砕けるのコアイメージ

1.物理的粉砕状態自動詞中級★★
表記砕ける
かたまりが力を加えられて粉々の状態になる
文型
<もの>が砕ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
事故で車のフロントガラスが粉々に砕けた
岸壁に当たった波が砕けて白くなっている。
レントゲン写真から足の指が砕けているのが分かった。
この防犯用窓ガラスはハンマーなどで叩いても砕けないつくりになっている。
「さっきから大きな音をたてて何をしているの」「ウイスキーをロックで飲みたいんだけど、この氷、なかなか砕けなくて
岩は砕けて石となり、石は砕けて砂となる。
stairsこの絵で北斎は、大波が立ち上がって砕ける瞬間を豪快に表現しました。
コロケーション
<もの>が
骨、波、ガラス、岩、氷
<結果>に
粉々、微塵、ばらばら、ぼろぼろ
<様態>に
簡単、一瞬、急
解説
ひとまとまりのものであれば、固形物でなくても用いることができる。
例:波が砕ける
類義語・反義語
類義語粉砕される、粉々になる
反義語


2.人の思いの粉砕自動詞上級
表記砕ける
希望、信念、思惑など、人の思いが打ち壊される
文型
<思い>が砕ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
予選大会で負けた高校球児たちは、甲子園出場の夢が砕けた
「あの会社、不正が明るみになってから赤字続きみたいだね」「そうらしいね。信頼ってあっという間に砕けちゃうんだね
心が砕けそうになりながらも、42.195キロを最後まで走りきった。
「仕事でちょっと失敗したからって、そんなに落ち込まなくてもいいんじゃない」「そりゃそうなんだけどさ、ミスすると引きずっちゃうんだよね。なにがあっても砕けない強いハートがほしいよ」
屈強な相手選手の登場に、闘志がすっかり砕けてしまった。
市民のクーデターによって独裁者の野望が砕けた
コロケーション
<思い>が
① 未来に対する思い:夢、野望、希望
② 相手に対する思い:恋、信頼、闘志
③ 捉え方:思い込み、幻想、虚構
④ 自我:心、(自分の)殻、プライド、魂、精神
類義語・反義語
類義語砕け散る、打ち砕かれる、壊される
反義語


3.体勢が崩れる自動詞上級
表記砕ける
支えているものが力を失って体勢が崩れる
文型
<腰・膝>が砕ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
その悲報を聞いた加奈子は驚きのあまり腰が砕け、立ち上がれなくなってしまった。
「昨日のデート、失敗しちゃったよ」「どうしたの」「お化け屋敷に行ったんだけど、あまりに怖くて膝が砕けて歩けなくなっちゃったんだ。
行方不明だった息子が無事だと知り、ほっとして腰が砕けそうになった。
「昨日登山に行ってきたんだって」「うん。登りはよかったんだけど、下山の方が大変だったよ。最後は膝が砕けてまともに歩けなくなっちゃった」
コロケーション
<腰・膝>が
腰、膝
解説
驚いたり、張りつめていた緊張が解けたときなどに「腰が砕ける」と表現することが多いが、以下の例のように、喜ばしい事態が起こって驚いた時には、「腰が抜ける」と表現することの方が多い。
 宝くじに当選した祖父は、驚きのあまり腰が砕けた
 宝くじに当選した祖父は、驚きのあまり腰が抜けた
「腰が砕ける」は「なにかをやり遂げる気力を失う」という意味で慣用句としても使われる(「慣用表現」の欄を参照のこと)。
例:他社に新製品の開発を追い越されてしまったと知り、プロジェクトチームのメンバーは皆、腰が砕けてしまった。
類義語・反義語
類義語抜ける、(膝が)笑う
反義語


4.均衡の崩壊自動詞上級
表記砕ける
何らかの力によって安定していた状態が失われる
文型
<均衡>が砕ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
金融恐慌によって社会の安定が砕けた
父は母の死をきっかけに、精神のバランスが砕けてしまったようだった。
指揮者のミスでオーケストラの均衡が砕けていく様子が伝わってきた。
彼の不注意な一言で,張り詰めていた気持ちが砕けてしまった。
コロケーション
<均衡>が
バランス、均衡、安定
類義語・反義語
類義語崩れる、崩壊する、失われる、破れる
反義語


