広める(ひろめる)
2グループ
▶活用を見る・聞く
1.
範囲の拡大
人や組織が、ある事柄に対する範囲を大きくする
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
2.
物事の普及
人や組織が、ある物事に対して、広範囲にわたって知られる・行われるようにする
文型
文法
例文
コロケーション
非共起例
解説
誤用解説
類義語・反義語
▼
全体解説
▲
トップ
広める
のコアイメージ
1.
範囲の拡大
他動詞
初級
★★★
表記
ひろめる、広める
人や組織が、ある事柄に対する範囲を大きくする
文型
<人・組織>が<事柄>を広める
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
見識をさらに
広める
ために、大学院進学を決めた。
▶
知見を
広める
ためのおすすめの本を教えてください。
▶
生徒の皆さんには、この体験を生かしてさらに視野を
広めて
ほしいと思います。
▶
読書をする理由として、知識を得たい、教養を
広めたい
などが考えられる。
▶
この会社では、最新の情報の習得と知識の幅を
広める
ために、毎週社員研修を実施している。
▶
この電動カートは、シニア世代や足の不自由な人の行動範囲を
広める
ために開発された。
コロケーション
<人・組織>が
学生、生徒、若者たち、子供たち、ボランティア団体、企業
<事柄>を
見聞、知識、知見、視野、活動、範囲、領域、教養、経験、幅
<場所>で
海外、世界、アジア、外国、いろいろな所
<手段・方法>で
自分たちのやり方、ボランティア、いろいろな手段、ユニークな方法、自分たちの手、自分の力
<様態>
地道に、熱心に、真剣に、着実に、懸命に、もっと、さらに
非共起例
<事柄>を広める
出勤を
広める
。
子連れ出勤を
広める
活動をしている。(語義2はOK)
▶
範囲の拡大を想定しにくい事柄については用いられない。
解説
▶
語義1は、人や組織がある事柄の範囲を大きくする、つまり拡大させることを表す。ここでの事柄というのは、見聞、視野、経験など、人間の営みに基づくもの、つまり何らかの活動が伴うものを指す。なお、下の例のように、幅、面積、空間などの物理的な範囲を大きくする場合は、現代日本語ではあまり用いられず、代わりに「広げる」が使われる。なお、「発達中の台風が勢力範囲をさらに
広める
」のように、例によっては物が主語になっている場合もあるが、いわゆる「擬人化」という表現法であると考えられる。
床面積を
広める
。
床面積を
広げる
。
誤用解説
▶
物理的な範囲を大きくする場合は、現代日本語ではあまり用いられない。
風呂敷を
広める
。
風呂敷を
広げる
。
日本伝統の風呂敷を
広める
活動をしている。(語義2はOK)
単なる数量の増加には使いにくい。
資産を
広める
。
資産を
増やす
。
類義語・反義語
類義語
広げる、拡大させる、拡張させる
反義語
狭める
2.
