広げるのコアイメージ

1.面積を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が、ものの空間に占める範囲を広くする。
文型
<人>が<もの>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
家の裏の土地を開墾し、田んぼを広げた
もとはかなり狭い店でしたが、二代目が隣の土地を買い取って広げたのです。
狭くて作業がしにくかったので、大工さんに頼んで居間のほうへキッチンスペースを広げてもらった。
文書の上下左右の余白スペースが小さすぎて、読みにくいようです。余白を広げてください。
クッキーの生地は、まず厚さを均一に広げます。それから型で抜いてください。
挽肉は、フライパンに入れて広げてからほぐしながら炒めると、均一に火が通ります。
コロケーション
<もの>を
① 大きなもの:店、敷地、家、田んぼ
② 小さなもの:生地、(ギョーザの)皮、余白
<場所>で
テーブル、作業台、机の上
<様態>
均一に、平らに、場所いっぱいに
<方向>に/へ
隣、裏、空いているところ、周囲
非共起例
<もの>を
 ゆでたじゃがいもを広げて、サラダにした。
 ゆでたじゃがいもをつぶして、サラダにした。
「広げる」は面積を広くすることが目的の場合に用いられる。「じゃがいも」を「サラダ」にする場合には、面積を広くすることが目的ではない。つぶすことが目的である。したがって「広げる」を用いると不自然である。
解説
この「語義1」は「人が、ものの空間に占める面積を(周辺に向けて)より広くする」ことを表す。「広げる」と意味のよく似た語に「伸ばす」がある。「伸ばす」は「広げる」とは異なり、面積ではなく長さを長くすることに注目した語である。「クッキーの生地」について言う場合には「○クッキーの生地を広げる」とも「○クッキーの生地を伸ばす」とも言えるが、「伸ばす」を用いると、面積を広くする際、麺棒を使うなどして長さを長くする動作を多方向に繰り返す過程に注目していることになる。
また、「裾野」については、「広げる」動きをする主体を「山」として、「○今日は天気がよいので、富士山が長い裾野を広げている姿がここからでも美しく見える」と言うことができる。
誤用解説
「広げる」は、面積を広くすることを表す。つまり「広げる」前の面積は、小さい/狭いと捉えられている。草木に「肥料」をやる場合、それ以前の「肥料」の面積は問題にされていない。よって「広げる」を用いると不自然である。
 庭の花壇に肥料を広げた
 庭の花壇に肥料をまいた
類義語・反義語
類義語伸ばす
反義語縮める


2.たたんであるものを開く他動詞初級★★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が、たたんであるものを開くことで、それが空間に占める面積を広くする。
文型
<人>が<(たたむことのできる平面状の)もの>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
遠足で芝生広場に行った。お弁当の時間には木陰にシートを広げた
父は朝、起きると食卓で新聞を広げるのが日課です。
急いでいたので、店に入るとすぐにメニューを広げ、料理を注文した。
テーブルの上には、世界地図が広げられていた。
講演会の聴衆は誰も皆、熱心にノートを広げてメモをとっていた。
その男は、手に持っていた扇子を広げて口元を隠すと、声を潜めて思いもよらぬことを話し始めた。
コロケーション
<(たたむことのできる平面状の)もの>
① 一枚でできているもの:地図、新聞、風呂敷、シート、巻物
② 複数の紙を綴じたもの:ノート、本、教科書、手帳
<場所>に/で
机の上、テーブルの上、芝生の上
<様態>
いっぱいに、一面に
非共起例
<(たたむことのできる平面状の)もの>を
 ドアを広げた
 ドアを開けた
「語義2」は、ものの空間に占める面積を広くする場合に用いられる。「ドア」を開けてもドアの面積が広くなるわけではないので、「広げる」は使えない。
<(たたむことのできる平面状の)もの>を
 風船を広げた
 風船を膨らませた
「風船」は「平面状のもの」ではない。
解説
「語義1」が「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すのに対し、この「語義2」は、折りたたんだり巻いたりして小さくされているものを開くことで、「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表す。これらの語義の間には「ものの空間に占める面積を広くする」という共通点がある。
「新聞」や「教科書」などについて「新聞を広げる」「教科書を広げる」という場合、「読む」ことまでを表す場合がある。
誤用解説
「広げる」は「面積を広くする」ことを目的とした動作を表す。よって「傘を広げる」という場合、一般に傘の「面積を広くする」ことだけを表し、「雨に濡れないように頭の上に掲げる」ことは表さない。「○濡れた傘を広げて干した」と言う場合のように、単に「面積を広くする」ことだけを表したい場合には、「傘」についても「広げる」が用いられる。ただし、文学的な雰囲気の文章の中では、「男は病院を出ると、傘を広げた」と言うことにより、間接的に「傘を頭の上に掲げる」ことまでを表す場合もある。
 小雨が降ってきたよ。傘を広げよう
 小雨が降ってきたよ。傘をさそう
類義語・反義語
類義語開く
反義語たたむ、巻く、閉じる


