上がるのコアイメージ

1.自動詞表記あがる、上がる
人間・動物(の体全体)が、自分の意志で(あるところから)より高いところに移動する。
例文
山手線のホームに上がる。
展望台へ上がる。
勝手にステージに上がらないでください。
舞台に上がってトロフィーを受け取った。
屋根に上がるのはあぶないよ。
天気がよかったので屋上に上がってみると、遠くに富士山が見えた。
stairsネコが屋根にあがって、日向ぼっこをしている。
コロケーション
着点
1.舞台、ステージ、檀上、表彰台、リング、屋根、屋上、甲板
2.~の上:舞台の上、屋根の上
副詞的要素
ゆっくり(と)(力士はゆっくりと土俵にあがった)、そろそろ(と)、颯爽(さっそう)と(選手が颯爽とリングにあがった)
非共起例
着点
  屋上の上にあがる。
  屋上に上がる。
解説
「選手などが競技を行う場所にあがる」という場合、「競技を行う場所で、競技を行う」という意味まで表す場合がある。たとえば、「あの力士は15歳から土俵にあがっている」「最終回は、A投手がマウンドにあがるだろう」などである。
誤用解説
「自動車」などの乗り物の乗る場所は、(多少なりとも)地面より高い位置にあるが、「自動車にあがる」とは言えず、「自動車に乗る/乗り込む」と言う。
類義語・反義語
類義語のぼる
反義語くだる、さがる、おりる


2.自動詞表記あがる、上がる
人間・動物(の体全体)が、傾斜のある経路を通って、より高いところに移動する。
例文
老人はゆっくりと階段を上がっていった。
車が猛スピードで坂道を上がってきた。
花子は、山頂への道を上がりはじめた。
石段をあがって、神社の境内に入った。
この年になると、ちょっとした坂道をあがるだけでも息が切れる。
この坂を上がったところに病院があります。
stairs「そちらの階段をあがって左にございます。」
stairs中村さんが階段をあがっていきます。
stairs中村さんが階段をあがってきます。
stairs中村さんが急いで階段をあがっていきます。
stairs中村さんが急いで階段をあがってきます。
コロケーション
経路
階段、石段、坂、坂道、参道
副詞的要素
ゆっくり(と)(坂道をゆっくりあがっていく)、一気に(坂を一気にあがる)
非共起例
経路
  切り立った崖を(命がけで)あがる
  切り立った崖を(命がけで)のぼる/よじのぼる
解説
この「あがる」は、「彼はゆっくりと坂道をあがっていった/きた」というように、「~ていく/てくる」という形でよく使われる。
誤用解説
「階段を二階にあがる」などとは言いにくい。つまり、「あがる」は、<経路>を表す「を」格と<到着点>を表す「に」格を同時にはとらない。この場合、「階段をのぼって二階にあがる」「階段を使って二階にあがる」「階段で二階にあがる」などと言う。
類義語・反義語
類義語のぼる
反義語くだる、さがる、おりる


3.自動詞表記あがる、上がる
人間・動物(の体全体)が、水中から、水のないところに移動する。.
例文
船員たちは、半年ぶりに陸(おか)にあがった。
池からカメが上がってきた。
風呂からあがった祖母が浴衣姿で現れた。
海から岸にあがると、急に疲労感が襲ってきた。
風呂からあがって飲むビールほどうまいものはない。
プールから上がって体をふいた。
コロケーション
起点
プール、海、水、風呂、(お)湯、湯船、浴槽
着点
陸(おか)、岸、岸壁、島
非共起例
起点
  子供がビニールプールからあがる
  子供がビニールプールから出る
解説
「海」「川」は「陸」よりも低いところに位置し、「浴槽」は「洗い場」よりも低いところにあることが多いことから、「水中から陸上などへの移動」は、「下から上への移動」である場合が多い。ただし、「風呂からあがる」という表現は、「浴槽から洗い場への移動」だけでなく、「浴室から浴室外への移動」も表すことができる。この場合、まず、「風呂」という語が「浴槽」だけでなく、「浴室」も表せることに基づき、移動の起点が、「水中」ではなく、(「浴槽」を含む)「浴室」である。また、この場合、「下から上への移動」ではなく、むしろ「内部から外部への移動」である。
誤用解説
「部屋から出る」「部屋を出る」のように、「出る」という動詞は、起点を表すのに、「から」と「を」のどちらも使える。これに対して、「海/風呂からあがる」とは言えても、「海/風呂をあがる」とは言えない。
類義語・反義語
類義語でる
反義語はいる


4.自動詞表記あがる、上がる
人間が、家の外部から、家の内部に移動する。
例文
どうぞおあがりください。
遠慮しないであがって。
太郎はこっそり花子の家に上がった。
田中さんが、部屋に上がらせてくれと言うので困った。
先生の家にあがって、お茶をごちそうになった。
座敷に上がるなり、座り込んでしまった。
stairs「いらっしゃい。どうぞ、あがってください。」 
コロケーション
家の内部
家、座敷、部屋、廊下
副詞的要素
こっそり(と)(こっそり人の家にあがる)、ずかずか(と)(ずかずか土足で座敷にあがる)
非共起例
「ビル」などの建物の場合、「ビルにあがる」とは言えず、「ビル(の中)に入る」と言う。
解説
家の外部から、内部への移動にも「あがる」を用いることができる。もともと、家の内部は外部より高くなっていたことから、「上への移動」と「内部への移動」が同時に生じていたからである。「縁側にあがる」という例には、「上への移動」と「内部への移動」が共に認められる。つまり、「縁側」は「庭」などより高い位置にあり、かつ、家の一部でもある。 なお、現在では、「あがる」は、高低差のない「(家の)内部への移動」にも使われる。
誤用解説
家の住人は、自分の家に「あがる」と言えるだろうか。たとえば、庭の草むしりをしているときに、急に雨が降りだしたという状況では、「雨が降ってきたので、あわてて家に入った」と言うのが普通で、「家にあがった」とは言わない。したがって、「家の内部に移動する」という意味の「あがる」の主体は、お客など、つまりは家の住人以外である。
類義語・反義語
類義語はいる
反義語でる


5.自動詞表記あがる、上がる
人間が、ある目的を果たすために、他の人がいるところを訪問する。
例文
手紙をお届けにあがる。
店の者がお客様のお宅にご購入品をお届けにあがった。
ご相談にあがってもよろしいでしょうか。
注文いただいた商品をお届けにあがりました!
商品をお届けにあがったあとは、すぐに帰りました。
あとで山田さんにお願いにあがるつもりです。
stairs先生のお宅にお迎えにあがった
コロケーション
他の人のところ
お宅、ご自宅
目的
お届け、ご相談、(車で)お迎え
非共起例
目的
  お渡しにあがる
  お届けにあがる
解説
この「あがる」は「訪問する」に相当する謙譲語であり、4「人が、家の外部から、家の内部に移動する」の特殊な(限定された)場合と考えられる。
誤用解説
この「あがる」は謙譲語であるため、「家まで届けにあがってくれますか」という言い方はできない。この場合、「家まで届けてくれますか」と言う。
類義語・反義語
類義語参る、参上する
反義語


