壊れるのコアイメージ

1.物の破損自動詞初級★★★
表記壊れる、こわれる
機能を持つ硬い物が変形したりバラバラになって、機能を損なう。
文型
<人工物>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
花瓶が棚から落ちて粉々に壊れてしまった
「容器が壊れないように注意して運んでください」
「この陶器の人形は壊れやすいので、触らないでください」
「傘、壊したの、あなた?」「違うよ!僕が使おうとした時にはもう壊れていたんだ!」
大雨による洪水で橋が壊れ、町が孤立した。
昨夜の台風で家の窓が壊れた
stairsしかも、風にあおられて、傘が壊れちゃったの。
コロケーション
<人工物>が
ガラス、花瓶、傘、眼鏡、容器、イス、ドア、家、建物、ビル、施設、橋、道路
<人工物の部分>が
取っ手、(容器の)ふた、(家具の)脚、金具、部品
<原因>で
地震、台風、震災、災害、爆発、衝撃、熱、、アクシデント、ミス、(~が)原因
<結果の様態>に
粉々、めちゃめちゃ、ぺしゃんこ、無残、見事、きれい、木っ端みじん
<程度>
完全に、全て、ほとんど、ことごとく、全部、一部、あちらこちら
<部分>から
内側、先端、端、角、根本
非共起例
<人工物>が壊れる
 注射器の針が壊れる ×紐が壊れる○注射器の針が折れる ○紐が切れる
線状のものには「壊れる」は使えない。硬い物は「折れる」、やわらかい物は「切れる」が使われる。
<人工物>が壊れる
 紙が壊れる
 紙が破れる[裂ける]
 ガラス板が壊れる[割れる]
面状で硬くないものには「壊れる」は使えない。面状であっても硬い物であれば使える。
<人工物>が壊れる
 スポンジが壊れる
 豆腐がつぶれる[崩れる・壊れる]
立体状であっても、形が崩れないもの、柔らかい物には使いにくい。
解説
物に外的・内的な力が作用し、形が変形したりバラバラになることを意味する。また、結果として機能が失われて使えなくなること、元の価値が損なわれることを含意する。食器や家具、建造物など、機能を持つ人工物が主体となる。例えば、人工物である「堤防」には「機能」があることが明らかなので、「堤防」が壊れて、その機能を喪失する意味があるので「堤防が壊れる」は自然だが、天然の「岩」には機能がないので、「岩が壊れる」は不自然となる。しかし、「岩」に機能を持たせた場合は自然になる(例:「護岸に使われた岩が壊れて水が流れ込んだ」)。物の形状としては、特にかたくて立体的な形状の物が主体となりやすい。
類義語・反義語
類義語破損する、つぶれる、崩れる、割れる、折れる、裂ける
反義語


2.機能の喪失自動詞初級★★★
表記壊れる、こわれる
機械、器具などの機能が正常に働かなくなって、使えない。
文型
<人工物>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「お母さん、このおもちゃ、壊れちゃったみたい。スイッチを入れても動かないんだ」「乱暴にするからすぐに壊れるのよ!」
「そのコピー機は壊れているので使えません。あちらのコピー機をお使いください」
最近の家電は壊れにくい
服のファスナーが壊れて、着られない。
彼は、ブレーキの壊れた車のように、走り出したらもう止まらない。
「パソコン落として壊しちゃった!」「壊れているようには見えないけど」「どうやっても起動しないんだ…」
stairs先月炊飯器が壊れて買い替えたばかりなのに。
コロケーション
<人工物>が
靴、金庫、(動く)おもちゃ、楽器、鍵、リモコン、スイッチ、エアコン、自転車、機械、パソコン、ハードディスク、メモリー
<人工物の部分>が
ファスナー、部品、パーツ、本体
<原因>で
(~が)原因、(~の)影響、熱、衝撃、使用
<結果の程度>に
完全
<頻度>
頻繁に、よく、しょっちゅう、めったに~ない、絶対に~ない、そうそう~ない
解説
機能を持った物(器具、機器、機械など)の機能が正常に働かなくなることを意味する。例えば椅子のようにその形が壊れて、機能が損なわれるのは語義1であり、機械の故障のように外見上の変化は見られないが機能が損なわれるのは語義2である。なお、コンピューターに関連する用語では、ハードの機能だけでなく、「ファイルが壊れる」「データが壊れる」などデータ・情報のように物理的でないものに「壊れる」が多用されており、これは語義3として別立てにした。
類義語・反義語
類義語故障する、いかれる
反義語


