かぶるのコアイメージ

1.頭を覆う他動詞初級★★★
表記かぶる、被る
人が頭全体をもので覆う。
文型
<人>が<頭を覆うもの>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
日本では、教室で帽子をかぶらないほうがいいですよ。
「なに、そのヘルメット?」「規則でかぶらされてるの! うちの中学は自転車通学のときはかぶるっていう規則なんだもん」
暑いので、タオルや手ぬぐいでもかぶっていないと屋外の作業はできない。
地震のときは、座布団をかぶったり、机の下に入ったりして安全を確保しましょう。
「おばあちゃん、どうしてカゴやザルをかぶっちゃいけないの?」「昔から、背が伸びなくなるって言われているからだよ」
映画村では、観光客に昔風の着物を着せてくれたり、かつらをかぶらせたりしてくれる。
stairs新聞紙のような大きい紙で作ると実際にかぶることができます。
コロケーション
<頭を覆うもの>を
① 帽子の種類:帽子、野球[ベレー、パナマ]帽、キャップ、ハット、フード、烏帽子
② 頭を保護するもの:ヘルメット、頭巾、兜、笠、編[花]笠
③ 布:ベール、スカーフ、タオル、手ぬぐい、ショール
④ (頭がすっぽり入る)容器など:鍋、バケツ、お釜、洗面器、袋
⑤ その他:かつら[ヅラ]、被り物
<体の部分>に
<かぶる場所>で
室内、屋外
<覆う部分の末端>まで
(水泳帽を)耳、(帽子を)鼻
非共起例
<頭を覆うもの>を
 帽子[カツラ]をかぶる
 リボン[カチューシャ]をかぶる
頭全体を覆っていないものには使用できず、「リボン、カチューシャ」などは「つける」の使用が一般的である。
<頭を覆うもの>を
 頭に包帯をかぶっている
 頭に包帯を巻いている人
 頭にターバンをかぶっている[巻いている]
頭全体を覆ってはいるが、「包帯」や「ターバン」は、その装着する動作から「巻く」が使用される。ただし「ターバン」は帽子のように捉えられ、「かぶる」が使用されることもある。
<頭を覆うもの>を
 果物の入ったかごを頭にかぶって売る。
 水を入れたバケツを頭にかぶって運ぶ。
 果物の入ったかごを頭に戴せて売る。
 水を入れたバケツを頭に戴せて運ぶ。
 頭に冠[王冠、花冠、葉っぱ]をかぶっている[戴せている]
「冠、花冠、葉っぱ」のように頭を隠す面積が広い場合は、頭に密着して覆っていなくても「かぶる」が使用可能であり、「戴せる」も使用される。
解説
この語義は、人が頭全体をもので覆うことを意味する。そのため、帽子や頭を保護するものを表す名詞と共起することが多いが、頭を覆うことができれば、通常は頭を覆わないものであっても(例:スカート、ストッキングなど)使用可能である。
類義語・反義語
類義語
反義語取る、脱ぐ


2.顔を覆う他動詞初級★★★
表記かぶる、被る
人が顔全体をもので覆う。
文型
<人>が<顔を覆うもの>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
子どもたちはみんな、ヒーローのお面をかぶりたがった
昨日、黒い覆面をかぶった男が突然銀行に入ってきて、「金を出せ!」と大声を出した。
「えっ? キャッチャー交替?」「みたいだね。ほら、ベンチで村田選手がマスクをかぶっているじゃない」
「すみません。全員、こんなガスマスクをかぶらなければならないんですか」「ええ、それがこの工場のきまりですから」
初めて剣道部を見に来たのに、いきなり面をかぶらされてどうしたらいいかわからなかった。
「天気の良い日に公園を散歩するのは気持ち良いね~」「ん~、でもベンチで新聞をかぶって寝てる、あのサラリーマンのほうが、もっと気持ち良さそうだよ」
コロケーション
<顔を覆うもの>を
① 顔を隠すもの:面、(プロレスの)マスク、覆面
② 顔(や体)を保護するもの:(野球の)マスク、ガスマスク、(剣道の)面
③ その他:新聞、ハンカチ
非共起例
<顔を覆うもの>を
 花粉対策用のマスクをかぶる
 花粉対策用のマスクをつける。
 キャッチャーが(野球の)マスクをかぶる
「かぶる」は、顔全体を覆っていない場合には、使用できない。
解説
この語義は、人が顔全体をもので覆うことを意味する。そのため、顔を隠したり、保護したりするものを表す名詞と共起することが多いが、顔を覆うことができれば、通常は頭を覆わないものであっても(例:新聞、ハンカチなど)使用可能である。
類義語・反義語
類義語つける
反義語取る、脱ぐ


