言うのコアイメージ

1.音や声を発する自動詞初級★★★
表記言う・いう
人、動物、ものなどが声や音を発する。
文型
<人・動物・もの>が<音・声>(と)いう
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この机はゆするとガタガタいう
冷蔵庫がブーンと言っている
突然、犬がワンと言ったので驚いた。
何を思ったのか、太郎は突然、あっと言って走り去った。
書類がないのに気付いて、花子は「あれっ」と言った
首を回してみたらポキポキ言って、運動不足を実感した。
stairsそうなのよ、昨日も、夜中に急に音がしてね。その後も、ブーンとかウィーンとか言ってるのよ。
コロケーション
<音・声>(と)
① 音:ピッ、ブーン、ガタガタ、ガタンガタン、カリッ
② 声:あっ、わっ、げっ、あーあ、ふーん、へえっ
<様態>
急に、突然、いつも
非共起例
<音・声>(と)
 ハハハと言った
 ハハハと笑った
 ウェーンと言った
 ウェーンと泣いた
泣き声や笑い声を発する場合に「言う」は使えない。
<音・声>(と)
 ぎゃあっと言った
 ぎゃあっと叫んだ
声が大きい場合には、「言う」ではなく「叫ぶ」を用いる。
解説
「語義1」の「言う」は、人や動物やものが音を発することを表す。人が声を出す場合であっても、何かを伝達する意図がとくにあるわけではなく、生理的、感覚反応的に声を出すことを表す。
誤用解説
 冷蔵庫がブーン言っている
 冷蔵庫がブーンと言っている
 この机はゆするとガタガタいう
 この机はゆするとガタガタという
「<音・声>と」における「と」がなくてもよいのは、<音・声>が擬声語だけではなく、擬態語でもある場合である。
類義語・反義語
類義語鳴る、鳴く、叫ぶ、音をたてる
反義語


2.名前で呼ぶ他動詞初級★★★
表記言う・いう
人が物事をある名前で呼ぶ。
文型
<人>が<物事>を<名前>と言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「お名前は?」「田中と言います
うちの部長も田中と言います
この法則をグレシャムの法則と言う
今日からこのホールを、アルカイックホールと言うことにします。
田中さんとはあの人のことを言うのですよ。
定率法とは、このような計算方法のことを言います
stairsそれで、あのホールは改修して「アルカイックホール」という名前になるそうだよ。
コロケーション
<物事>を<名前>と
<あの人>を<田中さん>と、<部長>を<田中>と、<この法則>を<グレシャムの法則>と、<この計算方法>を<定率法>と
<名前>とは<物事>を
<田中さん>とは<あの人>を、<田中>とは<部長>のことを、<グレシャム>の法則>とは<この法則>のことを、<定率法>とは<この計算方法>を
非共起例
<名前>と、<名前>とは
 私は田中さんと言います
 私は田中と言います
 あの人は田中さんと言います
自分の名前に「さん」はつけてはいけない。
解説
この「語義2」と「語義1」との間には、人が声を発するという共通点がある。ただし、「語義1」の場合の声が反射的に発せられるものであるのに対し、この「語義2」の場合の声は、人が何かを指す名前として発せられる。
誤用解説
 その春に生まれた子を花子と言うことにしました。
 その春に生まれた子を花子と名付けました[命名しました]
 その年にできたホールをアルカイックホールと言うことにしました。
人に名前をつけるときに、「言う」は使えない。
類義語・反義語
類義語呼ぶ
反義語


3.別の名前で呼ぶ他動詞初級★★★
表記言う・いう
人がある物事を別の名前で呼ぶ。
文型
<人>が<物事>を<別の名前>と言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「book」は日本語で何と言いますか。
「book」は日本語で「本」と言います
学校では学期末テストのことを単に期末と言います
このあいだ喫茶店で会ったお婆さんは、コーヒーのことをコーシーと言っていた
この地方では、「かたづける」のことを「なおす」と言うそうです。
最近の高校生は「髪が乱れている」ことを「与謝野ってる」と言うらしい。
コロケーション
<物事>を<別の名前>と
<本>を<book>と、<寒い>を<しばれる>と、<難しい>を<むずい>と、<カンニングペーパー>を<カンペ>と、<しちや>を<ひちや>と
<範囲>で(は)
日本、英語、この国、関西方言、学校、ペンネーム 
解説
この「語義3」と「語義2」との間には、人が声を発することを表し、その声が何かの名前であるという共通点がある。ただし、「語義2」の場合、何を指すための名前が複数あり得ることは問題にされていないが、この「語義3」の場合、複数あることが問題にされている。
誤用解説
 「本」をドイツ語で何と言いますか。
 「本」を人々はドイツ語で何と言いますか。
ある言語で「何と言うか」と問う場合、「人々は」のような主語は示さない。
類義語・反義語
類義語呼ぶ、発音する、表現する
反義語


