っていることか……。
コロケーション
<愛するもの>を
① 人:家族、子供、夫/妻、恋人
② 場所:国、故郷
③ 組織:会社、母校
<様態>
大切に、大事に、愛おしく
非共起例
<愛するもの>を
 故郷のことを思う。(「語義2」とは解釈しにくい)
 故郷を思う
<愛するもの>に「~のこと」を加えると、「語義1」<常に心に留めているものの存在を意識する>意味になる。たとえば、「故郷を思う」の場合には「故郷を愛する存在として常に意識している」ことを表す。これに対し、「故郷のことを思う」とすると、「常に心に留めている故郷を意識する」ことを表す。この「語義2」の場合も「語義1」と同じく、続けて意識化に伴う行動や感情が述べられるか、意識化するきっかけが示されていることが多い。
<様態>
 (日常会話で)私は家族を思いますけどね。
 (日常会話で)私は家族を大切に思いますけどね。
<様態>を示して「大切に思う」のように表現する場合と比べ、<様態>を伴わない場合、表現が間接的であり、言外に多くの含みを持たせた詩的な表現の印象を受ける。
解説
この「語義2」は、「語義1」と、何かを<意識する>ことに関わるという共通点を持つが、「語義1」が<常に心に留めているものの存在>を<意識する>ことを表すのに対し、この「語義2」は、<愛するものの存在>を<常に意識している>ことを表すという点で異なる。
誤用解説
 (愛の告白で)私はあなたを思う
 (愛の告白で)私はあなたが好きだ/を愛している
「思う」は<愛するものの存在を常に意識している>ことを表すのであって、「愛する」という心情を述べることを表すのではない。
類義語・反義語
類義語愛する
反義語嫌う、憎む


3.象徴するものの意識化他動詞上級
表記思う・想う・おもう
ある存在によって何らかの心象が頭に浮かび、その心象を象徴する別のあるものを意識する。
文型
<人>が<象徴するもの>を思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この絵を見るといつも日本海側の冬を思う
太郎はこの風景を見て瀬戸内の海を思った
このファッションは60年代を思わせる
(今日は)夏を思わせる陽気ですね。
卑弥呼は幼いころから神を思わせる娘だった。
この作曲家の音楽にはベートーベンを思わせる何かがある。
コロケーション
<象徴するもの>を
① 季節:春、夏、秋、冬、初冬
② 地方:瀬戸内、日本海側、高原、地中海
③ 時代(の雰囲気):1960年代、高度経済成長期、世紀末
④ 民族:騎馬民族、遊牧民
⑤ 人:特定の作家、特定の著名人
非共起例
<象徴するもの>を
 <冬のこと>を思わせる作品だ。
 <冬>を思わせる作品だ。
解説
この「語義3」は、何かに接することで何らかの印象を受け、それを<象徴する別のあるもの>の存在を<意識する>ことを表す。たとえば、「この作品は春を思わせる」と言う場合、作品を見ることで何らかの心象を得、それを象徴する「春」の存在を<意識する>(頭に浮かべる/頭に描く)ことを表す。
類義語・反義語
類義語想像する、思い出す、感じる
反義語


4.ことの存在の意識化他動詞中級★★
表記思う・おもう
常に心に留めていることの存在を意識する。
文型
<人>が<常に心に留めていること>を思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
年明けの重要な会議のことを思うと、休日も気が休まらない。
小さい子が毎晩一人で親の帰りを待っていると思うと心配だ。
部下が一人で交渉に行ったと思うと気が気ではない。
太郎のがんばりを思うと負けてはいられない。
太郎は試験が終われば旅行に行けると思って、がんばって勉強したのですよ。
入学試験を思ったら、明日の資格試験などたいしたことはない。
stairs旅行のことを思うと、仕事もがんばれます!
コロケーション
<常に心に留めていること>を
① 未来の予定:テストのこと、会議のこと、プレゼン、明日の裁判、遠足、旅行、明日の会議のこと、テストのこと、プレゼンのこと
② 現在の状況:太郎のがんばり、娘の一人暮らしのこと
③ 過去の事態:経営の失敗(のこと)、失策(のこと)、過去の栄光
<常に心に留めていること>と
① 未来の予定:来週テストがある、来週嫌な会議がある、明日裁判がある、明日遠足がある
② 現在の状況:太郎ががんばっている、娘が一人で暮らしている、小さい子が一人かけた、忙しすぎる仕事をしている
③ 過去の事態:経営方針を誤った、失言をしてしまった、過去に大きな賞をもらった
非共起例
<常に心に留めていること>を
 年明けの重要な会議を思うと、休日も気が休まらない。
 年明けの重要な会議のことを思うと、休日も気が休まらない。
 入学試験を思ったら、明日の資格試験などたいしたことはない。
 入学試験のことを思ったら、明日の資格試験などたいしたことはない。
<心に留めていること>が名詞で示される場合、「~のこと」を必要とする場合とそうではない場合とがある。
解説
「語義1」が<常に心に留めているもの>の存在を<意識する>(頭に浮かべる/頭に描く)ことを表すのに対し、この「語義4」は<常に心に留めていること>の存在を<意識する>ことを表す。
誤用解説
 年明けに会議があると思う。(この「語義4」として)
 年明けに重要な会議があると思うと、休日も気が休まらない。
この場合の「思う」を文末で用いると、「語義11」の意味になる。すなわち、「年明けに会議がある」と判断していることが表される。
類義語・反義語
類義語考える、想像する
反義語