3.平面上に並べる他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が、小さくまとめられている複数のものを、平面上に並べる。
文型
<人>が<(複数のものがまとめられた)もの>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
先生は工作に使う材料を、それぞれの机の上に広げるように言った。
涼しい木陰を探して、皆で弁当をひろげた
検査をしますので、机の上に持ち物を広げてください。
お重を広げて一の重から箸をつけた。
彼は、マジシャンのような手つきで、トランプのカードを机の上に広げた
たくさんの資料がテーブルのうえに広げられ、丁寧な説明がなされた。
コロケーション
<(まとめられている複数の)もの>を
弁当、(複数の)資料、荷物の中身、所持品、道具
<場所>に
机の上、テーブルの上、芝生の上、床の上
非共起例
<(まとめられている複数の)もの>を
 太郎はかばんを広げた
 かばんの中身を広げた
この「語義3」の「(まとめられている複数の)もの」は「複数のもので構成されているもの」でなければならない。したがって「かばんを広げる」をあえて「語義3」と理解するならば、どこかにまとめて入れてあった複数のかばんを、机の上などに並べることを意味する。
解説
「語義1」が「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すのに対し、この「語義3」は、ひとつにまとめられている複数のものをばらばらにして、平面上に置くことを表す。結果として「複数のもの全体で空間に占める面積を広くする」ことになる。「語義1」とこの「語義3」との間には、「ものの空間に占める面積を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「語義3」は、「小さくまとめられている複数のものを平面の上に並べる」ことを表す。並べた結果、複数のものが広い範囲に存在することが重要で、配置は重要ではない。「チェスの駒」や「箸」を平面の上に並べる場合、「ゲームができるようにする」「食べられるように整える」ために、配置が重要となる。よって「広げる」を用いると不自然である。
 ゲームを始めるために、チェスの駒を盤上に広げた
 ゲームを始めるために、チェスの駒を盤上に並べた
 箸をテーブルの上に広げた
 箸をテーブルの上に並べた
類義語・反義語
類義語取り出す、並べる
反義語片付ける


4.身体の一部を開く他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人や動物が寄せて小さくした身体の一部を開く。
文型
<人・動物>が<身体の一部>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ビルの入り口に行くと、警備員が何も言わず目の前に立ちはだかり、両手を広げた。入るなということなのだろうが、失礼だ。
混雑している電車の座席で足を広げて座ると、周りの人に迷惑です。
大きな鳥が翼を広げて大木の上に舞い下りるのを見た。
動物園でくじゃくの檻の前にいったら、ちょうど羽を広げているところを見ることができた。
一人の男が床の上に手足を広げて横たわり、気を失っていた。
息を全部吐ききったら、今度は胸を広げて思いきり息を吸ってください。
コロケーション
<人・動物>が
① 人:太郎
② 動物:くじゃく、鳥、オランウータン
<身体の一部>を
① 手や足:手、両手、腕、指、足、両足、手足
② 翼:羽、翼
<様態>
思いっきり、できるだけ、一杯に
非共起例
<身体の一部>を
 驚いて彼女は目を広げた
 驚いて彼女は目を見開いた/大きくした
 口を広げた
 口を開けた
「語義4」は、「寄せて小さくした身体の一部を開く」ことを表すが、ここで言う「身体の一部」は、開いた場合に平面として捉えられるものでなければならない。たとえば「胸を広げる」と言うことはできるわけだが、肩と肩を寄せることで「胸」の面積は狭くなり、両肩を開くことで平面としての面積が広くなると捉えられるからだと考えられる。
これに対し「目」や「口」は平面というよりは、大きさを持つ立体と捉えられるので、「広げる」を用いると不自然である。
解説
「語義1」が「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すのに対し、この「語義4」は「人や動物が、寄せて小さくした身体の一部を開く」ことを表す。その結果、身体の一部が空間に占める面積が広くなる。「語義1」と「語義4」との間には「ものの空間に占める面積を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「広げる」は、開いた身体の空間に占める面積が全体として広くなる場合に用いられる。密着していた手のひらの間に空間を作った場合、左右の手のひらが空間に占める面積は「広い」とは捉えられない。したがって「広げる」を用いることはできない。
 両手の手のひらを合わせて合掌してください。その後、合わせた手のひらを、静かに広げてください。
 両手の手のひらを合わせて合掌してください。その後、合わせた手のひらを、静かに離してください。
類義語・反義語
類義語開く
反義語閉じる


5.植物が大きくなる他動詞上級
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
植物が、その一部の空間に占める面積を広くして成長する。
文型
<植物>が<植物の一部>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
何年もたつと、この木は枝を大きく広げます。手に負えなくなりますから早めに剪定をしたほうがいいと思います。
この植物は秋に植えたときには根だけを出して越冬し、翌春、暖かくなると葉を広げます
夏が近づき、太陽の光が強くなると、どんどんと葉を広げて成長していきます。
父の植えた木の苗はすっかり大きくなり、四方八方に枝を広げている
大きな枝を広げた木のそばにいると、心が落ち着きます。
鉢の中では大きく根を広げることができず、何年かたつと木は枯れてしまいます。
コロケーション
<植物>が
植物、木、苗、草
<植物の一部>を
枝、葉、根
<様態>
大きく、四方八方に、庭いっぱいに、どんどん
非共起例
<植物の一部>を
 秋になるとバラが花を広げる
 秋になるとバラの花が咲く
 庭のバラがつぼみを広げた
 庭のバラのつぼみが開いた
「花」が咲けばたしかに花の面積は広くなる。しかし、花が咲く場合に注目されるのは、面積が広くなることではなく、閉じているものが開くという点である。したがって「花」の場合には「咲く」、「つぼみ」の場合には「開く」を用いるのが自然であって、「広げる」を用いると不自然である。
解説
「語義1」が「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すのに対し、この「語義5」は、「植物がその一部の空間に占める面積を広くして成長する」ことを表す。これらの語義の間には、「ものの空間に占める面積を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「広げる」は、植物が成長した結果「空間に占める面積が広くなる」ことに注目する場合に用いられる。「アサガオのつる」の成長は、面積が広くなると捉えられるのではなく、長さが長くなると捉えられる。したがって「広げる」を用いると不自然である。
 アサガオがつるを広げた
 アサガオがつるを伸ばした
類義語・反義語
類義語伸ばす
反義語