3.コンピューターの故障自動詞中級★★
表記壊れる、こわれる
コンピューターの様々な機能が正常に作動しなくなる。
文型
<コンピューター>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「ファイルが開かない!」「壊れているんじゃない?」。
「送っていただいたデータが壊れていて読めないんですが」「ではもう一度送ります」
「リンクが壊れているみたいで、ページに飛べないんですけど」「調べてみます」
コピー&ペーストしたら表が壊れてしまい、作り直すのに時間がかかった。
壊れたデータベースを復元することはできますか?
ウィルスを送ってサーバーを壊れさせる犯罪が多発している。
コロケーション
<コンピューター>が
ファイル、データ、サーバー、データベース、フォルダ、プログラム、リンク
解説
「コンピューターが壊れた」の意味には、コンピューター本体の外形が壊れた場合(語義1)、関連機器の機能が正常に作動しなくなること(語義2)の意味があるが、さらに、機器や機械的構造を持つハード面ではなく、コンピューターウイルスやプログラムソフトの不調などによりコンピューターの様々な機能が正常に作動しない、使用できなくなることにも「壊れる」という動詞が多用されている。語義3では、コンピューターに関連したこの用法をまとめた。
類義語・反義語
類義語いかれる、崩れる
反義語


4.身体機能の低下・喪失自動詞中級★★
表記壊れる、こわれる
身体や身体部位の機能が低下・喪失する。
文型
<身体・身体部位>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
長い間の重労働で体がすっかり壊れてしまった
飲みすぎで肝臓が壊れた
彼女は肩が壊れるまで投球練習を続けた。
家からずっと走ってきたの。あー、心臓が壊れるかと思った!」「何があったの?」
彼は涙腺が壊れたみたいにいつまでも泣き続けた。
「もう歌うのやめて!これ以上あなたのへたな歌を聴いていたら、耳が壊れちゃいそう!」
コロケーション
<身体・身体部位>が
体(身体)、関節、耳、足、心臓、肩、~中枢、腕、腰、膝、肝臓
非共起例
<身体部位>が壊れる
×足が壊れる
 足が折れる
指、足、腕、腕の骨など線状・細長い場合は「折れる」が用いられる。
<身体部位>が壊れる
 目が壊れる
 目がつぶれる
「身体部位+壊れる」という表現は慣用句的な表現であり、どの身体部位でも使えるわけではない。目の場合は「つぶれる(潰れる)」という慣用表現をつくる。また、「脳/頭が壊れる」などの使用も少ないながら見られるが、慣用表現として定着しているとは言えない。
解説
語義2「機械、器具などの機能が正常に働かなくなって、使えない」という意味の拡張として、人間の身体や身体部位を機械・装置と見なし、それらが損傷を受けて正常に機能しなくなることを意味する。なお、話者自身の身体部位について表現する場合は、「壊れる」ではなく「壊す」が使用される。×(私は)今、体が壊れている。○(私は)今、体を壊している。
類義語・反義語
類義語故障する、いかれる
反義語