4.ことばを発する自動詞初級★★★
表記言う・いう
人がことばを発する。
文型
<人>が<ことば>と言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
太郎は受付の人に「こんにちは」と言ってほほえんだ。
上司に「早くしろ」と言われた
太郎は、くやしそうに「今度は負けないぞ」と言った
友だちが「おもしろい本だから読んでみて」と言って紹介してくれた。
来週までに仕上げるのは不可能ですよと言われて困ってしまった。
清少納言は枕草子で、「小さきものはみなうつくし」と言っている
コロケーション
<ことば>と
こんにちは、これは本です、あれは何ですか、海へ行こうよ、いいだろう、もっと勉強すべきだよ
<人>に
太郎に、先生に、友だちに、皆に
<様態>
① ~ように:叫ぶように、つぶやくように、驚いたように、念を押すように
② ~そうに:うれしそうに、心配そうに、自慢そうに、くやしそうに、楽しそうに
③ ~的に:具体的に、事務的に、断定的に
④ 静かに、正直に
<手段>で
口、著作、手話、ボディランゲージ
解説
この「語義4」と「語義1」との間には、人が声を発するという共通点がある。ただし、「語義1」の場合の声は、反射的に発せられ、何かを伝達する意図を持たないものであるのに対し、この「語義4」の場合の声は、自ら発する意味内容を持ったことばであって、一般的には何かを伝達しようとする意図を持つ。ただし、この場合も、必ずしも伝達を目的としていなくともよい。たとえば、「(独り言で)このやろう、と言った」という表現も可能である。
また、ことばを発する手段は、声に限らず、文字、手話も含まれる。
誤用解説
 こんにちは。言った
 こんにちは。太郎は言った
小説などでは、発話内容(<ことば>)を一文として独立させることも可能である。ただしその場合、「誰が」言ったのかを省くことはできない。
類義語・反義語
類義語述べる、書く
反義語


5.内容を伝える自動詞初級★★★
表記言う・いう
人がある内容をことばで伝える。
文型
<人>が<内容>と言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今度の会議には、太郎も参加すると言っていた
田中さんに会ったら、感謝してると言おうと思う。
この本はおもしろいと皆が言っている
先輩がこちらへ来いと言って手招きをしている。
先週は忙しかったと言って、書類ができていない言い訳をした。
ヘーゲルは書物でこう言っています
コロケーション
<内容>と
会議に参加する、あの人は先生だ、孫は元気だ、この本はおもしろい、こちらに来い
<指示される内容>
こう、そう、ああ、どう
<話題>について
今度の旅行、人口問題、この問題、この計画、この課題
<人>に
太郎、先生、友だち、皆、私
解説
この「語義5」と「語義4」との間には、人がことばを発するという共通点がある。ただし「語義4」の場合、人が発したことばを、話者がそのまま再現しているのに対し、この「語義5」の場合、ある程度加工している。
「太郎」が「参加するよ」ということばを発したことを話者が表現化する場合、「太郎は参加するよと言った(「語4」)」と表現することも可能であるし、「太郎は参加すると言った(「語義5」)」と表現することも可能である。
誤用解説
 (論文などで)この点については第3章で言う
 (論文などで)この点については第3章で述べる
論文などの固い文体の中で、「言う」は使われない。
類義語・反義語
類義語述べる、話す、語る、書く
反義語


