上げるのコアイメージ

1.上に移動1他動詞初級★★★
表記あげる、上げる、揚げる
(人などが)対象を下から上に移動する。
文型
<人間>が<人・もの>を<起点>から<着点>に[<方向>へ[に]]あげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
エレベーターで家具を二階にあげた。
その男は本を棚の上にあげはじめた。
簾を屋根裏の隅の方へあげておいてください。。
「頼まれた荷物は、うえにあげておいたよ。」「どうもありがとう。」
監督はぐずる子役を舞台にあげた。
ズボンをはいて、ジッパーを上まであげた。
stairs網棚に荷物をあげたのを忘れて、そのまま電車を降りてしまった。
コロケーション
<人・もの>を
子ども、役者、荷物、りんご、本、ボール、幕、遮断機、簾、ジッパー、水位、帯、油面
<起点>から
はしご、田、舞台袖
<着点>に
棚、机、舞台、ステージ、檀上、リング、屋根、屋上、頭上、舞台の上、屋根の上、棚の上
<方向>へ[に]
上、後ろ、上面、上の方、隅の方、後ろの方、上方
<道具>で
クレーン、エレベーター、梯子
<様態>
いっせいに、きちんと、ひたすら、恐る恐る、ゆっくりと
解説
1の意味が最も基本的な「あげる」の意味だと考えられる。「彼は積んであった本を床から棚の上に[上の方に]あげた」のように起点と到着点、起点と方向を同時に表すことも可能である。
誤用解説
「あげる」対象物は実際の移動を伴わなければいけない。移動させることができない部屋などが対象の場合、たとえ上の階に移ったとしても、「あげる」と言うことはできない。
 実験室[研究室]を三階にあげた
 実験室[研究室]を三階に移した
ただし、対象物の移動自体は主語によるものでなくてもよく、対象物自体の意志で移動が行われてもよい。
 監督の指示で、舞台袖から役者をいっせいにあげた。
類義語・反義語
類義語載せる(網棚に荷物を載せる)
反義語下げる、下ろす


2.上に移動2他動詞初級★★★
表記あげる、上げる、揚げる
(人などが)物全体を高いところに移動する。
文型
<人間>が<もの(の全体)>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
マストに旗をあげた。
子どもが凧をあげている。
見張りが狼煙をあげている。
田中がゴール前にクロスボールをあげたが、キーパーが飛び出してキャッチした。
センターに犠牲フライをあげられ、同点に追いつかれた。
国旗を揚げるときはすばやく、降ろす時はゆっくり行ってください。
stairs子どもが凧をあげています。でも、気をつけないと、木に引っかかってしまうことがあります。
コロケーション
<もの(の全体)>を
凧、アドバルーン、旗、国旗、ボール、フライ、打球、花火、衛星、のろし
<様態>
盛大に、早々と(フライをあげた)
解説
ここでの「あげる」は、主に空中高く対象を移動させる場合である。ただし、野球で「フライをあげる」と言う場合、「フライ」は「ボール」などの物そのものではなく、「ボールが放物線を描いて飛ぶ状態」を表す。
誤用解説
凧、花火のように空中の高いところにとどまる時間が一定時間存在する場合に使われる。そのため、常に移動する飛行機や石などを対象として取ることは難しい。
 子どもが石をあげている。
 子どもが(空に向かって)石を投げている。
 嵐の中、飛行機をあげた
 嵐の中、飛行機を飛ばした
類義語・反義語
類義語打ち上げる(花火[フライ]を打ち上げる)
反義語下げる、下ろす


3.自身の一部を上に移動他動詞初級★★★
表記あげる、上げる、挙げる
(人・物が)それ自身の一部を上方に移動する.
文型
<人・もの>が<その人・ものの一部>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
男がゆっくりと顔をあげた。
花子は視線を上げた。
クレーンがアームをあげている。(メタファー)
彼は右手を挙げて合図した。
質問のある人は、手をあげてください。
突然の知らせに母は驚いて眉を上げた。
stairs「この問題わかる人?」「は~い!」子どもたちは一斉に手をあげた
コロケーション
<(その)人・ものの一部>を
顔、手、肩、足、眉、前髪、視線、アーム
<様態>
ふと、静かに、やっと、ゆっくりと、軽く、呑気に、優雅に、そろそろ
非共起例
<(その)人・ものの一部>をあげる
 をあげる。
 をあげる。
解説
「あげる」の表す意味の中で、頻度としてはこれらの身体部位(特に顔、腰、目)との共起が非常に多い。また、「(身体部位)をあげる」には、その動作に関連する意味を表す慣用句が多数存在することも大きな特徴である。 (例)腕をあげる(能力を進歩させる)、手をあげる(乱暴をはたらく、降参する)、腰をあげる(立ち上がる、行動するための態勢を取る)、など また、「この箱は底をあげてある」などの場合、普通の箱と比べて、「底」の位置が高くなるように作られているという意味であり、「物の一部を上方に移動させる」ということに加えて、物の全体をそのように「作る」という意味も含む。「家」について「棟をあげる」という場合も、「作る」という意味が含まれる。 なお、ここでの意味は、1「人間等が対象を下から上に移動」における対象を、「主体の一部」に限定したものである。
誤用解説
指を上方に移動する場合、「指をあげる」とは言いにくいが、「彼は人差し指を高くあげて、みんなに合図した」というような表現なら、使える状況があるだろう。
類義語・反義語
類義語
反義語下げる、下ろす


4.水中から移動他動詞中級★★
表記あげる、上げる
(人などが)対象を水の中から外に移動する.
文型
<人>が<人・動物・もの>を<水中>から<水のないところ>に{<道具>で}あげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
パスタをざるにあげた。
船長がスクリューを水中からあげた。
太郎が麺をざるにあげようとしたが、お湯がはねて火傷した。
沈没した船を陸にあげた。
ゆでた青菜をザルに上げて、水を切る。
コロケーション
<人・動物・もの>を
魚、網、子ども、船、沈んだ車、もやし、ニラ、米(全体)
<水中>から
プール、海、水、水中、水面、風呂、(お)湯、湯船、浴槽
<水のないところ>に
ざる、陸(おか)、岸、港、甲板
<道具>で
網、ざる、箸、バケツ
非共起例
<水のないところ>にあげる
 ゆでたアスパラをテーブルにあげる。
 ゆでたアスパラをざるにあげる。
解説
「ライフセーバーは溺れた子どもを海から岸にあげた」というように、起点と着点を共に明示してもよい。 自動詞の「あげる」と異なる性質として、他動詞「あげる」は、料理でゆでた野菜などを熱湯などから取り出すことも表わせる点があげられる。一方、自動詞の「あがる」を述語にし、「ゆでた青菜があがる」と言うことはできない。これは「お湯でゆでる」という行為が、人が意図的に行う行為であり、自然には起こりえないためだと考えられる。 なお、ここでの意味は、1「人間等が対象を下から上に移動」における起点を、「水中」に限定したものである。
誤用解説
<水のないところ>は、<水中>と隣接していることが望ましく、離れている場合は不自然となる。
 山田は釣った魚を家にあげた
 山田は釣った魚を家に持ち帰った
類義語・反義語
類義語出す(子どもをプールから出す)
反義語入れる


