巻くのコアイメージ

1.まわりを包む他動詞初級★★★
表記巻く
身体部分やもののまわりを帯状・ひも状のもので包むようにする。
文型
①<人>が(<身体部分・もの>に)<もの>を巻く
②<人>が<身体部分・もの>を<もの>で巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
首にスカーフを巻くだけで、とてもおしゃれに見える。
「ターバン」というとインド人を連想するが、本当にターバンを巻いている人は人口の2%にも満たない。
温泉を紹介するテレビ番組でタレントがタオルを巻いて入浴していますが、あれは撮影のためで、実際にはタオルを巻いて湯船に入ってはいけません。
コンビニのおにぎりは最初から海苔(のり)が巻いてある「しっとり」タイプと食べる直前に海苔を巻く「パリパリ」タイプがある。
試合でケガをした選手の足は包帯で何重にも巻かれていた
アスパラガスを豚の薄切り肉で巻いた「アスパラの肉巻き」は、お弁当のおかずやお酒のおつまみとして人気の一品です。
コロケーション
文型①<もの>を / 文型②<もの>で
① 帯状のもの:タオル、包帯、テープ、マフラー、スカーフ、ターバン、ベルト、帯、まわし、海苔、ラップ
② ひも状のもの:ひも、ロープ、コード、リボン、チェーン
文型②<身体部分・もの>を
① 身体部分:頭、首、腕、手、指、腹、腰、足、体
② もの:木、棒、枝、幹、おにぎり、タイヤ
文型①<身体部分・もの>に
① 身体部分:頭、首、腕、手、指、腹、腰、足、体
② もの:木、棒、枝、幹、おにぎり、タイヤ
<様態>
しっかり、ぐるっと、幾重にも、二重に、もう一度、ゆったり、きつく、かたく、ゆるく、軽く
解説
語義1は、身体部分やもののまわりを帯状・ひも状のもので包むようにすることを表す。この時、包囲するものと包囲されるものは密着している。例文2、3のように、包囲するものによって包囲されるものが明らかな場合、「<身体部分・もの>に」は省略可能である(例文2では「頭に」、例文3では「体に」が省略されている。例文1の「首に」も省略可能である)。
誤用解説
あるもののまわりを包囲するものであっても、手袋やグローブ、手錠のように最初から完成した型があるものは「巻く」ではなく「はめる」を使う。
 タクシーやバスの運転手は白い手袋を巻いている
 タクシーやバスの運転手は白い手袋をはめている[している]
 警官は犯人を取り押さえ、手に手錠を巻いた
 警官は犯人を取り押さえ、手に手錠をはめた
また、次の例のように何かをまとめたり、動かないようにする場合は「巻く」ではなく、「縛る」(ひも状のものを巻いて結ぶ)を使う。
 古新聞をひもで巻く。(単に巻いただけでは、ひもがほどけて新聞がバラバラになってしまう)
 古新聞をひもで縛る
類義語・反義語
類義語巻き付ける
反義語ほどく、取る


2.丸い形状にたたむ他動詞初級★★★
表記巻く
帯状・ひも状のものを、一方の端を内側にして丸める。
文型
<人>が<もの>を巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
卒業証書は巻いて筒に入れてあります。
好きなアイドルのカレンダーをインターネットで注文したら、巻かれた状態で届いた。
巻きずしをつくる時、のりの端まですし飯を置いてしまうと、きれいに巻けない
スペイン語で俗に「巻き舌」と呼ばれる発音は、実際には舌を巻いているわけではなく、舌先を急速に震わせて発音する。
毛糸を巻いて大きな玉を作った。
運動会が終わり、綱引きのロープを巻いて倉庫にしまった。
コロケーション
<もの>を
賞状、カレンダー、ポスター、毛糸、ホース、ロープ、すだれ
<様態>
くるくる
解説
語義2は、帯状・ひも状のものを、一方の端を内側にして丸めることを表す。例文4は発音における「舌を巻く」の例であるが、用例では慣用句の「舌を巻く」が多く使われる(慣用表現を参照)。
類義語・反義語
類義語丸める、たたむ
反義語広げる


