履くのコアイメージ

1.足元を覆うものの装着他動詞初級★★★
表記履く
人が足元を覆うものを身につける。
文型
<人>が<足元を覆うもの>を履く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
靴下を履かないで靴を履く人が増えている。
洋服だけでなく、靴もブランドものを履くとおしゃれな印象が強くなる。
「かわいいサンダルだね」「ありがとう。でも長い時間履いていると足が痛くなるの」
夕方になると、足がむくんでブーツを履こうと思っても履けないことがある。
「靴はここで脱いでね」「え、靴脱ぐの?以前、別の人に私の靴を履かれてしまって困ったことがあるんだよね」
「お孫さんの靴のサイズはいくつですか?」「そうねえ。確か、娘は孫に15センチを履かせているって聞いたけど」
stairs日本では、靴を履いたまま家に上がってはいけません。
コロケーション
<足元を覆うもの>を
① 履き物類:靴、スリッパ、サンダル、下駄、フィン
② 靴下類:靴下、足袋、ハイソックス、ソックス、タイツ
③ 靴の種類:スニーカー、スパイク、スケート靴、ブーツ
④ 履き物の色やサイズ:23センチ、34、黒、白、大きめ
⑤ 履き物のブランドやメーカー:ブランドもの、○○(メーカー名)、そのメーカー
・履き物のデザイン:レギュラータイプ、プロモデル、ハイカット、革底、初心者向けモデル
<覆う部分>に
足、足元、両足、~の下、~の上
<状態>で
素足、ぬれた状態、汚れた状態
類義語・反義語
類義語
反義語脱ぐ


2.下半身を覆う衣類などの着用他動詞初級★★★
表記穿く・履く
人が下半身を覆う衣類などを着用する。
文型
<人>が<衣類>をはく
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
日本の大学では卒業式に袴をはく女子学生が多い。
ジーパンは洗うときつくなるので、少し大きめをはくようにしている。
うちの子、もう3歳なのにまだおむつをはいているんだけど、どうしたらいいと思う?
「このシャツに合わせて、このジーパンをはこうと思うんだけど」「いいんじゃない?」
「お姉ちゃん、このスカート借りたから返すね」「勝手にはかれたら困るんだけど。しかも汚れているじゃない」
「昔、うちの親は冬でも半ズボンをはかせていたよ」「まじで?風邪をひかなかったの?」
stairs大学の卒業式に、袴を履く女子学生は大勢います。なぜ卒業式に袴を履くのでしょうか。
コロケーション
<衣類>を
① 衣類など:ズボン、スカート、パンツ、袴、ジーパン
② 衣類などの素材:ジーンズ、デニム、木綿、絹、コーデュロイ
③ 衣類などのサイズ:○○インチ(ジーパン)、Lサイズ、9号、大きめ
④ その他:(紙)おむつ
解説
・ズボンやスカートなど下半身を覆う衣類などは、足を通して装着するものを指す。
 タオルを腰にはく
 タオルを腰に巻く
類義語・反義語
類義語着る、着用する、身につける
反義語脱ぐ


3.靴などへの装着他動詞初級★★★
表記履く
人が靴などにものを装着する。
文型
<人>が<靴などに装着するもの>を履く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「雪山を登るときの注意点はありますか?」「そうですね。まずアイゼンを履くのは常識です」
「どうだった?初めてのスキーは」「最初にスキーを履いた時はそこから動けなかったよ」
「早く上がって来いよ」「ちょっと待ってよ。スキー板を履いているんだから、上まで歩いて上がるのは時間がかかるんだって」
「今日は雨だよ。新しい靴はやめておいたら?」「じゃ靴カバーを履こうっと。
「この間スキー場で部長に会ったんだって?」「そうなんだよ。スノーボードを履かれている部長に偶然会ってびっくりしたよ」
ツアーで雪山を歩く時は、危ないので、参加者の皆さんにかんじきを履かせています。
コロケーション
<靴などに装着するもの>を
スキー(板)、かんじき、スノーボード、アイゼン、靴カバー
非共起例
<靴などに装着するもの>を
 インソールをはく
 インソールを(靴に)入れる
 インソールを(靴に)敷く
「はく」はスキーやアイゼンなど外側に装着するものに対して用いられ、インソールや中敷きといった靴の中に入れるものに対しては用いられない。
解説
雪に足が埋もれないようにするなど、特定/特別/特殊な目的のために、その機能を持ったものを主に靴などの外側に装着することを表す。
類義語・反義語
類義語装着する、つける
反義語脱ぐ


