抜けるのコアイメージ

1.分離自動詞初級★★★
表記抜ける
ものが、固定されていたものから離れて取れる。
文型
<もの>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
産後、髪の毛がごっそり抜けた
耐震金具は、地震の時に柱が土台から抜けるのを防ぐ役割をします。
「お母さん、歯が抜けたらどうなるの」「大人の歯が生えてくるんだよ」
「羽根があまり抜けない鳥を飼いたい」「セキセイインコがいいらしいよ」
なかなかお湯がたまらないと思ったら、浴槽の栓が抜けていた
「パソコンの電源がつきません」「モニターの電源ケーブルが抜けていませんか」
stairs皆さんの国では、子どもの時の歯が抜けたら、それをどうしますか。
コロケーション
<もの>が
① 身体の一部:歯、毛、髪の毛、まつげ、乳歯
② コンセント、チューブ、針、ピン、ケーブル、釘、プラグ、栓、ねじ、かぶ、糸
<様態>
なかなか(~ない)、すぐ、すっぽり、一気に、すっかり、すっと、やっと、徐々に、ごっそり
解説
この「ぬける」は、あるものに固定されている(はまっている、刺さっている)ものが、離れて取れることを表す。この時、より大きいものが本体とみなされ、そこに固定されている本体の一部とみなされるものが、本体から分離することを表す。
誤用解説
二つのものが分離する際に、その二つのもののうち、より大きなもの(本体とみなされるもの)に固定されていると捉えられる、より小さな部分が主体になる。
 頭[指]から毛[とげ]が抜ける。
 毛[とげ]から頭[指]が抜ける。
一方、以下の例では、二つのもののどちらを主体とすることもできる。
 (指から)指輪が抜ける。
 (指輪から)指が抜ける。
これは、二つのもののうちどちらも、もう一方のものに固定されていると捉えることが可能であるためである。つまり、指を軸(本体)として指輪(部分)の方を動かして二つのものを分離させる場合には「指輪が抜ける」と表現することができ、それに対して指輪を軸(本体)として指(部分)の方を動かしてそこから分離させる場合には「指輪から指が抜ける」と表現することが可能になる。
類義語・反義語
類義語外れる(コンセント[栓]が外れる)、取れる(ねじが取れる)
反義語入る(コンセント[栓]が入る)


2.流出・放出自動詞初級★★★
表記抜ける
気体や液体が、ものの内部から外へ出る。
文型
<気体・液体>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
魚は活きたまましめると、完全に血が抜ける
気の抜けたビールはおいしくない。
野菜を塩もみすると水分が抜けて縮みます。
水田の水がなかなか抜けない
使用済みライターはガスが完全に抜けてから捨ててください。
タイヤがパンクしていたようで、どんどん空気が抜けていった。
stairsそのままにしておくと泡もなくなり、気が抜けて、おいしくなくなります。
コロケーション
<気体>が
空気、ガス、炭酸、蒸気、気、気泡、湿気
<液体>が
水分、水気、水、血、お湯
<様態>
なかなか(~ない)、すっかり、一気に、徐々に、しっかり、少し
解説
この意味の「ぬける」は、本体とみなされるものからその一部が離れることを表すという点で語義1と類似しているが、語義1とは異なり、「ぬける」の主体は個体ではなく、気体や液体といった流動体である。また、例えば語義1の「毛が抜ける」では、本体である身体の表面に固定されていた部分が離れることを表すが、この意味の「ぬける」では、主体は本体の内部にとりこまれているものであり、典型的にはその全体に行き渡っているものである。
誤用解説
浴槽の栓を外して中のお湯がすべてなくなる場合など、典型的には排水溝や空気孔などから、液体や気体が流出した場合に用いられる。したがって、浴槽のお湯が蒸発してなくなる場合などには、「浴槽からお湯が抜ける」とは言わない。
類義語・反義語
類義語出る
反義語入る、たまる


3.弛緩(物理的力)自動詞上級
表記抜ける
(物理的な力がかかっている状態で)負荷が弱まる。
文型
<力>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
私を支えていた彼の手から急に力が抜け、私はその場に倒れてしまった。
筋トレでは、負荷が抜けるところまで無理に関節を伸縮させる必要はありません。
釣り上げられると思った瞬間、竿からテンションが抜けてしまいました。
車高を下げすぎて車が路面と接触すると、荷重が一気に抜けて、急にタイヤがグリップしなくなる。
アンチロックブレーキシステムが作動すると、ブレーキを踏んだままでも一瞬ブレーキが抜けるように感じる。
急な方向転換をするスポーツでは、突然膝の力が抜けてしまうことがあり、膝を傷めやすいです。
コロケーション
<力>が
テンション、負荷、荷重、ブレーキ
<様態>
ふっと、急に、一気に、一瞬
非共起例
<力>が
 荷物を降ろすと、台に掛かっていた荷重が抜けた
 荷物を降ろすと、台に掛かっていた荷重がなくなった
物理的な力であっても、重力には用いられない。
解説
この意味の「ぬける」は、ものに掛かっていた力が弱まることを表し、容器を満たしていた気体や液体が容器の外へ出ることを表す語義2と類似している。つまり、語義2の、気体や液体でパンパンに満たされた状態から内容物である気体や液体が外に排出されることで容器が堅さを失うということと、語義3の、ある部分に掛かっていた力が緩和されることで緊張状態が失われるという点が類似している。
なお、以下のように「腰が抜ける」で、身体の力が入らなくなることを表すことがある。
 恐怖で腰が抜け、その場に座り込んで動けなかった。
この場合も、実際に腰が身体から離れてしまうのではなく、恐怖や驚きなどで衝撃を受けて身体を支える力が弱まってしまうことを表す。身体を支える力が「腰」で表されるのは、腰が身体の中心にあり、上半身を支え、身体の運動において重要な機能を果たしていると考えられるためである。
類義語・反義語
類義語消える
反義語かかる、加わる