物事の普及
他動詞
初級
★★★
表記
ひろめる、広める
人や組織が、ある物事に対して、広範囲にわたって知られる・行われるようにする
文型
<人・組織>が<もの・こと>を広める
文法
受身
尊敬
使役
意思
継続
結果・完了
例文
▶
すべての例文を聞く
▶
いわゆる「ゆるキャラ」を一気に
広めた
のは、実はマスコミだと言われている。
▶
無謀だと言われるかもしれないが、インドで日本のカレーを
広めたい
と考えている。
▶
にっぽんど真ん中祭りの開催に向けて、名古屋の魅力を国内外にどんどん
広めて
いきたいと思います。
▶
日本ゴルフツアーの選手会長は、先日の理事会でゴルフのすばらしさを子供から大人まで
広めたい
と抱負を語った。
▶
30歳で脱サラして地元に戻り、現在は地元の酒造会社と協力して地酒を
広める
活動をしています。
▶
先日起きた殺人事件の被害者やその遺族の情報が、何者かによってネットで
広められて
しまった。
▶
これからも、もっともっとカポエイラの魅力をたくさんの人に
広めていきたい
ですね。
コロケーション
<人・組織>が
日本人、ユダヤ人、宣教師、聖徳太子、空海、出版社、酒造会社、自治体、宗教団体、マスコミ
<もの>を
作品、酒、製品、商品、木の家、(幸せの)花、お茶
<こと>を
教え、理解、文化、噂、情報、技術、認識、仏教、考え方、思想、信仰、キリスト教、教育、名、魅力、価値、サービス、消費、音楽、農業、スポーツ、柔道、デマ
<人・組織>と
皆さん、友達、仲間、友人、各分野の人々、自治体、行政
<出発点>から
日本、家庭、地域、北部、地方、子供
<着点・範囲>まで
大人、アメリカ、ヨーロッパ、世代、隅々
<対象>に
世界、全国、世の中、世間、人々、地域、全域、海外、国民、各地、学校
<時点・時期>に
最初、5世紀、末期、現代、後期
<場所>で
日本、世界中、全国、ヨーロッパ、バンコク、ハワイ、アジア、地域、あちこち
<手段・方法>で
あらゆる方法、口コミ、ネット、ブログ、言葉、マスコミ、メディア、ラジオ
<様態>
自由に、勝手に、早急に、急速に、新たに、故意に、あっという間に、内密に、もっと、さらに、どんどん、かなり、徐々に、一気に、しっかり、だんだん、無理矢理、一歩一歩
非共起例
<もの>を広める
机を
広める
。
日本製の机を海外に
広める
。
▶
すでに多くの人に知れ渡っているものについては使いにくい。
<こと>を広める
講演会で、思い出を
広める
。
講演会、思い出を
語る【披露する】
。
▶
単に相手に伝える場合は使いにくい。多くの人に知れ渡るようにする場合に用いられる。
解説
▶
語義1は、「見識を
広める
」のように、見識という事柄を豊かなものにすることを表す場合に用いられるのに対して、語義2は、「問題となる事柄に対して、多くの人に知れ渡る(あるいは、行われる)ようにする、つまり、人々が何かを受け入れてさらにそれを他に伝える」ということを表す場合に用いられる。ただし、いずれも「ある事柄の範囲を大きくする」という点では共通している。
誤用解説
▶
広範囲・多数にわたって行われる必要がある。
友達に運転技術を
広める
。
友達に運転技術を
教える
。
市民に、モータースポーツを通じて培った運転技術を
広めて
いく。
類義語・反義語
類義語
広げる、普及させる、行き渡らせる
反義語
広める
の全体解説
「広げる」は「広める」と同様に「ある事柄の範囲を大きくする」ということを表す場合に用いられるため、(1)のように互いに置き換えても文の持つ意味がほとんど変わらないケースもある。
(1)
視野を
広げる
。
視野を
広める
。
(2)
話を
広げる
。
話を
広める
。
ただし、両語はある対象に対して、どの部分に注目するかによって使い方が異なると考えられる。つまり、「広げる」は基本的に「範囲の拡大」そのものに注目する場合に用いられるのに対して、「広める」は例えば(1)の場合、「いろいろな経験の積み重ねによって、視野を養う」というように「範囲が拡大するプロセス」に注目する文脈で用いられやすいと考えられる。そのため、(2)において「広げる」を用いた場合と「広める」を用いた場合とではニュアンスが異なる。つまり、「広げる」の場合は、「いろいろな話題に触れる(つまり、話そのものを拡大・発展させる)」というような解釈になるのに対して、「広める」は、「範囲が拡大するプロセス」に注目する文脈で用いられやすいことから「話が(他人に)知れ渡るようにする」という<語義2>の解釈になりやすい。