5.ことに伴う気持ちの意識化他動詞中級★★
表記思う・おもう
特定の出来事を経験するときに伴う気持ちを意識する。
文型
<人>が<気持ち>を思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
辛い経営状態の中にいる社長の苦しさを思うと、いたたまれなくなる。
フィナーレの時の高揚を思うと、怖くてもまた舞台に立ちたくなる。
合格したときの喜びを思えばがんばれる。
肉親を失った彼の悲しみを思うとかける言葉がない。
田中はプレゼン時の緊張を思って逃げ出したくなったらしい。
明日の朝の通勤ラッシュの大変さを思って憂鬱になりました。
コロケーション
<気持ち>を
① 辛さ:辛さ、苦労、悲しみ、苦しさ、寂しさ
② 喜び:喜び、感動、わくわく感、高揚、スリル
非共起例
<気持ち>を
 修学旅行の楽しさを思うと、嫌な勉強もがんばれる。
 修学旅行の楽しさを想像すると、嫌な勉強もがんばれる。
 映画の面白さを思うと、はやく見に行きたくなる。
 映画の面白さを想像すると、はやく見に行きたくなる。
 ミーティングの退屈さを思うと、憂鬱だ。
 ミーティングの退屈さを想像すると、憂鬱だ。
<気持ち>は、出来事を体験すれば何度も繰り返し感じられるような気持ちや、出来事を経験したと想像すれば誰でも当然その気持ちになるだろうと思われるものでなければならない。
解説
「語義4」が<常に心に留めていること>(潜在的に意識しているもの)を<意識する>(顕在的なものとして意識する)ことを表すのに対し、この「語義5」は<出来事を経験するときに常に伴う気持ち>を<意識する>ことを表す。<常に伴う気持ち>とは、たとえば「例文1:辛い経営状態ならば苦しい」、「例文3:合格したならば嬉しい」というように、誰もがその出来事を経験すれば、共感的に想像することができるような<気持ち>を言う。
誤用解説
 合格したときの喜びを思いました
 合格したときの喜びを思えばがんばれる。
 フィナーレのときの高揚を思います
 フィナーレの高揚を思うと、怖くてもまた舞台に立ちたくなる。
気持ちを意識するのは、意識と同時に何らかの別の感情が生じたり、何らかの行動をとったりする場合や、意識するきっかけがある場合である。それが文脈に示されていない場合に「思う」を用いると、やや不自然となる。
類義語・反義語
類義語考える、想像する、思い出す
反義語