4.弛緩(気力)自動詞中級★★
表記抜ける
気力が弱まる。
文型
<気力>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
母の顔を見た瞬間、ふっと力が抜けた
監督からの一言で、すっと緊張が抜けていくのがわかった。
「お子さんが事故に遭ったって?」「そうなの。職場から慌てて病院に駆けつけたらかすり傷で、全身の力が抜けたわよ」
試合終了間近で気が抜けてしまい、一点返されてしまった。
新しい環境になってもう数カ月経つのに、なかなか気負いが抜けない
失敗しても良いと思ったら、一気に肩の力が抜けて、満足のいくプレーができた。
コロケーション
<気力>が
力、肩の力、気、生気、緊張、堅さ
<様態>
一気に、すっかり、なんだか、ふっと、なかなか(~ない)
解説
この意味の「ぬける」は、人の身体や心を満たしていた気力が弱まることを表し、ものに掛かっていた物理的な力が緩和されることを表す語義3と類似している。さらに言えば、力が掛かったものの緊張状態が緩和されるという点でも、語義3の特徴を引き継いでいる。一方で、語義3はものに掛かる物理的な力が弱まることを表すが、語義4は人の緊張状態の緩和に関わる意味を表す点で異なる。
誤用解説
この意味の「ぬける」の主体は、心身のこわばりを引き起こす気力や気負いなどの<力>であり、身体だけでなく精神的にも緊張状態にある場合に用いられる。そのため、身体に関わる<力>でも、<視力>や<聴力>などの<能力>については用いられない。
 少しずつが抜ける。
 少しずつ視力が抜ける。
 少しずつ視力が弱まる。
類義語・反義語
類義語なくなる(生気がなくなる)、取れる(緊張が取れる)
反義語入る(力が入る)


5.消失(成分)自動詞中級★★
表記抜ける
ものの内部に存在していた成分がなくなる。
文型
<成分>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
玉ねぎを生で食べる場合は、塩でもんでから水にさらしておくと辛みや臭みが抜けます
カラーリングをした日にしっかり洗髪したら、少し色が抜けてしまった。
ハダニは葉の裏に付き、葉の色が抜けて白っぽくなります。
昨晩のアルコールがまだ抜けていない。
良い柔軟剤を使っても、数日たつと香りが抜けてしまう。
たけのこは先端を切り落として縦に包丁を入れると、火が通りやすくなるし、あくが抜けやすくなります。
コロケーション
<成分>が
あく、アルコール、色素、ニコチン、香り、脂、色、カルキ、毒、臭み、塩分、酒
<身体>から
体、身体、体内
<様態>
なかなか(~ない)、すっかり、全く(~ない)、やっと、徐々に、ようやく、ほとんど、どんどん、うまく
解説
この意味の「ぬける」は、本体とみなされるものの内部に取り込まれているもの、あるいは行き渡っているものが、本体から離れた(語義2)結果、本体から消失することを表しており、語義2の結果として生じる意味である。
誤用解説
本体からある成分がなくなるという意味では、「落ちる」も同様だが、「落ちる」は本体から成分が分離することに焦点があり、「ぬける」は本体から成分が消失することに焦点がある。「ぬける」は「落ちる」と異なり、主体は本体とみなされるものの内部に取り込まれているものであり、それが分離し、本体から消失することを表すのである。したがって、染料などが内部に浸透しているのではなく、表面にのみ付着していて、それが取れる場合には、「ぬける」は用いられない。
 手に付いたペンキは洗うと落ちる
 手に付いたペンキは洗うと抜ける
類義語・反義語
類義語なくなる、消える(臭みが消える)、取れる(臭みが取れる)、落ちる(色が落ちる)
反義語つく(臭み[色]がつく)、入る(色[アルコール]が入る)


6.消失(傾向・習慣)自動詞中級★★
表記抜ける
傾向・習慣がなくなる。
文型
<傾向・習慣>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
東京に来て30年、すっかり名古屋弁が抜けた
山頂の景色を見た瞬間、一気に疲れが抜けた
入社して半年経つのに、いまだに学生気分が抜けない
「息子さん、来年から中学生ですって?」「そう。でもまだまだ子供っぽさが抜けなくて心配なの」
あの人は政治的見識に欠け、官僚的発想が抜けていない
大人になっても人の顔色を伺ってしまう癖は抜けない
コロケーション
<傾向・習慣>が
疲れ、疲労、感覚、発想、考え方、癖、訛り、習性
<様態>
① ちょっと、少し、すっかり、徐々に、ようやく、だんだん
② (「~ない」の形で)まだ、なかなか、どうしても、まったく、いまだに
解説
この意味の「ぬける」は、本体とみなされるものの内部に取り込まれているものが、本体から消失するという点で語義5と類似しているが、語義5の主体はものの内部に存在する成分である一方で、この意味の「ぬける」の主体は人間の傾向や習慣という抽象的なものである。
誤用解説
この意味の「ぬける」は、人の状態でも、傾向や習慣と呼べる一定期間継続する状態にのみ用いられる。したがって、喜怒哀楽のような、長期に渡っては持続しない精神状態には用いられない。
 すぐ怒る癖はなかなか抜けない。
 怒りはなかなか抜けない。
類義語・反義語
類義語消える(子供っぽさが消える)、取れる(疲れ[訛り、子供っぽさ]が取れる)
反義語つく(癖がつく)