▶全例文を聞く
previous
play
next
stop
mute
max volume
repeat
shuffle
full screen
コーパス
アニメ
慣用表現
複合語
語義
1
<事柄>を
◆
教師たちは,話し合いや作業を共にして
見聞
を広めた。
(犬山市教育委員会編著 『自ら学ぶ力を育む教育文化の創造』, 2005, 372)
◆
インターネットを使って同じ趣味の人との交流をして,
知識
を広めたい。
(Yahoo!ブログ, 2008, 芸術、アート)
<様態>
◆
有的は
さらに
事業の範囲を広めた。
(童門冬二著 『マイナス転じて福となす経営』, 1993, 672)
◆
だから学生のときは
できるだけ
幅を広めて、あとで先を狭めて専門にいくというようにすれば、また広げなくてはならないときにそれができる。
(梅園忠著 『海辺医草』, 2003, 498)
語義
2
<人・組織>が
◆
さまざまな伝統が途絶えてしまったわたしたちの社会では,
メディア
が広める役割像の影響力がどんどん高まっています。
(フランク・シルマッハー著;佐藤正明訳 『老人が社会と戦争をはじめるとき』, 2005, 367)
◆
長野県の木曽漆器は,木曽の豊富なひのき材をもとにして漆器がつくられ,中山道の宿場町を通る
旅人
が広めました。
( 『学習図説小学校社会科全集』, 1992, )
<もの>を
◆
奇しくも、日本にインド
料理
を広めようとしたそれらの人たちが、一様に日本人女性を妻としたことは、彼らが新しいものの創造を目指したことを示してはいないだろうか。
(辛島昇,辛島貴子著 『カレー学入門』, 1998, 596)
◆
それを見て、こういう
製品
を世界に広めて行くのはおもしろいなあと思ったんです。
(季刊オーディオベーシック, 2001, レジャー/趣味)
<こと>を
◆
イギリスは帝国主義支配を行ったが、それとともに世界へ個人を重んじる民主主義
思想
を広めることになったから、矛盾があった。
(加瀬英明著 『イギリス衰亡しない伝統国家』, 2000, 302)
◆
友達に『おまえは
うわさ
を広めるやつだ』といわれました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
<着点・範囲>まで
◆
あなたの教えを
彼方
まで広めましょう
(Yahoo!ブログ, 2008, 文学)
<対象>に
◆
ローマ帝国の文化的意義は,その支配をとおして地中海世界の
すみずみ
にギリシア・ローマの古典文化をひろめたことにある。
(詳説 世界史, 2006, 高)
◆
まず、地元の新聞やラジオやテレビは、きみがやっていることを地域の
人々
に広めてくれる。
(リチャード・E.ネルソン,ジュディス・C.ガラス著;那波かおり訳 『友だちを自殺させないためにきみにできること』, 1997, 368)
<場所>で
◆
またオマーン人達は航海や交易をしながら
寄港先
でアラビア語やアラブ文化を広めた。
( 『オマーン』, 1991, )
<手段・方法>で
◆
国民の圧倒的多数が見ているテレビの
CM
で平然と“ら抜き言葉”を広め、公式化したコピーライターたちの罪は深い、と私は思う。
(中野翠著 『会いたかった人』, 1996, 280)
<様態>
◆
さらに、その名声を
あまねく
全世界に広めようと誓いを立てられ、その名声は全世界に聞こえました。
(中西智海監修 『浄土真宗』, 2005, 188)
◆
その後、陳建一さんは父の味をさらに改良し、麻婆豆腐を日本に
ますます
広めていった。
(サライ, 2003, 一般)
語義
2
▶
これからも、もっともっとカポエイラの魅力をたくさんの人に
広めていきたい
ですね。
複合動詞 V2
言い広める、押し広める
広める
(2グループ)の活用
▶活用を聞く
アクセント型
起伏型
辞書形
ひろ
め
る
ない形
ひろ
め
ない
~なかった
ひろ
め
なかった
ます形
ひろめ
ま
す
~ません
ひろめま
せ
ん
~ました
ひろめ
ま
した
~ませんでした
ひろめま
せ
んでした
~とき
ひろ
め
るとき
ば形
ひろ
め
れば
意向形
ひろめ
よ
う
て形
ひ
ろ
めて
た形
ひ
ろ
めた
可能形
ひろめら
れ
る(ひろめ
れ
る)
受身形
ひろめら
れ
る
使役形
ひろめさ
せ
る
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