送るのコアイメージ

1.ものの搬送他動詞初級★★★
表記おくる、送る、贈る   ※感謝や敬意などの気持ちを込めて表す場合は「贈る」を使う(全体説明を参照)。例:お中元にハムを贈る
人や組織が、あるものを移動させ、他の人・組織がいる目的の場所に到達させる。
文型
<人・組織>が<人・組織>に[へ]<もの>を送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
志望する企業に、履歴書を書留で送った
先日、金沢の実家からカニがたくさん送られてきた。
日本では、母の日にカーネーションの花束を贈ることが多い。
東北の被災地に、国内だけでなく、海外からも多くの義援金が送られてきました。
この市民団体は、地域の児童センターの子供たちに、毎年文房具を送っている。
先週の日曜日に、新潟の自治体からふるさと納税の返礼品が送られてきました。
コロケーション
<人・組織>が
応募者、業者、生徒、先生、主催側、飲料メーカー、市民団体、支援団体
<もの>を
履歴書、証明書、申請書、手紙、葉書、写真、書類、荷物、商品、資料、金、本、文房具、義援金、原稿、年賀状、作品、品物、プレゼント、花束、野菜、飲料、カニ、魚、衣類、リンゴ、ワイン、タマゴ
<人・組織>に[へ]
著名人、友達、恋人、親戚、被災者、出版社、文化庁、政府、自治体、企業
<場所>に[へ]
東北、京都、アメリカ、ポーランド、被災地、営業所、避難所、勤務先
<人・組織>から
担当者、編集者、支援者、友人、出版社、市民団体、保険会社、旅行会社、大学、自治体
<場所>から
実家、海外、世界各地、全国、日本、事務所、田舎
<手段・方法>
航空便で、宅配便を使って、書留で、無料で、安全な方法で、封筒を使って
<時期>に
日曜日、誕生日、母の日、昨年の10月、引っ越し前、1週間前、同じ時期
<様態>
すぐ、そのまま、必ず、さっそく、すでに、どんどん、わざわざ、少し、再度、次々(と)、突然、直ちに、ちゃんと、たくさん
非共起例
<場所>に送る
 2階の部屋にピアノを送った
 2階の部屋にピアノを運んだ
 兄の家にピアノを送った
単にものを(近くに)移動させる場合は使いにくい。一般的に、郵便や宅配などの配送手段を用いて移動させる場合に使われる。
解説
語義1は、人や組織が、郵便や宅配などの配送手段を用いて、手紙、荷物、花束、衣類、食料品などのもの(具体物)を、他の人・組織がいる目的の場所に到達させることを表す。基本的にものに対して用いられるが、人や動物でも物扱いの場合は使うことができる。
 犯人を刑務所に送る
 航空機でペットを送る場合は、事前に貨物の申し込みが必要である。
誤用解説
相手のところに、直接ものを持って行って渡す場合は、使えない。
 仕事帰りに、親戚の家に寄って、お歳暮を送ってきた。
 仕事帰りに、親戚の家に寄って、お歳暮を届けてきた。
類義語・反義語
類義語届ける、配達する、運送する、運搬する
反義語


