入るのコアイメージ

1.中へ移動する自動詞初級★★★
表記入る
人、動物、乗り物が外から中に場所を移動する。
文型
<人・動物・乗り物>が<区切られた場所>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
遅刻したので、後ろのドアからこっそり教室に入った
花壇の中に入らないでください。
裏口からではなく、ビルの正面の入り口から入ろう
吹田インターから中国道に入ることにした。
大きな客船が港に入ってきた。
タヌキは人影を見て慌てて巣穴に入った
コロケーション
<人・動物・乗り物>が
① 人:太郎、先生、社長、友だち
② 動物:犬、猫、オオカミ
③ 乗り物:電車、列車、船
<区切られた場所>に
① 壁などで区切られた場所:部屋、ビル、教室、室内
② 境界は明確ではなくとも外と区別し得る場所:トンネル、港、岩の影、間、花子と良子の間
<様態>
ゆっくり、急いで、こっそりと、一斉に、友だちの後から
<入口>から
入口、正面、後ろのドア、正門、インター
<付帯>
一人で、友だちと
非共起例
<区切られた場所>に
 ?太郎はイギリスに入った
 太郎はイギリスに行った[着いた]
「イギリス」はたしかに<区切られた場所>だが、「イギリスに入る」と言うためには、外を中とを区別する境界を超えることを表す必要がある。「イギリス」と言うだけでは「イギリスの外から境界を超えて中へ移動する」という状況よりも、複数の国や地域を超えて「イギリス」へ移動する、すなわちある地点から別の地点(イギリス)へ移動するという状況が想定されやすい。したがって「イギリスに入る」は不自然である。
しかしたとえば次の例文のような場合であれば「イギリスに入る」ということができる。
 太郎はドーバー海峡を経てフランスからイギリスに入った
解説
「入る」は、「人、動物、乗り物が外から中に場所を移動する」ことを基本的な意味とする。つまり「入れ物」や「部屋」のような内外の区別のある空間における外側から内側への移動を表す。
この「語義1」の中には、比喩的に使われるものが多い。「私の人生は長く暗いトンネルに入った」と言えば、実際の空間としての「トンネル」ではなく、「閉鎖的で逃げ場がない道を進まざるを得ない状況になった」こと、「あの人は実の親である先代の影に入っている」と言えば、「先代の庇護の下にあること」、「先代より精彩を欠くこと」等々を意味する。
誤用解説
 会社から家に入ったのは夜の10時過ぎだった。
 会社から家に帰ったのは夜の10時過ぎだった。
「入る」は「外」から「中」へ移動することを表し、内外の境界を超える移動を表す場合に用いられる。したがって、「会社」から「家」へ移動する場合のように、ある地点から別の地点に移動することを表すのに用いると不自然である。
「家に入る」という表現そのものは可能である。たとえば「庭」から「部屋の中」に移動する場合には、「家」の内外の境界を超えることになり、「入る」を用いて次のように言うことができる。
 (庭にいる子供に)もう夕方だから家に入りなさい
類義語・反義語
類義語出る
反義語行く、帰る、移動する


2.移動先で目的のことをする自動詞初級★★★
表記入る
人が外から中に場所を移動して、そこで通常目的とされることをする。  
文型
人が<何かをするための場所>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
歩き疲れたので喫茶店に入ることにした。
わ!おしゃれなカフェ。入ろうよ。
昨日ベッドに入ったのは、夜中の2時過ぎだった。
はやくお風呂に入りなさい。
街をぶらぶらしていてみつけた雑貨屋にふらりと入った
早く家に帰ろうと思ったが、ネオンの街に出るとついふらりと居酒屋に入ってしまった。
コロケーション
<何かをするための場所>に
① 生活の中の場所:ベッド、布団、風呂、トイレ
② 道で見かける店など:喫茶店、レストラン、居酒屋、スーパー、民家、近くの家
<目的>
食べに、食べるために、休憩しに、休息するために、汗を流しに、涼みに、盗みに
<様態>
ふらりと、急いで
非共起例
<目的>
 昨日は10時にはベッドに寝に入った
 昨日は10時にはベッドに入った
この語義は「外から中に移動してそこで目的のことをする」ことを表す。この場合の<目的>は、あえて表示しないのが普通である。
ただし、通常とは異なる目的で移動する際には、たとえば次の例のように<目的>を述べる。
 昨日は楽しみにしていた本を読むために10時にはベッドに入った
この「語義2」の特殊な形として「泥棒が入る」がある。「人が<何かをするための場所>に入る」という文型の「人」が特殊な場合である。この場合も<目的>はあえて表示しないのが普通である。
 泥棒が盗みに入った
 泥棒が入った
解説
「語義1」が「外から中に場所を移動する」ことを表すのに対し、この「語義2」は「場所を移動する」だけではなく、その場所で本来行うことをすることも表す。たとえば「ベッドに入る」と言えば、「ベッド」で「寝る」ことも意味する。
誤用解説
 昨日は暇だったので図書館に入った
 昨日は暇だったので図書館に行った
「入る」は、たとえば図書館の前の道路にいて「中」に移動する場合に用いられるのであって、「家」から「図書館」へ移動する場合に用いられると不自然である。
類義語・反義語
類義語行く
反義語出る


3.組織に所属する自動詞初級★★★
表記入る
人が組織などの集団に新たに所属する。
文型
<人>が<組織などの集団>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
今年、娘が小学校に入ります
小学校の高学年になると、部活動に入る児童が多い。
テニスサークルに入った
犯人はまだ刑務所に入っている
家族ができたときには、保険に入ったほうがよいのではないかと思います。
私たちの仲間に入らない
コロケーション
<組織などの集団>に
① 組織:中学、高校、大学、会社、刑務所
② 保険:生命保険、火災保険
集団:仲間、メンバー、クラブ、サークル、輪、籍
非共起例
<組織などの集団>に
 幼馴染と結婚して、相手の家族に入った
 幼馴染と結婚して、相手の籍に入った
「入る」は「組織などの集団に新たに所属する」ことを表す。「家族」は通常、構成員全体で作り上げるものであり、すでにある「組織」ではない。したがって「家族に入る」は不自然である。「籍」ならば、名前のリストであるから、すでにあるリストに加わるという意味で「籍に入る」と言うことができる。
解説
「語義1」が「外から中に場所を移動する」ことを表す、つまり空間的な移動を表すのに対し、この「語義3」は、場所ではなく組織などの所属を移動することを表す。
誤用解説
 抽選券を待つ人たちの長蛇の列に私も入った
 抽選券を待つ人たちの長蛇の列に私も並んだ
「入る」は「組織などの集団に新たに所属する」ことを表す。この場合の「集団」は全体としてまとまって形をなすものでなければならない。「長蛇の列」は「まとまりをなす」というよりは刻々とその長さが変化するものであるから、「入る」を用いると不自然である。
この場合の「集団」は恒常的なものでなくとも「まとまりをなして」いればよい。したがって「踊りの輪に入った」ということはできる。「踊りの輪」は一定のまとまりと完結した形を持っている。
類義語・反義語
類義語加わる、行く
反義語出る