6.自動詞表記あがる、上がる、挙がる、揚がる
身体の一部、物の一部が、あるところから、より高いところへ移動する。
例文
さっと数名の手があがった。
白鵬に軍配があがった。
2、3名の手があがった。
行進の時、足が高くあがると格好がよい。
歳のせいか、腕が肩より上にあがらない。
父は怒ると眉があがる。
stairs力士の足が出た瞬間、行司の軍配がさっとあがった
コロケーション
身体の一部、物の一部
手、肩、足、幕、軍配、遮断機
副詞的要素
いっせいに(いっせいに数人の手があがった)、さっと(東方にさっと軍配があがった)、次々(と)(次々手があがった)、高々と(主審の手が高々とあがった)、するする(と)(幕がするするとあがっていく)
非共起例
身体の一部、物の一部
  数人の腕があがった
  数人の手があがった
解説
「(さっと数名の)手があがった」という表現は、「質問がある」「意見を述べたい」といった意思表示の動作であると理解できる場合が多い。また、「Aに軍配があがる」は、相撲で「Aが勝つ」ことも表すことができる。これは、相撲では、「一方に行司の軍配があがる」ことと「一方の勝ちが決まる」ことが同時だからである。現在、相撲以外の競技にも「軍配があがる」が使われるようになっている。つまり、「巨人に軍配があがった」「(サッカーの)日本代表チームに軍配があがった」などと言うこともできる。


7.自動詞表記あがる、上がる、挙がる、揚がる
物の全体が、(空中などの)高いところに移動する(その結果、よく見えるようになる)。
例文
1万発の花火が上がった。
メインポールに国旗があがった。
太郎の凧が一番高くあがっている。
遠くで旗が上がったのがみえた。
蹴ったボールが高くあがった。
あがった球の行く先を、観客はじっと見つめた。
stairs夏の夜空にきれいな花火があがっている
stairs色とりどりの風船が空高くあがっていきます。
コロケーション
物の全体
凧、アドバルーン、旗、国旗、ボール、フライ、打球、花火
副詞的要素
するする(と)(国旗がするするとあがっていく)、次第に(凧が次第に高いところまであがっていく)、高々と(高々とフライ・打球があがる)[野球]、次々(と)(次々花火があがる)
非共起例
物の全体
  飛行機/ヘリコプターがあがる
  飛行機/ヘリコプターが舞いあがる
解説
野球で「フライがあがる」と言う場合、「フライ」は「ボール」などの物そのものではなく、「ボールが放物線を描いて飛ぶ状態」を表す。
誤用解説
「凧」などが空中のより高いところに継続的に移動する場合、「(凧が、どんどん)あがっている(のを眺めていた)」とは言いにくく、「(凧が、どんどん)あがっていく(のを眺めていた)」と言う方が普通である。


8.自動詞表記あがる、上がる
(川や海の)水の占める範囲が、元の位置より、高い位置に至る。
例文
川の水位が上がった。
水が腰まで上がってきた。
川の水位が上がっていく様子が放送された。
水位が上がり、とても危険だ。
海の水位が上がったら、この島は沈没してしまう。
コロケーション
水の占める範囲
水位、海面、潮、水
副詞的要素
どんどん(水位がどんどんあがる)、ぐんと、ぐっと、ぐんぐん、一段と、だんだん、次第に
非共起例
川の水位があがる」とは言えても、通常「川があがる」とは言えない。
解説
7「物の全体が、(空中などの)高いところに移動する」の場合、「アドバルーンがあがる」という例で確認すると、「アドバルーン」は「あがった」あとは、当然のことながら、元の位置には存在しなくなる。一方、「水位があがる」という場合は、「水」は元々占めていた範囲にあり続けることに加えて、より高い位置も占めるようになる。言い換えれば、「水」の占める範囲が上方に拡大するということである。このように、この2つの「あがる」は、ある物がより高い位置を占めるようになるという点は共通であるが、元の位置から消えてしまうか、元の位置にも存続するかという点で異なる。
誤用解説
この「あがる」が、「水の占める範囲が元の位置より高い位置に至る」ことを表すと言っても、風呂に水を入れているという状況で、「だんだん風呂の水位があがってきた」とは言わない。つまり、ここでの意味の「あがる」が使えるのは、「川、海、ダム」などの場合に限られることになる。
類義語・反義語
類義語増す(水位が増す)
反義語さがる


9.自動詞表記あがる、上がる
目で見える気体の類が、下の方(地面に近いところ)からかなり高いところに及ぶ範囲に、切れ目なく(連続的に)出現する。
例文
「あの建物から煙があがってるよ!」
青空に煙があがっている。
川の向こうでのろしが上がった。
風呂上りの体から湯気が上がっている。
太郎は火の手があがったほうに向かって走った。
煙があがり、焦げ臭いにおいがした。
stairs工場の一角から火の手があがり、またたく間に燃え広がった。
stairs煙突から白い煙があがっています。
コロケーション
目で見える気体の類
煙、白煙、黒煙、土煙(つちけむり)、湯気、火の手、火柱、炎、狼煙(のろし)
副詞的要素
もうもう(と)(煙がもうもうとあがる)
非共起例
「霧」「靄(もや)」などの自然現象の場合、「霧があがる」ではなく「霧が立ちこめる」などと言う。
解説
「土煙があがる」「火の手があがる」などの場合は、すでに存在しているものが上方に移動するというよりも、これまでにはなかったものが、下の方(地面に近いところ)からかなり高いところに及ぶ範囲に「出現」するということである。この意味は、8.「(川や海の)水の占める範囲が、元の位置より、高い位置に至る」と共通点が見いだせる。というのは、「水位があがる」において「あがった分の水が占めようになった領域」だけに注目すると、その領域には「水位があがる」前には「水」は存在していなかったわけである。つまり、この領域に限って言えば、「水が新たに出現した」と考えることができる。
誤用解説
「土煙/砂塵(さじん)があがる」とは言えても、「土/砂があがる」とは言えない。つまり、ここでの「あがる」が使えるのは、「空中を占める気体の類(気体と見なせるもの)」に限られる。
類義語・反義語
類義語出る(体から湯気が出ている)
反義語収まる(火の手が収まる)