6.出来事に対する気持ちの意識化・意識の持ち主の表示他動詞中級★★
表記思う・おもう
出来事に対して抱いた気持ちを意識することを表すと同時に、抱いた気持ちの持ち主を表す。言い切りの場合、「私」の抱く気持ちの表出を避ける。
文型
<人>が<もの・こと>を<気持ち>思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
父の死を悲しく思う
試験に合格したことをうれしく思います
この度のご結婚、誠に喜ばしく思っております
息子のことを大変誇らしく思っています
宝くじに当たった人をうらやましく思う気持ちがないと言えば嘘になる。
仲睦まじい二人を見て、大変ほほえましく思いました
コロケーション
<気持ち>
① うれしい気持ち:うれしく、有り難く、幸せに、光栄に
② 悲しい気持ち:悲しく、寂しく、不満に
③ 愛する気持ち:愛おしく、かわいく、恋しく
④ 憐れむ気持ち:かわいそうに、気の毒に、ふびんに
⑤ 立派だと認める気持ち:誇らしく、心強く、誇りに
⑥ 情けない気持ち:情けなく、恥ずかしく
⑦ 疑う気持ち:不審に、怪訝に、意外に、不思議に、疑問に
⑧ 好悪の気持ち:好ましく、悪く
⑨ 嫌う気持ち:いまいましく、にがにがしく、腹立たしく、不愉快に、恨みに
⑩ その他:うらやましく、ほほえましく、なつかしく、うらめしく
非共起例
<人>が
 母は妹が試験に合格したことをうれしく思います
 母は妹が試験に合格したことをうれしく思っています
 (私は)妹が試験に合格したことをうれしく思います
 (私は)妹が試験に合格したことをうれしく思っています
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は、「私」(視点の置かれている人)」でなければならない。
解説
「語義5」が<特定の出来事を経験するとき常に伴う気持ち>を<意識する>ことを表すのに対し、この「語義6」は<出来事>に対して<抱いた気持ち>を<意識する>ことを表す。
誤用解説
(受賞の式典のあいさつで)
 この度、このような賞をいただくことができ、大変うれしいです。
 この度、このような賞をいただくことができ、大変うれしく思っております
スピーチや手紙など、人前で喜びや悲しみの感情に言及するときに「思う」用いると、気持ちの直接的な表出を避けることができ、公の場面における大人の発言としてふさわしくなる。
 (友達からプレゼントをもらって)うれしく思います。ありがとう!
 (友達からプレゼントをもらって)うれしい!ありがとう!
「思う」は、<出来事に対して抱いた気持ちを意識する>ことを表すのであって、気持ちの表出には使えない。
類義語・反義語
類義語感じる
反義語


7.属性判断の主体表示他動詞初級★★★
表記思う・おもう
あるものが何らかの属性を持つと判断した人を表示する。言い切りの場合、判断内容を(他ならならぬ)自分の判断として、聞き手に提示する。
文型
<人>が(は)<もの>を<属性>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この部屋は広いと思う
暗いと思ったら電気をつけなさい。
(あの服は)着てみたら少し小さいと思ったので、買うのをやめたのです。
(スープは)このぐらいの温度ではぬるいと思う人が多い。
この人は、まずいと思うとお腹が減っていても食べようとしない。
この学年の生徒たちはこのレベルの問題集を難しいと思っています
コロケーション
<属性>と
暑い、高い、明るい、広い、固い
非共起例
<人>が
 妹は弟の部屋を広いと思います
 妹は弟の部屋を広いと思っています
 (私は)弟の部屋を広いと思います
 (私は)弟の部屋を広いと思っています
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は「私」(視点が置かれている人)でなければならない
解説
「語義6」が<出来事に対して抱いた気持ち>の<持ち主>を表す機能を持つのに対し、この「語義7」は、<ものについて何らかの属性を認めた(属性判断の)><主体>を表す。
誤用解説
 この部屋、狭いけど、あなたも狭いと思う?
 この部屋、狭いと思うけど、あなたも狭いと思う?
 (明らかに狭い部屋について)この部屋は狭いと思う
 (明らかに狭い部屋について)この部屋は狭い。
<判断>が無条件に誰もが認め得るものではなく、個人的なものであることを示す場合には、「思う」を用いる必要がある。したがって、自分の判断を述べ、続けて聞き手の判断を尋ねる場合、「思う」を使わなければならない。逆に自分の判断を妥当なものとして述べる場合、「思う」を用いると不自然である。
 太郎を元気に思った
 太郎は元気だと思った
 この部屋を大きく思った
 この部屋は大きいと思った
この「語義7」の文型は、「<人>が(は)<もの>を<属性>と思う」であり、「語義6」のように連用形にはならない。
類義語・反義語
類義語感じる
反義語