4.次の段階に移る自動詞上級
表記入る
人や組織などが次の予定を開始する。
文型
<人や組織など>が<段階>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
無駄話をしていないで、そろそろ本題に入ろう
ここの工事は、明日から仕上げに入ります
イベントの計画はおよそ出来上がり、微調整に入った
それでは、発表が終わりましたので質疑応答に入りたいと思います。
戦闘機は臨戦体勢に入った
みなさんそろいましたか。では授業に入ります
stairs日本語学校での勉強も、いよいよ最後の段階に入ります
コロケーション
<人や組織など>が
① 人:太郎、生徒、友だち
② 組織:製作チーム、会社、部局、討論会
③ 工程:工事、会議、戦闘、計画、製作
<段階>に
調整段階、臨戦態勢、次の工程、仕上げ、本題、質疑応答
<開始時>
そろそろ、今から、明日から、次に
非共起例
<段階>に
 試験を受けて、書道の二級に入った
 試験を受けて、書道の二級に進級した
「入る」は「人や組織などが次の予定を開始する」ことを表す。進級は不確定なもので次の予定とは言えないため、「二級に入る」は不自然である。
解説
「語義1」が「外から中に場所を移動する」ことを表すのに対し、この「語義4」は、「場所」ではなく、予定されている次の段階の中へ移動することを表す。
誤用解説
 廊下でばったり昔の上司に会い、近況報告に入った
 廊下でばったり昔の上司に会い、近況報告をした
「入る」は「人や組織などが次の予定を開始する」ことを表す。ばったり人に出会って「近況報告をする」のはよくあることであるかもしれないが、「予定」ではないため「入る」を用いることはできない。
類義語・反義語
類義語始める、する
反義語終える


5.中へ移動させる自動詞初級★★★
表記入る
状況が作られることで、ものが自然に外から中に場所を移動する。  
文型
<もの>が<区切られた場所>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
涼しい風が部屋の中に入ってきた。
この部屋は温かな日差しが入るので、気持ちがよい。
ドアを開けたとき、蚊が部屋の中に入ってしまった。
プールで気持ちよく泳いでいたら、耳の中に水が入った
砂が目に入って痛い。
髪の毛が口の中に入ったみたい。気持ちが悪い。
コロケーション
<もの>が
① 雨風:雨、雪、風、日差し、光
② ゴミ:ゴミ、ほこり、砂、煙
③ 虫:蚊、ムカデ、アリ
<区切られた場所>に
① 部屋、教室、建物
② 身体の一部:目、耳、気管
<様態>
穏やかに、そよそよと、さっと、急に
非共起例
<区切られた場所>に
 涼しい風がビルに入ってきた。
 涼しい風が部屋に入ってきた。
「入る」は「状況が作られることでものが自然に外から中に移動する」ことを表す。したがって「入る」を用いるには「外から中」という移動の全体が把握できる必要がある。しかし「ビル」のような大きな空間の内外を「涼しい風」が移動するその全体を認識するのは困難である。よって「入る」を用いると不自然となる。
解説
「語義1」が「外から中に場所を移動する」ことを表す。つまり自らの意志で移動することを表すのに対し、この「語義5」は、意志を持たないものが周囲の状況が整うことで「外から中へ場所を移動する」ことを表す。
誤用解説
 濁流に流されて倒木が海に入った
 濁流に流されて倒木が海に流れ着いた
 黄砂が日本に入った
 黄砂が日本に飛んできた/来た
「入る」は、「状況が作られることでものが自然に外から中に移動する」ことを表す。「倒木」の場合、移動の距離が長く、「海の外」から「海の中」へ移動するとは捉えにくい。したがって「入る」を用いると不自然である。「黄砂」についても同様に、移動の距離が長く「日本の外」から「日本の中」へ移動するとは捉えにくい。
類義語・反義語
類義語来る
反義語出る


6.電気が通る自動詞初級★★★
表記入る
電流などが外から中へ取り込まれる。
文型
<電流など>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
部屋の電気のスイッチが入らなくて困っている。
新しく買ったコンピューターは、前にすわると自然に電源が入る
テレビがつかないな、と思っていたら、電源が入っていなかった。
山に行ったらスマホの電波が入らなくて困った。
昔、このあたりではFMが入らず、放送を聞くことができなかった。
隣の部屋はエアコンが入っているので涼しい。
コロケーション
<電流など>が
① 電流などを制御するもの:スイッチ、電源、ボタン
② 電流によって動くもの:エアコン
③ 電波:FM、スマホの電波
非共起例
<電流など>が
 この部屋だとWIFIが入るけど、隣の部屋では無理だ。
 この部屋だとWIFIがつながるけど、隣の部屋では無理だ。
「WIFI」については「入る」よりも「つながる」のほうが自然である。
解説
「語義5」が「状況が作られることで、ものが自然に外から中に場所を移動する」ことを表すのに対し、この「語義6」は単なる「もの」の移動ではなく「電流など」の特別な「もの」の移動を表す。
誤用解説
 修理したらテレビが入った
 修理したらテレビがついた
 電気ストーブが入った
 電気ストーブがついた
「エアコン」が作動するようになることを指して「エアコンが入った」とは言えるが、「テレビ」や「ストーブ」などの他の家電について「入る」を用いると不自然である。「エアコン」の場合は、冷気や暖気が機器を通って部屋の中へ移動するイメージがあるのに対し、「テレビ」や「ストーブ」については、その場で作動しているだけのように感じられるからではないかと考えられる。
類義語・反義語
類義語つながる
反義語切れる


7.特定の時期になる自動詞上級
表記入る
特定の時期になる。
文型
<特定の時期>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
術後1週間たち、回復期に入った
今年は5月に梅雨に入った。異常気象だ。
90年代に入ると、バブル経済の崩壊は誰の目にも明らかとなった。
今は点差が開いて負けているけど、後半戦に入れば流れが変わって、きっと逆転してくれるよ。
テスト期間に入ったので、生徒はみなまじめに勉強している。
後期に入ると、授業を欠席する学生が目立ちはじめた。
コロケーション
<特定の時期>に
梅雨、80年代、江戸時代、~世紀、今年 後半戦
<様態>
徐々に、だんだん、ついに、やっと
非共起例
<特定の時期>に
 秋に入った
 秋になった
「<特定の時期>に入る」という場合の<特定の時期>は、他の時期と区別される必要がある。したがって「夏」との境界が曖昧な「秋」について「入る」と言うと不自然である。
解説
「語義5」が「状況が作られることで、ものが自然に外から中に場所を移動する」ことを表すのに対し、この「語義7」は「時間が流れる」という状況の変化によって「特定の区分された時期になる」ことを表す。「語義5」が空間の移動を表すのに対し、この「語義7」は時間の移動を表すと言える。
誤用解説
 息子は中学生に入ると、自室にいることが多くなった。
 息子は中学生になると、自室にいることが多くなった。
「入る」は「特定の時期になる」ことを表す。「中学生」は社会的な立場であって時間が流れれば自然とその「時期」になるとはみなされない。同様に
 大学生に入る
も不自然である。
しかし、「思春期」ならば「時期」とみなすことができ、
 思春期に入ったせいか、やたらと親に反抗するようになった。
と言うことはできる。同様に「青年期に入ると」と言うこともできる。
また、この「語義7」ではなく「語義3」の意味で次のように言うことはできる。
 息子は中学に入ると、自室にいることが多くなった。
類義語・反義語
類義語なる、始まる
反義語終わる


8.文化が伝来する自動詞中級★★
表記入る
文化や習慣などが外から特定の地域に伝わってくる。
文型
<文化など>が<地域>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
農耕文化は、縄文時代に日本に入ったのだという説がある。
カレーライスが日本に入ったのは江戸時代だと言われている。
仏教は6世紀に日本に入ってきた。
紅茶がイギリスに入った当初は、薬だとみなされていた。
ジャンボタニシが外国から日本の水田に入り、その対策が問題になっている。
外来種のタンポポがこのあたりにも入ってきて、在来種の数が減ってきている。
コロケーション
<文化など>が
① 文化・習慣:農耕文化、仏教、コーヒーを飲む習慣
② 生物の生息範囲:外来種、南方のクモ、病原菌、ウィルス
<地域>に
日本、イギリス、アフリカ大陸、南アメリカ
<時期>に
6世紀、江戸時代、明治期
非共起例
<地域>に
 仏教はインドからいろいろな地域に入った
 仏教はインドからいろいろな地域に伝わった[広まった]
「入る」は「文化や習慣などが特定の地域に伝わる」ことを表す。「いろいろな地域」に拡大する場合には使われない。
解説
「語義5」が「状況が作られることで、ものが自然に外から中に場所を移動する」ことを表す。つまり「もの」の移動を表すのに対し、この「語義8」は「もの」ではなく「文化や習慣など」が移動することを表す。
誤用解説
 真言宗は、空海によって日本に入りました
 真言宗は、空海によって日本に伝えられました[もたらされました]
この「語義8」は、「文化など」が生き物のように生息域を広げて特定の地域に広まること表す。したがって「空海によって」というように誰かの手によって広まった場合に「入る」を用いると不自然である。
類義語・反義語
類義語伝わる、広まる、広がる
反義語消える、なくなる