10.自動詞表記上がる、揚がる
相当数の人が同時に発する、何らかの感情、意見、訴えなどを表す声が生じる。
例文
突然の銃声に叫び声が上がった。
人気歌手の登場に歓声が上がった。
突然の落雷に、四方八方から悲鳴があがった。
手品をみている子供たちから、驚きの声が上がった。
日本チームが先制ゴールを決めると、スタンドから歓声があがった。
stairs日本の選手がシュートを決めると、スタンドから歓声があがった
コロケーション
1.~の声:驚きの声、怒りの声、不満の声、抗議の声、批判の声、非難の声、感嘆の声、疑問の声、落胆の声、鬨(とき)の声
2.~声/声~:声、歓声、喚声、産声、胴間声、叫び声、笑い声、掛け声、悲痛な声、声援
3.その他:悲鳴、絶叫、どよめき
副詞的要素
一斉に(一斉に不満の声があがる)、どっと(どっと喚声があがる)
非共起例
人の声以外の「爆発音」などには用いられない。
解説
この「声が生じる」という意味は、9「気体が出現する」という意味からの拡張と考えられる。というのは、この2つの意味は、「無から有」、つまりこれまでなかったものが出現・発生するという共通点が見られるからである。なお、両者の相違点は、「気体の出現」は視覚で捉えられることであるのに対して、「音声の発生」は聴覚の対象である。したがって、「視覚→聴覚」という拡張である。
誤用解説
ここでの「あがる」が使えるのは、「何らかの感情、意見、訴えなどを表す声」である。従って、「大きな声があがった」などとは言いにくい。「その光景を見ていた人々の間から、大きな驚きの声があがった」であれば問題ない。
類義語・反義語
類義語出る、聞かれる(不満の声が出る
反義語収まる(不満の声が収まる)


11.自動詞表記上がる、揚がる
相当数の人による、何かを訴える意見が生じる。
例文
大地震をきっかけに、原子力発電に疑問の声があがった。
会社の方針転換に、社員達から不満の声があがり始めている。
知事の政策に、県民から抗議の声があがった。
増税反対の声が上がっているのにもかかわらず、大統領は増税を決定した。
日本の外交政策に対して、アジア諸国から非難の声があがっている。
多くの国民から雇用拡大を求める声があがっている。
コロケーション
意見
修飾要素+声:怒りの声、不満の声、抗議の声、批判の声、非難の声、疑問の声
非共起例
「怒りの声」のように「修飾要素+声」の形で用いられ、「怒りがあがる」とは言わない。
解説
10の意味は、<何らかの感情、意見、訴えなど>という内容を表す<音声/言葉>が、実際に<相当数の人の口から発せられる>ということであるのに対して、11の意味は、<人の口から発せられる>という条件はなく、<何らかの意見、訴えなどが><生じる>ということに焦点が当たっている。つまり、11の場合、何らかの意見が文書に記されたり、調査によって明らかになったりした場合を含む。
誤用解説
ここでの「あがる」は、何かを訴える意見を表すことから、「その政策に対して、多くの国民から満足の声があがった」などのようには言いにくい。この場合、「多くの国民から満足の声が聞かれた」と表現することができる。
類義語・反義語
類義語出る(雇用拡大を求める声が出る)
反義語収まる(ようやく不満の声が収まった)


12.自動詞表記あがる、上がる
数量(として捉えられるもの)が、何らかの基準(となる時点)と比べて、増加する。
例文
また、ガソリンの価格があがった。
株価があがった。
なかなかテンションがあがらない。
石油の値段があがっているので困る。
午後になると温度が数度上がったように感じた。
体温が上がっていくのが肌でわかる。
コロケーション
数量
1. 価格:値段、値(ね)、価格、料金、地価、単価、物価、株価、株、相場
2. 賃金:賃金、給料、時給
3. 温度:温度、気温、体温、水温、熱
4. 速さ:スピード、速度、ピッチ
5. 比率:確率、出生率、失業率、生存率、心拍数、金利、税、税金、コスト、ボルテージ
6. 度合(~度):濃度、精度、好感度、知名度、血圧、テンション
7. 年齢:年齢、学年
副詞的要素
どんどん、さらに、ぐんと(スピードがぐんとあがる)、ぐっと(ぐっと好感度があがる)、ぐんぐん(ぐんぐん気温があがる)、益々(益々精度があがる)、一気に(熱が一気にあがる)、徐々に(徐々に物価があがる)、じわじわ(じわじわ物価があがる)、だんだん(だんだん失業率があがる)、次第に(次第に速度があがる)、ますます、一段と、ある程度、ぽんと(給料がぽんとあがる)、一向に(~ない)(一向にピッチがあがらない)
非共起例
「好感度があがる」とは言えるが、「好感があがる」とは言えない。
解説
「数量が増加する」ことは、1、2、7の「人、物が高いところに移動する」ことと相関関係がある。例えば、より多くの積み木を積んでいくにしたがって、積まれた積み木はより高い位置に達する。つまりは、私たちが有するこのような経験を基盤として、本来は「事物の上方への移動」を表す「あがる」という語を、「数量の増加」にも拡張して用いていると考えられる。
誤用解説
「(彼女に対する)好感度があがる」とは言えても、「嫌悪感があがる」とは言えない。「嫌悪感」も<数量として捉えられるもの>と言ってよいであろうが、なぜだろうか。ここでの「あがる」は、明らかにマイナス方向の感情には使えないからだと考えられる。「嫌悪感」の場合には、「嫌悪感が増す」と言うのが適切である。「不安感」も「あがる」ではなく、「増す」である。
類義語・反義語
類義語上昇する(物価が上昇する)
反義語さがる(物価がさがる)


13.自動詞表記あがる、上がる
ある物事のレベル・水準が、よりよくなる。
例文
ゲームでレベルが上がった。
いつのまにか、成績があがった。
学生:「勉強しても成績が上がらないんです。」教師:「勉強の仕方をかえてみたらどうですか。」
好きなアイドルの人気が上がり、コンサートのチケットが手に入らなくなった。
調子があがらず、二軍に落ちた。
田中さんは、今回の企画が成功し、一段と評価があがった。
コロケーション
レベル・水準
レベル、水準、評価、価値、調子、腕、腕前、効率、能率、地位、成績、業績、人気、士気、順位、番付、ランキング、点数、恋愛運、仕事運、金運
副詞的要素
どんどん(効率がどんどんあがる)、ぐんと(腕前がぐんとあがる)、ぐっと(ぐっと評価があがる)、ぐんぐん(ぐんぐん成績があがる)、益々(益々能率があがる)、一気に(評価が一気にあがる)、一段と(一段と能率があがる)、ぽんと(ぽんとランキングがあがる)、徐々に(徐々に順位があがる)、だんだん(だんだん人気があがる)、次第に(次第に調子があがる)、じわじわ(じわじわ腕前があがる)、一向に[~ない](一向に調子があがらない)
非共起例
「順位があがる」に対して「順序・順番があがる」とは言わない。
解説
「点数があがる」などは、12「数量の増加」とここでの「レベルの向上」の両方の特徴を含んでいると考えられる。というのは、「テストの点数が70点から90点にあがった」という場合、「数量の増加」であると同時に「レベルの向上」でもあるからである。このような用例を橋渡しとして、「レベルの向上」のみを焦点化したのがここでの意味である。
誤用解説
非共起例で示したように、「順序・順番があがる」とは言わないのはなぜであろうか。「順位」は、マラソン競技であれ、テスト結果であれ、そのことに関しての良さを反映したものであるが、「順序・順番」にはそのような意味がないからであると考えられる。
類義語・反義語
類義語上昇する(評価が上昇する)
反義語さがる(評価がさがる)