3.上からの着衣他動詞中級★★
表記かぶる、被る
人が衣類などを頭から身につける。
文型
<人>が<かぶり始める体の部分・方向>から<衣類>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「これどうやって着るの」「頭からかぶるのよ」
ポンチョのような上からかぶるものは、あおられるので風が強い日にはあまり適さない。
ワンピースは下から着るよりも、頭からかぶって着たほうが、すそが汚れなくて良い。
遊園地の着ぐるみは、上からすっぽりかぶるものと、上下に分かれているものがある。
「ねえ。このセーター、かわいくない?」「ん~、頭からかぶる服は、髪が乱れるからあんまり・・・カーディガンのほうがいいかな」
こどもは黄色いカッパを頭からすっぽりかぶると、雨の中を出かけて行った。
コロケーション
<衣類>を
上から着脱する衣類:ポンチョ、マント、カッパ、セーター
<かぶり始める体の部分・方向>から
頭、上
解説
この語義では、衣類を上方向から身につけることを意味する。衣類は、頭や上半身など体の一部を通して着用し、身につける場所は上半身、もしくは全身である。
類義語・反義語
類義語着る
反義語脱ぐ


4.布状のもので全体を覆う他動詞中級★★
表記かぶる、被る
人やものの全体を大きな布などで上から覆う。
文型
<人・もの>が<大きな布状のもの>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
嫌なことがあった日は、毛布をかぶってさっさと寝ることにしている。
林間学校では、枕投げをしたり、シーツをかぶってお化けごっこをしたりした。
江戸時代の庶民はかけ布団などなく、むしろや着物をかぶって寝る場合が多かったそうだ。
「川下りの最中、水しぶきがかかることはありますか」「ええ、そういうときは、足元にあるビニールをかぶってください」
ハイキングの最中、突然雨が降ってきたので、敷物のブルーシートをみんなでかぶってやむのを待った。
「あのシートをかぶっているタイヤって、冬用のだっけ」「そう、あとで換えておいてくれない」
コロケーション
<大きな布状のもの>を
① 寝具:布団、毛布、シーツ、タオルケット
② 衣類: 着物、衣(ころも)、マント
③ その他:ビニール、(ブルー)シート
<かぶり始める体・ものの部分>から
頭、上
<覆う部分の末端>まで
頭、足の先
解説
この語義では、さまざまな種類の大きな布状のものが、人やものの全体を上から覆うことを意味する。布状であっても衣類を身につけたり、着たりする場合は含まない。
誤用解説
  暑かったので、手足を出して、お腹にだけタオルケットをかぶった
 暑かったので、手足を出して、お腹にだけタオルケットをかけた。
寝具で体を覆う場合には、頭や顔を覆う場合は「かぶる」を用い、頭や顔を出して覆う場合は「かける」を用いる。
類義語・反義語
類義語かける
反義語


5.袋状のものなどで全体が包まれる他動詞中級★★
表記かぶる、被る
ものや生物が袋状のものなどで全体が包まれる。
文型
<もの・生物>が<袋状のものなど>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
せっかくの援助物資も現地のニーズに合わなければビニール袋をかぶったまま倉庫に眠っていることもあるそうだ。
最近は、殻をかぶったピーナッツを見たことがない子供もいるそうだ。
インゲンは、種を覆う土が少ないと、種皮をかぶったまま発芽してしまい、よく育ちません。
腫瘍細胞は薄い膜をかぶっていて、周りの正常な組織とははっきりと区別されているそうだ。
スナップエンドウはかぶっているさやごと食べることができます。
カイガラムシは幼虫の頃なら簡単に駆除できますが、殻をかぶってしまうとそうはいきません。
コロケーション
<袋状のものなど>を
① 保護するための硬さや形状を持つもの:殻、種子、さや
② 薄い布・袋状のもの:膜、粘[細胞]膜、(ビニール[紙])袋、(包装)紙、カバー
解説
この語義は、生物やものが袋状のものなどで全体を包まれることを意味する。包まれた状態を述べる場合が多い。「包装紙」のような紙状のものの場合も、語義4のように上から覆うのではなく、全体を包む場合を言う。
類義語・反義語
類義語覆う(その種子は茶色い殻で覆われている)、包む(球根はうすい皮に[で]包まれている)
反義語


