増やすのコアイメージ

1.ものの増加他動詞初級★★★
表記ふやす、増やす、殖やす   ※財産や蓄えをふやす場合は、「殖」を用いることが多い。例:貯金を殖やす
人や組織が、あるものの数量を多くする。
文型
<人・組織>が<もの>を増やす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
図書館で利用できるパソコンの台数をもっと増やしてほしい。
簡単な方法で、貯金を殖やす方法を教えます。
平屋を二階建てにして、床面積を増やすことにしました。
ピッチャーが球速アップのために筋肉量を増やす
公共事業の無駄遣いが国の借金を増やしていると主張する人もいる。
今後、さらに店舗数を増やして事業拡大を図る。
コロケーション
<人・組織>が
業者、社長、アスリート、大学、政府、企業
<活動・事柄>が
サービス、積極的な投資、無駄遣い、積み重ね、企業努力
<物・財産>を
ゴミ、街灯の数、本、生産量、商品、収入、資産、お金、借金、利益、予算、所得、税収、貯蓄、金額、年金、財産、へそくり、奨学金
<場所・空間・設備・機関>を
店、場所、店舗、距離、面積、施設、設備、病院、公民館、医療センター、学校
<物質・現象>を
脂肪、カロリー、コレステロール、筋肉、体重
<場所>で
大学、図書館、全国、各地、市場、国、会社
<手段・方法>で
簡単な方法、投資、口コミ、やり方、ネット、貿易、ギャンブル、競馬
<様態>
もっと、少し、さらに、徐々に、どんどん、とにかく、ちょっと、倍に、大幅に、確実に、急激に、勝手に
非共起例
<機関>を増やす
 名古屋大学を増やす
 名古屋大学の敷地面積を増やす
 国立大学を増やす
数量の増加が想定しにくい場合は使いにくい。
解説
語義1は、人や組織が本、ゴミ、マスク、貯金、病院、学校、水分、脂肪など、様々なもの(具体物)の数量を多くすることを表す。
誤用解説
固有名詞など、唯一の存在については用いられない。
 地球を増やす
 地球の緑を増やす
類義語・反義語
類義語増加させる、増す
反義語減らす、減少させる


2.事柄の増加他動詞初級★★★
表記ふやす、増やす
人や組織が、ある事柄の数量を多くする。
文型
<人・組織>が<事柄>を増やす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
大学で、素敵な出会いを増やしていきたい。
本学の公式ホームページの情報量を可能な限り増やす方針である。
市立図書館の利用率を増やすために、様々な工夫を凝らしている。
中途半端な経済改革が、かえって国民の負担を増やす結果となってしまった。
経営側との話し合いで、在宅勤務の日数をもっと増やすこととなりました。
教師の思いやりのある指導が、生徒の笑顔を増やしてくれる。
stairsこれまでより図書館の利用者をふやすことを目的に、新しい活動を考えていきたいと考えています。
コロケーション
<人・組織>が
学生たち、教師、自治体、交流基金、各国、会社、新聞社
<活動・事柄>が
改革、姿勢、積み重ね、宣伝、提案、行動、一言、事業
<時間・機会>を
時間、日数、休日、機会、チャンス、出会い
<活動・心情・出来事・状況>を
仕事、活動、サービス、交流、経験、会話、楽しみ、笑顔、希望、事件、事故、負担、リスク
<情報・言語・割合・程度>を
情報量、語彙、コンテンツ、メモリー、知識、記事、割合、頻度、率
<場所>で
日本、東北、市場、国内、会社、大学、海外
<手段・方法>で
方法、自らの手、自分の力、話し合い、手法、アイテム、テクニック
<様態>
もっと、一気に、さらに、順次、次々、徐々に、だんだん、こつこつ、なるべく、3倍に、着実に、簡単に、急速に、最大限、無理やり
非共起例
<事柄>を増やす
 自分の結婚を増やす
 若者の結婚を増やす
数量の増加が想定しにくい場合は使いにくい。
解説
語義1は、ゴミ、机、お金、店舗のような具体物の数量を多くすることを表す場合に用いられるのに対して、語義2は、仕事、交流、笑顔、楽しみ、機会、休日、情報といった抽象的な事柄の数量を多くすることを表す場合に用いられる。ただし、いずれも「ある対象の数量を多くする」という点では共通している。
誤用解説
意志によるコントロールが難しい生理現象には使いにくい。
 くしゃみ【げっぷ】を増やす
 くしゃみ【げっぷ】が増える
類義語・反義語
類義語増加させる
反義語減らす、減少させる