6.命令内容を伝える自動詞初級★★★
表記言う・いう
人が命令や依頼をことばで伝える。
文型
<人>が<命令内容>ように言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
社長が早く報告書を出すように言っている
医者に行ったら入院するように言われました
早朝の会議に出るように言われたので、明日は早く出勤しなければならない。
ばかばかしい冗談をやめるように言うと、逆に怒り出した。
担任の先生に、その生徒をここへ連れてくるように言ってもらえませんか。
おもしろい研究なので、学会で発表するように言おうと思っています。
コロケーション
<命令内容>ように
来る、行く、食べる、入院する、提出する
<人>に
太郎、先生、友だち、皆、私
<様態>
強く
非共起例
<命令内容>ように
 上司に書類を提出しなさいように言われた
 上司に書類を提出するように言われた
<命令内容>は辞書形で示される。
解説
この「語義6」と「語義5」との間には、人がことばで伝えるという共通点がある。「語義5」において伝える内容は「命令」だけではなく、一方、「語義6」では「命令」であるわけだが、伝える内容が「命令」の場合、これら二つの語義は近似する。すなわち、「医者に入院しろと言われた(語義5)」と「医者に入院するように言われた(語義6)」の意味は近い。
ただし、両者の間には差異がある。「語義5」は、人が発したことばが、「入院しなさい」などの強い口調の命令であったことを意味するのに対し、「語義6」は、その他に、「入院したほうがよいのでは」など、助言の形をとったやわらかな口調であった可能性も示される。
誤用解説
 (誰かが「遊びに行こう」と言った場合に)遊びに行くように言った
 (誰かが「遊びに行こう」と言った場合に)遊びに行こうと誘った
人が伝える内容が勧誘の場合に「言う」は使えない。
類義語・反義語
類義語命令する、指示する
反義語


7.概略として内容を伝える自動詞中級★★
表記言う・いう
人がある内容をことばで伝える。話者は、人が伝えた内容を正確に再現していないと捉えているか、あるいは自分が示しているのは、人が伝えた内容の例であると捉えている。
文型
<人>が<内容>(という)ようなことを[とか、ように]言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
太郎が家を出たいというようなことを言っている
この提案はすばらしいというようなことを言ってもらえたので、とてもうれしい。
田中さんも、一緒に行きたいとか言っていたよ。
全員参加でなければならないというようなことを言うのはおかしいんじゃないか。
この件について先方はどのようなことを言っていましたか。
ショーペンハウエルは、次のように言っている
コロケーション
<内容>(という)ようなことを[とか]
これは問題(だ)、あの人は親切(だ)、この発見はすばらしい、大きな問題がおこる
<内容>ように
この、その、あの、どの、以下の、次の
<媒体・場所>で
書物、テレビ、講演会
<話題>について
今度の旅行、人口問題、この問題、この計画、この課題
<人>に
太郎、先生、友だち、皆、私
<述べ方>
たとえば、およそ
解説
この「語義7」と「語義5」との間には、人がことばを発するという共通点がある。またどちらの語義においても、人が発したことばを話者が短くまとめるなど加工をしている。ただし、「語義5」の場合に、話者は、自分が人の伝えた内容を正確に再現していると捉えているのに対し、この「語義7」の場合はそうではない。
類義語・反義語
類義語述べる、話す、書く
反義語


8.事実として内容を伝える自動詞中級★★
表記言う・いう
話者が事実とは認め難い内容について、人が事実としてことばで表現する。
文型
<人>が<事実・妥当な判断>かのように言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
社長は会社に何の問題もないかのように言う
私はまるで彼を騙したかのように言われている
あいつは部下を使って、まるで私が何かを企んでいるかのように言わせた
あなたは私だけが悪いかのように言われますが、それは誤解です。
あの人は私を悪者であるかのように言う
皆が私のことを救世主のように言う
コロケーション
<事実・妥当な判断>かのように
私が彼を騙した、何の問題もない、経営が順調である
<属性>のように
悪者、神さま、救世主、大金持ち
<様態>
まるで、いかにも、まさに
<人>に
皆、社長、上司、友だち
解説
この「語義8」と「語義7」との間には、人がことばを発することを表し、そのことばの内容を話者が正確にそのまま再現しているわけではないという共通点がある。ただし「語義8」の場合はそれに加え、人が発することばの内容を、事実ではない、妥当ではないと話者が評価していることも示される。
誤用解説
 上司に書類を提出するように言われた
 上司に書類を提出するよう言われた
 私はまるで彼を騙したかのように言われている
 私はまるで彼を騙したかのよう言われている
語義6の「~ように言う」は「~よう言う」とすることも可能であるが、語義8の「~かのように言う」は「かのよう言う」とすることはできない。
類義語・反義語
類義語述べる
反義語