3.軸を回転させ、からみつける他動詞中級★★
表記巻く
軸を回転させながら、そのまわりに何かをからみつける。
文型
<人>が<軸>を巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
釣り竿に魚の引きを感じ、急いでリールを巻いたが、逃げられてしまった。
「巻き戻し」という言葉は、昔、カセットテープやビデオテープのリールを巻いて戻していたことに由来するが、こうした記録媒体が使われなくなり、現在は「早戻し」という言葉に置き換えられている。
昔はカセットテープがたるんだ時、カセットの穴に鉛筆をさして回し、テープを巻いたものだ。
髪が少し湿った状態でカーラーを巻いて寝ると、翌朝きれいな巻き髪ができあがります。
パスタをフォークでくるくる巻いて食べる時、塊が大きくなってしまうことがある。
(掃除機)このボタンを押すと、電源コードが自動で巻かれます
stairsこのふわふわの綿みたいなのを割り箸に巻きつけるんだ。
コロケーション
<軸>を
リール、カーラー
<もの>を
ワイヤー、テープ、コード、巻き尺(メジャー)、パスタ
解説
語義3は、軸を回転させながら、そのまわりに何かをからみつけることを表す。例えば、例文1では釣り竿のリールを回転させながら釣り糸をからみつけている。また、例文4ではカーラーを回転させながら髪の毛をからみつけている。
この語義の「巻く」は「回す」に似ているが、「回す」は錠前のダイヤル、換気扇、車輪、おもちゃの独楽(こま)などのように(多くの場合)永久に回し続けることができるものに使う。一方、「巻く」の場合、からみつけるものの長さに限界があるため、永久に巻き続けることはできない(例文3には「巻く」と「回す」が使われている)。
なお、この語義では複合動詞の「巻き上げる」(①巻いて上に上げる、②最後まで巻く)、「巻き付ける」(巻いてくっつくようにする)、「巻き取る」(ほかのところに巻き付けて移す)などがよく使われる。
類義語・反義語
類義語回す
反義語ほどく、緩める


4.ネジやゼンマイを回す他動詞中級★★
表記巻く
ネジやゼンマイなどを回して締める。
文型
<人>が<もの>を巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
オルゴールのネジを巻き、ふたを開けると、おなじみの「エリーゼのために」が鳴り始めた。
ピアノの練習で、振り子式のメトロノームを使っているが、毎回ネジを巻くのが面倒だ。
子どものころ、おもちゃのねじを巻きすぎて壊してしまったことがある。
私の祖父は竜頭(りゅうず)を回してゼンマイを巻く「手巻き式時計」を愛用しています。
自動巻き腕時計は、腕に着けておくだけで自動的にゼンマイが巻かれるようになっている。
昔はゼンマイを巻いて動かす掛け時計や柱時計がどこの家にもあったそうです。
コロケーション
<もの>を
ネジ(巻き鍵)、ゼンマイ
<様態>
必ず、たくさん、めいっぱい(目一杯)、最後まで、ゆっくり
解説
語義4は、ネジやゼンマイなどを回して締めることを表す。ゼンマイ(ゼンマイバネ)は薄い帯状の弾力のある金属を渦巻き状にしたもので、巻かれた渦巻きが元に戻ろうとする力が動力となる。ゼンマイを巻くために回す部品がネジで、正確には巻き鍵という。
誤用解説
ものを締めつけるために使う部品(らせん状の溝があるもの)もネジというが、この場合は「巻く」ではなく「締める」を使う。
 電動ドライバーを使うと、ネジを早く楽に巻くことができる。
 電動ドライバーを使うと、ネジを早く楽に締めることができる。
類義語・反義語
類義語締める、回す
反義語緩める


5.時間を短縮する他動詞上級
表記巻く
(主にテレビ業界・音楽業界などで)予定の時間よりも早く終わらせる。時間を短縮する。
文型
<人>が<時間・こと>を巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
(テレビ番組の収録)今日の収録は1時間巻くつもりだったが、トラブルが相次ぎ、結局2時間押してしまった。
ロケの時間を巻くために、スタッフは入念な準備をした。
ドラマの主演俳優が暑さで体調を崩し、撮影を2時間巻いて病院に向かった。
その映画監督は撮るのが早いことで有名で、撮影はたいてい予定時間より1、2時間巻いて終わる。
(テレビの生放送)番組の進行が予定より大幅に遅れ、プロデューサーが人差し指をくるくる回し、「巻いて、巻いて」という合図をした。
高速道路を使って1時間巻いた
コロケーション
<時間・こと>を
時間、収録、撮影
解説
語義5は、時間を短縮することを表す。この語義は主にテレビ業界や音楽業界などの「業界用語」として使われるが、例文6のような用例も見られる。例文6は「一般道路を使うと目的地まで時間がかかるが、高速道路を使って時間を1時間短縮した」という意味である。この語義は時間に関係するが、時計の竜頭(りゅうず)を回すと針が動く(あるいはゼンマイが巻かれて時計が動く)ことから、語義4(ネジやゼンマイを回す)から派生したと考えられる。
類義語・反義語
類義語早める、短縮する
反義語延ばす、押す(「押す」語義9を参照)