7.離脱(集団から)他動詞中級★★
表記抜ける、脱ける
人が、属していた集団から離れる。
文型
<人>が<集団>を[から]抜ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
組織を抜けるのは難しい。
今、あの選手に抜けられたら、このチームはますます弱くなってしまう。
看護師が一人抜けただけで、病院は大きなダメージを受ける。
当時は主力メンバーがどんどん抜けて、ものすごくチームが弱かった。
両親は息子を不良仲間から抜けさせようと必死だったが、なかなかうまく行かなかった。
長いこと組合に入っていますが、そろそろ抜けたいです。
コロケーション
<人>が
選手、主力、メンバー、リーダー、働き手
<集団>を[から]
組織、グループ、チーム、組、バンド
<様態>
① いち早く、一気に、すっかり、突然、同時に、どんどん
② (「~ない」の形で)なかなか、まだ、いまだに
解説
語義1は、あるものに固定しているものが離れることを表すが、この意味の「ぬける」は、全体を成している複数のものの中から、その一部が分離することを表し、「一体となっているものの一部が離れる」という点では語義1と類似している。なお、主体は人であり、本体となる組織に物理的に固定されているとは考えられないが、本体の一部を構成しているという点では語義1の本体とその一部の関係と同様である。
また、語義7の「ぬける」はヲ格を取るため他動詞としたが、典型的な他動詞とも異なることを確認しておこう。典型的な他動詞のヲ格は、主体が意図的な行為を行い、その行為によって変化を引き起こす<対象>を表す。以下、「ぬける」と対応する他動詞の「ぬく」を見てみよう。
 父が庭の雑草を抜く。
この例では、主体である「父」が「庭の雑草」に対して「抜く」という行為を行い、それによって「庭の雑草」は地面に固定された状態から分離した状態へと変化する。それに対して、語義7の「ぬける」はヲ格を取るが、このヲ格は<対象>ではなく移動の<起点>と捉えられ、カラ格に置き換えることが可能である。
 彼がグループを抜ける。
 彼がグループから抜ける。
また、典型定な他動詞の場合は直接受身にできるが、語義7の「ぬける」はできない。
 庭の雑草が抜かれる。
 グループが抜けられる。
このような特徴は、「ぬける」の語義7(や、後述する語義8、11、12、15)だけでなく、移動を表す「出る」、「離れる」、「歩く」、「通る」などの動詞にも共通する特徴であり、これらはヲ格を取るため自動詞用法とは言い難いが、一方で上記の「抜く」のような典型的な他動詞とも異なる。なお、「ぬける」の語義7(「組織を抜ける」)、語義8(「仕事を抜ける」)、「家を出る」、「仕事を離れる」のヲ格は<起点>を表す一方で、後述する「ぬける」の語義11(「トンネルを抜ける」)、語義12(「(台風が)日本列島を抜ける」)、語義15(「スランプを抜ける」)、そして「公園を歩く」、「トンネルを通る」のヲ格は<経路>を表すという点で異なる。(<経路>を表すヲ格については語義11以降を参照。)
誤用解説
この意味の「ぬける」は、何らかの組織から離れることを表し、人の集団を表すものであればヲ格(またはカラ格)で示すことができる。ここで、以下の例を見てみよう。
 劇団[学校、会社]と折り合いがつかず、結局辞めてしまった。
この例の「劇団」、「学校」、「会社」はそれぞれ、<劇団員>、<学校の教職員>、<上司(など、会社の人間)>を表している。しかし、この意味の「ぬける」は「学校」や「会社」に対して用いることはできない。
 田中君が劇団を抜けた。
 田中君が学校[会社]を抜けた。
 田中君が劇団を辞めた。
 田中君が学校[会社]を辞めた。
つまり、「学校」や「会社」など、特定の文脈においては複数の人によって構成される組織を表すことが可能な場合であっても、純粋に人の集団を表すのではない場合には、この意味の「ぬける」を用いることができないということになる。
類義語・反義語
類義語辞める
反義語入る、加わる


