見せるのコアイメージ

1.もの提示他動詞初級★★★
表記見せる
人がものを人や動物に見えるように提示する
文型
<人>が<人・動物>に<もの>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
男性A「あそこの、今、花をお客さんに見せている店員さん、かわいいよな」男性B「ああ、あの花屋の店員さん。俺の彼女だよ」男性A「ええ、うそだろ」
子どもには長時間テレビを見せないようにしている。
警察に証拠の写真を見せられると、犯人は泣きながら自供を始めた。
女性A「新婚旅行、どうだった?」女性B「すごく良かったよ。その時撮った写真を見せようと思って持って来ちゃった」女性A「見たい!見せて、見せて
ダンスの先生にお手本を見せてもらった。
社長は豪華で有名なご自宅をテレビのリポーターにお見せになった
stairs名作だとは思うけど、自分の子どもに見せたくはないかなあ。
コロケーション
<人・動物>に
① 人:彼、彼女、お客、子ども
② 動物:犬、猫
<もの>を
① 物体:物、花、絵、実物、中身
② 情報:映像、資料、画像、証拠、データ
③ 媒体:ビデオ、テレビ、画面
④ 空間:部屋、現場、なか
⑤ その他:手品、踊り、手本
解説
「手本(動作)、手品、踊り」は動作であるが、ひとまとまりのもの(モデル、やり方、行い)として提示することから、この語義に該当する。
例:ダンスの先生にお手本を見せてもらった
類義語・反義語
類義語提示する
反義語


2.動作提示他動詞中級★★
表記見せる
人や動物が特徴的な動作を行う
文型
<人・動物>が<動き>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
チワワは一般的に、活発で俊敏な動きを見せる
その男は、尋問すると一瞬動揺したような素振り(そぶり)を見せた
犬をしつけるときは、従属的な態度を見せないように気をつけましょう。
A「先代の社長、亡くなられてもう10年ですか。懐かしいですね」B「そうですね。トラブルの報告を受けても、慌てた素振り(そぶり)は一切お見せにならず、淡々と指示されていた姿が忘れられません」
A「パンダ、可愛かったね。あんなかわいい仕草を見せられたら誰だってパンダを好きになっちゃうよ」B「ほんとほんと。動物園、また行こうね」
彼は大臣とは思えないような振る舞いを見せているが、その実力は確かで、彼を慕う人も多い。
コロケーション
<動き>を
(俊敏な)動き、(慌てた)素振り(そぶり)、(攻撃的な)態度、(かわいい)仕草、(子どものような)振る舞い
<人・動物>に
解説
「〜を見せる」の「〜」には「動き」や「仕草」など、動きを表す名詞が使われるが、これらの名詞は必ず次の下線部のように修飾句を受け、どんな特徴を持つ動きなのかが示される。
例)俊敏な動きを見せる/かわいらしい仕草を見せる/いやがる素振りを見せる
また、下線部で表される特徴は、文の話し手によって捉えられたものである。例えば「その男は動揺したような素振りを見せた」という文で、「動揺したような」と感じ取ったのは「その男」ではなく文の話し手である。
誤用解説
動きを表す名詞だけでは使われず、どういった特徴を持つ動きなのかを示す修飾句と共に用いられる。
 男は素振りを見せた
 男は慌てた素振りを見せた
類義語・反義語
類義語(態度を)取る
反義語


3.披露他動詞中級★★
表記見せる
人や動物が観客の前などで演技や競技する姿を披露する
文型
<人・動物>が<演技・プレー>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
久保田は去年、国際マラソン大会で素晴らしい走りを見せた
あの子役は、今後どのような演技を見せてくれるか、期待は膨らむばかりだ。
アナウンサー「中田選手、すばらしいゴールでした」中田選手「ありがとうございます。応援に来て下さったみなさんに、少しでもいいプレーを見せられればと思い、がんばりました」
あのチームは、ここまで素晴らしいパフォーマンスを見せているが、疲れが出るリーグ後半では失速する可能性もある。
(フィギュアスケート)オリンピックで彼女は奇跡の滑りを見せ、見事金メダルに輝いた。
イルカたちはショーで前方宙返りの大技を見せた
コロケーション
<演技・プレー>を
(素晴らしい)演技、(粘り強い)プレー、(最高の)パフォーマンス、(安定した)走り、(目覚ましい)活躍、大技、
<観客>に
観客、客
解説
「〜を見せる」の「〜」には「演技」や「プレー」などの名詞が使われるが、これらの名詞は次の下線部のように修飾句を受け、どんな特徴を持つ演技やプレーなのかが示されることが多い。
例)素晴らしい演技を見せる、粘り強いプレーを見せる、最高のパフォーマンスを見せる
誤用解説
「演技」や「プレー」等の名詞だけでは使われず、どういった特徴を持つ演技やプレーなのかを示す修飾句と共に用いられる。
 彼女は演技を見せた
 彼女は素晴らしい演技を見せた
類義語・反義語
類義語披露する
反義語