6.渦巻き状にする他動詞上級
表記巻く
渦巻きのようにぐるぐる回った状態にする。
文型
<動物・もの・思考・心理・感情>が<もの>を巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
台風は北半球では反時計回りに渦を巻く
銀河というと渦を巻いたものを想像するが、渦を巻いていないものもたくさんある。
世界三大潮流に数えられる鳴門(なると)海峡では、轟音(ごうおん)とともに飛沫(しぶき)をあげて巻く渦潮を見ることができます。
まじめな彼がどうしてこんな事件を起こしてしまったのか、私の頭の中で疑問が渦を巻いていた
お正月に飾る鏡餅は、とぐろを巻いた白蛇を模したものと言われています。
渦巻き型の蚊取り線香は、蛇がとぐろを巻いている姿がヒントになって作られた。
コロケーション
<動物・もの・思考・心理>が
蛇、竜、水、風、台風、雲、煙、思い、妄想、疑問、疑惑、欺瞞(ぎまん)、不安、怒り、感情
<もの>を
渦、とぐろ
解説
語義6は、渦巻きのようにぐるぐる回った状態にすることを表す。代表例は「渦を巻く」と「とぐろを巻く」で、「渦を巻く」は「渦巻く」という複合語も使われる。「とぐろを巻く」には「体を渦巻き状にする」という意味のほかにも慣用的な意味がある(慣用表現を参照)。例文4の「渦を巻く」は比喩的な表現で、さまざまな「思考・心理・感情」の名詞とともに使われる。


7.渦巻き状になる自動詞上級
表記巻く
渦巻きのようにぐるぐる回った状態になる。
文型
<身体部分・もの>が巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
日本犬の特徴として、くるりと巻いた尻尾(しっぽ)が挙げられます。
爪の両端がアルファベットの「C」のように内側に巻いている状態を巻き爪という。
釈迦(しゃか)のつむじは右に巻いていたと言われている。
アサガオの蔓(つる)は支柱に対して反時計回りに巻いて伸びていく。
貝は、アサリのように二枚の殻が合わさった二枚貝と、サザエのように殻が螺旋(らせん)状に巻いている巻き貝に分けられる。
春キャベツは葉がふんわりと巻いているもの、冬キャベツはぎっしり巻いているものを選ぶと良い。
stairs今日雨で湿度高いから、余計にくるくる巻いてるし。
コロケーション
<身体部分・もの>が
尻尾、爪、つむじ、蔓(つる)、貝、葉、波、渦
<様態>
くるりと、ふんわりと、しっかり
<方向>
左に(反時計回りに)、右に(時計回りに)
解説
語義7は、渦巻きのようにぐるぐる回った状態になることを表す。語義6(渦巻き状にする)は他動詞であるが、語義7は自動詞である。上記の例文のように、身体部分やものの形状について言う場合が多い。


8.包囲する他動詞上級
表記巻く
まわりを取り囲む。
文型
<人・もの>が<人・もの>を巻く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
50人を超える警察官が犯行グループのアジトを巻いた
将軍は兵士たちに敵の城を巻かせた
酔っ払いのケンカを野次馬たちが遠巻きに巻いて見ていた。
山では時として濃霧などのガスに巻かれることがあります。
アパートで火災が発生し、2人の人が煙に巻かれて亡くなった。
アクション映画の爆破シーンで俳優が炎に巻かれ、全身をやけどする重傷を負った。
コロケーション
<人・もの>を
<様態>
遠巻きに
解説
語義8は、まわりを取り囲むことを表す。例文4~6のように「ガス、煙、炎」などが「人」を取り囲む場合、受け身文で表されることが多い。
類義語・反義語
類義語取り囲む、包囲する、包む
反義語


