見えるのコアイメージ

1.視覚による認識(非意図的)自動詞初級★★★
表記見える
視覚によって人やものの存在が(自然に)認識される
文型
<人・もの>が見える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
海の向こうに島が見える
「シャツがめくれて背中が見えているよ」「ありがとう。気づかなかった」
木で覆われていて店の看板が見えなかった
昔はこの場所から海が見えていた
この窓から厨房でシェフ達が働いているのがよく見える
(マジックで)「トランプの文字が私に見えないように一枚引いてください」
stairs先生、最近遠くのものがよく見えなくって
コロケーション
<人・もの>が
① 人・身体(の一部):人、姿、人影、後ろ姿、背中、肌、パンツ、地肌
② 景色・自然:海、星、景色、島、地平線
③ 位置:底、中、前、向う側、中身
④ 光・影:光、明かり、影、シルエット
⑤ 事物:屋根、看板、庭、時計、ビル
⑥ 形・文字:形、線、模様、ライン、文字
⑦ 動作:様子、〜するの、〜しているの
<人>に
○○さん、私
<場所>に
遠く、向こう、後ろ
<場所>から
場所、窓
<様態>[と]
はっきり、ぼんやり、くっきり、ちらっ、
解説
「見える」の語義には、「光が見える」のように自然と目に入るという意味と、「肌が見える」のように遮るものがなくて普段は見えていないものが見えるという意味の両方がある。「背中が見える」の例は、「人ごみの中で父の背中が見えた」「シャツがめくれて背中が見えた」のように、文脈によって後姿が見えた場合と、肌が見えた場合がある。


2.視力自動詞初級★★★
表記見える
視覚によってものが認識できる
文型
<目>が見える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼は子供の頃から目が見えない
病気でだんだんと目が見えなくなっていった
手術をしたら目が見えるようになった
「戦国大名の伊達政宗って眼帯のイメージがあるよね」「子供の頃病気で片目が見えなくなったらしいよ」
我が家の犬は老衰で両目とも見えていないが、鼻がよく利くので気付かれないことが多い。
目の見える人にも、目の見えない人の気持ちがわかって欲しい。
コロケーション
<目>が
目、片目、両目


3.(抽象的)状況の認識自動詞中級★★
表記見える
(抽象的な)物事の状況が認識できる
文型
<状況>が見える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
会社経営に陰りが見えてきた。
彼らには政治の先行きがまったく見えていない
いくつもの仕事を掛け持ちしている彼の顔には疲労の色が見えていた
長かったこの小説の執筆も、ようやくゴールが見えてきた
どうやら父はまだ、定年後の人生のビジョンが見えていないようだ。
(会社で部下と上司が)「新製品の改良品を持ってきました」「うーん、さっぱり努力の痕が見えないんだけど」
stairsあと、人の未来の姿とかも見えちゃうんだって。
コロケーション
<状況>が
① 方向:先、未来、方向、先行き、ビジョン
② 動き:兆し、陰り
③ 様子:状況、~の色、~の跡、兆候
④ 範囲:周り、限界、ゴール
<人>に
○○さん、私、彼ら


4.本質の把握自動詞中級★★
表記見える
物事の本質や核心が把握できる
文型
<人・物事>が見える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼には人の心が見えていない
長い説明を聞いて、ようやく話が見えてきた
この本はあまりに抽象的で、作者の意図がまったく見えてこない
「この間上司に叱られたんだけど、なんで怒られたのか全然分からないんだ」「それは自分が見えていないってことなんじゃない」
報道を通して真実が見えた気になっていたが、実際の戦場はもっと悲惨な状況だった。
社長はこの会社が抱えている問題が見えていないから何も手を打とうとしないのだ。
コロケーション
<人・物事>が
① 人:自分、心
② 物事:意図、真実、話、本質、問題
<人>に
彼、私、○○さん