9.ものが収まる自動詞初級★★★
表記入る
ものが中に収まる。
文型
<区切られた場所>に<もの>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
このカバンにはたくさんものが入る
彼の財布には、たくさんのカードが入っている
あんこがたくさん入ったたい焼きが食べたい。
このビルにはいろいろな店が入っています
強烈なパンチが脇腹に入った
2投目は、ストライクゾーンに入った
コロケーション
<もの>が
① もの:書類、景品、お金、水、お菓子
② 店など:パン屋、花屋、事務所
③ ボールなど:ボール、打球、シュート、スマッシュ
④ パンチ:パンチ、こぶし
<区切られた場所>に
① 容器:カバン、袋、財布、コップ、入れ物
② 建物など:ビル、この部屋
③ 目指す場所:ゴール、ストライクゾーン、ミット、コート内
④ 身体の一部:腹、胃のあたり、脇腹
<様態>
いっぱい、たくさん、パシッと、勢いよく、ぎりぎり
非共起例
<区切られた場所>に
 (アーチェリーの)矢が的に入った
 (アーチェリーの)矢が的に当たった
<区切られた場所>は中と捉えられるような一定の広さのある場所でなければならない。「的」は広さがあるにしても、点のような狭いイメージで捉えられるため、「入る」を用いると不自然である。
解説
「語義5」が「状況が作られることで、ものが自然に外から中に場所を移動する」ことを表すのに対し、この「語義9」は、外から中へ移動してその中に収まることを表す。
誤用解説
 花瓶に花が入っている
 花瓶に花が活けてある
 鉛筆がキャップに入っている
 鉛筆にキャップがしてある
「入る」は「もの」が移動して、その全体が中に収まることを表す。「花瓶に活けてある花」や「キャップのしてある鉛筆」はその全体が「花瓶」や「キャップ」の中にあるわけではないため、「入る」を用いると不自然である。
類義語・反義語
類義語収まる、ある、当たる
反義語出る、外れる


10.お金を得る自動詞上級
表記入る
金銭などが支払われて自分のものになる。
文型
<金銭など>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ボーナスが入ったら何を買おうかな。
チップを払う習慣のある国では、チップが入らなければ生活ができない人がいる。
毎月家賃が入るので、生活には余裕がある。
父は売れっ子の作家だが、原稿料が入るとすぐに飲みに行ってしまう。
来月の給料が入るまで、家計のやりくりが大変だ。
夜間に働くと昼間に働くよりもアルバイト料がたくさん入る
コロケーション
<金銭など>が
給料、ボーナス、原稿料、家賃、ポイント
<程度>
たくさん、少し、1000円
非共起例
<金銭など>が
 お年玉が入った
 お年玉がもらえた
 お年玉をもらった
「入る」は「金銭などが支払われて自分のものになる」ことを表す。「支払われる」のであるから当然受け取る権利がある「金銭」である。しかし「お年玉」は当然の権利ではなく、もらえればありがたいものである。よって「入る」を用いると不自然である。
「お年玉が入った」と言うことが完全に不可能というわけでもないが、その場合は「もらえて当然」というニュアンスが出る。
解説
「語義9」が「ものが中に収まる」ことを表すのに対し、この「語義10」は「お金」が自分の所有の範囲に収まること表す。
誤用解説
 客から代金が入り、おつりを渡した。
 客から代金を受け取り[もらい]、おつりを渡した。
「入る」は「金銭などが支払われて自分のものになる」ことを表す。金銭の受け渡しをしているような場合、「自分のものになる」とまでは言えないので「入る」を用いると不自然である。
類義語・反義語
類義語もらえる、受け取る
反義語


11.目的のために中に置かれる自動詞上級
表記入る
特定の働きをするものや人が、その働きをするために新たに置かれる。
文型
<場所>に<役立つものや人>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
昨日、事務室に新しいコピー機が入った
私の家では、毎年この時期に庭師さんに入ってもらうことにしている。
このコンピューターには新しいソフトが入っている
あなたのスマホにこのアプリ入っている
話題の新刊書が明日にはこの店にも入ってくる。
コンピューター制御の工作機械が入るのはいつになるのだろうか。
コロケーション
<場所>に
事務室、うち、工場、店、コンピューター
<特定の働きをするものや人>が
① 役立つ人:庭師、大工さん、アルバイト
② 役立つもの:コピー機、ソフト
③ 商品:新刊書、新製品、秋物の服
非共起例
<特定の働きをするものや人>が
 うちは家庭教師が入っている。
 うちは家庭教師に来てもらっている。
「入る」は「特定の働きをするものや人が、その働きをするための場所に新たに置かれる」ことを表す。「庭師」さんのように呼ぶ頻度の少ない人については「置かれる」イメージにあうため「入る」と言えるが、「家庭教師」のように定期的に呼ぶ人について「入る」とは言うと不自然である。
<特定の働きをするものや人>が
 うちには冷蔵庫が入っている
 うちには冷蔵庫がある
<特定の働きをするものや人>は存在するのがあたりまえのものであってはならない。「冷蔵庫」は家にあるのが一般的であるため、「入る」を用いると不自然である。
解説
「語義9」が「ものが収まる」ことを表すのに対し、この「語義11」は単なる「もの」ではなく「特定の働きをするものや人」が、その働きをするための場所に新たに置かれることを表す。
誤用解説
 双子が生まれて育児が大変なので、親に入ってもらうことにした。
 双子が生まれて育児が大変なので、親に来てもらうことにした。
「入る」は「特定の働きをするものや人が、その働きをするための場所に置かれる」ことを表す。「親」は「特定の働きをする人」すなわち「育児するための人」ではないので、「入る」を用いることができない。
類義語・反義語
類義語設置される、入荷する
反義語


12.認識される自動詞上級
表記入る
存在するものが自然と知覚・認識されるようになる。
文型
<対象>が<知覚>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
道路の反対側から何度も手を振ったが、私の姿は彼の目には入らないようだった。
窓の外の明かりが視界に入ってパソコンの画面が見にくい。
周りの人が何をしているかが視野に入らないようでは、リーダーにはなれない。
あの子は夢中になると周りのことなど何も目に入らない
休憩室で休んでいると、いろいろなうわさ話が耳に入る
あの子はいつだって人の言うことなど何も耳に入らない
コロケーション
<対象>が
歩いている人、周囲にいる人、置かれているもの、建物、うわさ話、何かがぶつかる音
<知覚>に
目、視界、視野、耳
解説
「語義9」が「ものが収まる」ことを表すのに対し、この「語義12」は、ものではなく「存在するもの」が「知覚や認識の範囲内に収まる」ことを表す。
これらは単に「知覚」するだけではなく「認識」することも表すことができる。たとえば「青い空が目に入った」と言えば「知覚」を表すだけであるが、「部長は周囲の状況がよく目に入っているので、指示が的確だ」と言えば、周囲の状況をよく把握していることを表す。
誤用解説
 若い男がビルに入っていくのが両目に入った
 若い男がビルい入っていくのが目に入った
 若い男がビルに入っていくのが見えた
<知覚>になり得る語は、慣用的に決まっており「両目に入る」は使われない。
類義語・反義語
類義語見える
反義語