8.評価の主体表示他動詞初級★★★
表記思う・おもう
物事について評価をした人を表示する。言い切りの場合、評価を(他ならならぬ)自分の評価として聞き手に提示する。
文型
<人>が<もの・こと>を<評価>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
私はこの答えを正しいと思う
社長は自分の判断を妥当なものだと思っている
私は今でもあの時の判断は間違っていないと思っている
彼の言うことなら間違いないと思って賛成した。
あの人は優秀だと思って仕事を頼んだら、あてが外れましたよ。
よかれと思って言ったのですが、反感を買ってしまいました。
コロケーション
<評価>と
① 善悪:よい、悪い
② 正誤:正しい、正当だ、妥当だ、間違っている、誤りだ
③ 優劣:優れている、優秀だ、平凡だ、たいしたことはない
非共起例
<人>が
 生徒はこの答えが間違っていると思う
 生徒はこの答えが間違っていると思っている
 (私は)この答えが間違っていると思う
 (私は)この答えが間違っていると思っている
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は「私」(視点の置かれている人)」でなければならない。
解説
「語義7」があるものについて、何らかの属性を持つと判断した人<属性判断の主体>を表示するのに対し、この「語義8」は物事について評価をした人<評価の主体>を表示する。
誤用解説
 君が間違っているのですが、君自身はどう思いますか。
 私は君が間違っていると思うのですが、君自身はどう思いますか。
<判断>が誰もが認め得る評価ではなく個人的なものであることを示す場合には、「思う」を用いる必要がある。したがって、自分の判断を述べ、続けて聞き手の判断を尋ねる場合、「思う」を使わなければならない。
 彼の考えを妥当に思った
 彼の考えを妥当だと思った
 彼の考えを正しく思った
 彼の考えを正しいと思った
この「語義8」の文型は、「<人>が(は)<もの>を<評価>と思う」であり、「語義6」のように連用形にはならない。
ただし、「よい」「悪い」については、連用形も使える。
 ① 私は彼のことをよく思ってはいません。
 ② 私は彼のことをよいと思ってはいません。
 ③ あの人は彼のことを悪く思っています。
 ④ あの人は彼のことを悪いと思っています。
①~④は意味が異なる。①③は、「好ましい」「好ましくない」<気持ち>を表す(「語義6」)のに対し、②④は善悪の判断を表す。
類義語・反義語
類義語判断する、考える、評価する
反義語


9.当為判断の主体表示他動詞中級★★
表記思う・おもう
当為判断した人を表示する。言い切りの場合、当為判断を(他ならならぬ)自分の判断として聞き手に提示する。
文型
<人>が<当為判断>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あの上司は部下に謝るべきだと思う
国民は政府が新たな経済政策を打ち出すべきだと思っている
もっと家の手伝いをしなければならないと思ってはいるが、なかなかできない。
太郎は時間を作ってでも部屋の掃除をしなければならないと思った
コンサルタントは組織改革をすべき時期だと思って新たな提案をした。
毎日勉強しなければならないと思うだけなら簡単だ。
コロケーション
<当為判断>と
~べきだ、~なければならない
非共起例
<人>が
 その母親は太郎が一人でイギリスに行くべきだと思います
 その母親は太郎が一人でイギリスに行くべきだと思っています
 私は太郎が一人でイギリスに行くべきだと思います
 私は太郎が一人でイギリスに行くべきだと思っています
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は「私」(視点の置かれている人)」でなければならない。
解説
「語義8」が評価をした人<評価の主体>を表示するのに対し、この「語義9」は、<当為判断の主体>を表示する。
誤用解説
 こちらが相手に謝るべきだけど、あなたは謝るべきだ思う?
 こちらが相手に謝るべきだと思うけど、あなたは謝るべきだと思う?
 (あの人)海に飛び込んで死のうとしている。止めなければ(ならない)と思う
 (あの人)海に飛び込んで死のうとしている。止めなければ(ならない)!
<当為判断の主体>が「私」の場合、「思う」は判断が不確かであることを表すので、聞き手の意見を聞くまでもなく、自分の意見を当然のこととして述べる場合、「思う」を用いると不自然である。
 (独り言で)あの上司は部下に謝罪するべきだと思う
 (独り言で)あの上司は部下に謝罪するべきだ。
この「語義9」の「思う」は、<当為判断の主体>を示すときに用いられる。聞き手がいない独り言で「私」の判断であることを取り立てて示すとかえって不自然になる。
類義語・反義語
類義語考える、判断する
反義語