5.感覚的認識自動詞中級★★
表記見える
人や事物がなんらかのものや状態に感じられる
文型
<人・事物>が<もの・状態>に見える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この犬は賢くて、まるで人間に見える
「私、何歳に見えるかな」「う~ん、30歳かな」「ひどい!25よ!」
幸せだと世界が明るい色に見える
「彼はうちの社員だよ」「え、彼?女の人に見えたよ
彼女はメイクが濃すぎて、なんだか不自然に見える。 
「こちらのパンツは足長に見えるようなカットになっているんですよ」「へー、試着してみようかな」
コロケーション
<もの・状態>に
① 人・身体(の一部):人、~歳、人間、女、男、子供、大人、足長
② 生き物:犬、クジラ
③ もの:ダイヤモンド、高級品
④ 状態:~色、魅力的、不自然、〜のよう
<人>に
私、私達


6.判断可能自動詞上級
表記見える
人や事物がなんらかのものや状態と判断できる
文型
<人・事物>が<もの・状態>と見える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
どうやら玄関に立っている男がこの旅館の主人と見える
このプロジェクトの成功は不可能と見えた
採用結果を待つ彼はよほど不安と見え、部屋の中を行ったり来たりしていた。
妻には私がこの歳でダンスをはじめたのが滑稽と見えていたようで、誘っても一緒にやろうとしなかった。
近所に住む少女と見える小さな子供が店先でぽつんと一人で立っていた。
(占い師と客)「かなり几帳面な性格と見えますが、ご自身ではどう思いますか」「そうですね、だからストレスが溜まりやすいのかもしれません」
コロケーション
<もの・状態>と
① 人:人、女、少女、男、主人
② 状態:不可能、性格、不安、滑稽、〜のよう
<人>に
私、彼女、彼、○○さん
解説
書き言葉で用いられることが多い。


7.来る(尊敬語)自動詞中級★★
表記見える
「来る」の尊敬語
文型
<人>が<場所>に見える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「お客さんが見えたらすぐにお茶の準備をしてちょうだい」「はい、分かりました」
(夫と妻)「ただいま。あれ、誰か来ているの?」「あなたのお母様が見えているのよ」
(部下と上司)「長谷川さんですが、急な用件で今日は見えないそうです」「そう、分かった」
さっきまでお客さんが見えていたようで、テーブルに茶碗が並んでいた。
「あ、来た来た。お父さん、佐藤さん達が見えましたよ」「待っていたよ、いらっしゃい」
コロケーション
<人>が
人、先生、社長、お客さん
<場所>に
こちら、わが社、拙宅
類義語・反義語
類義語おいでになる、いらっしゃる
反義語