2.物質の送達他動詞中級★★
表記おくる、送る
人や身体組織、機械が、ある物質を移動させ、目的の場所に到達させる。
文型
<人・身体組織・機械>が<物質>を<場所>に送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
心臓は、全身に血液を送るポンプのような役割をしている。
人工衛星が、地上の受信局に向けて電波を送ることをダウンリンクと呼ぶらしい。
ヘモグロビンは、肺から各組織へ酸素を送る役目を果たしている。
巨大な扇風機2台で、どんどん風を送って、一気に気球を膨らませます。
直圧直結給水方式とは、水道管の圧力のみで各家庭の蛇口まで水を送る方式です。
この装置は80〜100度の蒸気を送ることができるため、室内の温度を一気に上げられる。
コロケーション
<人・身体組織・機械>が
実験者、技術者、心臓、神経細胞、ヘモグロビン、実験装置、デジタル機器、人工衛星
<物質>を
血液、風、水、空気、エネルギー、電気、栄養、酸素、電力、電波、電流、養分、水分、蒸気、栄養素、冷気
<場所・身体>に
地球、地上、室内、変電所、炉、床下、水槽、全身、脳、肺
<手段・方法>
ファンモーターで、ヘアドライヤーで、特殊な装置で、電池で、エアーポンプで、吹子で、チューブを使って、扇風機を使って、アンテナを使って
<様態>
さらに、すぐ、どんどん、次々、ずっと、直ちに、確かに、どしどし、いっぱい
非共起例
<場所>に送る
 コップに水を送る
 コップに水を入れる[注ぐ]
 細いパイプ使って、コップに水を送る実験をした。
物質の運送手段が想定できない場合は使いにくい。
解説
語義1は、人が郵便や宅配などを利用して、手紙、荷物、花束、衣類、食料品などのものを他の人や目的の場所に届けることを表すのに対して、語義2は、血液、風、空気、酸素などの物質を、機械、装置などを用いて、ある場所に移動させることを表す。ただし、いずれも「主体が何らかの運送手段を用いて、ある対象を目的の場所に移動させる」という点では共通している。
誤用解説
単に、物質を体内に取り入れる場合は使いにくい。
 免疫力を強化するため、体内にビタミンを送る
 免疫力を強化するため、体内にビタミンを投与する
 免疫力を強化するため、ビタミンを摂取する


3.事柄の伝達他動詞初級★★★
表記おくる、送る、贈る   ※感謝や敬意などの気持ちを込めて表す場合は「贈る」を使う(全体説明を参照)。例:祝辞を贈る
人や組織が、情報・言語・心情を、他の人・組織に伝える。
文型
<人・組織>が<人・組織>に<情報・言語・心情>を送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
最近は、電子メールでも大量のデータを送ることができる。
毎年成人式の日には、市長から新成人たちに祝辞が贈られる
先日、身に覚えのないカードローン会社から、支払い催促のメールが送られてきた。
初マラソンに挑戦する息子に、無事に完走できるように、心を込めて声援を送った
電車の中で咳をしたら、隣に座っていた女性が横目で冷たい視線を送ってきた。
今年も、たくさんの笑顔と愛情を贈ってくださったファンの皆様に心から感謝申し上げます。
stairs「去年はありがとう、今年もよろしくね」って気持ちを書いて送るの、こんなデジタル化が進んだ時代だからこそ、素敵だと思わない?
コロケーション
<人・組織>が
友達、先生、弟子、挑戦者、経営者、NHK、旅行会社、外務省、政府、新聞社、出版社
<人・組織>に
彼女、恋人、先生、全員、生徒、選手たち、参加者、会社、財務省、テレビ局、新聞社
<情報・言語>を
メール、メッセージ、情報、データ、信号、暗号、合図、サイン、電報、指令、弔電、言葉、アドバイス、意見、賛辞、コメント、祝福、祝辞、称賛、声援、歓声、拍手、喝采、エール
<心情>を
愛、気持ち、愛情、哀悼の意、感謝の心、眼差し、笑顔、笑み、目線、視線
<人・組織>から
先生、業者、みなさん、友人、ファン、読者、弁護士、お客様、メーカー、協会、政府、組合
<手段・方法>
英語で、携帯で、電子メールで、SNSを使って、電波を使って、インターネットで、横目で、怖い顔で
<時期>に
2010年、結婚した年、毎月15日、10年前、3週間後、成人式、記念日
<様態>
最初に、すぐ、勝手に、そのまま、どんどん、簡単に、あとで、頻繁に、積極的に、ちゃんと、気軽に、もう一度、再度、心を込めて、改めて
非共起例
<情報>を送る
 学生に作業と仕事の違いを送る
 学生に作業と仕事の違いを教える[説明する]
情報を相手に、直接教示する場合は使いにくい。
解説
語義1は、人が、手紙、荷物、花束、衣類、食料品などの具体物を他の人や目的の場所に届けることを表すのに対して、語義3は、情報、合図、賛辞、声援、笑顔、視線などの事柄(抽象物)を、他の人や目的の場所に届けることを表す。ただし、いずれも「人がある対象を目的の場所に届ける」という点では共通している。
誤用解説
相手に、心情そのものを直接述べる場合は使いにくい。
 友達に怒りを送る
 友達に怒りをぶつける
 友達に怒りのメールを送る
類義語・反義語
類義語知らせる、伝える
反義語