8.離脱(状況から)他動詞中級★★
表記抜ける、脱ける
人が、ある状況を離れる。
文型
<人>が<状況>を[から]抜ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
芸者の姉は、子供が熱を出してもなかなか座敷を抜けられなかった。
まだ勤務時間は終わっていないが、用があるからといって抜けさせてもらった。
「田中君がこのプロジェクトを抜けたいと言っていたよ」「今彼に抜けられたら困る」
一年間の収入が130万以上の場合は扶養から抜けなくてはなりません。
仕事をやめて社会保険から抜けたら、国民年金に入りましょう。
夫婦が離婚すると、妻が結婚時の戸籍から抜けることになります。
コロケーション
<状況>を[から]
① 進行中のこと:仕事、プロジェクト、ゲーム
② 制度:戸籍、扶養、保険
<様態>
なかなか(~ない)、ちょっと、少し、どうしても(~ない)、ようやく
解説
この意味の「ぬける」の主体は人であり、本体とみなされるものから人が離れることを表す点で語義7と類似している。一方で、語義7の本体とみなされるものとは、複数の人によって構成される集団であるが、語義8で本体とみなされるものは、従事していた仕事や制度など、主体である人が身を置く状況である。つまり、主体である人はある仕事や制度等の構成部分であり、その部分(主体)が本体(ある状況)を離れることを表している。
なお、この意味の「ぬける」もヲ格を取るため他動詞としているが、語義7で述べたように、典型的な他動詞とは異なり、ヲ格は主体が行う行為によって変化が生じる<対象>ではなく、移動の<起点>を表している。(詳しくは語義7の語義解説参照。)
誤用解説
この意味の「ぬける」のヲ格(カラ格)には、主体である人が身を置く状況がくるが、その状況は、他の人とともに主体が構成部分となる状況に限られる。以下の「仕事」も、例文中の「保険」や「扶養」のような「制度」も、その状況に複数人の存在が想定される。これは、この意味の「ぬける」が語義7の<人が、属していた集団から離れる>という意味の<集団>という特徴を引き継いでいるためであると考えられる。
 電話がかかってきたので、ちょっと仕事を抜けた。
 電話がかかってきたので、ちょっと料理を抜けた。
類義語・反義語
類義語離れる
反義語戻る


9.不足自動詞上級
表記抜ける
本来あるべきものが、欠けている。
文型
<あるべきもの>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
名簿から名前が抜けている
彼の話はいつも主語が抜けている
約束がすっかり頭から抜けていた
事故以前の記憶がすっぽり抜けている
自分で脈に触れてみた時に、何回かに1回、脈が抜けるのに気付いた。
番地などが抜けていると発送できませんので、ご住所の確認をお願いいたします。
stairs会話の中で主語がたくさん抜けていたのがわかったでしょうか。
コロケーション
<あるべきもの>が
主語、助詞、記述、項目、説明、視点、論点、記憶、記録
<場所>から
頭、記憶、名簿
<様態>
すっかり、いつも、なぜか、よく、結構、どうも、きれいに
解説
本体とみなされるものに固定されているものが、本体から離れるという事態において、本体の方に注目すれば、ある部分が消失したことになる。この意味の「ぬける」は、典型的にはテイル形で用いられ、あるはずのものが欠けている状態を表す。これは、語義1が表す事態の分離部分だけでなく、本体の方にも注目して、一部が分離したために本体は部分を欠いた状態になっていること、つまり、必要なもの(本来あるべきもの)が欠けていることを表している。
なお、以下の表現では、「<人>が抜けている」または「間の抜けた」、「間が抜けている」という形で、人の意識や知識が不足していることを慣習的に表すが、この場合も<本来あるべき必要なものが欠けている>という点で語義9と同様である。
 あの人はどこか抜けている
 間の抜けた
誤用解説
この意味の「ぬける」は<本来あるべきもの>、<必要なもの>が欠けている(不足している)ことを表すため、自ら不必要と判断して、意図的に何かを省いた場合には用いられない。
 今日は朝食が抜けた。
これは当然、「ぬける」が自動詞であることが関与しており、他動詞の「ぬく」の場合は「今日は朝食を抜いた」のように述べることが可能である。
類義語・反義語
類義語落ちる
反義語


10.貫通自動詞初級★★★
表記抜ける、貫ける
ものの面が貫通する。
文型
<ものの面>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
引き出しの底板にひびが入った状態で使っていたら、とうとう底が抜けてしまった。
ガラス製の哺乳瓶は底が抜けることがあるので注意が必要だ。
新築一年で畳が抜けてしまった例があるから、シロアリ対策は必要だ。
段ボールに本を詰める場合、重みで底が抜けないようにしっかりガムテープで補強しましょう。
震災から数年、壁が抜けたままの建物や土台だけ残った住宅跡などが今も点在している。
「二階にいる子供たちはずいぶん楽しそうだね」「今にも天井が抜けてしまいそう」
コロケーション
<ものの面>が
床、底、天井、畳、引き出し、壁
<様態>
すっぽり、一気に、突然、大きく、丸く
解説
語義1の「ぬける」は、本体に固定されているものに注目して、それが本体から離れることを表すが、語義10の「ぬける」は反対に、本体の方に注目して、本体に固定されていた一部が離れることによって、本体に空隙が生じることを表す。
なお、この意味の「ぬける」には、以下に挙げる例のように、本体から一部が分離して実際に空隙が生じる場合でなくても、「抜けるような(に)」の形で、空隙が生じているかのように隔てるものが何もない状況を表すのに用いられることもある。
抜けるような青空
抜けるように白い肌
誤用解説
この意味の「ぬける」は他動詞「ぬく」の語義8と対応しているが、以下のように、問題なく自動詞と他動詞の両者が用いられる場合と、それができない場合とがある。
 工事の過程で床が抜けた
 工事の過程で床を抜いた
 山が抜けてトンネルができた。
 山を抜いてトンネルを作った。
「床」の場合、工具などを使って意図的に貫通させる場合もあれば、意図せずに貫通してしまう場合もあり、それによって自他を使い分ける。一方で「山」の場合は、意図せずに貫通してしまうという状況は考えられず、したがって自動詞「ぬける」は用いられない。