6.幅を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人がものの幅を広くする。
文型
<人>が<ものの幅>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この川はたびたび洪水をおこすので、工事をして川幅を広げました
森の中に家を建てることにした。まず、車が通れるように、森の木を切って道を広げた
新しい革靴を買ったが、幅が少し狭くて足が痛くなる。靴屋さんで幅を広げてもらってくることにする。
リフォーム工事中だ。今、現場で窓の幅を広げているところだ。
普通のドアを折れ戸に換えて、入り口を広げたので、通りやすくなった。
この表、見にくいね。高さも幅も広げたほうが見やすくなるんじゃない。
コロケーション
<ものの幅>を
幅、川幅、道路、間口、表の幅
<様態>
いっぱいに、できるだけ
非共起例
<ものの幅>を
 毛糸を紡ぐときには、幅を広げたほうがよい。
 毛糸を紡ぐときには、太くしたほうがよい。
「広げる」は、幅のあるものについて、その幅を広くする場合に用いられる。「毛糸」のように「幅」があるとは捉えにくいものについて「広げる」を使うことはできない。
解説
「語義1」が「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すのに対し、この「語義6」は、「ものの幅を広くする」ことを表す。「ものの空間に占める面積を広くする」際に「幅も広くする」ことになる点に注目した語義である。
また、「川」などの無生物を「広げる」主体とし、「この川は下流に行くと大きく川幅を広げ、ゆったりと流れています」と言うこともできる。
誤用解説
「広げる」は、ある程度、幅のあるものについて、その幅を広くする場合に用いられる。たしかに「入口」は幅を持つが、新たに作る場合、もとは幅を持たないので、「広げる」を使うことはできない。もともとある「入口」について、「入口が狭かったので広げた」と言うことはできる。
 これまで壁だったところに、新たに入口を広げた
 これまで壁だったところに、新たに入口を作った
類義語・反義語
類義語伸ばす
反義語縮める、狭める


7.空間を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が、ものの内部にある空間や、ものとものとの間の空間を広くする。
文型
<人>が<空間>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
血管が細くなっているときには、まず薬を使って血管を拡げます。それでしばらく様子を見るのが普通です。
鼻がつまっているとき、鼻腔を広げるために鼻の上に貼るテープがあります。薬局で買えますよ。
バスタブにゆっくりつかって身体を暖め、毛穴を広げてから洗顔したほうが、きれいに汚れがとれますよ。
本文とルビの間隔が狭すぎて読みにくかったので、間をもう少し広げました
古い時代の仏像を発見した。傷つけずに地中から掘り出すため、道具を使わず、手作業で仏像の周囲の隙間を広げることになった。
特殊な工具を用いて、二枚の鉄板の隙間を広げました
コロケーション
<空間>を
① もの内部の空間:血管、毛穴、気管支、鼻腔
② ものとものとの間の空間:間隔、隙間、間
非共起例
<空間>を
 詰まっている下水管を掃除して広げた
 詰まっている下水管を掃除して通した
「管状のもの」の「内部の空間」について「広げる」と言う場合、その「もの」自体を太くすることで「内部の空間」を広くすることを表す。つまり「血管」については、「血管」それ自体を太くすることで「内部空間」を広くすることができるため「血管を広げる」と言える。しかし「下水管」についてはそれ自体を太くすることはできないため「下水管を広げる」と言うと不自然である。
解説
「語義1」が「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すのに対し、この「語義7」は、「もの」ではなく「ものの内部や隙間」の面積を広くすることを表す。「語義1」と「語義7」との間には、「空間に占める面積を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「広げる」は、ものの内部の空間や隙間をより大きくする場合に用いられるのであって、空間や隙間がなかった状態から、ある状態にする場合に用いると不自然である。
 商品同士がぴったりくっついて置かれているので、一つひとつの見栄えが悪い。少し間を広げて置こう。
 商品同士がぴったりくっついて置かれているので、一つひとつの見栄えが悪い。少し間を開けて置こう。
類義語・反義語
類義語大きくする
反義語小さくする、縮める、狭める


8.差を大きくする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人や組織が差を大きくする。
文型
<人・組織>が<差>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
先頭の走者はさらにスピードを上げ、後続の一群との差を広げた
新入部員の3ランホームランで、相手チームとの差を、1点差から一気に4点差に広げた
昨日の試合は、終盤でも追加点を奪ってリードを広げ、余裕の勝利をおさめた。
今期、新商品の開発を成功させ、わが社は競合他社との差をさらに広げました
税制改革を行うことで、政府は経済格差をさらに広げてしまったのだと言えます。
塾に通う子供が増え、裕福な家庭とそうでない家庭の間の教育格差を広げている
stairsかめ大学は優勝候補と言われていたうさぎ大学との差を5分50秒にひろげて、圧巻の優勝でしたね。
コロケーション
<人・組織>が
太郎、チーム、社長、会社、政府
<差>を
差、リード、点差、経済格差、教育格差
<様態>
さらに、どんどん、徐々に、急速に、少しずつ
非共起例
<差>を
 同期のライバルとは、営業成績がいつもまったく同じだったが、今期はじめて、わずかではあるが差を広げた
 同期のライバルとは、営業成績がいつもまったく同じだったが、今期はじめて、わずかではあるが差をつけた
「広げる」は差をより大きくする場合に用いられるのであって、「差」がなかった状態から「差」を生むことは表さない。したがって、ライバルとの間に「はじめてできた差」について述べる場合に「広げる」を用いると不自然である。
解説
「語義7」が「空間を広くする」ことを表すのに対し、この「語義8」は、「差」という、ものの位置関係や、事態の推移などによって変わり得る間隔を広くすることを表す。「語義7」と「語義8」との間には「広くする」という共通点がある。
制度や状況などが「差」を広くする要因となる場合には、「税制改革が経済格差を広げた」「新駅の建設が他の店舗との売り上げの差をさらに広げた」などのように、「制度や状況」を主体として表現することもできる。
誤用解説
「広げる」は、意志的な動きに使われる。本人の努力(意志)によって差を大きくすることができない場合には使えない。
 どれだけがんばって営業しても、同期との売り上げの差を少しずつ広げた
 どれだけがんばって営業しても、同期との売り上げの差は少しずつ広がった
類義語・反義語
類義語大きくする
反義語小さくする、縮める、狭める