4.派遣他動詞初級★★★
表記おくる、送る
人や組織が、他の人・組織に対して、何らかの役割を持たせて、目的の場所に移動させる。
文型
<人・組織>が<人・組織>を<場所>に送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
日本は、インフラ整備のために、途上国に自衛隊を送った
昨日、国連は記者会見を行い、紛争地に早急に軍隊を送ると表明した。
毎年我が陸上部に、多くの選手を送ってくださっている各校の先生方に改めてお礼申し上げます。
秀吉は1592年、1597 年と、2度にわたり朝鮮に兵を送った
政府は、欧州諸国と友好関係を築くために、使節団を送ることにした。
この大学では、毎年アメリカの大学に多くの長期留学生や短期語学研修生を送っている。
コロケーション
<人・組織>が
先生、家康、大名、将軍、社長、監督、大臣、政府、自衛隊、防衛相、IOC、WHO、国連
<人・組織>を
使者、代表者、指導者、労働者、技術者、兵、兵士、選手、学生、スタッフ、若者、秘書、研修生、援軍、軍隊、使節団、艦隊、兵隊
<場所・機関>に[へ]
東北、海外、南シナ海、途上国、アテネ、総会、議会、諮問機関、敵陣、企業、現場
<理由・目的>
首謀者を殺すために、同盟国の意向を確認するために、救援を求めてきたので、友好関係を築くために、原発事故の調査のため、貧困に苦しんでいる子供たちを支援するために、国際交流の一環として、人材育成を目的に
<時期>に
1900年、9月、120年程前、開催前、独立記念日、大震災の時、ベトナム戦争の時代、2010年から2015年の間
<様態>
わざわざ、何度も、急いで、早急に、ひそかに、はじめて、前もって、事前に、直ちに、ついに、ようやく、必ず、突然、せっかく
非共起例
<人>を送る
 娘を買い物に送った
 娘を買い物に行かせた
「お使い」のような日常的な事柄については使いにくい。
解説
語義1は、人が郵便や宅配などを利用して、手紙、荷物、花束、衣類、食料品などのものを目的の場所に移動させることを表すのに対して、語義4は、人や組織に対して、何らかの役割を持たせて目的の場所に移動させることを表す。ただし、いずれも「人がある対象を目的の場所に移動させる」という点では共通している。
誤用解説
送り手に決定の権限がない事柄については使いにくい。
 息子を有名私立小学校に送った
 息子を有名私立小学校に入学させた
類義語・反義語
類義語派遣する、差し向ける
反義語


5.見送り他動詞初級★★★
表記おくる、送る
人が、去っていく人に同伴して、ある場所まで一緒に移動する。
文型
<人>が<人>を<場所>に[まで]送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
毎朝、娘を幼稚園に送ってから出勤する。
秘書が社用車で社長を取引先まで送る
息子を車で駅まで送ったついでに、スーパーに寄って食料品を買ってきた。
デートの帰りは、彼氏に必ず自宅マンションまで送ってもらう。
今年の9月からアメリカに留学する友人を、みんなで空港まで送った
こちらのツアーでは、日本語ガイドがお客様を空港でお迎えし、専用車でご宿泊ホテルまでお送りいたします
コロケーション
<人>が
父、母、夫、弟子、上司、部下、秘書、関係者、彼氏、友人
<人>を
娘、彼女、彼、夫、主人、妻、長男、長女、仲間、友人、友達、社長、お客さん
<場所>に[まで]
駅、ホテル、学校、幼稚園、家、マンション、病院、空港、職場、取引先
<手段・方法>で
車、社用車、タクシー、リムジン、政府専用機、バイク
<様態>
すぐ、必ず、いつも、はじめて、あとで、ちゃんと、時々、せっかく、たまに、絶対、親切に、急遽
非共起例
<人>を送る
 (映画館で)客を席まで送る
 (映画館で)客を席まで案内する
去っていく人に対して使う。
解説
語義4は、人に対して何らかの役割を持たせて、目的の場所に移動させることを表すのに対して、語義5は、去っていく人に同伴して、ある場所まで一緒に移動することを表す。ただし、いずれも「人が他の人をある場所まで移動させる」という点では共通している。
誤用解説
単に人を移動させる場合は使えない。
 娘を寝室に送る
 娘を寝室に連れていく[行かせる]
類義語・反義語
類義語見送る
反義語迎える