11.通過(人)他動詞中級★★
表記抜ける
人が、ある範囲を通って向こう側に出る。
文型
<人>が<範囲>を[から]抜ける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
トンネルを抜けると海が広がっていた。
門を抜けたところに守衛室があります。
スクラムにちょっとした隙ができて、その間をうまく抜けられてしまった。
スタートで出遅れてしまい、5番手くらいで第1コーナーを抜けました
カーブを抜けようとしたら、急に対向車が現れた。
「休日の高速はやっぱり混んでるね」「渋滞を抜けるのに、あとどれくらいかかるかな?」
stairs国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
コロケーション
<範囲>を
① 建造物:トンネル、改札、門、戸
② 道:道、道路、路地、通り
③ 地帯:町、森、街、林、市街地、地帯
④ その他範囲:渋滞、人ごみ、コーナー、カーブ、曲がり角
<場所>から
南口、北口、裏口
<方向>へ
方面、側、方、北、東、左、西、南、方向、右
<様態>
一気に、そのまま、ようやく、やがて、まっすぐ、素早く
非共起例
<範囲>を
 玄関を入ってを抜けると寝室があります。
 玄関を入って畳の部屋を抜けると、寝室があります。
他とは材質が違うなど、ある部分の境界が明確である場合でも、それが何らかの<範囲>と捉えられなければ、「ぬける」とは言えない。
解説
語義10の「ぬける」はものが分離するという状況で本体の方に注目して、本体に空隙が生じることを表すが、この意味の「ぬける」は、その空隙を経路として捉え、その経路を主体である人が通ってその向こう側に出ることを表す。
典型的には「トンネルを抜ける」のように、上下左右を囲まれたものの内部を通過することを表すが、経路が短い場合(「門を抜ける」)、四方を囲まれていない場合(「公園を抜ける」、「カーブを抜ける」)、物理的な境界が存在しない場合(「人ごみ[渋滞]を抜ける」)でも同様の意味で用いられる。ヲ格に現れるこれらの経路は、物理的な境界の有無やその形態は異なるが、共通して他とは区別される特定の境界を設定でき、主体である人がそこを通ってその境界の向こう側に出ることを表している。
なお、この意味の「ぬける」もヲ格を取るため他動詞としているが、語義7で述べたように、典型的な他動詞とは異なり、ヲ格は主体が行う行為によって変化が生じる<対象>ではなく、移動の<経路>を表している。これは、ヲ格を取る他の移動動詞「(公園を)歩く」、「(トンネルを)通る」などと同様である。したがって、「ぬける」の語義7、8と同様、典型的な他動詞と異なり、ヲ格要素を主語にして直接受身の形にすることはできない。(詳しくは語義7の語義解説参照。)
 庭の雑草が抜かれる。(他動詞の直接受身)
 トンネルが抜けられる。(語義11)
類義語・反義語
類義語出る
反義語入る


12.通過(もの)他動詞中級★★
表記抜ける
ものが、ある範囲を通って向こう側に出る。
文型
<もの>が<範囲>をぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
打球が右中間を抜ける
ボールが転がって、股下を抜けていった。
香りが鼻に抜ける
住宅設計では、室内に風をどう取り込み、どう抜けさせるかを重視します。
台風が足早に四国から日本海側へ抜けた
視線が外部へ抜けるように窓を配置して、室内をより広く感じさせる。
コロケーション
<もの>が
列車、風、打球、香り、ボール、高気圧、台風、低気圧
<範囲>を
鼻、窓、日本列島
<様態>
一気に、そのまま、ようやく、やがて、まっすぐ、素早く
非共起例
<範囲>を
 心地よい風がを抜けていった。
 心地よい風が畳の部屋を抜けていった。
他とは材質が違うなど、ある部分の境界が明確である場合でも、それが何らかの<範囲>と捉えられなければ、「ぬける」とは言えない。
解説
語義10の「ぬける」はものが分離するという状況で本体の方に注目して、本体に空隙が生じることを表すが、この意味の「ぬける」は、その空隙を経路として捉え、その経路を主体であるものが通ってその向こう側に出ることを表す。なお、主体がある範囲を通過して向こう側に出るという点では語義11と同様だが、語義11の主体が人であるのに対して、この意味の主体はものである点が異なる。また、語義11と同様、ヲ格に現れる経路は、物理的な境界の有無やその形態は異なるが、共通して他とは区別される特定の境界を設定でき、主体であるものが、そこを通ってその境界の向こう側に出ることを表している。
なお、この意味の「ぬける」もヲ格を取るため他動詞としているが、語義7で述べたように、典型的な他動詞とは異なり、ヲ格は主体が行う行為によって変化が生じる<対象>ではなく、移動の<経路>を表しており、語義11と同様である。(詳しくは語義7、語義11の語義解説参照。)