5.家の内部に移動させる他動詞中級★★
表記あげる、上げる
(人が)人・動物に家の内部に入ることを許可する。
文型
<人>が<人・動物>を<家の内部>にあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
先生は快く部屋にあげてくれた。
客を座敷にあげる。
太郎は渋々山下さんを部屋にあげた。
花子が怒って、さっきから部屋にあげてくれない。
散歩の後、犬の足をふいてから家にあげた。
田中さんが雨でずぶぬれだったので、あわてて部屋にあげてタオルを渡した。
準備ができたので、客を座敷にあげた。
コロケーション
<人>が
「その家の住人」を表す言葉、管理者
<人・動物>を
客、友人、親戚、猫、犬
<家の内部>に
家、座敷、部屋
<様態>
快く、すんなり
非共起例
<家の内部>にあげる
 校長先生がカメラマンを学校にあげた
 校長先生がカメラマンを学校に入れた
解説
この意味では、1、2と異なり、実際に動作主(<人間>が)自身の力で対象(<人間・動物>を)の移動を引き起こすというよりは、「自分の意志で移動可能な<人間・動物>」に移動の許可を与える意味となる。(「芸者をあげる」=芸者などを呼び寄せて遊ぶ) また、家の内部へ移動させる場合にも「あげる」を用いることができるのは、もともと、家の内部は外部より高くなっていたことから、「上への移動」と「内部への移動」が同時に生じていたからである。なお、現在では、「あげる」は、高低差のない「(家の)内部への移動」にも使われる。
誤用解説
基本的に個人の住宅が対象となり、「店」や「会社」などの施設の場合、管理者を主語にとっても、許容されない表現となる。
 6時になると、店主は並んで待っている客を店にあげた
 6時になると、店主は並んで待っている客を店に入れた
類義語・反義語
類義語入れる(客を家に入れる)
反義語(追い)出す


6.敷いてあるものを片付ける他動詞中級★★
表記あげる、上げる
(人が)下に敷かれたものを取り外して片づける.
文型
<人>が<敷かれてあったもの>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
小学1年生の太郎は、まだ自分で布団を上げられない。
祖母のかわりに布団を上げた。
畳屋のおにいさんはすばやく畳を上げていった。
畳を上げたらカビだらけだったのでびっくりした。
「朝食を召し上がっている間に布団を上げておきますね。」「すみません、ありがとうございます。」
畳を上げるのは、張替えの時ぐらいだ。
stairs日本の旅館では、夜、布団をしき、翌朝、布団をあげます。
コロケーション
<敷かれてあったもの>を
畳、布団、床(とこ)
<様態>
きれいに、素早く
非共起例
<敷かれてあったもの>をあげる
 床に敷いてあったマットをあげる
 床に敷いてあったマットを片付ける
解説
基本的に床に敷かれている寝具などを持ち上げ、別のところに移動することを意味する。寝具の場合は、さらにそれらを押し入れなどに片づけることを表すことが多い。つまり、ここでの「あげる」は、寝具などについて、片付けの開始から終了までの全過程を表せるわけであるが、その過程のある段階において、「下から上への移動」を含むからこそ、「あげる」がこの意味でも用いられると考えられる。
誤用解説
基本的には、寝具や畳が対象となる。たとえ床に敷いてあっても、絨毯やマットなどは許容されない。つまり、「あげる」対象は、「布団」や「畳」などの日本の伝統的なものに限られると思われる。
 暖かくなったので、絨毯をあげた
 暖かくなったので、絨毯を片付けた[しまった]
類義語・反義語
類義語片付ける(布団を片付ける)
反義語敷く


7.吐く他動詞上級
表記あげる、上げる
(人が)食べたものを吐く.※無意志性
文型
<人・動物>が(<飲み食いしたもの>を)あげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
赤ちゃんがミルクをあげた。
母が船酔いであげてしまった。
車に酔って、あげそうだ。
「田中さん、具合が悪くてあげちゃったんだって。」「え、大変だね。」
吐き気を我慢できずにあげてしまった。
コロケーション
<飲み食いしたもの>を
ミルク、(さっき)食べたもの
非共起例
<飲み食いしたもの>をあげる
 胃液をあげる
 胃液を吐く
解説
胃から食べ物が上昇して吐くことからの拡張と考えられる。さらに、ここでの「あげる」対象である「一度食べたもの」は、4の対象の1つである「身体の一部」と関連がある。つまり、「一度食べたもの」は「身体の一部」に準じるものと見なせるからである。
誤用解説
「吐く」との違いの1つは、その無意志性であり、「無理やり吐く」とは言えても、「無理やりあげる」とは言いにくい。また、「あげる」は、人間以外の動物の吐瀉行動を表すことは難しく、「犬があげた」などは不自然である。この点に関しては、「あげる」の婉曲性が関与する可能性がある。
 犬があげた
 犬が吐いた
類義語・反義語
類義語吐く(酔って吐く)
反義語


8.煙を発生他動詞中級★★
表記あげる、上げる
(物・自然現象が)煙や炎を発生・上昇させる。
文型
<もの>が<煙や炎>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
火山が突然噴煙を上げた。
荒波がしぶきを上げていた。
ストーブの上でやかんが湯気をあげている。
ボートが水しぶきをあげて水上を走っている。
森林が炎を上げて燃えている。
SLがもくもくと煙をあげながら走っている。
コロケーション
<もの>が
火山、たき火、波、荒波、機関車、ボート
<煙や炎>を
煙、白煙、黒煙、土煙(つちけむり)、火柱、炎、水しぶき
<様態>
もうもうと
解説
1~7までと異なり、(無意志の)自然現象を表す意味である。煙や炎は発生すると通常上昇することからの拡張と考えられる。
誤用解説
通常対象が、何かを発生させ、それが上昇するような現象を表すため、発生した物が上昇しない場合は許されない。
 落とされた爆弾が閃光をあげた
 落とされた爆弾が閃光を放った