6.粉末状のもの・液体・気体を浴びる他動詞中級★★
表記かぶる、被る
人やものが粉末状のもの・液体・気体を浴びる。
文型
<人・もの>が<粉末状のもの・液体・気体>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「ごめん! この車、何色?」「黒だよ、黒! 砂ぼこりをかぶっていて、よくわからないかもしれないけど」
外から帰ってきた子供が雪をかぶっていたので、はらってあげた。
たった今、漁船が強い横波をかぶって転覆したというニュースが入った。
受験生のころ、眠かったので冷たい水を頭からかぶろうとしたら、両親に止められた。
「もう少し前で止まったら?」「前の車の排気ガスをもろにかぶらないように、少し離れて停車しているんだよ」
「浅草寺の線香の煙はご利益があるそうですね」「ええ、頭にかぶったら、頭がよくなるかもしれませんね」
stairs頭から水をかぶる光景がよく見られます。
コロケーション
<粉状のもの>を
雪、ほこり、砂、(火山)灰、火の粉、砂ぼこり、粉
<液体>を
① 液体の種類:水、飛沫、油、ガソリン、熱湯
② 波の種類:波、荒波、高波、横波、うねり
③ 水の形態:しぶき、水しぶき、しずく
<気体>を
火、煙、(排気)ガス、潮風
<かぶり始める体の部分>から
<かぶる部分>に
頭、全身、全体
非共起例
<液体>を
 私は10分間、水をかぶる
 私は10分間、水を浴びる。
 私はシャワーをかぶった
 私は雨をかぶった
 私は(バケツにためておいた)雨水をかぶった。
「かぶる」は、水を受ける1回の動作を表すため、ある程度の時間、浴び続けるような状況は表わしにくく、継続的な時間を表わすことば(「10分間」など)や通常ある程度の時間が継続する現象(「シャワー」や「雨」など)とは共起しにくい。
<液体>を
  私は毎朝、シャワーをかぶる
  私は毎朝、頭からシャワーをかぶる
  私は毎朝、(頭から)シャワーを浴びる。
「かぶる」は、1で述べたとおり、ある程度の時間、浴び続けるような現象は表わしにくい。そのため「シャワーをかぶる」は不自然であるが、「頭から」を加えると容認度が高くなる。それはこの文が「(シャワーの水を)かぶる(=受ける)」ことを述べているのではなく、どのように水を受けるか(方向・場所)を述べている文だからである。
解説
この語義は、人やものが粉末状のもの・液体・気体を浴びることを意味する。人やものの全体に浴びる場合が多いが、「(冷水や煙を)頭にかぶる」「(天ぷら油を)指先から腕までかぶる」のように体やものの一部分に浴びる場合も使うことができる。また「船が横波をかぶる」「雨の日にそばを通った車の水しぶきをかぶる」など必ずしも上から浴びる場合ばかりではない。
「文法情報」にある6項目も「人がかぶるか/ものがかぶるか」「何をかぶるか」によって大きく異なる。特に「人か物か」は、「尊敬」「意思」に、「何をかぶるか」は「進行」「非進行」にかかわり、次のような点に注意する必要がある。
1.「進行(継続)」について
「かぶる」は1回何かを「浴びる・受ける」動作を表わすため、「(雨やシャワーのように)ある程度の時間、浴び続けるような現象」は表現しにくい。また降下速度の速い液体は一瞬で落下するので、そもそも継続する時間がほぼない。そのため例文の中では「かぶっている」が「進行」を表わし得るのは、落ちていく様子を人が目視できるなど、感じられる程度の落下時間はあるが、「雨」や「シャワー」ほど長くない、「火の粉」や「煙」などに限られる。
2.「非進行(結果の状態)」について
「かぶる」動作が行われた後にかぶった痕跡が残る粉状のものや痕跡が残りやすい気体(「排気ガス」など)では、「かぶっている」が「非進行(結果の状態)」を表わし得る。しかし痕跡が残りにくい気体(「煙」など)や「濡れている」という別の語で描写されることが多い液体の場合は、「テイル」は「繰り返し」や「経験・記録」を表わす場合が多い。
・車が排気ガスをかぶっている。
(○進行(継続):降下時間感知可、○非進行(結果の状態):痕跡残)
・(浅草寺で)観光客が線香の煙をかぶっている。
(○進行(継続):降下時間感知可、?非進行(結果の状態):痕跡なし)
・子供が雪をかぶっている。
(?進行:降下時間長(「子供が雪をかぶって遊んでいる」なら可)
 非進行(結果の状態):痕跡残)
・修行僧が水をかぶっている。
(?進行(継続):降下時間感知不可(スローモーションや繰り返しなら可)
 非進行(結果の状態):痕跡残。ただし「濡れている」で表現される)
類義語・反義語
類義語浴びる
反義語