14.自動詞表記上がる、挙がる
あるプロセスを経て、望ましい結果が得られるに至る。
例文
会社の売り上げが上がった。
治療の効果が上がらない。
会社の収益が上がりはじめた。
努力はしているが、仕事の業績が上がらない。
長年の努力が実り、ようやく成果があがった。
コロケーション
望ましい結果
効果、成果、実効、実績、収益、利益、売上
副詞的要素
はっきり(と)(はっきりと成果があがった)、一段と(一段と効果があがる)、一向に[~ない](一向に利益があがらない)
非共起例
「成果があがる」に対して、「結果があがる」とは言わない。
解説
ここでの「成果の出現」という意味は、まず、9「気体の出現」および10「声の発生」からの拡張と考えられる。というのは、この3つの意味には、「無から有」、つまりこれまでなかったものが出現・発生するという共通点が見られるからである。ただし、「気体の出現」「声の発生」はそれぞれ視覚・聴覚で把握できるものであるが、「効果があがる」などの「成果の出現」は、五感だけでは捉えられず、より知的な営みを必要とするものである。より抽象的な意味とも言える。また、「成果の出現」は、13「レベルの向上」との間にも、「望ましいこと」であるという共通点が見いだせる。さらに注目すべきことは、12「数量の増加」に属する用例の中には、「給料があがる」などのように、望ましいことであり、「成果の出現」であるとも捉えられるものもある(もちろん「物価があがる」などは望ましいことではない)。つまりは、「給料があがる」などは、「数量の増加」と「成果の出現」の両方の特徴を有する中間的なものである。このように、同時に生じる場合がある「数量の増加」と「成果の出現」という2つの特徴のうちの後者の特徴に焦点を当てたのがここで意味である。
誤用解説
非共起例で示したように、「結果があがる」とは言わない。「成果」にはプラスの意味が含まれているのに対して、「結果」の基本的な意味は中立的だからである。「結果」が中立的であることは、「よい結果」とも「悪い結果」とも言えることからわかる。
類義語・反義語
類義語出る(成果が出る)
反義語


15.自動詞表記あがる、上がる
人間が、(より上級の)教育機関に、新たに所属するようになる。.
例文
この四月から末っ子が小学校にあがる。
娘が中学校にあがった。
「お子さん、おいくつ。」「今年の春に小学校に上がったばかりなんです。」
息子は中学校に上がると野球部に入った。
子供が小学校に上がったら、仕事に復帰しようと思っています。
一番下の子が、幼稚園に上がったので、自分の時間が増えた。
stairs4月から上の子は中学校に、下の子は小学校にあがります
コロケーション
(より上級の)教育機関
学校、幼稚園、小学校、中学、中学校、高校、高等学校
非共起例
(より上級の)教育機関
大学、大学院
解説
「教育機関」に限定されたこの意味は、13「レベルの向上」からの拡張と考えられる。というのは、ある人が「教育機関に属していない状態から属するようになる」こと、あるいは、「より上級の教育機関に属するようになる」ことは、ある観点から見た、その人の「レベルの向上」と考えられるからである。
誤用解説
「(三月まで小学校5年生だった子どもが)4月から6年生にあがる」とは言いにくい。この場合は、「6年生になる」である。「中学校にあがる」とは言えても、「6年生にあがる」とは言いにくいことから、ここでの「あがる」は、所属する教育機関(小学校や中学校)が変わる場合にのみ使えることになる。なお、「学年があがる(と、だんだん勉強が難しくなる)」の「あがる」は、12「数量の増加」のケースである。
類義語・反義語
類義語入る(中学校に入る)
反義語出る(高校を出る)


16.自動詞表記あがる、上がる
人間が、特別な状況に身を置いて、平静を保てなくなる。
例文
めずらしく花子があがっている。
山田さんの前ではいつも上がってしまう。
太郎は、学会の発表であがってしまった。
田中さんがあがっているのがわかった。
試合であがるような選手はだめだ。
人前で話すとあがってしまう。
stairs結婚披露宴でスピーチしたが、大勢の人を前にしてあがってしまった
コロケーション
緊張を感じる可能性がある年齢に達した人であれば特に限定がない
非共起例
  赤ちゃん、乳児
解説
「あがる」という動詞で、なぜ<平静を保てなくなる>、<緊張する>という意味を表せるのだろうか。まず、日本語で、人間の「心」「精神」が存在する(宿る)と考えられている身体部位には、「腹」「胸」「頭」などがある。例えば、「腹が据わ(ってい)る/腹を括る」「胸が一杯になる/胸を躍らせる」「頭に来る/頭に血がのぼる」といった表現がある。ここで、「安定した好ましい心の状態」は、身体部位の中でも下の方にある「腹」という部位に宿ると考えられる。このことは、「腹が据わ(ってい)る」という表現で<心の状態が物事に動じない>という意味を表せることからもわかる。さらに言えば、「落ち着く」などの語からもわかるように、「(心が)下方に移動する/位置する」ことは、<(心が)安定した状態になる/状態である>ことを表す。一方、「(心が)上方に移動する/位置する」ことを表す「浮つく(浮ついた)」「頭に来る」などは<(心が)不安定な好ましくない状態になる/状態である>ことを表す。このように見てくると、本来「上方への移動」を表す「あがる」が、<(心が)不安定な好ましくない状態になる>ことの一種である<緊張する>という意味を表せることも納得が行くであろう。
誤用解説
「あがる」が<平静を保てなくなる>ことを表すといっても、「上司から思いも寄らない仕事を命じられて、あがってしまった」とは言えない。「あがる」は、語義に示したように、<特別な状況に身を置いて>という特徴も満たさなければならないからである。大勢の人の前で話す、たくさんの聴衆の前でピアノ弾くといった<特別な状況で>、<平静を保てなくなる>ことを表すのに「あがる」を使うのは適切であるが、「上司から思いも寄らない仕事を命じられる」というのは、事柄が特別であるとは言えても、上記のような意味で<特別な状況に身を置く>とは言えない。上司から思いも寄らない仕事を命じられた場合は、「あわてる」「動揺する」などを使うのが適切である。
類義語・反義語
類義語緊張する(聴衆を前にして緊張する)
反義語落ち着く(落ち着いて話す)


17.自動詞表記あがる、挙がる
人・物事が、注目される状況・状態に置かれる。
例文
リストに花子の名前があがっていた。
山田部長のことが話題にあがった。
環境問題や温暖化の問題が話題としてあがった。
たくさんの名前があがっているリストを見て驚いた。
田中さんの名が候補にあがり、会場がざわついた。
長者番付にあがっている名前は有名人ばかりだ。
コロケーション
人・物事
名前、名
注目される状況・状態
候補、リスト(のトップ)、名簿、ラインナップ、ランク、上位、筆頭、ノミネート、話題、議題、課題、俎上
副詞的要素
続々(と)(続々と名前があがる)
非共起例
人・物事
  姓名、姓
解説
「演奏家が舞台にあがる」「(上空に)アドバルーンがあがる」などの例からもわかるように、「人であれ物体であれ、高いところに移動する」(1、2、7)ことによって、人々の「目につく、あるいは注目される」状態になる。このことから、「あがる」が「人・物事が、注目される状況・状態に置かれる」という意味に拡張するのも納得が行くことである。
類義語・反義語
類義語なる(話題になる)
反義語