9.潮が満ちる自動詞上級
表記あげる、上げる
(潮が)満ちて海面が上昇する.
文型
<潮>があげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
潮があげてくる。
潮があげてきた。サーフィンにはちょうど良い。
潮があげてきたらすぐに波に乗ろう。
今日の潮のあげ加減はとても良い。
潮があげてくるやいなや、波に飛び乗った。
波に乗ろうかと思って海を見たら、ちょうど潮があげてきた。
コロケーション
<潮>が
非共起例
<潮>があげる
 川の水位があげてくる。
 川の水位があがって[増して]くる。
解説
「あげる」の用法の中では特殊な用法であり、潮の満ち引きにしか使われない。「あげる」という他動詞の形ではあるが、潮が自らあげてくることから自動詞化した用法と考えられる。つまり「潮が自らをあげる」という言い方から、「自らを」を省略することによって成立したものであると考えられる。同様の例として、「波が寄せては返す」の「寄せる」「返す」、「タクシーが流している」の「流す」などがある。
誤用解説
「潮があげる」に対して、「潮があがる」とは言わない。
類義語・反義語
類義語満ちる(潮が満ちる)
反義語引く


10.数量を増加他動詞中級★★
表記あげる、上げる
(人などが)対象の数量を増加させる.
文型
<人・もの・こと>が<数量>を{<道具>で}あげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
スピーカーのボリュームをあげた。
日本政府は税金をあげるつもりだ。
太郎が部屋の温度を必要以上にあげている。電気代がもったいない。
前を走っていた車はぐんぐんスピードをあげ、すぐに見えなくなった。
出生率をあげるためには、社会の構造そのものを変える必要がある。
一生懸命働いても、会社が給料をあげてくれない。
stairsスポーツ選手の中には、試合の前にテンションをあげるために、あることをする人がいるそうです。
コロケーション
<数量①>を
価格の類:値段、値(ね)、価格、料金、地価、単価、物価、株価、株、相場
<数量②>を
温度の類:温度、気温、体温、水温、熱
<数量③>を
速さの類:スピード、速度、ピッチ、回転数、ペース
<数量④>を
比率の類:確率、出生率、失業率、生存率、心拍数、金利、税、税金、コスト、ボルテージ
<数量⑤>を
度合の類:濃度、精度、好感度、知名度、血圧、テンション
<様態>
どんどん、さらに、ぐんと、ぐっと、ぐんぐん(スピードをあげる)、一挙に(スピードをあげる)、益々、一気に、徐々に(温度をあげる)、じわじわ、だんだん、次第に(高度をあげる)、ますます(テンションをあげる)、一段と、ある程度、ぽんと、急速に(温度をあげる)、ゆっくりと(高度を上げる)、はっきり(語尾をあげる)
解説
<人間・物事>(X)と<数量>(Y)の関係には様々なものがある。 ①XのYがあがる:株価が値をあげる、車がスピードをあげる ②X(動作主)がYをあげる:会社が給料をあげる、彼は音楽のボリュームをあげた ③(擬人的・やや特殊)Xが原因でYがあがる:温暖化が世界の気温をあげる、新聞報道が彼の知名度をあげた また、「数量を増加させる」ことは、1、2、3の「対象を高いところに移動させる」ことと相関関係がある。例えば、より多くの積み木を積んでいくにしたがって、積まれた積み木はより高い位置に達する。つまりは、私たちが有するこのような経験を基盤として、本来は「事物の上方への移動」を表す「あげる」という語を、「数量の増加」にも拡張して用いていると考えられる。
誤用解説
物理的に数量(度合い)を捉えられることが必要であるため、感情や感覚など物理的には度合いを計測できないものは許容度が下がる。
 生徒のやる気をあげる
 生徒のやる気を高める
類義語・反義語
類義語
反義語下げる


11.レベルを向上他動詞中級★★
表記あげる、上げる
(人などが)レベルを向上させる.
文型
<人・もの>が<レベル・水準>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼は今シーズン成績をあげた。
このお守りは運気をあげるらしい。
「すごくピアノがうまくなったね。腕あげたわね!」
ひとりだけではなく、全員のレベルをあげたい。
彼はここしばらくスランプだったが、なんとか順位をあげてきた。
職場での士気をあげるために、しばしば社員旅行に出かける。
コロケーション
<レベル・水準>を
レベル、水準、評価、価値、調子、腕、腕前、効率、能率、地位、成績、業績、人気、学力、士気、運気、順位、番付、ランキング、点数、恋愛運、仕事運、金運
<様態>
どんどん(効率をどんどんあげる)、ぐんと(腕前をあげる)、ぐっと(評価をあげる)、ぐんぐん(成績をあげる)、益々(能率をあげる)、一気に(評価を一気にあげる)、一段と(能率をあげる)、徐々に(順位をあげる)、じわじわ(腕前をあげる)
非共起例
<レベル・水準>をあげる
 彼は妻に対する愛情を益々あげた
 彼は妻に対する愛情を益々深めた
解説
「(液体の)濃度をあげる」などは、11「数量の増加」とここでの「レベルの向上」の両方の特徴を含んでいると考えられる。というのは、「濃度を10%から20%にあげた」という場合、「数量の増加」であると同時に「レベルの向上」でもあるからである。このような用例を橋渡しとして、「レベルの向上」のみを焦点化したのがここでの意味である。
誤用解説
意図的にレベルの向上に取り組めるものであることが重要である。そのため、意図的に向上させることができない対象の場合、「あげる」では表すことができない。
 広告でその映画に対する人々の関心をあげている。
 広告でその映画に対する人々の関心を高めている。
類義語・反義語
類義語向上させる(成績を向上させる)
反義語下げる