10.ものの認識の主体表示他動詞初級★★★
表記思う・おもう
あるものが何であるのかを認識した人を表示する。言い切りの場合、認識を(他ならならぬ)自分の認識として聞き手に提示する。
文型
<人>が(は)<もの>を<もの>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あそこに置いてあるのは田中さんの鞄だと思うけど違うかな。
あそこにいる男の人は田中先生だと思う
その医師は、その症状を見て直観的に流行りの感染症だと思った
太郎は川の横にある大きな建物を図書館だと思っている
昔の友人だと思って声をかけたら別人だった。
私はあそこに座っている人が医者だと思ったので、違うと知って驚いた。
コロケーション
<もの>を/<もの>が<もの>と
あそこにいるのは太郎だ、あれは図書館だ、これは本だ、これは犬だ
<様態>に
直感的に、意識的に、反射的に、瞬間的に
非共起例
<人>が
 太郎はあそこにいるのは田中ではなく伊藤だと思う
 太郎はあそこにいるのは田中ではなく伊藤だと思っている
 (私は)あそこにいるのは田中ではなく伊藤だと思う
 (私は)あそこにいるのは田中ではなく伊藤だと思っている
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は「私」(視点の置かれている人)」でなければならない。
解説
「語義7」があるものが何らかの属性を持つと認めた主体<属性判断の主体>を表示するのに対し、こ「語義10」は、その属性に基づき、そのものが何であるのか認識した人<ものの認識主体>を表示する。
誤用解説
 あそこにいるのは太郎だけれども、違う人かな。
 あそこにいるのは太郎だと思うけれども、違う人かな。
自分の認識を述べ、続けて聞き手の認識を尋ねる場合、「思う」を用いる必要がある。逆に聞き手の認識を聞くまでもなく、自分の認識を妥当なものとして述べる場合、「思う」を用いると不自然である。
 (自分の住んでいる町を案内して)あれが私の通った小学校だと思います
 (自分の住んでいる町を案内して)あれが私の通った小学校です。
自分の認識を当然のこととして述べる場合、「思う」を用いると不自然である。
 (独り言で)あれは太郎の鞄だと思う
 (独り言で)あれは太郎の鞄だ。
この「語義10」の「思う」は、<認識主体>を示すときに用いられる。聞き手がいない独り言で「私」の認識であることを取り立てて示すとかえって不自然になる。
 (書き言葉で)その人は花子の友達と思う
 (書き言葉で)これは花子の友達だと思う
話し言葉では、「だ」が省略されることがあるが、書き言葉で省略すると不自然である。
類義語・反義語
類義語考える、判断する
反義語


11.確言的判断の主体表示他動詞初級★★★
表記思う・おもう
確かな判断をした人を表示する。言い切りの場合、判断を(他ならならぬ)自分の判断として聞き手に提示する。
文型
<人>が<確言的判断>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今日、太郎は早く帰って来ると思う
社長はこの会社は必ず成長すると思っていらっしゃるのです。
嘘だと思うなら、本人に聞いてみろ。
この天気が今後も続くと思って船を出した。
この時間なら家にいると直感的に思ったから寄ってみたのだが、留守だった。
幸せになれると思っている人は、必ず幸せになれるものです。
コロケーション
<確言的判断>と
明日は晴れる、太郎はここへ来る
<様態>に
直感的に、反射的に、瞬間的に
非共起例
<人>が
 保護者は息子さんが合格すると思います
 保護者は息子さんが合格すると思っています
 (私は)息子が合格すると思います
 (私は)息子が合格すると思っています
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、<人>は「私」(視点の位置)」でなければならない。
解説
「語義10」が<ものの認識主体>を表示するのに対し、この「語義11」は、確かな判断をした人<確言的判断の主体>を示す。
誤用解説
 しばらくよい天気が続きますが、あなたもそう思いますか。
 しばらくよい天気が続くと思いますが、あなたもそう思いますか。
自分の判断を述べ、続けて聞き手の判断を尋ねる場合、「思う」を用いる必要がある。逆に聞き手の判断を聞くまでもなく、自分の判断を妥当なものとして述べる場合、「思う」を用いると不自然である。
 (独り言で)これだけ勉強しているのだから太郎は合格すると思う
 (独り言で)これだけ勉強しているのだから太郎は合格する。
この「語義11」の「思う」は、<判断の主体>を示すときに用いられる。聞き手がいない独り言で「私」の認識であることを取り立てて示すとかえって不自然になる。
類義語・反義語
類義語考える、判断する
反義語


12.蓋然性判断の主体表示他動詞中級★★
表記思う・おもう
蓋然的な判断をした人を表示する。言い切りの場合、判断を(他ならならぬ)自分の判断として聞き手に提示する。
文型
<人>が<蓋然性判断>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この仕事はあと三日ぐらいあれば終わるのではないかと思います
今年は合格するにちがいないと思っている
荷物をここに置いておくと皆が迷惑するだろうと思います
会社が倒産するかもしれないと思うと夜も眠れない。
そのときは問題がないだろうと思ったのです。
きっとおこられるにちがいないと思って太郎は部屋を抜け出したのですよ。
stairs今回はがんばったから、いい点数がとれると思う
コロケーション
<蓋然性判断>
~かもしれない、~だろう、にちがいいない、~はず(だ)、~のではないか
非共起例
<人>が
 保護者は娘さんが合格するかもしれないと思います
 保護者は娘さんが合格するかもしれないと思っています
 私は娘が合格するかもしれないと思います
 私は娘が合格するかもしれないと思っています
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は「私」(視点の置かれている人)でなければならない。
<蓋然性判断>と
 留守の間に誰か来たようだと思う
 留守の間に誰かきたらしいと思う
「思う」は「ようだ」「らしい」など証拠性を表す文末形式の後には続きにくい。
解説
「語義11」が確かな判断をした人<確言的判断の主体>を表すのに対し、この「語義12」はた確かだとは言えない判断をした人<蓋然的判断の主体>を表示する。
誤用解説
 大変なことになるかもしれませんが、あなたもそう思いますか。
 大変なことになるかもしれないと思いますが、あなたもそう思いますか。
自分の判断を述べ、続けて聞き手の判断を尋ねる場合、「思う」を用いる必要がある。逆に聞き手の判断を聞くまでもなく、自分の判断を妥当なものとして述べる場合、「思う」を用いると不自然である。
 (独り言で)これは大変なことになるかもしれない。
 (独り言で)これは大変なことになるかもしれないと思う
「私」が<蓋然性判断の主体>となる場合、「思う」は「聞き手に提示する」機能を担うため、独り言で用いると不適切となる。
類義語・反義語
類義語考える、判断する、感じる
反義語