9.空間上に設定される範囲を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
生物や組織が、空間上に設定される範囲を広くする。
文型
<生物・組織>が<空間上に設定する範囲>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
戦いに勝利し、王は領土を広げた
今年は、昨年から栽培をはじめた品種の作付面積を広げてみようと思うんだ。
迷子の子供は近所を探しても見つからなかった。警察は捜索範囲を広げることにした。
子供は成長すると行動範囲を広げます。そのことによって危険な目にあうこともあります。
新しい商品の売れ行きはなかなか好調だ。営業エリアを広げ、一気に国内における商品の認知度を上げたい。
この動物は長い時間をかけて食べるものを変えていくことで、生存可能な範囲を広げ、生き残った。
コロケーション
<生物・組織>が
① 生物:王さま、太郎、オーナー、動物、植物
② 組織:会社、警察、役所
<空間上に設定される範囲>を
領土、国土、作付面積、放送エリア、行動範囲、テリトリー
<様態>
どんどん、徐々に、少しずつ、だんだん
非共起例
<空間上に設定される範囲>を
 市内の人口増加を踏まえ、災害時の避難所として指定する施設の数を広げます
 市内の人口増加を踏まえ、災害時の避難所として指定する施設の数を増やします
「広げる」は、空間に設定される範囲を、全体としてひとまとまりのまま広することを表す。「避難所」の数を増やせば面積は増えるが、その面積はひとまとまりとは捉えにくいので、「広げる」を用いると不自然である。
解説
「語義1」が「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すのに対し、この「語義9」は、支配地域など、「人や組織が空間上に設定する範囲を広くする」ことを表す。これらの語義の間には、「空間に占める面積を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「広げる」は、すでに設定されている範囲をさらに広くする場合に用いられる。したがって、新しい会社を作り、これまでになかった「営業エリア」を決める場合、「広げる」は使えない。
 大学を卒業して会社を作った。まず営業エリアを広げた
 大学を卒業して会社を作った。まず営業エリアを決めた
類義語・反義語
類義語拡大する、大きくする
反義語縮小する、小さくする、狭める


10.影響力の及ぶ範囲を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
原因が影響力のおよぶ範囲を広くする。
文型
<原因>が<影響力の及ぶ範囲>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
被害者の切実な訴えが支援の輪を広げた
昨日発表された人事が、社内で動揺を広げている
感染を広げないためにも、できるだけ早期に再手術を行う必要があります。
小さな子供のおどけた動作が周囲に笑顔の輪を広げた
多くの企業は、どうやって口コミを広げ商品を売り込むか、必死になって考えている。
農家と協力して、地元の農作物を守る運動を広げていきたいと思います。
コロケーション
<原因>が
人事、管理のずさんさ、対応のまずさ、彼の活動、彼の意志
<影響力の及ぶ範囲>を
① ものの影響力:汚染、被害、感染
② 人の活動の影響力:波紋、影響力、運動、支持、活動の輪
<様態>
徐々に、ゆっくりと、一挙に、だんだん
<範囲>に
周囲、市場、人々の間、社内
<範囲>まで
すみずみ
非共起例
<影響力の及ぶ範囲>を
 海水温の上昇が台風を広げた
 海水温の上昇が台風を大きくした
「広げる」はその「影響力の及ぶ範囲」を中心から周囲へ向かって広くすることを表す。「台風」は移動するものであるため、「広げる」は使えない。
解説
「語義9」が「人や組織が空間上に設定する範囲」を広くすることを表すのに対し、この「語義10」は影響力の及ぶ範囲を広くすることを表す。これらの語義の間には、「範囲を広くする」という共通点がある。
「影響力の及ぶ範囲」を人や組織の意志によって広くすることができる場合は、「営業部は、商品モニターの人たちを使って口コミを広げ、商品を売り込んでいる」というように、「人や組織が」影響力の及ぶ範囲を広くすると言うことができる。
誤用解説
「インフルエンザ」や「風邪」には、かかる人もかからない人もいる。つまり、周囲に向けて連続性をもって範囲が広くなるものとは捉えにくい。したがって「広げる」を用いると不自然である。
 この時期の空気の乾燥が、インフルエンザ/風邪を広げます
 この時期の空気の乾燥が、インフルエンザ/風邪を流行らせます
類義語・反義語
類義語広める
反義語おさめる


11.人間関係の範囲を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が人間関係の範囲を広くする。
文型
<人>が<人間関係>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
異分野交流会に参加して人脈を広げる努力をしてください。
人間関係を広げるには、面倒くさがらずに人と付き合う時間を確保することが不可欠です。
退職後のことを考え、地域の人たちとのネットワークを広げていく努力をしています。
地域における助け合いの輪を広げることを目的に、土曜の午後、自宅の居間を開放しています。
サークルに入って人間関係を広げようと思う。
幼稚園に通えば、お友達の輪を広げられますよ。
コロケーション
<人間関係>を
ネットワーク、人脈、関係、交流
<様態>
少しずつ、徐々に、どんどん
非共起例
<人間関係>を
 友達を広げた
 友達を増やした
 部員を広げた
 部員を増やした
「人間関係を広げる」という場合の「人間関係」は、「ネットワーク」「交友関係」などの関係を表す語でなければならない。
解説
「語義9」が「空間上に設定される範囲を広くする」ことを表すのに対し、この「語義11」は「交流を持つことのできる人の範囲」という抽象的な意味での範囲を広くすることを表す。これらの語義の間には「範囲を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「テニスサークル」は、人間関係というよりも、一つのまとまりを成す組織と捉えられる。したがって、「広げる」を用いると不自然である。
 一生懸命勧誘をし、テニスサークルを広げた
 一生懸命勧誘をし、テニスサークルを大きくした
類義語・反義語
類義語増やす
反義語減らす