13.虚構移動自動詞上級
表記抜ける
道が、ある範囲の外に続く。
文型
<道>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
このあたりは国道4号線がまっすぐに抜ける場所だ。
さらに進むと、道は畑の中を抜けていく。
市役所を曲がって北側へ出ると、大きな道路が東西に抜けている
林の斜面をまっすぐに小道が抜けていた
住宅街の真ん中を横浜線の線路が抜けている
建物の間を、狭い路地が東へ抜けている
コロケーション
<道>が
道、道路、線路、路地、通り
<範囲>を
林、峠、畑、住宅街
<方向>に[へ]
東西、南北、東、西、南、北、駅
<様態>
まっすぐ(に)
解説
この意味の「ぬける」は、道がある範囲を越えて向こう側へ続くことを表し、ものがある範囲を通過して向こう側に出るという点で語義12と類似している。ただしこの意味の「ぬける」では、例えば語義12の「打球が右中間を抜ける」における「打球」のように、実際に主体自体が移動するのではない。道路のような線状に続くものを見る時、我々はそれに沿って視線を移動させる。このことから、ある範囲上を線状に長く続いている道を見る際に、あたかもそのものが移動しているように捉えられ、「ぬける」を用いることが可能になると考えられる。なお、この意味の「ぬける」は、テイル形で用いられることが多い。
誤用解説
この意味の「ぬける」は、主体がある範囲を経て向こう側に出るという語義12の特徴を引き継いでおり、道路や線路が長く続いてある範囲を越える場合に用いられる。したがって、以下の例のように、「(線路が)郊外に」など、想定される着点が話者の視点からは捉えられない場所であれば可能だが、「(廊下が)校長室に」のように、話者の視点で着点が捉えられ、長く続くものがそこで終わっている場合には「ぬける」を用いることはできない。
 線路が郊外に抜けている。
 廊下が校長室に抜けている。
類義語・反義語
類義語続く、通る、走る
反義語


14.透過(音)自動詞上級
表記抜ける
音がクリアでよく伸びる。
文型
<音>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
「声楽のレッスンはどうですか」「最近声が抜けるようになってきたのが嬉しいです」
校庭では野球部が練習をしていて、青空にヒットの音が抜けていく。
舞台を覆う木々の間から空が広がり、演奏している音がそこから抜けて広がっていく。
話題の曲のオリジナル盤を取り寄せて聴いてみたら、音がすかっと抜けていてとても良かった。
良いウクレレは、音がよく鳴り、よく抜けると言われています。
新品の太鼓は皮が硬く、唸らない、鳴らない、音が抜けないなどの問題があるので、良い音を出すためにはある程度叩き込む必要があります。
コロケーション
<音>が
音、声
<様態>
すかっと、よく
解説
この意味の「ぬける」は、主体であるものが、ある範囲を通過してその向こう側に出ることを表す語義12と類似している。典型的には、例文中の「青空にヒットの音が抜ける」において、二格によって着点(ある範囲を通過した先)が表示されているように、<音>が一定の範囲を越えて遠くまで届くことを表すが、着点を表示せずに「音[声]が抜ける」の形で、(ある範囲を通過してその先に届くほど)よく伸びるという意味を表すこともできる。この場合、語義12と類似しているだけでなく、ある範囲を通過してその向こう側に出る(語義12)原因として、よく伸びる(語義14)ということが考えられるため、語義14は語義12と原因と結果の関係にあると考えることもできる。
誤用解説
この意味の「ぬける」は、音がクリアでよく伸びるという意味を表し、その音は高い音に限定される。
 あの人の演奏は、きちんと低音が抜けている。
 あの人の演奏は、きちんと高音が抜けている。
なお、音楽などで本来聞こえてくるはずの音が聞こえてこないという場合には「低音が抜けている」のように言うことが可能だが、この場合は語義9の<本来聞こえるはずの音が欠けている>という意味を表し、語義14の<音がクリアでよく伸びる>という意味とは異なる。


15.通過(苦境)他動詞中級★★
表記抜ける、脱ける
人が、マイナスの状況から逃れる。
文型
<人>が<状況>をぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
長かった低迷期を抜けて、ようやく事業が上向きになってきた。
親への反抗は成長の証で、普通は思春期を抜けると収まるものだ。
最悪の状況から抜けられるならなんでもする。
好ましくない関係からなかなか抜けられない。
「どうやってスランプを抜けられたんですか」「とにかく練習したんです」
当時は、まだ日本が戦後の混乱期を抜けきれていなかった。
コロケーション
<状況>を
~状態、ループ、スパイラル、スランプ、~期、危ないところ
<様態>
① すぐ、ようやく、すでに
② (「~ない」の形で)なかなか、どうしても、いまだに
解説
この意味の「ぬける」は、人がある範囲を通過して向こう側に出るという点で、語義11と類似しているが、語義11の「ぬける」の経路が、トンネル、カーブ、人ごみなどの物理的存在であるのに対して、語義15の対象は、スランプ、危ない状況、思春期、好ましくない関係など、抽象的な状況であるという点で異なっている。
なお、ある状況を離れるという点では語義8と同様に思われるが、その状況は主体である人間にとって困難を伴うなどのマイナスの状況であり、語義8のように単にその状況を離れることを表すのではなく、「トンネルを抜ける」のと同様に、ある範囲を通過したうえで向こう側へ出る(マイナスの状況という範囲の境界を越え、その状況を終える)ことを含意している。
 山田さんは(仕事を)ちょっと抜けているけど、すぐに戻ります。(語義8)
 山田さんは(スランプを)ちょっと抜けているけど、すぐに戻ります。(語義15)
また、この意味の「ぬける」もヲ格を取るため他動詞としているが、語義11、12と同様、典型的な他動詞とは異なり、ヲ格は主体が行う行為によって変化が生じる<対象>ではなく、移動の<経路>を表している。(詳しくは語義7、語義11の語義解説参照。)
誤用解説
この意味の「ぬける」は、語義11の「トンネル」のように、暗くて出口までに一定の距離がある場所から出ることと、「スランプ」や「低迷期」のように、辛くて終えるまでに一定の期間がある状況を終えることが対応している。したがって、以下の例のようにプラスの状況を終える場合(「幸せな新婚期間」)や、マイナスの状態であっても一定期間継続するものではない場合(「事故」)には用いられない。
 辛かったスランプを抜けた。
 幸せな新婚期間を抜けた。
 事故を抜けた。
なお、「トンネルを抜ける」を比喩的に用いて<ある状況を終える>ことを表すこともできるが、この場合もやはり「トンネル」は、一定の期間を伴うマイナスの状況に限定される。これは、人は一般に暗くて出口までに距離のある場所では不安や恐怖、焦りなどを感じることから、そのような負の感情を生じさせる状況を「トンネル」と表現しているのである。したがって、以下の例のように比喩的に用いられる「トンネルを抜ける」は、「辛い」などによる修飾がなくとも、不遇の時期を終えることを表すことになる。
 私の作品が入賞したと聞き、ようやく長いトンネルを抜けたと感じた。
類義語・反義語
類義語脱する
反義語入る