13.疑う主体の表示他動詞初級★★★
表記思う・おもう
ある事柄について疑いがあると判断した人を表示する。言い切りの場合、「疑い」を(他ならならぬ)自分の「疑い」として聞き手に提示する。
文型
<人>が<疑い>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
その話を聞いて「あれっ」と思った
そういう返事を聞くと本当にやる気があるのかなと思う
あいつにこの仕事がやりとげられるだろうかと思う
上司は(この仕事を)部下に任せてよいのだろうかと思っている
あの人に一人でできるのだろうかと思って心配で仕方がない。
どうしてうまくいくだろうかなんて思うのですか。
コロケーション
<疑い>と
① あれっ(変だな)、わっ(どうしようかな)、えっ(本当だろうか)
② ~かな、~だろうか
非共起例
<人>が
 妹はこの仕事がうまくいくのかと思います
 妹はこの仕事がうまくいくのかと思っています
 (私は)この仕事がうまくいくのかと思います
 (私は)この仕事がうまくいくのかと思っています
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は「私」(視点の置かれている人)でなければならない。
<疑い>と
 あの人が今度の会議に出席するかどうかと思った
 あの人が今度の会議に出席するかどうかわからない/疑問に思った
「思う」は何かの事態に対して「疑いを抱いている」ことを表すのであって、何が正しいか判断できないことを表すことはできない。
解説
「語義11」が<確言的判断の主体>を表示するのに対し、この「語義13」は、「疑いを抱いている人」<疑う主体>を表示する。
誤用解説
 (独り言で)本当にやる気があるのかなと思う
 (独り言で)本当にやる気があるのかな。
<疑う主体>が「私」の場合、「思う」は、自分の疑いを客観視して述べていることを表す。独り言で用いると不適切となる。
類義語・反義語
類義語考える、疑う
反義語


14.願望の持ち主の表示他動詞初級★★★
表記思う・おもう
願望を抱いている人を表示する。言い切りの場合、「願望」を(他ならならぬ)自分の「願望」として聞き手に提示する。
文型
<人>が<願望>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
では、乾杯したいと思います
隣町に新たな支店を出したいと思っている
甥は今、来年ぐらいに留学できたら(いい)なと思って準備を進めている。
成果を出したいと思うなら、努力するしかない。
この資料がほしいと思う人は手をあげてください。
お客さんに買いたいと思わせるような商品の陳列方法を考えなさい。
コロケーション
<願望>と
~たい、~ほしい、~といい(な)
非共起例
<人>が
 部長はそろそろ乾杯に入りたいと思います
 部長はそろそろ乾杯に入りたいと思っています
 (私は)そろそろ乾杯に入りたいと思います
 (私は)そろそろ乾杯に入りたいと思っています
「思う。/思います」というように「思う」が言い切りで使われる場合、「思う」主体となる<人>は「私」(視点の置かれている人)でなければならない。
解説
「語義6」が、<気持ちの持ち主>を表示するのに対し、この「語義14」は、<願望の持ち主>を表示する。<願望の持ち主>を表すことは、次の二つの意味を持つ。1)「私」以外の<持ち主>を表す。2)<持ち主>が「私」の場合、<願望>をそのまま提示するのではなく、いったんそれを客観視した上で提示する。<願望>を公的な場所で述べることは、子供っぽい印象を与えることが多いが、「思う」を用いてそれを(ある程度)回避することができる。
誤用解説
 ああ、ロースかつが食べたいと思う
 ああ、ロースかつが食べたい。
 (独り言で)どこかに遊びに行きたいなあと思う
 (独り言で)どこかに遊びに行きたいなあ。
<願望の持ち主>が「私」の場合、「思う」は、自分の願望を客観視して述べていることを表す。独り言で用いると不適切である。
 (航空券を売る窓口で)午後の便で東京に行きたいと思うのですが。
 (航空券を売る窓口で)午後の便で東京に行きたいのですが。
航空券を購入する場合に、相手の意向を無視して自分の願望(希望)を伝えることは当然のことである。このような文脈下において願望を相手に伝える場合に「思う」を用いると、相手の意向に配慮していることになり、かえって不自然である。
類義語・反義語
類義語考える、希望する、望む
反義語


