広まるのコアイメージ

1.範囲の拡大自動詞初級★★★
表記ひろまる、広まる
ある事柄の範囲が大きくなる
文型
<事柄>が広まる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
科学技術の進展に伴い、人類の活動領域が一気に広まった
海外の文化に触れることによって、もっと視野が広まると思います。
今回の研修旅行で、少し教養が広まった気がします。
車の運転ができるようになり、行動範囲がかなり広まった
社会人になって一番変わったことは、人間関係の幅が広まったことです。
海外に出かけて異文化に触れることは、知見が広まるとともに良いリフレッシュにもなる。
コロケーション
<事柄>が
知見、才能、教養、知識、視野、見聞、幅、範囲、領域
<手段・方法>で(によって)
読書、旅行、アルバイト、留学、異文化交流
<様態>
さらに、もっと、だいぶ、かなり、少し、ある程度、必ず、きっと
非共起例
<事柄>が広まる
 最近、体重が広まった
 最近、体重が増えた
単なる数量の増加には使いにくい。
<事柄>が広まる
 最近、物忘れが広まった
 最近、物忘れが酷くなった
物事の度合いには使いにくい。
解説
語義1は、ある事柄の範囲が大きくなる、つまり拡大することを表す。ここでの事柄というのは、見聞、視野、経験など、人間の営みに基づくもの、つまり何らかの活動が伴うものを指す。なお、幅、面積、空間などの物理的な範囲が大きくなる場合は、現代日本語ではあまり用いられず、代わりに「広がる」が使われる。
 河川改修によって川幅が広まった
 河川改修によって川幅が広がった
誤用解説
範囲の拡大を想定しにくい事柄については使いにくい。
 仕事が広まる
 仕事の幅が広まる
類義語・反義語
類義語広がる、拡大する、拡張する
反義語狭まる


2.物事の普及自動詞初級★★★
表記ひろまる、広まる
ある事柄が広範囲にわたって知られる・行われるようになる
文型
<もの・こと>が広まる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
日本にラーメンが広まったのは明治時代とされている。
彼の作品は、芥川賞受賞をきっかけに、一気に広まった
野球がヨーロッパであまり広まらない理由はどこにあるのだろうか。
自販機荒らしの新たな手口が、口コミでどんどん広まってしまった。
お盆の行事が一般庶民に広まったのは江戸時代からだと言われている。
カレーライスが地方にまで広まったのは,学校の給食としてカレーが取り入れられたことも要因の1つとして考えられる。
stairs今、地球環境に配慮した取組がひろまっています
コロケーション
<もの>が
作品、製品、商品、茶の湯、ラーメン、お茶、醤油
<こと>が
噂、認識、考え方、話、情報、理解、言葉、評判、信仰、名、習慣、思想、意識、風潮、仏教、文化、誤解、技術、輪、感染、キリスト教、インターネット、人気、稲作、サービス
<時点・時期>から
2000年頃、江戸時代、70年代、60年初頭、明治初期
<時点・時期>に
奈良時代、80年代、5世紀頃、江戸時代以降、18世紀後半
<場所>から
日本、北欧、中国、バンコク、三河地域、地元、新潟地方
<場所>で
世界、世界中、全国、国内、海外、会社、職場、大学、あちらこちら
<場所>まで
東京、ハリウッド、東南アジア、インド、南米、職場
<場所>に
全国、世界中、各地、世間、世の中、全土、社会、地域、全域、各国、企業、市場、町中、社内、海外
<人>に
庶民、人々、民間、大衆、女性、市民、皆
<手段・方法>で
口コミ、噂、経由、ルート、口伝、宣伝
<様態>
一瞬で、急速に、あっという間に、またたく間に、たちまち、自然に、確実に、着実に、短期間に、次第に、徐々に、だんだん、すぐ、どんどん、一気に
非共起例
<もの>が広まる
 ドアが広まった
 センサー技術の進歩により、自動ドアが一気に広まった
すでに多くの人に知れ渡っているものについては使いにくい。
<こと>が広まる
 彼の気持ちが広まった
 彼の気持ちが伝わった
 彼女の失恋の噂が広まった
単に相手に伝わる場合は使いにくい。広範囲・多くの人に知れ渡るようになる場合に用いられる。
解説
語義1は、「見聞が広まる」のように、見聞という事柄が豊かなものになるということを表しているのに対して、語義2は、「問題となる事柄が、多くの人に知れ渡る(あるいは、行われる)ようになる」ということを表している。ただし、いずれも「ある事柄の範囲が大きくなる」という点では共通している。
誤用解説
単なる数量の増加には使いにくい。
 交通事故が広まった
 交通事故が増えた
類義語・反義語
類義語広がる、普及する、行き渡る
反義語