巻くの全体解説 各語義の解説を参照。
























▶全例文を聞く
文型①<もの>を / 文型②<もの>で
久喜は篠塚の背後に回ってくると、後ろ手にして粘着テープを巻いた。
(矢島誠著 『倉敷・白壁小路殺人事件』, 2002, 913)
牛肉はたこ糸で巻いて形を整え、塩、こしょうをすり込んで下味をつける。
(渡邊純子著 『保温調理鍋でスロークッキング』, 2004, 596)
文型②<身体部分・もの>を
子供と一緒にお風呂に入って、上がった時、自分が体を拭いて,髪の毛をタオルで巻いて、服を着る間、子供はどうしてますか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
焼き餅を海苔で巻いたのを磯辺巻といいますね。
(志の島忠,浪川寛治著 『料理名由来考』, 1990, 596)
文型①<身体部分・もの>に
バスタオルをに巻くと、哲雄は一気にビールを飲み干した。
(藤田宜永著 『密事』, 2004, 913)
割り箸に端切れを巻いて、根元を輪ゴムでとめたものに、消毒用エタノールを含ませ、カビをたたきます。
( 『最強のお掃除テキスト』, 2000, 597)
<様態>
女たちは胴に金属のような光沢のある絹をしっかり巻き、その上には彼女たちの腰にとどく長さの髪がゆたかに垂れている。
(今福竜太ほか編 『旅のはざま』, 1996, 908)
帯を強く巻きながら、赤子が男子でありますように、と念じた。
(黒岩重吾著 『女龍王神功皇后』, 2002, 913)
<もの>を
布団をのり巻きのように巻き、アイデアグッズの筒型布団収納袋に入れる。
(平成暮らしの研究会編 『家事そんなやり方じゃダメダメ!』, 2001, 590)
<様態>
靴は,くるくると巻いた靴下をなかにおさめて、きちんとそろえて置いてあった。
(横溝美晶著 『一角獣秘宝伝』, 1993, 913)
<軸>を
二人の男はうめき、手足をばたばたさせて持ち堪え、繰り返し竿を引いてはリールを巻いた。
(ディーン・R.クーンツ著;柴田都志子訳 『闇の囁き』, 1990, 933)
<もの>を
腕時計を見ると,ネジを巻くのを忘れたためか止まっている。
(齋藤寛著 『鉄の棺』, 2004, 916)
ゼンマイを巻いて動かすような時計は、かつてはどこの家庭にもあったものです。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<動物・もの・思考・心理>が
もうどうしようもない―そんな思いが頭の中で渦を巻いている。
(三田誠広著 『僕って何』, 1977, 913)
体の上でが渦を巻き、いろいろなことがあった一日の疲れがほぐれていく。
(ジーン・ブレイシャー作;南さゆり訳 『花婿の拒絶』, 2005, 933)
<もの>を
不安はアーウィンの中でを巻き、いつまで経っても消えることがない。
(渡瀬桂子著 『癒しの手のアルス』, 2004, 913)
真夏には玄関の三和土にとぐろを巻いている茶色の蛇もいた。
(高山惠太郎監修;武田勝彦ほか著 『新・酒のかたみに』, 2004, 910)
<身体部分・もの>が
細胞内では、二重らせんDNAがコイル状に巻いて二次コイルをつくり、二次コイルがさらにコイル状に巻いて三次コイルをつくるというようにして、高次コイルをつくっています。
(加藤延夫著 『微生物vs.人類』, 2005, 493)
<様態>
ぴんと立った耳,くるりと巻いた尾。
(近藤啓太郎著 『犬バカものがたり』, 1988, 913)






