4.表情提示他動詞中級★★
表記
人が喜怒哀楽などの感情を表情に出す
文型
<人>が<表情>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
3歳のお誕生日に、手作りケーキを食卓に出すと、息子が満面の笑みを見せてくれた。
娘からの突然の結婚報告に、驚いて妻を見ると、彼女も驚きの表情を見せていた
A「山田君って、なにがあっても絶対に泣かないよね」B「俺、親父に、男は人前で涙を見せるなって厳しく育てられたんだ」
社長は部下がミスをしても笑い飛ばしておしまいで、ついぞ怒った顔をお見せになったことがない。
教師の冗談に、生徒たちは愛想笑いすら見せようとしなかった。
あんなに優しい微笑みを見せられたら誰もが彼女を好きになってしまうだろう。
stairsあの、鬼みたいに怖い山田先生が、涙を見せるなんて思わなかったよ。
コロケーション
<表情>を
笑顔、(驚きの)表情、(怒った、笑った)顔、笑み
<人>に


5.対顔他動詞中級★★
表記見せる
人が人に会う
文型
<人>が<人>に<顔>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
教師「あれ、本田じゃないか。久しぶりだな」卒業生「先生、お久しぶりです。たまには先生に顔を見せようかと思って遊びにきました」
家で犬を飼い始めたせいか、あのノラ猫は最近、私たち家族に顔を見せようとしない。
母「たまにはおばあちゃんに顔を見せなさいよ」娘「わかったよ。お正月には帰るから」
お見舞いに行っても、社長は私たちに、お顔をお見せにならない
甥っ子とは昔はよく一緒に遊んだものだが、最近は家に遊びに行っても照れくさいのか、自分の部屋にこもってなかなか顔を見せてくれない。
教師「今学期はこれでおしまいです。みなさん、来学期も元気な顔を見せてくださいね」
コロケーション
<人>に
家族、母、祖父、(卒業生が)先生、友人
<顔>を
解説
主体は基本的には人間だが、例文2のように、話者が愛着を持っている動物の場合、擬人的に用いられることがある。
例文2:家で犬を飼い始めたせいか、あのノラ猫は最近、私たち家族に顔を見せようとしない。
例文6の「元気な顔を見せてください」は、学校などで学期末の挨拶によく用いられる表現で、「元気に再会しましょう」という意味が込められている。
例文6:教師「今学期はこれでおしまいです。みなさん、来学期も元気な顔を見せてくださいね」
生徒「はい!」


6.訪問他動詞中級★★
表記見せる
人が、知り合いの集まる場所に訪れる
文型
<人>が<場>に<顔・姿>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
久しぶりになじみの店に顔を見せた
教授は最近忙しく、あまり研究室に顔をお見せにならない
彼女は人と話すのが苦手だといって、誘っても飲み会に顔を見せようとしない。
パーティーの終盤になって、ふいに山田が姿を見せて出席者を驚かせた。
同窓会になんども顔を見せている鈴木さんが、今年は欠席だったので心配になった。
うちの息子は、都合の悪い時は実家に顔を見せない
コロケーション
<場>に
なじみの店、実家、パーティー、同窓会、葬式
<顔・姿>を
顔、姿
非共起例
<場>に
(1)×うちに顔を見せる
 うちに帰る
 実家に顔を見せる||(2)×コンサートに顔を見せる
 コンサートに行く
(1)主体が自宅のようにいつも帰る場所に行く場合には「顔を見せる」は使えない。また、(2)主体の「顔見知り」がいる場でないと、「顔を見せる」は使えない。
解説
「<人>が<場>に<顔>を見せる」という文型パターンの場合、「出席する」と言い換えられる場合がある。
例:○山田は久しぶりに高校時代の同窓会に顔を見せた。
  ○山田は久しぶりに高校時代の同窓会に出席した。
一方、「<人>が<場>に<姿>を見せる」という文型パターンの場合、「出席する」と言い換えることはできない。
例:○山田はふいに高校時代の同窓会に姿を見せた。
  ×山田はふいに高校時代の同窓会に出席した。
類義語・反義語
類義語(顔を)出す
反義語