12.認識可能な範囲を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が認識可能な範囲を広くする。
文型
<人>が<原因>で/<きっかけ>から<認識可能な範囲>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
留学することで視野を広げることができた。
明治期には、多くの知識人が海外に行って見聞を広げ、さまざまな社会の仕組みを持ち帰りました。
教育実習から戻ったら、ほかの学生と意見や感想を話し合うことが重要です。他の人の感想を聞くことで、授業を観察する視点を広げることができるはずです。
コピーライターになりたいなら、発想を広げ、アイデアを生み出すための方法を身につけなければならない。
一つの個性的な家具からイメージを広げ、家全体の設計を行った。
実際に起こった事件から発想を広げて、今回の小説の構成を思いつきました。
コロケーション
<認識可能な範囲>を
① 認識される範囲:視野、世界、イメージ、考え方、知見、知識の幅
② 認識の仕方:視点
<原因>で/<きっかけ>から
留学、新しい体験をすること、話し合う機会を持つこと、彼と出会うこと、ある出来事を経験すること、日常の観察、ある事件、個性的な家具
非共起例
<認識可能な範囲>を
 視界を広げた
 視界が広がった
「視界」は、目に入る範囲のことであり、自分の意志で変えることができない。したがって「視界を広げる」というのは不自然である。
解説
「語義9」が「人や組織が空間上に設定する範囲」、すなわち空間上の面積を広くすることを表すのに対し、この「語義12」は、認識可能な範囲という抽象的な範囲を広くすることを表す。これらの語義の間には、「範囲を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「理解を広げる」は「理解の度合いが高くなる」ことを表す場合には使えず、その場合は「理解を深める」と言う。「理解できる項目の範囲が多くなる」こと表す場合には、「理解を広げる」と言うよりも「理解の範囲が広がる」というほうが自然である。
また、「理解を広げた」という場合の「理解」を「理解する人」と捉えれば「語義10」となる。
 商品の価格設定の方法に関する理解を広げた
 商品の価格設定の方法に関する理解を深めた
類義語・反義語
類義語深める、豊かにする
反義語狭める


13.対象を広くする他動詞中級★★
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が、何かをする対象の範囲を広くする。
文型
<人・組織>が<対象の範囲>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
社会の変化にあわせて補助金支給の対象を広げたことで、予算が圧迫された。
先を見通せずに事業を広げすぎて業績が悪化した。責任は経営者にある。
よいデータがとれなかったので、インタビューの対象を広げて調査をやり直すことになった。
歌のレッスンに通って、音域を広げることができた。
営業マンになるなら、初対面の人ともうまく話が続けられるように、話題を広げることができなければならない。
我社は、新しい素材の開発を行い、衣類だけではなく、インテリア用の布にも販路を広げております
コロケーション
<人・組織>が
① 人:太郎
② 組織:会社、役所、警察、調査団
<対象の範囲>を
調査の対象、事業の幅、補助の対象、販路(売る対象の範囲)、趣味(楽しみでする事柄の範囲)、音域(歌う音の範囲)、話題(話す内容の範囲)、用途(役立てる範囲)
<範囲>まで
従来対象外だった人、中学卒業、若年層、隣町、ラの音
非共起例
<対象の範囲>を
 次回の遠泳大会では、生徒たちが泳ぐ距離を広げた
 次回の遠泳大会では、生徒たちが泳ぐ距離を長くした
「広げる」対象は「範囲」、すなわち「面」のイメージでとらえられるものでなければならない。「距離」は「面」ではなく「線」のイメージで捉えられるので、「広げる」を用いると不自然である。
解説
「語義9」が「人や組織が空間上に設定する範囲」、すなわち空間上の面積を広くすることを表すのに対し、この「語義13」は、働きかける対象という抽象的な範囲を広くすることを表す。これらの語義の間には、「範囲を広くする」という共通点がある。
誤用解説
「広げる」は、自分の意志で「対象の範囲を広くする」ことを表す。「上司の命令」で意志とは関係なく「担当エリア」のような範囲が拡大する場合に「広げる」を用いると不自然である。
 上司の命令で、担当エリアを広げた
 上司の命令で、担当エリアが広がった
類義語・反義語
類義語増やす
反義語減らす、狭める