このふわふわの綿みたいなのを割り箸に巻きつけるんだ。
今日雨で湿度高いから、余計にくるくる巻いてるし。
とぐろ(蜷局、塒)を巻く

意味
蛇などが体を渦巻き状にする。
用例
たくさんの蛇がとぐろを巻いている夢を見た。
コーパスからの用例
温室全体が、まるで無数の虫がうごめいているように生きていた。巨大な蛇が何匹もとぐろを巻いたり、まっすぐに伸びたり、しゅうしゅう音を立てては向きを変えたり、頭をくねらせたりしながら温室の床の上を這いまわっていたのだ。割れた卵の殻が床に散らばり、蛇の胴の下でめりめりと音を立てて砕けていた。(ブルガーコフ作;水野忠夫訳『悪魔物語;運命の卵』, 2003, 983)
意味
何人かの人が、特に用もないのにある場所に集まっている。
用例
若者たちがコンビニの前でとぐろを巻いている
コーパスからの用例
とにかく哲を当てにして駅までやって来たが、想像したとおりここは胡散臭い男どもの吹き溜まりで、ゴザを着こんで寝ている男が声をかけるかと思えば、五、六人とぐろを巻いて賭博をしている男どもがいて卑猥な言葉をかける。そしてやっと通り過ぎると酔っぱらいがこんどは煙草をせがんで追いかけてくる。(良永勢伊子著『忘れられた人びと』, 1996, 913)
意味
ある場所に腰をすえて動かなくなる。
用例
課長はいつものように行きつけの飲み屋でとぐろを巻いていた
コーパスからの用例
「やつはラングレーのオフィスでとぐろを巻いているんじゃないのか」(笠井潔著『ヴァンパイヤー戦争』, 2005, 913)
舌を巻く

意味
(人の技能が優れていて)非常に驚く。感心する。
用例
将棋を始めて2年足らずの少年が町道場の強豪を次々に倒した。大人たちは少年の強さと才能に舌を巻いた
コーパスからの用例
読めば読むほど、重松さんの文章のパワーに感心をし、表現の巧さに舌を巻いた。(重松清著『口笛吹いて』, 2004, 913)
くだ(管)を巻く

意味
酒に酔った状態で、訳のわからないことや不平不満などをしつこく言う。
用例
先輩は普段はとてもいい人なのだが、酒が入ると誰彼かまわずくだを巻くので、一緒に飲みに行きたくない。
コーパスからの用例
酔っぱらいの様に管を捲いていると、いつの間にか酒飲みの様な心持になる、坐禅をして線香一本の間我慢しているとどことなく坊主らしい気分になれる。(夏目漱石著『吾輩は猫である』, 2003, 913)
尻尾(しっぽ)を巻く

意味
(犬はおびえたり不安を感じた時に尻尾を下げて足の間に巻き込むことから)相手に立ち向かう気持ちがなくなる。降参する。
用例
彼は相手の顔を見ただけで尻尾を巻いて逃げ出した。
コーパスからの用例
次に自治省に行くと、当時の官房長が会ってくれたのはよかったのだが、「うちは成績のよくないのは採用しませんよ」というものだった。私としては痛いところをつかれたという思いで尻尾を巻いて退散するしかなかった。(岡光序治著『官僚転落』, 2002, 289)
煙(けむ)に巻く

意味
大げさなことや相手が知らないようなことを言って、相手を圧倒したり、ごまかしたりする。
用例
その医者は専門用語を並べて、何も知らない患者を煙に巻いた
コーパスからの用例
香菜子はケイというこの女の正体を勘ぐった。わけのわからない話ばかりして煙にまいているが、本当はあの西新宿の事件のことを知っていて、自分と健一を脅迫しようとしているのではないか。だけど…脅迫されても、提供できる金なんてない。(柴田よしき著『R-0 amour』, 2001, 913)
長いものには巻かれろ(長いものに巻かれる)

意味
強い権力・勢力を持った人には抵抗しないで従ったほうがよいということ。
用例
社会でうまくやっていくには自分の主張や信念を押し通すのではなく、長いものに巻かれることが大切だ。
コーパスからの用例
誰もが「長いものには巻かれろ」では、世の中はいつまでたっても良くなりません。いつの時代にも、世の中を良くする事を願い、正しい事を実現するための価値観を訴えていく人たちがいなければならないのです。(Yahoo!ブログ, 2008, 人文科学)
複合動詞 V1

巻き上がる、巻き上げる、巻き入れる、巻き起こす、巻き起こる、巻き返す、巻き込む、巻き付く、巻き付ける、巻き取る、巻き戻す
複合動詞 V2

取り巻く
複合名詞

(前項)巻き網、巻き貝、巻き返し、巻紙、巻き込み、巻き舌、巻き尺、巻き寿司、巻き添え、巻きひげ、巻き戻し、巻物(後項)渦巻き、カッパ巻き、紙巻きタバコ、ぐるぐる巻き、軍艦巻き、鉄火巻き、手巻き寿司、納豆巻き、のり巻き、葉巻、腹巻き、太巻き、細巻き
巻く(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形まく
ない形まかない
~なかったまかかった
ます形まき
~ませんまきま
~ましたまきした
~ませんでしたまきまんでした
~ときまくとき まく
ば形
意向形
て形まいて
た形まいた
可能形まける
受身形まかれる
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