7.出現他動詞中級★★
表記見せる
何かに隠れて見えなかった生き物やものが見えるようになる
文型
<生き物・もの>が<顔・姿>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
霧が晴れて山が姿を見せた
目覚めると、窓の外では既に太陽が顔を見せていた
今日はすっきりと晴れていて、富士山が裾野から山頂まで、その全貌を見せている
木陰からリスが顔を見せた
海は毎日違った顔を見せてくれる
右に曲がると巨大な建物が姿を見せた
stairs少しでもおてんとさまが顔をみせてくれたらねぇ……。
コロケーション
<顔・姿>を
顔、姿、全貌
<隠れている場所>から
雲間、雲の切れ間、木陰、隙間、陰
類義語・反義語
類義語出現する、現す
反義語


8.現実の提示他動詞上級
表記見せる
気付かなかった現実に気付かせる
文型
<人・媒体・状況>が<人>に<現実>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
A「世界一周旅行にいってきたんだって。どうだった」B「すごく勉強になった。知らない世界をたくさん見せてもらったよ」
その写真展に行って、戦争の悲惨な現実を見せられた
親は幼い子に現実を見せようとはしないものだ。
新人の頃、先輩が銀座に飲みに連れて行ってくれて、大人の世界を見せてくれた。
A「この小説って、サラリーマンの現状を見せているようで見せていないよね」B「そうだよね、うちの会社の社員の方がよっぽど大変だよ」
コロケーション
<媒体>が
小説、映画、漫画、写真
<現実>を
世界、現実、現状
解説
・この語義は「気付かなかった現実に気付かせる」であるが、より具体的には、現実に気付かされる受け手は、「実際に見たものを介して、気付かなかった現実を抽象化して捉える」という認識を行っている。
例:その写真展に行って、戦争の悲惨な現実を見せられた
上記の例では、受け手は写真を介して、戦争は悲惨であると、戦争の現実を抽象化して捉えていることを意味している。
・文型パターンの主語は、「<人・媒体・状況>が」であるが、①人と②媒体の主語は文中に現れることが少なく、③状況は文中に現れない。以下はそれぞれの例である。
①<人>が
例:親は幼い子に現実を見せようとはしないものだ。
②<媒体>が
例:「この小説って、サラリーマンの現状を見せているようで見せていないよね」
③<状況>が
例:A「世界一周旅行にいってきたんだって。どうだった」B「すごく勉強になった。知らない世界をたくさん見せてもらったよ。


9.夢の体験他動詞上級
表記見せる
人に一時の夢のような体験をさせる
文型
<人>が<人>に<夢>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
昨日のパーティーは豪華絢爛で、まるで自分がお金持ちになったような、いい夢を見せてもらいました。
来園したお客さんに夢を見せるのが、テーマパークで働く私達の仕事だ。
あの劇団の公演はいつも素晴らしく、次はどんな夢を見せてくれるのだろうと毎回楽しみにしている。
コロケーション
<夢>を
(良い、楽しい、ひとときの)夢


10.夢の想像他動詞中級★★
表記見せる
人に夢や架空の世界を想像させる
文型
<人>が<人>に<夢>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
宝くじは当たらなかったが、億万長者になる夢を見せてもらった。
妹「うちの子、小6にもなって、まだサンタクロースを信じているのよね」姉「毎年サンタさんからのプレゼントだよって、夢を見せたのはあんたでしょ。自分で気づくまでは信じさせてやったら」
A「あの党、選挙のたびに夢物語を語ってない?」B「誰かが言ってたよ。政治家の仕事は、いかに国民に現実を見せないで夢を見せられるかだって」
秘書「社長、本当にロボット開発に取り組むんですか」社長「そうだ。ロボットは子どものころからの夢だったし、社員だって乗り気じゃないか」
A「どうしたの、そんなに落ち込んで」B「この間、プロデューサーに映画の話があるって聞いたんだけど、その企画がなくなっちゃったみたいで。主演映画に出られるかもって夢を見せられちゃった分、結構ショックで」
その小説家は、子供たちに夢を見せようと、後世にまで残るファンタジー冒険物語を書き上げた。
コロケーション
<夢>を


