決めるのコアイメージ

1.物事の確定他動詞初級★★★
表記きめる、決める
人や組織が不確定・未定であった物事をはっきりさせる。
文型
<人・組織>が<もの・こと>を決める
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
友達と卒業旅行の日程を決める
討論に入る前に、司会などの役割を決めましょう
今年のお歳暮は和菓子に決めました
市議会の重要案件は、多数決によって決められる
日本では、消費税などの税率は国が決めている
住宅購入を考えているが、マンションにするか一軒家にするかで決めかねている
コロケーション
<人・組織>が
先生、会長、自治体、企業、国
<もの・こと>を
金額、分量、色、メニュー、品、車種、衣装、分野、規則、方法、予算、給与、結婚、内容、役割、大枠
<人・組織>を
役員、チーム、首相、主将、生徒会長、業者
<場所>を
店、学校、部屋、行き先、ホテル、施設
<時期>を
予定、日取り、日時、納期、日程、スケジュール、締め切り
<もの・こと・人・組織・場所・時期>に(と)
和菓子、方針、次期社長、当社、候補地、実行日
<手段・方法>で(によって)
多数決、話し合い、投票、法律、方式、金利、くじ引き
<場所>で
国会、総会、議会、本部、機関、地方、密室
<時期>
事前に、最初から、最後に、直後に、来月
<様態>
自由に、勝手に、簡単に、慎重に、強引に、さっさと、しっかり、はっきり
非共起例
<人>を決める
 娘[息子]を決める
 店の看板娘[息子]を決める
「父」「母」など、すでに特定されている人については使いにくい。
解説
語義1は、それまでどうなるか分からなかった物事を明らかにする(一つの結果に落ち着かせる)ことを表す。
類義語・反義語
類義語決定する、確定する、定める
反義語


2.決心他動詞初級★★★
表記きめる、決める
人(や組織)がある事柄に対して、自分の心情をはっきりさせる。
文型
<人>が<心情>を決める
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
先日、腹を決めて退職届を出してきました。
すでに父は手術する覚悟を決めていた
心を決めて彼女に告白しましたが、見事に振られてしまいました。
ついに山田氏は加藤教授に対して、告訴する気持ちを決めた
悩みに悩んだ末、脱サラし起業する意志を決めた
初めて会ったときから、彼女と結婚する気持ちを決めていました
stairs今日、腹を決めて課長に話してきたよ。
コロケーション
<心情>を
覚悟、腹、心、態度、意思、姿勢、判断、考え方、意志、決意
<時期>
すでに、最初から、前から、初めから、以前から、昔から
<様態>
ついに、やっと、ようやく、しっかり、ちゃんと、すんなり、ひとまず
非共起例
<心情>を決める
 明日は少し早く買い物に行く気持ちを決めた
 明日は少し早く買い物に行こう[行くことにする]
 A氏はB氏に対して、告訴する気持ちを決めた
日常的な事柄については使いにくい。
解説
語義1は、「それまで不確定・未定であった物事をはっきりさせる」ということを表しているが、この「決める」は、様々な物事の中でも特に「人間の心情」に限定して用いられ、「(人が)自分の心情をはっきりと一つに定める」ということを表している。つまり、この「決める」は語義1をさらに限定したものと考えられる。
類義語・反義語
類義語決心する
反義語


3.物事の習慣化他動詞中級★★
表記きめる、決める
人や組織が不確定・未定であった物事をはっきりさせ、動かない状態にする。
文型
<人・組織>が(<もの・こと>を)<もの・こと>に[と]決めている
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
日曜日は、家族サービスの日と決めている
朝食はいつもバナナと牛乳に決めている
最近、一生結婚しないと決めている人が増えている。
だいぶ前から、遺産相続は次男に決めている
仕事帰りの一杯は、家の近くの焼き鳥屋に決めている
我が社は、創業当時から海外の会社とは一切取引しないと決めている
コロケーション
<人・組織>が
父、先生、社長、財務省、文科省、最高裁判所、業者
<人・組織>を
息子、次女、弟子、会社、取引先
<人・組織>に(と)
娘、後輩、結婚相手、証券会社、NHK
<もの・こと・場所・時期>を
おやつ、お小遣い、メニュー、基準、方針、飲み屋、勤務先、居酒屋、図書館、クリスマス、大晦日
<もの・こと・場所・時期>に(と)
和菓子、5千円、ひつまぶし、5%以下、残業無し、デパート、すし屋、美容院、ゴールデンウィーク、こどもの日、記念日
<時期>
以前から、毎日、毎月、いつも、昔から
<様態>
いつも、大体、ほとんど、大概、必ず
解説
語義1は「それまで不確定・未定であった物事をはっきりさせる」ということを表しているが、この「決める」は、さらに進んで(問題となる物事を)一つの結果に落ち着かせることを繰り返しているうちに、「習慣化した」ことを表していると考えられる。なお、この「決める」は「決めている」という形で用いられる。
誤用解説
述語の位置に来る場合は、「決めている」という形で用いられる。
 朝食はトーストと紅茶に決めた。(語義1ならOK)
 朝食はトーストと紅茶に決めている
類義語・反義語
類義語定める
反義語