9.ある種のことばとして発する他動詞初級★★★
表記言う・いう
人がある種のことば(特定の状況下で発せられるという特徴を持ったことば)を発する。
文型
<人>が<ある種類のことば>を言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
部長が会議室でぶつぶつ独り言を言っている
昨夜、「締切に間に合わない」と寝言を言っていたでしょ。
この台詞を言うのはなかなか難しいよ。
この台詞を言ってみて。
よく独り言を言うようになったら、年をとった証拠です。
長い台詞を間違えずに言えた
コロケーション
<ある種類のことば>を
独り言、寝言、台詞
解説
この「語義9」と「語義5」との間には、人がある内容をことばで伝えるという共通点がある。ただし「語義5」の場合、話者は、人が発したことばの内容がどのようなものであったかを示すだけである。これ対し、この「語義9」の場合、話者はその内容が、特定の状況下で発せられることばであると分類して捉えている。
類義語・反義語
類義語話す
反義語


10.ある種の内容として伝える他動詞初級★★★
表記言う・いう
人がある種の内容をことばで伝える。
文型
<人>が<ある種の内容>を言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今から今日の予定を言います
金額を言ってくれたら、私も払います。
ざっくばらんに思っていることを言ってくれたらいいのに。
ちゃんとお礼をいいなさいよ。
宝くじが当たったと嘘を言った
おめでとうと、皆にお祝いを言ってもらった。
コロケーション
<ある種の内容>を
① 意見:意見、結論、理由、感想、思っていること、思い、主張
② 事実:事実、そこで何があったのか、そのとき起こった出来事、本当のこと
③ 不定の要素を含む事柄:予定、方針、役割分担、金額、時間、場所、点数
④ 相手に対する態度を表すことば:礼、詫び、文句、お祝い、嫌味
⑤ 内容の真偽にかかわることば:嘘、本音、冗談、きれいごと、世辞、皮肉
⑥ 感情のこめられたことば:泣き言、恨み言、不満
<人・組織>に
太郎、先生、友だち、会社、学校
<話題>について
今度の旅行、人口問題、この問題、この計画、この課題
<様態>
正直に、はっきりと、明確に、遠慮せずに
非共起例
<ある種の内容>を
 思い出を言う
 思い出を話す[語る]
 夢[愛、人生]を言う
 夢「愛、人生]を語る
内容が一連のまとまりをなすような場合には、「言う」ではなく、「話す」「語る」を用いる。
<ある種の内容>を
 太郎は英語を言える
 太郎は英語を話せる
<ある種の内容>に「言語」は含まれない。
解説
この「語義10」と「語義5」との間には、人がある内容を伝えるという共通点がある。ただし、「語義5」の場合、話者は単に内容を再現するだけであるのに対し、この「語義10」の場合、話者はその内容をある特徴を持つものに分類している。
誤用解説
「<ことば>と<(それが含まれる)ある種類の内容>を」の文型は、<ことば>がどの<ある種の内容>に含まれるのかが直ちにわかる場合には、使われにくい。
たとえば、
 会議は3時からと時間を言いました
が不自然なのは、「3時」と言えば「時間」であることが直ちにわかるからである。
ただし、「場所」は言ったが「時間」については言っていない、というように取り立てて「時間」が問題にされている文脈ならば、この文も成り立つ。
このような文脈がなければ、「<ことば>と<(それが含まれる)ある種類の内容>を」の文型は使わずに、次のように表現する。
 会議は3時からと言いました
 会議の時間を言いました
類義語・反義語
類義語伝える、説明する、教える、述べる
反義語


11.属性を認める他動詞上級
表記言う・いう
人が物事を別の属性を持つものと捉え、それにふさわしいことばで表現する。
文型
<人>が<物事>を<属性>(だ)と言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼こそを天才と言うべきだ。
これを奇跡と言わないで何と言えばよいのか。
今度デビューした新人は、10年に一度の逸材と言ってよい。
こんなことをされれば、もう仲間ではないと言わねばなるまい。
防災対策の不備による自然災害は人災と言うべきだ。
経緯をよく見てみれば、彼を新元素の発見者と言うべきだ。
コロケーション
<属性>(だ)と
① 人の属性:天才、功労者、神、殺人鬼、極悪人、親切な人、意地悪な人
② 行為の性質:偉業、世紀の大発明、神業、ひどい仕打ち、親切、意地悪
<様態>
まさに、まさしく
解説
この「語義11」と「語義5」との間には、人がある内容をことばで伝えるという共通点がある。ただし、「語義5」において人が伝える内容は、属性を持っているという判断に限らず多様である。一方、「語義11」において人が伝える内容は、属性を持っているという判断に限定されている。しかし、属性判断をことばで伝える場合、これら二つの語義は近似する。すなわち「皆、太郎はやさしいと言っている(語義5)」と、「皆、太郎をやさしいと言っている(語義11)」とは、意味が類似している。
しかし、両者の間には相違があり、「語義11」の場合には、「やさしい」という属性が、新たに付与された属性(あるいは従来思っていたものとは別の属性)であるというニュアンスが含まれる。
この「語義11」は、当為判断を表す表現(「~と言うべきだ」「~と言わねばなるまい」など)を伴うことが多い。
この「語義11」は、「語義3」とも類似した特徴を持っている。すなわち、「別の性質を付与(語義11)」すれば、「別の名前で呼ぶ(語義3)」ことにつながる。
類義語・反義語
類義語呼ぶ、みなす
反義語