5.精神の異常自動詞上級
表記壊れる、こわれる
人の精神が正常に機能しなくなり、異常になる。
文型
<人・人の精神機能>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「平気でそんなひどいことができるなんて、あなたは壊れている
痴呆症の母が壊れていくのを見ているのはつらい。
親の過大な期待のせいで、子どもが壊れてしまうケースが多い。
悲しみのあまり、彼女の心は壊れてしまった
彼は長年の心痛で精神が壊れて、正常な判断ができなくなってしまった。
この小説は、戦争によって主人公の人格が壊れていく様子を克明に描いている。
コロケーション
<人>が
人、人間、子ども、わが子、母
<人の精神機能>が
心、精神、心身、人間性、人格、神経
<原因>で(によって、から)
麻薬、アルコール中毒、痴呆症、(他人の)言葉、(他人の)言動、ショック
解説
出来事や他人の言動から受ける強いショックや病気などによって、人間の精神機能が正常に機能しなくなり、精神的統一性・調和が失われること、また、言動が異常になることを意味する。
類義語・反義語
類義語(気が)狂う、発狂する、錯乱する、病む、おかしくなる
反義語


6.物質の損壊自動詞上級
表記壊れる、こわれる
物質が分解・分裂し、元の性質・機能が変化・喪失する。
文型
<物質・組織>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
一度に多量の放射能を浴びると、染色体が壊れ、変異すると言われている。
原子力発電は、原子核が壊れるときに生じるエネルギーを利用したものだ。
熱によって野菜の繊維が壊れることで、人体に吸収されやすくなる。
最近の研究で、その物質が神経細胞が壊れるのを防ぐことが分かった。
血液中の血小板が壊れ、血が止まりにくくなっている。
放射線を浴びた人のサンプルを調べたところ、遺伝子が壊れているのが観察された。
コロケーション
<物質・組織>が壊れる
細胞、組織、赤血球、線維、結晶、遺伝子、原子核、分子、物質、材料
<原因>で(によって)
熱、加熱、放射能、紫外線
<様態>に
バラバラ、ズタズタ
解説
語義1「物の形がバラバラになる」の拡張で、対象物が物質の組織や細胞などの生体組織の場合の用法である。より微小な物質の結合体である細胞や組織がバラバラに分解される。結果として性質が変わったり、異なるものになったりして、本来の機能を失うことになる。
類義語・反義語
類義語分解する
反義語できる


7.成分の分解・変質自動詞上級
表記壊れる、こわれる
栄養などの成分が分解されて元の性質が変わり、有効性が失われる。
文型
<成分>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ビタミンCは熱によって壊れやすい
調理してから冷凍することで、栄養素が壊れるのを防ぐことができる
長時間加熱すると、素材の味や香りの成分が壊れてしまいます
野菜の持つ栄養価のほとんどが調理によって壊れてしまうと言われている。
油を使うことで、熱で壊れやすいビタミンが壊れにくくなります。
「この薬は必ず水かお湯で飲んでください。ジュースやコーヒーと飲むと有効成分が壊れ、効き目が失われる恐れがあります」
コロケーション
<成分>が
成分、有効成分、栄養素、ビタミン、栄養価、栄養
<原因>で
熱、加熱、調理
解説
栄養などの成分組成が崩れることによって、元の性質が失われる。栄養など、人間にとって有用な性質が損なわれることを意味する場合が多い。
類義語・反義語
類義語分解する
反義語


8.味の変質自動詞上級
表記壊れる、こわれる
下手な調理などによって、味が悪くなる
文型
<味>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
味付けを濃くしすぎると、せっかくの素材の味が壊れる
沸騰させると昆布のうま味が壊れてしまいます
熱を加えると風味が壊れるので、できるだけ生のままお召し上がりください。
このビールは、麦の風味が壊れないよう、特殊な製法で造られています。
日本料理は、素材それぞれの持ち味が壊れないよう配慮した調理法に特徴がある。
「料理はいかがですか?」「すべての素材の持ち味が壊れることなく生かされていますね」
コロケーション
<味>が
味、風味、うま味
<原因>で
調理、熱
解説
語義7では栄養などの成分が分解することを意味したが、ここでは「味」に限定した用法で、下手な調理や素材の扱い方によって、元は良かった料理・食べ物の味などが悪くなる、損なわれることを意味する用法である。
類義語・反義語
類義語消える
反義語生きる