12.教育機関に所属させる他動詞上級
表記あげる、上げる
(人が)子どもを(より上級の)教育機関に入れる.
文型
<人>が<別の人>を<(より上級の)教育機関>にあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
山田さんは息子を大学にあげた。
松見高校は毎年多くの生徒を一流大学にあげている。
長男だけは良い大学にあげたい。
今の時代、子どもを高校にあげるのは、親としての最低限の務めである。
最近の親は、子どもを良い学校にあげようと必死である。
子どもを小学校にあげたからといって、親の責任から解放されるわけではない。
コロケーション
<別の人>を
息子、娘、子ども
<(より上級の)教育機関>に
学校、幼稚園、小学校、中学、中学校、高校、高等学校
非共起例
<(より上級の)教育機関>にあげる
 田中さんは息子を英会話学校[塾]にあげた
 田中さんは息子を英会話学校[塾]に入れた
「あげる」は、教育機関であっても、正規の学校教育のみが対象となり、塾等とは共起しない。
解説
「教育機関」に限定されたこの意味は、11「レベルを向上させる」からの拡張と考えられる。というのは、「ある人を、教育機関に属していない状態から属するようにさせる」こと、あるいは、「より上級の教育機関に属するようにさせる」ことは、ある観点から見た、その人の「レベルを向上させる」ことだと考えられるからである。
誤用解説
(自分の意志で選択する要素の強い教育機関ほど許容度は下がるようである。
類義語・反義語
類義語入れる(子どもを幼稚園に入れる)
反義語


13.地位を向上他動詞中級★★
表記あげる、上げる
(人が)他の人の地位を向上させる。
文型
<人>が<別の人>を<(より上級の)地位>にあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
社長は田中さんを部長にあげたいらしい。
「校長、田中先生を教頭にあげるらしいよ。」「えっ、本当!?」
頃合を見計らって、彼を主任にあげたいと思っている。
彼を責任者にあげたのは失敗だった。
コロケーション
<別の人>を
人名一般、部下、課長
<(より上級の)地位>に
部長、主任、教頭、責任者
<様態>
とうとう、突然(主任にあげる)
解説
「(ある人の)地位を向上させる」ことも、11「レベルを向上させる」ことの特殊な場合と考えられる。
誤用解説
社会的な地位が伴うものであることが重要であり、部の会計や班長などあまり社会的な地位を伴わない役職では許容度が下がる。
 鈴木は部員たちの推薦で、会計にあげられた
 鈴木は部員たちの推薦で、会計にされた[なった]
 担任は山田を班長にあげた
 担任は山田を班長にした
類義語・反義語
類義語する(Aさんを課長にする)
反義語降ろす、落とす


14.声を発する他動詞中級★★
表記あげる、上げる、揚げる
(人が)(物理的な)声を発する.
文型
<人>が<声>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼女は恐怖のあまり悲鳴をあげた。
誰かが大声をあげた。
赤ん坊が笑い声をあげている。
叫び声をあげようとしたが、犯人に口を押さえられた。
試合が逆転し、観客はいっせいに歓声をあげた。
彼はいきなりうめき声をあげて、その場にうずくまった。
stairsどうしたの、そんなうめき声をあげて
コロケーション
<声①>を
「~の声」の類:驚きの声、怒りの声、不満の声、抗議の声、批判の声、非難の声、感嘆の声、疑問の声、落胆の声、鬨(とき)の声
<声②>を
「~声[声~」」の類:声、大声、歓声、喚声、産声、胴間声、叫び声、笑い声、掛け声、悲痛な声、声援
<声③>を
悲鳴、絶叫、名乗り
<様態>
いきなり(大声をあげる)、いっせいに(歓声をあげる)
非共起例
<声>をあげる
 不満をあげる
 不満の声をあげる
解説
「声を発する」という意味は、8「物が煙や炎を発生・上昇させる」という意味からの拡張と考えられる。2つの意味は、「(これまでなかったものを)発生させる」という点で共通しているからである。ただし、「煙」などは視覚で捉えられるものであるのに対して、「声」は聴覚の対象である。つまり、「視覚→聴覚」という拡張が生じていることになる。
誤用解説
声を発すること自体が重要であり、その内容のみを指す語の場合は許容度が下がる。
 人々は怒りをあげた。
 人々は怒りの声をあげた。
類義語・反義語
類義語出す(大声を出す)
反義語


15.意見を発する他動詞中級★★
表記あげる、上げる、揚げる
(人が)意見・訴えを発する。
文型
<人間>が<意見>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
国民の多くが原発反対の声をあげている。
政府の対応に多くの人が怒りの声をあげた。
電気代の不当な値上げに国民が一斉に非難の声を上げた。
突然の雨で花火大会が中止になると、楽しみにしていた子供達が不満の声を上げた。
差別をなくすには、当事者も抗議の声をあげる必要がある。
チームの連敗が続き、サポーターが非難の声をあげたが、監督の方針は変わらなかった。
コロケーション
<意見>を
怒りの声、不満の声、抗議の声、批判の声、非難の声、疑問の声、同情の声
<様態>
いっせいに(不満の声をあげる)、異口同音に(抗議の声をあげる)
非共起例
<意見>をあげる声
 疑問をあげる
 疑問の声をあげる
「~の声」という表現に限定される。
解説
14の意味は、<何らかの感情、意見、訴えなど>という内容を表す<音声・言葉>を、実際に<人間が発する>ということであるのに対して、ここでの意味は、実際の音声を伴うという条件はなく、<何らかの意見、訴えなどを発する(生じさせる)>ということに焦点が当たっている。つまり、15の場合、何らかの意見を文書に記したり、調査によって明らかになったりした場合を含む。
誤用解説
「あがる」(11)と同様に、ここでの「あげる」は何かを訴える意見を表すことから、「その政策に対して、多くの国民が満足の声をあげた」などのようには言いにくい。この場合、「多くの国民から満足の声が聞かれた」と表現することができる。
 多くの国民が満足の声をあげた
 多くの国民から満足の声が聞かれた
類義語・反義語
類義語発する(怒りの声を発する)
反義語


16.結果を出す他動詞中級★★
表記あげる、上げる、挙げる
(人などが)望ましい結果を出す。
文型
<人・もの・こと>が<望ましい結果>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
あの会社は年に一兆円の利益をあげている。
新人投手が初勝利をあげた。
山田は政治家としてそれなりの実績を上げているそうだ。
田中さんが関わるプロジェクトは、毎回見事な成果を上げている。
その治療は期待していたほどの効果をあげなかった。
彼は次々に優れた研究業績をあげ、高い評価を得ている。
stairsこれから、安定した収益をあげて、みんなに長く愛されるお店にしていきたいです。
コロケーション
<望ましい結果>を
効果、成果、実績、収益、利益、売上、高得点、好成績、勝ち星、白星、新記録、勝利
<様態>
はっきり(と)(成果をあげた)、一段と(効果をあげる)、一向に(~ない)(一向に利益をあげられない)
非共起例
<望ましい結果>をあげる
 結果をあげる
 成果をあげる
解説
「成績をあげる」であれば、11の「レベルを向上させる」の意味と考えられるが、「好成績をあげる」の場合は、「好成績をおさめる」と類義となり、16の「人間等が成果を出す」の意味となる。両者の違いはもともと存在しているもののレベルを向上させるのか(11)、成果を出現させるのか(16)の違いである。したがって、ここでの「あげる」は、8「物が煙や炎を発生・上昇させる」および14「人間が声を発する」からの拡張と考えられる。というのは、この3つの意味には、「無から有」、つまりこれまでなかったものを出現・発生させるという共通点が見られるからである。ただし、「効果をあげる」などの場合は、五感だけでは捉えられず、より知的な営みを必要とするものである。より抽象的な意味とも言える。
誤用解説
誤ったコロケーションで示したように、「結果をあげる」とは言わない。「成果」「効果」などにはプラスの意味が含まれているのに対して、「結果」の基本的な意味は中立的だからである。「結果」が中立的であるということは、「よい結果」とも「悪い結果」とも言えることからわかる。
類義語・反義語
類義語出す(成果を出す)
反義語