12.評価をする他動詞中級★★
表記
人が物事について、評価をして表現する。
文型
<人>が<物事>を[について]<様態>言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あの上司は部下のことをいつもぼろくそに言っている
彼は私のことをいつもよく言ってくれる。
あいつの友だちに、あいつのことを悪く言ってやろうと思う。
家族のことを悪く言われ、思わず言い返した。
あの時の顧客への対応について、皆にめちゃくちゃに言われ、ひどく落ち込んでいる。
あちこちであなたの悪口を聞いたけど、私があなたのことをよく言っておいたから大丈夫。
コロケーション
<様態(評価を表す形容詞・形容動詞の連用形)>
① ぼろくそに めちゃくちゃに くそみそに
② よく 悪く ひどく
<人>に
皆、太郎、先生、上司、幹部
非共起例
<様態(評価を表す形容詞・形容動詞の連用形)>
 皆は彼の作品をすばらしく言った
 皆は彼の作品はすばらしいと言った
 皆は彼の行動を最低に言った
 皆は彼の行動は最低だと言った
解説
この「語義12」と「語義5」との間には、人がある内容をことばで伝えるという共通点がある。ただし、「語義5」の場合、話者は単に伝える内容を再現するだけである。これに対し、この「語義12」の場合、話者は、その内容がどのような評価を含む内容であるのかを示す。
類義語・反義語
類義語ほめる、けなす
反義語


13.情報が伝えられる自動詞初級★★★
表記言う・いう
誰かの伝えたことばが広く伝えられる。
文型
<伝聞内容>というように[と]言う
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
俗に、食べてすぐ寝ると牛になると言われる
この国では、飲酒は禁止だと言う
昔から百聞は一見に如かずと言われているじゃないか。
新聞によれば、両国の関係は悪化していると言う
田中さんの話では、太郎は来春結婚すると言う
景気は回復に向かうと言われている
stairs 食べてすぐ横になると牛になるって言うよ。
コロケーション
<伝聞内容>と
食べてすぐ寝ると牛になる、飲酒は禁止、太郎は来春結婚する、景気は回復に向かう
<範囲>
俗に、一般に、世に、この国では、この地方では
<情報源>
太郎(の話)によると、太郎の話では、太郎(の話)によれば、新聞[ニュース]によると
<時間>から
昔、古く、太古の昔、古
解説
この「語義12」と「語義5」との間には、人がある内容を伝えるという共通点がある。ただし、この「語義12」の場合、誰かの伝えたことばが広く伝えられることを表す。受身でよく用いられる。
誤用解説
 新聞によれば、両国の関係は悪化していると言う
類義語・反義語
類義語聞く、伝え聞く
反義語