15.意志の持ち主の表示他動詞初級★★★
表記思う・おもう
意志を持っている人を表示する。言い切りの場合、「意志」を(他ならならぬ)自分の意志として聞き手に提示する。
文型
<人>が<意志>と思う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
大学に進学しようと思います
手伝おうと思って声をかけた。
今度の休みに両親と一緒に旅行しようと思っています
太郎は幼馴染の娘さんと結婚しようと思っているらしい。
来年は海外に支店を出そうと思っています
勉強しようと思うとなぜか本が読みたくなる。
コロケーション
<意志>と
~よう
<様態>
強く
非共起例
<人>が
 太郎は大学に進学しようと思います
理由
<意志>と
 私は大学に進学すると思います。(意志の表明として)
 私は大学に進学します。
「思う」のつかない言い切りの形のままならば「私」の意志を表すことができるが、「思う」がつくと意志を表すことはできない。ただし「大学に進学する予定がある」として解釈することはできる。
<意志>と
 私は大学に進学するつもりだと思います。(意志の表明として)
 私は大学に進学するつもりです。
 太郎は大学に進学するつもりだと思います
 (私は)行く意志があると思います。(意志の表明として)
 (私は)行く意志があります。
 太郎は行く意志があると思います
「つもりだ」「意志がある」に「思う」がつくと、「私」の意志を表すことはできない。
解説
「語義14」が「願望の持ち主」を表示するのに対し、この「語義15」は、「意志の持ち主」を表示する。
誤用解説
 (独り言で)ご飯を食べに行こうと思う
 (独り言で)ご飯を食べに行こう。
<意志の持ち主>が「私」の場合、「思う」は、自分の意志を客観視して述べていることを表す。独り言で用いると不適切である。
 一緒に行こうと思う。(勧誘)
 一緒に行こう。(勧誘)
「思う」を用いると、聞き手への働きかけ(勧誘)を表すことはできない。
類義語・反義語
類義語考える
反義語


思うの全体解説 「語義1」から「語義15」までのすべての「思う」に共通するのは、物事を<意識する>(頭に浮かべる/頭に描く)ことを表す点である。類義語には「考える」があるが、「考える」の場合には比較検討、推論など、思考を経たという意味が加わる。
























▶全例文を聞く
<(常に心に留めている)人・組織・もの>を
しかし、留学先のハイデルベルクから子ども五人に宛てた葉書にみられるように、父は子どもたちのことを思っていた。
(小川信子,田中厚子著 『ビッグ・リトル・ノブ』, 2001, 289)
<愛するもの>を
ただ一人残されたマイケルは、屋敷の庭にたたずみ、亡き父を思うのだった。
(SCREEN, 2004, 娯楽/芸能)
歴史に幾変転はあっても、人のふるさとを想う心には変わりはありません。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
<象徴するもの>を
まだ四月上旬なのに、初夏を思わせる暖かさだった。
(西村京太郎著 『黙示録殺人事件』, 2002, 913)
<気持ち>を
香菜の両親の悲しみを思うと、途方にくれるだけだ。
(黒崎緑著 『柩の花嫁』, 1993, 913)
そうした藤原村長の苦労を思うと「川上犬がほしい」と軽々しく口に出すことはしたくなかった。
(吉田悦子著 『日本犬・血統を守るたたかい』, 2003, 645)
<気持ち>
久しぶりにおばあさんにあえてうれしく思いました。
(山中和子著;養老孟司解説 『昭和二十一年八月の絵日記』, 2001, )
が、誰もが彼の存在をありがたく思っていたようだった。
(高野史緒著 『ムジカ・マキーナ』, 2002, 913)
<属性>と
寒いと思ったら、やはり雪だ。
(国語 1, 2005, 中)
<評価>と
かなりの高性能だと思うよ。
(清水義範著 『日本語の乱れ』, 2003, 913)
普段着としては上等だと思う。
(Yahoo!知恵袋, 2005, ファッション)
<当為判断>と
ぼくはなにごとも一度はやってみるべきだと思ってる。
(リズ・フィールディング作;矢部真理訳 『魔女とプレイボーイ』, 2004, 933)
<もの>を/<もの>が<もの>と
これは、旅館の楽屋なのだと思った。
(山村美紗著 『京都婚約旅行殺人事件』, 1997, 913)
<確言的判断>と
前期試験は及第すると思う
(松定ちよし著 『桃の木のトリック』, 2001, 913)
<蓋然性判断>
なんとなく縁起がいいんじゃないかと思ってさ
(片山恭一著 『世界の中心で、愛をさけぶ』, 2001, 913)
<疑い>と
冬子が、あれっと思うほど、彼女の顔は明るく、いきいきしていた。
(山村美紗著 『宮崎旅行の殺人』, 1998, 913)
<願望>と
彼はあんなに若いのだから、幸せになっていてほしいと思う。
(イサドラ・ダンカン著;山川亜希子,山川紘矢訳 『魂の燃ゆるままに』, 2004, 769)
<意志>と
悩んだ末,もう一度だけ,夢に挑戦しようと思いました.
(竹内英人著 『なぜ数学を学ぶのか』, 2001, )






