18.自動詞表記あがる、挙がる、揚がる
求めていた人間・物事が、(数多くの候補の中から)見つかる。
例文
大捜査によって、ようやく犯人があがった。
「証拠はあがっているんだぞ。お前が犯人なんだろ。」「私は何もやっていません。」
あそこの川で死体があがったそうだ。
たとえ犯人があがったとしても、遺族の悲しみは消えないだろう。
確かな証拠があがるまでは、彼が犯人だとは断定できない。
警察は、彼が事件の容疑者であるとは言ったが、証拠があがっているとは言わなかった。
コロケーション
求めていた人・物事
犯人、死体、証拠
副詞的要素
次々(と)(次々証拠があがる)
非共起例
求めていた人・物事
  結婚相手
解説
この意味も、17の場合と同様に、「人であれ物体であれ、高いところに移動する」(1、2、7)ことによって、人々の「目につきやすい」状態になる(したがって、「見つかりやすい」)ことに基づくと考えられる。
誤用解説
ここでの「あがる」は「見つかる」に近い意味であるが、人の場合、「犯人」などに限られる。したがって、「迷子になってしまった子どもがやっとあがった」などとは言えない。この場合は「見つかる」を使うのが適切である。
類義語・反義語
類義語見つかる(犯人・証拠が見つかる)
反義語


19A.自動詞表記あがる、上がる
【終了・完成】仕事などが(ある時間取り組んだのち)完了する。
例文
高橋先生の原稿だけが、まだあがってきていない。
仕事があがった人から帰宅した。
彼は仕事が上がると、電車にのって球場に向かった。
原稿があがってきたら、すぐに印刷に回す。
コロケーション
仕事など
仕事、原稿
非共起例
「原稿があがる」とは言えても、「執筆があがる」とは言いにくい。
誤用解説
「原稿があがる」に対して、「絵があがる」「書があがる」とは言いにくい。この場合、「絵が描きあがる/できあがる」、「書が書きあがる/できあがる」と言う方が適切である。
類義語・反義語
類義語終わる(仕事が終わる)
反義語


19B.自動詞表記あがる、上がる
【終了・完成】人間が、(双六・麻雀などの)ゲームで終了に至る。
例文
双六は、いつも花子が一番にあがる。
太郎が人生ゲームであがった。
田中さんが一番に上がってしまう。
上がった人から、ジュースを飲んでいる。
ゲームで一番にあがると、気持ちがいい。
早く上がらないと、次郎が上がってしまう。
コロケーション
「人」であれば特に限定はない
ゲーム
双六、麻雀
非共起例
ゲーム
  パチンコ
誤用解説
ここでの「あがる」は、双六・麻雀などのように先に終了に至った者が勝ちとなるゲームに使える。したがって、将棋や囲碁で勝つことを「あがる」とは言わない。


19C.自動詞表記あがる、上がる
【終了・完成】催しなどの費用が、ある範囲におさまる。
例文
もっと安くあがりませんか。
今回の旅行は安く上がった。
旅費が思ったより安くあがった。
ねばったおかげで、安くあがってもうけた。
安くあがってもうけた金で散財した。
コロケーション
費用
費用、経費、パーティー(の費用)、旅行(の費用)
ある範囲
○円、格安
形容詞連用形
安く
誤用解説
ここでの「あがる」は「催しなどの費用」に使われるのが普通であり、(衣服などの)商品について、予算より安く買うことができた場合には、「このコートは1万円であがった」とは言えない。その場合、「1万円だった」「1万で買えた」などと言う。
類義語・反義語
類義語済む(安く済む)
反義語


19D.自動詞表記あがる、上がる
【終了・完成】雨が降りやむ。
例文
ようやく雨があがった。
九州地方は梅雨が上がったそうだ。
「雨、もう上がったかな。」「ううん、まだ降ってるよ。」
雨が上がったので、自転車で出かけた。
雨が上がったら出かけよう。
お昼ごろには雨もあがり、晴れ間が広がる見込みです。
コロケーション
雨、梅雨
副詞的要素
一向に[~ない](一向に雨のあがる気配がない)、いつの間にか(いつの間にか雨があがっていた)
非共起例
「雪があがる」とは言いにくい。普通は「雪がやむ」と言う。
解説
雨がよくふる季節である「梅雨」が終わるという意味を表すのに、「梅雨があがる」とも言える。
誤用解説
ここでの「あがる」は、雨が完全にやみ、その後、雨が降らない時間が(しばらく)続く場合に用いられる。したがって、「今日は一日中、雨が降ったりやんだりだった」とは言えても、「今日は一日中、雨が降ったりあがったりだった」とは言えない。
類義語・反義語
類義語止む(雨が止む)
反義語


19E.自動詞表記あがる、上がる
【終了・完成】バッテリー(主に自動車用の蓄電池)が機能しなくなる。
例文
車のバッテリーがあがってしまった。
渋滞のときはバッテリーが上がりやすい。
車の室内灯を消し忘れて、バッテリーがあがってしまった。
車のバッテリーが上がってしまい、エンジンが掛からなくなった。
「バッテリーが上がっちゃうから、ハザード消して。」「うん、わかった」
コロケーション
バッテリー
バッテリー
非共起例
バッテリー
電池
誤用解説
この意味の「あがる」は、「バッテリー」という語に限定されるので、「電池/蓄電池があがる」とは言えない。
類義語・反義語
類義語切れる(バッテリーが切れる)
反義語


19F.自動詞表記あがる、揚がる
【終了・完成】加熱した油の中に入れた食材に熱が通り、食べられる状態になる。
例文
てんぷらがあがる。
フライがあがった。
カツがおいしくあがったよ。
えびフライがあがった直後に、夫が帰ってきた。
「カツがあがったから、食べてね」「いただきまーす。」
この油を使えばカラッとしたてんぷらがあがります。
stairsえびの天ぷらがからっとあがりました。
コロケーション
食材(を用いた完成品)
天ぷら、フライ、カツ、エビ
副詞的要素
からっと(天ぷらがからっとあがった)
非共起例
副詞的要素
  こんがり(と)
誤用解説
ある調理法を表す動詞と副詞的要素(擬態語)の組み合わせがほぼ決まっている場合がある。「からっと揚がる/揚げる」の他に「こんがりと焼ける/焼く」、「ほかほかに蒸す」「とろとろに煮る」などがある。
類義語・反義語
類義語できる(天ぷらができる)
反義語