11.内面の表出他動詞上級
表記見せる
人や生き物が内面を(意図せず)表し出す
文型
<人・生き物>が<内面・状態>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
相手に迷惑をかけた時は、心から謝って誠意を見せることが大切だ。
その患者は、癌を告知しても不思議な落ち着きを見せていた
学生A「この前面接を受けたあの企業、内定もらえなかったよ。やる気のある姿勢を見せようとがんばったんだけどな」学生B「会社との相性が合わなかっただけだよ。もっといい会社が他にもあるって」
夫「今日は田中部長と飲んできたんだけど、珍しく弱音を吐いてたよ。いつもポジティブな人だからびっくりしたよ」妻「上司があなたに弱みを見せたってことは、信頼しているってことだよ。ある意味良かったんじゃない」
社長「昨日は社員の前で、取引先に対して大口たたいちゃったよ。らしくないよな」部下「良かったと思いますよ。いつもは穏やかな社長が、敏腕経営者としての一面をお見せになったと社員が話しておりました」
教師がどんなに説教をしても、その生徒は反省の色を見せなかった
コロケーション
<内面・状態>を
① 気持ち:意欲、誠意、意地、意気込み、(心構えの意味で)姿勢、熱意
② 様子・状態:落ち着き、余裕、(反省等)の色、戸惑い、疲れ
③ -1 特徴・性質:弱み、こだわり、自分、力
③ -2 特徴・性質の中の一部分:一面、片鱗、側面
<人>に
あなた、部下、彼、妻、家族
類義語・反義語
類義語表す、示す
反義語


12.人・生き物の変化の表出他動詞上級
表記見せる
人や生き物が変化を示す
文型
<人・生き物>が<変化>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
子ども達がこれからどんな成長を見せるのか、今から楽しみだ。
大手術だったのにも関わらず、患者は順調な回復を見せている
あの選手は、海外留学を経て劇的な変化を見せた
祖父は90歳になったが、いまだ衰えを見せず、医師を続けている。
田中投手は、手術後しばらく一軍を離れていたが、キャンプの練習試合で復活への兆しを見せた
アナウンサー「本田選手、今日の演技、本当にすばらしかったです」本田選手「ありがとうございます。観客の皆さんに、少しでも自分の成長を見せようと思い、がんばりました」
コロケーション
<変化>を
変化、成長、回復、衰え、兆し


13.ものの変化の表出他動詞上級
表記見せる
ものが変化を示す
文型
<もの>が<変化>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
富士山は日々変化を見せ、多くの人を魅了し続ける。
金融危機をきっかけに大きく減少した求人はなかなか回復を見せず、就職できない若者が増えている。
ゲーム機を使った授業が全国で広がりを見せています
発足後一年が経過したが、首相の人気は未だ衰えを見せない
それまで順調な成長を見せていた経済がここに来て変調をきたした。
インフルエンザが流行の兆しを見せている ので、手洗いうがいを徹底して下さい。
コロケーション
<変化>を
変化、成長、回復、衰え、広がり


14.様相他動詞上級
表記見せる
(何らかの条件がそろったときに)物事がある様相を呈する
文型
<物事>が<様相>を見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
海は時間帯によって色々な表情を見せます
この山の斜面には桜の木が植えられていて、毎年春になるとすばらしい景色を見せてくれる。
春から夏に向かうこの季節、里山は一年で最も輝きを見せます
この森林は、時折霧が出て不思議な風景を見せてくれる。
A「昨日からの雨、まだ降っているんだ」B「うん、全然止む気配を見せないね」
このダイアモンドは、いつまでも変わることのない美しい輝きを見せている
コロケーション
<様相>を
(色々な)表情、(不思議な)風景、(素晴らしい)景色、輝き、(雨が止む)気配、(落ち着いた)たたずまい
解説
「〜を見せる」の「〜」には「表情」や「景色」など、様相を表す名詞が使われるが、これらの名詞は必ず次の下線部のように修飾句を受け、どのような様相なのかが示される。
例)海は時間帯によって色々な表情を見せる/この山は毎年春になるとすばらしい景色を見せる