17.注目させる他動詞中級★★
表記あげる、挙げる、上げる、揚げる
(人が)対象や注目すべきものを具体的に示す。
文型
<人>が<注目すべきもの>として[に]<もの・こと>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
選考委員会は、今年の受賞者候補として田中の名前をあげた。
好きな映画について、いくつか作品名を挙げてもらった。
温暖化現象について、いくつか実例をあげてみよう。
「なにか例を挙げて説明していただけませんか。」
個人名をあげて非難するのはよくない。
彼は論文で、その事実を証明する多くの証拠をあげている。
stairsどういった漢字ですか?具体的な例をあげてみてください。
コロケーション
<注目すべきもの>として
候補、話題、議題、課題、証拠、根拠、例、噂
<注目すべきもの>に
候補、リスト(のトップ)、名簿、ラインナップ、ランク、上位、筆頭、ノミネート、話題、議題、課題、俎上、容疑者、証拠、根拠、例
<もの・こと>を
名前、名、組織、証拠、例、表、文献、問題点
<様態>
次々(と)(具体例をあげる)
非共起例
<もの・こと>をあげる
 何人かの姓名[姓]をあげる
 何人かの名前をあげる
解説
「役者を舞台にあげる」「(上空に)アドバルーンをあげる」などの例からもわかるように、「人間であれ物体であれ、高いところに移動させる」(1、2、3)ことによって、その対象は、人々の「目につく、あるいは注目される」状態になる。このことから、「あげる」が「人間が、注目すべきものとして対象を提示する」という意味に拡張したと考えられる。
類義語・反義語
類義語出す(~を話題に出す)
反義語


18.見つける他動詞上級
表記あげる、挙げる
(警察などが)犯人や証拠を見つける。
文型
<人>が<犯人や証拠>をあげる
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
警察は証拠をあげられなかった。
田中探偵はいつも直感とひらめきでホシをあげる。
警察はとうとう犯人をあげた。
このファックスは、「犯人をあげられるものならあげてみろ」という挑戦状だ。
「犯人をあげるまでが勝負だ。気を抜くな」
今回あげられた証拠を前に、容疑者は黙ってしまった。
コロケーション
<犯人や証拠>を
犯人、死体、証拠
<様態>
次々(と)(証拠をあげる)、とうとう(犯人をあげた)
非共起例
<犯人や証拠>をあげる
 殺人鬼をあげる
 殺人鬼を逮捕する
解説
「証拠をあげる」は、17と18の2つの意味に解釈できる。「主張の妥当性を示す証拠をあげる」という場合は、「提示する」という意味であるのに対して、「(大捜査の結果)ようやく証拠をあげた」という場合は、「見つける」という意味である。 また、18の意味も、17の場合と同様に、「人間であれ物体であれ、高いところに移動させる」(1、2、3)ことによって、その対象は、人々の「目につきやすい」状態になる(したがって、「見つかりやすい」)ことに基づくと考えられる。
誤用解説
かなり慣用化された表現であり、「あげる」対象は「犯人、死体、証拠」などの語である。意味的に類似した表現でも許容されないものが多い。
 警察は遺留品をあげた
 警察は遺留品を見つけた[見つけ出した]
類義語・反義語
類義語見つける(犯人/証拠を見つける)
反義語


19.捧げる他動詞上級
表記あげる、上げる
(人が)神仏に祈りを捧げたり物を供えたりする。
文型
<人>が<供物や経>を<神仏>にあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
お坊さんがお経をあげている。
太郎はお墓に線香をあげた。
先ほどから祝詞があげられている。
太郎があげたお供え物が、風で飛んでしまった。
あれ以来、2、3回線香をあげに来ている。
お経をあげながら、花子は泣いてしまった。
stairsこれは、参拝者が線香をあげるための、常香炉(じょうこうろ)というものです。
コロケーション
<供物や経>を
お供え物、線香、灯明、お経、弔辞、祝詞
<神仏>に
墓、神棚、仏壇
非共起例
<供物や経>をあげる
 おはぎ[お団子・ミカン]をあげる
 おはぎ[お団子・ミカン]を供える
お供え物であっても「おはぎ」などの個別的なものの場合、「あげる」とは言わない。
解説
神道で「神棚」は高いところにあることから、「供物をあげる」などは、「あげる」の「下から上へ移動させる」(1,2,3)という意味を含む。また、仏教の仏壇は高いところにないが、「神仏に供える」という点では共通しているので、「あげる」が使われるようになった。さらに、「祝詞」などは、物ではないが、「供物」などと同様に、神仏に対するものであることから、「あげる」が使われるようになったと考えられる。
類義語・反義語
類義語供える(お団子を供える)
反義語


20.式を行う他動詞中級★★
表記あげる、挙げる
(人が)式を行う.
文型
<人>が<式>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
太郎は祝言をあげた。
子どものために立派な結婚式をあげてやった。
小さなレストランで式をあげた。
6月に結婚式をあげることになりました。
成人式をあげていない子どもは大人とはみなされない。
ペットが死ぬとお葬式をあげる人が増えている。
コロケーション
<式>を
式(結婚式の意)、結婚式、祝言、婚儀、成人式、葬式
非共起例
<式>をあげる
 卒業式[除幕式]をあげる
 卒業式[除幕式]を行う[執り行う]
結婚式のような個人的な式に限定され、「卒業式」などは「あげる」と言わない。
解説
「式を行う」ということは、日常的でない特別なことであり、1,2,3,17と同様「注目される」ことであることから、「あげる」を使うことができると考えられる。
類義語・反義語
類義語する、行う、執り行う(結婚式をする[行う・執り行う])
反義語