6.送別・別れ他動詞中級★★
表記おくる、送る
人が、去っていく人に、別れを告げる。
文型
<人>が<人・死者>を送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
単身赴任する同僚を名古屋駅で送る
3月25日に、定年退職の職員を送る会がありました。
今年は、5年生が在校生の代表として、心を込めて卒業生を送ってくれました。
最近は、葬儀を行わず、火葬のみで故人を送ることも可能だそうだ。
葬送行進曲とは、葬儀で死者を送るために演奏される行進曲のことである。
母に続き、こんなに早く父をあの世に送ることになるとは夢にも思いませんでした。
stairs本当は駅でお姉ちゃんを送るのが寂しくてたまらないから、わざと今日来なかったんだよ。
コロケーション
<人>が
在校生、同級生、家族、親族、遺族、弔問客
<人・死者>を
卒業生、親友、旧友、仲間、職員、故人、死者
<場所・式>で
名古屋駅、空港、玄関、校門、送別式、葬式
<場所>に
野辺、あの世、天国
<時期>
3月25日に、先ほど、今朝、先日、先週の土曜日に、昨年10月に、10年前に
<様態>
笑顔で、拍手で、心を込めて、ゆっくり、しっかり、無事に
非共起例
<人>を送る
 5年付き合った彼女を送った
 5年付き合った彼女と別れた
関係を断つ場合は使いにくい。
解説
語義5は、ある人が、去っていく人に同伴して、ある場所まで移動するということを表すが、語義6は、ある人が、去って行く人に別れを告げるということを表す。この二つの語義は、「ある人が、去って行く人と一緒にある場所まで移動し、そこで別れを告げる」という一連の流れの中に位置づけることができる。つまり、時間上の隣接性(前後関係)に基づいて意味拡張が起きていると考えられる。
誤用解説
「結婚する」という意味で「嫁を迎える」とは言うが、「離婚する」という意味で「嫁を送る」とは言わない。
類義語・反義語
類義語見送る、見届ける
反義語迎える


7.順送り他動詞中級★★
表記おくる、送る
(主に、ゲームや遊びで)人が、あるものを順々に、次の人・場所に移動させる。
文型
<人>が<もの>を<人・場所>に[へ]送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
次のコーナーは、うちわを使って後ろの人に風船を送るゲームです。
前の走者からバトンを右手で受け取ったら左手に持ち替えて、素早く次の走者に送る
競技開始の笛が鳴ると、生徒たちは一斉にボールを前の人から後ろの人に送った
今回の防火訓練は、5、6人でチームを作り、一列に並んで水の入ったバケツを送るバケツリレーとなります。
秋の運動会では、ボールやお手玉を送るもの送りゲームや綱引き、障害物競争など、様々な競技が行われました。
スタートの合図が出たら、ボールを頭の上から後ろへ送っていき、 一番後ろの人にボールが渡ったら、今度はその人が先頭に移動します。
コロケーション
<人>が
チームメート、一番前の生徒、右端の人、最後尾の選手、先頭の園児
<もの>を
ボール、バケツ、バトン、風船、お手玉
<人・場所>に[へ]
次の走者、後ろの人、次の人、右の子、次の味方、前、後ろ
<手段・方法>
手渡しで、上渡しで、下渡しで、ユニークな方法で、棒を使って、ラケットで、うちわを使って
<場所>から
頭の上、横、股の下、前、後ろ、端
<様態>
スピーディーに、一列に並んで、テンポよく、一気に、素早く、確実に、スムーズに、次々と、順に、丁寧に
非共起例
<もの>を送る
 前の人から後ろの人にテレビを送る
 前の人から後ろの人にボール[お手玉]を送る
相手に、手などで簡単に渡せるものに限られる。
解説
語義1は、人が手紙、荷物、花束、衣類、食料品などのものを他の人や目的の場所に届けることを表すのに対して、語義7は、ボール、バケツ、バトン、風船などのものを、順々に次の人(のところ)に移動させることを表す。ただし、いずれも「人が、あるものを他の人のところに移動させる」という点では共通している。
誤用解説
次から次へと順番に移していく場合に使われる。
 隣の席の同僚に書類を送る
 隣の席の同僚に書類を渡す
類義語・反義語
類義語渡す
反義語


