結ぶのコアイメージ

1.一部に塊を作る他動詞初級★★★
表記結ぶ
人が、細長いものを輪にし、そこに端を通して引くなどして、細長いものそれ自身の一部に、塊を作る。
文型
<人>が<細長いもの>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
糸の端を結んで止めてください。
ロープの端を結んで、ほどけてこないようにしてください。
縫い始める前に、糸の端を結ぶのを忘れてはいけません。
フェイスタオルを結び、ボールの代わりにして子供を遊ばせましょう。
子供に縄跳びをしまわせるときには、四分の一の長さに折りたたんで結ばせるとよいのです。
洗濯ロープを10センチおきに結んでおくと、風が吹いてもかけたハンガーがずれません。
コロケーション
<細長いもの>を
ロープ、縄、ひも、テープ、糸
<様態>
しっかり(と)、固く、強く、ゆるく
解説
「語義1」は、「細長いものそれ自身の一部に塊を作る」ことを表す。「塊」は「固い」ことが多いが、必ずしもそうとは言い切れない。「ゆるく結ぶ」という言い方も可能である。つまり「語義1」の特徴として重要なのは、あくまでも「塊」を作ることにある。
「結ぶ」の類義語に「縛る」「括る」がある。これらは、乱れたり緩んだりしないように、「まとめる」ことに注目した表現である。「語義1」は、これらの語に言い換えられる場合が多いが、「縫い始める前に、針に通した糸の端を縛ってください[括ってください]」とは言いにくい。「糸を結ぶ」のは、縫っているとき、布から糸が抜けないようにするためであって、そのために「塊」は必要だが、「乱れたり緩んだりしないようにまとめる」必要はない。
誤用解説
 水球をやるために、コースロープをプールから上げて結んだ
 水球をやるために、コースロープをプールから上げて巻いた
 DIYの店で、結ばれたホースを買ってきた。
 DIYの店で、巻かれたホースを買ってきた。
「結ぶ」は、「細長いものを輪にし、そこに端を通して引くなどして、細長いものそれ自身の一部に、塊を作る」ことを表す。「コースロープ」や「ホース」は、通常、そのようにはしない。
類義語・反義語
類義語縛る、括る、結わえる
反義語ほどく、解く


2.端を接続他動詞初級★★★
表記結ぶ
人が、細長いものの端と端とで塊を作り、その部分を、離れないようにする。
文型
<人>が<細長いもの>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
靴ひもを結ぶ
エプロンのひもを結んだ
二本のひもを結べば長くなる。
ひもの両端をむすんで輪を作ってください。
毛糸を編んでいたら糸が切れたので、結んで編み続けました。
頭が大きいので鉢巻の長さが足りず、二本結んで頭に巻いた。
コロケーション
<細長いもの>を
ロープ、縄、ひも、くつひも、テープ
<様態>
しっかり(と)、きつく、かたく、ゆるく
非共起例
<細長いもの>を
 切れたチェーンを結んだ
 切れたチェーンをつないだ
 二本の鉄鋼を結んだ
 日本の鉄鋼をつないだ
<細長いもの>は、輪にしたりできるような、やわらかいものでなければならない。
解説
この「語義2」は、「細長いものそれ自身の一部に、塊を作る」という「語義1」と同じ意味特徴を持つ。ただし「語義2」の意味はそれだけではない。「塊を作る」ことによって「二つの端」を「離れないようにする」ことも表す。
誤用解説
 バイアステープを縫って結んだ
 バイアステープを縫ってつないだ
 紙テープを糊で結んだ
 紙テープを糊でつないだ
この「語義2」は、細長いものの端を互いに「離れないようにする」ことを表すが、それは、細長いものそれ自身を使って塊を作ることによって「離れないようにする」のであって、「縫う」「糊で貼る」などの手段によって「離れないようにする」のではない。
類義語・反義語
類義語縛る、括る、結わえる、つなぐ
反義語ほどく、解く