9.環境の破壊自動詞中級★★
表記壊れる、こわれる
自然・環境の環境の調和が失われ、状態が悪くなる。
文型
<環境>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
急速な工業化によって自然環境が壊れてしまった。
一度壊れた自然を元に戻すことは難しい。
二酸化炭素の大量排出によってオゾン層が壊れ、地球温暖化が起こっていると考えられている。
自然が壊れれば、私たちの生活空間も壊れるということだ。
壊れかけた生態系をどう復元させるかが議論されている。
急速に壊れていく地球環境を何とかしなければならない。
コロケーション
<環境>が
生態系、地球、環境、自然、オゾン層
<原因>によって(で)
自然破壊、乱開発、放射能
解説
自然や環境は、本来、それ自体が調和した、人間にとって価値ある存在である。それが人間による乱開発や大量消費社会を背景にした環境汚染などが原因で悪い状態になること、調和を失うことを意味する。自然や環境をまとまりのあるもの、あるいは機能を持つ機械のようなシステムとして捉える比喩から生まれた表現。
類義語・反義語
類義語荒れる、乱れる
反義語回復する


10.景観の破壊自動詞上級
表記壊れる、こわれる
景観の調和がくずれ、悪くなる。
文型
<景観>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
高いビルができたことで、古都の景観が壊れてしまった。
美しい里山の風景が乱開発によって壊れていくのを黙って見ているわけにはいかない。
この故郷の風景が永遠に壊れることがないよう願っている。
この古い街並みが壊れてしまうのはあまりに惜しい。
市街地の再開発によって町の景観が壊れ、観光客が激減した。
独特の景観が壊れないように配慮した都市計画が必要だ。
コロケーション
<景観>が
風景、景観、街並み
<原因>で(によって)
開発、乱開発、自然破壊
解説
美しい景観、風景とは、調和がとれ、まとまりを感じさせるものである。その調和・まとまりが崩れ、見た目の悪いものになってしまうことを意味する。
類義語・反義語
類義語崩れる、台無しになる
反義語


11.雰囲気の悪化自動詞上級
表記壊れる、こわれる
場や人の持っていた良い雰囲気が悪くなる。
文型
<雰囲気>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「あ、おならが」「もう!ムードが壊れちゃったじゃない!」
山田君が入ってきたせいで、せっかくの二人のいいムードが壊れてしまった。
店の雰囲気が壊れるので、カジュアルな服装での入店はお断りしています。
日本人はどんな時でも、場の空気が壊れないように気を配る傾向がある。
観光客が増えて、湖の神秘的な雰囲気が壊れてしまった。
その服では、彼女の持っている優しい雰囲気が壊れてしまう。別の服にしよう。
コロケーション
<雰囲気>が
雰囲気、ムード、空気
解説
場や人間関係には、特有の雰囲気やムードがある。それが、他の人の出現や言動、出来事などによって、なくなってしまうこと・悪くなることを意味する。いい雰囲気やムードが悪くなる場合に使われる。慣用的な表現である。
誤用解説
「雰囲気/ムードが壊れる」は、基本的に元の良い状態が失われることを意味するので、元々が悪い状態には用いにくい。?険悪な雰囲気[ムード]が壊れる。?かたい雰囲気[ムード]が壊れる。○かたい雰囲気[ムード]が緩む[和む]
類義語・反義語
類義語変わる、一変する、なくなる、消える
反義語生まれる、できあがる、広がる


12.社会組織の崩壊自動詞上級
表記壊れる、こわれる
社会組織のまとまりがなくなり、組織としての機能が低下・喪失する。
文型
<組織>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
昔は仲のいい家族だったが、父親のリストラをきっかけに家庭が壊れていった。
担任教師の指導力不足が原因で、学級が壊れてしまうケースが見られる。
震災後、多くの家が他地域に移り、地域社会が壊れてしまった。
若い人たちが移住してきたことで、壊れかけていたコミュニティーが再生されつつある。
内戦で壊れた国を立て直すのには時間がかかるだろう。
各国が協調しなければ、いつか世界は壊れてしまいかねない。
stairsお父さんのリストラをきっかけに、家庭が壊れる危機にあるようなんです。
コロケーション
<組織>が
家庭、社会、世界、国、コミュニティー、学校
<原因>で(によって)
戦争、紛争、内戦、震災、事故
解説
語義1「物がバラバラになり、その結果、元の機能が失われる」の意味拡張で、社会組織のまとまり・つながりがなくなりバラバラになることで、組織自体が消失したり、組織が組織としてうまく機能しなくなることを意味する。
類義語・反義語
類義語崩壊する、崩れる
反義語まとまる