8.時間の経過他動詞初級★★★
表記おくる、送る
人が、一定の時間・期間を生きる。
文型
<人>が<時間・期間>を送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
両親は、ハワイで老後生活を送りたいと言っている。
定年後は、自然豊かなところで、妻とのんびり余生を送りたい
幸せな結婚生活を送るための秘訣を5つご紹介します。
彼は、5歳の時に交通事項で両親を失い、苦難に満ちた幼少時代を送った
イチローは、メジャーリーグで輝かしい競技人生を送った
健康に長生きするためには、バランスの良い食生活を送ることが大切です。
コロケーション
<人>が
両親、カップル、選手、日本人、祖父、被災者たち、老夫婦
<時間・期間>を
生活、人生、日々、毎日、食生活、時代、生涯、余生、一生、日常、老後、時間、青春、晩年、シーズン、月日、半生、夏休み、歳月
<場所>で
アメリカ、ハワイ、常夏の国、金沢、別荘、閑静な住宅街、無人島、海外
<人・動物>と
家族、恋人、妻、夫、娘、仲間、同級生、愛する人、皆、ペット
<様態>
のんびり、静かに、元気に、穏やかに、平穏に、安心して、何とか、のびのびと、仲良く、何となく、相変わらず、ひっそりと、悠々と
非共起例
<時間>を送る
 生徒とお昼休みを送る
 生徒とお昼休みを過ごす
 子供と公園で2時間送る
 子供と公園で2時間過ごす
短い時間単位には使えない。
解説
語義1は、人が手紙、荷物、花束、衣類、食料品などの具体物を他の人や目的の場所に移動させることを表すのに対して、語義8は、人が何らかの活動をしながら、ある一定の時間を過ごすことを表す。ところで、語義1から語義8への意味拡張の背景には、人間は抽象概念を具体物に見立てて捉えることができるという認知能力が働いていると考えられる。つまり、時間という抽象概念を移動する物に見立てて、「(物を移動させるように)時間をある時点まで経過させる」というように捉えているということである。
誤用解説
時間や期間を明示しないと、使いにくい。
 異国の地で、一人で送るのは寂しい。
 異国の地で、一人で暮らす[過ごす]のは寂しい。
 異国の地で、一人で余生を送るのは寂しい。
類義語・反義語
類義語過ごす、暮らす、生活する
反義語


9.送り仮名他動詞中級★★
表記おくる、送る
人が、漢字の後ろに、仮名を添える。
文型
<人>が<文字>に<文字>を[と、から]送る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「顧みる」「省みる」「試みる」は、いずれも「み」から送る
「必ず」「更に」「既に」のような副詞は、最後の音声を送る
「賜る」は、「賜わる」と送り仮名を送ることも可能である。
「憤る」「承る」「実る」のような動詞は、活用語尾を送る
「表す」「行う」「断る」のような語は, 「表わす」「行なう」「断わる」のように、活用語尾の前の音節から送ることもできる。
「嬉しい」「美味しい」「寂しい」のように、語幹が「し」で終わる形容詞は、「しい」と送るのが一般的である。
コロケーション
<人>が
筆者、書き手、先生、昔の文豪たち
<文字>に
活用語、動詞、形容詞、「明らか」、「書く」、「試みる」、「顧みる」、「嬉しい」
<文字>を[から]
活用語尾、活用語尾の前の音節、「しい」、「く」、「み」
<文字>と
「志す」、「上がる」、「下がる」、「める」、「しい」
解説
語義1は、手紙、荷物、花束、衣類、食料品などの物を他の人や目的の場所に移動させることを表すのに対して、語義9は、漢字の後ろに仮名を添えることを表す。ところで、語義1と語義9の意味の関連性であるが、語義9は「カナを目的のところ、つまり、漢字の後ろの方に持っていき、配置させる」というように捉えることができることから、両者からは「ある対象を、目的のところに移動させる」という共通点を導き出すことができる。
誤用解説
送り仮名のルールは文化庁の定めによって決まっているため、個人の意思で勝手に変更できない。
 「勢い」は、「勢おい」と送ることにした。
 数をかぞえる「つ」を含む名詞は、「一つ、二つ、三つ・・・」というように、「つ」を送ることになっている。
類義語・反義語
類義語送り仮名を付ける[振る]
反義語