3.巻いて固定他動詞初級★★★
表記結ぶ
人が、細長いものの端と端とで塊を作り、その部分を、離れないようにする。そのことによって、細長いものを別のものの周囲に固定する。
文型
<人>が<細長いもの>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
おみくじを木の枝に結びました
綱引きのときには、チームカラーの鉢巻を結ぶことにしました。
伐採する木の枝には、黄色のリボンが結ばれています。
旅行カバンにバンダナを結んで目印にします。
着物を着るときには、腰ひもの上に伊達巻を結ぶ
彼はガウンのひもを結びながら部屋から出てきました。
stairsほら、そこの木に結びに行こ!
コロケーション
<細長いもの>を
鉢巻、おみくじ、ひも、テープ
<場所>に
木の枝、頭、指、カバン、腰
非共起例
<細長いもの>を
 ベルトを結ぶ
 ベルトをする
 時計を結ぶ
 時計をする
 ネックレスを結ぶ
 ネックレスをする
「結ぶ」は、細長いもの「それ自身を使って」塊を作ることで別のものの周囲に固定することを表すのであって、ベルトや時計、ネックレスのように「金具を用いて」周囲に固定する場合には使えない。
<細長いもの>を
 絆創膏を指に結ぶ
 絆創膏を指に貼る
「結ぶ」は、細長いもの「それ自身を使って」塊を作ることで別のものの周囲に固定することを表すのであって、絆創膏のように「粘着力を用いて」周囲に固定する場合には使えない。
解説
この「語義3」は、「細長いものに塊を作り、離れないようにする」という「語義2」と共通する意味を持つ。ただし、この「語義3」はそれだけではなく、「両端に塊を作り、離れないようにする」ことで、「別のものの周囲に固定する」ことを表す。
また、ここで言う「細長いもの」には、もともとの形状を変えれば、細く長くなるものも含まれる。たとえば「風呂敷」の対する角を両手で持って力をかければ、細長い部分ができるが、これも「細長いもの」の中に含まれる。つまり「風呂敷を結ぶ」と言うことができる。
誤用解説
 けがをしたので、包帯を結んでもらった。
 けがをしたので、包帯を巻いてもらった。
「結ぶ」を用いるのは、細長いものそれ自身を使って塊を作るという動作が重要な場合で、包帯のように、「塊を作る」ことよりも「巻く」動作が重要な場合には使えない。ただし、「包帯を巻いた後、とめるクリップがなかったので、結んでもらった」と言うことはできる。
類義語・反義語
類義語縛る、括る、結わえる、巻く
反義語とる


4.一つにまとめる他動詞初級★★★
表記結ぶ
人が、細長いものの端と端とで塊を作り、その部分を、離れないようにする。そのことによって、別のものを、乱れないように一つにまとめる。
文型
<人>が<もの>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
運動するときはゴムで髪を結びなさい。
女の子が、お姉さんに髪を結んでもらっている。
木材を直角に組んで縄で結んだ
カーテンを端に寄せ、ひもで結んだ
ゴミ袋の口は、しっかり結んで出しましょう。
クッキーを入れたビニル袋の口を、かわいいひもで結びました
コロケーション
<もの>を
髪、髪の毛、木材、カーテン、袋
<細長いもの>で
リボン、ゴム、ロープ、縄、ひも
非共起例
<もの>を
 プレゼント用に花を結ぶ
 プレゼント用に花を束ねる
「結ぶ」は、「乱れないようにまとめる」ときに使われるのであって、「花」のように「乱れない」ことを目的とするのではなく「美しくする」ことを目的とする場合には使えない。
<細長いもの>で
 木材を直角に組んで、釘で結んだ
 木材を直角に組んで、釘でとめた
「結ぶ」は「細長いもの」の端と端とで塊を作って「乱れないようにする」場合にしか使えない。
<細長いもの>で
 髪をバレッタで結んだ
 紙をバレッタでとめた
「結ぶ」は「細長いもの」の端と端とで塊を作って「乱れないようにする」場合にしか使えない。
解説
この「語義4」は、「細長いものを別のものの周囲に固定する」という「語義3」と共通する意味を持つ。ただし、この「語義4」は、それによって「別のもの」が「乱れないようにする」ことも表す。「乱れないようにする」という目的の達成のために、「細長いものを別のものの周囲に」何度も回すこともある。また、「ゴムで髪を結ぶ」という場合には、「ゴム」は「細長いゴム」を「髪」の周囲に何度も回してその端と端とで塊を作ることで「乱れないように」してもよいし、「輪になったゴム」を使ってもよい。後者の場合には、「端と端で塊を作る」必要はない。
この「語義4」は「語義2」とも関連している。たとえば「ゴミ袋を結ぶ」と言う場合には、一般的に、袋の口を両手でひっぱり長い部分を作った上で、「塊を作ってその端を離れないようにし」(語義2)、それによって「内容物が乱れないようにする」ことを表す。この場合、「長いものを別のものの周囲に固定する」という「語義3」の意味は持たない。
誤用解説
 クッキーの入ったビニル袋(の口)を、ガムテープで結んだ
 クッキーの入ったビニル袋(の口)を、ガムテープで留めた
「袋を結ぶ」と言う場合、ひもなど「細長いもの」を袋の口に巻き付けるか、あるいは袋の口を両手でひっぱり長い部分を作った上で、「塊を作ってその端を離れないようにする」ことで「乱れないように一つにまとめる」ことを表す。「ガムテープ」などを用いるのではない。
類義語・反義語
類義語縛る、括る、結わえる、まとめる
反義語ほどく、解く