広まるの全体解説 「広がる」は「広まる」と同様に「ある事柄の範囲が大きくなる」ということを表す場合に用いられるため、(1)のように互いに置き換えても文の持つ意味がほとんど変わらないケースもある。
(1) 視野が広がる
    視野が広まる
(2) 話が広がる
    話が広まる
 ただし、両語はある対象に対して、どの部分に注目するかによって使い方が異なると考えられる。つまり、「広がる」は基本的に「範囲の拡大」そのものに注目する場合に用いられるのに対して、「広まる」は例えば(1)の場合、「いろいろな経験の積み重ねによって、視野が養われる」というように「範囲が拡大するプロセス」に注目する文脈で用いられやすいと考えられる。そのため、(2)において「広がる」を用いた場合と「広まる」を用いた場合とではニュアンスが異なる。つまり、「広がる」の場合は、「いろいろな話題に触れる(つまり、話そのものが拡大・発展する)」というような解釈になるのに対して、「広まる」の場合は、「範囲が拡大するプロセス」に注目する文脈で用いられやすいことから「話が(他人に)知れ渡るようになる」という<語義2>の解釈になりやすい。
























▶全例文を聞く
<事柄>が
上司も喜ぶし、部下も、知らない話が聞けて,見聞が広まる。
(福田健著 『頭にくる上司、手をやく部下との対話術』, 2003, 336)
譲渡制限付新株予約権付社債が導入されるなど、会社にとって資金調達手段が広まります。
(蓮見正純,六川浩明著;エクスメディア編 『誰でもわかる新会社法』, 2005, 325)
<様態>
このように高度化・多様化する電気通信サービスの中で、利用者にとっては、自己のニーズ・利用形態等に応じて事業者、サービス、料金、端末機器等を選択する幅が一層広まってきており、利用者の利便の向上が進展している。
(通信白書, 1994, )
<もの>が
その後13世紀ころ,大陸から禅宗が伝えられて戦国武士や農民に受け入れられ,精進料理が広く全国に伝わってゆくなかで豆腐がひろまったと考えられている。
(農文協編 『ダイズ・アズキ』, 2001, 616)
殷をほろぼした周の時代には,鉄製の兵器や農具が広まって農業の生産が高まり,商業も発達しました。
(新しい社会 歴史, 2005, 中)
<こと>が
明治時代になり、欧米文化が広まるにつれ、洋犬種も急増した。
(吉田悦子著 『日本犬・血統を守るたたかい』, 2003, 645)
聖武天皇が位についた8世紀前半,平城京では病気が広まり,多くの人々がなくなりました。
(新編 新しい社会 6上, 2006, 小)
<時点・時期>から
20世紀をむかえるころから,洋服の着用はかなり広まった。
(現代の日本史, 2006, 高)
たしかに、一七九六年にジェンナーによって確証された種痘法は,一九世紀はじめからかなり広まって天然痘予防に効果を発揮した。
(福井憲彦著 『ヨーロッパ近代の社会史』, 2005, 230)
<時点・時期>に
弥生時代に銅鏡、銅剣、銅矛、銅鐸などの青銅の祭器が広まっている。
(武光誠著 『日本人なら知っておきたい神道』, 2003, 170)
<場所>から
この縦笛は、古代ペルシア起源で西アジアから東欧、アフリカ、インドに広まった。
(若林忠宏著 『スロー・ミュージックで行こう』, 2005, 762)
モミの木に金銀の飾りをつけるクリスマス・ツリーは、ゲルマン文化圏から広まったものである。
(林信吾著 『英国ありのまま』, 1994, 302)
<場所>で
日本に行ったら“和田さんを訪ねるのがいい”という情報が、いつのまにか一部の外国人のあいだで、広まったようです。
(Yomiuri Weekly, 2003, 一般)
<場所>まで
「ドクター・ノグチは金を費いすぎる」という噂が囁かれはじめ、それはラゴスの研究所まで拡まっていく。
(渡辺淳一著 『遠き落日』, 1979, 913)
<場所>に
弘法大師、つまり空海の伝説が日本ぜんたいにひろまっているのは、その信仰が国じゅうにゆきわたっていたことをあらわしています。
(岡田章雄著 『私たちの日本史』, 1986, )
江戸後期の寛政から文化文政年間にかけて(十八世紀後半〜十九世紀初)、生花様式のいけばなが町人たちのに急速に広まっていった。
(工藤昌伸著 『日本いけばな文化史』, 1993, 793)
<人>に
これらのことがらをきっかけに特急の人気が高まり,鉄道を使った長距離の旅行が庶民に広まり,あわせてダイヤ改正ごとに特急は増発を続けます。
(結解学写真 『JR特急』, 2004, 546)
<手段・方法>で
ところが妹の死は口伝えで広まり、遠くから来る行商のおばさんたちの耳にも入ったようです。
(葬送の自由をすすめる会編 『葬送の自由と自然葬』, 2000, 385)
<様態>
この出来事に関する噂はひそやかに,すぐに広まった。
(ポンサルマーギーン・オチルバト著;内田敦之他訳 『モンゴル国初代大統領オチルバト回想録』, 2001, 289)
こうして資本市場の論理が社会の支配的な価値観となるような雰囲気が徐々に広まっていったように思われます。
(水口剛著 『社会を変える会計と投資』, 2005, 338)






























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