温まるのコアイメージ

1.身体が適温に自動詞中級★★
表記温まる、暖まる   ※「温まる」がよく用いられる。
身体や身体の一部の温度が上がり、適温になる。
文型
<身体>が温まる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
温かなスープを飲むと、身体が温まる
ストーブにあたって体は温まったが、まだ足先が冷たい。
ウォーミングアップをして身体が温まったら、グランドを走ろう。
くつにカイロを入れたら、ようやく冷え切っていた足先が温まってきた。
筋肉が十分に温まったのを確認してから競技に臨まないと、けがをする。
お風呂に入ったんでしょ。体が温まっているうちに早く寝なさい。
コロケーション
<身体>が
① 身体:体、身体、全身
② 身体の一部:手、のど、足、手足、筋肉
<手段>で
温泉、風呂、ストーブ、温かな飲み物
<様態>
ゆっくり、徐々に、だんだん、ぽかぽか、芯から
<程度>
少し、ちょっと、とても、よく、十分
非共起例
<様態>
 たき火のそばにずっといたら、かっと体が温まった
 たき火のそばにずっといたら、かっと体が火照った
「温まる」は、身体や身体の温度が適温になることを表す。「かっと」で表現されるような温度が高く不快な状態は適温とは言えず、「温まる」を用いることはできない。
解説
「温まる」の「語義1」は「身体や身体の一部の温度が上がり、適温になる」ことを表す。温度が下がって適温になる場合には、「冷める」を用いる。
誤用解説
 風邪をひいて熱があるようだ。体が温まり悪寒がする。
 風邪をひいて熱があるようだ。体が熱くなり悪寒がする。
 暖房で体が温まって不快だ。
 暖房で体が熱くなり不快だ。
「温まる」は、適温になることを表す。風邪による発熱で体温が上がる場合のように、温度が高くなることが不快な現象である場合、「温まる」を使うことはできない。
類義語・反義語
類義語温かくなる、熱くなる、火照る
反義語冷える、冷める


2.ものが適温に自動詞中級★★
表記温まる、暖まる   ※「温まる」のほうがよく用いられる。ただし、空間の温度が適温になる場合には「暖まる」もよく使われる。
ものの温度が上がり、適温になる。
文型
<もの>が温まる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
さっき火にかけておいたから、昨日作ったカレーはもう温まっているはずだ。
フライパンが温まるのを待って、卵を流しいれた。
肉に焦げ目を付けたければ、フライパンがしっかり温まってから肉を入れたほうがよい。
今、リビングのエアコンをつけたところ。温まるまでこの部屋にいよう。
太陽が昇り、外の空気も温まってきたようだ。水たまりの氷が解け始めた。
車のエンジンが温まるまで少し待とう。
コロケーション
<もの>が
① もの:エンジン、ミルク、器、鉄板、フライパン
②  空間:部屋、居間、教室の中、空気
<様態>
均一に、人肌に、すぐ、だんだん
<程度>
少し、ちょっと、しっかり、ちゃんと
非共起例
<もの>が
 お湯が温まった
 お湯が沸いた
 風呂が温まった
 風呂が沸いた
「水」が低い温度から「風呂」や「飲み物」として適温になる場合には、「温まる」ではなく「沸く」を用いる。
解説
「語義1」が「身体や身体の一部の温度が上がり、適温になる」ことを表すのに対し、この「語義2」は「身体や身体の一部」ではなく、「もの」の温度が上がり、適温になることを表す。この場合の「適温」は状況によって異なる。たとえば、「オーブンが温まる」という場合には、食べ物を入れて調理する目的にかなう200度程度であるのに対し、「部屋が温まる」という場合の温度は、人がそこにいるという目的にかなう20度前後である。
誤用解説
 天ぷらの油を火にかけたままにしておいたら、温まって火事になった。
 天ぷらの油を火にかけたままにしておいたら、熱くなって火事になった。
「温まる」は、適温になることを表すのであって、温度が上がり事故になるほど過剰に高くなった場合には使われない。
類義語・反義語
類義語熱する、熱くなる
反義語冷える、冷める、ぬるむ


3.自分が温かくなるように自動詞中級★★
表記温まる、暖まる   ※「温まる」のほうがよく用いられる。
人や動物が、温かく快適になるような状況に自分自身を置く。
文型
<人・動物>が<手段>で温まる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ストーブで温まろう
もっとストーブのそばに来て温まりなさい。
みんなでこたつに入って温まった
あ、たき火をしてるんだね!私も一緒にあたたまらせて
猫がストーブのそばで温まっている
温泉で温まる習慣のあるサルがいるんだよ。
stairsたき火をして温まろう
コロケーション
<人・動物>が
太郎、花子、猫、サル、鳥
<手段>で
ストーブ、こたつ、暖炉、陽だまり
<様態>
のんびり、ゆっくり、少し
非共起例
<手段>で
 カイロで温まろう
 カイロを貼って温かくしよう
「語義3」は、自分の「身体全体」が温かく快適になるように工夫することを表す。したがって、カイロのように自分の「身体の一部」を適温にする場合、「温まる」を用いることはできない。
解説
「語義1」が「身体や身体の一部の温度が上がり、適温になる」ことを表すのに対し、この「語義3」は、「温かく快適になるような状況に自分自身を置く」ことを表す。「語義1」が意志の有無を問題にせず、適温になるという状態の変化を表現するのに対し、この「語義3」は自らの意志を発動し、自分自身が温かく快適になる状況を作ることを表す。
この「語義3」は「温める」の「語義1」と類似した意味を持つ。したがって「ストーブで温まろう」は「ストーブで身体を温めよう」とよく似た意味になる。ただし、「ストーブで温まろう」という場合には、「温かく快適になるような状況にする」ことを表すのみで、温かく快適な状況が実際に得られることまでは示されないのに対し、「ストーブで身体を温めよう」という場合には、「自分の体温を上げて適温にする」ことで快適な状況を作り出せることが暗に示される。
誤用解説
 毛布で凍えた花子を温まろう
 毛布で凍えた花子を温めよう
この「語義3」の「温まる」は自分の身体について、自分の意志で体温を上げる場合にしか用いられない。また、次の例に示すように、「自分」を言語化することもできない。
 ストーブで自分を温まろう
 ストーブで温まろう
また、この「語義3」は、積極的に何らかの手段を使って快適ではない状態から温かい快適な状態を作り出そうとする場合に用いられる。したがって、服を重ね着する場合のように、寒さを回避することを表す場合には用いられない。
 冬には重ね着をして温まろう
 冬には重ね着をして温かくしよう
類義語・反義語
類義語温かくする、温める
反義語冷ます、冷やす