7.床・地表面の被覆・水没他動詞上級
表記かぶる、被る
床・地表面が土砂などに覆われたり、水に浸かったりする。
文型
<床・地表面>が<土砂・水など>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
雪をかぶった日本庭園は、まるでカレンダーの写真のようだと留学生が喜んでいた。
この付近の畑は、先日の有珠山の噴火で、農作物がみんな灰をかぶっている
サンゴ礁は、川などから運ばれてきた赤土などをかぶった場合にも大きな打撃を受けます。
「この辺にも津波が来たんですか」「ええ、うちも2階まで水をかぶりました
洪水で田んぼが水をかぶり、稲はみんな泥水の下に隠れてしまった。
干潟とは、満潮のときには水をかぶり、干潮のときには干上がるところを言う。
コロケーション
<床・地表面>が
田、田んぼ、畑、床、たたみ、一帯、地域
<土砂・水など>を
① 降下物など:雪、(火山)灰
② 土砂など:土砂、赤土、ヘドロ
③ 水など:水、津波、海水
<原因>で
洪水、津波、潮、高潮
<浸水する上限>まで
○階、てっぺん
解説
この語義は、主に自然現象により「床・地表面」などが土砂に覆われたり、水没したりすることを述べる。したがってこの語義では、床や地表面が汚れたり濡れたりする程度ではなく、全体が土砂や水面の下になり、覆われ見えない状態になることを意味する。
この語義と同様の意味を持つ表現として、以下の例がある。
 材料がかぶるくらいの水を鍋の中に入れて、沸騰させてください。
 鍋の中で材料が水をかぶっている
この例は、意味的には「(ものが)水面下になる」と言う意味が本語義と共通しているが、「かぶるくらい」という表現にほぼ限定され、使用も調理の場面にほぼ限られている。
類義語・反義語
類義語浸かる(自宅が水に浸かる)、冠水する(田畑が冠水する)
反義語


8.他のものの上に拡がる自動詞上級
表記かぶる、被る
ものが他のものの上(表面)に拡がる。
文型
<もの1>に<もの2>がかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「この店、これじゃ、お客さんが来なくて当然だね」「うん、商品にほこりがかぶっているもんね」
ゆうべはすごい嵐で、何度も甲板に波がかぶっていた
テレビの台風の映像では、防波堤に波しぶきがかぶる様子が映しだされていた。
「あれ? 今日は富士山に雪がかぶっているよ」「ゆうべ降ったのかな」
噴火の翌日、そとに出てみると愛車に灰がかぶっていた
姉はしょっちゅうバッグを買うが、カバーがかぶったままで使った形跡がないものがたくさんある。
stairs「でも桜に雪がかぶって、とってもきれい!」
コロケーション
解説
この語義は、粉末状のものや液体などが、他のものの上(表面)に拡がることを意味する自動詞の用法で、ここでは主に語義6の他動詞の用法に対応する自動詞の用法を挙げている。
例えば本語義(語義8)の例文1「商品にほこりがかぶる」、例文2「甲板に波がかぶる」は、それぞれ「商品がほこりをかぶる」「甲板が波をかぶる」のように他動詞でも表現可能で、それぞれ語義6の例1「車が砂ぼこりをかぶる」、例3「漁船が強い横波をかぶる」の類似対応例である。
このような自動詞の用法は「もの」が主語となる場合に使用されやすい。そのため常に「もの」が主語となる語義7や、語義4、5で「もの」が主語になる場合は、自動詞で表現されることがある。
《語義8》例文4(自動詞)   「富士山に雪がかぶっている
《語義7》例文1(他動詞類似例)「雪をかぶった日本庭園」
《語義8》例文5(自動詞)   「愛車に灰がかぶっている
《語義7》例文2(他動詞類似例)「農産物が灰をかぶっている
《語義8》例文6(自動詞)   「バッグにカバーがかぶっている
《語義4》例文6(他動詞類似例)「シートをかぶっているタイヤ」
《語義5》例文1(他動詞類似例)「援助物資がビニール袋をかぶっている


9.人やものの前傾自動詞上級
表記かぶる、被る
人やものの一部が前傾したり下向きになったりする。
文型
<人・ものの一部>がかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
試乗してみた車は、運転席に座るとフロントガラスの上部がかぶってくる感じがして、視界が狭いような気がした。
スキーの基本姿勢は前傾ですが、膝を伸ばし、足首を前傾させないで上体がかぶるような姿勢はよくありません。
(ゴルフで)クラブをスイングする時は、パターのときには右肩をかぶらせないように右肩、右ひじ、右手の動きを意識すると安定します。
短距離走の最後は疲れて上体が前にかぶり、足が後ろに流れがちになるので気をつけましょう。
スノーボードを履いて立つときは、頭はまっすぐ! 頭が前かがみでお尻を後ろに突き出していると、上体がかぶっているように見えます。
下山のときは、いわゆるヘッピリ腰になると、上体がかぶり気味になって滑りやすくなります。
コロケーション
<人・ものの一部>が
上体、(右、左)肩、上部
解説
この語義は、人やものが自身の体や本体の上部を前傾させたり、下向きにしたりすることを意味する。人の体の実例は、スポーツで体の動きを解説するために用いられる例が大半で、すべて不適当な姿勢や動きの表現として使用される例である。これらは人やものが何か他のものに「かぶる」のではなく、「かぶる」の主語が自身の上部・上半身(の一部)を下方・下半身の方向に向かって傾け覆うような状態になることを述べる、一種の再帰的な状態である。
類義語・反義語
類義語前傾する(上体が前傾する)
反義語