13.社会・文化の破綻自動詞上級
表記壊れる、こわれる
社会・文化的システムや制度が機能しなくなり、破綻する。
文型
<社会・文化>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
敗戦によってそれまでの社会的秩序が壊れ、国中が混乱した。
この国の壊れた経済を立て直すには、何が必要なのだろう。
終身雇用制が壊れたことによって、日本人の間に雇用不安が生じている。
人類の長い歴史の中では、古い文化が壊れ、新しい文化が生まれることが繰り返されてきた。
A国では、ついに独裁制が壊れ、民主国家として生まれ変わった。
伝統はいったん壊れると二度と取り戻せない。
コロケーション
<社会・文化>が
制度、秩序、経済、~制、体制、文化、伝統
<原因>で(によって)
戦争、革命、クーデター
解説
語義2「機械がうまく機能しなくなる」の意味拡張で、それまでうまく機能していた社会制度やシステムが機能しなくなることを意味する。特に、長い年月をかけて形成・確立されていた社会・文化や伝統が機能しなくなり、その価値が失われてしまうことを意味する。
類義語・反義語
類義語崩壊する、崩れる、荒れる
反義語できる


14.関係の破綻自動詞上級
表記壊れる、こわれる
人間関係や社会的つながりが切れる、関係が悪くなる。
文型
<関係>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「私たちの友情は、何があっても決して壊れない
私の軽はずみな言動から、取引相手との信頼関係が壊れてしまった
これまで築いたネットワークが壊れないように、SNSを活用している。
このままではクラスの結束が壊れてしまう
二人の関係はもうとっくの昔に壊れている
友だちとのつながりが壊れるのが怖くて、片時も携帯が手放せない中学生が増えている。
コロケーション
<関係>が
関係、仲、友情、信頼、関係性、愛、家族、つながり、ネットワーク、絆、縁、結束
<原因>で(によって、から)
言葉、言動、震災
非共起例
<関係>が壊れる
 つながり[縁・結び付き]が壊れる。○つながり[縁・結び付き]が切れる。○関係[きずな]が壊れる[切れる]。?結束が切れる○結束が壊れる
「つながり、縁、結びつき」のように単純な線状のイメージのものは「切れる」が自然で、「壊れる」は不自然である。そのつながりが複線化、複雑化したり、強固なものになるに従って、「切れる」よりも「壊れる」の方が自然になる。
解説
構築されていた人間関係や信頼関係が断ち切られて、関係が失われたり、うまくいっていた関係が悪くなることを意味する。
類義語・反義語
類義語破綻する、切れる、崩れる
反義語できる


15.思想の破綻自動詞上級
表記壊れる、こわれる
持っていた・信じていた考え方が否定され、持ちづけることができなくなる。
文型
<思想>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
敗戦で日本人の価値観が一気に壊れた
子どもの夢が壊れるようなことは言わないでください。
海外ボランティアでは、今までの自分の既成観念が壊れていくような感覚を覚えた。
古い社会の価値観が壊れ、新しい価値観の下で新しい社会がつくられようとしている。
イメージが壊れるので、好きな小説の映画化作品は見ないことにしている。
下品に笑う彼を見て、紳士のイメージが壊れてしまった
stairsなんかイメージ壊れちゃって
コロケーション
<思想>が
イメージ、世界観、価値観、既成概念、固定観念、夢
解説
ある出来事などが契機になって、それまで堅く信じていた・抱いていたものの見方・考え方が持てなくなる、否定するしかなくなる、信じられなくなることを意味する。「かたい物」がバラバラになって形を失うという語義1の「壊れる」のイメージからの比喩的表現。
類義語・反義語
類義語崩れる、消える、なくなる
反義語できる、固まる