言うの全体解説 「言う」は、「人やものなどが音や声を発する」という用法(「語義1」)を持つ。
(例)ワッと言う。(「語義1」)
ここから二つの方向へ意味の広がりを見せる。
一つは、「音が何の名前であるか(音と指示物との関係)」を表す用法(「語義2」「語義3」)である。
(例)田中と言います。(「語義2」)
(例)これを日本語では「花」と言います。(「語義3」)
もう一つは、「ことばを発する」用法(「語義4」)と、
(例)こんにちはと言った。(「語義4」)
「ことばによって内容を伝える」用法(「語義5」)である。
(例)この本はおもしろいと言ったである。(「語義5」)
このうち、「語義5」からは、4つの用法へと広がりを見せる。
一つ目は、人が伝えた内容を、話者がその意味するところを捉えて概略として伝えるという、次の三つの用法である。
(例)冗談をやめるように言う。(「語義6」)
(例)疲れたというようなことを言っている。(「語義7」)
(例)何の問題もないかのように言う。(「語義8」)
二つ目は、人が伝えた内容の特徴を、話者が分類して示す次の二つの用法である。
(例)台詞を言う。(「語義9」)
(例)意見を言う。(「語義10」)
三つ目は、人やものにある属性を認めたり評価したりすることを表す次の用法である。
(例)彼こそを天才と言うべきだ(「語義11」)
(例)彼のことをぼろくそに言う。(「語義12」)
四つ目は、「誰が」伝えたかよりも、ある内容が伝えられていることに着目した用法(「語義13」)である。
(例)事件は解決したと言われている。(「語義13」)
このように「語義5」を中心として多くの用法が結びついている。この「語義5」の類義語には、「話す」「述べる」などがある。「話す」「述べる」にはおよそ、まとまった内容を伝えるという特徴が認められる。したがって、「 こんにちはと言った」とは言えるが、「 こんにちはと{話した[述べた」」は不自然である。
表記について見るならば、「言う」には発音と表記との間にずれがある。すなわち、「言う」は、「ゆう」と発音されることが多いが、平仮名で書く場合、「ゆう」ではなく「いう」となる。すなわち、平仮名で「変なことをいうのはやめて」と書くのは問題ないが、「ゆうのは」と書くのは、一般に認められていない。
また、「ゆう」と発音されるかどうかには、個人差の他、活用形による差異もある。「先生に言います」の場合、「ゆいます」と発音されることはあまりない。
「言う」の尊敬語は、「おっしゃる」、謙譲語は「申し上げる」、丁重語は「申す」となる。
「言う」はさらに、複数の語の固定した連鎖の構成要素として使われる例も多い。以下に列挙する。これらは、全体でひとまとまりを成し、特別な意味を担う。
「~と言わず~と言わず」「~と言い、~と言い」「~と言えば」「~と言うと」「~といっても」「~からといって」「~といったら」「~という名詞」「~ということだ」「~というところだ[~といったところだ]」「~というのは」「~というものだ」「~というものは」「~というよりも」「~と言わんばかりに」
