14.可能性を増やす他動詞上級
表記広げる、拡げる   ※一般的には「広げる」と表記される。
人が可能性を増やす。
文型
<人>が<可能性>を広げる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
私は、大学に進学することで将来の進路の可能性を広げることができたと思います。
何をしたいかわからないなら、若いうちは何にでもなれるように選択肢を広げる努力をしておくとよいでしょう。
料理教室に通って、毎日の献立のバリエーションを広げようと思います。
人口減少の時代には、高齢者の能力がより発揮できるような機会を広げていくことが重要である。
次の打者は二塁打を放ち、二死ながらも二三塁とチャンスを広げた
常に挑戦を忘れない心こそが、会社の今後の可能性を広げるのです。
stairs将来の可能性を少しでもひろげてあげたいなって。
コロケーション
<可能性>を
① 実現可能な事柄:選択肢(選べる事柄)、将来の可能性(なれる職業)
② 何かの実現を可能とする状況:勝利のチャンス、学びの機会
非共起例
<可能性>を
 雨が降る可能性を広げた
 雨が降る可能性が高まった
「広げる」は意志が関与できるような事柄について述べる場合に使われる。
雨が降るかどうかは、意志で実現できるものではないため、「広げる」を用いることはできない。
解説
「語義9」が「空間に設定される範囲を広くする」ことを表すのに対し、この「語義14」は「可能性を増やす」ことを表す。すなわち「語義9」が「空間的な範囲」を広くすることを表すのに対し、この「語義14」は、「可能性」という「抽象的な意味での範囲」を広くすることを表す。これらの語義の間には「範囲を広くする」という共通点がある。
この「語義14」は、「大学進学が彼の進路の可能性を広げた」などのように、「原因が可能性を広げる」という文型で用いられることもある。
誤用解説
この「語義14」は、努力などによって、可能性を増やすことを表すのであって、その気になればできることをする機会(回数)を増やすことを表すことはできない。
 心配なので、様子を見るために太郎に会う機会を広げた
 心配なので、様子を見るために太郎に会う機会を増やした
類義語・反義語
類義語増やす、高める
反義語減らす、狭める


広げるの全体解説 「広げる」は、「ものの空間に占める面積を広くする(例:畑を広げる)」(語義1)を基本的な意味とする。「語義1」は、ものが空間に占める面積を、周辺に向けて広くする場合に用いられる。
面積を広くする対象の特徴に注目することで、「語義2」から「語義5」の意味が生じる。このうち、対象がもとは「たたんである状態」であることに注目し、「たたんであるものを開くことで、ものの空間に占める面積を広くする(例:シートを広げる)」ことを表すのが、「語義2」である。また、複数のものを平面に置くことで、全体として空間に占める面積が広くなることを表すのが「小さくまとめられている複数のものを平面上に並べる(例:かばんの中身を机の上に広げた)」(語義3)である。さらに、「身体」について述べるのが「寄せて小さくした身体の一部を開く(例:両手を広げる)」(語義4)、「植物」について述べるのが「植物の部分が空間に占める面積を広くする(例:枝を広げる)」(語義5)である。
「語義1」からは別の方向にも意味が拡張する。「ものの空間に占める面積が広くなる」とき、幅も広くなることに注目したのが「ものの幅を広くする(例:川幅を広げた)」(語義6)である。また、ものの面積ではなく、空いた空間の面積を広くすることを表すのが「ものの内部にある空間や、ものとものとの間の空間を広くする(例:血管を広げる)」(語義7)である。ここからさらに、ものの位置関係によって変動しやすい空間を広くすることを表す「差を大きくする(例:後続者との差を広げる)」(語義8)へと意味が拡張する。
「語義1」からはさらに別の方向へ意味が拡張する。「語義1」は「ものの空間に占める面積を広くする」ことを表すが、「ものの面積」ではなく、「設定される範囲」を広くすることを表すのが、「空間上に設定される範囲を広くする(例:行動範囲を広げる)」(語義9)である。「語義9」からは、空間上の範囲ではなく、抽象的な範囲を広くすることを表す「語義10」~「語義14」へと意味が拡張する。「語義10」は「影響力の及ぶ範囲を広くする(例:無策が汚染を広げる)」ことを表し、「語義11」は「人間関係の範囲を広くする(例:人脈を広げる)」ことを表す。また、「語義12」は「認識可能な範囲を広くする(例:視野を広げる)」ことを表し、「語義13」は「何かをする対象の範囲を広くする(例:インタビューの対象を広げる)」ことを表す。さらに「語義14」は「可能性を増やす(例:可能性を広げる)」ことを表す。
