16.生活の破綻自動詞上級
表記壊れる、こわれる
順調な生活・生き方が維持できなくなる。
文型
<生活>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
大震災で、それまでの生活が一瞬で壊れてしまった。
震災で壊れた日常を一日も早く取り戻したい。
幸せは壊れやすいものだ。
子どもたちの未来が壊れてしまうことのないよう、私たちは今の平和を守っていかなければならない。
アルコール依存によって、彼女の生活はめちゃくちゃに壊れていった。
一度壊れた人生を立て直すことは容易ではなかった。
コロケーション
<生活>が
生活、日常、人生、幸せ、未来
<原因>で(によって)
震災、戦争、失業、麻薬、ドラッグ
<様態>に
めちゃくちゃ、ズタズタ、ぼろぼろ
解説
良い生活状況やうまくいっていた人生がうまくいかなくなる、維持できなくなることを意味する。また悪い行いや出来事によって、良い将来・未来が期待できなくなってしまうことを意味する。
類義語・反義語
類義語荒れる、乱れる、崩れる
反義語


17.計画の破綻自動詞上級
表記壊れる、こわれる
まとまっていた話や計画、約束が破棄され、実現されなくなる。
文型
<計画>が壊れる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
A銀行からの融資の計画は、その後壊れてしまった
「共同研究の話、どうなった?」「ああ、あの話はもう壊れたよ」
あれだけの事故があっても、原発建設計画は壊れなかった
壊れた話を今さら持ち出されても困ります」「そこをなんとか」
太郎と花子の縁談が壊れた原因は、太郎の父親にあるらしい。
もしこの計画が壊れれば、関係者全てがかなりの負債を背負い込むことになる。
コロケーション
<計画>が壊れる
話、縁談、計画
解説
一度はまとまっていた、決まっていた話や計画、約束が取り消される、白紙に戻されること。「まとまっている物」が壊れて「バラバラになって元の形がなくなる」(語義1)イメージからの比喩表現。「話が壊れる」「縁談が壊れる」は慣用的な表現。
類義語・反義語
類義語なくなる、立ち消えになる、白紙に戻る
反義語まとまる、決まる