4.刀剣の装着他動詞上級
表記はく・佩く・帯く
人が刀や剣などを腰に装着する。
文型
<人>が<刀や剣など>をはく
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
昔の警官は皆サーベルをはくことになっていた。
「今日神社で何かあるの?」「鎧を着て刀をはいた人たちが武家のパレードをするんだって」
(小説で)男はぼろぼろの剣をはき、お世辞にもこの町の用心棒として務まるようには見えなかった。
武士は太刀を腰にはいて馬に乗っていたそうだ。
「ああ、これが太刀か」「今じゃ博物館にでも行かないとなかなか見られないよね。でも実際に昔の武士がはいていた太刀だと思うと何か感動するね」
パッと見た印象では弱々しい男でも、太刀をはかせると立派な武士に見えるから不思議だ。
コロケーション
<刀や剣など>を
太刀、剣、サーベル、刀剣
<体の一部分>に
<装束>に
甲冑、装束、狩衣
解説
この語義は刀の刃を下にして腰にぶらさげる状態を指す。「差す」は刃を上にして帯に差して装着することを意味する。「はく」は太刀に、「差す」は打ち刀に対して主に使用される。小説などで使用されることが多い。
類義語・反義語
類義語差す、帯びる
反義語抜く、外す


5.乗り物の足回りに関連するものの装着他動詞中級★★
表記履く
乗り物がタイヤなど足回りに関連するものを装着する。
文型
<乗り物>が<足回りに関連するもの>を履く
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この先は雪がひどいのでチェーンを履いた車しか通れないそうですよ。
このメーカーを履いている車は多いですから、リコールの対象となる車はかなり大規模なものになりそうです。
「夕方から雪が降るらしいですよ。早く帰らないと」「そうですね。スタッドレスを履いているとはいえ、雪道は怖いですからね」
電車は、車体の下に履いている台車が、キャスターや運搬用の台車のような役割をすることで走行することができるそうだ。
「(F1レースで)次、ピットストップでしょう」「今までミディアムタイヤを履いていたから、今度はスーパーソフトにしなければなりませんね」
「じゃーん。これが俺の愛車」「かっこいいじゃん。おしゃれなホイールも履かせているし」
コロケーション
<足回りに関連するもの>を
① 乗り物の足回りに関連するもの:タイヤ、ホイール、(タイヤ)チェーン、車輪、台車
② タイヤの種類:スタッドレス、ウェット(タイヤ)、ソフト(タイヤ)、レイン(タイヤ)
③ 乗り物の足回りに関連するもののメーカー:○○○○(メーカー名)、大手メーカー、国内メーカー
④ タイヤなどのサイズ:26インチ
解説
乗り物を人に見立てたときに足にあたる部分(タイヤやホイールなど)に何かを装着することを示す。
類義語・反義語
類義語装着する、付ける
反義語外す


履くの全体解説 ・使役の形の「履かせる」は、「人が他の人の下半身に装着する」という他動詞の用法と、「他の人の下半身に装着するように仕向ける」という使役の用法を持つ。
母親が赤ちゃんに靴を履かせる: 母親が赤ちゃんの足に靴を装着する
母親が靴を玄関に出しておいて、子どもに履かせる: 子どもが自分で靴を履くように母親が仕向ける
・北海道および四国の一部では「手袋をはく」「軍手をはく」のように、手に付ける場合にも「はく」が使われる。
