着点
もしも受賞のあかつきには舞台に上がってオスカーを受け取る。
 (淀川長治著 『淀川長治ぼくの映画百物語』, 1999, 7 芸術・美術)
タキシード姿の司会者が、再びステージに上がっていた。
 (日下圭介著 『「天の酒」殺人事件』, 1991, 9 文学)
しかし、リングに上がれば、どちらもトランクス一枚の裸になる。
  (岡嶋二人著 『ダブルダウン』, 2000, 9 文学)
ある嵐の日のこと、パパは屋根に上がって修理をしようとした。
  (アニータ・アルバラード著;轟志津香訳 『わたしはアニータ』, 2002, 2 歴史)
甲板に上がり、陸地をしみじみと眺めていると、じわっと涙が出てきました。
  (帚木蓬生著 『安楽病棟』, 2001, 9 文学)
千代の富士が引退を決意した日の土俵に上がった千代の富士を見た行司が「千代の富士が小さく見えた」といっています。
  (岡崎久彦著 『なぜ気功は効くのか』, 2003, 4 自然科学)
(ダルビッシュ投手は)ブルペンではあまり良くなかったのに、マウンドに上がると申し分ない投球を見せてくれた。
 (Yahoo!ブログ, 2008, 趣味とスポーツ)
副詞的要素
僕はゆっくりとステージに上がった。
 (K.羽音著 『君の孤独のそばで』, 2000, 9 文学)
経路
階段を上がって、改札口を出る。
 (太田蘭三著 『逃げた名画』, 1989, 9 文学)
階段を上がってくる足音が聞こえた。
 (ヨースタイン・ゴルデル著;須田朗監修;池田香代子訳 『ソフィーの世界』, 1997, 9 文学)
砦の石段を上がると,たくさんの観光客が,デジカメで撮影をしていました。
 (Yahoo!ブログ, 2008, 趣味とスポーツ)
なだらかな坂を上がりきると、道の右側に天祖神社の杉林が見えてきた。
  (久世光彦著 『陛下』, 1996, 9 文学)
急勾配の丘を上がって帰るのはきついので、私は帰りはタクシーをいつも使った。
(マラ・セン著;鳥居千代香訳 『インドの女性問題とジェンダー』, 2004, 3 社会科学)
副詞的要素
ステップをゆっくりと上がる。
  (小川裕夫編著 『日本全国路面電車の旅』, 2005, 6 産業)
激しく頭を振って涙を振り払うと、ルーホークをきっと睨みつけ、一気に階段をかけ上がっていった。
  (篠崎砂美著 『魔封の大地アンクローゼ』, 1992, 9 文学)
起点
磯吉は風呂から上がると晩飯にした。
  (村岡耕治著 『はせだきの恋』, 2003, 9 文学)
はしゃぎすぎて、けっこう泳ぎ疲れてしまったぼくたちは、予定より早く海から上がった。
  (有本信雄著 『この宇宙に地球と似た星はあるのだろうか』, 2002, 分類なし)
おじさんは水から上がり、頭をぶるぶるとふって髪の毛の水を切った。
  (沢村凛著 『瞳の中の大河』, 2003, 9 文学)
三人はそれから、湯から上がって宴会場に行った。
  (莉啓著 『水辺の神々・断片』, 2002, 9 文学)
着点
船員は休暇でみんな陸に上がっています
  (梁石日著 『族譜の果て』, 1996, 9 文学)
波に足を取られそうになりながら、ザブザブと岸に上がる。
  (青木由紀子文 『「飛鳥」南極へ行く』, 2005, 2 歴史)
家の内部
幸太郎は麻理子の家に上がっていた。
  (遊直著 『オルガナー』, 2005, 9 文学)
英泉が手招きすると、若い男は遠慮しいしい座敷に上がった。
  (塩川治子著 『北斎の娘』, 2001, 9 文学)
靴を脱いで畳の部屋に上がった。
  (丹地甫著 『ハマヒルガオ』, 2005, 9 文学)
副詞的要素
休暇中、夜になると彼女は一人こっそりと屋根裏部屋に上がっては、これまでの人生の逸品にふれていた。
  (井形慶子著 『イギリス式お金をかけず楽しく生きる!』, 2002, 5 技術・工学)
多少とも彼らの歴史的背景を知るようになった今思い返すと、日本について無知なガイジンが招かれた家の座敷に土足のままずかずかと上がってしまう、たとえれば、そんな心ない発言だったということが、わかるような気がする。
(朝比奈誼著 『デカルトの道から逸れて』, 1998, 8 言語)
他の人のところ
私は文化部記者として、数日に一回、時には連日、東京・荻窪のお宅に原稿を頂きに上がった。
  (高山惠太郎監修 『酒のかたみに』, 2002, 9 文学)
目的
商品はすぐにお取り寄せをいたしまして、わたくしがお届けに上がります。
  (鎌田敏夫著 『29歳のクリスマス』, 1998, 9 文学)
身体の一部、物の一部
主審の手が高々と上がった。
 (五百香ノエル著 『ロックン・ベースボール』, 2001, 9 文学)
最後には全く足が上がらなくなってしまい、道端に腰をおろして休んだ。
 (帚木蓬生著 『逃亡』, 2000, 9 文学)
私たちが席に着くとすぐ明かりが消え、幕が上がった。
 (マーガレット・P.ブリッジズ著;春野丈伸訳 『わが愛しのワトスン』, 1992, 9 文学)
警報機の音がやみ、すぐ目の前を、かすめるようにして遮断機が上がっていく。
 (小松江里子原作・脚本;豊田美加ノベライズ 『To heart』, 1999, 9 文学)
副詞的要素
会場では次々と手が上がった。
(古森義久著 『中国「反日」の虚妄』, 2005, 3 社会科学)
ブラインドは天井までするする上がってゆく。
 (ジョイス・キャロル・オーツ著;井伊順彦訳 『フォックスファイア』, 2002, 9 文学)
物の全体
ヘッドが下から当たる軌道では球が上がってしまいます。
 (金井清一解説・監修 『金井清一の完全バランススウィング』, 2004, 7 芸術・美術)
野球なんかでフライが上がると、高低感がわからない。
  (斎藤次郎,福尾野歩,増田喜昭著 『子どものスイッチ』, 2003, 3 社会科学)
そうやって打つと、低い弾道で飛び出した打球が途中でフワーッと上がり、しばらくして滞空して落ちていくのだ。
 (北方謙三著 『風待ちの港で』, 2003, 9 文学)
突然、おなかに響く賑やかな音がして、空に花火が上がった。
(恩田陸著 『ライオンハート』, 2004, 9 文学)
副詞的要素
そして、一方の建物の屋上に星条旗がするすると上がり、風にはためいた。
(稲葉稔著 『熱風』, 2002, 9 文学)
水の占める範囲
災害後、海面の水位が上がったとは伝えられていたが、オーストラリアはこれほどではない。
  (青山圭秀著 『最後の奇跡』, 2000, 9 文学)
潮が膝まで上がってきたからだった。
 (キングズリー作;芹生一訳 『水の子どもたち』, 1996, 分類なし)
水が腰のあたりまで上がってきても、二人は水面下で手をつないだままだった。
  (マイケル・マーシャル著;嶋田洋一訳 『死影』, 2005, 9 文学)
副詞的要素
そして、10分間で134センチと一気に水位が上がっている。
  (Yahoo!ブログ, 2008, 生活と文化)
目で見える気体の類
青空に煙が一筋上がっていた。
  (立松和平作;上田朱絵 『雪より白い鳥』, 1999, 分類なし)
フェットチーネと野菜から湯気が上がらなくなったので、冷蔵庫に戻した。
  (ローレンス・ブロック編;神崎康子ほか訳 『アメリカミステリ傑作選』, 2003, 9 文学)
地震の後、東京の市街のあちらこちらで火の手が上がった。
  (岡本哲志著 『銀座』, 2003, 5 技術・工学)
次の瞬間、車のタンクに火柱が上がった。
  (森詠著 『戦場特派員』, 1996, 9 文学)
ライターの火が灯油に引火し、炎が上がったのだ。
 (小杉健治著 『父からの手紙』, 2003, 9 文学)
副詞的要素
黒煙がもうもうと残骸から上がりだした。
  (森詠著 『戦場特派員』, 1996, 9 文学)
突然、火の手が上がった。
  (家永三郎ほか編 『日本の原爆記録』, 1991, 3 社会科学)
キャッーっという悲鳴が上がった。
  (吉村達也著 『オール』, 2002, 9 文学)
そのたびごとに拍手と歓声が上がった。
  (福島行一著 『大仏次郎』, 1995, 9 文学)
外で叫び声が上がり、勢いよくドアが開いて、あわただしい足音が店内に入ってきた。
 (ディーン・R.クーンツ著;宮脇孝雄訳 『ストレンジャーズ』, 1991, 9 文学)
その一言が引き金となったのか、全員から声援が上がる。
  (天宮一大著 『ラグビーボールを抱きしめて』, 2003, 3 社会科学)
副詞的要素
不満の声がいっせいに上がったので、族長は片手をあげて、それを制した。
  (ローズマリ・サトクリフ著;山本史郎訳 『シールド・リング』, 2003, 9 文学)
義経はしばらくのあいだ、辺りの景色をながめていましたが、急にドッと大きな声が谷の下から上がってきました。
 (一龍斎貞水編 『歴史に残る合戦』, 2000, 分類なし)
意見
格差是正措置を求める声がすぐに上がるだろう。