13.分類される自動詞中級★★
表記入る
物事がある一定の範囲の中に含められる。
文型
<もの・人>が<範囲>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この小動物はネズミのように見えるが、猫科に入る
前回の期末テストでは、クラスで10番以内に入った
集中してやりさえすれば、10分でも勉強をしたうちに入ると思う。
そのくらいのことは、失敗のうちに入らない
ケーキを焼いた。少しふくらみが足りないが、このくらいのできなら成功のうちに入るだろう。
あの人は日本で5本の指に入る演奏家だ。
コロケーション
<もの・人>が
この生き物、この製品、この作品、今回の成績、この人
<範囲>に
① ものの部類:猫科、有袋類
② 一定の評価の中:失敗のうち、成功のうち
③ 一定の順位の中:6位以内、3位、5本の指、10番
非共起例
<範囲>に
 2は偶数に入る
 2は偶数だ。
「入る」は「一定の範囲の中」に含まれるかどうかが問題になるような場合に用いられる。一般に「2が偶数」であることは明白であると考えられる。よって「入る」を用いると不自然である。
解説
「語義12」は「存在するものが自然と知覚・認識されるようになる」ことを表す。知覚・認識されればそれがどの部類に入るのか、判断をすることがあり得る。この「語義13」は知覚・認識の次の段階となる判断を表す。
誤用解説
 あの子はピアノがうまい。コンテストで一位に入った
 あの子はピアノがうまい。コンテストで一位になった
 あの子はピアノがうまい。コンテストで一位をとった
「入る」は「物事がある一定の範囲の中に含められる」ことを表す。「ある一定の範囲」は複数で構成される。したがって、「一位に入る」は不自然である。
類義語・反義語
類義語なる
反義語


14.中に加わる自動詞中級★★
表記入る
ものに別のものが加わる。
文型
<もの>に<別のもの>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
この化粧水には保湿成分が入っている
今から点滴をしますね。薬が入りますので楽になりますよ。
これは頭痛薬だが、中には栄養剤も入っている
このみそ汁は具がたくさん入っているね。
足に雑菌が入ったらしい。はれ上がっている。
これは防腐剤の入った木材なので、簡単には腐りません。
コロケーション
<もの>に
ちらし寿司、薬、素材、土、体
<別のもの>が
① 小さいかたまり:具、人参、タケノコ、生姜
② 粒状のもの:砂糖、ゴマ、肥料
③ 液体のもの:栄養剤、水、酒
④ 見えないもの:雑菌、ウィルス、薬、酸素、アルコール
<程度>
少し、たっぷりと、いろいろ
非共起例
<別のもの>が
 このコロッケには、北海道のじゃがいもが入っている
 このコロッケには、北海道のじゃがいもを使っている
<別のもの>は、「加わる」ものであって<もの>の主要な構成物ではない。「コロッケ」は主に「じゃがいも」でできている。よって
 コロッケにじゃがいもが入っている
は不自然である。
解説
「語義5」が「ものが自然に外から中に場所を移動する」ことを表すのに対し、この「語義14」は、移動した結果、「ものが中に加わる」ことを表す。
誤用解説
 ケーキが入って、子供たちはご機嫌だ。
 ケーキを食べて、子供たちはご機嫌だ。
「入る」は「ものに別のものが加わる」ことを表す。しかし「食べ物」を体の中に取り込む場合、「入る」ではなく「食べる」が使われる。
ただし、「酒」については
 酒を飲むといつも歌を歌いだす。
 酒が入るといつも歌を歌いだす。
のように使うことができる。
また、目に見えない成分を身体の中に取り込む場合にも「入る」が使われる。たとえば、
 子どもたちは、甘いものが入るとケンカをやめた。
 アルコールが入るとご機嫌だ。
などと言うことができる。
類義語・反義語
類義語加わる、含まれる
反義語


15.亀裂が生じる自動詞中級★★
表記入る
ものに線状の亀裂や汚れが生じる。      
文型
<もの>に<亀裂や汚れ>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
窓ガラスにひびが入った
この前の地震で家の柱に亀裂が入った
交通事故で肋骨にひびが入る大けがをした。
駐車場のコンクリートは劣化して、亀裂が入っている
このコピー機で印刷すると、紙に黒い筋が入る
強くこすったので、アクリル板の表面に傷が入ってしまった。
stairsお皿にひびが入っちゃった
コロケーション
<もの>に
瓶、ガラス、地面、壁、骨
<亀裂や汚れ>が
亀裂、クラック、線、筋、傷、切れ目
<様態>
ゆっくり、徐々に、急に
<量>
たくさん、少し
非共起例
<亀裂や汚れ>が
 子供の投げた小石で、ガラスに穴が入った
 子供の投げた小石で、ガラスに穴があいた
「入る」は「線状の亀裂や汚れが生じる」ことを表す。「穴」は「線状」ではないため、「穴が入る」は不自然である。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義15」は、「もの」ではなく「亀裂や汚れ」が加わることを表す。
誤用解説
 地震で地面に大きな断層が入った
 地震で地面に大きな断層ができた
「入る」は「ものに線状の亀裂や汚れが生じる」ことを表す。「断層」ができれば「亀裂」だけではなく、地面に段差も生じている。
類義語・反義語
類義語できる、つく
反義語消える


16.模様が付けられる自動詞上級
表記入る
デザインされているものに模様が付け加えられる。
文型
<もの>に<模様>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
中学校のトレーニングウェアには、スクールカラーの青のラインが入っていた
ユニフォームの背中には大きく学校の名前が入っている
男の持っていた紙袋には、隣町のスーパーのマークが入っていた
女の子は、ひまわりの模様が入ったワンピースを着ていた。
破線の入っているノートは書きやすいし、見やすくて便利だ。
メニューの隅に小さく店のロゴが入ると、おしゃれじゃない?
コロケーション
<もの>に
① もの:製品、グッズ、ウェア、シャツ
② ものの部分:メニューの端、トレーニングウェアの背中、スカートのすそ
<模様>が
模様、ロゴ、店の名前、クラブのマーク、ライン
非共起例
<模様>が
 ヘリコプターから見ると、校庭に人文字が入っていた
 ヘリコプターから見ると、校庭に人文字ができていた/描かれていた
「入る」は「すでにデザインされているものに模様が付け加えられる」ことを表す。したがって「校庭」のように何もないところに「人文字」のような模様を加える場合、「入る」を用いることはできない。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義16」は「ものに模様が加わる」ことを表す。
誤用解説
 女の子は先染めのチェックの入ったワンピースを着ていた。
 女の子は先染めのチェックのワンピースを着ていた。
「入る」は「すでにデザインされているものに模様が付け加えられる」ことを表す。したがって、ワンピースの布全体にチェックの模様がある場合に「入る」を用いることはできない。
類義語・反義語
類義語ある、加える、描かれる
反義語ない


17.票を得る自動詞中級★★
表記入る
票を得る。
文型
<票>が<候補>に入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
前回の選挙では、我々の陣営に浮動票が入った
学級委員の選挙で、私には5票しか入らなかった
誰に投票するか、迷っている人たちの票が彼に入るように運動しよう。
あと2票入れば当選できたのだが。
改革案に賛成票がどのくらい入りそうかは、投票してみなければわからない。
大半の票は新人候補に入り、彼は当選を勝ち取った。
コロケーション
<票>が
票、浮動票、賛成票、反対票
<候補>に
太郎、候補者、改革案
<量>
たくさん、1票、2票
非共起例
<票>が
 投票が入った
 得票が入った
 票が入った
「投票」「得票」は、それぞれ「票を差し出す」「票を得る」という動きを表し、「<票>が入る」の<票>として「投票」「得票」を用いることはできない。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義17」は、「票」が「加わる」ことを表す。
誤用解説
 10票入った
 10票が入った
 入った
 票が入った
<量>を述べる場合については「<票>が」とせず「が」を用いないのが普通である。<票>と<量>を同時に述べれば以下のようになる。
 太郎に票が10票入った
類義語・反義語
類義語集まる、取る
反義語


