増えるのコアイメージ

1.ものの増加自動詞初級★★★
表記ふえる、増える、殖える   ※財産や蓄えがふえる場合は、「殖」を用いることが多い。例:資産が殖える
あるものの数量が多くなる。
文型
<もの>が増える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
このキャリーバッグなら、荷物が増えても安心だ。
震災の影響で、赤字がどんどん増えていく。
建築法の改正により、タワーマンションが急速に増えている。
オンライン診療を導入する医療機関が、全国で増えている。
ストレスや保湿不足などが原因で、皮脂の分泌が増えることがあるらしい。
年を重ねていくと、白髪が増えていくのは、仕方のないことです。
コロケーション
<物・財産>が
荷物、食品、美術品、在庫、材料、自動車、資産、収入、所得、金額、借金、赤字、資金、財産、預金、貯金
<場所・空間・設備・機関>が
家、施設、学校、面積、場所、店舗、地域、マンション、距離、物件、範囲、建物、医療機関
<物質・現象>が
体重、脂肪、分泌、コレステロール、筋肉、二酸化炭素、ホルモン、エネルギー、白血球、酸、雲、にきび
<場所>で
全国、欧米、途上国、沿岸地域、家庭、国内、学校
<理由・原因>で
影響、原因、効果、増税、上昇、運用、不況、減少、台風、悪化、低下、増加、大雨
<様態>
どんどん、年々、すぐ、次々、結構、いきなり、2倍に、大幅に、非常に、急に、急速に、着実に、順調に、明らかに、極端に、激的に、無限に
非共起例
<現象>が増える
 夏が増えた
 地球温暖化で、猛暑の夏が増えた
 夏が長くなった
数量の増加が想定しにくい場合は使いにくい。
解説
語義1は、食料品、車、資産、マンション、コンビニ、タンパク質、筋肉など、様々なもの(具体物)の数量が多くなることを表す。
誤用解説
固有名詞など、唯一の存在については用いられない。
 琵琶湖が増えた
 琵琶湖の面積が増えた
類義語・反義語
類義語増加する、増す
反義語減る、減少する


2.事柄の増加自動詞初級★★★
表記ふえる、増える
ある事柄の数量が多くなる。
文型
<事柄>が増える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
テレワークで家族との時間が増えた
ビデオ会議の普及で、働き方の選択肢が増えてきた。
半年間カナダに留学しただけなのに、格段に語彙数が増えたように感じます。
近年自動車を中心に、製造業で雇用が大幅に増えた
彼女との大切な思い出がまた一つ増えて、とても嬉しい。
最近のがん診断の進歩により、小さな異常でも発見できる確率が増えてきた。
コロケーション
<時間・機会>が
時間、日数、休日、期間、機会、ケース、選択肢、チャンス、出番、出会い
<活動・心情・出来事・状況>が
作業、雇用、残業、相談、依頼、サービス、交流、悩み、笑顔、楽しみ、思い出、トラブル、問題、地震、喧嘩、症例、負担、自殺、疾患
<情報・言語・割合・程度>が
知識、情報、項目、内容、言葉、語彙、ページ、メール、データ、記事、コンテンツ、アイテム、単語、書き込み、コメント、割合、率、頻度、比率、確率、密度、速度、度合い
<場所・分野>で
先進国、北欧、大学、地域、都会、諸国、世界中、製造業、スポーツ界
<理由・原因>で
おかげ、理由、普及、関係、増加、ブーム、ストレス、病気、改革、改訂
<様態>
さらに、少し、多少、だいぶ、ぐんと、ずっと、倍に、急激に、大幅に、確実に、格段に、膨大に
非共起例
<時間>が増える
 試合の開始時間が増えた
 試合の開始時間が延びた
(物事の実施の)時間が延期される場合は、使いにくい。
解説
語義1は、荷物、車、マンションのような具体物の数量が多くなることを表す場合に用いられるのに対して、語義2は、残業、トラブル、笑顔、悩み、出会い、祝日、知識といった抽象的な事柄の数量が多くなることを表す場合に用いられる。ただし、いずれも「ある対象の数量が多くなる」という点では共通している。
誤用解説
噂・情報などが拡散する場合は、使いにくい。
 彼女の妊娠の噂が増えた
 彼女の妊娠の噂が広まった
 芸能人が有名になると、ネットの噂が増える
類義語・反義語
類義語増加する
反義語減る、減少する