▶全例文を聞く
<もの>を
人間はむかしから海岸をうめ立てて土地を広げてきました。
(内山裕之監修 『生き物とすみかの関係を知ろう』, 2005, 468)
<場所>で
のし棒に巻いた生地をパイ皿の上で広げる。
(石澤清美著 『手づくりスウィーツ』, 2002, 596)
<様態>
鶏肉は、観音開きにして、肉たたきなどで薄く広げ、塩コショウをする。
(Yahoo!ブログ, 2008, グルメ、ドリンク)
<方向>に/へ
1にAを加えて手早く混ぜ、フライパン全体に薄く広げて強めの中火にし、しょうゆ小さじ2杯を回し入れる。
(家の光, 2002, 家庭/生活)
<(たたむことのできる平面状の)もの>を
丸めていたタオルを広げ、それをきちんとたたみ直してから、氷室は言った。
(吉村達也著 『万華狂殺人事件』, 2004, 913)
牧師さんが黒いをひろげて、聖書の文句をよみました。
(ジュディ・デルトン作;岡本浜江訳 『エンジェルとお母さんの結婚』, 2003, 933)
<場所>に/で
にビニールシートを広げ、その上に大袋の中身をぶちまけた。
(内田康夫著 『沃野の伝説』, 2005, 913)
<様態>
久能はおもむろに手帳を広げて、質問に取りかかった。
(法月綸太郎著 『法月綸太郎の功績』, 2005, 913)
<(まとめられている複数の)もの>を
入学式から一週間が経った火曜日の昼休憩、護と絢子はいつものように屋上でお弁当を広げていた。
(岩田洋季著 『護くんに女神の祝福を!』, 2005, 913)
ブリキ屋や他の修理屋たちは部品や道具を広げて、仕事の準備をする。
(ジャネット・L.アブー=ルゴド著;佐藤次高ほか訳 『ヨーロッパ覇権以前』, 2001, 209)
ロワイヤルのベース生地の上にかぶをふんわり広げ、甘鯛をその中に沈め、蒸す。
(斉藤元志郎料理 『お箸で、フレンチ。』, 2000, 596)
<場所>に
ダイニングルームの食卓の上に資料をひろげて仕事をしていたのは事実だ。
(内海隆一郎著 『懐かしい人びと』, 2003, 913)
<人・動物>が
目を上げると天使が翼を広げてゆっくりと降りてくるところだった。
(リチャード・P.エヴァンズ著;笹野洋子訳 『クリスマス・ボックス』, 2005, 933)
<身体の一部>を
セリーヌは思わずを広げて、ジェシーに抱きついた。
(唯川恵著 『恋人までの距離』, 1995, 913)
小さな花はよく見るとを広げた蝶のようで、和名はルリチョウソウ。
(土橋豊著 『カラー・ガーデニング』, 2002, 627)
<様態>
両足は少し広げ、無理のない程度に膝を曲げて立て、足の先は扇型に開く。
(関谷透著 『ストレス・ウォーズ』, 1992, 498)
雄の孔雀がせいいっぱい羽根を拡げている姿。
(佐々淳行著 『美人女優と前科七犯』, 1998, 317)
<植物>が
人の列から離れたところへ移動して、大きなが枝を広げた下に入った。
(内田康夫著 『崇徳伝説殺人事件』, 1997, 913)
<植物の一部>を
暗緑色の海苔がこの網にを広げ、生長してゆらゆらゆれている。
(大本幸子著 『おたずね申す、日本一』, 1998, 596)
<様態>
初めは芥子粒ほどの種子が、やがて四方八方に枝を広げた巨木になるのである。
(マイケル・マーフィー著;山本光伸訳 『王国のゴルフ』, 2003, 783)
いっぱいに広げた葉に受けた太陽エネルギーで光合成を行い、地面の下の根っこに蓄えていたのだ。
(蓮実香佑著 『「植物」という不思議な生き方』, 2005, 470)
<ものの幅>を
河川のを広げる従来の河川改修に加え,河川流域の総合的な対策がほどこされている。
(新詳地理B 最新版, 2006, 高)
<空間>を
ダイアナは薔薇が好きで,鼻の穴を拡げてクンクン鳴らした。
(吉行理恵著 『小さな貴婦人』, 1981, 913)
神さまが長いつえで雲のすきまを広げてみると、ひとりの男の子のまわりを五人の女の子がとりかこんで、ののしっています。
(奥田継夫作;みやざきひろかず絵 『いのちをうばった神さま』, 1994, )
<人・組織>が
前回は小沢氏がリードを17ポイントに広げていたが、今回は3ポイントまで縮まった。
(Yahoo!ブログ, 2008, 政界と政治活動)
<差>を
日一日と同盟軍は軍隊を増やし、彼とのを広げていた。
(ポール・ジョンソン著;富山芳子訳 『ナポレオン』, 2003, 289)
<様態>
150mのターンで勢いの鈍ったハンセンを捉え,ジワジワと差を広げていく。
(週刊現代, 2004, 一般)
その後は確実に差を広げ、独走態勢を作り上げて逃げ切った。
(Yahoo!ブログ, 2008, 乗り物)
<生物・組織>が
チャガタイ=ハン国では分裂抗争のなかからティムールが頭角をあらわし,イル=ハン国の支配していたイラン・イラクにまでいたる広大な地域に領土をひろげた。
(詳説 世界史, 2006, 高)
<空間上に設定される範囲>を
欧米列強は,地球上のあらゆるところで植民地を広げる機会をねらっていました。
(新しい社会 歴史, 2005, 中)
虎之助は手探りの範囲を広げた。
(森村誠一著 『虹の刺客』, 1999, 913)
<様態>
ドイツはソ連に占領地をどんどん拡げ、そこにユダヤ人を移民として送り込んで働かせるつもりだった。
(日下公人著 『人間はなぜ戦争をやめられないのか』, 2004, 319)
<原因>が
BSEに感染した牛が肉骨粉に加工され、牛の餌の原料として使われたことが感染を広げた原因だといわれている。
(地上, 2005, 農林水産)
<影響力の及ぶ範囲>を
それでも病害虫で枯れてしまった植物は,被害を広げないためにも、行政区の指定方法で処分する。
(婦人之友, 2003, 一般)
これからも生産者と一緒になって安全な食料を守り、農業を守る運動を広げていきたいと思います。
(全国食健連編 『BSEからの警告』, 2005, 648)
<様態>
平和を祈念する黙とうの輪をいっそう広げていくために、みなさんのご協力をお願いします。
(広報いこま, 2008, 奈良県)
<範囲>に
まわりに感染を広げないためにも「咳エチケット」を守りましょう。
(広報たかまつ, 2008, 香川県)
加えて、グローバリズムが世界に経済成長の波を広げる一方で、そうした波から取り残された国や人々の不満は高まっていった。
(米山秀隆著 『世界恐慌』, 2002, 332)
<範囲>まで
猫をとおして、わたしたちの考えを世界のすみずみまでひろげることができる。
(立松和平著;横松桃子イラスト 『酪農家族』, 2000, )
<人間関係>を
人材を、内部から育て、外部からも集め、それぞれのやる気を引き出し、人的ネットワークを広げる―。
(日本経済新聞社編 『北海道IT革命』, 2002, 332)
社会との関係を広げるには、他者を受容し、尊敬することが重要になる。
(藤川洋子著 『「非行」は語る』, 2002, 368)
<様態>
そうするとパーティー会場でさりげなく人脈を広げられるようになるのです。
(佐藤綾子著 『元気心理学!』, 2004, 159)
<認識可能な範囲>を
教養教育は、学生の視野を広げ、柔軟で豊かな人生を目指すためのものである。
(有馬朗人ほか編 『国立大学ルネサンス』, 1993, 377)
子どもは、小学校に入学するころ、絵本を楽しむことから本を読むことへと読書の世界を広げ始めます。
(広報いせ, 2008, 三重県)
<原因>で/<きっかけ>から
また、作品のテーマに選択の幅をもたせたり、心象表現も扱ったりすることで表現の視野を広げる。
(愛知教育大学附属岡崎中学校著 『文化創造』, 2002, 375)
<人・組織>が
この試みは今年から秋田県が全県に広げる計画という。
(Yahoo!ブログ, 2008, 環境問題)
<対象の範囲>を
たとえば、スポーツや芸術に目を向けたり、有意義な社会活動をおこなうなど、興味の対象を広げることで、精神的な豊かさを獲得できる。
(小野繁著 『ドクター・ショッピング』, 2005, 493)
<可能性>を
何になるか、やるかを決まってないならせめて、何にでもなれるように選択肢を広げておくべきです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 大学、留学)
日本で形成した巨大なブランドを海外に展開できていないということは、それだけビジネスチャンスを広げられる可能性があるとも言えるのだ。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)






