5.手や口を固く閉じる他動詞上級
表記結ぶ
人が、自分の口や手の指を、固く閉じあわせる。
文型
<人>が<口・手>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
くちびるを固く結んだ
腹が立ったのか、その人は唇をきっと結んでこちらをにらみつけた。
女の子が口をへの字に結んでいる
その少年は、正面を見据え、口を真一文字に結んでいた
目の前に立ちはだかった男の手は固くこぶしに結ばれていた
両手をげんこつに結んで首の後ろに当ててマッサージをしてください。
コロケーション
<口・手>を
唇、口、手
<様態>
きっと、への字に、固く、真一文字に、こぶしに
非共起例
<口・手>を
 歯を開かずに結んでください
 歯を開かずに閉じてください
「歯」の場合には、「結ぶ」は使えない。
<様態>
 口をゆるく結んでいる
 口をゆるく閉じている
この「語義5」は、「固く閉じあわせる」場合に使われる。
解説
この「語義5」は、「乱れないように一つにまとめる」という「語義4」と共通する意味を持つ。ただし、「語義4」の場合には、髪の毛などを「一つにまとめる」ことを表すのに対し、この「語義5」の場合には、自分自身の「口や手」を、「一つにまとめる(閉じる)」ことを表す。
誤用解説
 太郎は子供の口を結ばせた
 太郎は子供の口を閉じさせた
「結ぶ」は、「自分の口や手」を自らの意志で閉じる場合にしか使えない。
類義語・反義語
類義語閉じる
反義語開く


6.形を作る他動詞初級★★★
表記結ぶ
人が、細長いものの端と端とで塊を作り、その部分を、離れないようにする。そのことによって、細長いものを別のものの周囲に固定し、特定の形を作る。
文型
<人>が<細長いもの>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
帯をお太鼓に結んでもらった。
帯を一人で結べるようになりたい。
今朝は、新しく買ったネクタイを結び、気合を入れて出かけました。
髪に服と同色のリボンを結べばもっと華やかになりますよ。
スカーフを結ぶ結び方にはいろいろある。
水引を四葉結びに結ぶやり方を教えてあげましょう。
コロケーション
<細長いもの>を
ネクタイ、帯、リボン、スカーフ、水引
<形>に
① 帯を:太鼓、文庫
② ネクタイを:プレーンノット、ダブルノット
③ 水引を:錦結び、四葉結び
④ スカーフを:リボン結び
<様態>
きれいに、華やかに、きちんと
非共起例
<形>に
 髪を日本髪に結んだ
 髪を日本髪に結った
解説
この「語義6」は、「人が、細長いものに塊を作り他のものの周囲に固定する」という「語義3」と共通する意味特徴を持つ。ただし「語義6」の意味はそれだけではない。「塊を作る」ことによって、「特定の形を作る」ことも表す。
ただし、「水引」のように、「巻いて固定」しなくても「特定の形を作る」ことができるものについては、「巻いて固定」するとは限らない。
誤用解説
 太郎君はネクタイを結んでいるが、次郎君は結んでいない。
 太郎君はネクタイをしているが、次郎君はしていない。
「語義6」は、「塊を作る」ことによって「特定の形を作る」ことを表すのであって、「着用の有無」を表現しようとする場合に用いると不自然である。次の例のように「特定の形を作る」ことを表現する場合ならば、「結ぶ」を用いることができる。
 太郎君はネクタイをダブルノットに結んでいるが、次郎君はトリニティノットに結んでいる。
類義語・反義語
類義語する、付ける
反義語ほどく、解く、とる