壊れるの全体解説 「壊れる」には、基本的に二つの意味がある。一つは「ものの形が崩れる・バラバラになってなくなる」意味である(語義1)。もう一つは「ものの機能が失われる・正常に機能しなくなる」意味である(語義2)。語義2は語義1からの意味の拡張(形が崩れる・なくなる→機能や価値が失われる)として説明されることが多いが、「壊れる」の理解と使用に際しては二つの意味があると捉えておくことが便利だ。
「壊れる」具体物の特徴としては、まず形状が「かたい」「立体的」であることがあげられる。つまり、「しっかりまとまったかたまり」という特徴を持つ。形状が線状・平面状でやわらかいものには使われにくい。ただし、平面状であってもかたい物であれば「 ガラス板が壊れる」のように使用できる。反対に、立体的であってもやわらかいもの、バラバラにならないものには使いにくい( スポンジが壊れる。 豆腐が壊れる)。
また、「壊れる」具体物の特徴として、人間による製作物=人工物が多いことがあげられる。この特徴から、「人工物=人間が意図をもって作った物=人間によって機能を付与されている物」→「人工物が壊れる=意図された機能が壊れる」という意味の拡張が起こる。
「<もの>が壊れた」と言った場合、語義1の「形が崩れた・バラバラになって形がなくなったと」いう意味なのか、語義2の「機能しない」という意味なのかは、<もの>の性質で決まることもあるし、状況で決まることもある。例えば、「イスが壊れた」であれば、イスは人間が座るという機能のために作られた製作物であるが、構造が単純であり、「形が壊れる」ことが「座る」という機能も失わせてしまうので、語義1語義2両方の意味を含意することになる。一方、「コンピューターが壊れた」と言ったとき、「ビルの上から落として」とか「ハンマーで」などの補足事項がない限り、ふつう聞き手はコンピューターの機能が壊れた(語義2)と受け取る。コンピューターはイスとは異なり複雑な構造と機能を持つ物であり、話し手・聞き手の意識はコンピューターの形状ではなく機能に向けられており、このため「コンピューターが壊れた」という表現は、まず語義2の「機能の喪失」の意味にとられる。
「壊れる」具体物が形状的に「かたくまとまったもの」であること、人工物であることが多いという特徴は、「壊れる」ものが抽象的なものに拡張されるときに生かされている。すなわち、「壊れる」抽象的なものは、自然や人間、社会組織や文化といった、本来まとまりを持ち、調和して機能していると見なされるものである。それらが「壊れる」ということは、まとまっていたものがバラバラになること、調和がなくなること、機能しなくなることを意味する。
さらに、「壊れる」具体物の多くが人工物であることは、「壊れる」に「形」「機能」に加えて「価値」の喪失も含意させる。すなわち、「人工物=人間が意図をもって作った物=人間によって価値を付与されている物」→「人工物が壊れる=付与されていた価値が壊れる」という意味の拡張が起こる。この「価値を失う」「だめになる」「悪いものになる」という意味特徴は、「壊れる」ものが抽象的なものであるとき、比喩的に使用されるときに顕著にあらわれている(例えば、「自然環境が壊れる」、「雰囲気が壊れる」、「人生が壊れる」、「夢が壊れる」など)。このように悪いこと・困ったことを意味することから、「~てしまう」表現と共に用いられたり、対となる他動詞「壊す」の受身形「壊される」が使われることも多い。
「壊れる」は特定の名詞と結びついた慣用表現が多く、また新しい比喩的表現も次々に作り出され、使用されている。例えば、「壁が壊れる」(=人と人を隔てていたものがなくなり、人間関係が生まれるの意)など、慣用句とまでは言えないまでも、すでにある程度広く用いられている比喩表現も多い。
