4.身だしなみの整え他動詞中級★★
表記きめる、決める
人が動作や服装をその場の状況に適合するように整える。
文型
<人>が<動作・服装>を(で)決める
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今日の彼は、白のスーツでバッチリ決めている
あのレストランの従業員は、みんな制服でビシッと決めていて接客マナーも素晴らしい。
幸せそうなカップルが素敵なチャペルで、綺麗にポーズを決めている
本日の主役だけあって、青を基調としたコーディネートでビシッと決めてきたね。
あの女優は、髪型やドレスをバッチリ決めてファンとの記念撮影に応じた。
久しぶりのデートだからショートな髪型でビシッと決めてきたのに、ダサいと言われてしまった。
コロケーション
<動作・服装>を(で)
ポーズ、アクション、スーツ、ドレス、ネクタイ、ファッション、スタイル
<様態>
おしゃれに、クールに、綺麗に、格好良く、ばっちり、きちんと、びしっと
解説
語義1は「それまで不確定・未定であった物事をはっきりさせる」ということを表しているが、語義4は、様々な物事の中でも特に「人の動作や服装」に限定して用いられる。さらに、この「決める」は、単に「不確定・未定であった物事をはっきりさせる」ということを表しているのではなく、さらに進んで、動作や服装をはっきりさせる(一つの結果に落ち着かせる)ことによって、その場の状況に適合するように整えるということを表している。つまり、語義1とは原因と結果の関係にあると考えられる。なお、この「決める」は「決めている」という形で用いられることが多い。
誤用解説
述語の位置に来る場合は、「決めている」という形で用いることが多い。
 花子は白のワンピースで決めた
 花子は白のワンピースで決めている
 花子は白のワンピースで決めてきた[みた]
類義語・反義語
類義語整える
反義語


5.技の成功他動詞中級★★
表記きめる、決める
人がスポーツや演劇などで、技・演技を狙い通りに成功させる。
文型
<人>が<技・演技>を決める
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ライバル選手は、序盤から次々と大技を決めてきた
相手に小手を決められ、一回戦で敗退してしまった。
まさか、格下相手に一発で決められるとは思いもよりませんでした。
試合開始早々に、キャプテンがゴールを決めてくれたので、試合運びが楽になった。
今日の試合では、チームメイトの見事な連携プレーで次々と得点を決め、快勝した。
あの難しいセリフを完璧に決めるなんて、さすが天才子役だね。
stairsゴール!!中村決めました
コロケーション
<技・演技>を
シュート、スクイズ、上手投げ、ゴール、ジャンプ、セリフ、技、演技
<手段・方法>で
連携プレー、ヘッディング、華麗なボールさばき、セットプレー、見事な戦術、頭
<様態>
格好良く、一発で、絶妙なタイミングで、ようやく、やっと、すんなり、次々(と)、あっさり
解説
語義1は「それまで不確定・未定であった物事をはっきりさせる」ということを表しているが、語義5は、様々な物事の中でも特に「技・演技」に限定して用いられる。さらに、この「決める」は、単に「不確定・未定であった物事をはっきりさせる」ということを表しているのではなく、さらに進んで、技や演技を一つの結果に落ち着かせることによって、それを狙い通りに成功させるということを表している。つまり、語義1とは原因と結果の関係にあると考えられる。
類義語・反義語
類義語成功させる
反義語