3.人・生き物の増加他動詞初級★★★
表記ふやす、増やす
人や組織が、人・組織・生き物の数を多くする。
文型
<人・組織>が<人・組織・生き物>を増やす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あの宗教団体は、日本国内にとどまらず世界中で信者を増やしている。
海外で活躍できる日本企業をもっと増やす
最低賃金の引き上げは、場合によっては、失業者を増やす結果につながる可能性がある。
政府は、大学の入学定員をこれ以上増やすのは難しいという見解を示した。
近年、インターネットで取引先を増やす会社が増えてきた。
観葉植物を増やしすぎて、冬場の置き場所に困っている。
コロケーション
<人・組織>が
教師、園長、宣教師、政府、出版社、自治体、宗教団体、マスコミ
<活動・事柄>が
増税、(賃金の)引き上げ、グローバル化、肥大化、政策緩和、行動、仕組み
<人・組織・生き物>を
定員、仲間、乗客、生徒、受験生、人数、ファン、信者、失業者、企業、得意先、ペット、魚種、観葉植物
<場所・分野>で
大学、海外、地域、世界中、職場、医療分野、業界、イベント
<手段・方法>で
インターネット、保険、対策、自らの手、自力、誘致、アイデア
<様態>
どんどん、もっと、数倍に、簡単に、順調に、無理に、一気に、たくさん、いっぺんに
非共起例
<人>を増やす
 母を増やす
 働く母を増やす
数の増加が想定しにくい場合は使いにくい。
解説
語義1は、薬、お金、パソコンのような物の数量を多くすることを表す場合に用いられるのに対して、語義3は、人や生き物の数を多くすることを表す場合に用いられる。ただし、いずれも「ある対象の数を多くする」という点では共通している。
誤用解説
数の増加が想定しにくい場合は使いにくい。
 社長を増やす
 世の中に女性社長を増やす
 副社長を増やす
類義語・反義語
類義語増加させる
反義語減らす


4.人・生き物の増殖他動詞中級★★
表記ふやす、殖やす、増やす   ※繁殖・増殖の意味で用いられる場合は、「殖」を使うことが多い。例:子孫を{殖やす}
人や組織、生き物が、生殖活動などにより、人・生き物の数を多くする。
文型
<人・組織・生き物>が<人・生き物>を殖やす
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
町の繁栄のためには、子孫を殖やす政策が不可欠である。
花を咲かせることは、植物が子孫を殖やすためのプロセスである。
絶滅危惧種の鳥を、クローンで一気に殖やす計画が進行しているらしい。
動物の多くには、子を殖やす時期、つまり繁殖期というものがある。
結婚は子孫を殖やす口実にすぎないと考える人もいる。
最先端の養殖技術がマグロをいくら殖やしても、必ずしも天然資源の保護にはつながらない。
コロケーション
<人・組織・生き物>が
人類、人間、自治体、漁協、林野庁、オス、肉食動物
<活動・事柄>が
医療技術の進展、環境政策、栽培技術の向上、活動、養殖技術
<人・生き物>を
子孫、子、マグロ、鳥、多肉植物、細胞、ウイルス、バクテリア
<手段・方法>で
ユニークな方法、あらゆる手段、クローン、新技術、培養細胞、接ぎ木
<様態>
もっと、一気に、どんどん、2倍に、急激に、徐々に、あっという間に、さらに、できるだけ、年々、たくさん
解説
語義3は、人や生き物の数を多くすることを表す場合に用いられるのに対して、語義4は、(生殖活動などによって)一般的に子孫を残すという目的でその数を多くすることを表す場合に用いられる。ただし、いずれも「人や生き物の数を多くする」という点では共通している。
誤用解説
繁殖・増殖が想定できない場合は使いにくい。
 親友を殖やす。(語義3(「親友を増やす」)はOK)
 子孫を殖やす
類義語・反義語
類義語繁殖させる、増殖させる
反義語減らす


増やすの全体解説 同じ増加の意味を表す語に「増す」がある。「増やす」は数量そのもののに重点が置かれるのに対して、「増す」は一般的に、程度性に注目する場合に用いられやすい。
 水の量・兵力を増やす
 水の量・兵力を増す