 (松原聡著 『官公庁のしくみと公務員の仕事がわかる事典』, 2001, 3 社会科学)
鉄道ファンらから突然の悲報を悼む声が上がっている。
 (Yahoo!ブログ, 2008, 趣味とスポーツ)
そして、内容には女性団体からは批判と失望の声が上がった。
  (読売新聞20世紀取材班編 『20世紀大衆社会』, 2002, 2 歴史)
数量
一時期、東京の土地の値段がものすごく上がった。
  (久野万太郎著 『リニア新幹線物語』, 1992, 6 産業)
賃金が上がれば,当然その分だけ費用もかかるので商品を値上げするであろう。
  (余語將尊,木村正信著 『現代マクロ経済学』, 2003, 3 社会科学)
もしこのままの制度で介護保険料がどんどん上がっていけば、絶対給付抑制に行きます。
  (日本障害者センター編 『障害者介護のあり方を問う』, 2004, 3 社会科学)
アルミは温度が上がると硬くなる性質があるからだ。
  (日本工業新聞社編 『決断力』, 2001, 3 社会科学)
読書のスピードが上がり、 たくさんの本が読めるようになりました。
  (Yahoo!ブログ, 2008, 政治)
一般的には、金利が上がれば株価は下がり、金利が下がれば株価は上がります。
  (大和総研著 『経済のしくみ』, 1995, 3 社会科学)
交感神経が興奮すると心拍数が増え、末梢の血管が収縮して血圧が上がります。
 (谷口正幸,池上保子著 『高血圧』, 2000, 4 自然科学)
従来の制度は、社員の年齢が上がるとともに人件費は増大していく構造にある。
  (溝上憲文著 『隣りの成果主義』, 2004, 3 社会科学)
副詞的要素
すると、どんどん株価が上がっていく。
  (中島孝志著 『35歳までに決まる!お金持ちになれる人なれない人』, 2003, 1 哲学)
渋滞のノロノロ運転でイライラすれば、さらに血圧は上がります。
  (中原英臣,富家孝著 『医者しか知らない危険な話』, 1995, 4 自然科学)
これができれば、店としても、個人としても、成功の確率がグンと上がるに違いありません。
  (河原成美著 『一風堂五輪書』, 2004, 1 哲学)
ここにタレントを出演させれば一気に知名度が上がるため、各事務所は鵜の目鷹の目で狙っている。
藤本ひとみ著 『綺羅星』, 1998, 9 文学)
毎月、徐々に売上げは上がっているのに、依然、会社は赤字のままだ。
 (福永正三著 『会社再建』, 2004, 5 技術・工学)
農家の平均年齢はだんだん上がっていて、今日では六十一歳だと聞いています。
  (中村靖彦著 『遺伝子組み換え食品を検証する』, 1999, 4 自然科学)
ローンの金利(住宅)についてですがじわじわここのところ上がりはじめていますよね。
  (Yahoo!知恵袋, 2005, ビジネス、経済とお金)
物価はますます上がり、物不足はますます深刻になってきた。
 (木下栄蔵著 『孫悟空はどこまで飛んだ?』, 1992, 4 自然科学)
レベル・水準
不安が増加して首や肩の筋肉の緊張レベルが上がるのです。
  (R.M.ナイデファー,R.C.シャープ著;加藤孝義訳 『集中力』, 1995, 1 哲学)
経済が発展して生活水準が上がれば、食生活も変化する。
 (草間俊介,畑村洋太郎著 『東大で教えた社会人学』, 2005, 3 社会科学)
B評価の基準を80%から70%に下げたので、水戸くんの評価がCからBに上がりました。
  (小川祐一著 『学級経営&成績評価支援プログラム「担任くん」ガイドブック』, 2003, 3 社会科学)
どうしても調子が上がってこない、で、遂にはマウンドに行きたくないと思ったというんです。
  (江夏豊著 『プロ野球観戦術』, 1998, 7 芸術・美術)
たとえばピアノを弾くこと自体を楽しみ、腕前が上がっていく自分に誇りをもって満足することはあっただろうか、と。
  (斎藤茂太著 『「うつ」から元気になれる本』, 2004, 4 自然科学)
ショートカットキーを使って、リスト内を自由にジャンプできれば、それだけでも仕事の効率がグンと上がる。
 (井上香緒里著 『時間がない営業のための手間をかけないカンタン売上分析』, 2005, 6 産業)
副詞的要素
キャッチ・ボールを繰り返している内に次第に下値が固まって、少しずつ水準が上がってくるだろう。
  (Yahoo!ブログ, 2008, ビジネスと経済)
日本の物価と生活水準がどんどん上がる中で、この一家の生計と伝道活動を支えること自体、かなり大変だったと思うのです。
(山下秀雄著 『日本のことばとこころ』, 1986, 8 言語)
望ましい結果
ダンベル運動をすればより効果が上がると思います。
 (Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、美容とファッション)
能力を発揮してこそ成果が上がる。
  (溝上憲文著 『隣りの成果主義』, 2004, 3 社会科学)
何より実効が上がらなければ意味がない。
  (Yahoo!ブログ, 2008, 政治)
実績が上がらなければ有名無実、紙にかいた絵のようなものでありますから、私たちが望むところでありません。
 (国会会議録, 1985, 参議院)
手間ばかり掛かって、収益が上がらないので嫌われます。
  (Yahoo!知恵袋, 2005, 教養と学問、サイエンス)
ある製品のマーケット・シェアを拡大すればどれくらいコストが下がり、利益が上がるのか。
  (水越豊著 『BCG戦略コンセプト』, 2003, 3 社会科学)
副詞的要素
ギリギリのところで1〜2秒止めると運動効果がさらに上がります。
  (岩下聆監修 『手軽にかんたんフィットネス』, 2001, 4 自然科学)
(より上級の)教育機関
一番下が、幼稚園に上がったばかりの男の子だった。
  (森詠著 『北のレクイエム』, 1986, 9 文学)
リズとモリーは小学校に上がったときから十四歳のときまで大の仲よしだった。
  (グレイス・グリーン作;久坂翠訳 『二人の天使』, 2002, 9 文学)
僕と青木は同じ高校に上がりました。
(村上春樹著 『レキシントンの幽霊』, 1996, 9 文学)
人・物事
文壇で名が上がり、相当ちやほやされても、原稿料だけでは生活はできないというのが普通だった。
  (矢崎泰久著 『口きかん』, 2003, 9 文学)
注目される状況・状態
各部門から選抜の候補者として上がってくる社員は、学校は東大をはじめとするブランド大学出身者ばかりですし、なかには高級官僚の子弟もいますし、毛並みは抜群です。
 (溝上憲文著 『超・学歴社会』, 2005, 3 社会科学)
現在でもGEで仕事をしているのは最初のリストに上がった二三人のうちわずか九人にすぎない。
(ジャック・ウェルチ,ジョン・A.バーン著;宮本喜一訳 『ジャック・ウェルチわが経営』, 2001, 5 技術・工学)
番付上位に上がってくる者に、ハワイやモンゴル出身者が続いている。
  (佐山和夫著 『松井秀喜の「大リーグ革命」』, 2003, 7 芸術・美術)
求めていた人・物事
その3日後、ラスプーチンの死体が揚がった。
  (石田敦士著 『歩いて書いたヨーロッパの歴史』, 2004, 2 歴史)
それでも小出総合病院に犯人と思われる人間が潜んでいる情況証拠がいくつも上がってきた。
  (五十嵐貴久著 『交渉人』, 2003, 9 文学)
仕事など
従業員の忘年会は二日前にすんでいるし、仕事が上がった者から帰宅することになる。
  (笹沢左保著 『紫陽花いろの朝に死す』, 2001, 9 文学)
現場からどんな原稿が上がってくるかもわからないうちに、明日の朝刊の紙面建てが決まってしまったというのか。
  (横山秀夫著 『動機』, 2002, 9 文学)
ゲーム
麻雀で、あがるのは、運(ツキ)だ。
  (色川武大,阿佐田哲也著;大庭萱朗編 『色川武大・阿佐田哲也エッセイズ』, 2003, 9 文学)
形容詞連用形
だからいつもスタジオ代が少しでも安く上がるように気を配ってくれた。
  (友部正人著 『ニューヨークの半熟卵』, 2003, 2 歴史)
ビーチには雨が上がると同時に大勢の人が出てきて、海で泳いだり、砂の上で寝ころんだりしていた。
  (海老沢泰久著 『男ともだち』, 1998, 9 文学)
そこで、梅雨が上がった後、秋口までは戸外に出し、五〇%遮光をして育てるのがよい。
  (江尻光一著 『洋ラン栽培コツとタブー』, 1991, 6 産業)
バッテリー
その日、僕が仕事に出かけようとしたら、一トントラックのバッテリーが上がってしまっていた。
 (アンジェラ・グード編;伊藤延司,マーガレット・プライス訳 『犬たちをめぐる小さな物語』, 1994, 6 産業)
食材(を用いた完成品)
おいしいトンカツが、もうすぐ揚がりそうよ
  (末廣圭著 『妖花』, 2003, 9 文学)
梲(うだつ)があがらない