▶全例文を聞く
<足元を覆うもの>を
玄関でを履くと、最後のチェックをした。
(東野圭吾著 『ブルータスの心臓』, 1993, 913)
その少女は緑色のブーツを履いていた。
(柴田よしき著 『少女達がいた街』, 1997, 913)
<覆う部分>に
には革のサンダルを履いている。
(朝松健著 『夜の果ての街』, 1999, 913)
<衣類>を
出張を明朝に控え、書類のチェックをしていた一心は、手を止め、ズボンを穿いて、ベルトを締めた。
(山崎豊子著 『大地の子』, 1991, 913)
彼女はだいたいブルージーンズか、さっぱりとした短めのスカートを履き、セーターを着て、髪はポニーテイルにしていた。
(村上春樹著 『ねじまき鳥クロニクル』, 1994, 913)
<靴などに装着するもの>を
生れて初めてスキーを履いた時,歩く度に転んでいた私も,教育を受けるにつれ,次第に歩けるようになり,やがて直滑降もまずまずとなった。
(防衛白書, 1979, )
<刀や剣など>を
身の丈3メートル余り、朱面をつけ肩をいからして大小のを佩いた姿で、子供組が押す四つ車に乗り神幸の先払いをする。
(高橋秀雄,山口保明編 『祭礼行事』, 1998, 386)
<体の一部分>に
濃い鳶色の着衣に同じ色の巾、には三尺近い長剣を佩いだ、剣呑極まりない不逞の人物である。
(藤水名子著 『暗色群生』, 1996, 913)
<足回りに関連するもの>を
派手な16インチ・ホイールに、太い扁平タイヤを履かせ、テール中央にはクロームの排気管が2本飛び出す。
(ENGINE, 2003, 機械)






























日本では、靴を履いたまま家に上がってはいけません。
大学の卒業式に、袴を履く女子学生は大勢います。なぜ卒業式に袴を履くのでしょうか。
二足の草鞋を履く

意味
一人の人が両立できないような仕事を同時に持つ。「三足のわらじを履く」「複数のわらじを履く」など、二足以上に用いることも可能である。なお、「二束のわらじ」は誤用である。
用例
彼は昼間は会社員として働き、夜は執筆活動を行うという二足のわらじを履いた生活を20年も続けている。
コーパスからの用例
これらの山岳を対象とするようになって、私はスキー写真から抜け出ることができ、純粋な山岳写真に移れたように思う。しかしながら私は一スキーと写真の二足の草鞋をはいていた。(三浦敬三著『百歳、山スキーと山岳写真に生きる』、2003,784)
草鞋を履く

意味
旅に出る。住んでいた場所を離れる。
用例
毎日同じことのくり返しで刺激がない生活に飽きてきた私はとうとう草鞋を履くことにした。
コーパスからの用例
乙三が失敗りやがった。 親分と姉御のいねがいなさったらよ、おれっちは草鞋を履くだけですむめいよ。 まずは折檻は覚悟しなきゃなるめえ(佐伯泰英著『熱風!』、2001、913)
下駄を履かせる

意味
実際のものよりも多く見せる。実際の姿よりもよく見せる。
用例
背の高い男性が人気があると思ったので、お見合いパーティーのプロフィールには3センチ下駄を履かせて170センチと書いておいた。
コーパスからの用例
女性をむしろ積極的に入学させようとする私立大学や女子学生を積極的に受け入れる土木工学科の設立などが話題になり,他方,男性に門戸を開いた家政学部も現れた。一方で,女子生徒の方が一般的に成績が良いので,男子生徒にいわゆるゲタをはかせていたなどの取扱いは依然としてみられる(大谷恭子,福島瑞穂著 『若い女性の法律ガイド』, 1994, 320)
年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ

意味
年上の女房は根気よく探し歩いてでも得る価値がある。「金(かね)の草鞋」とは擦り減らない草履を意味することから、時間をかけて探し歩く価値があることを示す。
用例
「お前もやっと結婚かあ。相手、8歳も上なんだろ?物好きだね、お前も」「それが居心地いいんだよ。よく言うだろ『年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ』ってね」
複合動詞 V1

履きこなす、履き慣れる、履き古す、履き回す、履き続ける、履き込む、履き直す、はき違える、履き替える、履き慣らす、履きつぶす
複合動詞 V2

脱ぎ履きする
複合名詞

履き心地、上履き、下履き、室内履き、外履き、重ね履き、試し履き
履く(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
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た形はいた
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