10.注目している人やものへの重なり自動詞上級
表記かぶる、被る
注目している人やものに別の人やものが重なる。
文型
<人・もの>が<注目している人・もの>にかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
板書に先生の体がかぶってよく見えない。
夏草が登山道にかぶっていて、歩きにくい。
前髪がおでこにかぶっていると、にきびの原因となることがある。
この画像は全体に青がかぶっているので、色補正をしてからアップロードしようと思う。
「ねえ、これ心霊写真じゃない?」「まさか! きっとストラップか何かがレンズにかぶったんだよ」
「どうして今さら歯の矯正なんてするの?」「ん~、上の前歯が下の歯にかぶりすぎてるのがちょっと気になってね」
コロケーション
解説
この語義では、話し手が注目しているもの(「かぶされるもの」)の手前に、別の人やもの(「かぶるもの」)が重なって、話し手の視野から「かぶされるもの」が遮られる場合に用いられる。「かぶるもの」は「かぶされるもの」の一部にかぶる場合も全体にかぶる場合もある。主に話しことばで使用される。
類義語・反義語
類義語重なる
反義語


11.音声の同時発生・同時進行自動詞上級
表記かぶる、被る
ある音声が発生するのと同時、または進行中に、他の音声が発生、進行する。
文型
<音声1>が<音声2>と[に]かぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
国際電話だったせいか、私の声と相手の声がときどきかぶってしまって、うまく話せなかった。
せっかくの感動的なシーンなのに、ナレーションと曲がかぶって、よく聞こえない。
「今日の舞台、おもしろかったけど、ちょっと練習不足って思わなかった?」「思った! 何度も二人のせりふがかぶってたもんね」
「あの司会者、おもしろいね」「うん、でもゲストが話している途中でかぶらせて話しだすのは、感心できないね」
ラジオで音楽を聴いていたら、警察無線がかぶってきたので、びっくりした。
今度の曲では私の声に大好きだった歌手の生前の声をかぶらせて、デュエット曲に仕上げたい。
コロケーション
<音声>が
(二人の)声、せりふ、ことば、ナレーション、曲
<音声>と[に]
声、せりふ、ことば、ナレーション、曲
解説
この語義は、ある音声の発生と同時に他の音声が発生すること、もしくはある音声が生じている最中に他の音声が発生することを言う。音声の重なる時間は、一瞬の場合も継続する場合もある。主に話しことばで使用される。
類義語・反義語
類義語重なる
反義語


12.複数の人やものの一致・重なり・共通点自動詞上級
表記かぶる、被る
複数の人やものが一致する、もしくは一部に重なりや共通点がある。
文型
<もの1>が(<もの2/人>と[に])かぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「あれっ? 今からバイト?」「うん、シフト、授業とかぶっちゃったんだよね。ノート、あとで貸してね」
あの二つの店は、客層がかぶっていて、お客の取り合いになっている。
「島田さんとちょっと意見がかぶってしまうんですが、人選についてはもう少し考えたほうがいいんじゃないでしょうか」
「こちら、『刺身の盛り合わせ』でございます」「えっ、二つ? 先輩も頼んだんですか? じゃ、注文、かぶっちゃいましたね」
JR山手線と埼京線は、一部運行区間がかぶっている
「第一希望は、一人だけしかだめなんですか?」「ええ、みんなの希望がかぶったときは、じゃんけんで決めましょう」
stairs新婦のお色直しのドレスと色がかぶっちゃって
コロケーション
<もの>が
① 行動・イベント:仕事、授業、アルバイト
② 時期・期間:日程、予定、タイミング
③ 範囲:客層、分野、業務、メンバー
④ 性質・特徴:キャラクター[キャラ]、好み、印象
⑤ 考え・話の内容:アイディア、話、内容、回答
⑥ 選んだもの:注文、ドレス、プレゼント
⑦ 複数の人・もの:AとB、彼ら、二人、これら、みんなの希望
<もの/人>と[に]
○○さん、彼、○○さんの意見、○○さんの注文
解説
この語義は、複数のものが一致する、もしくは一部に重なりや共通点があることを意味する。多くの場合は二つのものについて述べるが、以下のように3つ以上のものについて述べることもある。
 国立大学の二次試験は、多くの大学が入学試験の日程をかぶらせて、複数受験ができないようにしている。
二つのもののうち、ひとつが既に存在し、後から生じた、もしくは後から動いてきたために重なることになった場合には、助詞「と」の代わりに「に」が用いられることがある。
 今年はクリスマスが週末にかぶるので、レストランはどこも予約でいっぱいだ。
 新しい支店の商圏が古い支店の商圏に一部かぶるので、全体としての利益はあまり増えていない。
類義語・反義語
類義語重なる
反義語