7.塊を形成他動詞上級
表記結ぶ
ものが塊を作る。
文型
<もの>が<塊>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ブルーベリーは夏に甘い実を結びます。
畑のカボチャは、花は咲いたが、実は結ばなかった。
草が露を結んで光輝いています。
目が悪いと、網膜の上にうまく焦点が結べないのです。
遠視の場合、光が網膜より後方で焦点を結んでしまうのです。
プロジェクターから出た光が、スクリーンの上に像を結んでいる。
コロケーション
<もの>が<塊>を
① <植物>が<実>を:柿が果実を、いちごが実を、なすが実を、カボチャが実を
② <場所>が<露>を:草が露を、花が朝露を、葉が露を、窓ガラスが露を
③ <光線>が<焦点>を:光線が像を、光線が焦点を、光が像を、光が焦点を
非共起例
<塊>を
 朝顔が種を結んだ
 朝顔の種ができた
実・果実については「結ぶ」と言えるが、種については言えない。
<もの>が
 水が露を結んでいる
 露ができた
解説
この「語義7」は、「塊を作る」ことで「特定の形を作る」という「語義6」と共通する意味を持つ。ただし、「語義6」の場合、「細長いものそれ自身で塊を作る」のに対し、この「語義7」の場合には、「何らかの素材(水、光、光線、植物の雄しべと雌しべなど)が集まって、塊を作る」ことを表す。その際、「水が露」「光線が焦点」を作る場合のように大きな変化が含まれる場合と、「光線が像」「植物が実」を作る場合のように大きな変化は含まれない場合とがある。
誤用解説
この「語義7」は、「<もの>が<塊>を結ぶ」の文型で使われる。<塊>の部分を略すことはできない。
 いちごが結ぶ
 いちごが実を結ぶ
 バナナが結ぶ
 バナナが実を結ぶ
類義語・反義語
類義語できる
反義語


8.ものを固定他動詞初級★★★
表記結ぶ
人が、細長いものそれ自身の一部に、塊を作る。その塊によって、細長いものと別のものとを、固定する。
文型
<人>が<もの>に<細長いもの>を結ぶ
<人>が<もの>を<細長いもの>に結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
船の錨にロープを結んだ
釣り糸に針を結ぶ方法には、いろいろあるのですよ。
身体に命綱を結ぶときの結び方がよくわかりません。
ふくらませた風船に糸を結んで、子供に持たせた。
さあみなさん、絵が描けたら、凧に糸を結びましょう
きれいなひもにボタンを結べば、おもちゃのネックレスができます。
コロケーション
<もの>に[を]
針、錨、風船、凧、身体
<細長いもの>を[に]
ロープ、命綱、ひも、テープ、糸
非共起例
<細長いもの>を[に]
 犬に鎖を結ぶ
 犬に鎖をつける
「鎖」のような固いものは、「細長いものそれ自身の一部に塊を作る」ことで「ものを固定」することはできない。
解説
この「語義8」は、「細長いものそれ自身の一部に塊を作る」という「語義1」と共通する意味を持つ。ただし、「語義1」の場合、単に「塊を作る」ことを表すのに対し、この「語義8」の場合は、その動作によって「細長いもの」と「別のもの」とを、固定することを表す。
「細長いもの」の両端に「別のもの」を固定する場合もある。その場合、「<もの>と<もの>(と)を結ぶ」という文型になる。たとえば「太郎と次郎をザイルで結ぶ」「倒れそうな木と隣の木をロープで結ぶ」となる。
類義語・反義語
類義語縛る、括る、結わえる
反義語解く、ほどく