 ゴミ・年金を増やす
 ゴミ・年金を増す

 味わい・高度を増やす
 味わい・高度を増す
























▶全例文を聞く
<人・組織>が
政府が意図的に財政赤字を増やそうとする行為は、それが減税であろうと財政支出拡大であろうと、景気刺激効果があります。
(伊藤元重著 『マクロ経済学』, 2002, 331)
スターバックスが次々と店を増やしていたから、それに対抗して生き延びるには、私たちも店を増やすしかないって。
(レスリー・A.ヤークス,チャールズ・R.デッカー著;有賀裕子訳 『ビーンズ!』, 2004, 673)
<活動・事柄>が
住居、学校、工場、ホテル、人々のすべての欲求が建物を増やし続ける。
( 『世界蘭紀行』, 1992, 479)
<物・財産>を
長期的な計画を立てて、資産を増やしていきましょう。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 保険、税金、年金)
ルータを使用することによってインターネットに接続するパソコンの台数を簡単に増やすことができます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, インターネット)
<場所・空間・設備・機関>を
タルクィニウスによる干拓事業は、活用できる土地を増やしただけではなかった。
(塩野七生著 『ローマは一日にして成らず』, 2002, 232)
会議室を増やすより無駄な会議を減らすことが先決だ。
(細川護煕,岩国哲人著 『鄙の論理』, 1991, 318)
<物質・現象>を
たらふく食べて、たらふく飲んで、またもや体重を増やして帰って来た。
(山田詠美著 『日はまた熱血ポンちゃん』, 2002, 914)
<手段・方法>で
で100万円の元手を1億円に増やすのと、1億円を100億円に増やすのとでは、どちらが難しそうですか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 株と経済)
<様態>
現時点では、わたしたちは収益の全部を商売に還元し、できるだけ在庫を増やすことにしている。
(デビー・マッコーマー著;石原まどか訳 『木曜日の朝、いつものカフェで』, 2003, 933)
<人・組織>が
そのためには、政府が需要を増やす手助けをしなければなりません。
(水野勝之著 『どうなってるの!?日本の経済』, 2001, 332)
また減税が行われ国民の懐が暖かくなると、それに応じて国民が消費を増やすであろう。
(水谷研治著 『「縮少均衡」革命』, 1995, 332)
<時間・機会>を
会った時にはほんの少しでも話しかけてみるとか、こつこつと接点を増やしていくのがいいと思いますよ。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
会話の時間を増やすなどして、夫婦の間を良好な状態にするように努力しましょう。
( 『ひとりっ子のしつけと育児』, 1993, 379)
<活動・心情・出来事・状況>を
景気が悪いときには、公共事業を増やし、それで景気刺激効果が期待できます。
(伊藤元重著 『マクロ経済学』, 2002, 331)
これからもプロの演奏家などとの交流を増やしてレベルの高い音楽を聴ける機会が増えるといいですね。
(広報こおりやま, 2008, 福島県)
<情報・言語・割合・程度>を
知識を増やすことも大事だが、それは一つの勉強の要素にすぎない。
(ジョージ・ギッシュ著 『ワンダフルディファレンス』, 2004, 302)
<場所>で
男性の保育士の方と幼児とのかかわりが,各家庭で父親の子育て参加を増やしているように感じた。
(荒井紀子編著 『生活主体を育む』, 2005, 375)
<手段・方法>で
繁忙期の生産能力を増強する1番目の方法としては、昼休み時間の活用や残業対応、また休日出勤で生産時間を増やす方法がある。
(中田耕治著 『利益のあがる勝ち残り工場経営』, 2003, 509)
<様態>
仕事に拘束されず自分の意思で自由に行動できる時間をもっと増やすべきである。
(小沢一郎著 『日本改造計画』, 1993, 310)
庭は年々花の種類や色が増え、モネは園芸についての知識をどんどん増やしました。
(鬼頭郁子著 『鬼頭郁子がたずねるフランスの花とテーブル』, 2004, 596)
<人・組織>が
イーバンクが急速に顧客を増やしている要因の一つは、この次世代型振込システムにあるでしょう。
(Yahoo!知恵袋, 2005, Yahoo!オークション)
<人・組織・生き物>を
早期に犯人を検挙して、被害者を増やさないためには、皆さんの協力が必要です。
(広報くるめ, 2008, 福岡県)
毎年、平均して9回の個展を全国で行っていて、着実にファンを増やしている龍君。
(小澤典代著 『人がつなぐ暮らし、手が伝える大切なこと』, 2004, 590)
<場所・分野>で
1999年から2000年にかけて、アメリカで参加者を増やした唯一のスポーツがサッカーだったというのも、こうした背景によるものだろう。
(佐山和夫著 『松井秀喜の「大リーグ革命」』, 2003, 783)
<手段・方法>で
あちこちのチャットで友達を増やすのが楽しくなっていた頃ですね。
(田村毅著 『癒しのメーリングリスト』, 2005, 146)
<様態>
それでも同社は、本業である種や苗を生産農家に熱心に売り込んでまわることで、細いつながりながら、顔なじみの農家をコツコツと増やしていきました。
(俵貴幸著 『必ず繁盛店!地域密着商法の極意』, 2004, 673)
<人・組織・生き物>が
トンボが自分の仲間を増やそうとするとき、とんでもない性のゲームをしているのがわかったのです。
(西山賢一著 『左右学への招待』, 1995, 361)
<人・生き物>を
キノコは菌糸体→子実体→胞子→菌糸体…というサイクルで子孫を殖やしていきます。
(齋藤隆監修;沢崎宏著 『これだけは知っておきたい!ガンを治す新常識』, 2003, 494)
ペクチンは腸内の善玉菌を増やし、さらには悪玉菌を抑制し、腸内環境を整えて消化吸収を助ける働きをします。
(広報わたり, 2008, 宮城県)
<手段・方法>で
八重咲き種は株分けで殖やし、株分け後は、元肥を施して植えつける。
(小黒晃監修 『季節の草花多年草・球根』, 2005, 627)






























これまでより図書館の利用者をふやすことを目的に、新しい活動を考えていきたいと考えています。
増やす(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
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