21.力を結集して行う他動詞中級★★
表記あげる、挙げる
(人が)力を結集して物事を行う.
文型
<人間>が<組織・力>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
職員は全力をあげて問題の解決にあたった。
「みんな、絶好のチャンスだ。試合時間残り3分、全力をあげてぶつかれ!」
A研究所が総力をあげて大規模なコーパスを作った。
オリンピック代表選手に対して、国をあげて支援する。
国をあげての対策が功を奏して、インフルエンザの猛威はおさまった。
先の大失態に対して、今後全社をあげて名誉挽回に励むつもりだ。
コロケーション
<組織・力>を
組織の類:国、町、村、全社、全市、局
解説
「国をあげて支援する」というように、「~をあげて(何かを行う)」という形で使う。また、この意味は、11「レベルを向上させる」からの拡張と考えられる。というのは、「国をあげて」「全力をあげて」などは、物事のやり方として、ある観点から見て、最も高いレベルだからである。そのため、形態素「全-」を含む語との共起することが多い。
誤用解説
「家族全員で(ピアニストを目指している)娘を応援する」という状況でも、「家族をあげて娘を応援する」とは言いにくい。
 家族をあげて娘を応援する
 家族全員で娘を応援する
類義語・反義語
類義語傾ける(全力を傾ける)
反義語


22.仕事を完了他動詞上級
表記あげる、上げる
【終了・完成】仕事を完了する。
文型
<人>が<仕事・原稿>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
彼は徹夜で原稿をあげた。
この仕事は何としても期日までにあげなければならない。
「まずい、締め切りだ。今日中に原稿をあげないと…。」
原稿をあげてきたら、すぐに印刷に回します。
二三日徹夜しないと、この仕事を期日までにあげられそうにない。
締め切り通りに原稿をあげる作家なんて、そうそういませんよ。
コロケーション
<仕事・原稿>を
仕事、原稿
解説
この意味は、「書きあげる」、「仕上げる」などの複合語「-あげる」の完了の意と結び付いていると考えられる。
誤用解説
この意味の「あげる」対象は、「仕事」「原稿」という語に限られているようであり、具体的な仕事の内容を表す語を対象として取ることは難しい。
 明日までに工事をあげなければならない。
 明日までに工事を終えなければならない。
類義語・反義語
類義語終える(仕事を終える)
反義語


23.費用をある範囲ですませる他動詞上級
表記あげる,上げる
【終了・完成】費用をある範囲ですませる.
文型
<人間>が<費用>を<ある範囲>であげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
宴会の費用は、できれば一人三千円くらいであげたい。
「旅費は青春18切符で安くあげよう!」「いいね!」
「今回のパーティ、一人一万円くらいであげられない?」
「夏の旅行、交通費を安くあげれば、もう一箇所まわれるかもしれないね」
交渉したら、費用を格安であげることができた。
「交通費を安くあげるなら、夜行バスがお勧めだよ!」「そうなんだ。じゃあそうしようかな。」
コロケーション
<費用>を
費用、経費、パーティー(の費用)、旅行(の費用)
<ある範囲>で
○○円、格安
<形容詞連用形>
安く
<様態>
どうにか(安くあげる)、必死に(1万円であげた)
非共起例
<ある範囲>であげる
 ただであげる
 ただですむ
誤用解説
「あがる」(21)と同様に、ここでの「あげる」は「催しなどの費用」に使われるのが普通であり、(衣服などの)商品について、予算より安く買うことができた場合には、「このコートは1万円であげた」とは言えない。
 このコートは1万円であげた
 このコートは1万円だった
 このコートは1万で買えた
類義語・反義語
類義語済ませる(安く済ませる)
反義語


24.揚げ物が完成他動詞中級★★
表記あげる、揚げる
【終了・完成】揚げ物を完成させる。
文型
<人>が<食材>を{<道具>で}あげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
フライをじっくりとあげた。
「晩御飯はカツを揚げるね。」「わーい!」
私はてんぷらをからっと揚げられない。
フライパンで揚げると、油の処理が楽だ。
「エビは高温ですばやく揚げるとおいしいよ。」
高温で揚げるときは、火傷をしないように気を付けないといけない。
コロケーション
<食材>を
天ぷら、フライ、カツ、エビ
<道具>で
フライパン、油、高温
<様態>
からっと、じっくり
非共起例
<様態>あげる
 こんがり(と)あげる
 こんがり(と)焼く
類義語・反義語
類義語作る(天ぷらを作る)
反義語


25.バッテリー他動詞上級
表記あげる、上げる
【終了・完成】バッテリーを放電させる。
文型
<人>が<バッテリー>をあげる。
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
車のバッテリーをあげてしまった。
車のバッテリーをあげてしまい、あわてて交換した。
バッテリーをあげてしまっては仕事にならない。
バッテリーをあげてしまったので、JAFをよんだ。
コロケーション
<バッテリー>を
バッテリー
非共起例
バッテリー
理由
誤用解説
車のバッテリーをあげるわけであるが、車自体を目的語として取ることはできない。
 彼はをあげてしまった。
 彼はバッテリーをあげてしまった。
 彼は車のバッテリーをあげてしまった。