15.装飾他動詞中級★★
表記見せる
それらしく見えるようにする
文型
<人>が<人・もの>を<状態>見せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
誰だって自分を良く見せたいものだ。
A「まゆみ先生の生け花って、どんな花でも美しくお見せになるわよね」B「本当よね。私もいつかあんな風に生けられるようになりたいわ」
白い壁紙を使うことで、部屋を大きく見せている
最近のファンデーションは、肌の表面をなめらかにして自然に見せるものが多い。
(ハロウィンの仮装について)A「その顔のペイント、自分で描いたの?本当に傷があるみたい」B「すごいでしょ。それっぽく見せるのに苦労したんだから」
立派に見せようとスーツを着たが、なんだか子供の入学式のような格好になってしまった。
コロケーション
<状態>
イ形容詞:良く、大きく、美しく、広く、~っぽく
解説
この語義では、対象をどのように見せるのかを、イ形容詞・ナ形容詞の連用形と共起することで示す。
例:白い壁紙を使うことで、部屋を大きく見せている
また、名詞の場合は高頻度で共起する語は少ないが、「長身に見せる」のように、名詞と共起することもある。
例:この服は着る人を長身に見せる。


16.診察他動詞中級★★
表記診せる
人や生き物を医者や獣医に診察させる
文型
<人>が<人・生き物>を<医者>に診せる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
子どもが熱を出したので医者に診せた
ペットの様子がおかしいと感じたら、まずは獣医に診せることが大切です。
A「花子ちゃん、一昨日から全然ペットフードを食べないの。暑いし、犬でも夏バテになるのかしら」B「だいぶ辛そうだね。ちゃんと先生に診せた方がいいんじゃない」
息子が風邪を引いたので医者に診せようと病院にいったが休診日だった。
夫「あれ、どこに行っていたの」妻「おばあちゃんが具合が悪そうだったから、お医者さんに診せに行っていたの」
生徒が怪我をしたので養護の先生に診せようと保健室に行った。
コロケーション
<人・生き物>を
けが人、病人、ペット、飼い犬
<医者>に
医者、医師、獣医、先生、お医者様(さん)
解説
「診せる」は、保護責任者がその子どもやペットを医師に診察させることを言う。そのため、対等な関係の相手を医者に診察させる際には「診てもらう」を使うほうが自然である。
 夫が熱を出したので医者に診せた
 夫が熱を出したので医者に診てもらった。


見せるの全体解説 「見せる」は、語義によって他動性が高いものと低いものとに分かれる。他動性が高い語義は、「見せる」の主体が対象に対して意図的に物や動きを提示するのに対して、他動性が低い語義は、見ている人が、その対象から表出しているものを感じ取るという意味が含まれている。「どちらとも言えない語義」は、他動性が高いものも低いものも共存しているタイプである。
他動性が高い語義:1(もの提示)、2(動作提示)、5(対顔)、6(訪問)、15(装飾)、16(診察)
他動性が低い語義:7(出現)、11(内面の表出)、12(人・生き物の変化の表出)、13(ものの変化の表出)、14(様相)
どちらとも言えない語義:3(披露)、4(表情提示)、8(現実の提示)、9(夢の体験)、10(夢の想像)
























▶全例文を聞く
<人・動物>に
ところでこの母親は、その映画を子どもに見せてやっていいかと先生に尋ねているのですが。
(フランソワーズ・ドルト著;村上光彦訳 『赤ちゃんこそがお母さんを作る』, 2002, 146)
<もの>を
年配の男が一枚の写真を見せた。
(梁石日著 『族譜の果て』, 1996, 913)
<動き>を
亜美は口を開きかけ、何か言おうとする素振りを見せた。
(小池真理子著 『夜ごとの闇の奥底で』, 1996, 913)
<演技・プレー>を
田尾監督と選手には、この予想を覆すようなプレーを見せてもらいたいものだ。
( 『メッタ斬り!プロ野球侍』, 2005, )
<表情>を
彼は声をたてて笑い、私に笑顔を見せた。
(ジェームズ・レッドフィールド著;山川紘矢,山川亜希子訳 『聖なる予言』, 1995, 147)
入谷が険しい表情を見せて話した。
(龍一京著 『時効捜査官』, 2000, 913)
<顔・姿>を
新しい年になってからは、二、三回を見せただけである。
(高樹のぶ子著 『彩雲の峰』, 1995, 913)
かつては周辺の住民たちからブーイングを受けるほど集まっていた若い人たちも最近はさっぱり姿を見せない。
(岩中祥史著 『博多学』, 2002, 302)
<顔・姿>を
直角に支道へ入ってからは、とがった木が全貌を見せる。
(阪田寛夫著 『菜の花さくら』, 1992, 913)
<隠れている場所>から
すると、樹のから男が一人姿を見せた。
(近衛龍春著 『上杉覇龍伝』, 2003, 913)
<夢>を
このブログも、今シーズンで終了の予定なので最後にいい夢を見せて欲しいと思います。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
<内面・状態>を
ワシントンからメディア法を専門とするマイケル・ヨーク弁護士を招いて、徹底抗戦の構えを見せた。
(斎藤貴男著 『人間破壊列島』, 2001, 304)
<変化>を
イチローは九回にもセンターオーバーの三塁打を放ち、復調の兆しを見せた。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
<変化>を
しかしながら、国内市場は成熟化の兆しを見せており、輸出拡大にも限界がある一方、生産能力拡大計画は目白押しである。
(三菱総合研究所著 『全予測アジア』, 1996, 332)
<様相>を
会津磐梯山は見る角度で全く違う表情を見せます。
(Yahoo!ブログ, 2008, 芸術、アート)
<状態>
基本的に補整は、きもの姿を美しく見せるために行うものです。
( 『帯の常識と帯結び』, 2003, 593)
アクセントにした渋い赤がグレーを華やかに見せます。
(家庭画報, 2002, 一般)
<医者>に
「心臓が弱ってる。 すぐに医者に診せないとならない」
(平井和正著 『ウルフガイ魔界天使』, 1986, 913)






