13.マイナスの影響を受ける自動詞上級
表記かぶる、被る
社会の動きなどから抗うことのできないマイナスの影響を受ける。
文型
<人・組織>が<マイナスの影響>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
中小企業の中には、この不景気の波をかぶって倒産したところも少なくない。
日本経済は近年好調ではあるが、海外市場の不安定さからくる大きな波をかぶらざるを得ない
環境の変化や親しい人との別れなど、ストレスの大波をかぶると、蓄積されていたストレスが誘因して、抑うつ状態に陥ることがある。
自分の人生は、多少の荒波をかぶることもあったが、おおむね幸せだったと思う。
バブル経済崩壊の余波をもろにかぶり、不動産投資をした多くの会社が経営危機に陥っている。
円高で最もしわ寄せをかぶっているのは、輸出産業の下請けの中小企業だろう。
コロケーション
<マイナスの影響>を
(~の)波、大波、荒波、余波、しわ寄せ
非共起例
<マイナスの影響>を
  不況の波しぶき[さざ波]をかぶる
 不況の大波をかぶる
  横波、津波
抗うことができない強い影響の比喩として波に関する語と共起するのが普通だが、「波」「大波」など、特定の語としか共起しない。
解説
この語義では、社会の動きなどから抗うことのできないマイナスの影響を受けることを意味する。波を表すことばが、強いマイナスの影響を与えるものとして比喩的に使われている。波の種類によって影響の大きさや性質の違いが表現されるとともに、多くの場合「○○の波」という形で使用され、その内容を述べる。
類義語・反義語
類義語被る(こうむる)、受ける
反義語


14.処罰や借財などを引き受ける他動詞上級
表記かぶる、被る
人や組織が本来は受けなくてもよい処罰や借財などを引き受ける。
文型
<人・組織>が<処罰や借財など>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
そのとき、私の父親は社員をかばうために、無実の罪をかぶろうと決意したそうだ。
「本当に会社を告発するつもりか? そんなことをしたら・・・」「裏切り者という汚名をかぶることぐらい覚悟の上さ。でもこれ以上は見逃せないよ」
「主任昇進、おめでとう!」「え~、別にうれしくもないよ。給料は上がらないのに何かあったときの責任をかぶらされるだけなんだから」
「田中さんのうち、お父さんが急に亡くなって、大変でしたね」「おまけに借金が見つかって、お子さんたちがかぶることになったそうですよ」
日本の医療機関では、患者にお金がなくても治療をし、その費用をかぶることがよくあるそうだ。
小規模店では価格を上げられず、消費税値上げ分は店がかぶらざるを得ないことも多い。
コロケーション
<処罰や借財など>を
① 処罰:罪、罰
② 不名誉:冤罪、汚名、恥辱
③ 借財・欠損:借金、赤字、大損、債務、費用、○○分(税金分、××さんの分)、○○(円)
④ その他:責任、リスク
解説
この語義は、人や組織が本来は引き受けなくてもよい処罰や借財などを、本人の意志にかかわらず引き受けることを意味する。契約など正式な文書では使用されない。
誤用解説
 今日は友達の誕生日だったので、食事の費用は私がかぶった
 今日は友達の誕生日だったので、食事の費用は私が払った。
 今日は友達の誕生日だったので、食事は私がごちそうした。
マイナスの出来事ではない場合は、「かぶる」は使用できない。
類義語・反義語
類義語負う、引き受ける
反義語


15.強い影響や負担の波及自動詞上級
表記かぶる、被る
強いマイナスの影響や負担が人に及ぶ。
文型
<マイナスの影響・負担>が<人>にかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
自分の老後の世話や生活費の負担が子や孫にかぶるのではないかと心配している。
現場の作業員は言われた通り働くだけだから、責任はすべて主任にかぶってくる
学生の部活動なのだから、みんなで協力して部長にだけ重責がかぶるようなことは避けたい。
近年のリストラの影響が残った社員にかぶってきているので、不満を訴える社員も多い。
コロケーション
<マイナスの影響・負担>が
負担、責任、重責、影響
解説
この語義は、強いマイナスの影響や負担が人に及ぶことを意味する。この語義は、語義14と自他関係にあるように見えるが、共起する語は「負担」を表わす語の一部に限られる。
類義語・反義語
類義語かかる(社員に重責がかかる)、降りかかる(社員に負担が降りかかる)
反義語