▶全例文を聞く
<人工物>が
私は普段はコンタクト使用なのであまり眼鏡は使わないのですが、持っていた眼鏡が壊れたので、新しい眼鏡を買いました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット)
このくらいの震度になると、家具が倒れたりが壊れたりするのではないかとの心配がつのる。
(島村英紀著 『地震列島との共生』, 1996, 453)
<人工物の部分>が
どうやらそのドアは、ちょうつがいがこわれ、床に落ちていたものらしい。
(ストーカー原作;瀬川昌男訳・文;スズキコージ画 『吸血鬼ドラキュラ』, 1999, )
<原因>で
福祉施設や病院が地震で壊れたり、停電や断水により機能停止することもある。
(高秀秀信著 『大震災市長は何ができるのか』, 1995, 369)
<結果の様態>に
ショーウインドウの外がわの厚いガラスに、大きな穴があいて、そのそとの雨戸の板も、めちゃめちゃにこわれています。
(江戸川乱歩著 『三角館の恐怖』, 2004, 913)
<人工物>が
エアコン扇風機掃除機洗濯機が次々と壊れ買い直しました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 祭りと年中行事)
このワット数をこえるような強い電流が流れると,スピーカーがこわれる可能性が出てきます。
(新しい科学 1分野上, 2005, 中)
<コンピューター>が
受信ホストは、チェックサムフィールドの値を調べて、データが壊れていれば破棄します。
(小林峰子著 『とこトンやさしいTCP/IPネットワーキング』, 2004, 547)
突然ファイルが壊れてしまったようなメッセージが表示され、「社員名簿」ファイルを開くことができなくなりました。
(伊東知代子,山田あゆみ著;古庄潤監修 『Excel 2002道具箱』, 2001, 007)
<人>が
このままでは自分が壊れてしまいそうです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<人の精神機能>が
何かの拍子に、そのが壊れてしまってもおかしくはない。
(渡瀬草一郎著 『陰陽ノ京』, 2002, 913)
<物質・組織>が壊れる
海水の中で生活していた生物が、川の真水の中で入ると、細胞が壊れてしまいます。
(番組制作スタッフ編 『たけしの万物創世紀』, 1998, 404)
ウイルスや細菌などの病原体や毒物が体のなかに侵入したり、けがや病気で体の組織が壊れたりすると、体は自然に防御態勢に入ります。
( 『決定版!いざというときに使える家庭の医学』, 2005, )
<成分>が
煎じている土びんのなかで化学反応をおこして、それぞれの薬草の有効成分がこわれてしまうような可能性も厳密にいえば考えられるからです。
(竹本常松,西本喜重編著 『みんなの薬草あまちゃづる』, 1984, 617)
<原因>で
収穫直後のヤマブシタケの子実体をただちに冷凍乾燥することで、で壊れやすい成分を守り高い抗酸化力を維持する。
(山田義帰監修 『実録!ガンと闘う健康食品「厳選11」実例集』, 2005, 494)
<味>が
例えば、ビールは直接太陽光線に当たると風味が壊れてしまうので、あのような暗褐色のビンに入れてあります。
(竹内均編 『頭にやさしい雑学読本』, 1991, 404)
<環境>が
人間は自然の中に生きていて、自然が壊れれば人間も生きてはいけない。
(武田邦彦著 『二つの環境』, 2002, 519)
<雰囲気>が
「それはおかしい」と批判すると、提案する場の雰囲気が壊れてしまう。
(中島孝志著 『知らないではすまされない仕事の常識完璧マニュアル』, 2004, 336)
<組織>が
わけがわからないまま(オレが日本語がよく読めなかったことも原因なのだが)入籍して、楽しい思い出も何もないまま、相手に好きな男性が出来たのをきっかけに家庭が壊れてしまった。
(ケニー野村著 『グッバイ・マミー』, 2001, 779)
<社会・文化>が
また一方で,家族が揃って食べている場合も,それぞれが好みのものを食べる個食がみられ,家族の健康づくりに家族が責任をもつ伝統が壊れかけてきている。
(吉田繁子,住居広士編著 『わかりやすい介護のための栄養と調理』, 2005, 498)
<関係>が
下手な誤解で関係が壊れるのはもったいないです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<思想>が
花びらが1枚なくなっただけでもイメージが壊れてしまうから、扱いは丁寧に。
(並木容子著 『日々のくらし、日々のはな』, 2004, 793)
美女をすくいだすナイトになりそこねた上、ほのかな恋のがむざんにこわれてしまったのです。
(J.ヒルトン作;木下友子文;折原みと絵 『学園連続殺人事件』, 1986, )
<計画>が壊れる
節はいくつか縁談がこわれた後に黒田てる子と婚約するが、その矢先に喉頭結核の発病で結婚を断念した。
(常盤新平ほか著 『藤沢周平を読む』, 1995, 910)
だが、あまり細かいことをいって、個展のが壊れるのを懸念し、知り合いからの借金でそれを賄った。
(神崎紫峰著 『炎の声土の声』, 1988, 751)






























しかも、風にあおられて、傘が壊れちゃったの。
先月炊飯器が壊れて買い替えたばかりなのに。
お父さんのリストラをきっかけに、家庭が壊れる危機にあるようなんです。
なんかイメージ壊れちゃって
話が壊れる

意味
決まっていた、決まりかけていたことが取り消されて白紙に戻る。
用例
銀行からの融資の話が壊れてしまった
お金(1万円、千円、500円)が壊れる

意味
1万円紙幣が千円紙幣10枚に、千円紙幣が百円硬貨10枚になど、高額貨幣が少額貨幣になる
用例
「ねえ、千円、百円に壊れない?」「壊れるよ」
複合名詞

こわれもの(壊れ物)、壊れ窓理論
壊れる(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
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