上げるの全体解説 各語義の解説を参照。
























▶全例文を聞く
<人・もの>をあげる
一同はグラスを上げて乾杯した。
 (メグ・レイシー作;片山真紀訳 『プリンセスに夢中』, 2003, 9 文学)
<着点>にあげる
そして、玲児さんも二度と敏江さんを舞台に上げないと、約束させられたのだ。
(島崎恭子著 『芸人女房伝』, 1988, 7 芸術・美術)
<様態>あげる
ポンティタナ村の勇者らは、一斉にグラスをあげて賛同の意をしめした。
(C.W.ニコル著;村上博基訳 『白河馬物語』, 1989, 9 文学)
<もの(の全体)>をあげる
このような状況で好ましいプレーは、敵のゴール前付近、ファーポストへクロスボールを上げることです。
(松木安太郎監修;デーヴ・スミス,ピート・エドワーズ,アダム・ワード著;赤星里栄訳 『サッカー上達マニュアル』, 2001, 7 芸術・美術)
さすがに夜中の一時ごろには、花火のネタもつきてしまうが、子供たちは冬の夜空に花火を上げるのを、心待ちにしているようだ。
(小林英起子著 『ケルン大聖堂の見える街』, 2004, 3 社会科学)
<(その)人・ものの一部>をあげる
ふと、視線を感じて顔を上げた。
 (宮根宏明作;横松桃子絵 『ぼくと英語とニワトリと』, 2002, 分類なし)
塩村を見ると片手を上げ何か言いかけたが、すぐうしろから入ってきた守の姿に黙って手を下した。
 (宮本輝編 『わかれの船』, 2001, 9 文学)
<様態>あげる
ふと視線を上げると、九鬼も目を細めて微笑んでいた。
(深見真著 『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』, 2002, 9 文学)
父は続けてそう言い、それからようやく顔を上げた。
(乃南アサ著 『パラダイス・サーティー』, 2003, 9 文学)
彼女はわずかに眉を上げて、マックスをじっと見つめた。
(パトリシア・コグリン作;大友悠訳 『祝祭の季節』, 2003, 9 文学)
<水中>からあげる
爪楊枝でホワイトアスパラを刺し、スッと刺さったらお湯から上げ、冷水でよくすすぎます。
 (Yahoo!ブログ, 2008, 生活と文化)
<水のないところ>にあげる
にらはたっぷりの熱湯に入れてさっとゆで、ザルに上げます。
(読売新聞社編 『「ご飯もの」147品』, 1998, 5 技術・工学)
<家の内部>にあげる
博司はふたりを家に上げることはせず、玄関先で追い返した。
(藤井誠二著 『殺人を予告した少年の日記』, 2001, 3 社会科学)
正憲は嘉門をダンボールの積み上げられた六畳の部屋に上げた。
(能島龍三著 『風の地平』, 2003, 9 文学)
門のところまで出て来た菊池は、嶋中を座敷に上げようとはせず、不機嫌な顔でぼそっと言った。
(猪瀬直樹著 『マガジン青春譜』, 2002, 9 文学)
<敷かれてあったもの>をあげる
息子の部屋の窓を開け、煙草の匂いを追い出している間、主寝室にしている八畳の和室の布団を上げる。
 (日本推理作家協会編 『完全犯罪はお静かに』, 1995, 9 文学)
夜になると、泊まりの家の一間の畳を上げて板敷きにし、そこで一晩神楽を演じます。
 (鷲田清一ほか著 『顕わすボディ/隠すボディ』, 1993, 2 歴史)
<もの>があげる
側溝に温泉の湯が煙を上げて流れている。
 (北村薫著 『空飛ぶ馬』, 1989, 9 文学)
<煙や炎>をあげる
あそこで、噴煙を上げているのが、焼岳。
(松定ちよし著 『原本枕草子に操られたキツネとタヌキ』, 2004, 9 文学)
立ち並ぶ、黒くこげた柱が、炎を上げて燃え始めたのだ。
 (赤川次郎著 『その女の名は魔女』, 2004, 9 文学)
木馬は土煙を上げて加速し、下へ下へと突進していく。
(沢田黒蔵著 『真田の狼忍』, 2005, 9 文学)
<数量①>をあげる
最低賃金を上げないと日本のモチベーションはあがることはないだろう。
 (Yahoo!ブログ, 2008, Yahoo!サービス)
<数量②>をあげる
しっかり予熱してグリル庫内の温度を上げる。
(松田美智子著 『松田美智子の魚焼きグリルでパパッと! cooking』, 2003, 5 技術・工学)
<数量④>をあげる
旅館独自の営業力で平日も含め稼働率を上げるのは非常に難しいです。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 地域、旅行、お出かけ)
<数量⑤>をあげる
末永がリモコンを操作してボリュームを上げた。
 (安東能明著 『強奪箱根駅伝』, 2003, 9 文学)
気づかないまま、血圧を上げるような生活が習慣化していることもあります。
(谷口正幸,池上保子著 『高血圧』, 2000, 4 自然科学)
でも、その場を楽しくするためには、テンションを上げるのがいつも効果的とは限らないんです。
(中村豪著 『お笑い芸人の合コンに学ぶ心理戦術』, 2005, 1 哲学)
<様態>あげる
サドルから腰を浮かし、少しずつ速度を上げていった。
(柘植久慶著 『サヴァイヴァル・ツアー』, 2003, 9 文学)
【慣らし焚き】薪ストーブの設置後やシーズンはじめに、低めの温度から徐々に温度を上げてストーブを熱に慣れさせること。
( 『暖炉・薪ストーブを楽しむ』, 2002, 分類なし)
太陽の光をあびて、眩しいほど輝いている丘陵や、うっすらともやのかかる湖を眺めながら、私たちはどんどんとスピードを上げていった。
(グロ・ブルントラント著;竹田ヨハネセン裕子訳 『世界で仕事をするということ』, 2004, 2 歴史)
<レベル・水準>をあげる
とにかく、ある程度英語で自己主張ができるところまでレベルを上げる必要があります。
 (住出勝則著 『「使える英語」へまっしぐら!』, 2001, 8 言語)
日本やスイスのように自然資源に乏しい国でも、経済活動をとおしてGDPを増やして国民の生活水準を上げることができる。
(風早正宏著 『ゼミナール経営管理入門』, 2004, 3 社会科学)
商品は長く使われるほどにその作り手の評価を上げる。
(橋本博著 『成長の技術』, 2002, 6 産業)
特に技術者はずっと学び続けて、能力を上げていかなければなりません。
 (吉村克己著 『eラーニング』, 2001, 3 社会科学)
楽をして成績を上げることはできないのです。
 (三田誠広著 『団塊老人』, 2004, 3 社会科学)
決勝では徐々に順位を上げ、13周を走り終えた1/4時点では6位。
(城島明彦著 『F1の経済学』, 1994, 7 芸術・美術)
東南にキレイな水を置いて、運を上げる風水術もあります。
 (小林祥晃著 『Dr.コパのまるごと風水事典』, 1999, 1 哲学)
<(より上級の)教育機関>にあげる
父は一家の長として、子供の病気を治すため、子供を学校に上げるため、さらには子供の仕事のため、自分の一貫したやり方に反して、一回また一回と筆を執り、一通また一通と手紙をしたため、しかも、できるだけ詳しく書いた。
 (毛毛著;藤野彰ほか訳 『わが父・[トウ]小平』, 2002, 2 歴史)
<声①>をあげる
友巳が突然甲高い声を上げた。
 (桑原水菜ほか著 『もうひとつのラブソング』, 1993, 9 文学)
<声②>をあげる
康成は小諸城まで届くほどの大声を上げた。
(津野田幸作著 『戦国大乱』, 2002, 9 文学)
<声③>をあげる
瞳子は思わず悲鳴を上げる。
(三雲岳斗著 『ランブルフィッシュ』, 2001, 9 文学)
<様態>あげる
花と瑞穂が同時に「えーっ!」と声を上げた。
 (梅田みか脚本;蒔田陽平ノベライズ 『あした天気になあれ。』, 2003, 9 文学)
橋のたもとにたむろしていた野次馬が一斉に悲鳴を上げた。
(ディーン・デブリン,ローランド・エメリッヒ脚本;スティーヴン・モルスタッドノベライズ;石田享訳 『ゴジラ』, 1998, 9 文学)
ハナとヴェルーダが、異口同音に叫び声を上げる。
 (阪本良太著 『はなひな』, 2003, 9 文学)
<意見>をあげる
誰かがエキストラに選ばれると、選ばれなかった者たちは不満の声を上げた。
(馬建著;上田クミ訳 『レッドダスト』, 2003, 9 文学)
にもかかわらず、極めて多くの人が、技術が国際関係に及ぼした変化について怒りの声を上げ、間違いなく「以前のほうが」ましだったというのである。
 (ジョアンナ・ヌーマン著;北山節郎訳 『情報革命という神話』, 1998, 0 総記)
<望ましい結果>をあげる
反射的な運動が多いだけに、基本の反復練習が実に効果を上げる。
(齋藤孝著 『スポーツマンガの身体』, 2003, 7 芸術・美術)
ところが金融政策は言われているほどの成果を上げられないと考えられる。
 (水谷研治著 『「縮少均衡」革命』, 1995, 3 社会科学)
照明器具や壁紙が売れ、工房は利益を上げはじめる。
 (海野弘著 『モダン・デザイン全史』, 2002, 7 芸術・美術)
この分野で収益を上げるのは当面難しそうだ。
(植村信保著 『生保のビジネスモデルが変わる』, 2003, 3 社会科学)
前回6、7位だった調布市と大田市は今回も高得点を上げ上位陣入りを果たしただけではなく、4、5位とそれぞれ2ランク上がった。
 (日本経済新聞社,日経産業消費研究所編 『全国住民サービス番付』, 2003, 3 社会科学)
<様態>あげる
製品開発の最高のコンサルタントは、その助言に耳を傾ける組織があってはじめて成果をあげる。
(片山又一郎著 『ドラッカーに学ぶマネジメント入門』, 2004, 3 社会科学)
<注目すべきもの>にあげる
ロケ先を決める会議で、小暮が異議を唱えるまでは、誰もがハワイやグアムを候補に上げ、それが妥当と考えてた和樹は、口が挟めないでいた。
 (伊郷ルウ著 『偽りの答』, 2002, 9 文学)
<もの・こと>をあげる
だからいつものように、ぼくは当たりさわりのない女の子の名前を上げていった。
(五十嵐貴久著 『1985年の奇跡』, 2003, 9 文学)
<供物や経>をあげる
季節がいくら移り変わろうとも博司は朝晩、仏壇に手を合わせ、恵子と英恵の祖母は日に三回、お経を上げている日々である。
(藤井誠二著 『殺人を予告した少年の日記』, 2001, 3 社会科学)
何となくご利益もありそうで、浅見はここで初めてお賽銭を上げてお参りをした。
 (内田康夫著 『藍色回廊殺人事件』, 2002, 9 文学)






