16.本質と異なる見かけ他動詞上級
表記かぶる、被る
人や組織が本質と異なる姿を見せる。
文型
<人・組織>が<外に見せている姿の象徴>をかぶる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「あ~、やだ! どうして親も先生も、あの子がうそついてるってわからないのかな」「親や先生の前では、いかにも「いい子」っていう仮面をかぶってるからね。大人はだまされちゃうんじゃないの?」
A社は、ブランドイメージの良い優良企業の皮をかぶって、実は社員を酷使している。
警察から「宗教の皮をかぶったカルト集団に注意!」というチラシが回ってきた。
あの女は老人を信頼させてお金をだましとったそうだ。まるで天使の顔をかぶった悪魔のようだ。
「恐ろしい事件ね。弱い子どもたちにそんな恐ろしいことをするなんて」「ニュースで見る限り、普通の人だもんね。羊の皮をかぶった狼って、きっとこういう人のことだね」
あの経営者は人間の皮をかぶった鬼だ。どれだけ下請け企業を泣かせてきたかわからない。
コロケーション
<外に見せている姿の象徴>を
① 顔を隠すもの:○○という仮面、○○の顔
② 体を隠すもの:人間[人、羊]の皮、人間の姿
解説
この語義は、人や組織が本質と異なる見かけを見せることを意味する。多くの場合は、外見やイメージは良いが本質、実態は異なることを述べる。


かぶるの全体解説 1 .「かぶる(他動詞)」は、主語(が表わすもの)が自身の頭、もしくは頭(上)の方向から身につけたり、覆ったりすることが本義である。

2.「かぶる」は、主語(が表わすもの)が自身を覆う場合にだけ用いられ、他の人の体(の一部)を覆う場合は、「かぶせる」、もしくは「かぶらせる」を用いる。
例:私は、帽子をかぶった。
私は、人形に帽子をかぶせた[かぶらせた]。

3.「かぶる」には、語義によって他動詞の用法と自動詞の用法がある。
(他動詞)商品がほこりをかぶっている。(自動詞)商品にほこりがかぶっている。
(他動詞)金冠をかぶっている歯
(自動詞)金冠がかぶっている歯
























▶全例文を聞く
<頭を覆うもの>を
帽子を目深にかぶって、外野に行くんです。
(橋田寿賀子著 『橋田寿賀子と素敵な24人』, 1989, 914)
自転車通学をする場合はヘルメットを被ること
(Yahoo!知恵袋, 2005, 小・中学校、高校)
外套の頭巾をすっぽり頭にかぶり、口もとを襟巻きで覆っている。
(佐々木譲著 『北辰群盗録』, 1999, 913)
<体の部分>に
首にバンダナを巻き、に手ぬぐいを被る。
(鶴田静著 『いま、自然を生きる』, 1996, 914)
<覆う部分の末端>まで
かれんに目をやると、彼女は再び夏掛けをまでかぶり、今にも笑いだしそうな瞳をきらきらさせて僕を見ていた。
(村山由佳,志田正重著 『僕らの夏』, 1996, 913)
<顔を覆うもの>を
子供たちは豆を食べ、赤鬼のを順番にかぶり、豆を投げたり投げられたりした。
(徳永進著 『臨床に吹く風』, 2000, 490)
1992年アメリカのシアトルでマスクを被った銀行強盗が、わずか1分で現金2万ドルを強奪する事件が発生。
(TVぴあ関東版,関西版,東海版,北海道・青森版,福岡・山口版, 2001, 娯楽/芸能)
<衣類>を
ツェツァリアが後ろを振り返りながら顎で指し示した先には、深くマントを被った人影があった。
(Yahoo!ブログ, 2008, 文学)
<かぶり始める体の部分・方向>から
やがて家々のそっちこっちから、マントをからかぶった若い衆たちが二、三人ずつ黙々と集まってきた。
(村岡耕治著 『はせだきの恋』, 2003, 913)
<大きな布状のもの>を
ベッドの中でいくら布団をかぶっても、私の震えはちっとも止まらない。
(谷村志穂,飛田和緒著 『1DKクッキン』, 1997, 596)
<かぶり始める体・ものの部分>から
娘はベッドに上り、毛布を頭の上からすっぽりかぶった。
(マーレル・デイ著;田中よう子訳 『神の子羊』, 2002, 933)
<覆う部分の末端>まで
鼻の下まで毛布をかぶった、みち子に声をかけました。
(今村葦子著 『良夫とかな子』, 1987, )
<袋状のものなど>を
開けるとどれもきちんとクリーニング屋のビニール袋をかぶって整理されていた。
(和田はつ子著 『密通』, 1998, 913)
<粉状のもの>を
机はすでにうっすらとをかぶっていた。
(サラ・ウォーターズ著;中村有希訳 『半身』, 2003, 933)
熊笹が深いをかぶって、葉を重く垂らしている。
(山崎豊子著 『沈まぬ太陽』, 1999, 913)
<液体>を
夜ふけ眠気がさしてくると、ねしずまった階下のふろ場でをかぶる。
(生源寺美子作;藤本四郎絵 『きらめいて川は流れる』, 1993, )
が、船はかろうじて衝撃をしのぎ、水しぶきをかぶりながら、せまい水路を疾走しだした。
(デイヴィッド・ブリン著;酒井昭伸訳 『戦乱の大地』, 2002, 933)
<かぶり始める体の部分>から
数十秒おきに、全員がから水をかぶる。
(C.ホーガン著;赤尾秀子訳 『封印』, 1997, 933)
<かぶる部分>に
ボディリンスとして風呂桶に入れたお湯に数滴たらして全身にかぶれば、肌もしっとり
(Hanako, 2004, 一般)
<床・地表面>が
土壌は岩手山の噴火による火山灰をかぶり、いわゆる黒ボク土壌である。
(西口親雄著 『森林への招待』, 1996, 650)
<土砂・水など>を
うっすら人工雪をかぶったコブコースを見たらたまらなくなって、とりあえず下の方から入る。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
<音声>と[に]
テレパソなんですが、CM中は音質良好なのですが、番組が始まるとザーっという、雑音が音声にかぶってしまします。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 家電、AV機器)
<もの>が
いつも思うのですが、他局なのにドラマの設定がかぶっていると思うのは私だけでしょうか??
(Yahoo!知恵袋, 2005, テレビ、ラジオ)
安室ちゃんと同じ事務所とのことだけど、キャラがかぶらないように売出しには慎重になってほしいと思いますね。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<もの/人>と[に]
ボクのブログのお仲間でナオミさんという方がおられますが、何となくこのさかもとさんとかぶるんです。
(Yahoo!ブログ, 2008, 教育)
<マイナスの影響>を
昭和三十七年の株式市場は、景気調整の荒波をまともにかぶった年である。
(清水一行著 『小説兜町』, 1993, 913)
村上さんは紳士服会社やスポーツウエア会社へ転じたが、ここでもバブル崩壊のをかぶった。
(AERA(アエラ), 2001, 一般)
<処罰や借財など>を
いずれにしても、吉崎は誰かに命令されて無実のをかぶったのです。
(小杉健治著 『影の核心』, 1991, 913)
でも、立ち上げをやったのは私たちだから、すべての借金をかぶることにしたのです。
(エコノミスト, 2005, 経済/経営)
<マイナスの影響・負担>が
この会社は分譲マンションの企画と賃貸マンションの企画設計を専門に行い、平成5年までは毎年黒字続きであったが、ごたぶんにもれず、バブル崩壊の影響をまともにかぶってしまうことになった。
(明治大学OB不動産駿台会著 『紫紺の絆前へ!』, 2003, 673)
<外に見せている姿の象徴>を
彼らは羊の皮をかぶって来るが、正体は貪欲な狼である。
(井上力著 『もう一つの大河』, 2003, 210)
十五年前、おれは子どもだったし、きさまは人間の皮を被った畜生だった。
(ノーラ・ロバーツ著;岡田葉子訳 『愛と哀しみのメモワール』, 2004, 933)






