16.優位自動詞上級
表記抜ける
人・もの(の性質)が、他の人・もの(の性質)よりはっきりと優れている。
文型
<人・もの>がぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
山田選手が最後の直線、頭一つ抜けている
あの会社は技術力において他より頭一つ抜けている
ここの製品は値段が手頃で、機能に関しても他より頭一つ抜けています
今年の新入社員は皆優秀だが、なかでも佐藤君は頭一つ抜けた存在だ。
個人のタイムではAチームの田中選手が抜けているが、全体的なバランスで見ると今年の駅伝もBチームが優勝するだろう。
あの馬は、レース前の評価では能力的に他馬より抜けていたが、なぜか4番人気だ。
stairs新入生の中でも頭一つ抜けています
コロケーション
<人>が
選手、チーム
<もの>が
馬、商品
<様態>
頭一つ
非共起例
<人・もの>が
 この機能[能力]は、他より頭一つ抜けている。
 この商品[選手]は、他より頭一つ抜けている。
この意味の「ぬける」の主体はあくまでも、何らかの性能において評価される人・ものであり、性能自体が主体となることはない。
解説
この意味の「ぬける」は、人・もの(の性能)が、他の人・もの(の性能)より優れていることを表し、人がある範囲を通過して向こう側に出るという点で語義11と類似している。語義16の<ある範囲>とは、人またはものの、平均的な性能を持つ一群のことである。その一群をある範囲として捉え、その範囲の境界を越えて向こう側(先)へ出ることで、<性能において他よりはっきりと優れている>という意味を表す。


17.空白自動詞上級
表記抜ける
ものの一部が、色や柄の入っていない状態になる。
文型
<もの>が<様態>ぬける
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
腫瘍は液状化すると、CTでは黒く抜けた状態で観察されます。
レントゲン写真で、白っぽく丸く抜けた部分がある。
布をねじったり絞ったり、結び目をつけたりすると、その部分が白く抜けて模様になります。
絵付けの技法のひとつに、絵の具を施す前に墨で文様を描き、墨の部分を白く抜けさせるというものがある。
デジタルカメラでは、CCDに太陽の光が当たって異常が起きると、その部分の画像が黒く抜けてしまうことがある。
レントゲンの中で白く抜けているのは金属の詰め物です。
コロケーション
<もの>が
部分、文字、背景
<様態>
白く、黒く、丸く
解説
語義10の「ぬける」はものが分離するという状況で本体の方に注目して、本体に経路が生じることを表すが、その経路の部分は向こう側を見通せる「空隙」になる。一方で、語義17では、実際にものの一部が分離して空隙が生じるわけではなく、ある部分が本体の他の部分とは異なる状態になっており、その部分が、全体の一部が分離した後に生じた空隙に類似しているため、そのような部分が生じることを「ぬける」で表現することが可能になる。
なお、この意味の「ぬける」は、ものに含まれている成分の消失という点で、語義5とも関連している。
 色がぬける。(語義5)
 布が白く抜ける。(語義17)
語義5は、もの(本体)の内部から成分が消失することを表すため、主体は<成分>である。一方語義17は、その成分が消失したもの(本体)の方に焦点が当たるため、主体は<もの>である。これら二つの語義は、もの(本体)から消失した成分に焦点があるか、成分が消失したもの(本体)の方に焦点があるかという点で異なる。
誤用解説
この意味の「ぬける」は、「レントゲンの中で白く抜けている部分」のように、色を表す表現と共起する場合は「白く」や「黒く」とともに用いられ、以下のように、「白」と「黒」以外の色とは共起できない。
 染色の過程で、布の一部が白く抜けた
 染色の過程で、布の一部が赤く抜けた
 染色の過程で、布の一部が赤く染まった
これは、「ぬける」で表される部分が、全体とその一部が分離した後に生じる空隙(語義10:「床が抜ける」)に類似しているためであり、色を加えた場合には用いられず、その場合は「染まる」などを用いる。
類義語・反義語
類義語
反義語染まる(布が赤く染まる)