送るの全体解説 「送る」と「贈る」の使い分けについて
 物品や情報などを、単に相手に届くようにする場合は、一般的に「送る」を使う。それに対して、感謝や敬意などの気持ちを込めて表す場合は、「贈る」を使う。例えば、「祝電を送る」と言った場合は、物理的に届ける配送(単なる伝達、郵送)というイメージが強いが、「祝電を贈る」と言った場合は、祝福の気持ちを込めたメッセージということになる。なお、「贈る」は、感謝・敬意・祝福などを表すため、金品や官位、称号などを与える場合によく用いられる。
 卒業祝いに財布を贈る
 お歳暮に日本酒を贈る
 国民栄誉賞を贈る
 勲位・称号を贈る
 弔電を贈る。
 弔電を送る[打つ]。
弔電は、(死者に対する)悔やみの電報のことであり、祝福のメッセージではないため、「贈る」は使えない。
























▶全例文を聞く
<人・組織>が
だが夏になるとが大きな箱にいっぱいの桃を送って来るのには、毎年困っていた。
(柴田よしき著 『猫は聖夜に推理する』, 2002, 913)
貴方が送って下さった美しい品々を眺めるのはとても素晴らしい事です。
(横手貞夫著 『ウェールズの過去帳』, 2004, 049)
<もの>を
またおみやげなどの荷物を日本に送る時には、料金は高めだが国際宅配便が便利。
( 『ぴあmapグアム・サイパン文庫』, 2001, )
お世話になったマスターへお疲れ様と有難うのプレゼントを贈りたいです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, マナー)
<人・組織>に[へ]
友達に出産祝いを送りたいのですが、赤ちゃんと友達と、両方に送りたいと考えています。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
区民の皆さん・区内諸団体からお預かりした救援金を、日本赤十字社に送りました。
(広報しんじゅく, 2008, 東京都)
<場所>に[へ]
佐藤さんは三五年間、調べた資料のすべてを中国に送った。
(NHK「プロジェクトX」制作班編 『厳しい自然との壮絶なたたかいに挑む!』, 2004, 210)
市役所へ郵便を送る時は、あて名だけで住所は不要です
(広報くるめ, 2008, 福岡県)
<人・組織>から
取引報告書は、来年1月くらいに証券会社から送ってきてくれます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 株と経済)
そんなある日、彼女から一枚の絵と手紙が送られてきた。
(春樹陽介著 『ハートフルラウンジ』, 2003, 913)
<場所>から
生活費はすべて、主人の実家から送っていただきました。
(桑井いね著 『おばあさんの知恵袋』, 1976, 590)
<手段・方法>
自転車を丸ごと宅急便で送るといくらぐらいかかるのでしょうか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, ショッピング)
Hは、そのことを依頼する手紙を書いて、速達で送った。
(妹尾河童著 『少年H』, 1997, 913)
<時期>に
母の誕生日にバラの苗を送りたいのですが、だいたいいくらぐらいで買えますか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, ショッピング)
<様態>
ピストン輸送というのは、バスなどの乗り物を休みなく往復させて、次々と人や物を送ることだ。
(NHK「プロジェクトX」制作班編 『命を救え!愛と友情のドラマ』, 2001, )
<人・身体組織・機械>が
扇風機がカタカタと鳴り、私の髪に風を送った。
(小池真理子著 『夢のかたみ』, 2002, 913)
<物質>を
心臓は休みなく動いて、体中に血液を送っているんだよ。
(科学読物研究会編 『科学あそびだいすき』, 2005, 407)
じつはそのへんな木は電気を送る高圧線の鉄塔で、木と木を結んでいるのは送電線だった。
(藤原英司作;清水勝絵 『ハクチョウ物語』, 1987, )
<場所・身体>に
汲み上げたお湯を、各室に送る太いチューブが、奥に向かって伸びているのが見えた。
(山村美紗著 『京都婚約旅行殺人事件』, 1997, 913)
<手段・方法>
トンボなど昆虫は,酸素を気管でからだの各部に送っている。
(新編理科総合B, 2006, 高)
<様態>
ゆっくりと静かに全身に血液を送り続ける鼓動。
(河瀬直美著 『火垂』, 2001, 913)
<人・組織>が
さきほど友達が金貸して欲しいという内容のメールを送ってきました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<人・組織>に
まず出来る事『小さな第一歩から始めて見ませんか』との言葉を、皆さんに送りたいと思います、
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<情報・言語>を
思わず行きたくなるような、楽しいお誘いのメッセージを贈りましょう。
( 『心を伝えるカード・一筆箋の手紙』, 2001, 816)