新聞紙のような大きい紙で作ると実際にかぶることができます。
頭から水をかぶる光景がよく見られます。
「でも桜に雪がかぶって、とってもきれい!」
新婦のお色直しのドレスと色がかぶっちゃって
猫をかぶる

意味
(本当の自分を隠して)おとなしく見えるように振る舞う。
用例
「今年の新入社員、なかなか良いね」「まだわからないよ。はじめは猫をかぶっているだけかもしれないし」
コーパスからの用例
「君は学校ではだいぶ暴れたと聞くが、そうは見えないな。猫をかぶっているのかな、それとも集団でなくては駄目か」(石上玄一郎著『太宰治と私 激浪の青春』, 1986)
泥をかぶる

意味
不利を覚悟の上で役目を引き受ける。
用例
人件費の削減ができないのは、労使交渉で泥をかぶろうとする管理職がいないからだ。
コーパスからの用例
「だったら私が悪者になってやろうじゃないか」と、日本的な責任の取り方をして頭を丸めたというわけだ。こういう場合、日本では「泥をかぶる」という。(大宮知信著『ウチの社長は外国人 成功起業家10人のサムライ精神』, 2005)
意味
他の人の罪や失敗の責任を引き受ける。
用例
本当はトップが責任を取るべきなのに、部長がすべて泥をかぶってマスコミの前で謝罪をすることとなった。
コーパスからの用例
「最後のルーマニア駐在大使が一歩足を踏みはずしたため、われわれが全部泥をかぶらなければならなくなってね。もう一度あの国のドアを開かせるのに三年もかかってしまった。誰かが再びあんなことをやらかしたら、大統領も立場がなくなるというものだ」(シドニィ・シェルダン著/天馬龍行訳『神の吹かす風』, 1996)
複合動詞 V1

ひっかぶる、買いかぶる、振りかぶる
複合動詞 V2

猫かぶり、買いかぶり、頬かぶり、姉さんかぶり、砂かぶり、丸かぶり、被りもの
かぶる(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形
ない形かぶない
~なかったかぶなかった
ます形かぶり
~ませんかぶりま
~ましたかぶりした
~ませんでしたかぶりまんでした
~ときるとき
ば形れば
意向形かぶ
て形って
た形った
可能形かぶ
受身形かぶら
使役形かぶら
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