18.点が加わる自動詞中級★★
表記入る
人や組織が得点する。
文型
<点>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
昨日は少年野球の大会だった。7回裏で5点入りうちの子のチームが逆転優勝をした。
両チームともに次々と得点が入り、おもしろい試合になった。
試合開始直後に先輩がシュートを決めた後は1点も入らず、結局負けてしまった。
点が入らないからといって、試合の途中であきらめてはいけない。
点が入ったので暗かったチームの雰囲気がよくなり、徐々によいプレーが見られるようになった。
レスリングの試合はポイント制だ。残り時間で1ポイントでも入ればと祈るような気持ちで試合を見つめた。
コロケーション
<点>が
点、得点
<量>
1点、2点、10点
<様態>
次々と、一挙に
非共起例
<点>が
 テストの採点に間違いがあり、訂正してもらったら点が入った
 テストの採点に間違いがあり、訂正してもらったら点が増えた
 前回のテストでは、たくさん点が入った
 前回のテストでは、たくさん点が取れた
「テストの点」について「入る」を用いることはできない。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義18」は、「点が加わる」ことを表す。
誤用解説
 見事なシュートで相手チームに1点が入った
 見事なシュートで相手チームに1点入った
1点、2点などの具体的な数字を用いて<量>を述べる場合、「が」をつけないのが普通である。<点>と<量>を同時に述べれば以下のようになる。
 見事なシュートで相手チームに点が2点入った
類義語・反義語
類義語加わる、取る
反義語失う


19.力が加わる自動詞上級
表記入る
身体や心の中に力が生じる。   
文型
<身体>に<力>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
しびれが切れて足に力が入らずうまく歩けない。
今朝起きたら、なぜか右腕に力がうまく入らず医者に行った。
腹に力が入っていないから、姿勢がぐらぐらするのだ。
開店したばかりのときは、アルバイトの指導に力が入りすぎていた。
応援に気合が入りすぎ、つい大声を出してしまった。
スピーチをしているうちにどんどん熱が入ってしゃべりすぎ、時間になっても話が終わらなくなってしまった。
コロケーション
<力>が
① 筋力:力
② 気持ちの力:気合、熱、力、気持ち、身
<身体>に
身体、手、足、腹、腰
<行動>に
練習、応援、準備、指導、説明
非共起例
<力>が
 練習に熱意が入る
 練習に熱が入る
<力>を表す語は「入る」と慣用的に結びついたものに限られる。「熱意」は不自然である。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義19」は力が加わること(強い力が生じること)を表す。
この場合の「力」は筋力のことを言う場合と、気持ちの強さを言う場合とがある。筋力のことを言う場合には「<身体>に<力>が入る」の形で用いられ、気持ちのことを言う場合には、「<行動>に<力>が入る」の形で用いられる。
誤用解説
 あの先生は生徒の指導に力が入っているのですばらしい。
 あの先生は生徒の指導に力を入れているのですばらしい。
「力が入る」は、本人の意志的な動きではない。教師が生徒の指導に熱心に取り組む場合、本人の意志でそうするならば「すばらしい」かもしれない。しかし「入る」を用いると自然とそうなり、力の制御ができていないことを意味する。したがって「すばらしい」という評価とは結びつきにくい。
類義語・反義語
類義語加わる、こもる
反義語抜ける


20.要素が加わる自動詞上級
表記入る
何かを作る過程に周辺的な要素が加わる。
文型
<作成>に<周辺的な要素>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
データの分析に主観が入るようでは困る。
この分析結果には、思い込みが入っている
成績の評価に好悪の感情が入るようでは教師として失格だ。
彼の言葉のどこかにはいつも嫌味が入っているように感じる。
この開発計画は環境問題への配慮が視野に入っていない点が問題だ。
授業に遊びの要素が入れば、子供たちの集中力は途切れないだろう。
stairsへへ、あとは妻の愛情がたっぷり入ってるんだ~。
コロケーション
<作成>に
① 作成すること:判断、分析、評価、製作、計画
② 作成する際に考慮する範囲:視野
③ 作成したもの:データ、成績、作品、プロジェクト、授業
<周辺的な要素>が
主観、色彩感覚、思い、愛情、嫌味、遊びの要素
<量>
少し
非共起例
<周辺的な要素>が
 データの分析に客観が入った
 客観的にデータを分析した。
「データ」の分析において「客観的」であることは「周辺的な要素」とは考えられない。よって「入る」を用いると不自然である。
解説
「語義14」が「ものの中」に「別のもの」が加わることを表すのに対し、この「語義20」は、「もの」ではなく、「何かを作る過程」に「周辺的な要素」が加わることを表す。
誤用解説
 お父さんの作るお弁当には愛情が入っている
「入る」は中にあるかどうかを問題にしているのであって、量の多さは問題にしていない。したがって「愛情が入っている」という場合には「愛情」の有無を問題にしていることになる。お弁当作りに「愛情」があることは当然と考えるのが文化的には普通であろうから、「愛情が入っている」と言うとやや不自然さが感じられる。
「愛情」があることは当然のこととして、その量の多さを表現したいならば次の例のようになる。
 お父さんの作るお弁当には愛情がたっぷり入っている
 お父さんの作るお弁当には愛情がつまっている
類義語・反義語
類義語まざる、加わる、こもる、つまる
反義語


21.時間の間に加わる自動詞中級★★
表記入る
時間の流れの間に別の事柄が加わる。
文型
<時間の流れの間>に<別のこと>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
仕事中に邪魔が入った
漫才をしていたら、アドリブでツッコミが入るので戸惑った。
これまでにない大きな仕事の予定が入り、現場は活気づいた。
途中のインターでトイレ休憩が入りますが、そこまで休憩はありませんのでご注意ください。
湾岸地域の大規模再開発の計画に、妨害が入った
1番を歌い終わってから長い間奏が入るけれど、その間どうしたらよいかわからない。
コロケーション
<時間の流れの間>に
仕事中、食事中、話の途中、計画、来期、楽曲
<別のこと>が
① 予定:予定、予約、(別の)仕事、(新しい)予約、トイレ休憩
② 妨げ:邪魔 妨害
③ その他:合いの手、ツッコミ、間奏
<様態>
急に、突然、思いがけず
非共起例
<別のこと>が
 夏休みに海外旅行が入るかもしれない。
 夏休みに海外旅行に行けるかもしれない。
「入る」は、<時間の流れの間>に<別のこと>が加わる場合に用いられる。「夏休み」の予定がたくさんあり、その隙間に「海外旅行」を加えるような場合であれば「海外旅行が入る」と言うこともできる。しかし、これは一般的ではないと考えられる。よって「海外旅行が入る」だけでは不自然である。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義21」は、「時間の流れの間に別のことが加わる」ことを表す。
誤用解説
 (小学校の運動会で)開会のあいさつの後に1年生のダンスが入った
 (小学校の運動会で)開会のあいさつの後に1年生のダンスが行われた
「入る」は、「時間の流れの間に別のことが加わる」ことを表す。「1年生のダンス」は「運動会」で予定された流れを形作る演技の1つであり、そこへ加わる事柄ではない。よって「入る」を使うと不自然である。
類義語・反義語
類義語来る
反義語