5.打ち解ける自動詞上級
表記砕ける、くだける
堅苦しさがなくなり打ち解ける
文型
<スタイル>が砕ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
会社の後輩は、二人きりになると口調が砕けてずうずうしくなる。
田中君の失敗話に皆が笑い、飲み会の雰囲気が一気に砕けた
「君のご両親に会う時、なにを着ていったらいいかな」「別にいつも通りでいいんじゃない。今日みたいな恰好で」「こんな砕けた服装じゃ行けないよ。結婚の挨拶に行くんだから」
あの作家が書く本は文体が砕けていて読みやすい。
stairsまあ、くだけた雰囲気の方がいいけど……。
コロケーション
<スタイル>が
① 表現スタイル:口調、文、言い回し
② 内容:やり取り、会話、話題
③ 印象:服装、雰囲気、場面、印象
解説
①文脈によっては、「難しい内容や表現が分かりやすくなる」の意味で用いられることもある。
例:文章が砕けていて分かりやすい。
 解釈1 表現が堅苦しくなく、口語体で書かれているため、分かりやすい。
 解釈2 難しい内容を平易に解説していて、分かりやすい。
②「砕けた+名詞」の形で用いられることが多い。
例:会議後の飲み会では、砕けた話題で盛り上がった。
例:ノーネクタイは砕けた印象を与える。
また、この形では、「肩が張らず親しい」という意味で用いられることもある。
例:彼とはなんでも話せる砕けた間柄だ。
例:砕けた関係の人の前では、夫を「主人」ではなく名前で呼ぶこともある。


砕けるの全体解説 「砕ける」と「割れる」の違い:
「砕ける」は「粉々になる」、「割れる」は「いくつかの部分に分かれる」という語義の違いがある。そのため、砕けたものは原形をとどめず修復が困難であるが、割れたものはいくつかの部分をつなぎ合わせることで修復が可能である。よって、語義2の「打ち壊される」という用法は、「砕ける」は可能だが「割れる」は不可である。
 夢が砕ける
 夢が割れる
























▶全例文を聞く
<もの>が
一発で顎のが砕けそうな破壊力を持っている。
(梁石日著 『族譜の果て』, 1996, 913)
くらやみの中で、はるか下の方にがくだける音が聞こえたが、何も見えなかった。
(トール・ヘイエルダール著;山田晃訳 『アク・アク』, 1992, 297)
<結果>に
グラスは洗面台に当たり、タイル床に落ちてこなごなに砕けた。
(ヘレン・ビアンチン作;鈴木けい訳 『甘い屈辱』, 2005, 933)
すると、廟が出来あがると、火事になってしまい、一本の柱だけが焼け残っていたが、三日後に雷雨震電の最中に、落雷の一撃によってばらばらに砕けてしまった。
(楊衒之撰;入矢義高訳注 『洛陽伽藍記』, 1990, 222)
<思い>が
俊彦は野球を諦めねばならなかった。 左足とともに、が砕けたのだ。
(日本推理作家協会編 『自選ショート・ミステリー』, 2001, 913)
<腰・膝>が
だが、その一撃にが砕け、よろめいて構えが崩れた。
(佐伯泰英著 『朝虹ノ島』, 2004, 913)
百姓達はびっくりして、くたくたとが砕けてみんな坐って終った。
(子母澤寛著 『おとこ鷹』, 2005, 913)
<スタイル>が
とくに、相手が親しい人だったりすると、ついくだけた口調になりがちですが、あくまでビジネス上での電話ではきちんと話をするのが原則です。
(盛田ひろみ著 『そのまま使えるスピーチ挨拶実例集』, 1996, 809)
格式張った公式の発言と、仲間内のくだけた会話、その中間にある言葉の領域を訓練するのに、こうした本は役立つ。
(ダカーポ, 2002, 一般)
そんなわけで、後には、かなりくだけた格好をしたジョーンとともに、夜の新宿の裏街あたりにまで足をのばした。
(西江雅之著 『わたしは猫になりたかった』, 2002, 289)






























この絵で北斎は、大波が立ち上がって砕ける瞬間を豪快に表現しました。
まあ、くだけた雰囲気の方がいいけど……。
腰が砕ける

意味
なにかをやり遂げる気力を失う
用例
他社に新製品の開発を追い越されてしまったと知り、プロジェクトチームのメンバーは皆、腰が砕けてしまった。
コーパスからの用例
緋じゅうたんを敷きつめた首和官邸で、村長さんたちは、吉田首相からじきじきに盃を頂戴し、すっかり腰がくだけて帰ってきた。(法政大学大原社研 1952年の内灘基地反対闘争〔日本労働年鑑 第27集 653〕)
当たって砕けろ(砕けよ)

意味
成功するかどうかわからなくても、思い切ってやるだけやってみよ。
用例
「彼女に告白したいんだけど、振られるのが怖くて・・・」「恋愛は当たって砕けろってよく言うじゃないか。頑張ってみろよ」
コーパスからの用例
吉田は、考えるより「当たって砕けろ」と腹をくくって本居家に駆け込んだ。
複合動詞 V1

砕け散る、砕け落ちる
複合名詞

腰砕け
砕ける(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形くだ
ない形くだない
~なかったくだなかった
ます形くだけ
~ませんくだけま
~ましたくだけした
~ませんでしたくだけまんでした
~ときくだるとき
ば形くだれば
意向形くだけ
て形けて
た形けた
可能形
受身形
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