お母さんが、どれだけりさを大切に思っていることか……。
旅行のことを思うと、仕事もがんばれます!
今回はがんばったから、いい点数がとれると思う
思うようにいく

意味
望んだとおりになる/望んだとおりにことが進む。
用例
何でも自分の思うようにいくことは少ないのですから、忍耐が必要です。
コーパスからの用例
運は地道について来るように思う。とは言ってもなかなか思うように行かないときは、いい加減うんざりする。(矢野武久著『河童になったビジネスマン、営業へ行く』2004)
思うに任せない

意味
望んだとおりにことが進まない。
用例
生老病死は思うに任せないものですから、穏やかに受け入れる心の持ちようが大切です。
コーパスからの用例
村上桜ケ丘県勢2番手譲らぬ構え 雪のためスピード練習が思うに任せないが、二月には埼玉県東松山市で合宿を張り、大会に備えた。(新潟日報社著 新潟日報2001)
思う壺にはまる

意味
相手の意図したとおりに動かされる。
用例
今回の(将棋の)相手は強かった。気が付いたら相手の思う壺にはまっていた
コーパスからの用例
したたかな週刊誌にして、その上をいくしたたかな姿勢をもって対峙すれば、見事にこちらの思う壺にハマってくれるというわけだ。(岩本太郎著『潮』2004)
いつまでもあると思うな親と金

意味
親はいつまでも生きて面倒を見てくれるわけではなく、お金も使えばなくなる。人や今あるお金をあてにせず生活をしなければならない。
用例
親許でのんきに趣味に生きているけれど、いつまでもあると思うな親と金と言うでしょう。少しは将来のことを考えなさい。
コーパスからの用例
虚栄心に訴えられ、物欲に負け、うまい話に乗せられ、自信過剰がそれを支える。いつまでもあると思うな親と金・・常識なのにね。(Yahoo! 知恵袋2005)
(他)人を見たら泥棒と思え

意味
他人を簡単に信用してはいけない。
用例
他人を見たら泥棒と思えとまで言うつもりはありませんが、あんまり簡単に人を信用するのはどうかと思います。
コーパスからの用例
「儂の友達だ。心配なぞせん。人を見たら泥棒と思えとゆうのか。そんな躾をした覚えはないぞ」 「しかし、店は取潰しになったし、金に困ったら出来心とゆうものは誰にでもあるんですよ」(別所真紀子著『残る蛍』2004)
思い立ったが吉日

意味
何かをしようと思ったら、その日が始めるのによい日だと思ってすぐにとりかかるのがよい。
用例
この仕事、早くやらなければと思っていたのだけれど、思い立ったが吉日。今日のうちにやってしまおう。
コーパスからの用例
ゴールデンウィークや年末年始の休み、お盆休みなどを利用するのもけっこうですが、それを待つ必要はありません。思い立ったが吉日といいます。これを読んだみなさんは、明日からといわず今日から、それもたった今から禁煙を始められることをおすすめします。(高信太郎著『ひっそり始める「禁煙」実践ガイド』2003)
複合動詞 V1

思い立つ、思い知る、思い余る、思い込む、思い浮かぶ、思い出す、思い至る、思い当たる、思いやる、思いやられる
複合名詞

片思い、両想い、思い人、思いやり、思い過ごし、思い出、思いつき
思う(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形
ない形おもない
~なかったおもなかった
ます形おもい
~ませんおもいま
~ましたおもいした
~ませんでしたおもいまんでした
~ときうとき
ば形えば
意向形おも
て形って
た形った
可能形おも
受身形おもわ
使役形おもわ
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