かめ大学は優勝候補と言われていたうさぎ大学との差を5分50秒にひろげて、圧巻の優勝でしたね。
将来の可能性を少しでもひろげてあげたいなって。
大手を広げる

意味
歓迎する。
用例
外国からの客人を、街中が大手を広げて迎えいれた。
コーパスからの用例
「江戸で追放された歓楽業を、すべて、名古屋に誘致しよう」と。こうして、名古屋では大手を広げて歓楽業を待ち受けた。そのため歓楽業者たちは、「江戸がだめなら名古屋があるさ」を合言葉に、どんどん名古屋に進出していった。(童門冬二 著『田沼意次と松平定信』2000)
手を広げる

意味
新しいことをはじめることで事業などの規模を大きくする。
用例
息子が会社の後を継ぎ、異分野に手を広げた結果、本業がおろそかになり、古くからの顧客の信頼を失った。
コーパスからの用例
デザイン事務所は三十になったのを機会に思いきって会社を辞め大学の同級生だった友達と金を出し合って始めたもので、あまり手を広げず堅くやってきたのが幸いして、バブルがはじけて以降の苦しい時期も案外すんなりと切り抜けてきたのだった。(松浦寿輝 著『花腐し』2005)
大風呂敷を広げる

意味
実際には実現できないようなことについて、実現できるかのように言う。
用例
何か問題が起こると、店長はいつも「すべておれが解決してやる」と大風呂敷を広げるが、これまでにただの一度も解決できたことはない。
コーパスからの用例
しかし、どうせ出来ない行財政改革なら、この無駄くらいは処分してもらえないだろうか。郵政三事業の民営化などと大風呂敷を広げながら、途中で放り出すよりも、株式市場の活性化には十分に役に立つ。(安田二郎 著『亡国の兜町』1998)
間口を広げる

意味
事業や研究で対象とする領域をさらに広くする。
用例
このままでは、売り上げの増加は望めない。営業の間口を広げろ
コーパスからの用例
現在も週一回、阪大付属病院の老年・高血圧内科で外来も担当する森下だけに、ベンチャー設立から投資会社経営へとビジネスの間口を広げながら、医師としての軸足にいささかのブレも感じられない。(岸宣仁 著『ゲノム敗北』2004)
波紋を広げる

意味
他に影響を及ぼしていく。
用例
ちょっとしたツイッターへの書きこみが波紋を広げ、大きな社会問題になることもある。
コーパスからの用例
さらに先立つ二十八日、あるニュースが札幌のホームセンター業界に波紋を広げた。新潟市に本社を置く「コメリ」は、道民には聞き慣れないが、全国に約五百店を展開する大手。そのコメリが秋田県能代市の同業のヤマキを子会社化する、と発表したのだ。(北海道新聞 2002)
傷口を広げる

意味
もともと悪い状態をさらに悪くする。
用例
お詫びのための会見で対応に失敗して企業イメージを損ね、傷口を広げる結果になってしまった。
コーパスからの用例
雪印、日本ハム…いずれも経営陣が“会社のため”と勝手に思い込んで不祥事を隠したことが傷口を広げ、消費者からの信頼に大きなダメージを受けた。(『週刊ポスト』2003)
裾野を広げる

意味
活動をする人の数を増やす。
用例
学会の裾野を広げ、若い人を育てて次世代につなげていく必要がある。
コーパスからの用例
盆栽の中にはきちんと仕立てられた良品も多くありますが、一部には大量生産された低価格ゆえの粗悪なものがないわけではありません。しかしそれは間違いなく愛好家の裾野を広げることに一役買っています。今まで園芸には興味がなかったけれど、盆栽の姿に魅力を感じ、初めて何かを買ってみたという人も少なからずいます。(葛西愛 著『盆栽は楽しい』2003)
人間の幅を広げる

意味
多様な価値観を受け入れるようになる。
用例
諸外国をめぐり、さまざまな苦労をしたことが、彼の人間の幅を広げた
コーパスからの用例
ユーモア、楽天性は人間の幅を広げるものである。一つの価値観だけに縛られれば人間の人生は貧しいものとなろう。(斎藤茂太 著『いま家族しか子供を守れない』1996)
複合動詞 V2

押し広げる
広げる(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形ひろげる
ない形ひろげない
~なかったひろげかった
ます形ひろげ
~ませんひろげま
~ましたひろげした
~ませんでしたひろげまんでした
~ときひろげるとき ひろげる
ば形ひろげ
意向形ひろげ
て形ひろげて
た形ひろげた
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