9.地点を連結他動詞中級★★
表記結ぶ
特定の手段が、離れた地点やそこにいる人を、関係付ける。
文型
<手段>が<地点>と<地点>(と)を結ぶ。
<人や組織>が<地点>と<地点>(と)を<手段>で結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
高速船が、島と島を結んでいる。
インターネットが候補者と有権者を結ぶ
点と点を直線で結びなさい。
本州と四国を結ぶ新しい橋ができた。
生産者と消費者を結ぶネットワークが構築された。
この国では、各都市を結ぶ高速道路の整備が進んでいます。
コロケーション
<手段>が[で]
① 線:線、直線、曲線、点線、波線
② 交通手段:鉄道、船、バス、橋、高速道路
③ 通信手段:インターネット、情報のネットワーク
<地点>と<地点>(と)を
① 点と点、頂点と頂点
② 島と島、町と村、本州と四国
③ 生産者と消費者、営業所と顧客
非共起例
<手段>が[で]
 上司と部下を業務命令が結んでいる
 上司は部下に業務命令をする立場にある。
「結ぶ」は、「離れた地点」にいる人と人、すなわち本来ならば関係を持ちにくい人と人とを関係付ける場合に使われるのであって、上司と部下のように、もともと関係付けられている関係(業務命令をする、されるという関係)の存在を表すことはできない。
<手段>が[で]
 電話が結んだよ。
 電話がかかった[かかってきた]よ。
「結ぶ」は、本来つながりがあるべき関係が成立したこと(電話をかければかかること)を表すことはできない。
解説
この「語義9」は、「塊を作ることでものを固定する」という「語義8」と同じ意味特徴を持つ。ただし、「語義8」の場合に、「二つのものを固定する」のは、ひもなど、「細長いもの」であるのに対し、この「語義9」の場合には、「線や交通・通信の手段」である。また、この「語義9」の場合の「二つのもの」は、「地点」や「それぞれの地点にいる人たち」である。「固定する」というよりは、「つなぐ」という意味合いが強くなる。
誤用解説
 今回の遠足では、バスをチャーターして学校から現地までを結びました。
 今回の遠足では、バスをチャーターして学校から現地まで行きました。
「結ぶ」が表す「関係付け」は、路線や航路のように、ある程度、安定したものでなければならない。
類義語・反義語
類義語つなぐ
反義語


10.交流関係を作る他動詞中級★★
表記結ぶ
本来、離れた関係にある複数の人や組織が、緊密な交流関係を作る。
文型
<人・組織>が<関係>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
長い断絶の歴史を経て、両国は国交を結ぶことにした。
二人の作家は、生前、深い親交を結んでいました。
長く敵対していた両国の間に、ついに友好関係が結ばれた
今回の会談で、両国の間に強い友好関係が結ばれたものと確信しております。
二人の経営トップの信頼関係を結ぶきっかけとなったのは、欧州市場での競合だ。
地域住民自らが、互いに信頼の絆を結ぶ努力をすることが必要です。
コロケーション
<関係>を
親交、絆、国交、友好関係
非共起例
<関係>を
 敵対関係を結ぶ
 敵対関係になる
「結ぶ」は積極的に関係を作る場合に使われる。したがって「望ましくない関係」について「結ぶ」を使うと不自然である。
解説
この「語義10」は、「離れたところにあるものの間に関係を作る」という「語義9」と共通の意味特徴を持つ。ただし、「語義9」の場合、複数の「場所(そこにいる人)」の間を「線、交通・通信手段」によって関係付けることを表すのに対し、この「語義10」の場合には、複数の「人・組織」が交流関係を作ることを表す。
誤用解説
 太郎と次郎は友情を結んだ
 太郎と次郎は友情をはぐくんだ
 太郎と次郎は友だち関係を結んだ
 太郎と次郎は友だちになった
「結ぶ」は、「離れたところ」にある人や組織の間に、その距離は保ったまま交流が成立する場合にしか使うことができない。したがって、関係が成立すると「近い関係」になる「友人関係」のような関係の成立について述べるとき、「結ぶ」を使うことはできない。
類義語・反義語
類義語築く、交わす
反義語解消する


11.契約をする他動詞中級★★
表記結ぶ
人や組織が、契約関係を作る。
文型
<人・組織>が<契約>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
外国の大学と協定を結ぶことにした。
家を借りることにし、賃貸契約を結びました
小さな国々の間で、同盟が結ばれた
口約束だけで、契約を結んでいないので心配だ。
条約締結の裏では、多くの密約が結ばれていた
業界の大手三社がカルテルを結んでいたことが発覚した。
stairs独自の栽培基準があって、それを満たした農家とだけ契約を結んでるんだって。
コロケーション
<契約>を
和議、条約、契約、カルテル、密約、特約
非共起例
<契約>を
 結婚を結んだ
 結婚をした
 婚約を結んだ
 婚約をした
解説
この「語義11」は、「複数の人や組織が関係を作る」という「語義10」と同じ意味特徴を持つ。ただし、「語義10」の場合、「緊密な人間関係」を作ることを表すのに対し、この「語義11」の場合には、「契約をする」ことを表す。
誤用解説
 待ち合わせの約束を結んだ
 待ち合わせの約束をした
 来週までに提出をすると約束を結んだ
 来週までに提出すると約束をした
「結ぶ」は「契約」のような重要で特別な内容について約束することを表すのであって、日常的な約束について言う場合には使えない。
類義語・反義語
類義語交わす
反義語解消する