22.連絡が来る自動詞上級
表記入る
連絡が来る。
文型
<連絡>が{入る}
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
明日の会議は中止という連絡が入った
新商品の発売直後からクレームがたくさん入り、社内は混乱した。
取り扱い説明書がわかりにくいと、問い合わせが次々と入った
競合他社が新しい商品開発に成功したとの情報が入りました
近所の人から学校に苦情が入れば、すぐに校長に報告をしてください。
明日こちらに来るというメールが、先方から入りました
コロケーション
<連絡>が
① 連絡:連絡、報告、情報
② 連絡手段:電話、メール
③ 連絡の目的:クレーム、問い合わせ、確認、念押し
<相手>から
先方、購入者、近所の人
<人や組織>に
担当者、会社、センター、受けつけ
非共起例
<連絡>が
 親戚から手紙が入った
 親戚から手紙が来た
「手紙」について「入る」を用いることはできない。「メール」ならば「メールが入った」と言うことができる。ただし「メールが来た」のほうがよく用いられる。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義22」は、「情報」が加わる(連絡が来る)ことを表す。
誤用解説
 世話をした人からお礼が入った
 世話をした人にお礼を言われた
「入る」は連絡が来ること、すなわち期待されたり予期されたりしている情報が届くことを表す。「お礼」は一般的に予期や期待をするものではなく、言ってもらえればうれしいという類のものなので「入る」を用いることはできない。
類義語・反義語
類義語来る、届く
反義語


23.チェックされる自動詞上級
表記入る
作成したものや行動の仕方について点検がなされる。
文型
<こと>に<確認>が入る
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
プロジェクトの報告書に大きな修正が入ったので、全面的に書き直しが必要だ。
一つひとつの仕事にいちいち上司のチェックが入るので疲れる。
原稿を出したが、誤字が多くてたくさんの赤が入った
記事に対して世間の批判が相次いだので、すぐに修正が入りました
営業に出る際の服装について、上司のチェックが入った
論文の書き方について、指導の先生からチェックが入った
stairs私は自分の両親も主人の両親も遠くに住んでいるから、チェックが入ることは全然なくて。
コロケーション
<こと>に
文章、原稿、計画、仕事の進め方、服装
<点検>が
チェック、修正、訂正、赤
<人>から
上司、先生、読者
非共起例
<人>から
 学生から授業のレジュメの語句にチェックが入った
 学生から授業のレジュメの語句について質問があった
「入る」は「点検がなされる」ことを表すが、「点検」は通常、立場が上の者から下も者に対して行われる。よって「学生からチェックが入る」は不自然である。
解説
「語義14」が「ものに別のものが加わる」ことを表すのに対し、この「語義23」は、「点検」が「加わる」ことを表す。
慣用的に「赤が入る」という表現がある。これは「修正(するための言葉や記号)が書き加えられる」ことを表す。修正が主に赤ペンで書かれることによると考えられる。
誤用解説
 ?仕事の進め方について定期的に上司の点検が入る
 仕事の進め方について定期的に上司のチェックが入る
この「語義23」の場合「<点検>が」として用いられる語は慣用的な結びつきが強く、「点検が入る」はほとんど用いられない。
類義語・反義語
類義語加わる
反義語


入るの全体解説 「入る」は、「人、動物、乗り物が外から中に場所を移動する(語義1)」(例:部屋に入る)を基本的な意味とする。ここから「外から中に場所を移動してその中で目的のことをする(語義2)」 (例:ベッドに入る)へ意味が広がる。「語義1」が場所の移動に注目した表現であるのに対し、「語義2」は「移動後の行動(移動の目的を果たすこと)」に注目している。
「中へ移動する」という場合の「中」が「組織の中」の場合が「組織などの集団に新たに所属する(語義3)」(例:小学校に入る)であり、「次の予定の開始した後(次の予定の中)」の場合が「次の予定を開始する(語義4)」(例:質疑応答に入る)である。
「語義1」は「人や動物などが外から中に場所を移動する」という意志的な動きを表すが、これとは異なり意志を持たないものの動きを表すのが「状況が作られることで、ものが自然に外から中に場所を移動する(語義5)」(例:部屋に風が入る)である。
「語義5」からは大きく3つの方向に意味が広がる。すなわち、
1)移動する「もの」の相違に注目した「語義6」から「語義8」
2)移動した結果として中に「収まる」ことに注目した「語義9」から「語義13」
3)移動した結果として中に「加わる」ことに注目した「語義14」から「語義23」である。
以下、順に見ていく。
1)「ものの種類」の相違に注目した語義
「もの」が「電流」の場合が「電流などがつながる(語義6)」(例:スイッチが入る)、抽象的な「時期」の場合が「特定の時期になる(語義7)」(例:梅雨に入る)、「文化や習慣」の場合が「文化や習慣などが外から特定の地域の中に伝わる(語義8)」(例:稲作が日本に入る)である。
2)「収まる」ことに注目した語義
「ものが中に収まる(語義9)」(例:この財布はたくさんのカードが入る)がこれに相当する。ここからさらに意味が広がり、「もの」が「金銭」の場合が「金銭などが支払われて自分のものになる(語義10)」(例:家賃が入る)、「特定の働きをするものや人」の場合が「特定の働きをするものや人が、その働きをするために新たに置かれる(語義11)」(例:事務所に新しいコピー機が入る)となる。
さらに、具体的なものの中に「収まる」のではなく認識の中に収まることを表すのが、「存在するものが自然と知覚・認識されるようになる(語義12)」(例:明かりが目に入ってまぶしい)である。ここから特定のカテゴリーに収まるという判断を表す「物事がある一定の範囲の中に含められる(語義13)」(例:この動物は猫科に入る)へと意味が広がる。
3)「加わる」ことに注目した語義
「ものに別のものが加わる(語義14)」(例:点滴に栄養剤が入っている)がこれに相当する。ここからさらに意味が広がり、「もの」ではなく「亀裂」や「模様」が「加わる」ことを表すのが、それぞれ「ものに線状の亀裂や汚れが生じる(語義15)」(例:ガラスにひびが入る)、「デザインされているものに模様が付け加えられる(語義16)(例:シャツに店のロゴが入っている)である。
また、抽象的な「票」「点」「力」が「加わる」ことを表すのが、それぞれ「票を得る(語義17)」(例:浮動票が入った)、「人や組織が得点する(語義18)」(例:相手チームに1点入った)、「身体や心の中に力が生じる(語義19)」(例:気合が入る)、「何かを作る過程に周辺的な要素が加わる(語義20)」(例:分析に主観が入る)である。
「加わる」先の場所に「間」のイメージがあるのが「語義21」から「語義23」である。「時間の流れの間に別の事柄が加わる(語義21)」(例:仕事に邪魔が入る)、「連絡が来る(語義22)」(例:会議中止の連絡が入る)、さらに「作成したものや行動の仕方について点検がなされる(語義23)」(例:チェックが入る)である。「連絡」は、期待されていたり予期されたりしている、すなわちスロットのように空いているところにもたらされる情報である。また「点検」は抜けている可能性のあるところ(間のあり得るところ)に加えられる(加わる)ものである。
