抜けるの全体解説 各語義の解説をご覧ください。
























▶全例文を聞く
<もの>が
この炎症が、やがて歯を支えている骨を破壊し、ついにはが抜けてしまうのです。
(広報おとふけ, 2008, 北海道)
<気体>が
浮輪を水に沈めるとあっという間に空気が抜けるのは、静水圧という圧力の働きによるものです。
( 『伊東家の食卓裏ワザ大全集』, 2000, 590)
<液体>が
あんまり弱火で焼くと水分が抜けすぎて堅くなる事がありますね。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 料理、グルメ、レシピ)
<力>が
この状態でロールしてゆく際はタイヤへの荷重が抜けている状態に近いため、挙動そのものが不安定になるし、クルマに操作を加えて反応は鈍い。
( 『ニッサンプリメーラマガジン』, 2001, 537)
<気力>が
それまで深刻に考えていた自分にふと気づいて、すっと肩の力が抜けてリラックスできるのです。
(高城幸司著 『営業のトッププロが教える「その一言」で相手の気持ちを動かす技術』, 2004, 673)
<成分>が
根元を切り、茎を水に浸しておくと、アクが抜けます。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 料理、グルメ、レシピ)
<傾向・習慣>が
その結果、平日モードを引きずってしまい、緊張状態が続いて疲れが抜けないことがある。
(ヘルスケア研究会編著 『たまった「疲れ」が驚くほどとれる本』, 2003, 498)
だが、いつの時代でも、小い頃から甘やかされて育った人間は大きくなってからもわがままなが抜けきらず、人間関係などでつまずくことが多い。
(守屋洋著 『中国古典の家訓集』, 1990, 159)
<人>が
オリンピックで西岡選手が抜けた後の守備を心配していましたが、何とかなりそうです。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
<集団>を[から]
しかし、小和田村など五か村は一五か村の仲間から抜け、再び入会村残留を望む村は、伊奈村など一〇か村となる。
(日の出町史編さん委員会編 『日の出町史』, 2002, 213)
<状況>を[から]
子は結婚すると親の戸籍から抜け、夫婦単位の新たな戸籍を作ることになります。
(佐藤文明著 『戸籍って何だ』, 2002, 324)
<あるべきもの>が
このように、書き手の立場がどうもすっきりしないな、と思われる文章には、必ず、主語が抜けています。
(西岡光秋著 『実践・心にひびく文章の書き方』, 1989, 816)
<場所>から
車のなかで予行演習した決め言葉は、ザルの目からもれるようにからすっかり抜けてしまっている。
(アマンダ・ブラウン著;鹿田昌美訳 『キューティ・ブロンド』, 2002, 933)
<ものの面>が
糸魚川の駅に着いた時に袋のが抜けて焦りましたが無事でした。
(Yahoo!ブログ, 2008, スポーツ)
廃墟になった校舎は所々が抜け、ガラス窓は破れ放題。
(惠谷治他著 『北朝鮮「対日潜入工作」』, 2003, 391)
<範囲>を
トンネルを抜けると、見慣れた牧草地が拡がっていた。
(塩山千仞著 『ワーグナー紀行』, 2004, 762)
二人が鎮守のを抜けてもどってくると、集会所の広場に人群れがしていた。
(佐江衆一著 『リンゴの唄、僕らの出発』, 2005, 913)
<場所>から
四人は、いったん空港事務所に入り、裏口から抜けるようにして空港内へ入った。
(門田泰明著 『黒豹皆殺し』, 1991, 913)
<方向>へ
琵琶湖北岸を走る湖西線は、湖西エリアを観光するときに利用するのはもちろん、京阪神方面から直通で敦賀方面へ抜ける特急の経路にもなっている。
( 『琵琶湖・北近畿・若狭』, 2004, 291)
<もの>が
しかし、この富士見台はが抜けて、多少なりと暑さが凌げた。
(大栗丹後著 『裏隠密映ゆ』, 1997, 913)
<道>が
ほかに半円を描いたが田圃の中を抜けて、西古川町へ通じている。
(笹沢左保著 『剣士燃え尽きて死す』, 2003, 913)
<方向>に[へ]
この町を東西に抜けている道路の、町の中心部から見ると西よりにある、橋のたもとだ。
(片岡義男著 『メイン・テーマ』, 1983, 913)
<様態>
その際、希釈した薄めの色から始め、筆の余分な染料をティッシュペーパーなどで十分吸い取ります。 要領は白くぬけた部分に少しずつ点を打つ感じです。
(宮本隆司,田中仁編集責任;京都造形芸術大学編 『写真技法と表現』, 2004, 740)






























皆さんの国では、子どもの時の歯が抜けたら、それをどうしますか。
そのままにしておくと泡もなくなり、気が抜けて、おいしくなくなります。
会話の中で主語がたくさん抜けていたのがわかったでしょうか。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
新入生の中でも頭一つ抜けています
目から鼻に抜ける

意味
視覚で捉えたものを素早く嗅覚で嗅ぎ分けるように、物事の判断がすばやく抜け目ない。
用例
あいつは、目から鼻に抜けるような切れ者ではない。
コーパスからの用例
楽天の中でも直接春申の教えを請える者は、厳選された極めて一部の若者だったが、趙浚の能力はその中でも群を抜いて優秀だった。まさに目から鼻に抜けるというのは、彼のためにあるような言葉だった。(楡周平著 『青狼記』, 2003, 913)
複合動詞 V1

抜け落ちる、抜けかわる、抜け出す
複合動詞 V2

駆け抜ける、切り抜ける、通り抜ける、垢ぬける
複合名詞

抜け穴、抜け駆け、抜け殻、抜け目、抜け道、拍子抜け、吹き抜け
抜ける(2グループ)の活用 ▶活用を聞く
アクセント型平板型
辞書形ぬける
ない形ぬけない
~なかったぬけかった
ます形ぬけ
~ませんぬけま
~ましたぬけした
~ませんでしたぬけまんでした
~ときぬけるとき ぬける
ば形ぬけ
意向形ぬけ
て形ぬけて
た形ぬけた
可能形ぬけられる (ぬけれる)
受身形ぬけられる
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