12.運命が関係を作る他動詞中級★★
表記結ぶ
運命が、人と人との緊密な関係を作る。
文型
<運命>が<複数の人>を結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
二人はめでたく結ばれた
赤い糸によって結ばれた二人は、ついに出会うことになった。
目に見えない糸が二人を結んでいるとしか考えられない。
我々は運命によって結ばれているのだ。
二人は、固い友情によって結ばれている。
私たちは、目標を共有することで強く結ばれているのです。
コロケーション
<運命>が
運命、赤い糸、友情、愛情、親愛の情
<様態>
しっかり(と)、固く、強く
非共起例
<運命>が
 太郎は花子の財産目当てで結婚をした。花子の財産が、二人を結んだのだ。
 太郎は花子の財産目当てで結婚をした。花子の財産が、二人を結び付けたのだ。
 先祖の怨念が二人を結んだ
 先祖の怨念が二人を結び付けた
<運命>は必然的に関係を生じさせるような力を持ったものでなければならない。
解説
この「語義12」は、「緊密な関係を作る」という点で「語義10」と共通する意味特徴を持つ。ただし、こ「語義10」の場合、人や組織が意志を持って「交流関係」を作ることを表すのに対し、この「語義12」の場合、「運命」が「緊密な人間関係を作る」ことを表す。受け身の形で使われることが多い。
誤用解説
この「語義12」は、とくに男女の親密な関係を表す場合に使われることが多い。そのとき「運命」を「糸」に喩えるならば、色は「赤」でなければならない。
 青い糸が二人を結んだ
 赤い糸が二人を結んだ


13.話を終わる他動詞上級
表記結ぶ
人が、文章やスピーチなどを特定のことばで終える。
文型
<人>が<表現・文章・談話>を<表現>で結ぶ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
校長先生は、長い挨拶を「がんばりましょう」のことばで結びました。
今度のスピーチは、先方へのお礼のことばで結んでいただけませんか。
講演は、今後の展望について述べることばで結ぼうと思っています。
手紙は、お見舞いのことばで始まり、励ましのことばで結ばれていました。
相手の健康を気遣うことばで、手紙を結べばよいと思います。
「こそ」は已然形で結びます。
stairs『ますますのご発展をお祈りしております』っていう挨拶で結ぶんだけど……。
コロケーション
<表現・文章・談話>を
話、手紙、スピーチ、講演、文章
<表現>で
お礼のことば、警句、逸話、~という表現、格言
非共起例
<表現>で
 手紙をサインで結びました。
 手紙の終わりにサインをしました。
<表現>は、目立つものでなければならない。
解説
この「語義13」は、「語義1」と類似している。「語義1」は、「細長いものそれ自身の一部に塊を作る」ことを表し、この「語義13」は「文章やスピーチなどを特定のことばで終える」ことを表すが、「文章やスピーチ」は「細長いもの」に喩えることができるような一連の流れを持っている。また、「特定の表現」は、「塊」のように目立つものである。
誤用解説
 そろそろ話を結びます
 そろそろ話を終わります
 合図があったら、発表を結んでください。
 合図があったら、発表を終わってください。
「結ぶ」は、単に「話を終わる」ことを意味するのではない。選択された「特定のことば」で「話を終わる」ことを意味する。
類義語・反義語
類義語終える、終わる、まとめる
反義語始める