▶全例文を聞く
<音・声>(と)
どうやら土方も不本意であったらしいことを読み取り、銀時は「ふーん」と言うに留めておくことにした。
(Yahoo!ブログ, 2008, 趣味)
<物事>を<名前>と
焼き餅を海苔で巻いたの磯辺巻といいますね。
(志の島忠,浪川寛治著 『料理名由来考』, 1990, 596)
<名前>とは<物事>を
ラジオ放送とは無線放送のことをいいます。
(飯高成男監修;宇田川弘著 『電子回路がわかる本』, 2001, 549)
<物事>を<別の名前>と
重曹は英語でいうと「ベーキングソーダ」
(佐光紀子著 『重曹・酢・石けんでナチュラルおそうじ』, 2004, )
<範囲>で(は)
もぐさを身体のツボに置き、燃焼させて適当な熱刺激を与えて病気を治す療法。 関西では「やいと」ともいう。
( 『落語お作法』, 2004, 779)
<ことば>と
「もうお客様、見えてますよ」と言う。
(内田康夫著 『札幌殺人事件』, 2004, 913)
<様態>
「まだよ」と、吐き捨てるようにいった。
(アンディ・マクナブ著;伏見威蕃訳 『クライシス・フォア』, 2001, 933)
「ふうん」と残念そうに妻は言った。
(村上春樹著 『ねじまき鳥クロニクル』, 1994, 913)
<内容>と
上半身は暑いけど下半身が冷える、とみんな言っています。
(Yahoo!ブログ, 2008, 雇用)
<指示される内容>
本人もそう言っています。
(水落英雄著 『手相が教えるあなたの開運期』, 2005, 148)
<命令内容>ように
医者にはすぐに入院するように言われたが、「でも、できん、仕事があるけん、できん」と言う。
(pumpkin, 2002, 一般)
<人>に
私はニキビ後で皮膚科へ言っていますが、先生に「生野菜やフルーツを食べてビタミンCを取るように」って毎回のように言われます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット)
<様態>
私は、部長から君の事に一切の責任を持つように強く言われている。
(Yahoo!ブログ, 2008, 文学)
<内容>(という)ようなことを[とか]
白黒はっきりさせたいというようなことを言ったと思うんですけど。
(宝月誠,進藤雄三編 『社会的コントロールの現在』, 2005, 361)
<内容>ように
この本の中で彼は次のように言っています。
(中村隆英著 『昭和経済史』, 1986, 332)
<事実・妥当な判断>かのように
ところが現実には、「筋ちがい」の部分が、あたかも問題の本質であるかのようにいわれている。
(鎌田慧著 『壊滅日本』, 2000, 304)
<ある種類のことば>を
全然駄目じゃないか、と私はぶつぶつひとりごとを言った。
(フランク・ソーヤー著;シドニー・ヴァインズ編;能本功生訳 『フランク・ソーヤーの生涯』, 1991, 787)
フミコがムニャムニャ寝言を言う。
(下井葉子著 『うみ』, 1997, 913)
<ある種の内容>を
自分の見た雲についての発表会での感想や意見を言う。
(植松雅美監修著;釼持勉編著 『板書で見る全単元の授業のすべて』, 2005, 375)
彼はどうも真実を言っていないような気がする。
(シャロン・デ・ヴィータ作;藤田由美訳 『恋人たちの聖地』, 2001, 933)
いまさら、文句をいうわけにはいかない。
(小林信彦著 『背中あわせのハート・ブレイク』, 1991, 913)
冗談を言ってる場合か」
(赤川次郎著 『早春物語』, 1985, 913)
<様態>
こそこそ人の悪口を言うんじゃねえ
(富樫倫太郎著 『女郎蜘蛛』, 2004, 913)
<属性>(だ)と
樋口一葉は、小説家として天才と言ってもいい人でした。
( 『アジアの中の日本を探る』, 1998, 210)
おかあさんとの「あうんの呼吸」とでも言うべきでしょうか。
(岩崎峰子著 『祇園の教訓』, 2003, 384)
<様態>
まさに天の配剤というべきものだ。
(石原結實著 『「体を温める」と病気は必ず治る』, 2003, 498)
<様態(評価を表す形容詞・形容動詞の連用形)>
好きな人のことを悪く言われるのはすごく悲しい。
(LEE(リー), 2002, 一般)
<伝聞内容>と
きぬ子は、明日入院するという。
(現代文, 2007, 高)
<範囲>
神経性食欲不振症、俗に言う拒食症です。
(渡辺久子著 『子どもを伸ばすお母さんのふしぎな力』, 1996, 599)
<情報源>
大井の話によると、彼が明子と知り合ったのは十年前だという。
(藤堂志津子著 『恋人よ』, 1992, 913)
その考えによれば、宇宙には無限の階層があるという。
カール・セーガン著;木村繁訳 『COSMOS』, 1980, 440)
<時間>から
「子はかすがい」と、からいう。
(佐藤隆介著 『「鬼平先生」流男の作法、大人の嗜み』, 1998, 159)






























そうなのよ、昨日も、夜中に急に音がしてね。その後も、ブーンとかウィーンとか言ってるのよ。
それで、あのホールは改修して「アルカイックホール」という名前になるそうだよ。
食べてすぐ横になると牛になるって言うよ。
ものを言う

意味
効力を存分に発揮する。
用例
締切に追われたとき、最後にものを言うのは知力よりも体力だ。
コーパスからの用例
おばちゃんなんで、金にものを言わせて、普段の取り残しは2週に一回エステで落としてます。(Yahoo!知恵袋2005)
言うは易く行うは難し

意味
「やる」と宣言することは簡単であっても、実行することはむずかしい。
用例
毎日ランニングをしようと決めて家族に宣言したが、1週間も続かなかった。言うは易く行うは難し、だ。
コーパスからの用例
しかし、言うは易く行うは難しで、できる限り医師の世話にならないように生きるというのは、それはそれで相当に面倒なことです(五木 寛之(著)『他力』1998)
言うだけ野暮

意味
暗黙のうちに他の人もわかっていることをあえて言葉にするのは愚かだ。
用例
泣き言なんて言うだけ野暮だ。
コーパスからの用例
さなくても骨ばかりの瘦せた身体に終始痛みが加わるので、僅かの身動きさえならず、苦しいの苦しくないのと、そんなことをいうだけ野暮な位になって来た。(正岡 子規(著)『子規人生論集』2001)
言わないことではない、いわんこっちゃない