決めるの全体解説 各語義の解説をご覧ください。
























▶全例文を聞く
<人・組織>が
そのもとで、中央集権というがすべての政策を決めて、国民はそれに従っていけばいいという中央集権体制が最も早道であろうということになったわけです。
( 『自治の挑戦』, 2003, 318)
高校受験のときも、先生が進路を決めて「ここにしろ」と言い、その通りにした。
(長山靖生著 『若者はなぜ「決められない」か』, 2003, 366)
<もの・こと>を
お医者さんでも様々な症状のすべてを把握したうえで,治療方針を決めてゆくわけです。
(久保潔,横田弘幸共著 『よくわかる司法のしくみと裁判』, 2002, 327)
日本からメジャーに移籍するときに勝手に移籍されたら困るのでルールを決めているのです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, スポーツ)
<人・組織>を
その経験からいうと、正式な入札によって業者を決めることはなかなか難しいんです。
(現代, 2001, 一般)
社長が後継社長を決めているように見えても、実際は取締役会の総意が決める。
(佐高信著 『逆命利君』, 1993, 289)
<場所>を
学校を決める場合いちばん大切なことは,親に学校を見学してもらい,子どもがそこで能力にあった指導を受け楽しくすごせるかどうかという観点で選択してもらうことです。
(松本昭子,土橋圭子編 『発達障害児の医療・療育・教育』, 2002, 493)
あるいは、ワイン通の人のなかには、ワインの保存状況、店員の専門知識を重視してを決める人もいるかもしれません。
(大和総研著 『経済のしくみ』, 1995, 330)
<時期>を
赤ちゃんは、自分で生まれるを決めている、という話があります。
(高橋悦二郎著 『胎児からのメッセージ』, 2004, 599)
妊娠がわかりあわてて結婚の日取りを決めたのだが、流産してしまった。
(玄月著 『おしゃべりな犬』, 2003, 913)
<手段・方法>で(によって)
会社の経営方針などを多数決で決めれば、その会社は一日で潰れるだろう。
(屋山太郎著 『抵抗勢力は誰か』, 2002, 312)
<場所>で
国会で決められる法律でも、その適用範囲はさまざまで、四つの国全体に及ばないものも多い。
(田村明著 『イギリスは豊かなり』, 1995, 302)
<時期>
事前に抽選で順位を決め、空家発生時に入居を斡旋(8月〜21年7月予定)。
(広報よこはま鶴見区版, 2008, 神奈川県)
<心情>を
いざとなったら自分も戦おうと、覚悟を決めていた。
(キャサリン・ラングリッシュ作;金原瑞人,杉田七重訳 『トロール・フェル』, 2005, 933)
この妻の言葉が、野川のを決めさせた。
(池田大作著 『新・人間革命』, 2000, 913)
<人・組織>に(と)
ところで、私は最初から大学は国文科と決めていた。
(平岩弓枝著 『極楽とんぼの飛んだ道』, 2002, 914)
<もの・こと・場所・時期>を
ケンがNYから隠居先をフィラデルフィアに決めたのも、実はそんなことが選択理由のひとつになったのではないかと瑛は思っていた。
(夜月桔梗著 『恋の紳士協定』, 2002, 913)
<動作・服装>を(で)
五人が横一列に並んで、腕を組んでポーズを決める。
(清水義範著 『ゴミの定理』, 2004, 913)
<技・演技>を
彼は2ゴールを決め、連覇に貢献した。
( 『Sports graphic number plus』, 2004, )
敵失と犠打、盗塁を絡めて同点に追いつくと、最後はスリーバントスクイズを決めて逆転サヨナラ勝ち。
(週刊朝日, 2002, 一般)






























今日、腹を決めて課長に話してきたよ。
ゴール!!中村決めました
決めてかかる

意味
明確な根拠もなく、そうであると強く思う。
用例
今回真犯人の逮捕に至らなかったのは、最初から彼を犯人と決めてかかったからである。
コーパスからの用例
アリバイがないからと言って、容疑者と決めてかかるのは間違いだ (和久峻三著 『しゃくなげの里殺人事件』, 1996, 913)
腹を決める

意味
(ある物事を行うことを)強く決心する。
用例
こうなったら、腹を決めて前に進むしかない。
コーパスからの用例
本能寺の茶会に招かれたとき、宗室は、すでに腹を決めていたかも知れない。 (三宅孝太郎著 『戦国茶闘伝』, 2004, 791)
複合動詞 V1

決(め)込む、決めつける
複合動詞 V2

取(り)決める
複合名詞

決め打ち、決め顔、決め事、決め台詞、決め球、決め手、決め所、決めポーズ、決め技、取(り)決め、独り決め
決める(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形きめる
ない形きめない
~なかったきめかった
ます形きめ
~ませんきめま
~ましたきめした
~ませんでしたきめまんでした
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