温まるの全体解説 「温まる」は、「身体や身体の一部の温度が上がり、適温になる(語義1)」(例:お風呂に入ったので、身体の芯から温まった)を基本的な意味とする。「身体や身体の一部」ではなく「もの」について「温度が上がり、適温になる」ことを表すのが「語義2」(例:オーブンが温まった)である。
また、「語義1」が自らの意志の制御の及ばないところで「身体や身体の一部の温度が上がり適温になる」ことを表すのに対し、人や動物が自らの意志で、温かなものに接するなどして体温を上げるような状況に身を置くことを表すのが「人や動物が、温かく快適になるような状況に自分自身を置く(語義3)」(例:お風呂に入って温まろう)である。
「温まる」は、日常的な話ことばでは「あったまる」と言う場合もある。
























▶全例文を聞く
<身体>が
お風呂に入るとが温まって寝やすいって聞いたことがあります。
(Yahoo!知恵袋, 2005, メンタルヘルス)
洗面器などに塩を入れて塩湯を作り、足を入れて足先が温まってきたら、指を1本ずつ丁寧に洗う。
(阿部昇弘著 『速効!顔のツボ』, 2001, 492)
<手段>で
高温の蒸気で体が温まったら湖畔なら湖、冬なら雪の中に体を投げ出すのが作法で数回繰り返す。
( 『るるぶ北欧』, 2005, 293)
味噌チャンポンで身体も温まります。
(Yahoo!ブログ, 2008, グルメ、ドリンク)
<様態>
ひざを高く上げながら足踏みをすると、腹筋にも効いて体も早く温まる。
(斎藤陽子著 『カラダ引き締め脂肪を燃やす斎藤陽子さんのプチダンベル』, 2003, )
<程度>
じっとしていると身体が少し温まってくる。
(谷村志穂著 『ハウス』, 1992, 913)
冬はこれにナツメグ、シナモンなどのスパイスを入れるといっそう身体が温まる。
(狩野知代,藤原ゆきえ,柚木恵著 『休みの日には、コーヒーを淹れよう。』, 2005, 596)
<もの>が
中華鍋かフライパンを熱し、サンフラワーオイルを流し、があたたまったらワケギとジンジャーを30秒ほど炒める。
(ジュディ・バスティラ,ジュリア・カニング著;野間けい子訳 『フルーツ』, 1989, 596)
明朝、母が起きるときには部屋が暖まっているようヒーターのタイマーをセットし直して、彼女は忍び足で階段を昇った。
(落合恵子著 『アローン・アゲイン』, 1986, 913)
<様態>
冷たく冷えた下着が、彼の体温でだんだん温まってゆく。
(松岡弘一著 『利己的殺人』, 1993, 913)
<人・動物>が
焚き火の周りにはたくさんのが暖まっていました。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)
トビーがお風呂から温まって出てくると、ジルは入念な全身マッサージをしてやった。
(シドニィ・シェルダン作;天馬竜行英意和訳;紀泰隆日本語文章 『私は別人』, 1993, 933)
<手段>で
食べるスープで温まろう!
(ガルヴィ(GARRRV), 2004, 機械)
風呂であたたまった勢いで、外へ出てみようと思いついた。
(辻真先著 『風雪殺人警報』, 1998, 913)
<様態>
寒い日に飲めば体の芯からポカポカ温まります。
(SAVVY(WOMENS’LIFE MAGAZINE), 2005, 一般)
顔と体を洗い、ゆっくり何度も温まり、上がりました。
(Yahoo!ブログ, 2008, 文化活動)






























たき火をして温まろう
心温まる/心が温まる

意味
よい出来事を見聞きして、心が穏やかになる。「心温まる」の形で名詞を修飾する場合によく用いられるが、「困っている人にやさしく接する姿を見ると心が温まる」のように、「心が温まる」の形で用いられることもある。
用例
だれもが困っている中で、互いに助け合う姿を見て心が温まった
コーパスからの用例
人間に化けたたぬきのゲンタと人間の女の子との心温まる友情の物語。
温まる(1グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形あたた
ない形あたたまない
~なかったあたたまなかった
ます形あたたまり
~ませんあたたまりま
~ましたあたたまりした
~ませんでしたあたたまりまんでした
~ときあたたるとき
ば形あたたれば
意向形あたたま
て形あたたって
た形あたたった
可能形あたたま
受身形あたたまら
使役形あたたまら
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