結ぶの全体解説 「結ぶ」は、「人が、細長いものを輪にし、端を通して引くなどして、細長いものそれ自体の一部に、塊を作る」ことを基本的な意味とする(語義1)。類義語に「縛る」「括る」「結わえる」などがある。「縛る」「括る」が何かをまとめることに注目した表現であるのに対し、「結ぶ」は、「塊を作る」という点に注目した表現である。
「結ぶ」は、「塊」を作ることで達成される事柄の相違によって、意味が広がる。ひとつは、「端を接続する(例:靴ひもを結ぶ)」(語義2)である。ここからさらに、達成される事柄が細分化されていき、「巻いて固定する(例:鉢巻を結ぶ)」(語義3)、「一つにまとめる(例:髪を結ぶ)」(語義4)、「形を作る(例:帯を結ぶ)」(語義6)へ、意味が広がる。
このうち、「語義4」と「語義6」からは、さらに類似した意味へ広がる。「語義4」の「一つにまとめる(例:髪を結ぶ)」ことと、「語義5」の「口を固く閉じる(例:唇を真一文字に結ぶ)」ことはよく似ている。また、「語義6」の「形を作る(例:帯を結ぶ)」ことと、「語義7」の「塊を形成する(例:リンゴが実を結ぶ)」こともよく似ている。
「語義1」からは、「語義2」とは別の方向へも、意味が広がる。「ものを固定する(例:釣り針を糸に結ぶ)」(語義8)である。この「語義8」と類似した意味が「語義9」の「地点を連結する(例:点と点を線で結ぶ)」である。複数のものを両端に固定することと、複数の地点を連結することは、よく似ている。
「語義9」の「複数の地点の連結」という意味からは、関係が成立することに注目をした「交流関係を作る(例:両国は友好関係を結んだ)」(語義10)へ、意味が広がる。ここからさらに、「交流関係」ではなく「契約関係」が成立することを表すのが「契約をする(例:賃貸契約を結ぶ)」(語義11)である。また、「関係を作る」のが、「人や組織」ではなく、「運命」であることを表すのが、「運命が関係を作る(例:二人は赤い糸で結ばれている)」(語義12)である。
以上の語義の他に、「話を終わる(例:お礼のことばで結ぶ)」(語義13)がある。これは「語義1」と類似した意味を持つ。「語義1」は「細長いものそれ自体の一部に塊を作る」ことを表すが、「話」は「細長いもの」に喩えることができ、「話を終える特定のことば」は「塊」に喩えることができる
























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<細長いもの>を
フィリップは靴下をはき、靴ひもを結んだ。
(モーム作;行方昭夫訳 『人間の絆』, 2001, 933)
<細長いもの>を
男はロープを体に結んで入り江を泳ぎ渡ったのだ。
(多島斗志之著 『海賊モア船長の憂鬱』, 2005, 913)
<様態>
組んだ青竹の縄は、しっかり結んでおかねばならぬぞよ。
(澤田ふじ子著 『火宅の坂』, 2001, 913)
<もの>を
セミロングのを結んでいたが、さすがに切らないとマズイと思い決心した様子。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<細長いもの>で
スーツ姿のサンタは、鞄から赤いリボンで結ばれた小箱を取り出し、私の膝の上に置いた。
(森浩美著 『推定恋愛』, 2005, 913)
<口・手>を
弓子はその意味がよく判らないようで、を結んだままだった。
(泡坂妻夫著 『弓形の月』, 1994, 913)
<様態>
言い終ると、口を真一文字に結んで、憤怒をあらわした。
(堀和久著 『死にとうない』, 1996, 913)
<細長いもの>を
クエンティンはスーツを着ると、丹念にネクタイを結び 満足げに鏡に映った自分の姿を眺めた。
(エリザベス・ゲイジ著;北条元子訳 『タブー』, 1995, 933)
同じようなブラウスに、同じようなスカーフを結んでいるのに、私の爪は丸く幼く、彼女たちと違っていた。
(光野桃著 『私のスタイルを探して』, 1998, 593)
<形>に
ちょうど夏場のこととて、女は涼しそうな柄の布小袖を身につけ、襦子の帯を、その頃再度はやり出したという間男結びに結んでいる。
西村望著 『煉獄無宿』, 1992, 913)
<もの>が<塊>を
カボチャも愛情に応えるようにを結んだ。
(野外活動研究会著 『目からウロコの日常物観察』, 2003, 384)
<細長いもの>を[に]
藤吉は舫い綱を桟橋の杭に結びながら、左近に応えた。
(宮城賢秀著 『将軍の密偵』, 2000, 913)
<手段>が[で]
次にクリックした所と始点が、直線で結ばれます。
(広田正康著 『Illustratorトレーニングブック』, 2003, )
ここより南にある集落とは、ここを起点とするバスで結ばれている。
(森俊偉文・写真 『地中海のイスラム空間』, 1992, 523)
近い将来すべての家電がネットワークで結ばれるようになる
(粂井高雄編著 『手にとるようにパソコンのことがわかる本』, 2000, 548)
<地点>と<地点>(と)を
フェリーはセブ島マニラを結んでいました。
(Yahoo!ブログ, 2008, 世界の地方)
<関係>を
彼女がマーラーと知り合ったのは共通の知人を通してで、二人はすぐに親交を結ぶことになる。
(西原稔著 『クラシック名曲を生んだ恋物語』, 2005, 762)
<契約>を
フリーのジャーナリストとして活躍し、逮捕当時はオブザーバー紙と契約を結んでいた。
(浅井信雄著 『ミステリーと虚構の国際政治』, 1992, 319)
<表現・文章・談話>を
それから彼は、手術の様子やその後の経過などに就いて詳しく私に話して聞かせ、最後にこんなふうにそのを結んだ。
(中谷孝雄著 『招魂の賦』, 1998, 913)
<表現>で
そして、先生のお忙しい日常のご様子を書いてくださった最後に、私を大喜びさせることばで、そのお手紙を結んでくださった。
(清川妙著 『花明かりのことば』, 2003, 914)






