名作だとは思うけど、自分の子どもに見せたくはないかなあ。
あの、鬼みたいに怖い山田先生が、涙を見せるなんて思わなかったよ。
少しでもおてんとさまが顔をみせてくれたらねぇ……。
背中を見せる

意味
あるべき姿を言葉ではなく、自らの行動で示す
用例
先輩たちがしていたように、今度は自分が後輩たちにしっかりと背中を見せていきたい。
コーパスからの用例
僕としては、親父の背中を子供に見せることが一番大事だと思っています。 (グッドライフ/関西テレビ)
敵に背中を見せる

意味
敵との対決を避ける、敵の前から逃げる
用例
敵に背中を見せるのは武士の恥だ。
手の内を見せる

意味
他人に隠していた考えや計画を明かす
用例
交渉の時は、自分の手の内を見せずに、相手の出方を見ることが大切だ。
コーパスからの用例
おのれの裸をさらしてみる、おのれの書くという行動の現場をとどめてみるなどと言えばきこえはいいが、私は決して手の内を見せているわけではない。 (谷川俊太郎詩集, 1993, )
白い歯を見せる

意味
笑顔を見せる
用例
頑固な父はめったに白い歯を見せない
コーパスからの用例
康美は顔をくしゃくしゃにして白い歯を見せた。 (五木寛之著 『戒厳令の夜』, 1976, 913)
泣きを見せる

意味
苦労をかける
用例
父は昔から家族に泣きを見せるようなことばかりしている。
コーパスからの用例
女にばかり義理を立てて、病人の親に泣きを見せるな。
(親に)孫の顔を見せる

意味
親(子供の祖父母)が生きている間に子供を産んで安心させる
用例
A「山田さん、結婚されたそうですね。おめでとうございます」
コーパスからの用例
コーパス用例
抜く手も見せず

意味
(刀を抜く手元の動きが見えないほどに)素早く刀を抜く
用例
抜く手も見せず相手に切りかかった。
コーパスからの用例
抜く手も見せずに菊が太刀を振り降ろした瞬間、菜姫は小袖を残してふっと飛び上がった。 (西谷史著 『ブラディー・セイント女鬼』, 1990, 913)
意味
物事を素早く行う
用例
報告を受けた社長は抜く手も見せずに決定を下した。
コーパスからの用例
抜く手も見せない一瞬の決断ですべてを決する可能性が大きく、その決断力の有無が日本の将来を決める時期が必ずくる。 (長谷川慶太郎著 『小泉改革を邪魔するのはオヤメなさい』, 2001, 332)
肌を見せる

意味
体を露出する
用例
最近、若い女性たちの間で、肌を見せる服が流行っている。
コーパスからの用例
若い女に肌を見せてくれとは、さすがに、原田孫七郎も言い難いことだった。 (早乙女貢著 『女の浮城』, 1996, 913)
複合動詞 V1

見せ掛ける、見せ付ける、見せびらかす
複合動詞 V2

見せ掛け、見せ金、見せしめ、見せ所、見せ場、顔見せ
見せる(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形
ない形ない
~なかったなかった
ます形みせ
~ませんみせま
~ましたみせした
~ませんでしたみせまんでした
~ときるとき
ば形れば
意向形みせ
て形せて
た形せた
可能形みせらる(みせる)
受身形みせら
使役形みせさ
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