網棚に荷物をあげたのを忘れて、そのまま電車を降りてしまった。
子どもが凧をあげています。でも、気をつけないと、木に引っかかってしまうことがあります。
「この問題わかる人?」「は~い!」子どもたちは一斉に手をあげた
日本の旅館では、夜、布団をしき、翌朝、布団をあげます。
スポーツ選手の中には、試合の前にテンションをあげるために、あることをする人がいるそうです。
どうしたの、そんなうめき声をあげて
これから、安定した収益をあげて、みんなに長く愛されるお店にしていきたいです。
どういった漢字ですか?具体的な例をあげてみてください。
これは、参拝者が線香をあげるための、常香炉(じょうこうろ)というものです。
熱をあげる

意味
異性などに夢中になる。
用例
花子は最近、タレントのAに熱をあげている。
コーパスからの用例
だって、わたくしは、自分の教師にお熱をあげるような小娘ではなくてよ! (『ムージル著作集』, 1992, 948)
手をあげる

意味
手でたたく
用例
かっとなって子どもに手をあげるようでは、親として失格だ。
コーパスからの用例
以前、私の兄が奥さんに手をあげてました。 (Yahoo!知恵袋, 2005, メンタルヘルス)
槍玉に挙げる

意味
相当数の人の中から、特定の人を、非難・攻撃の標的にする。
用例
ちょっとした失敗で槍玉に挙げられてしまい、屈辱的だった。
コーパスからの用例
やり玉にあげられた企業六七社のほとんどは、無視・黙殺を決め込んだ。 (日本論争史研究会編 『ニッポンの論争』, 1999, 304)
産声をあげる

意味
物事が新たに現れたり、始まったりする。
用例
この組織が産声をあげてから、すでに10年になる。
コーパスからの用例
イタリアのピエモンテ州のブラという田舎町で、一九六八年「スローフード運動」が産声をあげた。 (森山町編 『森山町郷土誌』, 2004, 291)
棚に上げる

意味
自分に不都合なことには触れないでおく。
用例
自分の事は棚に上げて、文句ばかり言っていてはだめだ。
コーパスからの用例
自らの責任を棚に上げて、よくもこのような発言ができたものだ。 (植村信保著 『生保のビジネスモデルが変わる』, 2003, 339)
複合動詞 V1

上への移動:あげ続ける・あげ過ぎる
複合動詞 V2

上への移動:引っ張りあげる、跳ね上げる、舞いあげる、持ち上げる、見上げる・打ち上げる、投げ上げる、釣り上げる、巻き上げる||レベルの向上?:盛り上げる||発声:読みあげる、謳い上げる||完了:切り上げる、拭きあげる、しあげる、書きあげる、焼きあげる、作り上げる、炊きあげる、染めあげる||敬意:差し上げる、申し上げる||家への移動:招きあげる||その他:取り上げる、繰り上げる
上げる(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形あげる
ない形あげない
~なかったあげかった
ます形あげ
~ませんあげま
~ましたあげした
~ませんでしたあげまんでした
~ときあげるとき あげる
ば形あげ
意向形あげ
て形あげて
た形あげた
可能形あげられる(あげれる)
受身形あげられる
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