3.人・生き物の増加自動詞初級★★★
表記ふえる、増える
人や組織、生き物の数が多くなる。
文型
<人・組織・生き物>が増える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
日々の努力の積み重ねでファンが少しずつ増えてきた。
日を追うごとに、全国で感染者が増えている。
祭りのたびに、我が家の金魚が増えていく。
少子化の影響などで、地方の大学でも留学生が増えてきた。
財政悪化などで、ふるさと納税に積極的に取り組む自治体が非常に増えている。
この会社では、雇用制度の抜本的な改革により、能力のある人材が著しく増えた
コロケーション
<人・組織・生き物>が
生徒、留学生、患者、ボランティア、会員、友達、ファン、消費者、人材、得意先、取引先、自治体、学校、市民団体、ペット、花、金魚
<場所・分野>で
世界、海外、全国、各地、自治体、会社、産業界、医療分野、建築業界
<理由・原因>で
口コミ、積み重ね、緩和、きっかけ、震災、事故、改革
<様態>
非常に、どんどん、著しく、もっと、かなり、ちょっと、少しずつ、相当、5倍に、自然に、新たに、一気に、次第に
非共起例
<人>が増える
 親が増えた
 自分の子供に注意しない親が増えた
数の増加が想定しにくい場合は使いにくい。
解説
語義1は、書籍、お金、パソコンのような物の数量が多くなることを表す場合に用いられるのに対して、語義3は、人や生き物の数が多くなることを表す場合に用いられる。ただし、いずれも「ある対象の数が多くなる」という点では共通している。
誤用解説
固有名詞など、唯一の存在については用いられない。
 娘の京子が増えた
 養子縁組で娘が増えた
類義語・反義語
類義語増加する
反義語減る、減少する


4.人・生き物の増殖自動詞中級★★
表記ふえる、殖える、増える   ※繁殖・増殖の意味で用いられる場合は、「殖」を使うことが多い。例:子孫が{殖える}
生殖活動などにより、人や生き物の数が多くなる。
文型
<人・生き物>が殖える
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
自分と同じ種類の子孫や個体が殖えることを、一般的に「生殖」と言う。
土壌改善で、木の枝が太く大きくなり、実も一気に殖えた
友達からもらったカブトムシが殖えすぎて困っています。
がん細胞がどんどん殖えて、あっという間に全身に転移してしまった。
ネズミは繁殖力が旺盛なため、放っておくとすぐに殖えていってしまいます。
おせち料理に数の子が入っているのは、「子孫が殖えるように」という子孫繁栄の願いが込められているからである。
stairsヒトデは体を半分に割ってふえるものもいるんだよ。
コロケーション
<人・生き物>が
子孫、子、ネズミ、カブトムシ、細菌、ダニ、乳酸菌、細胞、微生物
<理由・原因>で
変化、原因、要因、進歩、改善、登場、導入、効果、繰り返し
<様態>
一気に、だんだん、ずいぶん、日に日に、みるみる、たちまち、数倍に、大量に、あっという間に、顕著に、とたんに、異常に、過剰に
解説
語義3は、人や生き物の数が多くなることを表す場合に用いられるのに対して、語義4は、一般的に生殖活動などによって、子孫を残すという目的で、(結果的に)その数が多くなることを表す場合に用いられる。ただし、いずれも「人や生き物の数が多くなる」という点では共通している。
誤用解説
繁殖・増殖が想定できない場合は使いにくい。
 友達が殖える。(別義3(「友達が増える」)はOK)
 子孫が殖える
類義語・反義語
類義語増殖する、繁殖する
反義語減る、減少する


増えるの全体解説 同じ増加の意味を表す語に「増す」がある。「増える」は数量そのもののに重点が置かれるのに対して、「増す」は一般的に、程度性に注目する場合に用いられやすい。
 体重・川の水が増える
 体重・川の水が増す
 貯金・洋書が増える
 貯金・洋書が増す
 強度・長さが増える
 強度・長さが増す
