▶全例文を聞く
<人・動物・乗り物>が
二人が家に入ったとき、中から声が聞こえた。
(コリン・ウィルソン著;小森健太朗訳 『スパイダー・ワールド』, 2001, 933)
ブオーブオーっと汽笛が鳴って長崎湾に大型船が入ってくる。
(Yahoo!ブログ, 2008, 文学)
<区切られた場所>に
僕たちは地下通路突き当たりの部屋に入った。
(深見真著 『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』, 2002, 913)
徐々に速度を上げながら列車はトンネルに入った。
(塩山千仞著 『ワーグナー紀行』, 2004, 762)
<様態>
突然、背の高い男が馴れ馴れしく店に入ってきた。
(さだまさし著 『精霊流し』, 2001, 913)
<入口>から
玄関から入ってすぐの部屋で、奥さんの桂子さんがお茶をたててくれた。
(提箸延幸著 『平和な国の医者だけど』, 1996, 494)
<付帯>
病棟の精神科医が背の高い美しい男性と入ってきたとき、その人がわたしを見て素敵に微笑んだのに驚いた。
(ケイ・ジャミソン著;田中啓子訳 『躁うつ病を生きる』, 1998, 936)
<何かをするための場所>に
夜になり、ソフィーは沈んだ気持ちでベッドにはいった。
(ダン・ブラウン著;越前敏弥訳 『ダ・ヴィンチ・コード』, 2004, 933)
ジョージは小さな雑貨屋に入って、懐中電灯用の電池を買った。
(エニード・ブライトン原作;眞方陽子,眞方忠道訳 『フェイマス・ファイブ』, 2004, 933)
<目的>
「低血圧なので、朝は体温を上げるためにお風呂に入るのが習慣。
(GLAMOROUS, 2004, 一般)
<様態>
この店には勤め帰りの男たちがふらりと入ることもあるのかもしれない。
(田辺聖子著 『春情蛸の足』, 1990, 913)
仕事から帰ってすぐに風呂に入ってうとうとした。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<組織などの集団>に
社会人から大学に入るにはどのような手続きが必要なのでしょうか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 大学、留学)
そこで、仲間に入ってほしいと、強く誘ったのです。
(エリナー・ポーター作;谷口由美子訳 『ポリアンナの青春』, 2004, 933)
<人や組織など>が
使い方は非常に単純で、計画が実施段階に入ったら、その進行にあわせて実績の横棒をすでに記入してある予定の横棒の下に記入し、作業の進行を管理する。
(日本レクリエーション協会編 『レクリエーション・マネジメント』, 1994, 780)
<段階>に
これから、練習もいよいよ仕上げの段階に入っていきます。
(南区役所だより「みなみ風」, 2008, 新潟県)
幾つかの話題の後、やがて核心の質問に入った。
(山本直人著 『話せぬ若手と聞けない上司』, 2005, 336)
<開始時>
そろそろ、本題に入っていただきたいものですが」
(竹河聖著 『巡検使カルナー』, 1991, 913)
<もの>が
窓は外側から板が打ちつけられ、が入らないようになっている。
(六道慧著 『羅刹王』, 1990, 913)
食器をテーブルの下に置いて食べても、口の中にが入ってきた。
(井原俊一著 『日本の美林』, 1997, 652)
<区切られた場所>に
ちょっと、ほら、にごみがはいっちゃったみたい。」
(沢井いづみ作;さえぐさじゅん絵 『課外授業はおまじないゲーム』, 1990, )
夜帰宅してベランダの扉を開けたらいい風が室内に入り、気持ちいいです。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
<様態>
滑りながら登ると、靴の中に砂がいっぱい入ってくる。
(井原三津子著 『1歳からの子連れ辺境旅行』, 2004, 290)
<電流など>が
ドアを開くと、照明のスイッチが入って光があふれた。
(斎藤肇著 『思いがけないアンコール』, 1989, 913)
携帯の電波がしっかり入るようなところだと、TVの受信も良いのでしょうか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 携帯電話、モバイル)
<特定の時期>に
しかし1990年代に入ると,日本の株価は大幅な下落を示した。
(服部育生著 『「新」証券取引法講義』, 2003, 338)
そのころから、うっとうしい梅雨にはいり、明けるのは七月下旬です。
(市川健夫監修・著 『雪国のくらし』, 1997, )
<文化など>が
ひとたび狂犬病ウイルスが国内に入ると、流行する危険性が非常に高いと指摘されています。
(広報ひゅうが, 2008, 宮崎県)
鎖国が終わり、明治になって西洋から靴を履く習慣が入ってきました。
(野沢幸平著 『森からの伝言』, 2003, 474)
<地域>に
あの時代、ちょうどパリ、あるいはロンドンで万博があって、東洋の文化がいろいろとヨーロッパに入っております。
(芳賀徹ほか著 『世紀末から新世紀末へ』, 1990, 304)
<もの>が
ホテル・ダイナスティにも小さな旅行代理店が入っていた。
(笹倉明著 『ルアン』, 1999, 913)
シュートがゴールに入り、審判がそれを認めると得点となる。
(佐古賢一著 『バスケットボール』, 2001, )
<区切られた場所>に
ミットにボールが入る瞬間に、両ひじを体の方に引きながら捕球する。
(土屋弘光著 『New野球テクニック』, 1989, )
キッチンの隅には、ポリ袋に入ったごみがひと袋置いてある。
(素人(裏)投稿編集部編 『背徳の告白』, 2005, 598)
<様態>
彼の今のお財布はカードが沢山入ってパンパンです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, ファッション)
<金銭など>が
彼らは新聞を売ることによって、働けばお金が入ることがわかりました。
(蓉子・A.ワイルス著 『日日のアメリカ』, 1990, 302)
Bさんはサラリーマンで毎月給料が入ります。
(北河隆之監修 『55分でわかる借金整理と個人破産』, 2004, 324)
<特定の働きをするものや人>が
パソコンには普通さまざまなソフトが入っています。
( 『できる入門ワード&エクセル』, 2003, )
ただ庭師が入らないために荒れ放題になっている。
(司馬遼太郎著 『翔ぶが如く』, 1976, 913)
<対象>が
信じがたい光景が目に入った。
(野性時代, 2005, 文学/芸術)
スポーツ観戦中は、周囲のが耳に入らない
(COSMOPOLITAN 日本版, 2003, 一般)
<知覚>に
数分後、ジープが彼らの視界に入ってきた。
( 『X-ファイル』, 1995, 933)
<範囲>に
その人たちと比べたら、私の悩みなんて、悩みのうちに入らない。
(日本推理作家協会編 『完全犯罪はお静かに』, 1995, 913)
ニッケルは,電気化学的には貴金属の部類に入ります.
(松木啓介著 『材料がわかる』, 2005, 501)
<もの>に
200gのカレーに約50gものお肉が入ったこだわりのカレーです。
(Yahoo!ブログ, 2008, 日本)
<別のもの>が
風邪薬とかに眠気がでる成分が入ってますよね。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、病気、ダイエット)
「僕は、ニース風サラダのようにがたくさん入ったサラダが好き。
(女性セブン, 2002, 一般)
<程度>
出てきたのは、ニンニクのたっぷり入った塩ラーメン!
(Yahoo!ブログ, 2008, グルメ、ドリンク)
<もの>に
コンクリートの土台に大きな亀裂が入っていた。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
相手も自転車も無傷でしたが、に修理の必要な傷が入ってしまいました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 自動車)
<亀裂や汚れ>が
印刷をすると、縦線が入ってしまいます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, パソコン、周辺機器)
黄色い紐は縦に裂け目が入り、次々とほどけ、床に垂れ下がっていた。
(小池真理子著 『殺意の爪』, 1993, 913)
<もの>に
落札した商品を確認したら、そのお店の名前が、タグに入っていました。
(Yahoo!知恵袋, 2005, Yahoo!オークション)
ドライバーのに運送屋のマークが入っている。
(篠田節子著 『逃避行』, 2003, 913)
<模様>が
母の傘は約一フィートの長さで、紫色のパンジーの模様が入っている。
(W.P.キンセラ著;永井淳訳 『シューレス・ジョー』, 1989, 933)
ウエストにシルバーのラインが入っているのがポイント。
(CLASSY., 2005, 一般)
<票>が
参議院だから一時的人気で動く浮動票が入ったのであり、たかだかその人気は都議選までと言われていた。
(渡部昇一著 『田中真紀子総理大臣待望論』, 1994, 310)
<点>が
後半、思わぬ形で先制点が入ります。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
3人続けて高打率だから得点が入る確率は高い。
(Yahoo!知恵袋, 2005, スポーツ)
<様態>
少年野球部の両チームとも無得点だったのにようやくチームに点数が入った。
(三橋一廣著 『愛のひとしずく』, 2004, 913)
<力>が
もう両腕は痺れてが入らない。
(由紀かほる著 『女医』, 2002, 913)
仕事しているときは気合が入っているのか、眠たくなることはなかったですよ。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
<身体>に
引き金を握る手先に力が入っている。
(辻仁成著 『ニュートンの林檎』, 1999, 913)
<行動>に
最近疲れやすくて家事に身が入りません。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 家事、住宅)
あと一カ月に迫った大会に向け、練習にも熱が入ります。
(広報遠野, 2008, 岩手県)
<作成>に
診察にはどうしても医者の主観が入ってきてしまうからだ。
(奈良信雄著 『名医があかす「病気のたどり方」事典』, 1998, 491)
<周辺的な要素>が
また、本作最大の特徴は「恋愛」の要素が入っていることだ。
( 『ユーゲーDX』, 2004, 798)
<時間の流れの間>に
論文を書いている最中に飛入りの仕事が入ったら、予備日を使って対処する。
(野口悠紀雄著 『続「超」整理法・時間編』, 1995, 002)
<別のこと>が
今日は4組の予約が入り、お店は超満員!!
(Yahoo!ブログ, 2008, グルメ、ドリンク)
しかし、その計画は思わぬ邪魔が入り挫折することになる。
(文芸ポスト, 2005, 文学/芸術)
<様態>
今週末からの連休、急遽練習会が入ったのですが、家の都合で出られません。
(Yahoo!ブログ, 2008, 家庭)
<連絡>が
そんなところへ、耳よりな情報がはいってきた。
(井上章一著 『愛の空間』, 1999, 384)
なじみのライターから、日時場所などオーダーの連絡が入る。
(沢嶋桂子著 『本気だぜ。命賭けて守ってやる』, 1994, 913)
<相手>から
ある日、病院のから電話が入った。
(中津洋平著 『死なさない絶対に!!』, 2004, 916)
全世界から絶え間なく、連絡、報告が入ります。
(池田香峯子述;主婦の友社編著 『香峯子抄』, 2005, 289)
<人や組織>に
担任の先生から、に電話が入ったこともある。
(清水久美子著 『夢がかなう日』, 2002, 369)
<こと>に
トヨタ自動車の設定する為替レートに修正が入りました。
(Yahoo!ブログ, 2008, 金融と投資)
<点検>が
原稿は当然デスクのチェックが入る。
(林英夫著 『安心報道』, 2000, 070)






