意味
注意するように言ったのにもかかわらず、それを無視したためによくないことが起こった。無視をしたあなたが悪い。
用例
何?手を切ったの?だからいわんこっちゃない。気をつけなさいって言ったでしょ。
コーパスからの用例
小町姫が店のお金を持ち逃げしたのである。「だから、言わないことではない。小町姫を名乗るような嘘つきに、ろくな女はいない」店員がボヤいているのを聞いて騙されたのを知った。(利美川 進(著)『湯の街小町』2004)
有無を言わせ[さ]ず、有無を言わせ[さ]ぬ

意味
相手が承知しているかどうかに関係なく
用例
容疑が確定したので、有無を言わせず連行した。
コーパスからの用例
「新たな事実がわかりましてね。ちょっと事情をおうかがいしたいのです」福山が有無を言わせぬ口調で言った。(森村 誠一(著)『殺人の債権』2002)
言ってのける

意味
人がなかなか言えないようなことを言いきってしまう。
用例
ある新入社員が社長に向かって、あんたはばかじゃないかと言ってのけた。
コーパスからの用例
被告人不在のまま、誰の為の裁判なのか、本質を欠いた裁判が延々と続き、挙句に被告人を「優れた宗教家」と持ち上げ、懺悔し、無罪だと言ってのけた。(青沼 陽一郎(著)『オウム裁判傍笑記』2004)
言い得て妙

意味
非常に巧みで的確な表現だ。
用例
会社のために働くことだけを重視して日々を送り、個人の判断力も失ってしまった人のことを「社畜」と呼ぶのは言い得て妙だ。
コーパスからの用例
とくに政治家に徳目を求めるのは、八百屋に行って「魚をくれ」というようなものだとの表現は、あまりにも具体的であり、言い得て妙だとの感もしてくる。(保阪 正康(著)『戦後政治家暴言録』2005)
言うに事欠いて

意味
想像を超えたとんでもないことを言う以外に他に何も言うことができなくて(とんでもないことを言う)。
用例
自分が失敗をしておいてどうにもならなくなり、言うに事欠いて「お前が悪い」と私を責める。なんともひどいやつである。
コーパスからの用例
首尾よくビール券をせしめることができれば、金券ショップで売りさばいて現金化するいつもの手口を考えていたのでしょうが、店主の機転でその前に足がついてしまったようでした。追い詰められたとはいえ、何とも幼稚な発想に、怒りを通り越して呆れ果ててしまいました。しかも言うにこと欠いて、「暑いのでビールを飲みたかった」とは、まったくなんとふざけた言いぐさだろうとも思いました。(渡辺 満(著)『なぜ人はジュンク堂書店に集まるのか』2002)
言わんばかり

意味
はっきりと言ってはいなくとも、言っているような様子である。
用例
電車の中で友だちとおしゃべりをしていたら、近くにいたおじさんが、黙れと言わんばかりにこちらを見た。
コーパスからの用例
闘う鶏を養成する話である。鶏の成長ぶりを追ってみると、最初はからいばりして気負い立っている。いかにも俺は強いんだぞと言わんばかりである。(諏訪原 研(著)『ちょっと気の利いた漢文こばなし集』1999)
言うこと(が)ない

意味
悪いところを指摘することが不可能なほど十分によい。
用例
すばらしい仕事ぶりだ。言うことない。
コーパスからの用例
品があって、美人で、スタスタ歩いていらして、礼儀正しくて、言うことないおばあちゃんだと思いますけれどね。(春風亭小朝(著)/矢口ハル(著)『11人の愉快な100歳』1995)
複合動詞 V1

言い表す、言いかける、言い出す、言い続ける、言い終える、言い残す

言い張る、言い放つ、言い切る

言い尽くす、言い過ぎる、言い添える

言いかねる、言いそびれる、言い損ねる、言い忘れる

言い間違える、言い直す、言い換える

言い合う、言い返す、言い渡す、言いくるめる

言いつける、言いふらす、言いまわる、言い伝える、言いまくる

言い寄る、言い逃れる
複合名詞

物言い
言う(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形いう
ない形いわない
~なかったいわかった
ます形いい
~ませんいいま
~ましたいいした
~ませんでしたいいまんでした
~ときいうとき いう
ば形
意向形
て形いって
た形いった
可能形いえる
受身形いわれる
使役形いわせる
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