子どもが大きくなると、心が苦しいときにサインを送ることがあります。
(ベビーエイジ, 2002, 家庭/生活)
<心情>を
広間で働く数人の召し使いが、ちらちらと、彼に好奇の眼差しを送っている。
(駒崎優著 『開かれぬ鍵抜かれぬ剣』, 2001, 913)
<人・組織>から
趣向を凝らした演劇や踊りなどを披露し、多くの観客から大きな声援が送られていました。
(市政だより天草, 2008, 熊本県)
<手段・方法>
あらかじめ質問をメールで送っておいたのでインタビューは捗った。
(星野力著 『甦るチューリング』, 2002, 289)
<時期>に
結婚式当日にお祝い電報も送って差し上げたほうが、より丁寧ですよ。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 冠婚葬祭)
<様態>
いますぐロンドンへメッセージを送ったほうがいいんじゃないか?
(ケン・フォレット著;戸田裕之訳 『鴉よ闇へ翔べ』, 2003, 933)
<人・組織>を
ロシアはまた,満州へ軍隊を送り,朝鮮(韓国)にも勢力をのばしてきました。
(新編 新しい社会 6上, 2006, 小)
使者や留学生を送って大陸文化を取り入れ、さらに国づくりを進めたい。
(新編 新しい社会 6上, 2006, 小)
<場所・機関>に[へ]
あらゆる団体、女学校から医学会にいたるまでが、代表を京都に送った。
(横山吉男著 『東海道歴史ウオーク』, 2000, 291)
<理由・目的>
彼は収穫の分け前を受け取るために、僕を使いに送る。
(エリーザベト・エンドレース著;神崎巌ほか訳 『アデナウアー時代の文学』, 1991, 940)
<時期>に
私は戦争中、東南アジアを一回りさせられ、十九年には、中国雲南に送られた。
(古山高麗雄著 『妻の部屋』, 2002, 914)
<人>が
そのあと、うちの親父が、みんなを送らなければならない。
(樋口修吉著 『花川戸へ』, 1995, 913)
医者が女性を玄関先に送りながら、「奥さま、もう少しの辛抱ですよ」と激励する。
(出久根達郎著 『養生のお手本』, 2005, 914)
<人>を
ついでに子供たちを家まで送ってもらえる?」
(グレイス・グリーン作;久坂翠訳 『二人の天使』, 2002, 933)
8時過ぎ京都駅にを送って行く
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<場所>に[まで]
帰国のとき、彼女は私を自分のムスタングで空港まで送ってくれた。
(竹村健一著 『つき合い方人間学』, 1981, 159)
娘を幼稚園に送り、銀行に寄ってから帰宅。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<手段・方法>で
彼は店に最後までいて、彼女をタクシーで送るのが習慣になった。
(梓林太郎著 『槍ヶ岳幻の追跡』, 1999, 913)
「家までで送りましょう」佐竹が手をあげていった。
(打海文三著 『時には懺悔を』, 2001, 913)
<様態>
わざわざ病院まで送ってやってるってのに、話もしないんだな?
(ジョイ・フィールディング著;吉田利子訳 『グランド・アヴェニュー』, 2002, 933)
<様態>
万歳で送られるような『立派な軍人』になる気持ちなどこれっぽっちもなかったのだから」
(久田栄正,水島朝穂著 『戦争とたたかう』, 1987, 916)
<人・場所>に[へ]
というわけで、貧乏籤は弱い立場の人間に、順繰りに送られていくものなんですよ」
(中里融司著 『星忍母艦テンブレイブ』, 2003, 913)
<人>が
がいまどういう生活を送っているか、理解するどころか、ぜんぜん想像することさえできなかったのだろう。
(ニコル・カスティオーニ著;奥光宏訳 『代議士になったパリの娼婦』, 2002, 289)
<時間・期間>を
今の彼と幸せな結婚生活を送って下さい。
(Yahoo!知恵袋, 2005, メンタルヘルス)
私はフリーとなって、まさしく生活費に事欠く日々を送っていた。
(有田芳生著 『「コメント力」を鍛える』, 2002, 809)
<場所>で
午前は出仕し、午後は自宅で研究生活を送った。
(陳舜臣著 『中国の歴史』, 2001, 913)
夕食のテーブルで、ニコロはトスカーナ地方で送った少年時代の話を披露した。
(ジェイン・ポーター作;夏木さやか訳 『孤独を抱きしめて』, 2002, 933)
<人・動物>と
もしかしたら自分の父親も仲間たちとこうした生活を送っていたのかもしれない。
(水城正太郎著 『ハーフダラーを探して』, 2005, 913)
<様態>
あなたはこれから私の客として、楽しく一生を送って下さい
(渡部毅彦著 『お母さんのための童話集』, 1997, 913)
今は退職して、60代半ばながら、もう「血を見なくていい」と安心してのんびり悠々自適の生活を送っています。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 就職、転職)






