▶全例文を聞く
<物・財産>が
人々の収入が増えると自然に消費が増えてくる。
(水谷研治著 『「縮少均衡」革命』, 1995, 332)
バイパスができてから高岡第一小学校のまわりは、が増えて危険がいっぱいです。
(土佐広報, 2008, 高知県)
<場所・空間・設備・機関>が
パリにもファストフード店が増え、「文化の画一化」が広まっているという。
(アサヒカメラ, 2001, レジャー/趣味)
都市化することで、太陽からの熱を受ける面積が増えると同時に、コンクリートの建物が余分に熱を取り込んでいきます。
(Yahoo!ブログ, 2008, 自然科学)
<物質・現象>が
実はまた最近不規則な生活で若干体重が増えてきた。
(Yahoo!ブログ, 2008, グルメ、ドリンク)
ガン細胞は細胞分裂を無限に繰り返して同じ細胞が倍々に増えてゆきます。
(土屋繁裕著 『このガン切るべきか、切らざるべきか』, 2001, 494)
<場所>で
週末専門スーパーは全国で増えつづけているという。
(渡辺一雄著 『百貨店が無くなる日』, 1993, 673)
大手町や丸の内では、地価の低下と同時に、コンビニやマッサージの店が増えた。
(竹内宏著 『「町おこし」の経済学』, 2004, 601)
<理由・原因>で
最近、GS併設店が改めて脚光を浴びるようになったのは、規制緩和でセルフ式スタンドが増えたため。
(日経MJ(流通新聞)編 『流通経済の手引』, 2003, 675)
地球温暖化で二酸化炭素が増えると温度が上がる。
(Yahoo!知恵袋, 2005, ボランティア、環境問題、国際協力)
<様態>
だから余計に輸入が増えて、国家の財政赤字がますます増える。
(村上春樹著 『遠い太鼓』, 1990, 914)
<時間・機会>が
年末年始には会合などで飲酒する機会が増えてきます。
(市報松江, 2008, 島根県)
秋の夜は、テントの中でゆったり過ごす時間が増える。
(ガルヴィ(GARRRV), 2005, 機械)
<活動・心情・出来事・状況>が
サッカーの応援に行くようになってから、僕にはもうひとつ、楽しみが増えた。
(生島ヒロシ著 『堂堂家族主義』, 2002, 699)
また、県下では夕暮れ時から夜間にかけて、高齢者が絡んだ交通事故が増えています。
(広報やかげ, 2008, 岡山県)
<情報・言語・割合・程度>が
普通畑作物のうちでは,てん菜,ばれいしょの割合が増え,麦と豆類は減少してきた。
(農業白書, 1978, )
分からないことを人に聞けば知識が増え、いつの間にか心に余裕が生まれます。
(塚谷正彦著 『雇用ミスマッチゼロ宣言!』, 2002, 366)
<場所・分野>で
いわゆる一般犯罪も、経済が低迷し、貧困からの脱却がままならない多くの途上地域で、増えることはあっても減る方向にはないといえるであろう。
(内海成治編 『国際協力論を学ぶ人のために』, 2005, 329)
<理由・原因>で
こうして、ナラさんのお陰で、豆知識も増えていくわけですね。
(Yahoo!ブログ, 2008, 芸能人、タレント)
<様態>
これらのガンが減少傾向にあるのに比べ、肺ガン、膵ガン、胆道ガン、前立腺ガン、卵巣ガンなどの死亡率が著しく増えています。
(西銘伸蔵著 『静脈瘤の即日手術』, 2003, 494)
これからの日本は余暇が少しずつ増えると思われる。
(坂井昭彦著 『オーストラリアって、おもしろい!』, 1996, 297)
<人・組織・生き物>が
その結果、沿海部都市では失業者が増えて、治安が悪化してしまった。
(大高未貴著 『冒険女王』, 2003, 292)
近年,全国的に看護大学が年々ふえ,大学院をあわせもつところもふえてきている。
(坂野雄二監修;嶋田洋徳,鈴木伸一編著 『学校、職場、地域におけるストレスマネジメント実践マニュアル』, 2004, 498)
<場所・分野>で
こうした職人層を中心にして、エペソやその周辺の地域では、いわゆる異邦人キリスト教徒がぐんぐん増えていった。
(大塚久雄著 『社会科学と信仰と』, 1994, 304)
経済成長している中国ではどんどん金持ちが増えている。
(山下惣一,大野和興著 『百姓が時代を創る』, 2004, 610)
<理由・原因>で
こんなきっかけで、友人も増えるってわけだ。
(安宅温著 『走れ介護タクシー』, 2001, 685)
<様態>
海外旅行の普及でヨーロッパを訪問する人びとがずいぶんふえてきた。
(鳴海邦碩編 『景観からのまちづくり』, 1989, 518)
20年前に比べれば日本で出会う外国人は相当増えたと実感できる。
(九里徳泰著 『冒険王への100の戦術』, 2000, 786)
<人・生き物>が
また、若くても、悪玉菌が増える生活をしていると、腸はどんどん老化してしまうんですよ。
(オレンジページ, 2001, 一般)
最近暖かくなってきてが増えてきました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 家事、住宅)
<様態>
このころ,栄養になる塩類が深海からわき上がったことや地球が再び温暖になったことが爆発的に生物が増えた原因としてあげられている。
(新編理科総合B, 2006, 高)






























ヒトデは体を半分に割ってふえるものもいるんだよ。
種類

意味
増える(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
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~ませんふえま
~ましたふえした
~ませんでしたふえまんでした
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