ほら、そこの木に結びに行こ!
独自の栽培基準があって、それを満たした農家とだけ契約を結んでるんだって。
『ますますのご発展をお祈りしております』っていう挨拶で結ぶんだけど……。
実を結ぶ

意味
長い間の努力がむくわれてよい結果が得られる。
用例
長年の努力がついに実を結んだ
コーパスからの用例
これまでの地道な活動が実を結び、昨年十月二十一日、苗穂地区では交通死亡事故「ゼロ」十年を達成しました。(広報さっぽろ+ひがし区民のページ 2008)
手を結ぶ

意味
互いに協力しあう。
用例
町内会は、自治体と手を結び、地元の発展に尽力していくべきです。
コーパスからの用例
かつての南九州観光を支えた両社が手を結ぶことで、観光復権の第一歩と期待も高い。(西日本新聞 2001)
縁を結ぶ

意味
夫婦となる、あるいは家族のような親密な関係を作る。
用例
自分の行いに気をつければ、多くの人とよいご縁を結ぶことができます。
コーパスからの用例
なぜ、講師にまっ先に挨拶かというと、講師を依頼されるくらいだから、その会では当然のこととして主役、いわゆるキーマンであり、縁を結びたいという思いからです。(佐藤義雄 著『「人脈」 創る・育てる・活かす』2003)
庵(草庵)を結ぶ

意味
小さく質素な小屋を建てて住む。
用例
これを機に、かねてから気になっていた場所に庵を結ぼうと決心をした。
コーパスからの用例
もちろん、高僧が山深く庵を結んで遠く塵界を離れたなどという例は、東西の歴史に数多くあり、少しもめずらしくないことである。(新渡戸稲造 著『自分をもっと深く掘れ!』1990)
契りを結ぶ

意味
夫婦となる、あるいは家族のような関係になることを約束する。
用例
この時代小説は、二人が酒をくみかわし、兄弟の契りを結ぶ場面からはじまります。
コーパスからの用例
みなさまご承知のことと存じますが、この雅美は、一度はみなさまのご祝福を受け、夫婦の契りを結んだ身でございます。しかし、さまざまな事情によって、二年前から独り身となりました。(伏見友文・花岡次郎 著『両親・親族・本人披露宴のあいさつ』2002)
印を結ぶ

意味
指をいろいろな形に組み合わせるなどする。(仏の力を象徴的に表す。あるいは、忍者が術をかけるときに行う。)
用例
その仏像は、左手に蓮華を持ち、右手に印を結んでいる
コーパスからの用例
人も仏も地・水・火・風・空・識という六つの要素で成り立っているのだから同質であると主張し、成仏の原理を解き明かしている。そのためには手に印を結び、口に真言を唱え、心を仏の境地に一体化させることが必要だという。(田中治郎 著『面白いほどよくわかる日本の宗教』2005)
夢を結ぶ

意味
夢を見る。眠りにつく。
用例
さあ、今夜はどんな夢を結ぶのでしょう
コーパスからの用例
その夜、鄭芝竜は安平鎮に夢を結ぶことにした。(荒俣宏 著『海覇王』1989)
複合動詞 V1

結び付く、結び付ける、結び合う、結び合わせる、結び留める
複合動詞 V2

取り結ぶ、切り結ぶ
複合名詞

結び目、縁結び、係り結び、おむすび、結び切り
結ぶ(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形むすぶ
ない形むすばない
~なかったむすばかった
ます形むすび
~ませんむすびま
~ましたむすびした
~ませんでしたむすびまんでした
~ときむすぶとき むすぶ
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意向形むす
て形むすんで
た形むすんだ
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受身形むすばれる
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