見えるの全体解説 各語義の解説をご覧ください。
























▶全例文を聞く
<人・もの>が
通りには彼女の姿が見えなかった。
(村上春樹著 『ダンス・ダンス・ダンス』, 1988, 913)
暗い部屋に人影が見えた。
(小杉健治著 『父からの手紙』, 2003, 913)
ゆっくり坂を下りていくと、遠くの景色が見えてきた。
(瑞やえ子著 『神様がくれたプレゼント』, 2004, 049)
韮崎市街を抜けると、のどかな田園風景が見えた。
(臼井基也著 『彼岸祥風』, 2002, 913)
ぼんやりした灰色の光が目の届くかぎり続き、はるか遠くに真っ平らな地平線が見えた。
(ガース・ニクス著;原田勝訳 『ライラエル』, 2003, 933)
中身が見えるので、色つきの砂を入れたり、ビー球を入れたりしても楽しい。
( 『暮らしの達人』, 2001, 590)
目が慣れてくると、前方にかすかにが見える。
(酒井忠康著 『彫刻家への手紙』, 2003, 710)
すぐ先の角に喫茶店の看板が見えた。
(五木寛之著 『四季・奈津子』, 1979, 913)
<場所>に
見渡す限り畑が連なり、遠くに十勝岳連峰が見える。
(週刊朝日, 2003, 一般)
やがて向こうに陸地が見えてきた。
(桐生操著 『本当は恐ろしいグリム童話』, 1999, 913)
<場所>から
から半欠けの月が見えた。
(中央公論, 2003, 一般)
<様態>[と]
差し込む灯に、カラスの顔がはっきり見えた。
(石堂まゆ著 『闇天使』, 2000, 913)
暗い冬の空に、星がくっきりと見える。
(落合恵子著 『アローン・アゲイン』, 1986, 913)
<目>が
吹雪でがほとんど見えない。
(トンケ・ドラフト作;西村由美訳 『王への手紙』, 2005, 949)
ガンさんは右目がまったく見えず、左目の視力もほとんどないので、障害者手帳を持っている。
(松田美智子著 『秘密の地下室』, 2002, 913)
<状況>が
正直がまったくみえない。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
農業もまた、商店街のように、明るい未来が見えてきません。
(永六輔著 『商人』, 1998, 670)
日韓関係に今、変化の兆しが見える。
(鈴木成明著 『大アジア周遊記』, 2005, 292)
現在の成長戦略にも限界がみえてきた。
(許斐義信編著;慶應ビジネススクール・ターンアラウンド研究会著 『ケースブック企業再生』, 2005, 336)
<人・物事>が
苦悩して混沌とすると自分が見えなくなってくる。
( 『Gackt file 1999 to 2004』, 2004, )
ひとりよがりな主観的態度を離れてはじめて客観的な真実がみえる、そういう響きがある。
(西研著;川村易絵 『哲学のモノサシ』, 1996, 104)
余計なものを取り払うと本質が見えてくる
(小林道正著 『「数学的発想」勉強法』, 1997, 002)
民間人の個人情報へ目を転じると,「公益かプライバシー保護か」で揺れる個人情報の問題がさらに見えてきます。
(青山彰久著 『よくわかる情報公開制度』, 1999, 316)
<もの・状態>に
とても五十二歳にはみえない。
(柳田邦男責任編集 『同時代ノンフィクション選集』, 1993, 081)
劉邦というのは、一見ただの人間にみえる。
(谷沢永一著 『司馬遼太郎の贈りもの』, 2001, 910)
なんだか別世界のように見えた。
(川一著 『癌は、神様からのプレゼントだった』, 2004, 916)
<人>に
それは、にはまるでオアシスのように見えた。
(松岡弘一著 『利己的殺人』, 1993, 913)
<もの・状態>と
ばかに几帳面な男と見えて、部屋の中は、ほかのどの止宿人のそれにもまして、キチンと整頓しています。
( 『ちくま日本文学全集』, 1991, 918)
出来ると確信さえすれば、どんなに不可能と見えることでも可能なのである。
(宇野千代著 『自伝的恋愛論』, 1996, 914)
イタリアの朝食も似たようなものだが、イタリア人は、朝から甘いものを食べるのが好きと見え、ホテルでもジャム入りのクロワッサンが出たりする。
(マツモトヨーコ著 『マツモトヨーコの脱日常紀行』, 2001, 290)
<人>が
社会保険労務士のMさんの事務所に、顧問先から紹介されたといって、ある中小企業の社長が相談にみえた。
(佐々木俊世,中林政雄,赤森伸子編著 『社会保険労務士になるには』, 1999, 364)
<場所>に
うちにお客様がみえて父と話してると、要求もされないのに、私は襖を開けて芝居を始めちゃうのね。
(週刊文春, 2003, 一般)






























先生、最近遠くのものがよく見えなくって
あと、人の未来の姿とかも見えちゃうんだって。
目に見えて

意味
見てはっきりと分かるほどである
用例
彼は目に見えて英語が上手になった。
コーパスからの用例
あたりは目に見えて暗くなってくる。(立松和平著 『木喰』, 2002, 913)
意味
確実にそう判断できる
用例
このままでは会社が倒産するのは目に見えているのに、上層部は何も手を打とうとしない。
コーパスからの用例
失敗するのは目に見えている。 (シェリル・ウッズ作;田中淳子訳 『大富豪の孤独』, 2005, 933)
複合動詞 V1

見え透く(見え透いた)
複合動詞 V2

まみえる
複合名詞

見え隠れ、見え見え
見える(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形
ない形ない
~なかったなかった
ます形みえ
~ませんみえま
~ましたみえした
~ませんでしたみえまんでした
~ときるとき
ば形れば
意向形みえ
て形えて
た形えた
可能形
受身形(みえらる)
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