「去年はありがとう、今年もよろしくね」って気持ちを書いて送るの、こんなデジタル化が進んだ時代だからこそ、素敵だと思わない?
本当は駅でお姉ちゃんを送るのが寂しくてたまらないから、わざと今日来なかったんだよ。
送る月日に関守なし

意味
月日が早く過ぎ去ることのたとえ。
用例
送る月日に関守なしで、本年も今日が最後の一日となりました。
コーパスからの用例
無し
親の恩は子で送る

意味
我が子を立派に育て上げることで、親から受けた恩を返す。
用例
親の恩は子で送る」というが、近年育児放棄が増えているという話を聞くと胸が痛む。
コーパスからの用例
無し
秋波を送る

意味
女性が相手の気を引くために、色っぽい目つきで見つめる。
用例
彼女がいくら秋波を送っても、彼から何の反応もなかった。
コーパスからの用例
金蓮は、そういう武松にちらちら秋波を送った。 (村上知行訳 『金瓶梅』, 1999, 923)
敵に塩を送る

意味
苦しい状況にいる敵に対して、(争いの本質ではない分野について)援助を行うことのたとえ。
用例
試合中、脱水症状を起こしている相手チームの選手に、うちの監督が飲み物を渡すのを見て、まさに敵に塩を送る行為だと思った。
コーパスからの用例
中国の生産力に対する脅威が高まるなか、日本人技術者があえて敵に塩を送り、わざわざ競争力向上の手助けをしている。(週刊ダイヤモンド, 2002, 経済/経営)
流し目を送る

意味
異性の気を引くために、横目を使う。
用例
コンパで、好みの女の子に積極的に流し目を送ってみたが、相手にもされなかった。
コーパスからの用例
そこでわざと鞭を落とし、従者が追いついてくるのを待ち、それを拾い上げるように言いつけ、その間何度も美人に流し目を送った。(内田泉之助,乾一夫著;波出石実編 『唐代伝奇』, 2002, 923)
複合動詞 V1

送り返す、送り込む、送り倒す、送り出す、送りつける、送り届ける
複合動詞 V2

見送る
複合名詞

送り狼、送り仮名、送り先、送り状、送り倒し、送り出し、送り手、贈り名、送り主、送りバント、送り火、送り迎え、贈り物、押し送り、空送り、関送り、荷送り、ひざ送り、見送り
送る(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
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