意味
出世したり、良い境遇になることができない。
用例
Aさんは、梲があがらない亭主のことでいつも愚痴をこぼしている。
コーパスからの実例
えっ、前の彼はどうしたかって?別れたわよ、うだつが上がらないんだもんこんな“恋愛観”が横行している。(宮崎学著 『ハンパな人生論より極道に学べ』, 2002, 1 哲学)
頭があがらない

意味
相手に対して負い目を感じ、自分を下の立場におく。
用例
・私のミスをたびたび救ってくれた部長には、頭があがらない
・指導教員は就職の世話までしてくれたので、一生頭があがらない
コーパスからの実例
もっとも、この頃は研究が面白かったので、大学に1日15時間はいたと思う。だから、帰ってきたら、ご飯も食べずに模型工作である。奥様は当時、子育てに大変だったのだ。一生頭が上がらない所以である。 (森博嗣著 『森博嗣のミステリィ工作室』, 2001, 9 文学)
陸(おか)に/へあがった河童

意味
河童は、水の中は得意であるが、陸にあがるとうまく活動できないことから、人間が、不得手な、あるいは未経験の状況におかれて、どうにもならないこと。⇔水を得た魚
V+あがる

のしあがる、まくれあがる、出来あがる、縮みあがる、すくみあがる、舞いあがる、這いあがる
あがり+V

あがり切る、あがり損なう
その他  V+あがる

飛びあがる、跳ねあがる、打ちあがる、駆けあがる、燃えあがる、成りあがる、捲れあがる、染めあがる、焼きあがる、炊きあがる、湧きあがる、繰りあがる
その他 あがり+V

あがりこむ、あがり続ける
ネコが屋根にあがって、日向ぼっこをしている。
「そちらの階段をあがって左にございます。」
中村さんが階段をあがっていきます。
中村さんが階段をあがってきます。
中村さんが急いで階段をあがっていきます。
中村さんが急いで階段をあがってきます。
「いらっしゃい。どうぞ、あがってください。」 
先生のお宅にお迎えにあがった
力士の足が出た瞬間、行司の軍配がさっとあがった
夏の夜空にきれいな花火があがっている
色とりどりの風船が空高くあがっていきます。
工場の一角から火の手があがり、またたく間に燃え広がった。
煙突から白い煙があがっています。
日本の選手がシュートを決めると、スタンドから歓声があがった
4月から上の子は中学校に、下の子は小学校にあがります
結婚披露宴でスピーチしたが、大勢の人を前にしてあがってしまった
えびの天ぷらがからっとあがりました。