日本語学校での勉強も、いよいよ最後の段階に入ります
お皿にひびが入っちゃった
へへ、あとは妻の愛情がたっぷり入ってるんだ~。
私は自分の両親も主人の両親も遠くに住んでいるから、チェックが入ることは全然なくて。
手に{入る}

意味
所有物となる。
用例
大きな花屋に行ったら、珍しい切り花が手に入った
コーパスからの用例
焼き菓子は近隣のお客さんたちの手みやげの定番。時期によってはケーキ以上に売れることさえあるほどだから、いつも焼き立てが手に入る。(深江園子著『北海道のおいしいケーキ屋さん』2002)
手が{入る}

意味
世話が行き届く。
用例
この里山は人の手が入っていないので荒れ果てている。
コーパスからの用例
原始の森とか原始林というのは、文学的表現でね。学問的には原生林というんだ。人の手が入っていない、まさしく原生の森林。(根津信之/髙橋延清著『上手な老い方』1999)
意味
警察などに捜索される。
用例
危ない取引をしていたが、警察の手が入るまで、何の対策も取ろうとしなかった。
コーパスからの用例
「それがな、大元の銀行に捜査二課の手が入るらしい」捜査一課が殺人、強盗といった凶悪犯を追う部署なら、捜査二課は主に経済犯の捜査を主眼におく。(末廣圭著『魔性』2001)
頭に{入る}

意味
理解できる。
用例
授業中、あまりに眠くて先生の言うことが頭に入らない
コーパスからの用例
来る日も来る日も何も手につかなかった。自分の世界に早く戻ろうと思っているのに、読んでも見ても、ちっとも頭に入らない。(影山和子著『ガンのある日常』2003)
意味
理解して覚えられる。
用例
明日テストなのに、化学式がどうしても頭に入らない
コーパスからの用例
お刺身にも挑戦して、作る喜び、楽しみを感じてください。魚の構造が頭に入ると、上手なやり方や工夫点も自然に分かってきますよ。(「広報今治」2008)
家庭に{入る}

意味
結婚して、職につかず家事に専念する。
用例
10年勤めた会社を退社し、家庭に入りました
コーパスからの用例
つまりは、これから結婚して家庭に入って“主婦”となったいまの女性が、昔の女性のようにまったく家に閉じこもったまま、家庭の仕事だけに専念できるかといえば、そうはできないということなのです。(桜井秀勲著『女が30代で自分を変える生きかた』1994)
仲裁に{入る}

意味
争っている人の間で争いをなくすように取り持つ。
用例
となりの部署ともめている。仲裁に入ってもらえないか。
コーパスからの用例
末端での抗争も、その月の当番の組がすぐに仲裁に入り、大きな抗争が火を噴かぬよう押さえた。(大下英治著『修羅の群れ』1984)
年季が{入る}

意味
物が長く使い込まれている。
用例
実家では年季の入った茶碗を使っている。
コーパスからの用例
診療所の建物は、かなり年季が入っている。蛙がしのび込むくらいの隙間は、あっても不思議ではなかった。(志賀貢著『青春医者のないしょ話』1988)
意味
経験が長く熟練している。
用例
ここの工房の職人さんはみな年季が入っているので、作ったものの仕上げはとてもきれいだよ。
コーパスからの用例
なぜ職人さんの顔は美しく見えるのか 年季が入った職人さんの顔が美しく見えるのは、やはり、自分の仕事一筋に、淡々と何十年も打ち込んできたからだろう。(渡部昇一著『努力しだいで知性は磨かれる』1999)
泣きが{入る}

意味
泣いて頼まれたり謝られたりする。
用例
これで許してと泣きが入った
コーパスからの用例
「あの〜、ぼく、早く帰りたいんで、お願いですから、ちゃんとやってください」 とうとうレンの泣きが入った。(南房秀久著『トリシア、ただいま修業中!
実が{入る}

意味
実が立派に熟す。
用例
今年の稲はずっしりと実が入っている
コーパスからの用例
大豆の未成熟の実を、一般に枝豆といいますが、現在市場に出ている枝豆は、夏場に実が入るように品種改良されたものです。(「広報くるめ」 2008)
茶々が{入る}

意味
途中で中断をさせるような出来事が起こる。
用例
重要な商談中に、急な来客があり茶々が入った
コーパスからの用例
こんなわけでいろいろ不満はあるものの、安価だし、強制力となり得るという点が良いので続けており、今は2週間目に入っている。夏休み中なので、やっていると子供の茶々が入ってくるが、どうにかほぼ毎日続けている。長女が「イタリア語ってフランス語と似てるね~。なんか勉強していないのに分かっちゃうよ」と言っていた。(梵天コーパスよりhttp://kosochuu.blog118.fc2.com/blog-category-2.html)
穴があったら入りたい

意味
あまりに恥ずかしくて隠れてしまいたい。
用例
こんな基本的なことを間違えるなんて自分でも情けない。穴があったら入りたい
コーパスからの用例
晴れの結成大会の席で、支部長としての第一声でしくじってしまった餅原武司は、いたく落ち込んでいた。壇上に座っていても、顔を上げていることさえ、辛くて仕方なかった。情けなく、恥ずかしくて、穴があったら入りたいような気持ちだった。(池田大作著『新・人間革命』1998)
複合動詞 V1

入り込む
複合動詞 V2

出入り、横入り
入る(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏
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ます形はいり
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