あげる-授受のコアイメージ

1.ものの授与他動詞初級★★★
表記あげる   ※まれに「上げる」を使うこともある。
好意で相手に相手が好むものを与える
文型
<人>が<人>に<もの>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
おじいさんは孫によくお小遣いをあげる
入学のお祝いにプレゼントをあげよう
バレンタインのチョコレート、誰にあげたの
妹に9歳のお誕生日プレゼントとしてぬいぐるみをあげました
「結婚30周年に、妻に何をあげようか迷っているんだ」「ネックレスなんてどう?」
「ネックレスは前にあげているから、別のものがいいんだけど」
stairs次のテストで点数が上がったら、お小遣いをあげるから、がんばりなさい!
コロケーション
<もの>を
プレゼント、お祝い、お金、小遣い、おやつ、パン、お菓子、ジュース
<目的>に[として]
プレゼント、お祝い、記念、お礼、お返し、ご褒美、お詫び(のしるし)
<時>に
クリスマス、誕生日、お正月、記念日
類義語・反義語
類義語やる、さしあげる、渡す、与える
反義語


2.益の授与他動詞初級★★★
表記あげる   ※まれに「上げる」を使うこともある。
好意で対象に益になるものを与える
文型
<人>が<人・動物・植物>に<もの>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
ビタミン剤をあげますから、一日に3回飲んでください。
この花はたっぷり肥料をあげないと育ちません。
この花にはあまり水をあげない方がいい。
植木に水をあげるのを忘れないでね。
ここで、鳩にエサをあげないでください
冬に水をあげ過ぎると、根が腐ってしまいます。
コロケーション
<もの>を
水、肥料、薬、餌
類義語・反義語
類義語やる、与える
反義語


3.機会の授与他動詞中級★★
表記あげる   ※まれに「上げる」を使うこともある。
好意で相手に恩恵を与える
文型
<人>が<人>に<抽象物>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
どの子にも平等にチャンスをあげよう
彼に3日間の猶予をあげることにしました。
再挑戦する機会をあげたらどうですか。
もう少し考える時間をあげるよ
よくできた作文なので満点をあげた
彼には何度もチャンスをあげているが、まだ結果がでていない。
コロケーション
<抽象物>を
① 時間:猶予、時間、休み、休暇
② 機会:機会、チャンス
③ 賞:賞、一等賞、満点
非共起例
<人>が<人>に<抽象物>をあげる
 私たちはみんなに心から感謝をあげたいです。
 私たちはみんなに心から感謝したいです。
 先生は一生懸命教えて、学生に満足をあげました
 先生は一生懸命教えて、学生を満足させてくれました。
「<抽象物>を」には、時間や機会や賞に関わる名詞しか使われない。
類義語・反義語
類義語やる、さしあげる、与える
反義語


あげる-授受の全体解説 (1)「あげる」は、自分側((うち)から相手側(そと)にものが受け渡されることを表す。そのため、「〈人〉に」 の部分に「私」や「私側の人」は使えない。
 友達が私に時計をあげた。
 友達が私の妹に時計をあげた。
相手側(そと)から自分側(うち)にものが受け渡されることを表す場合は、「くれる」を使う。
 友達が私に時計をくれた。
 友達が私の妹に時計をくれた。
「あげる」と「くれる」は与え手を主語とした表現。受け手を主語とした表現のときは「もらう」を使う。

注(1)●は主語
「くれる」と「もらう」はものの移動の起点、着点は同じだが、起点を主語にすると「くれる」、着点を主語にすると「もらう」。「あげる」に対応する着点を主語にする動詞はない。
注(2)「うち」は私の家族や会社の同僚など。ただし、これは相対的なもの。例えば、「友達が私の妹にプレゼントをくれた。」では、妹は「うち」。

(2)「あげる」はものの移動とともに所有権も移動する。
 誕生日プレゼントに彼に時計をあげた。
「渡す」は、ものが移動するだけで、所有権については問題にしない。
 彼に時計を渡して、山田さんに届けてもらった。

(3)「あげる」は、目上の相手にものを受け渡す場合に使うのが基本であったが、現在では対等か目下の相手にしか使わない。
 先生にプレゼントをあげた。
目上の相手の場合は、「差し上げる」を使う。
 先生にプレゼントを差し上げた。

(4)対等な相手や目下の相手,あるいは動植物にものを与える場合には「やる」を使うのが基本であったが、現在では「あげる」が使われるようになり、「やる」を使うとぞんざいだと感じる人が多くなっている。
 赤ちゃんにおっぱいをあげた。
 ペットに餌をあげた。
しかし、与える相手が動植物で、特に愛玩しているものでない場合は、「やる」を使ってもぞんざいにならない。
 畑の野菜に水をやらないと枯れてしまう。
 公園内の鳩に餌をやらないでください。
























▶全例文を聞く
<もの>をあげる
ブランド品ではなく、手作りチョコをあげる予定だ
(with, 2005, 一般)
付き合い始めた彼に誕生日プレゼントをあげます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 恋愛相談、人間関係の悩み)
「ありがとう、ご褒美をあげるから、目をつむって」
(折原一著 『異人たちの館』, 2002, 913)
少しのおこづかいをあげただけで大喜びするから、「孫よりかわいい」となる。
(浜なつ子著 『マニラ行きのジジババたち』, 2002, 334)
<目的>に[として]あげる
出産祝いに何をいいでしょうか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 子育て、出産)
友だちの彼は、バレンタインのお返しに袋いっぱいのポッキーをあげていた。
(My Birthday, 2003, 児童)
<時>にあげる
それは、第一級のズボンつりでなくちゃいけない、クリスマスにおとうさんにあげるんだから、と、オーラはいったのです。
(マリー・ハムズン作;石井桃子訳 『牛追いの冬』, 1990, )
<もの>をあげる
動物たちと仲良くなりたいならエサをあげてみよう。
(広報さっぽろ+ひがし区民のページ, 2008, 北海道)
土が乾いたらタップリ鉢底から出るくらいに水をあげます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 動物、植物、ペット)
家庭菜園をするなら肥料をあげた方が良いと思うのですが、芝生程度でも肥料は必要でしょうか?
(Yahoo!知恵袋, 2005, 家事、住宅)
整形外科では検査した結果,何の心配も要らないがそんなに心配ならばクスリをあげましょう,と言って処方してくれた。
(高橋俊彦,近藤三男編著 『大学生のための精神医学』, 2004, 493)
<抽象物>をあげる
あなたに1ヵ月間だけ時間をあげましょう。
(七瀬ざくろ著 『かえで荘の朝』, 2001, 913)
では、三回のチャンスをあげましょう。
(石田衣良著 『ぼくとひかりと園庭で』, 2005, 913)
まあ今年は及第点をあげてもいいんじゃないかな。
(Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!ブログ)






























次のテストで点数が上がったら、お小遣いをあげるから、がんばりなさい!
あげる-授受(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形あげる
ない形あげない
~なかったあげかった
ます形あげ
~ませんあげま
~ましたあげした
~ませんでしたあげまんでした
~ときあげるとき あげる
ば形あげ
意向形あげ
て形あげて
た形あげた
可能形あげられる(あげれる)
受身形あげられる
使役形あげさせる
閉じる